有価証券報告書-第46期(令和2年6月1日-令和3年5月31日)

【提出】
2021/08/26 10:59
【資料】
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【項目】
135項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、1977年の創業以来、「光産業を通じ、社会に貢献する」という経営理念に基づき、光科学分野の基礎研究と応用技術開発を支える光学製品の総合メーカ「光ソリューション・カンパニー」として事業に取り組んでまいりました。当社グループの経営資源を最適に配分して、弛まぬ「ものづくり」への挑戦により、グローバルマーケットでの競争力の向上と新たな価値の創出に取り組んでいます。又、当社グループのブランド・ステートメントとして掲げる「Light Solutions for Life® 」は、「暮らし」や「いのち」を支える価値ある光ソリューションを提供するという、当社グループの事業姿勢を表しております。当社グループは、持続可能な地球環境の実現に配慮し、事業を通じて社会に役立つ製品を安定的に供給するという当社グループの経営理念の実現に向けて挑戦・創造する人材を育成するともに、広く社会に貢献する活動を行うことで、当社に関わる全てのステークホルダーの皆様のご期待に応えられる企業集団を目指してまいります。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、より強固な経営基盤の構築を推進し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るべく、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益と売上高営業利益率、自己資本利益率(ROE)を重視し、収益力の向上に取り組んでおります。
(3) 当社を取り巻く経営環境
当社グループは、光ソリューションで最先端の光技術を支える光学製品及びその周辺機器の総合メーカとして、光技術の研究・開発分野で蓄積した最先端の技術・情報・ノウハウを駆使し、学術分野、産業分野に幅広く展開しています。
量子、時間計測・情報通信、材料、バイオ・ライフサイエンス、天文等の光科学を応用した基礎研究や学校教育等の学術分野はもとより、半導体、電子部品、フラットパネルディスプレイ(FPD)、次世代通信、センシング、ナノテクノロジー、バイオ・ヘルスケア、医療・美容、航空・宇宙、エコ・エネルギー等の産業分野に対して、お客様が求める製品仕様に適した高性能・高品質・高信頼性の光学部品・光学モジュール・光学ユニット製品を提供しております。
このような当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症の影響等により世界経済が減速傾向で推移した中でも、中国・アジア地域等を中心に持ち直しの動きが見られ、緩やかな回復の兆しが見られました。特に電子部品・半導体関連を中心としたエレクトロニクス業界での設備投資需要の回復等により、当社グループの受注・売上も期後半から回復基調で推移し、通期では前年比で増加いたしました。研究開発分野、産業分野のマーケットトレンドである、更なる「微細化」、「高精細化」、「高精度化」というキーワードの下、新たな光技術に対応する最先端の光学製品の需要も見られる等、今後の事業機会は拡大していくものと考えております。
(4) 中長期的な会社の経営戦略等
レーザ光技術を中核技術とする光産業は、21世紀をリードする基幹産業のひとつです。
光を用いて物質を「加工」「観察」「計測」する等の光科学分野の基礎研究と技術開発の成果は、今や、私達の生活の様々な所で活用されており、まさに「光の時代」の到来を迎えようとしています。研究開発分野・産業分野においては、更なる「微細化」、「高精細化」、「高精度化」というニーズの高まりにより、新たな光源に最適な高度な光技術が欠かせなくなっており、「光ソリューション・カンパニー」である当社グループの事業機会は今後ますます拡大してまいります。
そのような中、当社グループは、お客様のニーズに最適なソリューションと付加価値の高い製品をご提供するためには、「光技術の革新」を先見し、市場環境・技術トレンド・社会情勢等の変化への対応力を高めることが重要だと認識しています。
「光」の可能性を1つずつ形にしてきた「光ソリューション・カンパニー」である当社グループは、お客様に新たな価値を提供し、社会に貢献する企業であり続けるため、中長期的に下記の経営戦略を推進してまいります。
・大学・公的機関の研究開発分野や産業分野との連携による最先端の知の融合
・光学技術等の中核技術を融合した高付加価値かつオンリーワンの新製品開発
・お客様の品質・価格・納期等の多様なニーズに応えるものづくり力の向上
・経営理念の実現のため、積極的に新たな価値の創出に挑戦する人材の育成
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、中長期的な会社の経営戦略に基づき、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題を、以下の項目と認識しており、重点的に取り組んでまいります。
<重点取り組み事項>①営業・マーケティングの強化
積極的な国内外の有力光学展示会への出展や「光ソリューション・カンパニー」ならではの提案営業によるお客様との紐帯強化を推進いたします。又、グローバル・ウェブカタログ・システムやウェブでの動画による製品紹介、オンラインを活用したフォーラム・セミナー開催等によるお客様とのコミュニティの構築、お客様の属性情報等のデータを活用した情報提供等を推進し、「OptoSigma」ブランドの認知度向上とグローバルマーケットでの需要創出に努めております。
又、最先端の光技術の研究開発を行っている大学や研究機関等との長年にわたる信頼関係の下、当社グループの国内外のネットワークを生かした産官学の連携・協働による最先端の光技術の知の融合に取り組み、光技術の新たな可能性を広げる様々なプロジェクトにも参画しております。
②ものづくり力の強化
最先端の研究開発分野やコスト競争の激しい産業分野の多様なニーズに対応すべく、「品質の向上と安定」、「コストダウン」、「短納期化」を強力に推進しております。「光ソリューション・カンパニー」である当社グループだからこそ可能な、商品企画・開発から試作、検証、量産まで一貫してご提案するワンストップサービスと、光学技術、機械加工、電気設計、ソフト開発、システムアップ等の中核技術の融合により、競合他社との差別化を図ってまいります。
既存製品については、機能性や操作性等のユーザビリティの向上による高付加価値化を推進いたします。
又、有力な研究機関や産業分野民間企業とのネットワークを生かした連携・協働によって、最先端の技術・情報・ノウハウを駆使した、オリジナリティのある新製品開発に取り組んでおります。
・要素部品事業
新しい生産技術・量産技術開発やグローバルサプライチェーンの強化、最先端の設備投資と弛まぬ生産効率化等による生産コストの低減、キー・テクノロジーの開発の強化による製品機能・品質の向上、生産・営業・技術の各本部の垣根を越えた連携による開発スピードの向上等により、競争優位性の高い製品の開発・生産を推進してまいります。
・システム製品事業
有力成長分野の研究機関や産業分野のニーズをいち早く捉えて、中核光学技術の優位性を生かせる高付加価値の光学モジュール・光学ユニット製品の開発体制の強化と量産体制の構築により、グローバルマーケットでの販売展開を推進いたします。
③経営管理体制の強化
当社グループのCSR基本方針・行動規範の下、今後の経営環境の変化に応じた適切な内部統制システムとコンプライアンス体制の更なる整備、維持、改善に努め、コーポレート・ガバナンスを強化し、適切かつ誠実に企業活動を推進してまいります。又、「環境、社会、企業統治(ESG)」の観点を積極的に経営に取り入れ、当社経営理念である「光産業を通じ、社会に貢献する」の実現に向け、持続可能な社会の創造に貢献すべく業務に邁進してまいります。これらの取り組みにより、株主の皆様をはじめとするステークホルダーの利益に適う経営を行ってまいります。
今後の先行きが不透明な経営環境の下、経営基盤の強化のため、ITシステムや生産設備の導入・構築による各事業部門の業務の省力化・合理化を推進し、コスト低減を図ってまいります。
又、優秀な人材の採用や社員エンゲージメントの向上、生産性の向上に向け、ワークライフバランスを実現するための就業環境を整備いたします。同時に、次世代を担う人材の育成のため、社員の能力開発・向上のための研修制度や人事評価制度の改善等を積極的に行ってまいります。