有価証券報告書-第74期(2025/01/01-2025/12/31)

【提出】
2026/02/27 12:52
【資料】
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【項目】
154項目
(2)気候変動に関する戦略について
組織が識別した気候変動の機会
脱炭素化の取り組みは、米国では政策の一部見直しにより短期的な動きの鈍化がみられるものの、欧州、アジアでは関連法制が施行段階にあり、潮流そのものは継続すると考えられます。短期的に資源供給の制約や地域差が一部市場に影響を及ぼしておりますが、中長期的には政府方針と企業戦略が牽引し、設備投資の拡大が期待されております。自動車の電動化はさらに加速しており、電源技術では高効率化や高密度化、小型・軽量化が引き続き重要な課題です。これに伴い、バッテリー技術やパワー半導体の開発、充電インフラ整備が進展し、長期的に堅調な投資環境が維持される見込みです。世界的なEVシフトが継続し、急速充電技術やインフラ市場も拡大しております。さらに、航空機の電動化や省エネルギー技術の高度化も加速しており、こうした動きはカーボンニュートラル社会の実現に向けた重要な一歩となると考えられます。ウクライナ情勢は再生可能エネルギーへの関心を高める要因となり、2026年もその影響は続く見通しです。日本では、水素基本戦略の改定を背景に太陽光や水素エネルギーの導入が進み、これらを支える蓄電池市場も成長が期待されております。再生可能エネルギーの普及は、世界的なエネルギー転換において重要な役割を果たすことが期待されます。そして、データセンター建設ラッシュにより、電力品質監視や効率改善を目的とした電気計測の需要拡大が見込まれます。こうした世界各国の取り組みを受け、当社電気計測器の需要は中長期的に高い状態で推移することが予測されており、当社にとって重要な機会と認識しております。
当社が重要市場と位置づけるバッテリー市場に向けた取り組みとしては、電池サプライチェーン(電池の材料、部品及びその原料に関わる産業)の国際競争力強化を推進する団体「電池サプライチェーン協議会(以下、「BASC」)」に加入いたしました。BASCは2021年4月1日に一般社団法人として設立された、脱炭素社会実現に向けて電池サプライチェーンの国際標準化や電池エコシステム構築等の活動をする団体であります。
また、昨今CO2を排出しないクリーンなエネルギー源の一つとして水素エネルギーが注目されております。当社は水素エネルギー分野に向けた先行開発とソリューション提供強化のため、「水素エナジーソリューション」チームを発足させ活動してまいりましたが、水素ビジネス事業を強化するため、水素エナジーソリューション課を新設し、市場開拓を進めてまいりました。こうした取り組み強化の結果、当社は水電解装置や膜電極接合体のインピーダンス計測をするシステム「ALDAS-E」を、一般財団法人電力中央研究所から受注いたしました。
当社の長期経営方針「ビジョン2030」では「世界のお客様と共に持続可能な社会を実現する」ことをミッションとしております。当社は取締役会の監督を受け、研究開発資源を、代替・再生可能エネルギーへの転換、電気エネルギーの有効利用、及びデジタルトランスフォーメーションに集中し新たな電計計測ソリューションを展開しております。
気候関連のリスクにつきましては、サステナビリティ推進担当の責任者及び部署により、その内容と財務的影響の特定に取り組んでまいりました。現時点で当社が把握する、気候関連のリスク及び機会がもたらすビジネス・戦略・財務に及ぼす影響は次のとおりであります。
気候関連のリスク及び機会がもたらすビジネス・戦略・財務に及ぼす影響
リスク/機会の分類時間軸説明対応策リスク/
機会の
影響度
移行
リスク
政策・
法規制
国内:中期
~長期
海外:短期
~中期
各国の脱炭素化に向けた動きが活発になる中、炭素税導入によるエネルギーコスト、部品コスト、製造コストの高騰が予想される。当社は2022年より段階的に社用車のEV化やCO2フリー電力の採用を積極的に行い、GHGプロトコル スコープ1、2に備えてきたが、さらなるエネルギーコストの高騰に備えて、2023年から段階的に本社駐車場のソーラーカーポート化へ投資を行った。
本社南側社員駐車場約23,000㎡の敷地に設置される2MWのソーラーカーポートと2MWhのリチウムイオン蓄電設備により、現時点で本社で利用する電気の約40%を賄っている。
その後も中長期的に自社内で使用する電気は自社で賄えるように投資を続けていく。また、サプライチェーン全体でGHG削減に取り組んでいく。
本社建物の省エネルギーを推進するための投資を行う。
技術国内:長期
海外:短期
顧客の省エネへの要求が急増する中、当社製品における省エネへの要求もまた増えている。顧客の省エネニーズに対応できなくなることで、売上高減少のリスクが予想される。当社は連結売上高の10%を目途に研究開発投資を行っている。昨今の課題を解決するため、製品の省エネ化とIoT化へ引き続き投資を続ける。
これによりGHGプロトコル スコープ3のカテゴリ11とカテゴリ12に貢献できるように進めている。
これに加えて長寿命部品の採用や低消費電力の部品の採用により、製品の生涯利用期間の延長やメンテナンスフリー化等も検討していく。
市場国内:短期
海外:短期
再生可能エネルギーの利用進展等により希少金属等の需要が高まり、原材料の調達コスト増加が危惧されている。当社売上高の10%をソフトウエア製品へ転換することにより、鉱物資源を使わない製品ソリューションやサービスの展開を進めていく。
これに加えて、サーキュラーエコノミーの検討により、製品及び資源の再利用を図っていく。
評判国内:短期
海外:短期
脱炭素社会に対して、企業が責任ある行動を取っているかについて、ステークホルダーからは第三者による客観的な評価や認証が求められており、これらに対応できない場合、当社の評価が低下するリスクが予想される。2023年から段階的にGHGプロトコル スコープ1、2、3における第三者認証を実施していく。以下の検証範囲で第三者検証意見書を取得済。
≪検証範囲≫
検証対象:スコープ1、スコープ2、スコープ3カテゴリ1(購入した製品・サービス)、2(資本財)、3(スコープ1、2に含まれない燃料及びエネルギー活動)、5(事業から出る廃棄物)、6(出張)、7(雇用者の通勤)、11(販売した製品の使用)
対象期間:2024年1月1日~2024年12月31日
対象範囲:スコープ1及びスコープ2(日本国内含めたグローバル拠点の一部を対象)
スコープ3カテゴリ1(グローバル拠点全体の評価に拡大)
カテゴリ11(製品の消費電力)
これに加えて、2021年より実施しているEcoVadis社による評価を開示。
2023年はCDPに対する回答を実施。FTSEの評価結果も参考にして、更なる対応と情報の開示をしてきた。
物理
リスク
急性国内:長期
海外:長期
台風・竜巻・洪水等による、本社・支店・販売子会社の被害発生リスクは現在小さいが、中長期的には大きくなることが予想される。仮に台風や洪水等の水害が発生した場合、営業停止による機会損失や被害復旧に伴う費用増大が予測される。ハザードマップにより、本社・支店・販売子会社の安全確保等に努めていく。これに加えて支店・販売子会社の移転、新設等に関してはハザードマップを参照し、リスクの少ない地域を候補としていく。
今後はサプライチェーンにまで対象を広げ、リスクの確認を行う。
株式会社ウェザーニューズによる財務への影響度の算出と検証を進め、検証対象として抽出した海外販売子会社の拠点における財務リスクは他社の平均リスクに比べて低いことが判明。
慢性国内:長期
海外:長期
海面上昇における本社・支店・販売子会社の被害発生リスクは現在小さいが、中長期的には大きくなることが予想される。海面が上昇すると、水没する可能性のある支店・販売子会社が存在する。長期的には海面上昇が少ない地域への移転やビルの高層階への移転も検討する。
株式会社ウェザーニューズによる財務への影響度の算出と検証を進め、検証対象として抽出した海外販売子会社の拠点における財務リスクは他社の平均リスクに比べて低いことが判明。
機会エネルギー源国内:短期
海外:短期
エネルギーコスト高騰における省エネ/再エネの要求が加速していく。それに伴い、当社の電気計測器に対する需要が高まることが予想される。当社は、電力測定やIoTソリューションにより、省エネ/再エネの測定及びメンテナンス機器の需要が増えている。
今後も、顧客に寄り添った開発を続けていく。
製品及びサービス国内:長期
海外:中期
自動車のEV化が進み、それに伴い、高効率モーターやバッテリーへの要求が加速していく。
当社は、バッテリーサーキュラーエコノミーの考え方により、そのプロセスに応じた計測ソリューションが可能となっている。
当社は、高効率モーターの測定、バッテリーにおける計測ソリューションの全てを有している。今後も新しい技術をキャッチアップし、製品開発に活かしていく。
社会において再エネ化、省エネ化、IT化が進展することで、当社のコスト削減に繋げることができる。
市場国内:中期
海外:中期
脱炭素社会の進展に伴い、新市場及び新技術が生み出される機会が増える。こうした変化に対応することで当社のビジネスチャンスが生まれる。市場情報のキャッチアップと新市場開拓のため、2022年社内に水素エナジーソリューションチームを発足(2024年5月1日付で同チームを課として組織化)。これに加えて水素バリューチェーン推進協議会へ参加し、新たな市場構築のため開発を続けていく。
レジリエンス国内:短期
海外:短期
脱炭素社会に対して資源の代替の多様化が急務となっている。資源代替の多様化への対応を進める中で、当社のレジリエンスが強化される。当社はGHG排出量削減に向け、2023年から段階的に本社駐車場のソーラーカーポート化へ投資を実施中。これにより、自立電源の確保に向けた取り組みが進み、当社におけるBCP強化に繋がる。
脱プラスチックに向け、再生プラスチック、バイオプラスチックの採用を段階的に増やしている。

(3)人的資本及び多様性に関する戦略について
多様性確保に向けた人材育成方針として当社は「人事ポリシー」及び「社員教育指針」を設けております。
「人事ポリシー」では、社員を長期的・継続的に育成することにより将来的に新たな価値の創造を期待される存在と位置づけ、社員の育成に投資をする旨定めております。
当社では、「人事ポリシー」に従って、多様性確保に向けた社内環境を整備していく方針であり、次のような取り組みを行っております。
① 働きがいを感じ能力を発揮しながら定年まで長く働ける環境を提供する旨を方針としております。
② 個人や業務の状況に応じて働く時間を選択できるフレックスタイム制度や働く場所を選択できる在宅勤務制度を設けております。
③ 法定要件を上回る水準の育児介護休業制度を設けております。
④ 結婚や育児介護、配偶者転勤などに伴う帯同などを理由に当社を退職した正社員を再び正社員で雇用するジョブリターン(再雇用)制度などを設けております。
さらに当社グループ全体を横断してDE&Iを積極的に推し進めていくことを目的に2023年1月1日付でDE&I推進担当に執行役員人事部長(現:執行役員総務本部グローバル人事部長)を任命いたしました。また、2023年6月1日付でDE&Iガイドラインを策定いたしました。
※DE&I:Diversity,Equity&Inclusion
「社員教育指針」では、社員一人ひとりが自らの職業ビジョンを持ち、潜在能力を常に開発しながら自律した職業人として職業人生を営むことを通じ、当社の永続的な成長発展と社員の働きがいの向上を追求する旨定めております。この実現のため、当社管理職は部下の自主性を尊重しつつ能力開発の機会を積極的に与え部下の育成を図る役割を担っており、当社はその役割実現に向けた環境整備及び社員の監督、支援を行っております。また、社員のキャリア形成を支援するため、社内外の資格保有者も含むキャリアコンサルタントによるキャリア相談制度を設けると同時に、30代~60代にかけて各世代別に希望者を対象としたキャリア研修を実施しております。さらに、社員の自主性を尊重したキャリア形成を促進するため、社内ベンチャーや異動、プロジェクトに関する公募制度を導入しているほか、自己啓発費用を支援する制度を設けております。

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