有価証券報告書-第81期(2022/04/01-2022/12/31)

【提出】
2023/03/28 9:37
【資料】
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【項目】
143項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年3月28日)現在において当社グループが判断したものです。
当社グループを取り巻く事業環境は、安全・環境規制の強化、通信・交通インフラ網の拡充など事業機会は拡大しますが、長年当社グループを支えてきた一部製品は、顧客の設計変更や安価な競合品の台頭などによって構造的な需要減少に直面しています。また、ロシアのウクライナ侵攻長期化や中国情勢変化による世界経済ブロック化、インフレ懸念による景気減速、感染症や自然災害によるサプライチェーン寸断等が経済活動にも深刻な影響を及ぼすことが考えられます。
このような厳しい事業環境ではありますが、当社グループは「収益力の向上」と「持続的な成長」に向け邁進していきます。
当社グループは、創業以来、コンデンサ、フィルタ、回路部品等を市場へ提供してきました。これらは、各種の電力インフラや産業機器、個人の端末機器に至る広い分野でご利用いただいています。その歴史を踏まえ、改めて当社の存在目的を定義いたしました。
「ノイズの無い世界を作る」
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて世界が変化していくなか、電気エネルギーの重要性はますます高まり、電気エネルギーの効率的な伝送、利用が求められていきます。一方で、電気エネルギーの伝送には必ずノイズが伴います。当社の製品やサービスは、このノイズを無くすことに利用されています。今後も当社は「ノイズの無い世界を作る」ためのソリューションを通して、より効率的な電気エネルギー伝送の実現を支え、カーボンニュートラルな世界の構築に貢献していきます。
目標の早期達成に向け、2022年3月期に親会社となったWALSIN TECHNOLOGY CORPORATIONを中心とした企業グループ(以下「PSAグループ」)との連携を加速し、同グループが保有するグローバルな販売、調達チャネルや低コストの製造技術などのリソースを最大限活用していきます。
[収益力の向上 現行事業の課題]
①リードタイム適正化 長納期の解消
当社の一部製品において、原材料不足や新型コロナウイルス感染症拡大によるサプライチェーン分断の影響から、部材の長納期化、入手困難が生じ、お客様に多大なご迷惑をおかけしています。引き続き先行発注による部材確保、代替部品への切替え、生産能力の増強、生産計画・管理の見直しを進め、今期もさらにリードタイムの適正化を図ることで、お客様のご要求に沿う供給体制を構築していきます。また、今後も予想される部材不足等に対処するため、適切な部材、製品在庫の仕組みを整備していきます。
②製品収益性の改善
部材・電力費等の高騰、納期遅延解消のための航空便による輸送費増などの影響により、前期の収益性は営業利益率4%台に低迷しました。今期は代替部材によるコスト低減、納期遅延解消による航空便抑制、生産性の改善を進めます。その上で吸収できないコスト増分については、お客様と製品価格への転嫁を調整していきます。
③積層誘電体フィルタ事業の拡大
PSAグループとの連携による積層誘電体フィルタ事業の拡大を進めます。販売面では、両社製品の相互販売を開始し、さらにPSAグループ販売網を活用した中国・台湾への販売強化を進めています。生産面では、当社設計品をPSAグループの量産ラインで生産すべく、前期より両社の製造プロセス共通化に関する技術検討を進め、今期中に目処を得る計画です。少量高機能品は当社ライン、大量中機能品はPSAラインと棲み分けることで、当社設備投資を抑制しながら、事業拡大を図っていきます。
2025年度 営業利益率10%を目指し、以上の課題に取り組んでいきます。
[持続的な成長 人材育成]
「ノイズの無い世界を作る」のような長期ビジョンを実現する上で、最も重要な資産は人材です。当社でも従業員平均年齢44.9歳に上がり、部門での人材過不足が課題となっていますが、会社が持続的に成長するためには、人材の潜在力を活かし育成することが最重要課題です。このための人事制度見直し、人材教育の拡充、柔軟な人事配置等の施策を実施し、従業員がやりがいを感じ、主体的に業務に取り組む環境を整備していきます。
[持続的な成長 「ノイズの無い世界」実現に向けて]
「ノイズの無い世界を作る」に対し当社が貢献できる5つの領域を設定しました。その実現に向け、当社コア技術(高電圧高電流回路、高周波設計、ノイズ測定診断、セラミックプロセス)を進化させると共に、PSAグループとの連携による技術、マーケティング強化を進めていきます。
① 新たなモビリティ社会インフラ
2050年カーボンニュートラル実現に向け、新たなモビリティ(移動手段)が提案、実用化されます。駆動源は電気エネルギーであり、自動制御が基本となるため、これらを支える新たな社会インフラが求められます。自動車を例にとりますと、2030年以降、EV化、自動運転採用が本格的になるに伴い、充電インフラ、車車間・路車間通信ネットワークの整備が必要です。充電インフラに対しては、当社コア技術である高電圧高電流技術を活用し、低ノイズ化、高効率化を実現します。車車間・路車間通信では、当社の積層誘電体フィルタ並びにPSAグループとの協業による部品・モジュールにより高効率なネットワークの実現に貢献していきます。
EV車自体に対しても、蓄電池安全性・省電化要求に対応する部品を提供し、EV化の促進に寄与していきます。
また、自動車以外のモビリティ(鉄道・船舶・空中移動機等)の進化に対しても、当社の低ノイズ高効率な製品群を提案していきます。
② 高効率な電気エネルギー活用
カーボンニュートラル実現に向け、発電や蓄電方法に注目が集まっていますが、作られた電気エネルギーをいかに効率的に送り、使用するかも重要な課題となります。この解決に向け、今後、直流送電や高周波利用による電圧変換等、損失を低減する新たな技術の利用が予想されます。これらの新技術実用化に向け、当社は高電圧高電流技術、ノイズ測定診断技術による低ノイズ高効率な製品群を提供、実現を促進していきます。
③ 世界をつなぐ通信網
カーボンニュートラルを実現する上で、デジタル技術を用いた、さまざまなサービスの社会実装が求められます。そのためには通信インフラやデジタルインフラの整備により、世界がいつでもどこでも「つながる」状態にすることが必要です。当社は基地局小型化や小型衛星通信網の構築を通して、低ノイズ高効率な通信を実現する製品群を、PSAグループと共同して開発していきます。
④ 産業への高周波エネルギー応用
現在の半導体製造プロセスにて主流である高周波成膜プロセスでは、今後さらに高精度化が要求されます。また、一般的な化学反応プロセスにおいても、カーボンニュートラル実現に向け、石油石炭燃焼に依存しない、より低温化が可能な高周波を応用したプロセスのニーズが予想されます。実現には高精度な高周波電源技術が必要です。この分野は高電圧と高周波を組合わせた新しい領域ですが、当社のコア技術を活用し、社会のニーズに応えていきます。
⑤ デジタルツインに向けた取り組み
今後、現実の事象を仮想空間上に再現し、さまざまな分析を行うデジタルツインが発達すると予測されます。例えば、当社が扱う各種産業機器のノイズ測定診断でも、これまでの現地現物による診断から仮想空間上での診断への進化が求められます。当社でも、これまで培ったノイズ測定診断技術をベースに、新たなデジタル技術を用いた診断技術を構築します。デジタル技術を用いることで、これまでアクセスができていなかった世界中のお客様へ「ノイズを無くす」ための解決手段を提供していきます。

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