有価証券報告書-第49期(2023/04/01-2024/03/31)
② 戦略
全社横断体制で気候変動に関する議論を深める必要性から、前下期は全本部より選出したメンバーによる「TCFDプロジェクト」を実施いたしました。全社的な視点で気候変動関連課題の分析、財務的影響の算定等を実施し、多角的に当社グループの状況を把握したことで、中・長期的に取り組むべき課題が明確になりました。
具体的には下記の手順で、事業に影響を及ぼす可能性のあるリスク・機会特定と財務的影響の算定、対応策の検討を行いました。引き続き2で特定した内容への対応を継続し、新たなリスク・機会に関する対応策の検討を行ってまいります。
■手順
■移行リスク・物理リスク、機会
*出典:TCFD「最終報告書 気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言(2017年6月)」
■採用シナリオ
分析には、移行リスクの面で国際エネルギー機関(IEA)によるSTEPSならびにSDSシナリオ、物理リスクの面で気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によるRCP8.5及び2.6シナリオ*1を採用いたしました。

*1 RCP8.5及び2.6シナリオ:IPCC 第5次報告書の気候モデル予測で用いられる、温室効果ガスの代表的な濃度の仮定(シナリオ)
*2 GHG:温室効果ガス
出典:環境省「IPCC第5次評価報告書の概要 -第1作作業部会(自然科学的根拠)- (2014年12月版)」
IPCC「第5次評価報告書」のRCP8.5シナリオ、RCP2.6シナリオ
IEA「世界エネルギー見通し2021年版(WEO-2021)」のSDSシナリオ、STEPSシナリオ
■シナリオ分析の結果
■気候変動関連リスクと機会に関する特筆すべき当期の取組
上記の表のうち、移行リスクに関して、新たに「CSRDへの対応」に関連するリスクを認識しております。また、機会である「低炭素製品・サービスの開発・拡大」に向けた活動を活発化させました。
a. CSRDについて
同指令の対象に当社グループの欧州子会社であるMimaki Europe B.V.が該当する見込みであるため、今後は同指令に即したサステナビリティ開示の準備・対応を行います。同指令は広範なトピックを網羅しており、そのひとつである気候変動は当社グループの事業活動に影響を与えると考えております。また、将来的には連結単位でCSRD対応が求められる見込みであることもふまえ、当社グループが気候変動関連開示を含む適切なCSRD開示対応を取れない場合には、法令遵守の不履行やレピュテーション低下の恐れがあると考えます。
これらのリスクの低減につながる、CSRD対応に伴う財務的影響は小~中程度と見込んでおり、時間軸については現状、短期の案件となることを想定しております。当期はそのため、情報収集と社内体制の整備を開始いたしました。対応の本格化を見据え、引き続き準備を進めてまいります。
b. 低炭素製品・サービスの開発・拡大について
当期は特に、ネオクロマトプロセス及びTRAPISという、TA市場に革新をもたらしうる新技術を発表し、国内外の展示会等で訴求を行いました。同技術の概要については、(2)サステナビリティに関する考え方①環境負荷の削減をご参照ください。今後も、脱炭素や水資源の保護等、気候変動対応分野において、メーカーである当社の製品が果たせる役割をアピールしてまいります。
■レジリエンスの向上
シナリオ分析の結果、今後の大きな気候変動関連リスクとしてコストの上昇(レピュテーション低下による人財不足対応を含む)、異常気象による調達難、そして機会としてはデジタル・オンデマンド印刷需要の増加が挙がりました。
具体的には、炭素税の導入やそれに伴う材料・エネルギーの価格高騰など、製品コストにかかわるリスクの発生が予想されました。対策として、製品梱包等におけるコスト削減及び資源利用量の削減を、以前より継続しております。あわせて、気候変動の影響に限らず昨今のコスト上昇に対応すべく、販売価格を適切に見直しております。今後も、取り得る選択肢を柔軟に検討してコスト上昇リスクに対処してまいります。
加えて、調達難を含む想定外の事態の影響を、最小限に留めるために備えていきます。当期は主に、総務部の取組の一環として、緊急時の基本的対応に用いる安否確認システムの導入徹底を行ってきました。また、各工場間における生産品目の移管等も適宜行っております。
レピュテーションリスク低減のためにも、ESG課題に対して当社グループの技術や取組がもたらす具体的な効果等の情報開示の充足が必要です。ポスト・コロナと呼べる当期、展示会やイベントの機会も増え、露出を増やせるようになりました。今後も、社内外に当社グループの気候変動対応への姿勢を発信していきます。
最後に、気候変動対応の緊急性が叫ばれる今、当社グループの強みであるインクジェットプリンタと関連技術がもたらす価値は向上し続けると推測しております。少量多品種生産のニーズに応えるこの製品・技術は、大量生産による過剰在庫や廃棄物の削減に資するものであります。この技術・製品の普及により、当社グループはお客様先のビジネスの支援と同時に、環境負荷の削減、管理面の負担軽減をもサポートしております。
お客様の持続可能なデジタル・プリンティングビジネスを支え、各本部によるリスクの低減・緩和、機会の最大化を通じて統合的なサステナビリティ向上を目指すことが、全社的なレジリエンス強化に繋がると考えております。
■CO2排出量の削減計画
当該項目については、(2)サステナビリティに関する取組④指標及び目標 c. CO2排出削減目標をご参照ください。
全社横断体制で気候変動に関する議論を深める必要性から、前下期は全本部より選出したメンバーによる「TCFDプロジェクト」を実施いたしました。全社的な視点で気候変動関連課題の分析、財務的影響の算定等を実施し、多角的に当社グループの状況を把握したことで、中・長期的に取り組むべき課題が明確になりました。
具体的には下記の手順で、事業に影響を及ぼす可能性のあるリスク・機会特定と財務的影響の算定、対応策の検討を行いました。引き続き2で特定した内容への対応を継続し、新たなリスク・機会に関する対応策の検討を行ってまいります。
■手順
| 1 | 前提条件の設定 | 分析対象範囲(地域、事業)、時間軸の設定 |
| 2 | リスク・機会の特定 事業インパクト評価 | TCFD提言で挙げられている、低炭素経済への移行に伴う4分野のリスクと、気候変動の物理的影響に関連した2分野のリスク、そして気候変動への適応・緩和策に関する5分野の機会から事業継続において想定される影響を特定。「影響を受ける可能性」と「影響の大きさ」を点数化し、事業インパクトの大きいリスク・機会を抽出し、重要度を評価 |
| 3 | シナリオ分析 | 2で特定したリスク・機会のうち、影響度が高いと推定されるものについて 2℃以下・2℃以上の各シナリオにおける当社グループ事業への財務的影響を算定 |
| 4 | 対応策の検討 | 3の結果、事業インパクトの大きいリスク・機会について対応策や方針を検討 |
■移行リスク・物理リスク、機会
*出典:TCFD「最終報告書 気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言(2017年6月)」■採用シナリオ
分析には、移行リスクの面で国際エネルギー機関(IEA)によるSTEPSならびにSDSシナリオ、物理リスクの面で気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によるRCP8.5及び2.6シナリオ*1を採用いたしました。

*1 RCP8.5及び2.6シナリオ:IPCC 第5次報告書の気候モデル予測で用いられる、温室効果ガスの代表的な濃度の仮定(シナリオ)*2 GHG:温室効果ガス
出典:環境省「IPCC第5次評価報告書の概要 -第1作作業部会(自然科学的根拠)- (2014年12月版)」
IPCC「第5次評価報告書」のRCP8.5シナリオ、RCP2.6シナリオ
IEA「世界エネルギー見通し2021年版(WEO-2021)」のSDSシナリオ、STEPSシナリオ
■シナリオ分析の結果
■気候変動関連リスクと機会に関する特筆すべき当期の取組上記の表のうち、移行リスクに関して、新たに「CSRDへの対応」に関連するリスクを認識しております。また、機会である「低炭素製品・サービスの開発・拡大」に向けた活動を活発化させました。
a. CSRDについて
同指令の対象に当社グループの欧州子会社であるMimaki Europe B.V.が該当する見込みであるため、今後は同指令に即したサステナビリティ開示の準備・対応を行います。同指令は広範なトピックを網羅しており、そのひとつである気候変動は当社グループの事業活動に影響を与えると考えております。また、将来的には連結単位でCSRD対応が求められる見込みであることもふまえ、当社グループが気候変動関連開示を含む適切なCSRD開示対応を取れない場合には、法令遵守の不履行やレピュテーション低下の恐れがあると考えます。
これらのリスクの低減につながる、CSRD対応に伴う財務的影響は小~中程度と見込んでおり、時間軸については現状、短期の案件となることを想定しております。当期はそのため、情報収集と社内体制の整備を開始いたしました。対応の本格化を見据え、引き続き準備を進めてまいります。
b. 低炭素製品・サービスの開発・拡大について
当期は特に、ネオクロマトプロセス及びTRAPISという、TA市場に革新をもたらしうる新技術を発表し、国内外の展示会等で訴求を行いました。同技術の概要については、(2)サステナビリティに関する考え方①環境負荷の削減をご参照ください。今後も、脱炭素や水資源の保護等、気候変動対応分野において、メーカーである当社の製品が果たせる役割をアピールしてまいります。
■レジリエンスの向上
シナリオ分析の結果、今後の大きな気候変動関連リスクとしてコストの上昇(レピュテーション低下による人財不足対応を含む)、異常気象による調達難、そして機会としてはデジタル・オンデマンド印刷需要の増加が挙がりました。
具体的には、炭素税の導入やそれに伴う材料・エネルギーの価格高騰など、製品コストにかかわるリスクの発生が予想されました。対策として、製品梱包等におけるコスト削減及び資源利用量の削減を、以前より継続しております。あわせて、気候変動の影響に限らず昨今のコスト上昇に対応すべく、販売価格を適切に見直しております。今後も、取り得る選択肢を柔軟に検討してコスト上昇リスクに対処してまいります。
加えて、調達難を含む想定外の事態の影響を、最小限に留めるために備えていきます。当期は主に、総務部の取組の一環として、緊急時の基本的対応に用いる安否確認システムの導入徹底を行ってきました。また、各工場間における生産品目の移管等も適宜行っております。
レピュテーションリスク低減のためにも、ESG課題に対して当社グループの技術や取組がもたらす具体的な効果等の情報開示の充足が必要です。ポスト・コロナと呼べる当期、展示会やイベントの機会も増え、露出を増やせるようになりました。今後も、社内外に当社グループの気候変動対応への姿勢を発信していきます。
最後に、気候変動対応の緊急性が叫ばれる今、当社グループの強みであるインクジェットプリンタと関連技術がもたらす価値は向上し続けると推測しております。少量多品種生産のニーズに応えるこの製品・技術は、大量生産による過剰在庫や廃棄物の削減に資するものであります。この技術・製品の普及により、当社グループはお客様先のビジネスの支援と同時に、環境負荷の削減、管理面の負担軽減をもサポートしております。
お客様の持続可能なデジタル・プリンティングビジネスを支え、各本部によるリスクの低減・緩和、機会の最大化を通じて統合的なサステナビリティ向上を目指すことが、全社的なレジリエンス強化に繋がると考えております。
■CO2排出量の削減計画
当該項目については、(2)サステナビリティに関する取組④指標及び目標 c. CO2排出削減目標をご参照ください。