有価証券報告書-第24期(平成25年8月1日-平成26年7月31日)

【提出】
2014/10/29 15:04
【資料】
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【項目】
93項目

事業等のリスク

以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があるものと考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、以下の特別記載事項を慎重に検討した上で、行う必要があると考えられます。
① 特定業界及び特定顧客に売上が集中していることについて
当社グループでは、特定顧客の需要の変化に影響を受けない企業体質の構築を図るため、当社製品の多様化を進めるとともに、新規顧客の獲得を積極的に進めておりますが、当社製品の主な顧客が通信事業者及び通信機器メーカの研究開発部門、製造部門等に集中しているため、その需要は、通信事業者及び通信機器メーカの経営動向、通信ネットワークの開発進捗及び事業展開の方針に大きく影響を受ける可能性があります。
当社グループといたしましては、より幅広い顧客層を獲得すべく市場開拓を進め、事業を行っていく予定でありますが、この意図に反して、特定顧客、特定事業への集中が緩和されない場合、今後とも特定顧客、業界の業況に強く影響を受ける可能性があります。
② 通信新技術開発段階での受注状況が与える影響について
当社グループのモバイルネットワーク事業の製品は、通信事業者や通信機器メーカの研究開発部門での新技術開発の初期段階や新規格の制定直後から使用され、その後、その下流に位置する製造部門、保守部門で使用されます。当社グループは、当社製品が最新技術に対応した製品として採用されるべく、通信事業者及び通信機器メーカの研究開発部門に積極的に働きかけを行いますが、ここで当社製品が採用されなかった場合、すなわち競合他社の製品の採用が決まった場合、研究開発部門と以後の製造部門や保守部門の受注動向に大きく影響を与えることになり、業績に悪影響を与える可能性があります。
③ 当社製品の納期遅延及び不具合による顧客企業の開発計画への影響について
当社グループは、製品の品質向上と納期厳守に最善の努力をしておりますが、近年、通信業界における技術開発競争は熾烈を極め、開発期間が数ヶ月という極端に短いプロジェクトもあります。このような場合において、納期通り開発が完了しなかったり、当社製品の不具合により顧客の開発計画に影響が発生した場合、顧客との契約内容によっては遅延金請求を課せられ、業績に悪影響を与える可能性があります。
④ 製造中止部品発生に伴う製造への影響について
近年、電子部品の技術革新が急速であるのに対し、当社グループのハードウェア製品は、3年から7年と比較的、製品寿命が長く、当社製品が出荷途中に採用している電子部品の製造が中止される可能性があります。当社は出来るだけ寿命が長く、供給状況が安定した電子部品の採用や入手経路の多様化に努力をしておりますが、仮に当社製品で採用する電子部品が製造中止になった場合、プリント基板の開発及び製造を再度行うことを余儀なくされ、製造計画に遅延が発生し、業績に悪影響を与える可能性があります。
⑤ 受注見込みに基づくソフトウェア先行開発について
当社グループでは、比較的大規模な受注が見込める特定顧客から開発依頼があった場合、売買契約を締結する以前の状態においても、顧客との信頼関係に基づいて、製品のソフトウェア部分の開発を開始することがあります。これは、出来るだけ早く開発を開始し、顧客に早く製品を提供することによって、短期間に市場を獲得するための戦略であります。また、仮に受注が発生しなくても、当該特定顧客内の他部門や他社から需要が発生した場合に、当社グループが著作権を所有し、特に制約を受けることなく販売できるようにするためであります。当社グループでは、現在までこのような場合において、特に大きな問題が発生した例はありませんが、今後、同じような状況において、開発を開始した後に、顧客との信頼関係を損なったことにより、売買契約が締結できなかった場合や他の顧客から需要が発生しなかった場合、多大な損失を受ける可能性があります。
⑥ 特許権及び著作権の設定状況について
当社グループは、システムで構成される当社製品について特許の申請を行っておりません。これは、特許の申請により当社グループ技術の公開が行われ、それをもとにした類似の技術が開発されるのを防ぐためであります。また、当社グループは、パッケージソフトウェアで販売する製品を除いては、ソフトウェアについても著作権登録を行っておりません。当社グループのソフトウェアの中核をなす部分は、標準化団体が公開しているプロトコル仕様を通信計測機として利用可能なプロトコルソースコードに書き換えたソフトウェアであり、著作権登録で保護することの重要性が低いと思われるためであります。会社設立以来、現在に至るまで、他社の知的所有権を侵害しているとして、当社グループに対してクレームないし訴訟の提起がなされた事実は存在しませんが、今後も知的所有権を理由とするクレームないし訴訟の提起がなされないという保証はなく、訴訟の事態が発生した場合には、当社グループの製品開発速度に影響が生じ、当社グループの業績に悪影響を与えるおそれがあります。
⑦ 内部管理体制について
当社グループは平成26年7月31日現在、情報開示に対応できる内部管理体制を保持しておりますが、少人数に依存した運用を行っているのが現状であります。この状況を改善するために、人員の採用及び育成を行っておりますが、充分な管理体制の確立以前に管理部門の各従業員に業務遂行上の支障が生じた場合や社外流出した場合、代替要員の不在、事務引継手続きの遅延等の理由によって当社グループの管理業務及び株主に対する情報開示業務に支障が生じるおそれがあります。
⑧ 人材獲得について
当社グループの競争力の源泉である製品の性能及び機能は、開発エンジニアの開発力に大きく依存しております。今後とも継続的な成長を維持するためには、開発エンジニアの新規採用は重要であります。また、営業部門及び管理部門においても優秀な人材が必要となります。したがいまして、今後も人材獲得を経営における最重要課題のひとつと捉え、努力してまいりますが、計画通りに人材が確保できる保証はありません。当社グループが適正な人材確保に失敗し、重要な役割を担う社員が退職した場合、当社の業務に支障が生じることになります。とりわけ、開発部門の優秀なエンジニアの採用が計画通り進まない場合、製品開発の進捗に大きな影響を与え、業績に悪影響を与えるおそれがあります。
⑨ 海外進出について
当社グループは、世界の通信事業者との販売チャネル及び最先端技術を有する顧客との関係確立を目的とした海外拠点の設立あるいはパートナー企業との業務提携等を行っております。しかしながら、電磁波障害規制等の各国・地域に存在する様々な法的規制等に関して予期せぬ新設、改正等が行われた場合、当社グループの業績に悪影響を与えるおそれがあります。また、各国通信事業者の経営動向による次世代通信システムへの移行の遅れ、事業免許交付の遅延、為替レートの変動、ビジネス慣習の違い、その他の不確定要素が多数存在しており、これらは当社グループの業績に悪影響を与えるおそれがあります。
⑩ 新規事業について
現在、当社グループでは、従来からのコアビジネスである通信計測機市場での競争力、ノウハウを活用し、新市場でのプレゼンス構築を行っております。しかしながら、現状では、新市場でのプレゼンスは高くなく、事業上の経験も不足しているうえ、その他の不確定要素の多数の存在は、当社グループの業績に悪影響を与えるおそれがあります。
⑪ 製造物責任等について
当社グループでは、電波法による規制を受ける製品を開発しております。製品及びサービスの品質確保、法的規制等への適合には細心の注意を払っておりますが、不具合が生じた場合や法的規制等に適合していないことが判明した場合、製品の回収や修理が必要となります。また、製品の欠陥が理由で事故が生じた場合、コンシューマ向け製品では、製造物責任法による損害賠償の請求を受ける可能性があり、結果として当社グループに対する社会的信用が低下する等、当社グループの事業及び業績に悪影響を与えるおそれがあります。
⑫ 情報管理について
当社グループでは、製品の販売、サポート等を通じて個人情報、その他事業に関する営業秘密を保持しております。当社グループでは、取得した個人情報等の外部漏洩を防止するため、情報管理に細心の注意を払っておりますが、個人情報等の漏洩が生じた場合、法令違反、取引先企業との守秘義務違反を引き起こす可能性があります。こうした事態が発生した場合、損害賠償請求や当社グループに対する社会的信用の低下等により、当社グループの事業及び業績に悪影響を与えるおそれがあります。
⑬ 大規模災害等について
当社グループ及び当社グループの取引先の事業拠点が地震、洪水、火災等の災害により物的・人的被害を受けた場合、または、社会インフラに著しい被害が生じた場合、開発、製造、調達、物流等の機能が停止する可能性があり、当社グループの事業及び業績に悪影響を与えるおそれがあります。
⑭ 配当政策について
当社グループは①中長期的な成長戦略を遂行するための投資資金確保、②利害関係者に対する安定的な利益配分、③資本効率を考慮した資金運用を利益配分の基本方針としております。内部留保の充実と企業体質の強化を図りながら、利益の状況や将来の事業展開などを総合的に勘案しながら配当を実施しております。
今後につきましては、業績の更なる向上を目指し、財務体質の強化を図り、財務状況と経営成績のバランスを考慮しながら配当を実施していく所存ですが、市場の急変や事業計画の大幅な見直し等により、当社グループの業績が悪化した場合には、継続的に配当の実施を行えない可能性があります。
⑮ 継続企業の前提に関する重要事象等
重要事象等の解消について
当社グループは、平成23年7月期、前連結会計年度(平成25年7月期)において、営業損失及び営業キャッ
シュ・フローのマイナスを計上し、将来にわたって事業活動を継続するとの継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりました。
当該状況を解消するため、当社グループは、収益構造の改善、更なる業績の向上を図ってまいりました。当連結会計年度において次世代通信規格の研究開発投資が本格化するなど、当社グループを取り巻く経営環境が変化し、当連結会計年度は営業利益及び当期純利益を計上いたしました。
以上により、第3四半期連結会計年度より継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況は、解消されたと判断しております。