6594 ニデック

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有価証券報告書-第53期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/09/30 15:50
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159項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、2025年10月28日に東京証券取引所より特別注意銘柄に指定されました。当社グループにおける不適切な会計処理及び品質・検査に関する不適切な行為により、株主、投資家、お客様、お取引先その他の関係者の皆様の信頼を大きく損ねたことを、経営として重く受け止めています。
当社は、「必ず正しく」を経営の最優先方針に据え、過年度の会計処理を検証・訂正し、正確かつ透明性のある財務情報を開示するとともに、原因究明と責任の明確化を進め、改善計画に基づく再発防止策をグループ全体で実行しています。その第一歩として、取締役会の独立性と監督機能を高める新たな取締役体制に移行するとともに、執行体制も大幅に刷新しました。
また、従来の業績至上主義と過度なトップダウンから脱却し、各事業が事業環境と自らの実力に即した計画を主体的に策定し、健全な議論と検証を経て実行する経営への転換を進めています。現在、一日も早い信頼回復を目指し、改善計画に基づく各施策を着実に実行するとともに、その実効性を継続的に検証し、内部管理体制の適切な整備及び運用に取り組んでいます。こうした取組みを通じて、特別注意銘柄の指定解除に向け、グループの全役職員が一体となって改善を進めています。
さらに、従来掲げてきたConversion2027を見直し、2026年度から2030年度を対象期間とする“Re-Definition”ニデック経営改革5カ年プランの基本方針を2026年5月13日に公表しました。現在、この基本方針に基づき、各事業の戦略及び計数計画を含む中期経営計画の策定を進めています。
①組織風土とガバナンスの刷新
当社は、今般の会計不正及び品質に関する不適切な行為の背景に、短期的な利益を優先し、目標未達を許容しない企業風土、特定の経営者への権限集中、内部統制およびグループ会社管理の脆弱性があったと認識しています。これを踏まえ従来のトップダウンから、経営を担う経営層と現場の従業員が双方向の対話を通じて一体となった組織へ転換を図り、自由闊達で透明性が高く、全社員がやりがいや社会的意義を感じて業務に取り組む組織・風土へと変革を進めてまいります。トップ自らが対話の先頭に立ち、社員と直接対話を行うタウンホールミーティングの開催や、社員の声を経営に直結させるため「声を発することで会社が変わる」文化の醸成に向けた「Culture Transformation Lab」の活動に取り組んでおります。また、研修・教育プログラムの展開も強化し、全世界の経理、営業・購買、生産管理従事者に向けた継続的な教育プログラムを展開しております。これにより、短期的な数値目標による過度なプレッシャーを排除し、健全な成長を促すガバナンス体制を全拠点に定着させてまいります。このような取り組みを通じて、部署間・拠点間の横断的な連携を強化するとともに、心理的安全性の確保と自由で風通しのよい風土を醸成し、失敗や懸念、不正の兆候を隠さず報告・是正できる仕組みを構築します。
②取締役体制の刷新と監督機能の強化
第三者委員会の報告書における、監査等委員および社外取締役の牽制機能の不全や、役員の多様性不足に関する指摘を重く受け止め、取締役の専門性の多様化を通じた監督機能の強化を図ります。具体的には、取締役のスキルマトリクスに新たに「企業経営経験」や「資本市場に対する知見」を追加しました。この新基準に基づき、企業再建やガバナンス改革において豊富な実務経験を有する経営経験者や、機関投資家としての視点を持つ専門家等を社外取締役に選任しております。また、取締役会の独立性と業務執行に対する監督機能をより一層強化するため、取締役会議長を独立社外取締役の中から選定する体制へと移行し、持続的な企業価値向上を支える強固な取締役体制を構築します。執行体制についても、高い倫理観とコンプライアンス意識、組織構築・人材育成、将来を見据えた戦略立案・実行力を重視する選任基準に改め、選任・解任プロセスの透明性と客観性を高めています。取締役会による監督と執行側の責任を明確に分け、重要な経営課題とリスクを適時に共有・審議する体制を定着させてまいります。
③企業価値向上に向けての“Re-Definition”ニデック経営改革5カ年プラン
正しい経営の再構築を起点に、高収益構造への転換と真のグローバル企業への変革を図るべく、事業ポートフォリオの見直しや事業再編、成長領域への投資を組み合わせた事業の選択と集中を強化し、グループ全社の経営資源の再配分と抜本的な構造改革を推し進め、ROICを向上させることで企業価値の最大化に取り組みます。
(2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
当社は、2026年5月13日に公表した「“Re-Definition”ニデック経営改革5か年プラン」において、①5本柱を軸とした事業の再編、②事業ポートフォリオ見直し、③グループ再編、④全社IT基盤改革を迅速に着手します。現在、これらの方針を基礎として、各事業の成長性、収益性、資本効率及び実行可能性を改めて検証し、2026年度から2030年度を対象とする中期経営計画の策定を進めています。なお、これらの5本柱は、2030年度に向けた中長期の事業戦略及び経営管理の方向性を示すものであり、当連結会計年度における財務報告上の報告セグメントとは異なります。今後の事業運営及び経営管理体制を踏まえ、5本柱を軸とした業績管理及び資源配分の仕組みを段階的に構築してまいります。
①5本柱を軸とした事業の再編
現在法人別に保有している販社や工場などを5本柱に合わせて集約することで、事業内容に応じたグループ管理を強化します。今後、当社は5本柱を構成するBetter Life、Electrification & Energy Infrastructure、Digital Society Solutions、Advanced Manufacturing Solutions、Mobility Innovationを軸に事業再編を推進します。ニデックのグループ各社に点在していた強みを、グループ全体で横断的に活用し、協業とシナジーの発揮による事業の拡大を目指します。同時に、顧客目線・要望を意識し、グループ内の強みを結集し、新たな価値を創出します。
これらの5つの事業領域において、グローバル本社(HQ)がコンプライアンス、ポートフォリオマネジメント、キャピタルアロケーションなどを立案し、各柱で連結事業のアカウンタビリティを負う構造へ転換を図ることで、資本市場に対して説明責任を果たす、グローバルで強力なガバナンス体制を構築します。
②事業ポートフォリオの見直し
当社の強みであるモノづくり技術を再認識し、長年培ってきた技術力、豊富な経験、知見を再確認し、成長性と収益性観点から事業ポートフォリオの抜本的な組み換えを実行します。成長領域は、AIデータセンターやエネルギー、半導体関連等で高収益性と市場成長が見込まれ、これらの領域には積極的に投資を行い、ソリューション等新しいビジネスモデルへの展開を図ります。新規領域への投資は技術革新や社会変革をチャンスと捉え、高成長市場に新規領域を設定し、現有の自社開発技術を基盤として、今後の成長が見込まれる新たな分野への事業展開に取り組みます。他方、低成長や収益性の低い事業については、事業の撤退や売却を速やかに進めます。
これらの施策を通じて、ROICをはじめとする資本効率及びキャッシュ創出力の継続的な向上を図り、持続的な企業価値の向上を目指します。また、財務健全性を確保しながら、成長投資と株主還元の適切なバランスを図ります。
③グループ再編
事業ポートフォリオの見直しを踏まえて全社的な構造改革を実行し、ガバナンス強化、固定費削減・ROIC向上に努めます。
2026年5月に公表した経営改革方針では、2026年3月時点で248ある拠点を160~180拠点に、353ある法人を160~180法人に集約することを目標として掲げています。今後、各拠点及び法人の事業上の必要性、顧客対応、供給体制、法務・税務、システム並びに再編コスト等を検証し、事業継続とリスク管理に支障を生じさせないことを前提として、順次再編を進めます。
④全社IT基盤改革
グループIT基盤の刷新と全社共通エンジニアリングプラットフォームの導入により、正しい経営の基盤構築と業務効率化を同時に実現すべく取り組んでまいります。IT基盤の刷新においては、個社毎に分断されていたシステムを全社および5本柱で統合し、内部統制の強化と経営情報の可視化を具現化するため、今後5年間で積極的にIT投資を実施します。これにより、正しい経営を支える強固な基盤を構築するとともに、業務効率の大幅な改善を図ります。また、全社共通エンジニアリングプラットフォーム(One Nidec Motor Engineering Agent)を導入します。各事業領域を跨いでグループ内のモータに関するエンジニアリング知見を網羅的に紐付け・共有することで、モノづくりを支える強固な基盤を構築してまいります。
上記の一連の経営改革を実行するために、当社では新規事業領域の強化に向けたM&Aや、事業再編、拠点の統廃合のために事業売却を効果的に活用し、事業ポートフォリオの組み換えを機動的に行い、事業の選択を強化してまいります。
ESGの取り組みについて
当社は現在、ステークホルダーの皆様からの信頼回復と経営基盤の再構築を最優先課題と位置付けております。従来のサステナビリティ推進体制を根本から見直し、経営陣の強いコミットメントのもとで重要課題(マテリアリティ)の再特定と経営計画への統合を進めることで、より実効性の高いガバナンス体制へと進化させ、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。詳細につきましては「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
(3)改善計画・状況報告書の実施状況
①会計問題の概要
当社に係る会計不正問題により、株主、投資家の皆様をはじめ、関係者の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、心より深くお詫び申し上げます。
当社は、過年度において、複数の国内外の連結子会社を含むグループ内で、不適切な会計処理及び貿易取引上の問題が発生したことが判明し、2025年3月期有価証券報告書の連結財務諸表について監査意見を表明しない旨の監査報告書を受領しました。また、これら一連の事態を受け、株式会社東京証券取引所より当社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められたことから、2025年10月28日付で特別注意銘柄に指定されました。これを受けて、当社は、特別注意銘柄の指定解除に向け、内部管理体制等の抜本的な改善を目的として、2026年1月28日付で「改善計画・状況報告書」、同年4月27日付で「改善計画・状況報告書(改訂版)」を株式会社東京証券取引所へ提出しました。
「改善計画・状況報告書(改訂版)」については、2025年11月に設置したニデック再生委員会によるヒアリング結果に基づき改善計画を策定した後、2026年2月27日及び同年4月17日に受領した第三者委員会の調査報告書の内容を踏まえて、不適切な会計処理・内部統制の不備に繋がる原因を再検討し、原因の分析及びその分析に基づいた再発防止に向けた改善措置の改訂版を策定しました。
原因分析については、2026年4月27日付「改善計画・状況報告書(改訂版)」のとおり、(1)成長を示し続けるための過度な株価至上主義、(2)短期的な利益を最優先し、目標未達を許容しない企業風土、(3)永守氏への権限集中と同氏の意向を優先する風土、(4)ガバナンスの脆弱性、(5)内部統制の脆弱性、(6)グループ会社管理体制の脆弱性の6つの構造的・複合的な要因が重なり合って生じたものと考えています。
②改善計画書に記載している改善措置の進捗状況について
当社は、特別注意指定銘柄の解除に向けて4月27日付で公表しました「改善計画・状況報告書(改訂版)」について適宜対応を進めております。改善措置の進捗状況は以下のとおりです。
1)FIR事案(FIR 社に関する貿易取引上の問題及び関税問題)に係る改善措置・状況
(ⅰ)コンプライアンス最優先の意識/企業風土の醸成
(a)当社取締役会から当社グループ内に対する明確なメッセージの発信
2025年9月26日付で当社取締役会からコンプライアンス違反に対する厳格な姿勢と迅速な対応方針を中核とするコンプライアンス最優先の明確なメッセージを発信しており、また、経営トップからグローバル幹部に対して、コンプライアンス最優先を企業文化として根付かせることを経営の最優先課題とすること、全役職員が高い倫理観、誠実性を持って自律的に行動することの明確なメッセージを継続的に発信しています。
第三者委員会の調査報告書受領の翌日である2026年3月4日や新年度開始日の4月1日には、経営トップより全役職員に対して正しさを最優先にすること等のメッセージを映像で配信しました。加えて、2026年7月に実施したグループ全役職員向けコンプライアンス研修においては、コンプライアンスの重要性について映像でメッセージを発信しています。
(b)人事処分を通じたコンプライアンスを最優先にした対応の必要性の周知徹底
第三者委員会による調査結果及びその他の社内調査結果も踏まえて、厳正な人事処分を実施しています。その内容を従業員にも公表することで、コンプライアンスを最優先にした対応の必要性の周知徹底を図ります。
(c)法務・コンプライアンス部門の機能強化
内部通報対応及び調査については、法務・コンプライアンス部門において、2025年7月1日付でCLO(Chief Legal Officer:最高法務責任者)と、同年10月1日付で部長クラスに、それぞれ新たに社内弁護士を配置し、専門知識を活用して対応できる体制を整備しました。
(ⅱ)組織・体制の強化
(a)貿易コンプライアンス体制の強化
2025年12月1日付で、関税専門家(WCO(世界税関機構)勤務経験者)を当社貿易コンプライアンス室長(貿易管理室を改組)として任命するとともに、貿易規制分野の進展状況を統括する専門家及び有識者からなるグローバル貿易戦略チームを設置しました。また、米国に係る全ての貿易手続について、米国関税の専門家が複数所在するニデックホールディングアメリカ㈱ 法務部が主体となって一元的に管理し、米国におけるトレードコンプライアンスに関する権限もニデックホールディングアメリカ㈱に付与しました。
(b)グローバルコンプライアンス体制の強化
CLO(Chief Legal Officer:最高法務責任者)の役職を設けて専門的知見と経験を有する人物を配置するとともに、北米にコンプライアンス専門家を配置しました。当社コンプライアンス部と各地域のコンプライアンスオフィサーとの会議を、2025年10月から2026年9月にかけて計38回実施しました。主なアジェンダは各地域における内部通報対応状況の確認、コンプライアンス関連施策に関する情報連携(規程の改訂、当社で策定した対応マニュアルの共有、全従業員向け研修の進捗確認等)などです。また、CLO及びCCO(Chief Compliance Officer:最高コンプライアンス責任者)に対しては、週報や隔週のコンプライアンス部内会議でリスク情報を共有しており、グローバルで通報案件や課題に迅速に対応できるように体制を強化しております。
(ⅲ)手順・規程・仕組みの改善
(a)当社グループの報告体制の改善
FIR事案では情報伝達の停滞が生じましたが、今後は同様の情報伝達の停滞を防ぐため、下記を規程で明文化しました。
ⅰ)各地域コンプライアンスオフィサー及び当社コンプライアンス部が重要なリスク情報を把握した場合は、直接当社の最高コンプライアンス責任者(CCO)に報告すること。
ⅱ)各地域コンプライアンスオフィサーが法令違反行為及び法令違反のおそれがある行為を認識した場合は、当社コンプライアンス部に報告すること。
(b)当社グループの法務・コンプライアンス部門間の情報共有
海外の法務・コンプライアンス担当者と定期的な情報共有の場を設け、その情報を当社の法務・コンプライアンス部門内の主要メンバー間で共有します。訴訟案件に関するリスク情報の報告については、直近では7月に第1四半期末時点の訴訟情報を各地域法務担当者から収集し、法務部内で共有しました。また、2026年4月に実施されたグローバル会議では、CLOや米国統括会社の法務コンプライアンス部門の最高責任者、主要地域の地域コンプライアンスオフィサー、主要国の法務部門の責任者等が参加し、3日間にわたって各部門の活動内容や活動実績、事業部紹介等の情報共有や、今後解決すべき課題、施策にかかる協議を行いました。
(c)内部統制の適切な整備
四半期決算ごとに行う経理部門から法務部に対するリスク情報の問い合わせは、グローバルベースに拡大し、経理部門が認識している重要なリスク情報が網羅的であるかどうかを確かめるプロセスを導入しました。
法務部が各地域法務担当者から報告を受ける訴訟案件に関するリスク情報について、一覧性のあるデータベースを構築してリスク分析も実施するようにし、その情報を経理部門に共有する体制を整備しました。2026年7月には、当社法務部が各地域法務担当者から2027年3月期第1四半期末時点の訴訟情報を収集し、480件の訴訟案件を当社経理部門に共有しました。共有を受けた当社経理部門は、請求金額、訴訟の進捗状況、発生可能性その他の重要性を踏まえ、重要な案件については、必要な引当金等が適切に計上されているか又は連結財務諸表上、開示が必要な案件が無いかを個別に確認しています。さらに、内部通報に関する情報についても、当社コンプライアンス部が通報者特定につながり得る情報を削除、編集等し、閲覧権者を限定した上で、2026年1月から9月にかけて、四半期に1度以上の頻度で当社経理部門に共有しました。
(ⅳ)FIR社における改善措置
(a)体系的な研修教育体制
米国関税法遵守の周知徹底のため、米国関税専門の弁護士に委託して、貿易コンプライアンスの専門研修を継続的に実施しています。
具体的には、事案発覚直後の2025年7月にFIR社の調達部門や物流部門等を対象として再発防止を目的とした教育を実施しました。また、2026年3月には、最新の米国関税制度の修得を目的とした研修を貿易コンプライアンスに関わる部門を対象として実施しました。
また、FIR社を含むグループ全体の取り組みとして、2026年5月には、貿易に関与する役職員を対象として、違反事例を通じたリスクの理解と社内の運用体制および相談・報告ルートの周知を図ることにより、現場での適切な判断と行動の定着を目的としたe-ラーニング研修を実施しました。加えて、同年同月に、貿易管理に関する遵守事項を業務プロセス別に一覧化したマニュアルや、注意すべき事項をまとめたハンドブックを展開し、社内ポータルに掲載しました。
(b)原産国表示判定に係る内部統制
FIR社において、米国輸出に関する原産国表示判定に関する内部統制が適切に整備されていなかったため、これらの内部統制を整備し運用を開始しております。具体的には、ニデックグローバル貿易管理基本規程第10条を新たに規定し、米国向け貨物の原産国判定において、ニデックホールディングアメリカ㈱ 法務部との連携、及び外部の貿易管理専門家との協議を必須とするプロセスを整備しました。これにより、最新の法令や重要な部品・BOM(部品構成表)の変更を適時に反映し、専門的知見に基づいた正確な原産国判定を継続的に行う体制を構築しております。
(v)FIR事案の調査等踏まえた貿易コンプライアンスに係る追加改善措置
(a)貿易コンプライアンスに関するe-ラーニング研修の実施
2026年5月に、違反事例に関する相談・報告ルートを改めて周知するとともに、貿易に関与する役職員を対象として、貿易コンプライアンスに関するe-ラーニング研修を実施しました。これにより、貿易管理に携わる役職員に対し、遵守すべき基本事項の理解を改めて促すとともに、違反又はその懸念を認識した場合に適切に相談・報告することの重要性について周知徹底を図りました。
(b)「関税対応マニュアル」及び「関税対応ハンドブック」の整備・展開
2026年5月には、原産地国判定、関税分類及び自由貿易協定に関する業務について、貿易管理上の遵守事項を業務プロセス別に整理した「関税対応マニュアル」及び実務上注意すべき事項を取りまとめた「関税対応ハンドブック」を新たに作成し、関係者へ展開しました。これにより、従来、各拠点や担当者の知識・経験に依存する部分があった貿易管理業務について、実務において参照すべき共通ルールを明確化し、業務の標準化に向けた取組みを進めています。
(c)コンプライアンスの重要性についての継続的な発信
2026年7月に実施したグループ全役職員を対象とするコンプライアンス研修において、改めてコンプライアンスの重要性について映像メッセージを発信しました。貿易管理に直接携わる従業員に対する専門的な教育に加え、グループの全役職員に対してコンプライアンスを事業活動の前提として徹底することの重要性を改めて発信することで、グループ全体におけるコンプライアンス意識の一層の浸透を図っています。
(d)SOP(標準業務手順書)の整備・展開
上記の教育・ルール整備にとどまらず、各拠点の実際の業務プロセスにおいて貿易コンプライアンスの実効性を確保するため、本社部門が主体となって各拠点の貿易管理プロセスを確認し、把握した課題の改善及びSOP(標準業務手順書)の整備・展開・定着に取り組んでいます。
特に米国においては、関税調査を過去の申告誤り及び財務影響を確認するための調査にとどめず、貿易管理体制そのものを改善する機会と位置付け、本社の貿易管理担当者が現地担当者及び関係部門と一体となり、実際の輸入取引及び業務プロセスの確認、必要な情報の収集・検証並びに判明した課題の是正を進めてきました。
こうした本社・現地一体での取組みを通じ、現地担当者が実際の取引に即して関税分類、原産地国判定等の貿易管理実務に関する知識・経験を蓄積するなど、現地における実務対応力の向上にもつなげています。また、実際の業務プロセスを踏まえて課題を把握・改善する経験を重ねることで、各拠点の実態に即したSOPの整備及び実効的な運用に活用できる知見・ノウハウを蓄積しています。
現在、米国を含む各グループ拠点において、プロセスの確認・是正やSOPの整備を並行して進めています。今後は、各拠点での取組みや米国で得られた知見・ノウハウを相互に活用しながら、業務手順の標準化とその定着・運用状況の継続的な確認を進めることで、教育・ルール整備から実際の業務プロセスへの定着まで、一連の改善措置を継続的に運用し、グループ全体の貿易コンプライアンスの実効性を高めてまいります。
(ⅵ)人事処分
第三者委員会による調査結果及びその他の社内調査結果を踏まえて、FIR社に関する責任の明確化を行い、既に主要な責任者は解雇もしくは辞任にて4名が退職しております。その他の対象者に対しては、書面での戒告処分や口頭での厳重な処分を行う予定です。
2)不適切な会計処理の疑義を踏まえた改善措置
(i)中期経営計画策定のプロセスの再整備
(a)中期経営計画策定のルールの再定義や明文化
中長期的な視点での競争力強化と事業成長を実現することを目指し、研究開発など具体的な実効性を伴う戦略を明確に示すべく、事業本部・国内グループ会社が、CFO・CMO・CDO・CTOといった当社グループ全体に横串を通す機能を担う役職員とも連携し、計画の立案及び検証を行うことを含め、成長を実現するための中期経営計画の実現可能性を高めるルールとなる中期経営計画策定規程を2026年6月に新設し、その後、中期経営計画策定ポリシーとして当社グループ各社への周知を完了しました。これに基づき、2026年度より中期経営計画策定プロセスの運用を開始しています。
(b)中期経営計画検討体制(チーム制)の構築
個々の事業本部・国内グループ会社における責任者が、中期経営計画を自ら策定し、機関決定を経て、その実行に責任を負うことを明確化しました。
また、そうした責任者を支援するチーム体制を構築し、チームによる十分な議論を経た上で個々の事業本部・国内グループ会社が計画を策定する体制を整えるとともに、当社事務局及び当社グループ全体に横串を通す機能を担う役職員が、各チーム及び実務担当者と連携して計画を検討する体制も整備しました。加えて、中期経営計画の策定に当たっては、社内での有為な人材の知見を広く集約するとともに外部専門家の知見も活用しながら進めております。
(c)中期経営計画策定プロセスの強化
全社としての経営の方向性を定め、かかる方向性に基づき、個々の事業本部・国内グループ会社の業績責任を担うチームで十分な戦略議論を行い、合理的な中期経営計画となるようプロセスを改めました。各事業本部・国内グループ会社が当社に対して説明責任を果たしたうえで機関決定(経営会議・取締役会承認等)を行うことで、当社の一部の経営層による属人的・恣意的な計画の策定や変更の防止を進めております。そして、これらの施策に基づき、2026年度において、既に策定済の2027年度までの計画の見直しと2028年度以降の計画の策定を進めております。具体的には、2026年5月13日に公表した“Re-Definition”ニデック経営改革5カ年プラン(FY26-30)を基に、同月29日の経営会議及び同年6月3日の取締役会において中期経営計画策定の方向性及び検討プロセスを協議し、同月に事業本部、当社グループ会社の長及び当社経営層が参加する説明会を開催して策定プロセスを開始しました。現在は、事業特性が共通する事業をまとめた新たな事業軸である「5本柱」(Better Life、Electrification & Energy Infrastructure、Digital Society Solutions、Advanced Manufacturing Solutions、Mobility Innovation)の枠組みの下、各事業領域に設置した戦略検討チームが主体となり、「5本柱」の長の意向のみで計画を定めるのではなく、市場環境、自社の強み・技術要素、同一事業領域に属する会社間のシナジー等を検証しながら中期経営計画の策定を進めています。
例えばある事業での戦略議論においては、従来の売上規模の拡大と製品のフルラインナップ整備を前提とした取組みに対し、製品ごとのポートフォリオを再検討し、競争力の低い製品については選択と集中への転換を検討するなど事業の競争力を踏まえた議論を進めており、外部専門家の知見も活用し、実態や将来予測を踏まえながら、自らの意思で成長に向けた計画を検討している事例として把握しております。加えて、ガバナンス向上や全体最適を目的とした組織体制・経営モデルの変革という観点からも、法人の統廃合、生産事業所の最適化、販社及び工場のコストセンター化といった施策の検討を進めております。
(ⅱ)事業計画策定プロセスの再整備
(a)事業計画策定のルールの再定義
2026年3月に事業計画管理規程を新設し、事業計画管理ポリシーとして当社グループ各社への周知を完了しました。これらについては2026年度より運用を開始しており、2027年度の事業計画に反映される予定です。
(b)事業計画検討体制(チーム制)の構築及びプロセスの強化
2026年1月に、改善計画・状況報告書記載の考え方に基づく事業計画策定プロセスの説明会を実施し、各事業本部・国内グループ会社において事業計画の策定を開始しました。同月末から2月初旬にかけて、各事業本部・国内グループ会社と当社との間で、策定プロセスの進捗確認並びに疑問・懸念の解消を目的とした進捗確認会を実施しました。
その後、2026年3月に事業計画共有会を開催し、親和性のある事業ごとに外部環境や事業特性に照らした計画の合理性を相互に確認しました。これらのプロセスを経て、同月28日の経営会議及び同月31日の取締役会において総連結計画を協議し、2026年度事業計画を承認しました。
策定過程では、一部の経営層による非現実的な目標設定を改めることと、成長に向けて健全な挑戦を追求することは両立すべきであるとの議論や、保守的な計画ではなく自らの意思でチャレンジを検討する事例も報告されました。各事業の従来の実態は一様ではないことを踏まえ、各事業による主体的な計画策定と当社による合理性の検証を進めてまいります。
今後の事業計画策定、予実管理及び事業評価を適切に運用する上での根拠文書となる事業計画管理規程を2026年3月に新設し、事業計画管理ポリシーとして各当社グループ会社への周知が完了しております。事業計画の基礎となる中期経営計画の策定が完了したのち、2027年度の事業計画より運用します。
(ⅲ)予実管理プロセスの適正化
(a)予実管理における業績管理値の変更
事業部門の判断を伴う月次見込値を日次で報告する管理体制及び業績会議を2025年9月末に廃止し、2026年4月実績以降は、簡易連結による月次財務実績値を中心とした新たな予実管理を開始しています。2026年4月分については同年5月29日の経営会議及び同年6月3日の取締役会に、同年5月分については同年6月24日の経営会議及び同年7月8日の取締役会に、それぞれ報告しました。
同年6月分以降については、2026年3月期および2027年3月期第1四半期の決算と整合した財務実績値での予実管理が可能となり次第報告を行い、以降は通常の報告サイクルで予実管理を行う予定です。
(b)実績分析及び対策の検討、次期計画精度向上
2026年3月に新設した事業計画管理規程に基づき、同年度の予実管理に関する具体的なプロセス及びフォーマットを含むガイダンスを整備し、各事業本部・国内グループ会社への周知を完了しました。2026年4月実績以降、上記(a)に記載した予実管理において、計数に加えて各事業本部・国内グループ会社による事業状況分析も報告対象とし、経営会議において討議を行っています。
また、2026年9月には事業ごとに通期見通し確認会を開催し、2026年度事業計画に対する直近時点の見通し・確度及び計画策定時からの状況変化等について討議し、その結果を取り纏めた総連結の通期見通しを同月9日の経営会議及び30日の取締役会に報告しました。乖離理由の分析、挽回余地の検討及び計画見直し等についても、決算と整合した通常の報告サイクルにおいて、四半期予実管理会議での確認・協議を実施する予定です。
(ⅳ)業績評価基準の見直し
(a)計数項目の見直し
2026年3月に新設した事業計画管理規程において、事業本部・グループ会社の事業評価指標を売上高、営業利益、FCF(フリーキャッシュフロー)及びROIC(投下資本利益率)と定め、各事業本部・グループ会社が事業特性に応じて所定の範囲内で評価比重を申告し、当社による検証を経て決定する仕組みを明文化しました。これにより、利益目標達成のみに対する過度に厳しいプレッシャーが生じることを抑止します。
(b)評価項目の追加
事業計画管理規程に基づく新たな事業評価の考え方及びプロセスについて、各事業本部・国内グループ会社に対する説明会を実施しました。また、2026年度の事業計画策定に並行し、中長期を見据えた課題と目的に対応する手段として複数の中長期重点施策を事業本部・グループ会社自身で策定し、またそれらについて2026年度内に到達すべきマイルストーンと評価基準についても設定しました。
決算と整合した通常の報告サイクルにおいて、上記(ⅲ)(b)に記載した予実管理会議にて売上高・営業利益に加えてFCF及びROICを含む指標について協議するとともに、中長期重点施策の進捗状況について、短期的な利益目標達成のみならず中長期的な会社の成長に向けた取り組みの進捗状況を確認いたします。
また、事業年度終了後には、上記(a)で記載した財務指標とともに中長期重点施策について通年での検証・評価を行い、経営会議等への報告及び戦略上の議論に活用いたします。
(ⅴ)経理機能の事業部門からの独立性の確保
(a)経理機能の独立性の確保
不適切な会計処理の発生を防止するため、経理機能の事業部門からの独立性を確保し、正しい会計処理を行うことを最優先とする体制の整備を進めました。その一環として、当社は、2026年2月に事業本部及び国内グループ会社に対し、経理機能と事業管理機能の役割を明確化するため、業務分掌規程や職務記述書の見直し及び改訂を行うよう通知しました。これを受け、事業本部及び国内グループ会社各社は、業務分掌規程や職務記述書を改訂し、2026年4月以降は、当社の経理担当役員の下、適切な制度決算を担う経理機能と経営戦略実行のモニタリング等を担う事業管理機能に分化しています。また、事業本部及び国内グループ会社の経理機能を当社の経理機能の管掌下に置くとともに、人事面についても当社が関与する体制としました。具体的には、事業本部及び国内グループ会社のCEOがCFOの選解任を決定する場合は、当社CFOが事前にその内容を確認し、特に解任の場合にはその理由の妥当性を確認することとしました。また、事業本部及び国内グループ会社の経理責任者に対する人事評価については、事業本部及び国内グループ会社のCFOが評価結果及びその理由を当社CFOに報告する義務を負うものとし、当社CFOが評価の公正さと適正さを確認できる体制としました。これらの人事プロセスの変更は2026年4月に事業本部及び国内グループ会社各社に対して通知しています。当該プロセスを通じて、CFO及び経理責任者が不当な評価や解任を受けることを防止し、経理組織が事業部門の業績目標や意向から独立して適切な会計判断を行える状態を確保することで、経理部門が事業部門と一体となって利益目標の達成を目指すという従前の構造を解消し、第2線のディフェンスラインとして適切に牽制機能を発揮することを目指しています。
さらに、業績が目標未達か過達かに関わらず、組織として正しい実績値を報告できる体制を担保するため、デュアルレポートラインを2026年4月に整備しました。具体的には、事業本部及び国内グループ会社のCFOのレポートラインは、所属組織のCEO及び当社CFOとしました。また、事業本部及び国内グループ会社の経理責任者のレポートラインは、所属組織のCFO及び当社経理責任者としました。
上記内容については、当社から、事業本部及び国内グループ会社各社に対してデュアルレポートに関するインストラクションを展開し、経理機能の独立性を確保する体制として運用の定着を図っています。本体制の整備により、当社CFO及び当社経理責任者と、事業本部及び国内グループ会社各社のCFO及び経理責任者との間で、直接的なコミュニケーションが定常的に図られるようになりました。特に、事業本部及び国内グループ会社各社のCFO及び経理責任者は、月1回の業務報告を通じて、それぞれが管掌する業務の運営状況、認識している課題及び重要な論点等を当社CFO及び当社経理責任者に直接報告し、必要な助言及び支援を受けるとともに、今後の対応方針等について相互に意見交換を行っています。これにより、業績の達成状況にかかわらず正しい実績値を率直に報告・共有できる環境が醸成されつつあり、経理機能の独立性確保にとどまらず、適正な会計処理を尊重する組織風土の改善にも寄与しているものと認識しています。
(b)経理リソースの確保
経理税務部の連結会計グループの人員リソースの補強は途上にありますが、引き続き新卒及び中途採用に加え、他部門からの配置転換等を通じて、連結会計グループの人員体制の補強を進めてまいります。
もっとも、当面は改善施策の実行や、現行決算対応等に人員が割かれるため、決算品質を確保するための当面の対応として、外部専門人材を活用した決算対応体制を敷いており、実際の連結決算業務も外部リソースの関与を得て進めております。これにより、当社の人員リソースのみでは対応が困難な決算実務やレビュー機能が補完され、外部の客観的知見も踏まえた決算品質の確保を図っています。あわせて、比較的引継ぎが容易な業務については経理税務部内の他グループ及び経営管理部からの協力を得るとともに、連結決算の実務経験を有する事業部やグループ会社への出向者等による支援も活用することで、組織全体としての決算対応力の底上げを図っています。
また、今後1~2年程度かけて外部専門人材の指導による経理人材の育成も踏まえ、徐々に内製化・自走化を図るとともに、並行して経理業務の集約化・効率化の施策を実行します。
(c)経理に関する意識改革・教育
経理部門及びその他の部門に対する意識改革・教育を実施しています。2026年3月には、投資家・市場をはじめとするステークホルダーに対して誠実に対応し、適正な財務報告を行うことの重要性やコンプライアンスに対する基本姿勢を周知徹底するため、経営トップから全従業員に向けてトップメッセージを発信するとともに、経営幹部、経理業務に従事する役職員、購買・生産管理部門及び営業部門に従事する役職員約12,000名を対象に、投資家・市場に対する誠実な姿勢の徹底、適正な財務報告の確保及びコンプライアンスに対する理解と意識の向上を目的としたe-ラーニング研修を実施しました。具体的には、会計不正に至った背景及びその社会的影響について理解を深めるとともに、実際に発生した会計不正事案を題材として、現場において認識すべき会計上・決算上のリスクの兆候や、それらを把握した場合に求められる適切な行動の在り方について、ケーススタディ形式で学習しました。これは第三者委員会から提言のあった投資家・市場に対する誠実さの徹底に資するものと判断しています。
また、2026年9月には、会計不正の再発防止に向けて、当社グループの経理部門に従事する従業員を対象としたe-ラーニング研修を実施しました。本研修は、会計不正事案及び再発防止策に対する理解を深めるとともに、経理人材として求められる行動原則を周知・浸透させ、経理部門として適正な決算及び財務報告を担保することを目的としたものです。単なる知識習得にとどまらず、経理従事者一人ひとりが果たすべき役割を理解し、日々の決算・財務報告業務において適切な判断と行動を実践できるよう、意識付けを図りました。
これらの研修は、一過性の取り組みにとどめることなく、今後も継続的かつ反復的に実施していく方針であり、次回は2027年2月頃の実施を予定しています。こうした継続的な取り組みを通じて、当社グループの経理部門をはじめとする全社の財務報告に対する意識及び感度を持続的に高め、会計不正の再発防止に資する研修としての実効性の確保に万全を期してまいります。
(d)経理ガバナンスの強化
経理ガバナンスの強化を図るため、会計自己点検(第三者委員会の管理・監督の下、大部分のグループ会社における2020年3月期から2026年3月期第1四半期までの会計処理の適切性を調査する取組み)の経験により、当社・事業本部・国内グループ会社、その傘下会社が効率的・効果的にコミュニケーションを図る関係性が構築されつつあり、NIAP(Nidec global Accounting Policy)(2017年のIFRS導入に伴い規程化され、グループ全社への展開・運用が行われているグループ会計方針です)の展開等の各種施策を着実に実行しています。
また、2026年3月期末決算より、各グループ会社の決算において生じ得るリスク情報を当社経理税務部へ報告するプロセスを新たに構築したことにより、減損リスクをはじめとする各社の重要な会計上・決算上のリスク情報を、当社において一元的に把握・管理することが可能となりました。そして、事業管理機能を担う経営管理部が、この新たなプロセスを通じて集約されたリスク情報に関して、事業環境の変化や財務データ等を統合的に分析し、当初の事業計画や投資計画が現場の実情に基づいた実現可能性の高いものとなっていたかどうかを適切に評価するとともに、経理税務部とも情報連携を図っています。さらに、重要な会計上・決算上のリスク情報については、当社CFOが、経営会議及び取締役会に適時に共有する体制としており、2026年3月期末及び2027年3月期第1四半期に関する重要な会計上・決算上のリスク情報については、2026年8月26日開催の経営会議において共有しています。加えて、当社CFOが、グループ横断的な観点からの分析・対応を行い、当社・事業本部・国内グループ会社の各CFO・経理責任者・事業管理責任者と定期的(年に3回程度)なミーティングを実施することにより横串機能の強化も図っていきます。直近では、2026年4月にミーティングを実施し、当該プロセスの趣旨を共有しており、2026年12月上旬に開催を予定しているミーティングにおいて、重要な会計上・決算上のリスク情報及び再発防止策の運用状況等について共有・確認を行う予定です。
また、投資家・市場に対して誠実な財務報告を行う前提として、会計監査人に対して適正かつ透明性のある情報提供を行うことが不可欠であることに鑑み、重要な会計上・決算上のリスク情報を適切なタイミングで会計監査人とも共有する運用としており、2026年3月期末及び2027年3月期第1四半期の状況も決算期間中に適宜共有しています。これにより、監査上の重要な判断に影響を与え得る情報が網羅的かつ遅滞なく会計監査人に伝達される体制を確保しています。
これらの取組みにより、当社グループ全体の経理ガバナンスの高度化を図るとともに、不適切な会計処理の未然防止及び早期是正の実効性を高めています。
(ⅵ)会計方針の明確化と運用の適正化
(a)グループ会計方針の見直し、例外申請の廃止
グループ会計方針の見直しについては、本事案及び各事業の実態に基づき2026年6月に実施しました。具体的には、従前は必ずしも明確でなかった会計処理の判断基準について、2026年3月以降、事業本部及び国内グループ会社各社との間で複数回にわたるコミュニケーションを実施し、事業実態に即した具体的なガイダンスを追加することにより、判断指針の明確化を図っています。また、NIAPの運用形骸化の要因となっていた例外申請は2026年3月期末決算から廃止しており、例外申請を認めない運用を継続しています。今後も、当社経理部門がNIAPの運用状況を継続的に確認し、必要に応じてガイダンスの整備や改訂を行うことにより、会計処理のばらつき、不適切な拡大解釈及びNIAPからの逸脱の防止を徹底します。
(b)グループ会計方針の展開
M&Aで取得したグループ会社を含めた全グループ会社に対してNIAPの内容の周知徹底を図っています。具体的には、事業本部・国内グループ会社のCFO及び経理責任者に対して2026年6月に実施した説明会や全ての事業本部・国内グループ会社に対して2026年6月及び7月に発出した通達を通じて改訂後のNIAPを展開するとともに、社内情報基盤上にも掲載することで、経理部門に限らず広く関係者への浸透を図っています。特にグローバルの経理メンバーに対する説明会の実施に当たっては、従来のような通訳を介した説明にとどまらず、経理税務部の責任者が日本語及び英語を用いて直接説明を行い質疑応答にも対応しました。これにより、NIAP改訂の趣旨や具体的な判断基準、実務上の留意事項をより正確に伝達し、NIAPのより一層の理解促進及び浸透を図りました。
また、四半期決算ごとに当社経理税務部からレポーティングパッケージ提出会社に対して発出している決算上のトピックスや留意事項に関する通達においても、NIAPに基づく処理の徹底を継続的に周知しています。直近では、2026年9月に2027年3月期第2四半期決算に向けた通達を発出しており、NIAPの周知徹底を図っております。なお、レポーティングパッケージ提出会社がサブ連結(子会社グループで連結決算をした上でレポーティングパッケージに入力し報告)の親会社である場合は、サブ連結親会社がサブ連結子会社へ展開するようにしています。
これらの取り組みを継続することにより、グループ全体としての会計処理の一貫性の確保を図っています。
(c)グループ会計方針の準拠性の宣誓
2027年3月期第1四半期より、各グループ会社がレポーティングパッケージ提出前にNIAPへの準拠性を確認・宣誓するプロセスを導入し、運用しています。具体的には、本事案における会計自己点検の結果等に基づき作成した主要な会計論点のチェックリストを用いて、事業本部・国内グループ会社の経理責任者がNIAPへの準拠状況を確認の上、宣誓する運用としています。
(d)事業本部・国内グループ会社に対するレビュー
各グループ会社が適切に決算を行っているかを当社経理部門が四半期ごとにレビューすることにより、事業本部・国内グループ会社の経理部門に対する監督の強化を図っています。レビュー対象には、レポーティングパッケージ提出会社に加え、サブ連結の単位に含まれる子会社も含めており、グループ全体をカバーすることとしています。本レビューでは、NIAPの正しい理解のもと、各グループ会社から当社経理税務部に報告される決算上のリスク情報が適時に連携され、会計上の対応状況や会計監査人との協議状況が継続的にモニタリングされる体制を通じて、決算品質の向上及び本社の監督機能の強化を図ることを目的としています。
具体的には、各四半期の決算期末前と決算期中において、各グループ会社から報告される決算上のリスク情報の提出状況や記載内容を確認し、不備があれば各拠点に個別に連絡のうえ、必要に応じて更新・再提出を依頼しており、2026年3月期末決算から運用を開始しています。さらに、各四半期の決算後に各拠点における重要な会計判断を明文化した文書を収集し、必要項目が適切に記載されているかをモニタリングします。本手続は2026年12月から運用を開始する予定です。
(ⅶ)企業風土の変革
(a)企業風土改革を推進する新組織の設立
企業風土改革を戦略的かつ機動的に推進し、意思決定プロセスの透明性と迅速性を向上するため、2026年2月1日より、CHRO(Chief Human Resource Officer:最高人事責任者)直下に新組織(Culture Transformation Lab)を設立しました。Culture Transformation Labでは、グループ会社にて製品開発・人事責任を担ってきた人物を組織長とし、共に若手の親睦会本部会長を務めた人物が専任でチームリーダを務めています。
Culture Transformation Labの設立以来、CEOやCHROとの定例会、グループ各社との定例会、親睦会やグループ各社の労働組合等との定例会を設け、意見収集を進めています。
今後も、これらの各種会議体を定例的に開催し、従業員から寄せられた意見を継続的に収集・審議するとともに、経営層への確実な伝達と迅速な意思決定を通じて、施策への反映を進めてまいります。
(b)階層別企業風土研修の実施
永守氏の掲げる経営理念の影響を見直すべく、当社では「挑戦への道」の朝の輪読を廃止し、永守氏の価値観や意向が強く反映された社内の掲示物(ポスター等)についても、国内外全拠点で、撤去を実施しました。
企業風土改革の取組みに関する社員の理解を促進し、当社のあるべき姿の土台となる「正しい姿」の共通認識を浸透させ、行動変容につなげることを目的として、役員・管理職・一般社員(従業員層)を対象としたオンライン研修を、2026年7月30日に国内外主要グループ会社に向けて展開しました。
(c)社員との対話機会の創出
主要拠点ワークショップ及び拠点インタビュー、経営層が参加するタウンホールミーティング等を通じたコミュニケーションを実施します。
参加者間で意見を共有し相互理解を深める場を整備するとともに、企業風土について考え、望ましい姿や行動について意見交換・議論できる仕組みを整備しました。2026年9月末時点で、国内本社を含む国内15社、海外28社においてワークショップ及び拠点インタビューを実施しています。
経営層自らが国内外の各拠点を訪問し、自らの変革の意思を伝えるとともに、現場社員の生の声に耳を傾けるタウンホールミーティングを実施しています。
なお、タウンホールミーティングにおいて経営層に寄せられた意見を収集し、ワークショップで収集した意見と同様に、施策の検討につなげています。施策の内容に応じてCEO・CHROとの定例会の機会を活用し、適宜承認を得ることで迅速な意思決定を図り、関係部門の協力を得ながら実現に向けた取組みを推進しています。2026年8月末時点で、経営トップのタウンホールミーティングを国内外で延べ21拠点にて実施しました。
また、施策の検討・実施状況については、社内ポータルサイト「NiDEPO」に定期的に掲載することで、意見がどのように検討・反映されているかを把握できるようにしています。
(d)経営層による行動変革
改善計画・状況報告書(改訂版)に記載した上記(a)から(c)の活動の他にも、当社では企業風土変革に必要と認めた施策を実施しています。当社経営層と社員それぞれによる行動変革施策の実施状況は、本(d)及び下記(e)のとおりです。
第三者委員会の設置後、経営トップから全従業員に向けたトップメッセージを継続的に発信し、率直に意見を表明することを呼びかけています。こうした継続的に発信されるメッセージが従業員により伝わりやすくなるよう、毎月実施している全体会同において経営層のメッセージを発信する際には、資料の投影のみならず登壇者の表情がわかる映像を映し、内容によっては経営トップのみならず担当役員自らが登壇して従業員に直接説明するよう、運用を変更しました。また、「『永守氏の会社』からの脱皮」を実現し、新たな経営体制の下で当社グループの変革を着実に推進するため、経営トップを中心として、今後の改革の方向性および当社グループが目指すべき姿を示す「Re-Definition宣言」を策定し、2026年4月1日に社内に発表しました。策定したRe-Definition宣言を受けて、当社の今後の方向性の共有及びRe-Definition宣言の浸透等を目的とした役員合宿を開催しました。本合宿には海外拠点の役員含む、当社の役員が全員参加し、グローバルな視点も踏まえながら、当社グループの目指すべき姿や今後の企業風土変革の進め方等について、活発な議論を行いました。
なお、Re-Definition宣言は、あくまで現時点における当社グループの方向性を暫定的に再定義したものです。当社では、これを基礎として、より根本的な企業理念(パーパス)の検討も併せて進めており、2026年度中の策定を目指しています。
(e)社員による行動変革
社員から収集した意見を反映した施策も実施しています。例えば、社員間のコミュニケーションにおける心理的負荷を軽減し、相互に意見を述べやすい職場環境を醸成することを目的として、役職や立場にかかわらず「さん」付けで呼び合う取組みを推進しました。
また、従業員の声に従って働く環境の整備を推進することで、当グループの細部にまで浸透していた短期利益やコスト削減を最優先する価値観からの脱却を図るとともに、会社が一人ひとりを大切にし、その声を尊重する姿勢を具体的な形で示しています。併せて、社員同士の自然な交流やコミュニケーションが生まれやすい職場環境づくりを進めています。
さらに、社員間のつながりを一層強固にし、日常のコミュニケーションを活性化させることを目的として、会社として敢えて感謝を伝える機会を設ける「感謝ウィーク」を実施しました。普段は感謝を伝える機会が少ないなかで、会社が主体的にその場を用意することで、社員間のつながりを深め、普段のコミュニケーションのあり方そのものを変えていきたいとの狙いによるものです。その結果、多くの感謝のメッセージが寄せられ、社員からは「普段はなかなか伝える機会がなかったため、良い取組みだった」との声も寄せられました。
(f)本社各部門・グループ会社・グローバル各社での活動
上記(a)から(e)の活動は当社の各部門やグループ会社、グローバルの各社にも少しずつ広がっており、当社では、その状況を社内外に示しています。
Culture Transformation Labによる活動と並行して、当社の各部門及びグループ会社においても、それぞれの職場の課題に応じた改善活動が始まっています。当社総務部では、社員から寄せられた意見を踏まえ、執務室内で軽食を購入できるサービスを導入しました。
当社の小型モータ事業本部並びに国内グループ会社であるニデックプレシジョンやニデックドライブテクノロジー等では、Culture Transformation Labとは別に、企業風土変革を推進するため、それぞれの組織や職場が抱える課題を踏まえた施策を主体的に検討し、実行する取組が始まっています。これらの取組とCulture Transformation Labは適宜連携し、情報連携等を通じて相互の施策推進を加速させています。
こうした取組みを受けて、「これまで接する機会の少なかった役員が現場に足を運び、直接対話してくれるようになったことで、会社が変わろうとしていることを実感するようになった」との声も寄せられています。
変革の動きは、国内にとどまらずグローバルにも広がり始めています。これまで各地域・拠点を中心に運営されてきた人事機能について、グローバルで相互に連携する取組を進めています。その一環として、各地域・拠点の人事担当者が一堂に会し、相互理解を深めるとともに、今後のグローバルな連携強化に向けて意見交換を行うイベントを開催しました。あわせて、Culture Transformation Labがこうしたグローバルに連携する人事機能との結びつきを一層強めることにより、各国の人事機能と歩調を合わせ、人事領域における企業風土変革を力強く推進してまいります。
また、本件事案を教訓として、各拠点においても自主的な取組が進められています。例えば、車載事業本部傘下のニデック自動車モータ(浙江)では、改善計画書を中国語に翻訳した上で、本件事案を自拠点にも関わる課題として捉え、その内容を共有するとともに、自拠点における課題や今後の取組について議論する勉強会を実施しました。
この他にも、小型モータ事業本部傘下のニデックフィリピンでは、Re-Definition宣言を受けて、利益偏重から脱却し、正しさと品質を前面に打ち出した拠点方針を策定し、当該会社の全体朝礼で共有したうえで、各部への展開を依頼しました。
(g)実施状況の透明性確保
Culture Transformation Labにて検討し、各部門・各グループ会社で実施している施策は、社内ポータルサイト「NiDEPO」にて公開し、検討状況や対応の方向性を順次更新しています。これにより、社員から寄せられた意見への対応状況を社員自身が把握できるようにし、社員からの意見の取扱手続の透明性の向上を図っています。
さらに、改革の状況や今後の取組み、その進捗を社外のステークホルダーに対しても継続的かつ透明性をもって発信することを目的として、2026年7月9日に「Nidec Journal」を立ち上げました。同媒体を通じて改革の進捗や具体的な取組みを継続的に発信することにより、当社グループへの理解の促進および信頼の回復・向上につなげてまいります。このように、当社グループでは、企業風土変革に向けた各種取組を進めており、現時点では限定的ながらも、その変化を実感する社員の声や具体的な事例が徐々に現れ始めています。
一部の社員からは、「会社が取り組んでいることが以前よりも見えるようになり、身近なところでも変化が起き始めていることから、今後の変革に期待している」との声が寄せられています。
もっとも、当社は、企業風土が変わり始めているとはいえ、すべての人がその変化を実感している状態にまでは至っていません。ワークショップ等では、「Culture Transformation Labが活動していることは認識しているものの、自分たちの職場や会社が変わったとは感じられない」との声も寄せられています。現時点で生じている変化は、一部の職場や社員が変化の兆しを感じ始めた段階にとどまり、現場において具体的な変化を実感できていない社員も依然として多いものと認識しています。
そうした認識の下、社員の意識や職場の実態を定量的に把握するため、2026年10月にエンゲージメントサーベイを実施する予定です。エンゲージメントサーベイについては、これまで各社が個別に実施していた事例はあったものの、グループ全体でグローバルに統一して実施するのは、今回が初めての取組みです。
今後は、同サーベイの結果を分析し、明らかとなった課題に対応する改善活動を立案するとともに、引き続き社員から寄せられる声を具体的な施策につなげ、その進捗及び結果を社員に示してまいります。
当社グループは、経営層が率先して変革の姿勢を示すとともに、社員一人ひとりが自ら考え、行動することを促し、経営層と社員の双方から企業風土改革に向けた取組を着実に進めてまいります。また、これらの取組を一過性のものとすることなく、各施策の実施状況や効果を継続的に検証し、その結果を踏まえて必要な見直しや改善を重ねてまいります。こうした取組を継続的に積み重ねることで、社員一人ひとりの意識や行動の変化につなげるとともに、それらを組織全体に定着させ、当グループ全体の企業風土の変革を推進してまいります。
(ⅷ)グループガバナンス体制の再構築
2026年4月に当社グループ全体に適用するグループガバナンスの考え方を示した基本原則としてグループガバナンスポリシーを策定し、グループ全体に展開・周知しました。
また、2026年4月にグループグローバル基準の稟議事項決裁者一覧を策定し、当社グループ内の各法人で行われる一定金額以上の重要な投資・費用支出については事前に当社の承認を得るルールを明確にしました。
グループガバナンスポリシー等の当社グループの全法人に周知すべき規程等(グループポリシー)については、通達で各法人に伝達するだけでなく、グループ各社からアクセス可能な社内ポータルサイト(NiDEPO)に掲載するとともに、それぞれの規程を策定・発出する主管部門が中心となって説明会・説明動画配信等の周知活動を行いました。また各法人で規程等の周知を担当する役員・管理職から、グループポリシーの周知の必要性を理解した旨の確認(アンケートへの回答)を行い、当社グループの全法人にグループポリシーが周知されるように促しております。
(ⅸ)コンプライアンス教育の充実
(a)入社時・定期研修におけるコンプライアンス教育の充実
2026年1月より、毎月入社する中途入社社員に対し、対面又はオンラインでのコンプライアンス研修を実施しています。加えて、2026年6月の新任マネジメント層向け研修の一環として、新規昇格者を対象としてコンプライアンスの観点で管理職に期待される役割や、管理職として特に気を付けるべき重要なトピックスを学ぶコンプライアンス研修をオンラインで実施しました。
(b)グループ全体へのコンプライアンス教育の徹底と本事案の継続的な周知
2026年3月には、経営幹部、経理業務に従事する役職員、購買・生産管理部門及び営業部門に従事する役職員約12,000名を対象に、投資家・市場に対する誠実な姿勢の徹底、適正な財務報告の確保及びコンプライアンスに対する理解と意識の向上を目的として、e-ラーニング研修を、実際に発生した会計不正事案を題材として実施しました。
グループ全体でのコンプライアンス意識の継続的な維持を目的として、2026年7月に、グループの全役職員を対象として、本事案における経緯、原因、教訓等を役職員に周知し、本事案を題材としたコンプライアンス教育をオンラインで実施しました。これは第三者委員会から提言のあった投資家・市場に対する誠実さの徹底にも資するものと判断しています。
(ⅹ)人事評価制度の見直し
(a)業績以外の目標設定と評価の徹底
人事評価制度の見直しに関しては、管理職の目標設定項目の見直しに加え、人材情報の一元管理並びに人事評価および従業員育成の強化に向けて、グローバル人事システムの導入を決定し、導入準備を進めています。
(b)制度理解向上施策の実施
適正な人事評価の運用の徹底に向けて、2026年3月に当社の全従業員向け説明会を実施するとともに、評価者に対しては、4月に目標設定研修を、9月に評価者研修を実施しました。また、国内グループ各社においても、従業員向け説明および評価者向けに同様の研修を4月と9月に実施しています。4月の目標設定研修、9月の評価者研修では、適切な目標設定の考え方や評価制度の趣旨、公平・公明・公正な評価の実施方法に加え、評価者として求められる役割や評価結果のフィードバックについて取り上げました。あわせて、管理職層の目標設定時に必須としたコンプライアンスに関する目標についても研修内容に含め、業績面のみならずコンプライアンスを重視し、常に正しいことを優先して判断・行動することを求める内容としています。さらに、当社の管理職には近年実施できていなかった階層別研修を実施し、管理職としての役割の再認識や、人材育成、組織運営に対する意識向上を図りました。部長クラスでは「組織風土診断」を活用して自組織の課題分析と職場実践計画の策定を行い、グループリーダー、チームリーダークラスでは「リーダーシップ診断」を通じて自身の強みや課題を把握し、組織運営や人材育成に関する実践的な内容としています。
また、適正な人事評価運用が行われているかを継続的にモニタリングするため、2026年5月から6月にかけて、グループ会社における評価シートを対象に、今期の目標設定方針に沿った目標設定が行われているかをサンプリングベースで確認し、必要に応じて修正を行いました。あわせて、グループ各社の管理職の目標設定内容やウェイト配分についても確認を実施し、グループで定める方針との整合性が確保されているかを検証するとともに、適切な運用がなされていない従業員に対しては人事部門から是正を促すなど、運用の徹底を図りました。さらに、2026年12月には目標設定及び評価面談に関するアンケートを実施し、評価制度の趣旨に沿った評価運用がなされているかを確認するとともに、その結果を踏まえ、必要に応じて制度や運用方法の改善策を検討・実施します。
(xi)取締役会・監査等委員会の実効性向上
(a)業績目標の妥当性に対する取締役会の監督の実効性向上
事業計画の策定及び計画の進捗状況のフォローアップのため、2026年3月に取締役会規程を改訂し、事業計画に関連する取締役会付議事項を整理するとともに、「取締役会審議スケジュール」を取締役会の承認のもとで策定し、事業計画に係る審議を取締役会にて行う仕組みを整備しました。
これらに基づき、2026年度事業計画を3月31日の取締役会に付議し、審議・決議しております。当該取締役会審議においては、経営リスクの織り込みや、各事業からのボトムアップの情報を中心に策定した計画に対する評価などが審議されました。
事業計画の進捗状況のフォローアップについては、2026年4月分については同年5月29日の経営会議及び同年6月3日の取締役会に、同年5月分については同年6月24日の経営会議及び同年7月8日の取締役会に、それぞれ報告しました。
(b)重要リスク情報共有体制の整備と監督機能の強化
2026年5月にリスク管理規程と危機管理規程を見直し、取締役会に報告すべき重要なリスク情報の定義や報告要否判断の基準を明確に定めました。また2026年3月に取締役会規程を改訂し、リスク管理委員会、コンプライアンス委員会及び最高コンプライアンス責任者(CCO)が把握したリスク情報の中で、取締役会に報告すべき重要なリスク情報が検出された場合には、当該重要なリスク情報を取締役会へ報告することを定め、重要なリスク情報が取締役会に確実に報告される体制を構築しました。なお2026年9月末までの期間においては、重要なインシデント(例:台湾子会社におけるランサムウェア被害)の取締役会への報告は、執行側報告事項の一部として担当役員から行われており、リスク管理委員会・コンプライアンス委員会からの重要リスク情報の該当案件の報告はありませんでした。
また、経理部門(CFOライン)で確認した重要リスク情報の状況について、2026年8月26日にグループ経営会議、9月3日に取締役会への報告を行いました。今後も四半期ごとに報告する予定です。グループ経営会議を重要な事業リスクや経営課題を幅広く議論する場としたことから、グループ経営会議における議論の結果は取締役会にも共有しています。直近では、2026年7月8日開催の取締役会において、執行側報告事項としてリスク案件(台湾子会社におけるランサムウェア被害、特定事業に係る事業リスク)について報告を行いました。またグループ経営会議の議事録を取締役全員に共有ドライブを通じて共有することにより、グループ経営会議で議論されたリスクを取締役が把握することが可能になっています。なお、監査等委員はオブザーバーとしてグループ経営会議に毎回出席しており、執行側の審議状況や重要リスク情報を直接把握できる機会として活用しております。
加えて、社外取締役のみの意見交換を定時取締役会終了後にランチミーティングとして実施しております。
(c)監査等委員会の実効性向上
経営管理監査部から監査等委員会への内部監査結果(監査実施内容・結果の概要、主な発見事項等)の定期的な報告(年4回:2026年4月22日・7月22日開催の監査等委員会にて報告実施済)、監査等委員会・経営管理監査部・会計監査人の三者による統制上の課題の共有等を目的とした定期的な意見交換会(年4回:2026年4月22日・7月22日に実施済)を行っています。また、監査等委員会監査(業務監査)の一環として業務執行取締役及び執行役員との意見交換の強化を図りました(2026年2月7日・5月8日・8月4日にCLO、4月4日・7月8日にCFO代行、6月3日・9月3日にCEOとの意見交換を実施済)。
(d)取締役の専門性の多様化による監督機能の強化
2026年5月9日の指名委員会において、「取締役に求める専門性と経験」を示すスキルマトリクスを見直し、これに基づき選任取締役候補者案を決定し、同年5月13日の取締役会にて答申報告しました。具体的には、社外取締役については、特に重視するスキルとして「法務・コンプライアンス」「財務・会計」「ガバナンス・リスク管理」「企業経営経験」「資本市場に対する知見」を充足する人材の選任を検討すること、また、社内取締役については、コンプライアンス及びリスク管理面からの問題提起を十分に行うため管理系担当である執行役員の取締役への登用を検討することが含まれています。
上記、指名委員会の答申に基づき取締役会にて選任取締役候補者を決定し、2026年6月開催の定時株主総会において提案した結果、当社が提案したすべての取締役候補の選任が承認されています。新たな取締役会の構成については、2026年5月27日付「第53期定時株主総会招集ご通知」及び同年6月18日付「第53期定時株主総会決議ご通知」記載のとおりです。
(e)社外取締役をサポートする体制の拡充
取締役会事務局の機能を強化するため、2026年6月1日付で取締役会室を新設しました。
また、社外取締役から外部専門家を活用する場合の窓口を担うことを取締役会室の業務分掌として明記しました。一例として、取締役監査等委員から日本監査役協会への加盟・研修受講の要望があった際に、取締役会室が窓口として対応し、協会加盟等の橋渡しをしました。
加えて、先の定時株主総会で選任された社外取締役就任時のサポートとして、2026年6月以降、執行側から会社・組織概要、事業内容、当社が抱える課題とその対策進捗、経営改革5か年プランなどについて、複数回の情報提供を行いました。
(xii)執行役員指名の基準見直しと実効性の強化
(a)選任基準の見直し・解任基準の策定
執行役員の選任基準を、当社グローバル経営幹部及び国内グループ会社CEOにグローバルかつ統一的に適用される選任基準へとアップデートし執行役員規程を改訂しました。具体的には、執行役員の要件として、高い倫理観とコンプライアンス意識、組織構築と人材育成を通じたリーダーシップ、将来を見据えた戦略立案・実行等の観点を追加し、当社グローバル経営幹部及び国内グループ会社CEOにも適用されるよう、適用範囲を拡大しました。加えて、経営環境に応じて特に重要視すべき点を指名委員会で審議し、選任判断に反映する運用としています。さらに、執行役員の解任基準も策定し、選任基準を満たさない事象が生じた場合や不正の行為又は法令もしくは社内規程に違反する重大な事実が生じた場合には解任の審議を行えるようにしています。
(b)執行役員選任プロセスの実効性向上
指名委員会では、より客観的かつ透明性の高い選任プロセスの構築に向けて、新たな選任基準を2026年4月に策定しました。なお、その策定に先立って2026年4月選任時の執行役員候補者については、外部アセスメントを実施しております。また、今後も指名候補者に関するコンプライアンスチェック結果、社内における評価・実績情報、外部アセスメント結果等を体系的に指名委員会へ提供し、より多面的な観点から選任判断を行う体制を整備していきます。さらに、指名委員である社外取締役から、指名委員会と指名候補者との面談等の機会を充実させる必要がある旨の指摘があったことも踏まえ、執行役員を選任する際には早期の段階から候補者との面談を実施しています。加えて、取締役会の事前説明会での事案説明や、拠点訪問時にはランチミーティングなど、候補者との接点を充実させることで、候補者に対する理解を深める運用としています。
(xiii)役員報酬評価基準と報酬決定プロセスの実効性強化
(a)役員報酬評価基準の見直し
役員報酬評価基準の見直しについては、役員報酬評価基準の再設計を行い、STI(短期インセンティブ)では単年度の売上・営業利益・FCF(フリーキャッシュフロー)に加えて、2026年度は内部管理体制の視点からの要素も組み込んだ新たな役員報酬評価基準を同年3月に策定し、プロセスや中長期の観点への意識付けを行っています。また、当社グループ全体における報酬体系の一貫性を確保するために、2026年4月に役員報酬評価基準をグローバルに統一し、適用範囲を拡大しました。今後は、これらの施策の運用状況や有効性を検証するとともに、事業環境や経営課題の変化も踏まえながら、最適な報酬制度のあり方について継続的に検討し、必要に応じて見直しを行ってまいります。
(b)報酬決定プロセスに関する実効性の向上課題と対応策
報酬委員会については、2026年度に入ってから、新たな報酬委員会規程のもとで4月から6月までに計3回開催しました。
報酬委員会では、検討対象となる候補者の状況に応じてポジション別の役員報酬のベンチマーク情報とを比較し適正水準を検討しました。また、国内グループ会社のCEOの報酬額案を当社人事部門に集約し、グループ全体で新たに規定した統一基準を用いて算定されていることを確認し、報酬委員会への報告を行い、議事録に残すことによって実効性強化と透明性確保を図りました。
なお、国内グループ会社の執行役員報酬の検討・決定についても、グループ全体で新たに規定した統一基準を用いて算定した報酬額案を当社人事部門から各社に提示し、各社が報酬基準に基づいて妥当性を検討しています。検討の際に必要に応じて各社が報酬額を調整して当社に報告し、当社人事部門による過去の報酬実績との比較や各社が調整した理由等の確認を経て各社の役員会でそれぞれ決定しました。
(xⅳ)内部監査体制の強化
(a)監査等委員会との連携による独立性の強化
四半期に1回以上、経営管理監査部から監査等委員会への報告を開始しており、2026年4月及び7月に報告の場を設けました。具体的には、経営管理監査部より監査等委員会に対して、当年度の内部監査計画及び期中までに実施した内部監査結果の報告を行っています。
また、経営管理監査部と監査等委員会との間の定期的な情報連携を通じ、経営管理監査部の独立性が担保されている環境になっていることを監査等委員会が確認できるようにし、過去に行われていた特命監査のような位置付け不明な活動や監査におけるヒアリング議事録の一部が削除されるといった不適切な内部監査活動が二度と行われないよう体制を構築しております。
さらに、(ⅺ)(c)に記載のとおり、三様監査による監査機能の向上を図るため、監査等委員会、経営管理監査部、外部の会計監査人との連絡会を四半期に1回開催することとし、2026年4月及び7月に実施しました。具体的には、監査等委員会、経営管理監査部、及び外部の会計監査人よりそれぞれの監査計画の説明や情報共有の在り方等を協議し、3者間による監査機能の向上に努めております。
レポーティング体制を実質的なものとするため、人事権の一部を監査等委員会が掌握することで、経営管理監査部の独立性を強化しています。具体的には、経営管理監査部長の採用及び異動にあたっては、監査等委員会の事前同意を必要とすることを監査等委員会規程に明記し、当該規程に沿った運用を2026年4月より開始しております。
(b)内部監査の対象法人の拡大と監査品質の向上
新規採用及び配置転換により内部監査人員の増強を図ることで、毎年の監査対象の法人数を増やし、十分な内部監査が実施できる内部監査体制を構築することといたします。具体的には、2026年4月以降、新たに4名が内部監査人員に加わっております。
また、2026年4月に経営管理監査部内に新設した企画管理グループにおいて、各内部監査項目のチェックリストの作成や監査調書の共通化を図っています。さらに内部監査の高度化に向け、従来属人的であったリスク評価の客観化・標準化を目的として、監査計画段階にグループ会社を対象としたリスクスコア算出等を行うデータ分析ツールの機能の実装を推進しております。加えて、監査状況の可視化および関連データの一元管理に向け、ITシステムを含むツールの導入検討に着手しており、機能の整理や活用可能性の検討を行っています。
2026年度の内部監査については、2026年9月末時点で、32法人の往査を行っており、10月以降に追加で48法人に往査する予定です。また、概ね3年で全てのグループ会社に対して往査を伴う内部監査を完了させる計画としています。さらに、内部監査での発見事項は定期的に経営管理監査部でフォローアップし、必要に応じて本社業務主管部門とも連携のうえ、グループ全体のガバナンス改善を促します。これに加えて、2026年5月より改善計画・状況報告書(改訂版)に記載した改善施策を中心に会計以外の業務領域に対する内部監査を開始しています。これは、業務主管部門(第2線)によるモニタリングを「第3線」としてモニタリングすることを目的としており、改善計画・状況報告書(改訂版)に記載した改善施策を中心に、2026年度より以下の施策を内部監査項目として追加しています。
・事業計画に係る体制整備、策定プロセス、及び承認プロセス
・予算実績管理差異分析プロセス
・経理機能の独立性及び経理ガバナンス
・企業風土改革の推進プロセス
・危機管理対応に係る体制整備及びレポートライン
・規程新設・改訂プロセス
・コンプライアンス(貿易コンプライアンス含む)の体制整備
・コンプライアンス研修の実施状況
・当社及び国内グループ会社に対する人事評価制度の改定プロセス
・当社及び国内グループ会社に対する執行役員選任プロセス
・当社及び国内グループ会社に対する役員報酬決定プロセス
・内部通報に係る調査体制の整備、マニュアル整備、及びレポートライン
(xⅴ)内部通報制度の改善
(a)グローバル共通の内部通報制度の見直し・従業員への周知
内部通報制度の実効性を向上させるために、コンプライアンス関連規程を見直し、コンプライアンス違反の疑義について全ての役職員に通報義務を課すとともに、同義務の違反者に対して懲戒処分を科す可能性があることを明確にしました。また、通報制度に対する認知度を向上させ、臆することなく通報制度を利用することができるよう、各種コンプライアンス関連の研修の際に通報者保護を含む内部通報制度について周知を徹底するとともに、グループ各社に内部通報制度に関するポスターを再配布し、各社にて掲示を行いました。上記施策における内部通報制度や通報者保護に関する教育の実施により制度の認知度が向上した結果、2026年第1四半期の内部通報の件数は、前年同期と比較して93件増加し、141件となりました。(増加の要因には、経営トップメッセージの発信や意見箱の設置等の複数の施策の影響があると考えられます。)今後も引き続き、研修等の場を通じて制度の浸透を図ってまいります。
(b)グループ会社独自の窓口運用状況の把握・グループ会社の対応状況の確認
国内グループ会社及びその傘下のグループ会社からの通報状況や調査進捗状況の報告について、2026年4月から運用を開始し、同年7月には、四半期に一度の定期報告をグループ各社から受領して適時適切な対応がなされているかについてモニタリングを行っています。7月に実施した2026年度第1四半期において報告を受けた内部通報は30件で、直ちに本社からの介入が必要な通報案件はありませんでした。
(c)適切な通報対応に向けた情報連携
当社コンプライアンス部では、監査等委員会への内部通報に関する報告を2025年10月から2026年8月にかけて、計4回実施しました。さらに、常勤監査等委員に対しては、内部通報の状況を月次で報告する運用を2026年7月から開始しました。
(xⅵ)通報対応体制の強化
(a)通報対応担当者向けのマニュアル整備と教育
通報対応における質のばらつきをなくすため、内部通報を受けた後に調査対応を行う担当者等が利用することを目的としたマニュアルの整備を行いました。具体的には、法令要求事項の記載にとどまらず、調査を行うための実務に資する情報として事案発覚、事実解明、是正までの担当者が必要となる業務内容や要領の文書化を行いました。また、作成したマニュアルを当社コンプライアンス部以外にも、地域コンプライアンスオフィサー及び各法人に配置しているコンプライアンス責任者・推進者等へ展開し、並行して、内容理解を深めるための研修を2026年4月に実施しました。
さらに、2026年7月に、国内グループ会社の通報対応担当者を対象として、内部通報対応時に直面する判断に迷う場合の対応について外部専門家から具体的なケースを交えて学ぶオンライン研修を行いました。以降も同様の教育を継続していきます。
(b)調査体制の拡充
上記調査において、当社及びグループ会社内の調査対応リソース不足や専門性不足により十分な調査が適時に実施されないという事態が生じないよう、調査業務に専門性のある外部の弁護士事務所等と提携を行い、徹底した事実解明と是正を行える体制を構築しました。社内外から寄せられる情報につきましては、引き続き幅広く収集し、丁寧に精査・調査を行うとともに、状況に応じて迅速かつ適切に対応してまいります。
また、財務上の影響が見込まれる事項については、必要な財務上の対応を含め、より一層信頼性の高い体制の構築に努めてまいります。
(xⅶ)懲罰の厳格化
懲戒基準・運用プロセスの厳格化
懲戒基準の厳格化、運用プロセスの変更については、2026年4月に、社員向け説明資料を作成し社内ポータルでの案内に加えて、メールでの案内も行うとともに、拠点及び各社への説明会を実施し、周知徹底を図りました。さらに、退職者面談等の内部通報窓口以外の場で得られた情報を基に関係部署との連携や調査・懲戒に至る仕組みを策定し2026年5月より運用を開始しています。
現在は、当社及び国内グループ会社との間で、懲戒委員会にかかった事案の内容について当社人事部とコンプライアンス部に報告することとし、情報共有することによって公平・公正な処分と再発防止の意識向上に努めています。
また、発生した懲戒事案を題材とした研修については、各年度において年1回受講することを必須とし、2026年度は、当初予定していた執行役員・管理職を対象とした研修から対象範囲を広げ、当社グループ全従業員を対象にしたコンプライアンス研修の一環として7月に実施しました。
(xⅷ)責任の明確化
当社は、2026年3月13日付で取締役会及び監査等委員会の決議により、外部専門家のみで構成される「役員責任調査委員会」を設置しました。
設置の目的第三者委員会の調査報告書で明らかにされた一連の会計不正問題に関し、調査報告書を踏まえ、同委員会による調査の対象期間である2020年度から2025年度第1四半期までの間に取締役、監査役又は執行役員であった者において、その職務執行に関して任務懈怠責任があったか否かを含め法的責任の有無について、当社が適切かつ公正な判断を行うため、調査・検討の上で、報告、提言を行うことを目的とする
委員長菊地 伸弁護士(外苑法律事務所)
委員松山 遙弁護士(日比谷パーク法律事務所)
委員秋葉 賢一公認会計士 早稲田大学 名誉教授
調査対象範囲2020年度から2025年度第1四半期までの間に取締役(監査等委員を含む)、監査役及び執行役員であった者

当社グループにおける一連の会計不正問題に関し、当社の現旧の取締役、監査役又は執行役員において、その職務執行に関して任務懈怠責任があったか否かを含め法的責任の有無について、当該対象者と利害関係を有しない外部の専門家で構成される役員責任調査委員会にて現在も調査・検討を行っております。当社は、役員責任調査委員会の報告・提言に基づき、損害賠償請求その他法的措置を行うべきか判断する予定です。これらの対応を通じて、当社はガバナンス体制の抜本的強化及びコンプライアンスの徹底を図り、信頼回復に向けた取組みを着実に進めてまいります。また、執行役員より下の階層の職員及び当社グループ会社の役職員については、事実に基づき、厳正な処分を実施しています。
(第三者委員会の調査報告書等を受けての人事対応)
2026年3月3日付「第三者委員会の調査報告書の公表及び当社の対応に関するお知らせ」に記載のとおり、多岐にわたる拠点で多数の会計不正が長期にわたり行われてきたことが判明したことを受け、当社元取締役会長 小部博志、当社元副社長執行役員(小型モータ事業本部長、グループ会社担当) 北尾宜久、当社元常務執行役員(最高財務責任者) 佐村彰宣、当社元顧問(機械事業本部長) 西本達也が全ての役職について2026年3月3日をもって辞任しました。また、2026年3月2日付で業務を停止した当社元専務執行役員(家電・車載事業統括本部長) Valter Taranzano(バルター タランザーノ)については、4月17日付「第三者委員会の調査報告書(最終報告)の受領及び当社の対応に関するお知らせ」に記載のとおり、3月23日をもって退任しています。
また、取締役及び執行役員(※役職は2026年4月27日時点)の報酬を以下のとおり自主返上しています。
代表取締役社長執行役員
(CEO)
月額基本報酬額の100%(内部管理体制確認書提出まで)
なお、2026年10月末に内部管理体制確認書を提出予定
専務執行役員月額基本報酬額の50%(4ヶ月)
常務執行役員
執行役員
取締役(監査等委員)月額基本報酬額の30%(4ヶ月)
社外取締役
社外取締役(監査等委員)

(4)特別注意銘柄の指定について
当社は、2025年10月27日に、株式会社東京証券取引所より、当社株式を2025年10月28日を以って特別注意銘柄に指定する旨についての通知を受けています。
①特別注意銘柄指定の理由
株式会社東京証券取引所から以下の指摘を受けています。
ニデック株式会社(以下「同社」という。)は、2025年6月27日に、イタリア子会社における貿易取引上の問題等についての調査のため2025年3月期有価証券報告書の提出期限を同年9月26日まで延長した旨の開示を、同年9月3日に、新たに見つかった中国子会社における購買一時金に関する不適切な会計処理の疑義及び同社やグループ会社において各々の経営陣の関与又は認識の下で資産の評価減の時期を恣意的に検討していた疑義の調査のため第三者委員会を設置した旨の開示を行いました。
同社は、その後同年9月26日に、「有価証券報告書等に関する重要なお知らせ」として第三者委員会による調査等は継続中であり、その影響を連結財務諸表等に反映していない状況で同有価証券報告書を提出した旨並びに内部統制に重要な不備があった旨の開示を、また、「意見の表明をしない」旨が記載された監査報告書を添付した同有価証券報告書の提出を行いました。
これらの開示及び提出等により、以下の事項が明らかとなりました。
・同有価証券報告書について、提出期限を約3か月延長したにもかかわらず「意見の表明をしない」旨が記載された監査報告書を添付して提出しており、過年度決算訂正のおそれも含め、適正な決算内容を開示できていない状態が継続していること
・最初の問題の発覚以降、調査の追加を繰り返す事態となっており、相応の期間が経過した現時点においても第三者委員会の調査等の終了時期が不明なままで、決算スケジュールがいつ頃正常な状態に回復するのかの見通しを投資者に対して示せていないこと
・第三者委員会の調査が完了していない現時点においても、既に全社的な内部統制(情報と伝達)と経理決算プロセスに係る内部統制の不備が検出されており、同社の財務報告に潜在的に重要な影響を及ぼす可能性が高いと考えられることから開示すべき重要な不備に該当すると同社が判断していること
本件は、投資者が適切な投資判断を行うにあたっての前提となる有価証券報告書の財務諸表等に添付される監査報告書の監査意見が意見不表明となったものであり、同社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められることから、同社株式を特別注意銘柄に指定することとします。
なお、同社の第三者委員会の調査は継続している状況であり、その調査結果によって、今後新たな事実の判明や過年度の決算内容の訂正の可能性があることから、日本取引所自主規制法人は、同社に対する会社情報の開示に係る審査及び実効性の確保に係る審査を継続します。同社に新たな問題が判明した場合には、追加的な措置等を講じる場合があります。
②特別注意銘柄指定日
2025年10月28日(火)
③特別注意銘柄指定期間
2025年10月28日から原則1年間とし、1年後に当社から内部管理体制確認書を提出、株式会社東京証券取引所が内部管理体制等の審査を行い、内部管理体制に問題があると認められない場合には指定が解除になります。一方で、内部管理体制に問題があると認められる場合には、原則として上場廃止となります。
ただし、指定から1年経過後の審査において、内部管理体制等が適切に整備されていると認められるものの、適切に運用されていると認められない場合(適切に運用される見込みがある場合に限ります。)には、特別注意銘柄の指定を継続し、当該指定の継続を決定した日の属する事業年度(当該指定の継続を決定した日から当該事業年度の末日までの期間が3か月に満たない場合は当該事業年度の翌事業年度)の末日以降の審査までに、内部管理体制等の運用状況の改善を求められ、内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認める場合にはその指定が解除されます。一方で、内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認められない場合には上場廃止となります。
なお、内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認めるものの、経過観察の対象銘柄に該当する場合には、最長3事業年度、指定が継続され、その間同審査が行われます。
④特別注意銘柄の指定解除に向けた進捗状況について
2026年4月27日に公表した改善計画・状況報告書(改訂版)に記載している改善措置の実施状況は適宜進めております。実施状況についての詳細は、(3)改善計画・状況報告書の実施状況をご参照ください。
また、第三者委員会の調査報告書については、2026年4月17日に受領しており、第三者委員会の調査は完了しております。

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