有価証券報告書-第83期(2024/04/01-2025/03/31)
②戦略
エプソンは、「循環型経済の牽引」をマテリアリティとして設定しています。これを達成するために、エプソンの技術の源泉である「省・小・精の技術」を基盤に、イノベーションを起こし、さらなる温室効果ガス(GHG)排出量削減に取り組んでいます。
■ 環境ビジョン2050達成までのロードマップ
エプソンは「環境ビジョン2050」を策定し、2050年までにカーボンニュートラルを超えたカーボンマイナス、さらに地下資源の消費ゼロを掲げ取り組みを進めています。こうした目標に向かってどのように進むのか具体的なシナリオを描いたものが、「中期環境活動計画」です。「Epson 25 Renewed」の目指す成長領域や新領域の事業拡大に伴い、サプライチェーンにおけるGHG排出量や資源使用量は増加します。そこで環境戦略と事業戦略を両立させた「環境価値創出シナリオ」を全事業で策定し、2050年目標達成のロードマップを展開していきます。

さらに、気候変動に対するレジリエンスの強化を図るため、「環境ビジョン2050」の実現に向け、環境戦略定例会および下部組織の部会にて活動を推進し、2024年度は以下の取り組みを中心に活動の実践状況のレビューや各種経営会議体への審議・報告を行いました。
■ 気候関連のリスク・機会に関するシナリオ分析
エプソンは、気候関連のリスク・機会の重要性評価に向け、「移行リスク」「物理リスク」「機会」の区分でシナリオ特定と評価を実施し、7つの評価項目を選定しました。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と国際エネルギー機関(IEA)が提示する気温上昇1.5℃に相当するシナリオと社内外の情報に基づき、事業インパクトと財務影響度を評価しました。
■ 1.5℃シナリオにおける気候関連リスク・機会
シナリオ分析に基づいた気候関連リスク・機会の評価結果は以下のとおりです。
顕在時期 短期:10年未満 中期:10年~50年 長期:50年超
財務影響度 小:10億円未満 中:10億円~100億円 大:100億円超
エプソンは、脱炭素、資源循環、環境技術開発、お客様のもとでの環境負荷低減に向けた取り組みを進めています。2024年度の取り組み実績は以下のとおりです。
※13 財務影響度 小:10億円未満
※14 一部販売拠点などの電力量が特定できない賃借物件は除く
※15 IPCCの気候変動シナリオRCP2.6(2℃)、RCP8.5(4℃)にて評価
※16 国内拠点で長期的洪水リスク(21世紀末)を有する主要拠点
※17 PoC(Proof of Concept、概念実証):新しい技術などの実現可能性や実際の効果などを検証するプロセス
■ カーボンプライシングの取り組み
エプソンは、GHG排出量削減を目的とした投資に関する執行前の評価(フィージビリティ・スタディ)としてカーボンプライシングの考えを取り込んだ投資回収期間の判断基準やガイドラインを整備し、2018年度からの試行導入を経て2020年より正式運用を開始しています。
エプソンは、「循環型経済の牽引」をマテリアリティとして設定しています。これを達成するために、エプソンの技術の源泉である「省・小・精の技術」を基盤に、イノベーションを起こし、さらなる温室効果ガス(GHG)排出量削減に取り組んでいます。
■ 環境ビジョン2050達成までのロードマップ
エプソンは「環境ビジョン2050」を策定し、2050年までにカーボンニュートラルを超えたカーボンマイナス、さらに地下資源の消費ゼロを掲げ取り組みを進めています。こうした目標に向かってどのように進むのか具体的なシナリオを描いたものが、「中期環境活動計画」です。「Epson 25 Renewed」の目指す成長領域や新領域の事業拡大に伴い、サプライチェーンにおけるGHG排出量や資源使用量は増加します。そこで環境戦略と事業戦略を両立させた「環境価値創出シナリオ」を全事業で策定し、2050年目標達成のロードマップを展開していきます。

さらに、気候変動に対するレジリエンスの強化を図るため、「環境ビジョン2050」の実現に向け、環境戦略定例会および下部組織の部会にて活動を推進し、2024年度は以下の取り組みを中心に活動の実践状況のレビューや各種経営会議体への審議・報告を行いました。
| <2024年度の取り組み>● テーマ検討:脱炭素目標(SBT更新)、TNFD開示、資源循環定義・施策 ● 各部会の取り組み・中期KPIレビュー ● 各事業の環境価値創出シナリオの進捗と課題共有 ● 現状調査・分析(競合他社・社会動向、環境法規制など) |
■ 気候関連のリスク・機会に関するシナリオ分析
エプソンは、気候関連のリスク・機会の重要性評価に向け、「移行リスク」「物理リスク」「機会」の区分でシナリオ特定と評価を実施し、7つの評価項目を選定しました。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と国際エネルギー機関(IEA)が提示する気温上昇1.5℃に相当するシナリオと社内外の情報に基づき、事業インパクトと財務影響度を評価しました。
■ 1.5℃シナリオにおける気候関連リスク・機会
シナリオ分析に基づいた気候関連リスク・機会の評価結果は以下のとおりです。
| 区分 | 評価項目 | 顕在時期 | 事業インパクト | 財務影響度 | |
| 移行リスク | 市場の変化・政策・法規制 | ペーパー需要 | 短期 | インパクト ・気候変動とペーパー需要の変化に関する強い関連性は見出せないが、印刷・情報用紙の需要は減少傾向にあると想定する。COVID-19によるトレンド変化(分散化によるオフィス印刷の縮小など)によりペーパーレス化がさらに進んだ場合においても、インクジェット技術・紙再生技術に基づく商品・サービスの強化(印刷コスト低減、環境負荷低減、印刷の快適性向上、紙情報の有用性訴求)により財務影響へのインパクトは限定的と予想される | 小 |
| (環境ビジョン2050の取り組み) ・脱炭素 ・資源循環 ・環境技術開発 | 短期 | インパクト ・世界的に共通した社会課題である「気候変動」と「資源枯渇」に対し、商品・サービスやサプライチェーンの「脱炭素」と「資源循環」における先進的な取り組みが求められる ・飛躍的な環境負荷低減につながる環境技術開発により、科学的かつ具体的なソリューションが求められる リスクへの対応 ・脱炭素 ●再生可能エネルギー活用 ●設備の省エネ ●温室効果ガス除去 ●サプライヤーエンゲージメント ●脱炭素ロジスティクス ・資源循環 ●資源の有効活用 ●生産ロス極小化 ●商品の長期使用 ・環境技術開発 ●ドライファイバーテクノロジー応用 ●天然由来素材(脱プラ) ●原料リサイクル(金属、紙) ●CO2吸収技術 | 2030年 までに合計 約1,000億円を投入 | ||
| 物理リスク | 急性 | 洪水による 事業拠点の被災 | 長期 (21世紀末) | インパクト ・36拠点(国内17、海外19)を対象にリスクを評価した結果、洪水(河川氾濫)、高潮、渇水によるエプソンに将来的な操業リスクの変化は限定的 ・サプライチェーンに関する短期気候変動リスクについては、BCP(事業継続計画)で対応 | 小 |
| 慢性 | 海面上昇による 事業拠点の被災 | ||||
| 渇水による 操業への影響 | |||||
| 機会 | 商品・サービス | (環境ビジョ 2050の取り組み) ・お客様のもとでの環境負荷低減 | 短期 | 想定シナリオ ・炭素税導入、電気料金高騰、廃棄物処分コストの上昇、適量生産・資源削減などにより、環境に配慮した商品・サービスへのニーズが高まる 事業機会 ・「Epson 25 Renewed」における成長領域として、①環境負荷低減・生産性向上・印刷コスト低減を実現するインクジェット技術によるオフィスプリンティング、商業・産業プリンティング、プリントヘッド外販、②環境負荷低減を実現する新生産装置の拡充による生産システムの提供、により売上収益成長CAGR(年平均成長率)15%を見込む | 大 2025年度 までに 成長領域CAGR15% 見込 |
| 環境ビジネス | 短期 | 想定シナリオ ・地球温暖化対策分野や廃棄物処理・資源有効活用分野の市場成長が見込まれる ・サーキュラーエコノミー(循環型経済)へのシフトにより、再生プラスチック、高機能バイオ素材、バイオプラスチック、金属リサイクルの要求拡大が見込まれる 事業機会 ・地球温暖化対策やサーキュラーエコノミーへのシフトに対する有効なソリューションとして、紙再生を含むドライファイバーテクノロジー応用、天然由来素材(脱プラ)開発、原料リサイクル(金属再生、紙循環)などの技術確立を通じ、価値変換(高機能化)、脱プラ化(梱包材、成形材)、高付加価値新規素材の創出などにより売上収益を獲得 | 中 | ||
顕在時期 短期:10年未満 中期:10年~50年 長期:50年超
財務影響度 小:10億円未満 中:10億円~100億円 大:100億円超
エプソンは、脱炭素、資源循環、環境技術開発、お客様のもとでの環境負荷低減に向けた取り組みを進めています。2024年度の取り組み実績は以下のとおりです。
| 区分 | 評価項目 | 2024年度取り組み実績 | 2024年度 定量実績 | |
| 移行リスク | 市場の変化・政策・法規制 | ペーパー需要 | ・大容量インクタンクモデルの販売が新興国や西欧で前期から伸長、オフィス共有IJPはレーザーからの置き換えが進み、本体・インクともに販売伸長しており、エプソンがターゲットとしているマーケットでのペーパー需要変動による財務影響は限定的 | 小 (※13) |
| 脱炭素 | ・エプソングループ全世界の拠点(※14)での100%再生可能エネルギー化維持 ・サプライヤーのGHG排出削減、再エネ電力の導入を支援する 「エプソングリーンサプライチェーン」活動を開始 | 75.8億円 (内訳) ・投 資:43.8億円 ・費 用:19.1億円 ・人件費:12.9億円 環境ビジョン2050 累積投入費用・投資 合計 202.2億円 | ||
| 資源循環 | ・再生プラスチック使用製品の拡大、リファービッシュ/リユースによる商品の長期使用の拡大 ・不要な金属を、金属粉末製品の原料として資源化する新工場の建屋完成(2025年6月竣工、エプソンアトミックス) | |||
| 環境技術開発 | ・ドライファイバーテクノロジーを応用した、衣類繊維複合再生プラスチック開発 ・分離膜を用いたCO2分離・回収、藻類を活用したCO2吸収技術開発推進 | |||
| 物理リスク | 急性 | 洪水による 事業拠点の被災 | ・36拠点(国内17、海外19)を対象にIPCC第6次評価報告書に基づきリスクを評価(※15) -洪水(河川氾濫)、高潮、渇水によるエプソンへの将来的な 操業リスクの変化は限定的であることを確認。豊科事業所 (※16)における低階層の設備浸水リスクに対しBCP施策 (設備更新時の移設)で対応 | 小 |
| 慢性 | 海面上昇による 事業拠点の被災 | |||
| 渇水による 操業への影響 | ||||
| 機会 | 商品・サービス | お客様のもとでの 環境負荷軽減 | ・「Epson 25 Renewed」における成長領域(オフィスプリンティング、商業・産業プリンティング、プリントヘッド外販、生産システム)への取り組みを推進 | 2020年度→24年度 売上収益 CAGR +9.9% |
| 環境ビジネス | ・ドライファイバーテクノロジーを核技術としたビジネス展開に向け、再生ファブリックのビジネスモデルのPoC(※17)開始 | ─ | ||
※13 財務影響度 小:10億円未満
※14 一部販売拠点などの電力量が特定できない賃借物件は除く
※15 IPCCの気候変動シナリオRCP2.6(2℃)、RCP8.5(4℃)にて評価
※16 国内拠点で長期的洪水リスク(21世紀末)を有する主要拠点
※17 PoC(Proof of Concept、概念実証):新しい技術などの実現可能性や実際の効果などを検証するプロセス
■ カーボンプライシングの取り組み
エプソンは、GHG排出量削減を目的とした投資に関する執行前の評価(フィージビリティ・スタディ)としてカーボンプライシングの考えを取り込んだ投資回収期間の判断基準やガイドラインを整備し、2018年度からの試行導入を経て2020年より正式運用を開始しています。