有価証券報告書-第126期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
(1)基本的な考え方
当社グループでは、企業を取り巻く事業環境が大きく変化し、リスクが多様化・複雑化する中、リスクマネジメントを、事業活動を支える重要な経営基盤の一つと位置付けています。従来、自然災害、地政学リスク、サイバー攻撃、サプライチェーン問題、人材確保等のリスク事象は、個別部門ごとに対応してきましたが、近年は複数部門にまたがり、経営全体へ影響を及ぼすケースが増加しています。
当社グループでは、こうしたリスクを全社的な観点から把握・共有し、未然防止及び影響最小化の両面から対応力を強化することが、安定的な事業継続及び企業価値向上につながるものと考えています。
また、リスクマネジメントは特定部門のみで完結するものではなく、各機能部署による自律的な管理を基本としつつ、経営として全社横断的な視点からリスクを把握・共有し、必要な対応を進めていくことを基本的な考え方としています。
(2)推進体制
当社グループでは、従前より各機能部署が担当役員の管理監督の下、個別リスクへの対応を実施しておりましたが、経営として全社横断的にリスクを把握・共有する体制の強化が必要と考え、今年度より本格的にリスクマネジメント体制の整備・強化に取り組んでいます。
リスクマネジメント推進体制として、社長を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置し、当社グループ経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクについて、経営層による共有・確認を行いました。
重要リスクの選定にあたっては、役員ヒアリング、部長層を対象としたリスクサーベイ、並びに他社開示事例や先行企業へのヒアリング等を踏まえ、当社グループとして重要性が高いと考えられるリスクを整理しています。また、経営層で共有した重要リスクについては、リスク別に担当役員と機能部署を設定、対応活動を推進するとともに、経営の重要会議体である常務会及び取締役会へ定期的に報告しています。
今後、リスクマネジメント委員会においては、各リスクの対応状況や課題について継続的に確認を行い、必要に応じて見直し・改善を進めてまいります。
<リスクマネジメント体制>
(3)重要リスクについて
当社グループの経営成績・株価及び財務状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。当社グループでは、これらのリスクが発生する可能性を十分認識し、リスク管理を行うとともに、発生した場合には迅速かつ適切な対応に努めてまいります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①災害リスク
<リスク概要>当社グループは国内外に生産・物流拠点を有しており、地震、台風・豪雨、富士山噴火等の自然災害、並びに火災、設備事故、停電等の工場インフラ停止の影響を受ける可能性があります。特に国内生産拠点が静岡県内に集中していることから、南海トラフ巨大地震等が発生した場合には、社員・家族の生命・安全を脅かし、生産停止、物流網寸断、得意先への供給支障等を通じ、当社グループの事業継続や業績へ重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、風水害や工場火災、設備故障に加え、取引先・物流事業者を含むサプライチェーン全体が被災した場合には、影響が長期化する可能性があります。
<対応状況>当社グループでは、社員・家族の安全確保を最優先事項と位置付け、防災訓練、安否確認訓練、防災ハンドブック配布等を継続的に実施しています。また、建屋・設備の耐震診断・補強、設備固定化、防災備蓄、非常用設備整備、止水板設置、データセンター移管・クラウド化等を進めるとともに、防火管理、設備点検、予備品管理、コンプレッサー供給余力確保等を通じ、事業継続性向上に取り組んでいます。
一方で、想定を超える大規模災害や複合災害を完全に回避することは困難であり、今後も初動対応の高度化、防災体制強化、データバックアップ強化等を継続してまいります。
②品質不良に関するリスク
<リスク概要>当社グループは、日本国内及び事業展開する各国において認められている品質管理基準に従って製品を製造しております。しかしながら、製品開発・量産の各段階において、不整合、検証不足、工程ばらつき等が発生した場合、市場不良、リコール、製造物責任(PL)問題等につながる可能性があります。近年は自動車の電子化・高機能化に伴い、自動車照明器における制御系・電子部品比率が高まっており、不具合発生時の影響範囲や対応費用も拡大しています。また、品質問題は取引先や海外拠点を含むサプライチェーン全体へ波及する可能性があり、得意先評価低下、発注制限、企業イメージ毀損等を通じ、当社グループの業績や事業継続へ重大な影響を及ぼす可能性があります。
<対策状況>当社グループでは、「品質保証規程」の下、品質を経営の最重要課題の一つと位置付け、営業、設計、調達、生産、品質保証部門が連携した全社的な品質活動を推進しています。未然防止の観点から、設計FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)を活用した設計段階から生産工程までの品質確認や、新製品立上り時の監査強化を進めています。また、不具合発生時には、SIBR(Serial Incident Breaking Report:重要品質速報)による迅速な情報共有や真因分析を通じ、再発防止活動を実施しています。加えて、取引先品質管理やGQAM(Global Quality Assurance Meeting)による海外拠点品質体制強化にも取り組んでいます。
一方で、製品の複雑化や管理範囲拡大に伴い品質リスクは高まっており、今後も、設計から生産まで一貫した品質保証体制の構築、再発防止の徹底、取引先管理の強化等を継続してまいります。
③情報セキュリティリスク
当社グループは、情報セキュリティリスクを「外部脅威」と「内部脅威」に区分して認識するとともに、「情報セキュリティ規程」の下、情報システム部を中心として、外部脅威・内部脅威双方を念頭に置いた対応を推進しています。
(ⅰ)外部脅威
<リスク概要>標的型サイバー攻撃、ランサムウェア感染、不正アクセス等により、機密情報漏洩、情報資産毀損、システム停止等が発生する可能性があります。近年は、社内データ暗号化や金銭要求を伴う攻撃が増加しており、自動車業界においてもサプライチェーン全体を狙った攻撃や部品供給停止事例が発生しています。
<対応状況>一般社団法人日本自動車工業会・一般社団法人日本自動車部品工業会の「自動車産業サイバーセキュリティガイドライン」や得意先要求事項への対応を進めるとともに、国内外関係会社や重要取引先を含めた情報セキュリティレベル向上に取り組んでいます。
また、ISO27001認証取得部署では、リスクアセスメントや内部監査を継続実施しています。技術的対策として、EDR(Endpoint Detection and Response:端末に対するサイバー攻撃の検知・対応システム)導入、ペネトレーションテスト、多要素認証(MFA)、バックアップ端末整備等を進めています。加えて、当社グループのすべての海外生産拠点をカバーするグローバル包括型サイバー保険を導入し、インシデント発生時の専門会社・弁護士支援体制を整備しています。
(ⅱ)内部脅威
<リスク概要>従業員による内部不正、情報持出し、操作ミス、不適切なクラウドサービス利用等により、機密情報や個人情報が漏洩する可能性があります。特に近年は、クラウドサービス利用拡大やリモート環境利用増加に伴い、内部起因による情報漏洩リスクも高まっています。
これらの事象が発生した場合には、生産・出荷停止、復旧費用発生、得意先対応、法的責任、社会的信用低下等を通じ、業績や事業継続へ重大な影響を及ぼす可能性があります。
<対応状況>標的型攻撃メール訓練や情報セキュリティ教育を継続的に実施し、従業員のセキュリティ意識向上に努めています。また、従業員パソコン操作監視、社外持出ルール運用、退職時の機器回収・データ確認や守秘義務契約締結等を実施しています。
一方で、サイバー攻撃は高度化・巧妙化しており、今後もサプライチェーン全体でのセキュリティ強化やインシデント対応力向上を継続してまいります。
④サプライチェーンリスク
<リスク概要>当社グループは、製品の製造に必要な原材料や部品を、多数の国内外取引先から調達しています。自然災害・火災、地政学リスク、各国通商政策、物流停滞、サイバー攻撃や半導体不足等により、取引先の1社でも、原材料・部品を供給できなくなった場合には、当社グループの生産活動に深刻な影響を及ぼす可能性があります。加えて、自動車産業のサプライチェーンでは、各々の取引先が多種多様なリスクを抱える点やTier2以下に取引先が複層的に存在する点に特徴があり、このリスクへの対応を困難なものとしています。また、原材料・エネルギー価格等の上昇が得意先への価格転嫁や合理化により吸収できない場合には、収益性低下につながる可能性があります。
<対応状況>当社グループでは、調達本部を中心に、重要取引先のBCP、防災・情報セキュリティ・品質管理体制等を確認し、安定調達体制の構築を進めています。また、取引先の被災状況を即座に把握するためにサプライチェーン情報管理システムを導入するとともに、代替調達、在庫積み増し、複数購買ルートの構築などを実施しています。価格高騰への対応としては、VA・VE(Value Analysis・Value Engineering)活動、新材料・新工法開発、価格転嫁交渉等を通じ、原価低減と収益性維持に取り組んでいます。
一方で、サプライチェーン全体のリスクを当社グループ単独でコントロールすることは困難であり、今後も重要取引先管理の高度化やサプライチェーンの可視化等を進めてまいります。
⑤法規制やコンプライアンスに係るリスク
<リスク概要>当社グループは、独占禁止法、中小受託取引適正化法(旧・下請法)、各国自動車安全基準、輸出関連法令、金融商品取引法、労働・環境関連法令等、多岐にわたる法令・規制の適用を受けています。近年は、自動車業界において認証・品質不正、不適切取引等が発生しており、コンプライアンスの重要性が一層高まっています。法令違反、不適切取引、不適切会計処理、輸出管理不備、ハラスメント等が発生した場合には、行政処分、課徴金、損害賠償、信用低下等を通じ、当社グループの業績や社会的信用へ重大な影響を及ぼす可能性があります。
<対応状況>当社グループでは、「小糸グループ行動憲章」の下、コンプライアンス推進室を中心に教育・啓蒙活動を継続しています。独占禁止法対応、J-SOX対応、内部統制監査、ハラスメント防止研修、企業倫理相談窓口運営等を実施するとともに、2024年度には「小糸グループ人権方針」を策定し、人権デューデリジェンス(DD)を開始しています。
今後も、法規制の情報収集、人権対応、内部通報制度の運営等を通じ、全社的なコンプライアンス体制強化を進めてまいります。
⑥人材リスク
<リスク概要>当社グループでは、「ものづくりは人づくり」との考えの下、人材確保・育成を重要経営課題と認識しています。一方で、少子高齢化やCASE、ソフトウェア化等の進展により、理系人材やソフトウェア・AI人材の獲得競争が激化しています。コア人材の流出、採用難、人材育成不足等が発生した場合には、技術開発力、品質管理力等の低下につながり、中長期的な競争力や事業継続へ影響を及ぼす可能性があります。また、海外駐在員の不足や育成不十分は、当社グループの海外拠点管理やガバナンスへ影響を及ぼす可能性があります。
<対応状況>当社グループでは、社員一人一人が生き生きと働くことができる環境を実現するため、処遇改善、人事諸制度改定、採用活動強化、人材育成充実等を進めています。また、海外関係会社との連携強化や現地マネジメント人材育成にも取り組んでいます。
一方で、今後も人材獲得競争の激化が見込まれることから、採用力強化、人材育成高度化、海外人材育成等を継続してまいります。
⑦競争力リスク
<リスク概要>当社グループは、自動車照明器を中心に事業を展開しており、自動車メーカーの販売動向、市場環境、技術革新、価格競争等の影響を受けます。近年は、中国市場における日系自動車メーカー販売減少、新興国メーカー台頭、ECUの統合化等により、技術競争や価格競争が激化しています。
このような環境下で、新製品・新技術開発の遅れやコスト競争力低下が生じた場合には、当社グループの受注減少や収益性悪化につながる可能性があります。
<対応状況>当社グループでは、重点車種での受注拡大、ADB(Adaptive Driving Beam)、ECU、LDM(LED Driver Module)等の拡販、日系メーカーに加え非日系メーカー向け営業強化を進めています。また、展示会(CES等)での情報収集、大学との共同研究、ベンチマーク活動等を通じ、技術トレンド把握や新製品・新技術開発を進めています。さらに、開発プロセス高度化、設計品質向上、グローバル最適開発体制構築、低コストアイテム創出等に取り組んでいます。
今後も、市場・顧客環境変化への迅速な対応、新技術開発力強化、コスト競争力向上を継続してまいります。
⑧海外展開リスク
<リスク概要>当社グループは、世界11か国に生産拠点を設け、海外売上高比率も高い水準にあることから、海外事業に内在する様々なリスクの影響を受ける可能性があります。これらの事象が発生した場合には、生産停止、供給遅延、コスト増加、収益性低下等を通じ、当社グループの業績や事業継続へ重大な影響を及ぼす可能性があります。
(i)予期しない法律または規則の変更
各国における税制、環境規制、労働法制、安全保障輸出管理、通商政策等の変更に加え、保護主義政策、追加関税、輸出入規制等により、生産活動や収益性へ影響を及ぼす可能性があります。
(ⅱ)不利な政治または経済要因
インフレ、景気後退、資源・エネルギー価格高騰、中国市場における日系自動車メーカー販売減少、中国
メーカー台頭等、市場環境変化により事業運営や収益性へ影響を及ぼす可能性があります。
(ⅲ)テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱
米中対立、ウクライナ情勢や中東情勢等の地政学リスクに加え、テロ、感染症、自然災害、物流停滞、サイバー攻撃等により、生産停止や供給遅延が発生する可能性があります。
(ⅳ)為替相場の変動
海外関係会社の現地通貨建て項目は、為替変動により円換算後の業績及び財政状態へ影響を受ける可能性が
あります。一般に、円高は当社グループ業績へ悪影響を及ぼす可能性があります。
<対応状況>当社グループでは、国際本部を中心に、各地域の政治・経済・法規制・市場動向等に関する情報収集とリスク把握を進めています。海外拠点では、法令遵守、安全管理、労務管理、情報セキュリティ対応、在庫管理、複数購買等を実施するとともに、物流停滞や自然災害等への対応を進めています。また、本社から派遣される駐在員を中心に、各地域の事業運営及びガバナンス強化を進めるとともに、現地生産・現地調達推進により為替影響低減に努めています。
一方で、海外リスクは政治、経済、法規制、地政学、物流等、多岐にわたり、変化速度も速いことから、全てのリスクを事前に予見・回避することは困難です。今後も、海外関係会社との連携強化、地域リスク把握、現地人材育成等を継続してまいります。
当社グループでは、企業を取り巻く事業環境が大きく変化し、リスクが多様化・複雑化する中、リスクマネジメントを、事業活動を支える重要な経営基盤の一つと位置付けています。従来、自然災害、地政学リスク、サイバー攻撃、サプライチェーン問題、人材確保等のリスク事象は、個別部門ごとに対応してきましたが、近年は複数部門にまたがり、経営全体へ影響を及ぼすケースが増加しています。
当社グループでは、こうしたリスクを全社的な観点から把握・共有し、未然防止及び影響最小化の両面から対応力を強化することが、安定的な事業継続及び企業価値向上につながるものと考えています。
また、リスクマネジメントは特定部門のみで完結するものではなく、各機能部署による自律的な管理を基本としつつ、経営として全社横断的な視点からリスクを把握・共有し、必要な対応を進めていくことを基本的な考え方としています。
(2)推進体制
当社グループでは、従前より各機能部署が担当役員の管理監督の下、個別リスクへの対応を実施しておりましたが、経営として全社横断的にリスクを把握・共有する体制の強化が必要と考え、今年度より本格的にリスクマネジメント体制の整備・強化に取り組んでいます。
リスクマネジメント推進体制として、社長を委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置し、当社グループ経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクについて、経営層による共有・確認を行いました。
重要リスクの選定にあたっては、役員ヒアリング、部長層を対象としたリスクサーベイ、並びに他社開示事例や先行企業へのヒアリング等を踏まえ、当社グループとして重要性が高いと考えられるリスクを整理しています。また、経営層で共有した重要リスクについては、リスク別に担当役員と機能部署を設定、対応活動を推進するとともに、経営の重要会議体である常務会及び取締役会へ定期的に報告しています。
今後、リスクマネジメント委員会においては、各リスクの対応状況や課題について継続的に確認を行い、必要に応じて見直し・改善を進めてまいります。
<リスクマネジメント体制>

(3)重要リスクについて
当社グループの経営成績・株価及び財務状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。当社グループでは、これらのリスクが発生する可能性を十分認識し、リスク管理を行うとともに、発生した場合には迅速かつ適切な対応に努めてまいります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①災害リスク
<リスク概要>当社グループは国内外に生産・物流拠点を有しており、地震、台風・豪雨、富士山噴火等の自然災害、並びに火災、設備事故、停電等の工場インフラ停止の影響を受ける可能性があります。特に国内生産拠点が静岡県内に集中していることから、南海トラフ巨大地震等が発生した場合には、社員・家族の生命・安全を脅かし、生産停止、物流網寸断、得意先への供給支障等を通じ、当社グループの事業継続や業績へ重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、風水害や工場火災、設備故障に加え、取引先・物流事業者を含むサプライチェーン全体が被災した場合には、影響が長期化する可能性があります。
<対応状況>当社グループでは、社員・家族の安全確保を最優先事項と位置付け、防災訓練、安否確認訓練、防災ハンドブック配布等を継続的に実施しています。また、建屋・設備の耐震診断・補強、設備固定化、防災備蓄、非常用設備整備、止水板設置、データセンター移管・クラウド化等を進めるとともに、防火管理、設備点検、予備品管理、コンプレッサー供給余力確保等を通じ、事業継続性向上に取り組んでいます。
一方で、想定を超える大規模災害や複合災害を完全に回避することは困難であり、今後も初動対応の高度化、防災体制強化、データバックアップ強化等を継続してまいります。
②品質不良に関するリスク
<リスク概要>当社グループは、日本国内及び事業展開する各国において認められている品質管理基準に従って製品を製造しております。しかしながら、製品開発・量産の各段階において、不整合、検証不足、工程ばらつき等が発生した場合、市場不良、リコール、製造物責任(PL)問題等につながる可能性があります。近年は自動車の電子化・高機能化に伴い、自動車照明器における制御系・電子部品比率が高まっており、不具合発生時の影響範囲や対応費用も拡大しています。また、品質問題は取引先や海外拠点を含むサプライチェーン全体へ波及する可能性があり、得意先評価低下、発注制限、企業イメージ毀損等を通じ、当社グループの業績や事業継続へ重大な影響を及ぼす可能性があります。
<対策状況>当社グループでは、「品質保証規程」の下、品質を経営の最重要課題の一つと位置付け、営業、設計、調達、生産、品質保証部門が連携した全社的な品質活動を推進しています。未然防止の観点から、設計FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)を活用した設計段階から生産工程までの品質確認や、新製品立上り時の監査強化を進めています。また、不具合発生時には、SIBR(Serial Incident Breaking Report:重要品質速報)による迅速な情報共有や真因分析を通じ、再発防止活動を実施しています。加えて、取引先品質管理やGQAM(Global Quality Assurance Meeting)による海外拠点品質体制強化にも取り組んでいます。
一方で、製品の複雑化や管理範囲拡大に伴い品質リスクは高まっており、今後も、設計から生産まで一貫した品質保証体制の構築、再発防止の徹底、取引先管理の強化等を継続してまいります。
③情報セキュリティリスク
当社グループは、情報セキュリティリスクを「外部脅威」と「内部脅威」に区分して認識するとともに、「情報セキュリティ規程」の下、情報システム部を中心として、外部脅威・内部脅威双方を念頭に置いた対応を推進しています。
(ⅰ)外部脅威
<リスク概要>標的型サイバー攻撃、ランサムウェア感染、不正アクセス等により、機密情報漏洩、情報資産毀損、システム停止等が発生する可能性があります。近年は、社内データ暗号化や金銭要求を伴う攻撃が増加しており、自動車業界においてもサプライチェーン全体を狙った攻撃や部品供給停止事例が発生しています。
<対応状況>一般社団法人日本自動車工業会・一般社団法人日本自動車部品工業会の「自動車産業サイバーセキュリティガイドライン」や得意先要求事項への対応を進めるとともに、国内外関係会社や重要取引先を含めた情報セキュリティレベル向上に取り組んでいます。
また、ISO27001認証取得部署では、リスクアセスメントや内部監査を継続実施しています。技術的対策として、EDR(Endpoint Detection and Response:端末に対するサイバー攻撃の検知・対応システム)導入、ペネトレーションテスト、多要素認証(MFA)、バックアップ端末整備等を進めています。加えて、当社グループのすべての海外生産拠点をカバーするグローバル包括型サイバー保険を導入し、インシデント発生時の専門会社・弁護士支援体制を整備しています。
(ⅱ)内部脅威
<リスク概要>従業員による内部不正、情報持出し、操作ミス、不適切なクラウドサービス利用等により、機密情報や個人情報が漏洩する可能性があります。特に近年は、クラウドサービス利用拡大やリモート環境利用増加に伴い、内部起因による情報漏洩リスクも高まっています。
これらの事象が発生した場合には、生産・出荷停止、復旧費用発生、得意先対応、法的責任、社会的信用低下等を通じ、業績や事業継続へ重大な影響を及ぼす可能性があります。
<対応状況>標的型攻撃メール訓練や情報セキュリティ教育を継続的に実施し、従業員のセキュリティ意識向上に努めています。また、従業員パソコン操作監視、社外持出ルール運用、退職時の機器回収・データ確認や守秘義務契約締結等を実施しています。
一方で、サイバー攻撃は高度化・巧妙化しており、今後もサプライチェーン全体でのセキュリティ強化やインシデント対応力向上を継続してまいります。
④サプライチェーンリスク
<リスク概要>当社グループは、製品の製造に必要な原材料や部品を、多数の国内外取引先から調達しています。自然災害・火災、地政学リスク、各国通商政策、物流停滞、サイバー攻撃や半導体不足等により、取引先の1社でも、原材料・部品を供給できなくなった場合には、当社グループの生産活動に深刻な影響を及ぼす可能性があります。加えて、自動車産業のサプライチェーンでは、各々の取引先が多種多様なリスクを抱える点やTier2以下に取引先が複層的に存在する点に特徴があり、このリスクへの対応を困難なものとしています。また、原材料・エネルギー価格等の上昇が得意先への価格転嫁や合理化により吸収できない場合には、収益性低下につながる可能性があります。
<対応状況>当社グループでは、調達本部を中心に、重要取引先のBCP、防災・情報セキュリティ・品質管理体制等を確認し、安定調達体制の構築を進めています。また、取引先の被災状況を即座に把握するためにサプライチェーン情報管理システムを導入するとともに、代替調達、在庫積み増し、複数購買ルートの構築などを実施しています。価格高騰への対応としては、VA・VE(Value Analysis・Value Engineering)活動、新材料・新工法開発、価格転嫁交渉等を通じ、原価低減と収益性維持に取り組んでいます。
一方で、サプライチェーン全体のリスクを当社グループ単独でコントロールすることは困難であり、今後も重要取引先管理の高度化やサプライチェーンの可視化等を進めてまいります。
⑤法規制やコンプライアンスに係るリスク
<リスク概要>当社グループは、独占禁止法、中小受託取引適正化法(旧・下請法)、各国自動車安全基準、輸出関連法令、金融商品取引法、労働・環境関連法令等、多岐にわたる法令・規制の適用を受けています。近年は、自動車業界において認証・品質不正、不適切取引等が発生しており、コンプライアンスの重要性が一層高まっています。法令違反、不適切取引、不適切会計処理、輸出管理不備、ハラスメント等が発生した場合には、行政処分、課徴金、損害賠償、信用低下等を通じ、当社グループの業績や社会的信用へ重大な影響を及ぼす可能性があります。
<対応状況>当社グループでは、「小糸グループ行動憲章」の下、コンプライアンス推進室を中心に教育・啓蒙活動を継続しています。独占禁止法対応、J-SOX対応、内部統制監査、ハラスメント防止研修、企業倫理相談窓口運営等を実施するとともに、2024年度には「小糸グループ人権方針」を策定し、人権デューデリジェンス(DD)を開始しています。
今後も、法規制の情報収集、人権対応、内部通報制度の運営等を通じ、全社的なコンプライアンス体制強化を進めてまいります。
⑥人材リスク
<リスク概要>当社グループでは、「ものづくりは人づくり」との考えの下、人材確保・育成を重要経営課題と認識しています。一方で、少子高齢化やCASE、ソフトウェア化等の進展により、理系人材やソフトウェア・AI人材の獲得競争が激化しています。コア人材の流出、採用難、人材育成不足等が発生した場合には、技術開発力、品質管理力等の低下につながり、中長期的な競争力や事業継続へ影響を及ぼす可能性があります。また、海外駐在員の不足や育成不十分は、当社グループの海外拠点管理やガバナンスへ影響を及ぼす可能性があります。
<対応状況>当社グループでは、社員一人一人が生き生きと働くことができる環境を実現するため、処遇改善、人事諸制度改定、採用活動強化、人材育成充実等を進めています。また、海外関係会社との連携強化や現地マネジメント人材育成にも取り組んでいます。
一方で、今後も人材獲得競争の激化が見込まれることから、採用力強化、人材育成高度化、海外人材育成等を継続してまいります。
⑦競争力リスク
<リスク概要>当社グループは、自動車照明器を中心に事業を展開しており、自動車メーカーの販売動向、市場環境、技術革新、価格競争等の影響を受けます。近年は、中国市場における日系自動車メーカー販売減少、新興国メーカー台頭、ECUの統合化等により、技術競争や価格競争が激化しています。
このような環境下で、新製品・新技術開発の遅れやコスト競争力低下が生じた場合には、当社グループの受注減少や収益性悪化につながる可能性があります。
<対応状況>当社グループでは、重点車種での受注拡大、ADB(Adaptive Driving Beam)、ECU、LDM(LED Driver Module)等の拡販、日系メーカーに加え非日系メーカー向け営業強化を進めています。また、展示会(CES等)での情報収集、大学との共同研究、ベンチマーク活動等を通じ、技術トレンド把握や新製品・新技術開発を進めています。さらに、開発プロセス高度化、設計品質向上、グローバル最適開発体制構築、低コストアイテム創出等に取り組んでいます。
今後も、市場・顧客環境変化への迅速な対応、新技術開発力強化、コスト競争力向上を継続してまいります。
⑧海外展開リスク
<リスク概要>当社グループは、世界11か国に生産拠点を設け、海外売上高比率も高い水準にあることから、海外事業に内在する様々なリスクの影響を受ける可能性があります。これらの事象が発生した場合には、生産停止、供給遅延、コスト増加、収益性低下等を通じ、当社グループの業績や事業継続へ重大な影響を及ぼす可能性があります。
(i)予期しない法律または規則の変更
各国における税制、環境規制、労働法制、安全保障輸出管理、通商政策等の変更に加え、保護主義政策、追加関税、輸出入規制等により、生産活動や収益性へ影響を及ぼす可能性があります。
(ⅱ)不利な政治または経済要因
インフレ、景気後退、資源・エネルギー価格高騰、中国市場における日系自動車メーカー販売減少、中国
メーカー台頭等、市場環境変化により事業運営や収益性へ影響を及ぼす可能性があります。
(ⅲ)テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱
米中対立、ウクライナ情勢や中東情勢等の地政学リスクに加え、テロ、感染症、自然災害、物流停滞、サイバー攻撃等により、生産停止や供給遅延が発生する可能性があります。
(ⅳ)為替相場の変動
海外関係会社の現地通貨建て項目は、為替変動により円換算後の業績及び財政状態へ影響を受ける可能性が
あります。一般に、円高は当社グループ業績へ悪影響を及ぼす可能性があります。
<対応状況>当社グループでは、国際本部を中心に、各地域の政治・経済・法規制・市場動向等に関する情報収集とリスク把握を進めています。海外拠点では、法令遵守、安全管理、労務管理、情報セキュリティ対応、在庫管理、複数購買等を実施するとともに、物流停滞や自然災害等への対応を進めています。また、本社から派遣される駐在員を中心に、各地域の事業運営及びガバナンス強化を進めるとともに、現地生産・現地調達推進により為替影響低減に努めています。
一方で、海外リスクは政治、経済、法規制、地政学、物流等、多岐にわたり、変化速度も速いことから、全てのリスクを事前に予見・回避することは困難です。今後も、海外関係会社との連携強化、地域リスク把握、現地人材育成等を継続してまいります。