有価証券報告書-第19期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 13:37
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【項目】
87項目
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「医療の質的変化をもたらすティッシュ・エンジニアリングをベースに、組織再生による根本治療を目指し、21世紀の医療そのものを変えてゆく事業を展開する」ことを会社設立の趣旨とし、企業理念である「再生医療の産業化を通じ、社会から求められる企業となる。法令・倫理遵守の下、患者様のQOL(生活の質)向上に貢献することにより、人類が生存する限り成長し続ける企業となる。その結果、全てのステークホルダーがより善く生きることを信条とする」に基づいて、再生医療等製品及び関連製品の開発、製造、販売並びに開発製造受託(CDMO)、開発業務受託(CRO)を行います。
(2) 経営戦略
基本方針:成長軌道を維持し、経費管理の徹底で、収益力強化。
①既存事業の持続的成長
1.自家培養表皮ジェイスは、重症熱傷の標準的な治療として、売上の安定化を図ります。また、医療機関と連携して、母斑の治療法としての認知を高め、受注に繋げます。
2.自家培養軟骨ジャックは、富士フイルムのSYNAPSE VINCENT(3次元画像解析システム)との連携や、移植手技の簡易化・低侵襲化により成長を加速させます。
3.ラボサイトは、発売以来初めての値上げにより収益改善を図るとともに、OECDテスト ガイドライン収載で、再び成長軌道に乗せます。
②新規事業(受託事業)の育成
1.CDMO・CROビジネスを受託事業として、当社の中核事業に育成します。
2.富士フイルムと連携して、グループ外の新規受託先を開拓します。
3.眼科領域では、受託開発品の製造販売承認を取得し、受託製造を開始します。
4.再生医療安全性確保法下での特定細胞加工物の製造受託も展開します。
③経営基盤の強化
1.経営管理本部の設置により、経費管理の徹底(投入と抑制のバランス)を追求します。
2.生産統括本部の設置により、高品質、高効率・低コストの生産を追求します。
3.機能分担、商品開発、海外展開等、富士フイルムグループとのシナジーを追求します。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
(単位:百万円)売上高対前期成長率営業利益営業利益率経常利益当期純利益
平成30年3月期(計画)2,49216.7%28911.5%288266
平成31年3月期(目標)3,19828.3%41212.8%415377
平成32年3月期(目標)3,60012.5%50414.0%506456

(4) 経営環境
平成24年に京都大学iPS細胞研究所 所長 山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したことを契機に、我が国は再生医療を成長戦略の一つとして位置付けました。再生医療への期待が急速に高まる中で、再生医療の普及を迅速に進めるための法整備が進められ、平成26年11月に薬事法は医薬品医療機器等法として改正され、新たに再生医療等製品が定義されると同時に、再生医療等製品に条件・期限付承認制度が導入されました。また、再生医療を安全かつ迅速に実施するための再生医療等安全性確保法が施行されました。そのような状況の下、同種細胞を用いた再生医療製品の開発や、国内外技術導入による製薬企業の参入、iPS細胞による再生医療が臨床応用ステージに入るなどの動きが加速しています。一方で、国民医療費は、高齢化の進展、疾病構造の変化、医療の高度化によって年々増大しており、医療保険制度の持続可能性の確保が喫緊の課題となっています。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社は、会社が対処すべき課題を以下のとおり認識し、その解決に向けた取り組みを展開しています。
①自家培養表皮ジェイスの展開
自家培養表皮ジェイスは、我が国で第1号となる再生医療等製品として平成19年10月に厚生労働省より製造販売承認を受け、平成21年1月に保険収載されました。本品には承認条件及び保険適用に関する留意事項が付与されていますが、医薬品医療機器総合機構に提出した再審査申請の判断によって留意事項が変更される可能性があります。患者死亡等の理由により製造を中止した場合は保険償還されないリスクがありましたが、平成28年4月より保険機能区分が①採取・培養キット、②調製・移植キットの2つに細分化され、保険償還価格も改定されました。保険の算定限度につきましては、引き続き、一連につき40枚とされていますが、これまでに100枚以上使用された例もあることから、学会を通じて算定限度の緩和を求めていきます。
さらに、重傷熱傷の治療に限定されている適応対象の拡大を目的とした開発を進めた結果、平成28年9月に厚生労働省より先天性巨大色素性母斑への適応に関する一部変更承認を受け、同年12月に保険収載されました。これは再生医療等製品の中では、わが国で最初の適応拡大であり、今後、医療現場においてジェイスが母斑の標準治療となるよう、普及を目指し情報提供活動に取り組みます。
②自家培養軟骨ジャックの展開
自家培養軟骨ジャックは、平成24年7月に厚生労働省より製造販売承認を受けました。整形外科領域における我が国初の再生医療等製品であり、平成25年4月に保険収載されましたが、本品には承認及び保険収載の条件として「施設基準」や「実施医基準」等の留意事項が付与されているため、当社は医療機関及び実施医への研修を行う必要があります。当社は保険収載時からこの活動を続け、平成29年3月末には260施設の医療機関が認定施設となりました。現在、国内すべての都道府県でジャックの使用が可能となっています。
なお、平成28年4月に保険機能区分が①採取・培養キット、②調製・移植キットの2つに細分化され、保険償還価格も改定されました。当社は、本品の適正な使用方法について情報提供を行うとともに、承認条件の一つである「再審査期間(7年)中の全症例を対象とした使用成績調査」を適正に実施しております。
また、本品の適応には欠損面積が4cm2以上という条件が付与されています。現在、軟骨欠損はMRIなどの画像で診断されますが、軟骨欠損面積を正確に把握することは技術的に難しいのが現状です。そこで当社は富士フイルム株式会社と協力して軟骨欠損診断の支援技術についても提案していきます。これにより、軟骨欠損の診断を正確かつ容易に行うことができるようになり、ジャックの普及拡大につながるものと考えています。さらに、ジャックの移植手技の簡便化、低侵襲化に取り組むとともに、二次性変形性関節症への適応拡大にも取り組むことでジャックが有するポテンシャルを最大限に引き出していきます。
③自家培養角膜上皮の展開
自家培養角膜上皮は、ニデックからの受託開発です。平成26年10月に治験計画届書を医薬品医療機器総合機構に提出し、治験を実施しています。平成29年3月をもって移植は完了しており、今後フォローアップ治験を進めます。治験遂行においては、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの助成金を活用しています。
当社は、委託元であるニデックと今後の開発方針を協議しながら、治験を遅延なく遂行し、早期の承認取得と保険収載を目指します。
④研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズの展開
研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。動物実験代替への理解促進や認知度向上のため、当社は、動物実験代替法、皮膚基礎科学、幹細胞研究など、最新の研究報告を行うセミナーを開催する等の啓蒙活動を通じて、研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズの拡販に努めます。
平成25年7月、ラボサイト エピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験に関する試験法が、標準法の一つとして経済協力開発機構(OECD)の試験法ガイドラインTG439へ収載されました。当社は、ラボサイト 角膜モデルを用いた眼刺激性試験法に関しても、OECDの試験法ガイドラインへの収載を目指します。
⑤再生医療受託事業の推進
当社は、自社製品の開発で積み重ねた経験と、製造・販売に必要な組織体制を保有しています。これらの蓄積したノウハウと確立したシステムにより医薬品医療機器等法の下、再生医療等製品の開発製造受託(CDMO)事業及び開発業務受託(CRO)事業を展開しています。現在実施しているものに加え、当社は、更なる事業拡大を目指し、富士フイルムと連携しながら新規取引先の開拓に取り組みます。
また、再生医療等安全性確保法で定義される再生医療等提供機関及び特定細胞加工物製造事業者に向けたコンサルティングサービスも進めており、新規受託案件の獲得に取り組みます。
再生医療受託事業を当社の中核事業に育てるため、親会社である富士フイルムと連携しながら、数多くの開発案件の獲得と社内受入体制の整備を通じて、受託事業を社内及び業界内に根付かせることを目指します。
⑥研究開発体制の強化
色素細胞を含む次世代の自家培養表皮を用いた尋常性白斑や、他家細胞で製造した同種培養表皮を用いたⅡ度熱傷などへの適応を目指し、新製品の研究開発を加速させるため、研究体制の強化に取り組みます。
⑦生産体制の強化
受注生産により製造部門に繁閑が生じることで、設備及び人員の非効率な運用が発生するため、製造や検査作業の効率化、自動化を促進します。また、今後の同種製品の開発や再生医療受託事業における製造受託(CMO)にも応用し、コスト削減に努めます。
⑧販売体制の強化
自家培養表皮ジェイス及び自家培養軟骨ジャックの適正使用に関する情報提供及び販売活動、並びに研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズの普及活動において、多くの営業人員を必要としています。販売拡大に向けた営業活動の効率化を図るため、代理店の活用、担当及び人員配置の見直し、営業体制の効率化及び強化に努めていきます。
⑨人事制度の見直し・人材育成の強化
平成28年4月より、新人事制度の導入をスタートしました。公平でチャレンジできる制度や多様な人材の育成を強化する仕組みの構築に取り組んでいます。更に働きがいのある職場環境の整備に努め、人材の強化と会社業績の向上を目指します。
(6) 株式会社の支配に関する基本方針について
①基本方針の内容
当社の財務及び事業の方針を決定する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的に確保、向上していくことを可能とする者であることが必要と考えています。
当社は、金融商品取引所に株式を上場している者として、市場における当社株式の自由な取引を尊重し、特定の者による当社株式の大規模買付行為であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保、向上に資するものである限り、これを一概に否定するものではありません。
また、最終的には株式の大規模買付提案に応じるかどうかは株主の皆様の決定に委ねられるべきだと考えます。
ただし、株式の大規模買付提案の中には、ステークホルダーとの良好な関係を保ち続けることができない可能性があるなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうおそれのあるものや、当社の価値を十分に反映しているとは言えないもの、あるいは株主の皆様が最終的な決定をされるために必要な情報が十分に提供されないものもありえます。
そのような大規模買付行為を行う者は当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考え、かかる提案に対して、当社取締役会は、株主の皆様から経営を負託された者の責務として、株主の皆様のために、必要な時間や情報の確保、株式の大規模買付提案者との交渉などを行う必要があると考えます。
②不適切な支配の防止のための取組み
1.企業価値向上への取り組み
当社は、「医療の質的変化をもたらすティッシュ・エンジニアリングをベースに、組織再生による根本治療を目指し、21世紀の医療そのものを変えてゆく事業を展開する。」ことを会社設立の趣旨とし、「再生医療の産業化を通じ、社会から求められる企業となる。法令・倫理遵守の下、患者様のQOL(生活の質)向上に貢献することにより、人類が生存する限り成長し続ける企業となる。その結果、全てのステークホルダーがより善く生きることを信条とする」という企業理念に基づいて事業を展開しています。当社は、平成19年10月に日本初の製造販売承認を取得した自家培養表皮ジェイス、平成24年7月に製造販売承認を取得した自家培養軟骨ジャックに代表される医薬品医療機器等法の適用を受ける再生医療製品事業と、医薬品医療機器等法の適用を受けない研究開発支援事業を展開しています。
当社は企業価値向上への取り組みとして、年度毎に経営計画を策定し、代表取締役が直接全役職員に説明することにより目標の共有化を図り、全社一丸となって企業理念の実現に向け事業を展開しています。また、再生医療製品事業を推進するにあたり実質的な親会社となる富士フイルムと密接な連携を図ることにより、グループとしてより効率的に取り組んでいます。
当社の具体的な取り組みとして、再生医療等製品のメーカーとして製造販売承認を取得した自家培養表皮ジェイス、及び自家培養軟骨ジャックの製造販売活動を積極的に展開しています。また、自家培養角膜上皮の受託開発に関しても治験を実施しています。その他にも富士フイルム等からの受託開発を行うとともに、海外展開を含めた次期製品並びに将来事業の開発を推進しています。研究開発支援事業につきましては、研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズの販売拡大に注力するとともに、同製品のラインナップを増やすべく研究開発を進めています。これらの再生医療等製品の開発や製造販売を行っていることだけでなく、製造販売承認を取得する過程で培ってきたノウハウ、並びに研究開発支援事業製品の販売拡大が当社の企業価値の大きな要素となっています。
当社は、情報開示体制を整備し、再生医療の啓蒙を兼ねたPR活動を適切に行うことにより、多くの投資家の要望に応えることができる積極的なIR体制の構築、運用に努めています。また、適切に牽制がかかり情報の信頼性を担保する内部統制体制の維持、改善を目的として内部統制基本方針を定め運用しています。また、再生医療事業を行っている会社として魅力のある職場環境の実現に努め、当社の永続的成長に不可欠な社員の育成・充実を図り、海外展開をも視野に入れた人材の育成・強化に取り組んでいます。
このような当社の創業以来の取り組みの積み重ねが、現在の企業価値の源泉になっています。当社は、当社の企業文化の根源である設立趣旨、企業理念を高い次元で実現することにより、社会的意義を高め、経営資源を有効に活用するとともに、全てのステークホルダーとの良好な関係を維持・発展させ、結果として当社の企業価値及び株主共同の利益の向上に資することができるものと考えます。
2.コーポレート・ガバナンスについて
当社は、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するために、経営環境の変化に迅速に対応できる組織体制及び公正で透明性のある経営システムを構築し、これを維持することに取り組んでいます。
当社の取締役会は8名で構成され、その内1名は社外取締役です。取締役会は当社の経営戦略を策定・遂行するとともに、取締役の職務遂行を監督しています。また、監査役3名(うち社外監査役2名)で構成される監査役会は、内部監査室及び会計監査人並びに顧問弁護士と緊密な連携を保ち、情報交換を行い、監査の有効性・効率性を高めています。常勤監査役は取締役会、コンプライアンス委員会及びリスク管理委員会等重要な会議に出席するとともに、業務及び財産の状況の確認を通じて取締役の職務遂行を監査しています。
当社は創業時より、研究・開発事業に関する倫理的妥当性について審査を行うこと、及びヒト組織・細胞等の収集・提供の実施状況など事業全般にわたる倫理的評価を行うことを目的に、企業委員2名、外部委員6名で構成されるJ-TEC倫理委員会を設け適切に運営しています。また、「研究開発におけるヒト組織および細胞の取扱いに関する倫理基本方針」、「自家培養製品に関する倫理基本方針」及び「同種培養製品に関する倫理基本方針」を定めています。
さらに当社では、業務上抱える各種リスクを正確に把握・分析し、適切に対処すべく、継続的にリスク管理体制の強化に取り組んでいます。主管部署は経営管理部が担当していますが、総合的なリスク管理については、リスク管理委員会で討議し、必要に応じて取締役会で検討をしています。また、災害、重大事故、訴訟等の経営に重大な影響を与える事実が発生した場合には、直ちに担当部署から部長、情報取扱責任者、代表取締役に連絡する体制をとり、状況を迅速・正確に把握し対処することとしています。
③不適切な支配の防止のための取組みについての取締役会の判断
上記②に記載した企業価値向上への取り組みやコーポレート・ガバナンスの強化といった各施策は、当社の支配に関する基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

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