有価証券報告書-第9期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/24 16:27
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【項目】
119項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経営環境は、世界的には欧州の財政問題や黒海周辺並びに中東の地政学リスクが年度を通じて経済の不安定要素であった一方、エネルギー資源は需給の変化によって秋以降に原油価格が大きく値下がりいたしました。日本では、10月に打ち出された日本銀行の追加金融緩和策によって為替相場の円安が進行する中で企業の生産活動や設備投資が年度を通じて底堅く推移し、4月の消費税率の引き上げ以降軟調だった個人消費も雇用や所得の改善を受けて、年度末にかけては持ち直しの動きが見られました。また、日経平均株価が3月に約15年ぶりの高値水準にまで上昇し、日本の景気の先行きには大きな期待が寄せられております。米国では、金融緩和が継続される中、設備投資の増加が続くなど、企業の生産活動が総じて伸長しており、これに雇用環境の改善や個人消費の増加が伴い景気は回復が続いております。中国では、経済成長が踊り場を迎えておりますが、アジア・大洋州地域では、インド経済が成長軌道を取り戻し、落ち込んでいたタイ経済も回復の兆しを見せつつあります。
自動車業界においては、日本では6月までは消費増税前の受注残が生産を下支えしたものの、夏以降は需要の低迷が続きました。北米では好調な自動車販売が持続しておりますが、中国では景気減速の影響が自動車販売にも及んでおり、販売台数の伸びは鈍化傾向にあります。一方、タイでは自動車需要の低迷が続きましたが、期末にかけては回復の兆しが見え始め、インドでは新車販売が増加基調で推移いたしました。
このような中、当社グループでは、第4次中期事業計画の経営方針である「全世界の競合他社を凌駕する競争力と技術力で、お客様ニーズに最大限お応えする」に沿って、これまでに培ってきた技術力やグローバル展開を活かし、取引先開拓をはじめとする受注拡大に努めてまいりました。
当連結会計年度における事業活動の主な実績といたしましては、生産領域においては、北米では、ケー・ティ・エイチ・パーツインダストリーズ・インコーポレーテッドに大型サーボプレス機の導入を進めており、需要地での能力増強と自動車フレームに採用される鋼材の高強度化への対応を図っております。中国では、今後の生産量の増加と超高張力鋼板の採用拡大を見据えて、武漢愛機汽車配件有限公司に大型サーボプレス機の導入を決定いたしました。また、広州愛機汽車配件有限公司と清遠愛機汽車配件有限公司で進めていた大型プレス機の増設と溶接ラインの増強が完了いたしました。インドでは、主力得意先の生産増加を背景に、更なる受注拡大を狙い、エイチワン・インディア・プライベート・リミテッドがラジャスタン州に第2工場を新設し、溶接ラインが稼動を開始するとともにプレス機の導入準備を進めております。インドネシアでは、ピー・ティ・エイチワン・コウギ・プリマ・オート・テクノロジーズ・インドネシアにおいて金型鋳物工場が製造をスタートし、これにより金型素材から金型製作までの一貫体制が整いました。日本では、生産効率の向上を目的に、栃木県・烏山工場の量産機能を福島県・郡山製作所に集約いたしました。
開発技術領域においては、自動車フレームの高性能化に対応する研究開発・技術開発を進める中で、1,180MPa級の高張力鋼板を用いたフレームの量産を実現、また、軽量化と衝突安全性、デザイン性を高次元で融合できる3次元熱間焼き入れパイプの技術、軽量化に寄与するプレス部品のレーザー連続接合技術からなるフレーム部品が新型車に採用されることになっております。
以上を受けた当連結会計年度における経営成績は、当社グループの自動車フレームの生産量は前期からほぼ横ばいであったことに加えて、厳しい価格競争や生産に占める小型車の割合が高まる傾向を受けて1台当たりの単価は下落傾向にある中、インドネシアの子会社(ピー・ティ・エイチワン・コウギ・プリマ・オート・テクノロジーズ・インドネシア)を新たに連結の範囲に含めたことや為替換算上の影響があり、売上高は1,857億50百万円(前期比3.2%増)となりました。利益面では、減価償却費の増加や日本での生産減少の影響、中国でのモデルミックスの悪化、インドネシア事業の操業開始の初期コストなどの要因により、営業利益は22億32百万円(同58.0%減)、支払利息の増加や持分法による投資損失を要因に営業外損益が前期に比べ悪化したことから、経常利益は16億59百万円(同70.7%減)、法人税等調整額が増加した影響があり当期純利益は2億92百万円(同91.6%減)となりました。
セグメントの業績につきましては、次のとおりであります。
①日本
主力得意先向けの自動車フレームの生産が前期に比べて減少したことに加え、厳しい価格競争が影響し、売上高は511億27百万円(前期比6.6%減)となり、在外子会社からの受取配当金の減少も加わり経常利益は8億円(同69.9%減)となりました。
②欧州・北米
自動車フレームの生産が前期に比べてやや減少したものの、為替換算上の影響があり売上高は859億60百万円(前期比6.5%増)となり、当連結会計年度から持分法の範囲に含めたジーワン・オート・パーツ・デ・メキシコ・エス・エー・デ・シー・ブイに係る持分法による投資損失が加わったことにより経常利益は13億27百万円(同22.5%減)となりました。
③中国
自動車需要の増加に支えられ当社グループの中国生産は前期に比べ増加した一方で、モデルミックスが悪化いたしました。しかしながら人民元に対する円安の進行が為替換算上でプラスとなり、売上高は331億65百万円(前期比4.3%増)となりました。経常利益は、減価償却費の増加が加わり14億72百万円(同54.4%減)となりました。
④アジア・大洋州
タイの生産が減少したものの、インドにおいては自動車フレームの生産が増加し、また、当連結会計年度からピー・ティ・エイチワン・コウギ・プリマ・オート・テクノロジーズ・インドネシアを新たに連結の範囲に含めたことなどにより、売上高は274億68百万円(前期比16.3%増)となりました。利益面では、前期に比べタイでは損失が縮小し、インドは増益となりましたが、ピー・ティ・エイチワン・コウギ・プリマ・オート・テクノロジーズ・インドネシアの操業開始の初期コストが影響し経常損失10億46百万円(前期は経常損失4億35百万円)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、売上債権やたな卸資産の増加、有形固定資産の取得による支出、短期借入金の減少や長期借入金の返済による支出などによる資金の減少要因がありましたが、税金等調整前当期純利益や減価償却費、長期借入による収入などの資金の増加要因によって50億15百万円(前連結会計年度末比4億35百万円増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前期に比べ減価償却費が43億13百万円(36.6%)増加するなどの資金の増加要素があった一方、税金等調整前当期純利益が前期に比べ41億69百万円(72.8%)減少したことや、たな卸資産の増加額28億15百万円(前期はたな卸資産の増加額36百万円)、仕入債務の減少額5億50百万円(前期は仕入債務の増加額35億84百万円)などの資金の減少要素により、前期に比べ89億23百万円(49.7%)減少の90億27百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、有形固定資産の取得による支出が前期に比べ23億21百万円(8.1%)増加したことなどにより、前期に比べ33億54百万円(12.1%)増加の310億93百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、短期借入金の純減少額84億48百万円や長期借入金の返済による支出が121億31百万円となった一方、長期借入れによる収入394億10百万円などにより、前期に比べ122億51百万円(140.4%)増加の209億80百万円となりました。