有価証券報告書-第36期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/24 16:05
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【項目】
143項目

有報資料

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「革新」により社業の発展を図り、「信頼」により顧客との共存を維持し、「創造」により社会に貢献し続ける存在でありたいという経営理念のもと1990年に創業して以降、経営資源を研究開発に集中することで独自技術を磨くとともに、顧客の製品やサービスなどのアプリケーションに関する知識と長年培ってきたLSIの知識を融合させることで、顧客の課題解決と競争力向上に貢献するシステムLSIを企画・開発してまいりました。
また、生産を外部に委託するファブレスメーカーでありながら製品の解析を行う開発解析センターを整備するなど、厳格な品質保証体制を構築することで信頼性の高い製品を供給するとともに、システムLSIの企画・開発から供給まで一貫して顧客サポートができる体制で顧客の課題を解決するソリューションを提供し、顧客と共に成長してまいりました。
今後も当社グループは、経営理念のもと、「システム(機器)のソリューションを提供し、顧客と共に発展する」ことをミッションとして掲げ、新たな価値創造に挑戦し、独創性のある幅広いソリューションを顧客に提供することで、より豊かで安心できる社会の実現に貢献してまいります。そして、持続可能な社会の実現のために事業活動を通じて何ができるか、これらの課題をどう解決して社会に貢献できるかという発想で事業を展開し、地球環境、資源、社会、人権、多様性といった様々な課題に対して、ステークホルダーとの協働により長期的な視点で課題解決に取り組み、当社グループの成長と持続可能な社会をともに実現することを目指してまいります。
また、株主の皆様への適切な利益還元を重要な経営課題のひとつとして位置付け、経営環境の変化に柔軟に対応できる健全な財務体質を維持しながら積極的な利益還元に努めてまいります。

[価値創造プロセスの循環]
当社グループは独創性のある技術を活かし、お客様の製品やアプリケーションの問題を解決するLSIの設計、開発、生産を行っております。近年ますます高度化する多種多様な電子機器に使われる半導体製品により、複雑化する機能や仕様に新たな価値を提供していくことで、電子機器やシステムの性能を向上させ、さまざまな課題を解決いたします。当社の経営理念のもと、この価値創造プロセスを循環させ、より豊かで安心な持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

(2) ビジョン
当社グループが属するエレクトロニクス産業分野においては、あらゆるものがネットワークにつながる高度なネットワーク社会の実現に向けて、様々な機器に搭載される電子部品の高性能化・多機能化が進み、今後の産業発展を支えるものとしてその重要性が高まってきております。
当社が成長市場として主要なターゲットとする通信分野では、様々なものがインターネットに接続されるようになり、通信速度や通信距離の向上、タイムラグの減少、多数の機器が同時に接続できる多接続の実現等、IoT時代に対応する多岐にわたる通信技術の開発が進展しております。また、AI分野では、生成AIの普及やクラウド利用の拡大を背景に、膨大なデータの高速処理と効率的な保管を支えるインフラ需要が急速に高まっております。さらに、画像機器分野においては、高精細な動画撮影や高度なオートフォーカス機能など、より専門的かつ高付加価値な製品へのシフトが進み、プロ・趣味層向けの市場が堅調に推移しております。
このような状況から、様々な分野の機器に使用される電子部品の高性能化のニーズが高まるにつれ、機器の高精度・多機能・小型・低消費電力などを実現するためのキーデバイスとなるLSI製品の需要拡大は続くものと見込まれております。
このような環境の中、当社グループは、これまで培ってきた独自技術と外部パートナーの独創的な最先端技術やノウハウとを融合させることで、より付加価値の高い製品やサービスの創造に取り組み、顧客の課題を解決するソリューションを提供してまいります。主力事業であるアミューズメント事業の事業基盤を強化しつつ、成長市場である通信分野、画像機器分野等をターゲットに経営資源を集中的に投下し、事業基盤の強化と新規事業の創出・育成により事業構造転換を推進してまいります。
あわせて、自社の資本コストを把握した上で収益性や資本効率性を高めること、投資家との建設的な対話により市場評価を高めること、また、企業活動を通じたサステナビリティに関する取り組みを積極的に推進することで、会社の持続的成長と、エレクトロニクス産業の発展への貢献をともに実現していく考えです。
(3) 中長期の経営戦略
① 中長期の取り組み

今後の中長期の経営期間(2026年度〜2030年度)においては、事業戦略と財務戦略を両輪として推進し、事業収益力の強化と自己資本の適正化を図り、企業価値向上を目指してまいります。
事業戦略においては、アミューズメント事業とASIC事業を柱として事業ポートフォリオを強化するとともに、ASSP事業の収益化や、次世代を担う新たな事業の育成に注力し、さらなる成長と収益力の強化を図っていく考えです。2026年度より業績を成長軌道に乗せ、中長期の目標として以下の項目を掲げそれぞれ達成を目指してまいります。
・売上規模として800億円の到達
・事業収益として営業利益100億円の創出
・事業収益力として営業利益率10%以上
さらに、「社会・環境・人にやさしい会社」としてサステナビリティ経営を推進するとともに、社内環境整備とダイバーシティ、健康経営施策、エレクトロニクス分野の技術者やグローバル人材の育成など、人材強化に向けた取り組みを推進いたします。
[アミューズメント事業]
アミューズメント事業においては、引き続き顧客密着型の提案活動とサポート体制を強化いたします。
製品の供給力向上のため、パートナー企業や製造委託先等との連携により生産体制の強化を図ることや、当社の強みであるメモリ技術やセキュリティ技術を軸とした技術開発により競合との差別化に取り組むことでシェア拡大を図り、これまで以上に主要なサプライヤーとしての地位を確実なものとし、安定した売上と収益の確保を目指します。
[ASIC事業]
ASIC事業については、今後成長が見込まれる通信分野や画像機器分野等を新たな成長ターゲットとしてビジネス基盤を強化し、事業の立て直しを図ります。
これまで培ってきた上流設計力やアナログ技術、特に当社が得意とする通信インターフェース技術、セキュリティ技術、画像処理技術などを活用するとともに、通信や画像分野での次世代技術やAI分野等での先端回路技術を獲得することで競争力強化を図り、ビジネスの拡大に注力いたします。あわせて、光アクセス通信技術を強みに海外(北米・アジア地域)における市場開拓とビジネス獲得にも注力し、中長期における増収増益を目指します。
[ASSP事業及び新規事業]
最先端の技術やアイデアを持つスタートアップ企業への事業投資、戦略的提携、M&A、並びに国内外の大学との共同研究開発を積極的に推進いたします。これらを通じて、日本国内及び海外(北米・アジア地域)における新市場の開拓と新製品の開発に取り組み、通信分野及びソフトウェア分野やソリューション分野等における新規ビジネスの創出と早期の事業化を目指します。
財務戦略においては、政策保有株式の縮減を進めるとともに、営業キャッシュ・フローと株式売却により創出した資金を成長投資や株主還元に活用することで、自己資本の適正化と資本効率の向上を図っていく考えです。また、投資家との対話を重視するとともに積極的な株主還元を実現し、経営基盤の盤石化を図ります。
財務戦略と事業戦略の両輪で資本効率向上、収益力強化を図り、2030年度までに資本コストを超えるROE8%以上の達成を目指してまいります。
[政策保有株式の縮減]
投資有価証券として保有するSiTime社株式の計画的な売却を実行することにより、2030年度には当社の持株比率を5%程度まで縮減する考えです。また、売却資金を成長投資と株主還元の原資として活用し、自己資本の適正化を図ります。
[成長投資及び事業基盤強化への資金活用]
成長投資として、スタートアップ企業への投資や戦略的提携、M&A等による新規事業の創出と成長加速を目的とした投資に資金を活用いたします。また、新技術の研究開発投資、グローバルな事業基盤の構築、優秀な人材獲得といった事業基盤強化を目的とする投資への活用にも機動的に対応いたします。
[積極的な株主還元への資金活用]
株主還元として、中長期の経営期間で総額200億円規模の資金を自己株式取得に活用いたします。市場環境等を勘案しながら機動的に取得を実施し、資本効率の向上を図ってまいります。また、企業活動を支えるための財務基盤を確保しながら、安定性と継続性を重視した配当の実施に資金を活用いたします。
② サステナビリティに関する取り組み
サステナビリティに関する取り組みについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
③ 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
当社グループは、高い資本効率と健全な財務体質の両立を目指しており、市場環境・競争環境・成長機会などに応じて適切な経営資源の配分を行ってまいります。
資本効率については、自社の資本コストを把握するとともに、資本収益性を評価する指標であるROEを重要な指標として捉え、中長期の企業価値向上を図るべく資本コストを意識した経営に取り組んでまいります。当社グループの自己資本利益率(ROE)は、現状において当社が認識している資本コストを下回る水準となっております。当社としては、自社が把握する資本コストを上回るROEの水準を8%程度以上として定め、中長期においてこの水準を超えるROEを達成すべく、引き続き資本効率の向上と中長期の経営戦略を着実に実行し収益性の向上を図っていく考えです。また、資本効率の向上を図るとともに、投資家との対話を通じ当社の成長戦略について十分な理解を得ていくことで市場評価を高めてまいります。
IR活動においては、機関投資家との個別のIRミーティング等のコミュニケーション機会を充実し、経営戦略等について建設的な対話を推進し理解を得ていくとともに、対話から得られた意見や要望を社内で共有し、今後の取り組み検討にも活用いたします。また、当社のウェブサイト等において、非財務情報についても積極的に発信し、投資家との対話の材料となる情報の提供に努めてまいります。

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