有価証券報告書-第84期(2025/04/01-2026/03/31)
②戦略
エプソンは、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の実現に向け、社会課題の解決と企業価値向上の両立を図る重要課題として、七つのマテリアリティを特定しています。
これらのマテリアリティは、「価値創造」と「価値創造を支える基盤」の二層で構造化しています。
第一層の「価値創造」に関わるマテリアリティは、エプソンの事業活動を通じて社会に提供する価値を示すものです。エネルギー・資源効率の向上、テクノロジーの進化、人手不足への対応、学び・働き・暮らしの質の向上といった社会課題に対し、エプソンの技術、製品およびサービスを通じて価値創出を目指します。
第二層は「価値創造を支える基盤」に関わるマテリアリティです。「人的資本」および「知的資本」に関するマテリアリティは、価値創造を支える競争力の源泉と位置付けています。社会課題の複雑化や技術革新の加速に対応するためには、人材の能力向上、多様な知の結集および独創的な技術の創出・社会実装が不可欠であり、これらを通じて中長期的な競争優位の確立を図ります。
また、ガバナンス、リスクマネジメント、コンプライアンス、資本配分等からなる経営基盤に関するマテリアリティは、価値創造および競争力の源泉を最大限に発揮し、持続的な成長を実現するための基盤となるものです。
エプソンは、これら二層のマテリアリティを相互に連関させ、一体的に強化することにより、社会価値と経済価値の同時創出を図るとともに、収益性および資本効率の向上を通じて中長期的な企業価値の向上を目指します。
■ マテリアリティの構造

■ マテリアリティ特定プロセス
エプソンは、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の策定にあたり、社会環境変化や国際基準などの社会要請がエプソンおよびステークホルダーに与える影響を分析しました。具体的には、脱炭素化、エネルギーや資源の制約、AI・データ社会の進展、人手不足の深刻化、新興国の成長、地政学リスクや規制強化といった社会変化を踏まえ、事業機会とリスクの両面から重要課題を評価しました。その結果、エプソンが持つ技術や事業を通じて価値を創出できる領域として、「エネルギー・資源の効率化」「テクノロジーの進化」「人手不足への対応」「学び・働き・暮らしの向上」の四つを価値創造領域として特定しました。さらに、これらの価値創造を持続的に実現するための競争力の源泉として「人的資本」「知的資本」、そして全体を支える経営基盤として「責任ある経営と実行」を加え、七つのマテリアリティを特定しています。

■ 「価値創造」に関わるマテリアリティ
<エネルギー・資源の効率化を支える>脱炭素化の進展に伴うエネルギー制約の高まりや資源価格の上昇・調達不安定化を、事業環境における重要な課題と認識しており、こうした制約の下で、エネルギー消費や資源使用を抑えながら性能や生産性を両立する技術への需要が拡大すると考えています。エプソンは「省・小・精」の技術・思想を基盤としたインクジェット技術や高機能材料、資源循環技術を通じて、製造プロセスの省エネルギー化・高効率化と資源の有効活用を実現し、顧客の環境負荷低減と経済合理性の両立に貢献します。これらの価値は主にプレシジョンイノベーションセグメントにおいて提供されます。
<精密技術でテクノロジーの進化を支える>AIやデータセンター、通信・車載分野の拡大に伴い、高精度・低消費電力・高信頼性を兼ね備えたデバイスへの需要が急速に高まっていることを重要な事業機会と捉える一方で、技術進化の加速や競争環境の変化に対応することが競争力維持の前提となっています。エプソンは、精密微細加工、MEMS、水晶・材料技術を融合した精密技術を強みに、物理世界を正確に捉え制御する基盤を提供し、デジタルの価値を実社会で発揮するための技術基盤の高度化に貢献します。これらの価値は主にプレシジョンイノベーションセグメントにおいて提供されます。
<生産性と信頼性で人手不足に応える>先進国における労働人口の減少や新興国における技能人材不足を背景に、生産現場における人手不足と品質維持の両立が重要な社会課題となっていると認識しており、これは人件費の上昇や技能継承の難しさによる従来のオペレーションの持続性への課題ともなっています。エプソンは、ロボティクスや商業・産業プリンティングにおいて、制御・AI技術を活用した自動化や工程最適化を進め、省人化と品質向上を同時に実現することで、持続可能な生産現場の構築に貢献します。これらの価値は主にインダストリアル&ロボティクスセグメントにおいて提供されます。
<学び・働き・暮らしを支える>新興国を中心とした人口増加や中間層の拡大に伴い、教育や情報アクセスへの需要が高まる一方で、インフラ整備の遅れや格差が成長の制約となっていることを重要な社会課題と認識しています。また、働き方の変化やデジタル化の進展により、情報の可視化や共有、業務効率の向上に対するニーズが高まっています。
エプソンは、プリンティングおよびビジュアルコミュニケーションを通じて、情報アクセスと業務効率の向上を支え、学び・働き・暮らしの質の向上に貢献するとともに、新興国の成長と先進国の生産性向上の双方に価値を提供します。これらの価値は主にオフィス・ホームプリンティングセグメント、ビジュアル&ライフスタイルセグメントにおいて提供されます。
■ 「価値創造を支える基盤」に関わるマテリアリティ
<イノベーションを支える人的資本の進化>不確実性の高い事業環境において、構想力と実行力を兼ね備えた人材の確保・育成が競争力の鍵となると考えています。エプソンは人材を持続的な価値創造の源泉と位置付け、多様性を尊重した組織づくりや、エンジニアリング人材の育成、グローバルでの知の共有を通じて、価値創造を加速する人的資本の強化に取り組みます。
<イノベーションを実現する知的資本の創出>技術進化の加速に対応し、事業戦略と一体となった知的資本の強化が重要となっています。エプソンは独創的な技術やノウハウを、競争優位の源泉となる知的資本として位置付け、中長期視点の研究開発や共創を通じて技術の高度化と応用領域の拡大を図り、社会実装を通じた新たな価値創出を推進します。
<長期価値創造を支える責任ある経営と実行>資本コストの上昇やサステナビリティに対する要求の高度化を背景に、経営の質そのものが企業価値を左右する重要な要素となっていると認識しています。加えて、サプライチェーンや人権、環境規制等に起因するリスクへの対応は、事業継続の前提条件となっています。こうした環境下においては、資本効率と持続可能性を両立する経営、変化に対応できる人的・知的基盤、そして透明性と規律を備えたガバナンス体制が、競争優位の源泉となります。長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」では、人的資本・知的資本の強化とESG施策を一体的に推進するとともに、ROICを軸とした資本配分とガバナンスの高度化により、収益基盤改革と成長投資を両立し、環境・社会価値と企業価値を同時に高める持続的な経営を確立します。
■ マテリアリティごとの機会とリスク、取り組みテーマ
マテリアリティごとの機会とリスクを下記のとおり評価し、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の目標達成に取り組んでいます。なお、取り組みテーマ、指標及び目標(2026年度)については、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」ならびに経営戦略との整合性を重視し、それらを評価・管理するための重要課題に関する指標および目標の設定を検討しています。期末日現在においては、算定方法および対象範囲の精査を行っている段階であり、具体的な目標の設定には至っておりません。一方で、マネジメントが進捗を監督するための指標候補の整理を行っており、今後、重要性評価の結果を踏まえ、順次指標および目標を設定する方針です。
エプソンは、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の実現に向け、社会課題の解決と企業価値向上の両立を図る重要課題として、七つのマテリアリティを特定しています。
これらのマテリアリティは、「価値創造」と「価値創造を支える基盤」の二層で構造化しています。
第一層の「価値創造」に関わるマテリアリティは、エプソンの事業活動を通じて社会に提供する価値を示すものです。エネルギー・資源効率の向上、テクノロジーの進化、人手不足への対応、学び・働き・暮らしの質の向上といった社会課題に対し、エプソンの技術、製品およびサービスを通じて価値創出を目指します。
第二層は「価値創造を支える基盤」に関わるマテリアリティです。「人的資本」および「知的資本」に関するマテリアリティは、価値創造を支える競争力の源泉と位置付けています。社会課題の複雑化や技術革新の加速に対応するためには、人材の能力向上、多様な知の結集および独創的な技術の創出・社会実装が不可欠であり、これらを通じて中長期的な競争優位の確立を図ります。
また、ガバナンス、リスクマネジメント、コンプライアンス、資本配分等からなる経営基盤に関するマテリアリティは、価値創造および競争力の源泉を最大限に発揮し、持続的な成長を実現するための基盤となるものです。
エプソンは、これら二層のマテリアリティを相互に連関させ、一体的に強化することにより、社会価値と経済価値の同時創出を図るとともに、収益性および資本効率の向上を通じて中長期的な企業価値の向上を目指します。
■ マテリアリティの構造

■ マテリアリティ特定プロセス
エプソンは、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の策定にあたり、社会環境変化や国際基準などの社会要請がエプソンおよびステークホルダーに与える影響を分析しました。具体的には、脱炭素化、エネルギーや資源の制約、AI・データ社会の進展、人手不足の深刻化、新興国の成長、地政学リスクや規制強化といった社会変化を踏まえ、事業機会とリスクの両面から重要課題を評価しました。その結果、エプソンが持つ技術や事業を通じて価値を創出できる領域として、「エネルギー・資源の効率化」「テクノロジーの進化」「人手不足への対応」「学び・働き・暮らしの向上」の四つを価値創造領域として特定しました。さらに、これらの価値創造を持続的に実現するための競争力の源泉として「人的資本」「知的資本」、そして全体を支える経営基盤として「責任ある経営と実行」を加え、七つのマテリアリティを特定しています。

■ 「価値創造」に関わるマテリアリティ
<エネルギー・資源の効率化を支える>脱炭素化の進展に伴うエネルギー制約の高まりや資源価格の上昇・調達不安定化を、事業環境における重要な課題と認識しており、こうした制約の下で、エネルギー消費や資源使用を抑えながら性能や生産性を両立する技術への需要が拡大すると考えています。エプソンは「省・小・精」の技術・思想を基盤としたインクジェット技術や高機能材料、資源循環技術を通じて、製造プロセスの省エネルギー化・高効率化と資源の有効活用を実現し、顧客の環境負荷低減と経済合理性の両立に貢献します。これらの価値は主にプレシジョンイノベーションセグメントにおいて提供されます。
<精密技術でテクノロジーの進化を支える>AIやデータセンター、通信・車載分野の拡大に伴い、高精度・低消費電力・高信頼性を兼ね備えたデバイスへの需要が急速に高まっていることを重要な事業機会と捉える一方で、技術進化の加速や競争環境の変化に対応することが競争力維持の前提となっています。エプソンは、精密微細加工、MEMS、水晶・材料技術を融合した精密技術を強みに、物理世界を正確に捉え制御する基盤を提供し、デジタルの価値を実社会で発揮するための技術基盤の高度化に貢献します。これらの価値は主にプレシジョンイノベーションセグメントにおいて提供されます。
<生産性と信頼性で人手不足に応える>先進国における労働人口の減少や新興国における技能人材不足を背景に、生産現場における人手不足と品質維持の両立が重要な社会課題となっていると認識しており、これは人件費の上昇や技能継承の難しさによる従来のオペレーションの持続性への課題ともなっています。エプソンは、ロボティクスや商業・産業プリンティングにおいて、制御・AI技術を活用した自動化や工程最適化を進め、省人化と品質向上を同時に実現することで、持続可能な生産現場の構築に貢献します。これらの価値は主にインダストリアル&ロボティクスセグメントにおいて提供されます。
<学び・働き・暮らしを支える>新興国を中心とした人口増加や中間層の拡大に伴い、教育や情報アクセスへの需要が高まる一方で、インフラ整備の遅れや格差が成長の制約となっていることを重要な社会課題と認識しています。また、働き方の変化やデジタル化の進展により、情報の可視化や共有、業務効率の向上に対するニーズが高まっています。
エプソンは、プリンティングおよびビジュアルコミュニケーションを通じて、情報アクセスと業務効率の向上を支え、学び・働き・暮らしの質の向上に貢献するとともに、新興国の成長と先進国の生産性向上の双方に価値を提供します。これらの価値は主にオフィス・ホームプリンティングセグメント、ビジュアル&ライフスタイルセグメントにおいて提供されます。
■ 「価値創造を支える基盤」に関わるマテリアリティ
<イノベーションを支える人的資本の進化>不確実性の高い事業環境において、構想力と実行力を兼ね備えた人材の確保・育成が競争力の鍵となると考えています。エプソンは人材を持続的な価値創造の源泉と位置付け、多様性を尊重した組織づくりや、エンジニアリング人材の育成、グローバルでの知の共有を通じて、価値創造を加速する人的資本の強化に取り組みます。
<イノベーションを実現する知的資本の創出>技術進化の加速に対応し、事業戦略と一体となった知的資本の強化が重要となっています。エプソンは独創的な技術やノウハウを、競争優位の源泉となる知的資本として位置付け、中長期視点の研究開発や共創を通じて技術の高度化と応用領域の拡大を図り、社会実装を通じた新たな価値創出を推進します。
<長期価値創造を支える責任ある経営と実行>資本コストの上昇やサステナビリティに対する要求の高度化を背景に、経営の質そのものが企業価値を左右する重要な要素となっていると認識しています。加えて、サプライチェーンや人権、環境規制等に起因するリスクへの対応は、事業継続の前提条件となっています。こうした環境下においては、資本効率と持続可能性を両立する経営、変化に対応できる人的・知的基盤、そして透明性と規律を備えたガバナンス体制が、競争優位の源泉となります。長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」では、人的資本・知的資本の強化とESG施策を一体的に推進するとともに、ROICを軸とした資本配分とガバナンスの高度化により、収益基盤改革と成長投資を両立し、環境・社会価値と企業価値を同時に高める持続的な経営を確立します。
■ マテリアリティごとの機会とリスク、取り組みテーマ
マテリアリティごとの機会とリスクを下記のとおり評価し、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」の目標達成に取り組んでいます。なお、取り組みテーマ、指標及び目標(2026年度)については、長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」ならびに経営戦略との整合性を重視し、それらを評価・管理するための重要課題に関する指標および目標の設定を検討しています。期末日現在においては、算定方法および対象範囲の精査を行っている段階であり、具体的な目標の設定には至っておりません。一方で、マネジメントが進捗を監督するための指標候補の整理を行っており、今後、重要性評価の結果を踏まえ、順次指標および目標を設定する方針です。
| 「価値創造」に関わる マテリアリティ | 機会(○) | リスク(●) |
| エネルギー・資源の効率化を支える | ○省エネルギー・省資源ニーズ拡大に伴い、高効率製品・ソリューション市場が拡大 ○資源循環対応や再資源化関連領域における事業機会が拡大 | ●エネルギー価格・資源価格の上昇や供給不安定化により、調達・製造コストが増加、供給途絶 ●環境規制強化や循環性要求の高まりへの対応遅れにより、競争力低下や取引制約が発生 |
| 精密技術でテクノロジーの進化を支える | ○高精度・低消費電力・高信頼性技術に対する需要拡大により、高付加価値領域での事業機会が拡大 ○AI・データ活用・デジタル機器向け部材・デバイス需要の増加 | ●AI・半導体・通信分野の開発競争激化により投資負担が増大 ●技術要求高度化や開発スピード加速への対応不足により、顧客対応遅延や市場競争力低下が発生 |
| 生産性と信頼性で人手不足に応える | ○自動化・省人化・工程最適化ニーズ拡大により、生産関連ソリューション市場が拡大 ○高品質・高効率化を実現する製造・業務支援領域で需要が増加 | ●労働人口減少に伴う人材確保難や人件費上昇により、生産体制維持や安定供給が困難化 ●熟練技能継承不足により、生産性・品質維持が困難化 |
| 学び・働き・暮らしを支える | ○環境意識の高まり・エネルギー価格高騰・新興国での電力不安定等での環境負荷低減や、人件費高騰による業務効率化等に資する製品・サービスの需要増 ○新興国での経済成長と中間層拡大に伴い、教育・情報アクセスや業務効率化を支える製品・サービスの市場機会が拡大 | ●教育・業務領域における、デジタル化の進展・代替技術の台頭によって、市場競争力が低下し販売機会を喪失 ●働き方変化や顧客ニーズ多様化への対応不足により、顧客接点・市場機会が縮小 |
| 「価値創造を支える基盤」 に関わるマテリアリティ | 機会(○) | リスク(●) |
| イノベーションを支える人的資本の進化 | ○専門人材の育成や雇用・AI/データ活用・リスキリング・グローバルでの最適人材配置により、生産性向上・イノベーション創出が加速し、事業成長とROIC達成に貢献 ○多様な人材の活躍推進と適切な評価・処遇を通じた社員エンゲージメントの向上による組織の総合力の最大化 | ●リスキリングや人材育成遅れ等により生産性・競争力が低下 ●経営層・管理層の専門人材不足で戦略遅延・コスト増を招き成長機会を逸失 ●労働人口減少に伴う人材確保難や人件費上昇により、専門人材確保や組織能力強化が困難化 |
| イノベーションを実現する知的資本の創出 | ○技術深化と共創による社会実装を通じた新たな市場創出 | ●技術開発遅延や差別化不足、知財流出・陳腐化により競争優位性・収益基盤が毀損 |
| 長期価値創造を支える責任ある経営と実行 | ○ROICを軸とした資本配分とESG対応の高度化により、収益改革と成長投資を両立し、企業価値を向上 ○サプライチェーン管理やリスクマネジメント強化により、事業の安定性とレジリエンスが向上 | ●環境・人権・サプライチェーン等ESGに関する規制対応遅延や違反により、信用毀損・事業制約・コスト増加 ●地政学リスクや経済安全保障影響等による資源調達制約や価格変動で供給不安定化・収益悪化 ●サイバー攻撃や情報漏洩が、事業継続・顧客信頼に影響 |