有価証券報告書-第119期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 12:49
【資料】
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【項目】
147項目

事業等のリスク

当社グループの戦略・事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。重要なリスクのうち、自然災害等の危機発生時の危機管理体制については、会社の事業継続を図る観点から「TRAD 事業継続計画書」を定め、BCM(事業継続マネジメント)体制の構築をすすめております。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)新型コロナウイルス感染拡大
新型コロナウイルスの感染拡大は、2020年度前半において、主要取引先の生産停止・減産、及びサプラインチェーンへの影響により、当社グループにも、深刻な影響を与えました。2020年度後半から現在にかけては、落ち着きを見せておりますが、今後の状況いかんによっては、再び、当社グループの経営成績及び財政状況等に影響を及ぼす可能性があります。当該感染拡大リスクは、主に以下のリスク(2)海外事業展開、(3)経済状況、(4)OEM製品への依存、(5)災害等の発生、(7)設備投資に関するものであり、これらのリスクに対しては、「(2)経営環境及び対処すべき課題⑦新型コロナ感染への対応」に記載した対応により、リスクの低減を図ってまいります。
(2)海外事業展開
自動車業界を中心とする当社グループの取引先は、新しい市場への対応やコスト削減のためグローバル化が進展しており、今後もますます全世界的に進展していくものと思われます。これに対応するため当社グループは積極的な海外事業展開を進めており、すでに米国・欧州・アジア・中国に進出しております。また、今後もさらなる海外事業展開が必要となります。
一方、海外事業の拡大には以下のようなリスクが内在しております。
①関税制度をはじめとする法規制の予測不能な変更
②政治的な不安定要因
③人材確保・教育の難しさ
④テロ・戦争・伝染病の流行などによる混乱
⑤為替相場の変動による採算の悪化や、損失の発生
これらのリスクが顕在化することにより、当社グループの経営成績及び財政状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(3)経済状況
当社グループの製品の需要は、当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受ける可能性があるため、日本はもとより主要な市場である米国、欧州、アジア、中国における景気悪化及びそれに伴う需要減少は当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。とくに、建設産業機械用熱交換器につきましては、好不況の影響により、販売数量が大きく増減しますが、当社グループの生産設備・人員等は、販売数量が増加した場合に備えたものとなっており、販売数量が大幅に減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状況等に大きな影響を及ぼすこととなります。
(4)OEM(※)製品への依存
当社グループの販売は、OEM製品の依存度が大きく、そのため自動車メーカー及び建設産業機械メーカー等顧客企業の業績不振、価格の値引き及び調達方針の変更等は当社グループの経営成績及び財政状況等に多大な影響を及ぼす可能性があります。また、OEM取引においては、当社グループ独自の観点のみで、事業撤退等の経営戦略を決定することが、困難であり、不採算事業の継続等により、当社グループの経営成績及び財政状況等に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(※)Original Equipment Manufacturer「相手先(委託者)ブランド名製造」
(5)災害等の発生
当社グループは、国内外に事業拠点を有しており、地震、台風、洪水等の自然災害や新型ウイルスなどによる疫病流行の発生時の事業継続に備え、BCM(事業継続マネジメント)体制の構築をすすめております。しかし、予想を超える規模の被災により、物的資源・人的資源への重大な影響や、ライフライン・輸送ルート等の寸断などによる生産の中断といった事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状況等に多大な影響を及ぼす可能性があります。また、災害の影響が、当社グループに直接大きな影響を与えない場合においても、当社取引先に重大な影響を与えた場合、当社グループにおいても、生産の中断を余儀なくされ、当社グループの経営成績及び財政状況等に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(6)品質不具合
当社グループでは、品質保持・向上を最重要課題と考え、グローバルな品質保証体制の構築を目指しております。自工程での品質保証、過去の不具合に学び失敗を繰り返さないなどの活動の浸透を進め、万全の体制をもって製品の生産に努めております。ただし、万が一、主要製品において、予期せぬ品質不具合が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状況等に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(7)設備投資
当社グループにおいては、新機種対応等において、新たな設備投資が必要になるため、設備投資額が多額に上っております。設備の汎用化などにより、設備投資額を抑制する活動は実施しておりますが、一定の品質水準の確保などの観点から、ある程度の設備投資が必要となります。このため、多額の設備投資を実施した事業において、販売減少等により、想定した利益確保ができない場合、多額の減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状況等に多大な影響を及ぼす可能性があります。
(8)原材料価格の上昇
当社グループが購入する主要な原材料はアルミ・銅などの非鉄金属ですが、これらの購入価格は非鉄金属市場の市況の影響や為替相場により、変動するリスクを持っております。購入価格の上昇分を販売価格に転嫁できる取引先もありますが、転嫁できない取引先や、一部の転嫁にとどまる取引先もあります。また、購入価格上昇時と、転嫁時の時期的なずれもあり、原材料価格の上昇リスクが、当社グループの経営成績及び財政状況等に影響を与える可能性があります。
(9)自動車業界における環境変化
当社グループの所属する自動車業界を取り巻く環境は大きく変化しており、グローバル化による競争激化や、次世代自動車対応が重要な課題となっております。当社グループにおいても、低コスト製品の開発や、ハイブリッド車・電気自動車・燃料電池車等の車両電動化に対応した冷却システムの開発を進めております。これら新技術に対応した商品の開発の遅れや、競合相手先における画期的な技術開発により低価格・高性能な製品が市場に投入された場合、取引先における当社グループのシェアの低下や、採算の悪化により、当社グループの経営成績及び財政状況等に影響を及ぼす可能性があります。