有価証券報告書-第59期(2025/04/01-2026/03/31)
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、テクノロジーの可能性を追求し、顧客に新たな価値を認めていただける製品を他社に先駆けて創造、提案し、顧客満足を得ることを経営の基本方針としております。このため、当社は映像技術を核とし、市場や顧客のニーズに応じた最適な映像環境ソリューションを提案する「Visual Technology Company」として、世界トップレベルの高品質かつ信頼性の高い映像製品の提供、システムソリューションの提案を行っております。
(2) 経営戦略
2026年度を最終年度とする第8次中期経営計画では、映像価値を最大化する製品・サービスの提供を通じて社会課題解決や事業領域の拡大を目指しております。この実現に向け、当社ならではの映像技術による映像ハードウェアの強化やEVS(EIZO Visual Systems)の展開等の取組みを加速することで、事業を成長させてまいります。また、地域戦略では成長著しいインド、中東市場での事業を拡大し、ビジネスモデルを更に進化、強化させてまいります。
(3) 経営環境
当社の属する電子機器業界は、絶え間ない技術の進化、電子デバイス業界の変容等、激しく変化しております。その環境下で、ソリューションビジネスが拡大するとともに、新たな価値創造に向けた取組みが進展しております。
そうした中、当社はB&P(Business & Plus)で培った要素技術・品質・ノウハウを核に、ヘルスケア等の特定市場に深く根差した製品を開発し、相互にシナジーを生む事業を展開し、強いビジネスモデルを構築してきました。また、ビジネスモデルのさらなる進化に向けて「撮影、記録、配信、表示」のすべてをカバーできる当社独自のシステム事業である「EIZO Visual Systems」(EVS)の強化に取組んできました。このビジネスモデルのもと、事業拡大のための地域戦略として欧州・米国・中国に続き、成長著しいインド、中東での事業拡大に取組んでおります。
当社が認識する各市場の経営環境は次のとおりです。
B&P(Business & Plus)
ビジネス用途ではオペレーションの生産性向上を図るための表示画面の大型化、高精細化及び高解像度化や応答性能を高める高リフレッシュレート化が進んでおります。また、サステナビリティに対する社会的ニーズから、市場では透明性の高い企業活動や環境に配慮した長く使える製品が求められております。
全世界におけるモニター需要は堅調であるものの、当社の主要市場である欧州において経済の停滞が長期化しており、厳しい市場環境となっております。
ヘルスケア
診断用途では、モダリティ機器の進化に伴い、読影環境の改善を目的とした高解像度モニターの需要が高まる見込みです。また、中国やインド、中東等においても医療の高度化により需要が高まる見込みです。欧米で導入が進むデジタル病理診断や遠隔診断のその他地域への展開も見込まれます。
内視鏡及び手術室用途では、低侵襲手術等の先端医療の普及に加え、AIを用いた医療ワークフローの改善や診断補助のニーズが高まっています。また、医師不足や偏在化に対応するため、ネットワーク技術の進化に伴うチーム医療、遠隔医療の需要が増加しています。これらの状況から高解像度手術用モニターや術野カメラ、映像記録・配信システム等の映像関連機器の需要が高まる見込みです。
なお、日本では医療機関の経営環境悪化の影響により需要動向に注意を要する必要があります。
クリエイティブワーク
静止画分野では、色の再現性が重要な写真用途においてグローバルで底堅い需要が存在します。印刷用途では、デジタル化の進展により先進国での需要が緩やかに縮小する中、新興国を中心に一定の需要が継続すると見込まれます。映像制作分野では、4K・HDR制作環境が普及しており、高精度な表示を実現するOLED製品への関心が高まっております。ゲーム制作分野においてもCG技術の高度化に伴い、4K・HDR対応機器への需要増加が見込まれます。地域別では、映画や動画ストリーミング配信の制作分野における需要が、米国、欧州、日本に加え、インド等の新興市場で高まっております。
静止画・動画の双方の制作領域において生成AIの活用が進み、コンテンツ制作工程の効率化が進んでおります。これにより、クリエイター業務の一部が代替される可能性があり、制作用モニターの需要に影響を及ぼす可能性があります。一方で、高品質な映像出力に対する要求は引き続き高く、色再現性や表示精度に対するニーズは継続するものと見込まれます。
V&S(Vertical & Specific)
多種多様な業種・分野を対象としており、幅広い需要を見込んでおります。半導体製造装置をはじめとした、各種機器・装置に搭載するタッチモニターの需要は引き続き旺盛であり一層の需要を見込んでおります。航空管制用途向けについては、全世界における市場シェアNo.1のポジションを維持しております。米国を始めとした全世界の更新需要に加え、インド、中東等の新興市場での空港新設による導入や付加価値の高い高解像度モニターの需要が高まることが見込まれます。監視用途向けでは、全世界でセキュリティ意識の高まりを背景に、市場が拡大することが見込まれます。船舶用途向けについては、海上輸送量の拡大とともに新規造船需要が高まる中、操舵室の電子化・システム化に伴い、船級規格を備えたモニターの堅調な需要が見込まれます。また、船内外の監視ニーズ、自動航行システム実現に向けた実証実験等、市場ニーズは多様化の動きを見せております。ディフェンス向けについては、地政学リスクの高まりを受け、高い信頼性や耐久性を備えたモニターやグラフィックスボードの需要が高まるものと見込まれます。
アミューズメント
当市場は引き続き遊技人口の減少により厳しい環境となりますが、ハードウェアとソフトウェアの両面で魅力ある商品の開発を強化してまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上の課題
① ビジネスモデルの進化と新たな価値の創造
当社は、自社開発のモニター、カメラ、ネットワーク機器等のハードウェアと、当社固有のアルゴリズムやAIを活用したソフトウェアを融合し、「撮影、記録、配信、表示」を一体化した「EIZO Visual Systems」(EVS)を展開しております。これにより、映像を便利で簡単に利活用できる付加価値の高いソリューションをグローバルに提供し、社会課題の解決と事業領域の拡大により独自のビジネスモデルの進化を図ってまいります。
② 安定した資材調達と製品供給
当社は、相互繁栄を基本とした取引先との信頼関係を重視し、資材調達方針やサステナビリティの取組みを共有することで取引先とのパートナーシップを強化しております。また、自然災害や感染症、国際情勢の変化等を踏まえ、製造拠点及び調達におけるBCPの強化や戦略的な材料在庫の保有を通じ、顧客への安定的な製品供給の継続に努めてまいります。
③ 事業成長のための生産性向上と競争力強化
当社は、事業成長を支える基盤として、グループ横断の開発・生産・販売体制の最適化とITインフラの刷新を進め、生産性と業務効率の向上を進めてまいります。加えて、インド、中東等の新興市場への戦略投資を推進するとともに、当社技術と高いシナジーを発揮するノウハウや技術の獲得に向け、必要に応じ機動的なM&Aを実施してまいります。
④ 持続可能な社会の実現に向けた価値創造の推進
当社は、「映像を通じて豊かな未来社会を実現する」という企業理念のもと、製品づくりと事業活動を通じて社会課題の解決に取組んでおります。社会課題と当社経営戦略の観点から重要性の高い事項をマテリアリティとして特定し、全社目標マネジメントシステムと連動させることで、取組みを実効性のあるものとし、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
⑤ 気候変動・自然資本への取組み
当社は、環境に関するマテリアリティとして「気候変動への対応」「循環型社会への対応」を特定しています。2040年にNet Zeroを達成することを目指した低炭素移行計画に基づき、事業活動全体における温室効果ガス排出削減に取組んでおります。また、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)のフレームワークに沿って自然資本についての分析・開示を行うことで、資源の有効活用、気候変動緩和への取組み、生物多様性を含む環境保存や環境リスク低減に継続的に取組んでまいります。
⑥ 自由闊達で創造的に活躍できる企業文化の醸成
当社は、多様な人材が自由闊達に活躍できる企業文化を、持続的成長の基盤と位置付けております。次世代のビジネスモデルを創り、支える多様な人材の獲得と育成を重点課題とし、高い倫理観とグローバルな視野を持ち、VUCAの時代に対応する柔軟な思考力と実践力を備えた人材の育成を推進してまいります。