四半期報告書-第51期第3四半期(平成29年10月1日-平成29年12月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び当社の関係会社)が判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、個人消費及び設備投資の持ち直しによって回復を続けており、海外経済も、中東や東アジア地域において地政学的リスクが高まっていますが、全体として緩やかな回復を続けております。
医療面におきましては、国内では、医療及びヘルスケア分野が政府の成長戦略に含められており、医療関連産業の活性化は引き続き今後も見込まれております。米国においては、無保険者の解消のために導入された医療保険制度改革法に見直しの動きが見られ、中国では、医療費抑制のための政策が実施されるようになっておりますが、海外においても、基本的に医療関連需要は底堅く推移しております。
このような状況の下、当社は、オックスフォード ジーン テクノロジー アイピー リミテッド(以下、OGT社)の株式を取得し、子会社化いたしました。細胞遺伝学検査市場において、当社の保有するフローFISH※1などの自動化技術と、OGT社の保有する高品質な試薬開発力を融合することを通じて、ゲノム医療における技術基盤を強化してまいります。
さらに、当社は、バイオインフォマティクス※2を中心とした情報解析技術に関する研究開発を強化するため、神奈川県川崎市にある殿町国際戦略拠点キングスカイフロント※3にあるライフイノベーションセンター内に、新たな研究開発拠点「スカイフロントリサーチキャンパス」を開設しました。同地区には、最先端のライフサイエンス企業や研究機関が集積しており、ここに研究開発拠点を設立することで、関東エリアの研究機関、大学及び企業とのコラボレーションを進めてまいります。
当社の子会社である株式会社理研ジェネシスも、同じセンター内に「理研ジェネシスイノベーションゲノムセンター」を開設いたしました。次世代シーケンサー※4やリキッドバイオプシー※5の最新鋭の遺伝子解析機器を導入し、国際品質基準に基づいた品質で遺伝子解析サービス及びクリニカルシーケンス検査※6を行うことで、ゲノム医療の推進に貢献してまいります。
また、米州での今後の試薬の需要増加への対応と中長期視点での試薬の安定供給を目的として進めてまいりました米国の試薬生産工場の拡張を完了いたしました。これにより、生産能力は従来の1.8倍となりました。当社グループは、国内2拠点、海外6か国7拠点において試薬を現地生産してまいりましたが、今後も引き続き、各地域の市場環境にあわせた生産体制で、安定的に製品を供給してまいります。
※1 フローFISH:
スライドを顕微鏡で観察して行う通常のFISH検査を、イメージングフローサイトメーターで撮像し、自動解析を行うもの。FISH検査は、特定の遺伝子にだけ結合する蛍光標識プローブを使って、染色体の中にある目的の遺伝子を検出する検査手法。
※2 バイオインフォマティクス:
遺伝子やタンパクの情報を解析し、生命現象を解明するための情報技術で、遺伝子情報と病気の関係を解析するもの。
※3 殿町国際戦略拠点キングスカイフロント:
京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区内に位置するライフサイエンス等に携わる企業が集まったオープンイノベーション拠点。革新的なビジネスモデル確立に向けた規制緩和を受けることができるなど国の成長戦略に基づく支援を受けることができる。
※4 次世代シーケンサー:
遺伝子情報を持つDNAの塩基及びこの配列を同時並行で大量に読み取る解析装置。
※5 リキッドバイオプシー:
腫瘍など組織の一部を採取して行っていた生体検査(Biopsy)と同等の性能でかつ患者に負担の少ない検査を血液検査で実現しようとするもの。
※6 クリニカルシーケンス検査:
疾患の診断や治療法選択などのために、次世代シーケンサーを用いて患者の遺伝子情報を高精度に調べる検査。
<参考>地域別売上高
国内販売につきましては、血球計数検査分野及び血液凝固検査分野を中心に試薬の売上が伸長しました。その結果、国内売上高は32,251百万円(前年同期比4.5%増)となりました。
海外販売につきましては、主に中国において血液凝固検査分野の機器販売が減少したことが響き、機器の売上が減少しましたが、血球計数検査分野及び血液凝固検査分野を中心に試薬の売上が伸長しました。その結果、当社グループの海外売上高は170,300百万円(前年同期比13.6%増)、構成比84.1%(前年同期比1.2ポイント増)となりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の連結業績は、売上高は202,551百万円(前年同期比12.0%増)、営業利益は44,583百万円(前年同期比13.8%増)、税引前四半期利益は45,130百万円(前年同期比21.3%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は30,555百万円(前年同期比4.4%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 日本
国内において、血球計数検査分野及び血液凝固検査分野を中心に試薬の売上が伸長したこと等により、売上高は33,643百万円(前年同期比2.8%増)となりました。
利益面につきましては、グループ間輸出も合わせた売上伸長による増収効果や販売費及び一般管理費の抑制による影響が、売上原価の増加を上回り、セグメント利益(営業利益)は29,825百万円(前年同期比9.5%増)となりました。
② 米州
米国では、血液凝固検査分野において機器の売上が減少しましたが、機器設置台数の増加に伴う試薬の売上が伸長したこと等により増収となりました。中南米においては、前年同期にメキシコにおける政府案件の獲得があったことによる反動もあり、現地通貨ベースで減収となりました。米州全体での売上高は44,199百万円(前年同期比8.7%増)となりました。
利益面につきましては、増収効果に加え、グループ間の商標ロイヤリティー支払が減少したこと等により、セグメント利益(営業利益)は3,805百万円(前年同期比53.1%増)となりました。
③ EMEA
主に血液凝固検査分野において機器の売上が減少しましたが、機器設置台数の増加に伴う試薬の売上が伸長したこと等により、売上高は54,528百万円(前年同期比15.5%増)となりました。
利益面につきましては、販売体制強化に伴い販売費及び一般管理費が増加したものの、増収効果や売上原価率が改善したこと等により、セグメント利益(営業利益)は4,351百万円(前年同期比17.8%増)となりました。
④ 中国
血液凝固検査分野において機器の売上が減少しましたが、血球計数検査分野、血液凝固検査分野及び免疫検査分野において試薬の売上が増加したこと等により、売上高は52,272百万円(前年同期比15.1%増)となりました。
利益面につきましては、増収効果に加え、グループ間取引価格の変更の影響により売上原価率が改善したこと等により、セグメント利益(営業利益)は6,062百万円(前年同期比135.0%増)となりました。
⑤ アジア・パシフィック
東南アジアでは、フィリピン及びベトナムにおいて血球計数検査分野を中心に売上が伸長したほか、南アジアでは、インドやバングラデシュにおいて血球計数検査分野及び血液凝固検査分野の売上が拡大しました。前年同期にオーストラリアにおいて大手検査センター向けの販売があったことによる反動もありましたが、韓国及び台湾においても売上は伸長し、売上高は17,907百万円(前年同期比21.4%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収効果による売上総利益の増加等により、セグメント利益(営業利益)は2,207百万円(前年同期比38.2%増)となりました。
(2) 資産、負債及び資本の状況
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて30,795百万円増加し、310,612百万円となりました。この主な要因は、現金及び現金同等物が2,931百万円減少しましたが、棚卸資産が9,308百万円増加したこと、無形資産が8,008百万円増加したこと、のれんが4,667百万円増加したこと、営業債権及びその他の債権(流動資産)が3,675百万円増加したこと、有形固定資産が2,884百万円増加したこと等によるものであります。
一方、負債合計は、前連結会計年度末と比べて4,057百万円増加し、73,622百万円となりました。この主な要因は、引当金(非流動負債)が2,069百万円減少しましたが、未払法人所得税が4,457百万円増加したこと、未払費用が1,913百万円増加したこと等によるものであります。
資本合計は、前連結会計年度末と比べて26,737百万円増加し、236,990百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が18,062百万円増加したこと、その他の資本の構成要素が8,268百万円増加したこと等によるものであります。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の74.8%から1.3ポイント増加して76.1%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末より2,931百万円減少し、55,013百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果得られた資金は、34,226百万円(前年同期比16,325百万円増)となりました。この主な要因は、税引前四半期利益が45,130百万円(前年同期比7,936百万円増)、減価償却費及び償却費が10,892百万円(前年同期比1,866百万円増)、営業債権の減少額が167百万円(前年同期は1,706百万円の増加)、棚卸資産の増加額が5,991百万円(前年同期比1,567百万円増)、営業債務の増加額が2,818百万円(前年同期は2,221百万円の減少)、前受金の減少額が2,303百万円(前年同期比2,461百万円減)、法人所得税の支払額が9,973百万円(前年同期比4,842百万円減)となったこと等によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果使用した資金は、26,876百万円(前年同期比12,925百万円増)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が8,587百万円(前年同期比388百万円増)、無形資産の取得による支出が6,953百万円(前年同期比1,479百万円増)、資本性金融商品の取得による支出が1,815百万円(前年同期比1,185百万円増)、子会社又はその他の事業の取得による支出が10,980百万円(前年同期比9,527百万円増)となったこと等によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果使用した資金は、12,021百万円(前年同期比957百万円増)となりました。この主な要因は、配当金の支払額が12,493百万円(前年同期比846百万円増)となったこと等によるものであります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は11,921百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
また、当第3四半期連結累計期間における主な研究成果は次のとおりであります。
① 「塗抹標本作製装置 SP-50」及び「多項目自動血球分析装置XNシリーズ XN-9100、XN-3100、XN-1500」の発売
当社は血球計数検査分野の「多項目自動血球分析装置 XNシリーズ」の製品ラインアップを拡充し、新製品である「塗抹標本作製装置 SP-50」を含めた新たな「多項目自動血球分析装置XNシリーズ XN-9100、XN-3100、XN-1500」をグローバルに発売いたしました。
新たなXNシリーズは、搬送ラインの小型化を行うことでシステム設置スペースを縮小すると共に、SP-50では設置面積を従来装置の約60%に小型化することを実現いたしました。また、SP-50にオプションの濃縮試薬を使用することで、試薬交換回数の大幅な減少による業務の効率化と共に試薬在庫スペースの軽減にも貢献いたします。XN-9100は搬送ラインの小型化に加え、1つの搬送ライン内での装置設置台数増加を実現し、設置面積当たりの検体処理能力を向上させることで、大学病院、検査センターなどの大規模施設における検査業務のさらなる効率化に寄与いたします。また、XN-3100及びXN-1500を製品ラインアップに加えることで、中規模施設における顧客の多様なニーズにも対応してまいります。
② 抗凝固療法モニタリングの主要検査項目プロトロンビン時間の測定試薬「レボヘム PT」の発売
当社は心筋梗塞や脳梗塞などの血栓が原因とされる疾患への抗凝固療法※1モニタリング主要検査項目である、プロトロンビン時間(PT)の測定試薬「レボヘム PT」を国内で発売いたしました。本試薬は国産では初めて、カイコで量産したリコンビナントタンパク質を用いたPT試薬であります。
2012年の世界における死亡原因※2の1位である虚血性心疾患及び2位の脳卒中は、血栓が原因とされており、それらの治療には抗凝固療法が広く普及しております。PT検査は抗凝固療法に用いられる薬剤の1つであるワルファリンのモニタリングなどを目的とした、血栓止血検査の主要検査項目であります。
従来のPT試薬は、主要成分である組織因子に動物由来(ウサギ大脳、ヒト胎盤など)の原料を使用しており、原料の安定した調達に課題がありましたが、自社の生産技術であるカイコ・バキュロウイルス発現系※3を用いたリコンビナントタンパク質を適用することで安定した原料生産が可能となりました。また、リコンビナントタンパク質と合成原料を用いることで、ロット間差を低減するとともに、溶解性・溶解後安定性に優れた試薬を実現いたしました。
なお、本試薬は「全自動血液凝固測定装置 CSシリーズ」、「全自動血液凝固測定装置 CAシリーズ」及び「半自動血液凝固測定装置 CA-101/104」で使用が可能であります。今後は、自社リコンビナントタンパク質生産技術を他検査項目試薬にも展開してまいります。
※1 抗凝固療法:
抗凝固薬を用いて血液の凝固能を低下させ、心臓、動脈や静脈、体外循環回路内の凝固を阻止する治療法。
※2 出典:The top 10 causes of death (WHO, 2014)
※3 カイコ・バキュロウイルス発現系:
バキュロウイルス(昆虫を主な宿主として感染する核多角体病ウイルス)のDNAに、目的とする遺伝子を組み込み、この遺伝子組み換えバキュロウイルスをカイコの幼虫あるいは蛹(さなぎ)に注入して感染させ、目的タンパク質の生産を行わせるもの。細胞内に微量しか存在しないタンパク質を大量に作りだすことが可能。
③ 凝固第Ⅷ因子定量試薬「レボヘムFVIII 合成基質」の発売
当社は血液凝固検査分野の新製品である、凝固第Ⅷ因子定量試薬「レボヘムFVIII 合成基質」を国内で発売いたしました。
血友病※4には、不足している凝固因子のタイプによって、血友病Aと血友病Bの2種類があります。血友病Aは、血液中の凝固第Ⅷ因子が欠乏するために止血機能が低下する出血性疾患であります。血友病Aの診断には、凝固第Ⅷ因子定量検査が行われ、さらにその治療に用いられる凝固第Ⅷ因子製剤の投与後のモニタリングとしても本検査が行われます。
凝固第Ⅷ因子定量検査には、主に凝固一段法による検査(APTT試薬を用いる検査)と合成基質法による検査があり、これまで凝固一段法が広く用いられてきました。しかし、凝固一段法は用いる試薬の種類によって測定値が一致しないケースがあることが知られております。
そのため、欧州では合成基質法の普及が進んでおり、欧州薬局方(European Pharmacopoeia)を発行している欧州評議会(Council of Europe)は全ての凝固因子製剤の力価は合成基質法で測定するよう求めております。また、日本においても日本血栓止血学会より、合成基質法による第Ⅷ因子定量検査を導入することが求められております。※5
さらに近年、血友病Aの治療における、第Ⅷ因子製剤の投与回数の低減を目指した「半減期延長血液凝固因子製剤」※6の開発が進んでおりますが、合成基質法による凝固第Ⅷ因子の定量検査は、半減期延長血液凝固因子製剤投与におけるモニタリングへの活用や、軽症血友病Aの診断補助における臨床症状と測定値の一致性の高さなど、有用性が示されております。
本試薬は合成基質法による凝固第Ⅷ因子の定量検査を行う試薬で、当社の「全自動血液凝固測定装置 CSシリーズ」で使用が可能であります。これにより、国内外における学会の推奨検査法に対応するとともに、試薬ラインアップ拡充により顧客の多様なニーズに対応してまいります。
※4 血友病:
血液中の血を固めるタンパク質(凝固因子)の一部が欠乏、又はうまく働かないために止血異常を引き起こす疾患。血友病には血友病Aと血友病Bの2種類が存在し、11種類の凝固因子のうち、8番目の因子(血液凝固第Ⅷ因子)の欠乏又は機能低下による疾患が血友病A、9番目の因子(血液凝固第Ⅸ因子)の欠乏又は機能低下による疾患が血友病Bである。第Ⅷ因子及び第Ⅸ因子の活性が40%未満の場合に血友病と診断され、活性が1%未満は重症、1%以上から5%未満は中等症、5%以上は軽症と分類される。
※5 血友病部会, 日本血栓止血学会, 2015, 26(4), 468-469.
※6 半減期延長血液凝固因子製剤:
従来の血液凝固因子製剤よりも血漿中消失半減期が延長されており、3~5日間隔の定期的な投与や、患者の状態によっては週1回の投与も可能となり、従来よりも静脈注射の回数が減ることで患者への負担軽減が期待される。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、個人消費及び設備投資の持ち直しによって回復を続けており、海外経済も、中東や東アジア地域において地政学的リスクが高まっていますが、全体として緩やかな回復を続けております。
医療面におきましては、国内では、医療及びヘルスケア分野が政府の成長戦略に含められており、医療関連産業の活性化は引き続き今後も見込まれております。米国においては、無保険者の解消のために導入された医療保険制度改革法に見直しの動きが見られ、中国では、医療費抑制のための政策が実施されるようになっておりますが、海外においても、基本的に医療関連需要は底堅く推移しております。
このような状況の下、当社は、オックスフォード ジーン テクノロジー アイピー リミテッド(以下、OGT社)の株式を取得し、子会社化いたしました。細胞遺伝学検査市場において、当社の保有するフローFISH※1などの自動化技術と、OGT社の保有する高品質な試薬開発力を融合することを通じて、ゲノム医療における技術基盤を強化してまいります。
さらに、当社は、バイオインフォマティクス※2を中心とした情報解析技術に関する研究開発を強化するため、神奈川県川崎市にある殿町国際戦略拠点キングスカイフロント※3にあるライフイノベーションセンター内に、新たな研究開発拠点「スカイフロントリサーチキャンパス」を開設しました。同地区には、最先端のライフサイエンス企業や研究機関が集積しており、ここに研究開発拠点を設立することで、関東エリアの研究機関、大学及び企業とのコラボレーションを進めてまいります。
当社の子会社である株式会社理研ジェネシスも、同じセンター内に「理研ジェネシスイノベーションゲノムセンター」を開設いたしました。次世代シーケンサー※4やリキッドバイオプシー※5の最新鋭の遺伝子解析機器を導入し、国際品質基準に基づいた品質で遺伝子解析サービス及びクリニカルシーケンス検査※6を行うことで、ゲノム医療の推進に貢献してまいります。
また、米州での今後の試薬の需要増加への対応と中長期視点での試薬の安定供給を目的として進めてまいりました米国の試薬生産工場の拡張を完了いたしました。これにより、生産能力は従来の1.8倍となりました。当社グループは、国内2拠点、海外6か国7拠点において試薬を現地生産してまいりましたが、今後も引き続き、各地域の市場環境にあわせた生産体制で、安定的に製品を供給してまいります。
※1 フローFISH:
スライドを顕微鏡で観察して行う通常のFISH検査を、イメージングフローサイトメーターで撮像し、自動解析を行うもの。FISH検査は、特定の遺伝子にだけ結合する蛍光標識プローブを使って、染色体の中にある目的の遺伝子を検出する検査手法。
※2 バイオインフォマティクス:
遺伝子やタンパクの情報を解析し、生命現象を解明するための情報技術で、遺伝子情報と病気の関係を解析するもの。
※3 殿町国際戦略拠点キングスカイフロント:
京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区内に位置するライフサイエンス等に携わる企業が集まったオープンイノベーション拠点。革新的なビジネスモデル確立に向けた規制緩和を受けることができるなど国の成長戦略に基づく支援を受けることができる。
※4 次世代シーケンサー:
遺伝子情報を持つDNAの塩基及びこの配列を同時並行で大量に読み取る解析装置。
※5 リキッドバイオプシー:
腫瘍など組織の一部を採取して行っていた生体検査(Biopsy)と同等の性能でかつ患者に負担の少ない検査を血液検査で実現しようとするもの。
※6 クリニカルシーケンス検査:
疾患の診断や治療法選択などのために、次世代シーケンサーを用いて患者の遺伝子情報を高精度に調べる検査。
<参考>地域別売上高
| 前第3四半期 連結累計期間 | 当第3四半期 連結累計期間 | 前年同期比 (%) | ||||
| 金額 (百万円) | 構成比 (%) | 金額 (百万円) | 構成比 (%) | |||
| 国内 | 30,870 | 17.1 | 32,251 | 15.9 | 104.5 | |
| 米州 | 42,803 | 23.7 | 46,612 | 23.0 | 108.9 | |
| EMEA | 46,863 | 25.9 | 53,360 | 26.4 | 113.9 | |
| 中国 | 45,444 | 25.1 | 52,321 | 25.8 | 115.1 | |
| アジア・パシフィック | 14,811 | 8.2 | 18,005 | 8.9 | 121.6 | |
| 海外計 | 149,923 | 82.9 | 170,300 | 84.1 | 113.6 | |
| 合計 | 180,793 | 100.0 | 202,551 | 100.0 | 112.0 | |
国内販売につきましては、血球計数検査分野及び血液凝固検査分野を中心に試薬の売上が伸長しました。その結果、国内売上高は32,251百万円(前年同期比4.5%増)となりました。
海外販売につきましては、主に中国において血液凝固検査分野の機器販売が減少したことが響き、機器の売上が減少しましたが、血球計数検査分野及び血液凝固検査分野を中心に試薬の売上が伸長しました。その結果、当社グループの海外売上高は170,300百万円(前年同期比13.6%増)、構成比84.1%(前年同期比1.2ポイント増)となりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の連結業績は、売上高は202,551百万円(前年同期比12.0%増)、営業利益は44,583百万円(前年同期比13.8%増)、税引前四半期利益は45,130百万円(前年同期比21.3%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は30,555百万円(前年同期比4.4%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 日本
国内において、血球計数検査分野及び血液凝固検査分野を中心に試薬の売上が伸長したこと等により、売上高は33,643百万円(前年同期比2.8%増)となりました。
利益面につきましては、グループ間輸出も合わせた売上伸長による増収効果や販売費及び一般管理費の抑制による影響が、売上原価の増加を上回り、セグメント利益(営業利益)は29,825百万円(前年同期比9.5%増)となりました。
② 米州
米国では、血液凝固検査分野において機器の売上が減少しましたが、機器設置台数の増加に伴う試薬の売上が伸長したこと等により増収となりました。中南米においては、前年同期にメキシコにおける政府案件の獲得があったことによる反動もあり、現地通貨ベースで減収となりました。米州全体での売上高は44,199百万円(前年同期比8.7%増)となりました。
利益面につきましては、増収効果に加え、グループ間の商標ロイヤリティー支払が減少したこと等により、セグメント利益(営業利益)は3,805百万円(前年同期比53.1%増)となりました。
③ EMEA
主に血液凝固検査分野において機器の売上が減少しましたが、機器設置台数の増加に伴う試薬の売上が伸長したこと等により、売上高は54,528百万円(前年同期比15.5%増)となりました。
利益面につきましては、販売体制強化に伴い販売費及び一般管理費が増加したものの、増収効果や売上原価率が改善したこと等により、セグメント利益(営業利益)は4,351百万円(前年同期比17.8%増)となりました。
④ 中国
血液凝固検査分野において機器の売上が減少しましたが、血球計数検査分野、血液凝固検査分野及び免疫検査分野において試薬の売上が増加したこと等により、売上高は52,272百万円(前年同期比15.1%増)となりました。
利益面につきましては、増収効果に加え、グループ間取引価格の変更の影響により売上原価率が改善したこと等により、セグメント利益(営業利益)は6,062百万円(前年同期比135.0%増)となりました。
⑤ アジア・パシフィック
東南アジアでは、フィリピン及びベトナムにおいて血球計数検査分野を中心に売上が伸長したほか、南アジアでは、インドやバングラデシュにおいて血球計数検査分野及び血液凝固検査分野の売上が拡大しました。前年同期にオーストラリアにおいて大手検査センター向けの販売があったことによる反動もありましたが、韓国及び台湾においても売上は伸長し、売上高は17,907百万円(前年同期比21.4%増)となりました。
利益面につきましては、販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収効果による売上総利益の増加等により、セグメント利益(営業利益)は2,207百万円(前年同期比38.2%増)となりました。
(2) 資産、負債及び資本の状況
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて30,795百万円増加し、310,612百万円となりました。この主な要因は、現金及び現金同等物が2,931百万円減少しましたが、棚卸資産が9,308百万円増加したこと、無形資産が8,008百万円増加したこと、のれんが4,667百万円増加したこと、営業債権及びその他の債権(流動資産)が3,675百万円増加したこと、有形固定資産が2,884百万円増加したこと等によるものであります。
一方、負債合計は、前連結会計年度末と比べて4,057百万円増加し、73,622百万円となりました。この主な要因は、引当金(非流動負債)が2,069百万円減少しましたが、未払法人所得税が4,457百万円増加したこと、未払費用が1,913百万円増加したこと等によるものであります。
資本合計は、前連結会計年度末と比べて26,737百万円増加し、236,990百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金が18,062百万円増加したこと、その他の資本の構成要素が8,268百万円増加したこと等によるものであります。また、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の74.8%から1.3ポイント増加して76.1%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末より2,931百万円減少し、55,013百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動の結果得られた資金は、34,226百万円(前年同期比16,325百万円増)となりました。この主な要因は、税引前四半期利益が45,130百万円(前年同期比7,936百万円増)、減価償却費及び償却費が10,892百万円(前年同期比1,866百万円増)、営業債権の減少額が167百万円(前年同期は1,706百万円の増加)、棚卸資産の増加額が5,991百万円(前年同期比1,567百万円増)、営業債務の増加額が2,818百万円(前年同期は2,221百万円の減少)、前受金の減少額が2,303百万円(前年同期比2,461百万円減)、法人所得税の支払額が9,973百万円(前年同期比4,842百万円減)となったこと等によるものであります。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動の結果使用した資金は、26,876百万円(前年同期比12,925百万円増)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出が8,587百万円(前年同期比388百万円増)、無形資産の取得による支出が6,953百万円(前年同期比1,479百万円増)、資本性金融商品の取得による支出が1,815百万円(前年同期比1,185百万円増)、子会社又はその他の事業の取得による支出が10,980百万円(前年同期比9,527百万円増)となったこと等によるものであります。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動の結果使用した資金は、12,021百万円(前年同期比957百万円増)となりました。この主な要因は、配当金の支払額が12,493百万円(前年同期比846百万円増)となったこと等によるものであります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は11,921百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
また、当第3四半期連結累計期間における主な研究成果は次のとおりであります。
① 「塗抹標本作製装置 SP-50」及び「多項目自動血球分析装置XNシリーズ XN-9100、XN-3100、XN-1500」の発売
当社は血球計数検査分野の「多項目自動血球分析装置 XNシリーズ」の製品ラインアップを拡充し、新製品である「塗抹標本作製装置 SP-50」を含めた新たな「多項目自動血球分析装置XNシリーズ XN-9100、XN-3100、XN-1500」をグローバルに発売いたしました。
新たなXNシリーズは、搬送ラインの小型化を行うことでシステム設置スペースを縮小すると共に、SP-50では設置面積を従来装置の約60%に小型化することを実現いたしました。また、SP-50にオプションの濃縮試薬を使用することで、試薬交換回数の大幅な減少による業務の効率化と共に試薬在庫スペースの軽減にも貢献いたします。XN-9100は搬送ラインの小型化に加え、1つの搬送ライン内での装置設置台数増加を実現し、設置面積当たりの検体処理能力を向上させることで、大学病院、検査センターなどの大規模施設における検査業務のさらなる効率化に寄与いたします。また、XN-3100及びXN-1500を製品ラインアップに加えることで、中規模施設における顧客の多様なニーズにも対応してまいります。
② 抗凝固療法モニタリングの主要検査項目プロトロンビン時間の測定試薬「レボヘム PT」の発売
当社は心筋梗塞や脳梗塞などの血栓が原因とされる疾患への抗凝固療法※1モニタリング主要検査項目である、プロトロンビン時間(PT)の測定試薬「レボヘム PT」を国内で発売いたしました。本試薬は国産では初めて、カイコで量産したリコンビナントタンパク質を用いたPT試薬であります。
2012年の世界における死亡原因※2の1位である虚血性心疾患及び2位の脳卒中は、血栓が原因とされており、それらの治療には抗凝固療法が広く普及しております。PT検査は抗凝固療法に用いられる薬剤の1つであるワルファリンのモニタリングなどを目的とした、血栓止血検査の主要検査項目であります。
従来のPT試薬は、主要成分である組織因子に動物由来(ウサギ大脳、ヒト胎盤など)の原料を使用しており、原料の安定した調達に課題がありましたが、自社の生産技術であるカイコ・バキュロウイルス発現系※3を用いたリコンビナントタンパク質を適用することで安定した原料生産が可能となりました。また、リコンビナントタンパク質と合成原料を用いることで、ロット間差を低減するとともに、溶解性・溶解後安定性に優れた試薬を実現いたしました。
なお、本試薬は「全自動血液凝固測定装置 CSシリーズ」、「全自動血液凝固測定装置 CAシリーズ」及び「半自動血液凝固測定装置 CA-101/104」で使用が可能であります。今後は、自社リコンビナントタンパク質生産技術を他検査項目試薬にも展開してまいります。
※1 抗凝固療法:
抗凝固薬を用いて血液の凝固能を低下させ、心臓、動脈や静脈、体外循環回路内の凝固を阻止する治療法。
※2 出典:The top 10 causes of death (WHO, 2014)
※3 カイコ・バキュロウイルス発現系:
バキュロウイルス(昆虫を主な宿主として感染する核多角体病ウイルス)のDNAに、目的とする遺伝子を組み込み、この遺伝子組み換えバキュロウイルスをカイコの幼虫あるいは蛹(さなぎ)に注入して感染させ、目的タンパク質の生産を行わせるもの。細胞内に微量しか存在しないタンパク質を大量に作りだすことが可能。
③ 凝固第Ⅷ因子定量試薬「レボヘムFVIII 合成基質」の発売
当社は血液凝固検査分野の新製品である、凝固第Ⅷ因子定量試薬「レボヘムFVIII 合成基質」を国内で発売いたしました。
血友病※4には、不足している凝固因子のタイプによって、血友病Aと血友病Bの2種類があります。血友病Aは、血液中の凝固第Ⅷ因子が欠乏するために止血機能が低下する出血性疾患であります。血友病Aの診断には、凝固第Ⅷ因子定量検査が行われ、さらにその治療に用いられる凝固第Ⅷ因子製剤の投与後のモニタリングとしても本検査が行われます。
凝固第Ⅷ因子定量検査には、主に凝固一段法による検査(APTT試薬を用いる検査)と合成基質法による検査があり、これまで凝固一段法が広く用いられてきました。しかし、凝固一段法は用いる試薬の種類によって測定値が一致しないケースがあることが知られております。
そのため、欧州では合成基質法の普及が進んでおり、欧州薬局方(European Pharmacopoeia)を発行している欧州評議会(Council of Europe)は全ての凝固因子製剤の力価は合成基質法で測定するよう求めております。また、日本においても日本血栓止血学会より、合成基質法による第Ⅷ因子定量検査を導入することが求められております。※5
さらに近年、血友病Aの治療における、第Ⅷ因子製剤の投与回数の低減を目指した「半減期延長血液凝固因子製剤」※6の開発が進んでおりますが、合成基質法による凝固第Ⅷ因子の定量検査は、半減期延長血液凝固因子製剤投与におけるモニタリングへの活用や、軽症血友病Aの診断補助における臨床症状と測定値の一致性の高さなど、有用性が示されております。
本試薬は合成基質法による凝固第Ⅷ因子の定量検査を行う試薬で、当社の「全自動血液凝固測定装置 CSシリーズ」で使用が可能であります。これにより、国内外における学会の推奨検査法に対応するとともに、試薬ラインアップ拡充により顧客の多様なニーズに対応してまいります。
※4 血友病:
血液中の血を固めるタンパク質(凝固因子)の一部が欠乏、又はうまく働かないために止血異常を引き起こす疾患。血友病には血友病Aと血友病Bの2種類が存在し、11種類の凝固因子のうち、8番目の因子(血液凝固第Ⅷ因子)の欠乏又は機能低下による疾患が血友病A、9番目の因子(血液凝固第Ⅸ因子)の欠乏又は機能低下による疾患が血友病Bである。第Ⅷ因子及び第Ⅸ因子の活性が40%未満の場合に血友病と診断され、活性が1%未満は重症、1%以上から5%未満は中等症、5%以上は軽症と分類される。
※5 血友病部会, 日本血栓止血学会, 2015, 26(4), 468-469.
※6 半減期延長血液凝固因子製剤:
従来の血液凝固因子製剤よりも血漿中消失半減期が延長されており、3~5日間隔の定期的な投与や、患者の状態によっては週1回の投与も可能となり、従来よりも静脈注射の回数が減ることで患者への負担軽減が期待される。