有価証券報告書-第91期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/24 16:02
【資料】
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【項目】
160項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、次の社訓、経営理念、経営方針及び行動指針を経営の基本方針として掲げ、企業活動を行っております。
<社訓>1.社会の信用を "Gain Trust from Society"
2.企業の繁栄を "Seek Prosperity for Company"
3.相互の幸福を "Share Happiness with Everybody"
<経営理念>当社グループは、誠意と新しい技術の創造によって、価値ある商品、サービスをグローバルに提供し、顧客・株主・従業員をはじめ、全ての関わる人々の幸福を実現します。
<経営方針>当社グループは、業界トップクラスの「コスト競争力・品質水準・技術水準」を基盤として、グローバルで自動車内外装部品の専門メーカーとしての地位を確立するために以下の3点を基本方針としております。
1. 継続してお客様に満足される最高水準の品質を提供する
2. 常に自動車部品業界をリードする先進技術を生みだし、商品化に繋げる
3. 永続して高収益を出せる強靭な体質を構築する
<行動指針>-Act with Ownership!-
自ら考え 自ら行動
最後までやり抜く
より速く、より早く 結果で示す
(2) 目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2022年度から2024年度にかけての中期経営計画として、「Athletes Kasai 24+」と題して以下の連結業績目標と3つの項目を基本方針に掲げ、会社の健全化を図り持続ある成長を遂げるため、それぞれの項目に係る取り組みを進めております。
(単位:億円)
連結業績目標
2022年度2023年度2024年度
売上高1,6601,7701,810
営業利益125065
親会社株主に帰属する当期純利益03050

(注) 1 為替レートは1米ドル105円(2021年に本計画を作成した時点)を想定しております。
2 上記指標につきましては、有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、実際の実績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
1.リーンな企業体質の実現を加速
~数値目標と達成施策~
2.モビリティ快適空間の創造
~成長戦略~
3.KASAIサステナビリティ
~SDGsへの取り組み~
(3) 当社グループを取り巻く経営環境
<企業構造>当社グループは、自動車分野を事業領域と位置づけ、研究開発・生産技術開発・営業活動を担っている当社を中心に、世界各国において製造・販売を行う各事業会社で構成されております。各事業会社は、それぞれの国において、得意先への納入体制を確立し、自律した形で事業運営を行っております。
⦅事業を行う市場の状況⦆
当社グループの事業領域である自動車業界では、企業間の競争が世界規模でますます激しくなっております。また、新型コロナウイルス感染症の長期化や世界的な半導体の供給不足は自動車業界全体に影響を及ぼしており、各自動車メーカーは稼働調整を行うなど、当社の事業運営にも世界規模で影響しております。
このような経済環境の中、市場の回復は見通しにくい状況にありますが、当社では更なる発展を目指して、経営基盤の強化を進めているところであります。
⦅主要製品・サービスの内容⦆
当社の主力事業は、ドアトリム・ルーフトリムをはじめとする自動車内装トリムシステム部品の企画・開発・生産であります。当社は独立系部品メーカーとして、全自動車メーカー(OEM)に対しビジネスの門戸を拡げ、高級ブランド車から軽自動車、商用車に至る幅広い得意先ニーズにお応えするために、企画・開発・設計・実験、そして生産に至る一貫した体制で高品質、低コストの製品づくりを追求しております。
⦅顧客基盤⦆
主得意先は、日本の自動車メーカーであります。自動車メーカー各社の海外現地生産に追従し、当社は1986年(昭和61年)の北米を皮切りに、積極的な海外展開を進めてまいりました。近年、飛躍的な成長を遂げている中国やアジア諸国においてもすでに供給体制を構築しており、全世界にネットワークを確立しております。製品の現地開発・生産を進めるとともに、非進出国における現地部品メーカーとの技術援助契約の締結、そしてこれらを統括管理するワールドワイドな経営の確立にも努め、グローバルな競争力強化を図っております。
<競争優位性>当社は内外装トリムシステムサプライヤーとして、キャビントリム・ラゲッジトリム・防音部品など取扱製品の性能向上に取り組むとともに、車室全体からの視点で、「環境」「安全」「魅力/快適」の3つのテーマで次世代自動車の開発を支える製品・技術開発を進め、未来を先取りする付加価値の高い製品づくりに取り組んでおります。当社は世界各地に生産拠点があり、それぞれの地域や得意先に対応するための開発機能を持っております。製品設計から制作までを一貫して行う開発体制と、お客様にご満足いただける製品を提供するためのグローバルに統一・強化された生産体制で、自動車内外装部品の新しい価値を創造する製品を提供してまいります。
<販売網>当社グループは高い技術力とともに、最高の品質と価格競争力をもった製品をグローバルに供給するために、国内はもとより、世界12か国に所在する子会社等を通じて販売網を確立しております。
(4) 会社の対処すべき課題
当社グループの対処すべき課題は以下のとおりと認識しております。
・当社グループを取り巻く経営環境は、自動車メーカーのグローバル事業拡大により新興国を含むグローバルでの事業戦略の重要性が増しております。
このような経営環境の中、中期経営計画にて定めた、①リーンな企業体質の実現を加速 ②モビリティ快適空間の創造 ③KASAIサステナビリティ方針を実現することが不可欠であり、目標の達成に向けた諸施策の具体化により、引き続き当社グループ一丸となって収益回復に努め、新たな飛躍に向かって以下の取り組みを行ってまいります。
1.お客様にご満足いただける高い品質の継続的な確保、体制の強化による適正なコストの実現
2.最適設計、先進生産技術の導入及び適切な調達活動によるコスト競争力の強化
3.グローバルでの経営資源の最適配置及び人財の育成
主要な施策として以下の取り組みを行ってまいります。
1.フットプリント戦略
(北米地区)
•北米フットプリント戦略 (米国からメキシコへ生産移管)
•米国の工場再編
•北米事業の見直し (材料費・加工費・物流費等の合理化等)
(アジア地区)
•日本の工場再編
2.間接機能の見直し
(北米地区)
•北米人員体制の適正化
(アジア地区)
•日本人員体制の適正化
•グローバル開発体制の効率化 (開発プロセス標準化)
•設備投資合理化 (設備標準化・設備リサイクル等)
•アセアン地域の間接機能統合 (タイ法人によるインドネシア法人の子会社化)
以上を踏まえ、当社グループとしては引き続き一丸となって、経営目標の達成に向けた諸施策の具体化と経営基盤の強化に努めてまいります。
なお、2023年3月期の連結業績予想を以下のとおり見込んでおります。為替レートにつきましては、1米ドル120円を想定しております。
(連結業績予想)
売上高 1,800億円
営業利益 12億円
経常利益 16億円
親会社株主に帰属する当期純利益 0億円
(5) 気候変動への取り組みとTCFDが推奨する情報開示への対応
当社は、環境にやさしい製品開発に取り組むことをグループ経営の重要な課題と位置付け、脱炭素社会に向けて環境負荷を低減するための活動に取り組んでおります。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が推奨する情報開示の枠組みである「測定基準と目標」・「気候変動が与えるリスクと機会」などを活用して目標を設定し、その目標を達成させるための活動によって生じる自社のリスクや機会の抽出・評価を行い、その対応策を事業戦略に反映させていきます。なお、TCFDに基づく情報開示につきましては、以下の当社ホームページにて公開しております。⦅https://www.kasai.co.jp/sustainability/environment/carbonneutral/⦆