有価証券報告書-第21期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/26 13:47
【資料】
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【項目】
110項目
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「医療の質的変化をもたらすティッシュエンジニアリングをベースに、組織再生による根本治療を目指し、21世紀の医療そのものを変えてゆく事業を展開する。」ことを会社設立の趣旨とし、企業理念である「再生医療の産業化を通じ、社会から求められる企業となる。法令・倫理遵守の下、患者のQOL(生活の質)向上に貢献することにより、人類が生存する限り成長し続ける企業となる。その結果、全てのステークホルダーがより善く生きることを信条とする。」に基づいて、再生医療等製品及び関連製品の開発、製造、販売ならびに開発製造受託(CDMO)、開発業務受託(CRO)を行います。
(2)経営戦略
基本方針:再生医療のさらなる普及に向けた、新製品の開発ならびに生産技術革新・販売力強化を推進する
①新規再生医療等製品の開発
1.対象領域としては、既存の皮膚・軟骨領域に加え、角膜・がん領域を目指す。特に二次性の変形性膝関節症等従来にない大規模な市場を狙い、飛躍的な事業拡大をはかる。
2.これまで再生医療等製品の開発・適応拡大を実現してきた経験・ノウハウを生かし、既に治験を開始している製品及び今後治験開始を予定している製品の開発を着実に進める。
②より多くの需要に備えた生産技術開発・販売力強化
1.自家細胞製品の大量受注・安定供給実現のため、これまで蓄積してきた培養技術と富士フイルムのエンジニアリング技術を融合し、革新的な生産技術・生産体制を確立する。
2.販売数量の増加に効率的に対応できる、再生医療の営業戦略・営業手法を確立するとともに、当該製品がより適切に使用されるよう情報の収集・提供の仕組みを再整備する。
③既存事業の伸長による安定した利益の創出
1.自家培養表皮ジェイスは、表皮水疱症で売上を伸ばす。自家培養軟骨ジャックは、コラーゲン膜による低侵襲化・移植手技の簡便化を徹底的に訴求し、症例数の増加につなげる。
2.受託事業は、これまで獲得した案件を成功に導くとともに、これら実績を梃子にさらなる良質な新規案件を獲得する。加えて、当該事業モデルの一般化・標準化を目指す。
3.ラボサイトは、OECDテストガイドライン化の訴求と海外展開により売上増をはかる。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
(単位:百万円)売上高対前期成長率営業利益営業利益率経常利益当期純利益
2020年3月期(計画)3,08030.6%1063.4%11286
2021年3月期(目標)3,58916.5%2075.8%214181
2022年3月期(目標)4,09314.1%42110.3%428364

(4)経営環境
2012年に京都大学iPS細胞研究所 所長 山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したことを契機に、我が国は再生医療を成長戦略の一つとして位置付けました。再生医療への期待が急速に高まる中で、再生医療の普及を迅速に進めるための法整備が進められ、2014年11月に薬事法は医薬品医療機器等法として改正され、新たに再生医療等製品が定義されると同時に、再生医療等製品に条件・期限付承認制度が導入されました。また、再生医療を安全かつ迅速に実施するための再生医療等安全性確保法が施行されました。そのような状況の下、同種細胞を用いた再生医療製品の開発や、国内外技術導入による製薬企業の参入、iPS細胞による再生医療が臨床応用ステージに入る等の動きが加速しています。一方で、国民医療費は、高齢化の進展、疾病構造の変化、医療の高度化によって年々増大しており、医療保険制度の持続可能性の確保が喫緊の課題となっています。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社は、会社が対処すべき課題を以下のとおり認識し、その解決に向けた取り組みを展開しています。
①再生医療製品事業
(a) 自家培養表皮ジェイス
自家培養表皮ジェイスは、重症熱傷及び先天性巨大色素性母斑の治療のための再生医療等製品です。本品は、表皮水疱症への適応を目的とした一部変更の承認を2018年12月28日付で取得しました。当社は、この新たな適応においても速やかに本品を普及させ、売上増加に努めていきます。
本品は、先天性巨大色素性母斑ならびに表皮水疱症の適応において10年間の使用成績調査が課せられており、当社は適切に医療機関に情報提供し、有効性及び安全性の確保に努めていきます。
また重症熱傷の適応において一連につき40枚を限度としていた保険算定が、2018年4月から医学的に必要がある場合にその理由を診療報酬明細書の摘要欄に記載した上で50枚を限度として算定できることになりました。当社は、使用実績を踏まえてさらなる算定限度の緩和を追求し、ジェイス治療の質向上を目指します。
(b) 自家培養軟骨ジャック
自家培養軟骨ジャックは、外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)の治療のための再生医療等製品です。本品は、移植時に患者自身の骨膜に代わって人工のコラーゲン膜を使用する一部変更の承認を2019年1月31日付で取得しました。当社は、これにより実現した本品の低侵襲化・移植手技の簡便化を徹底的に訴求し、売上増加に努めていきます。
本品は、7年間の使用成績調査が課せられており、当社は適切に医療機関に情報提供し、有効性及び安全性の確保に努めていきます。
本品の適応には欠損面積が4cm2以上という条件が付与されています。現在、軟骨欠損はMRI等の画像で診断されますが、軟骨欠損の状態を正確に把握することは技術的に困難です。当社は富士フイルムとの協業により軟骨欠損診断の支援技術を確立し、軟骨欠損の診断を正確かつ容易に行うことで、本品のさらなる普及につなげたいと考えています。
さらに、外傷等に起因する二次性の変形性膝関節症を対象とする適応拡大のための治験計画届書を2018年7月に提出し、治験を実施しています。より大規模な市場に本品を展開するべく、開発を進めていきます。
②再生医療受託事業
当社は、自社製品の開発・製造・販売を通じて蓄積したノウハウと確立したシステムを活用し、再生医療等製品に関する開発製造受託サービス、開発業務受託及び再生医療の提供への支援サービスを展開しています。
受託案件は多種多様であり、案件毎に様々なステージに在って多くの課題を抱えているため、委託元と密に連携し、一つ一つ課題を解決していく必要があります。当社は社内の受入体制や得られた知見・経験を整備しながら、これまで獲得した案件を成功に導くとともに、これらの実績を梃子にさらなる良質な案件を獲得し、本事業を当社の中核事業に育てます。
また株式会社ニデックからの委託を受けて進めてきた自家培養角膜上皮(開発名:EYE-01M)及び自家培養口腔粘膜上皮(開発名:COMET)の開発を完遂し、製品の製造受託を開始することで、事業を拡大します。
③研究開発支援事業
研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、表皮細胞のエピ・モデル、角膜上皮細胞の角膜モデル及びエピ・モデルの3製品をラインナップしており、動物実験を代替する試薬として使用されています。
本シリーズは、2018年6月には角膜モデル24を用いた眼刺激性試験法がOECDガイドラインに収載、2019年6月にはエピ・モデル24を用いた皮膚腐食性試験法がOECDガイドラインに収載される等、使用方法の標準化に向けて着実に対応を進めており、それを訴求して売上増加に努めます。またアジア向け等海外への宣伝活動にも取り組んでおり、富士フイルムのネットワークの活用も視野に、海外展開を推進します。
④新規再生医療等製品の開発
当社は、既存の皮膚・軟骨領域に加え、角膜・がん領域への展開を目指し、新製品の開発を進めています。これまで再生医療等製品の開発・適応拡大を実現してきた経験・ノウハウを生かし、各開発ステージで想定される開発長期化等のリスクをコントロールしながら、計画通り着実に開発を進めます。
また自社開発パイプラインに加え、富士フイルムとの協業による新製品開発・販売を推進します。
⑤より多くの需要に備えた生産技術開発・販売力強化
当社の取り扱う製品やサービスは、不確定性や個別性が高く、受注等に繁閑が生じることがあります。当社はこのような変動要因の多い製造環境においても高品質な製品を安定して供給するために、製造や検査作業の効率化を推進し、生産体制の整備を進めてきました。今後は、将来想定される大量受注に備えるため、これまで蓄積してきた培養技術と、富士フイルムが得意とするエンジニアリング技術を融合し、革新的な生産技術・生産体制の確立を目指します。
また販売についても、数量の増加に効率的に対応出来るような営業戦略・営業手法を確立するとともに、当社の製品がより適切に使用されるよう情報の収集・提供の仕組みを再整備する等、再生医療等製品の販売力強化を図ります。
⑥働きがいのある企業風土の醸成
当社は、国内の労働環境の変化に対して、公平でチャレンジできる制度や多様な人材の育成を強化する仕組みにより、働き方の多様化に対応した、働きがいのある企業風土の醸成に向けて取り組んでいます。
(6) 株式会社の支配に関する基本方針について
①基本方針の内容
当社の財務及び事業の方針を決定する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的に確保、向上していくことを可能とする者であることが必要と考えています。
当社は、金融商品取引所に株式を上場している者として、市場における当社株式の自由な取引を尊重し、特定の者による当社株式の大規模買付行為であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保、向上に資するものである限り、これを一概に否定するものではありません。
また、最終的には株式の大規模買付提案に応じるかどうかは株主の皆様の決定に委ねられるべきだと考えます。
ただし、株式の大規模買付提案の中には、ステークホルダーとの良好な関係を保ち続けることができない可能性がある等、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうおそれのあるものや、当社の価値を十分に反映しているとは言えないもの、あるいは株主の皆様が最終的な決定をされるために必要な情報が十分に提供されないものもありえます。
そのような大規模買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考え、かかる提案に対して、当社取締役会は、株主の皆様から経営を負託された者の責務として、株主の皆様のために、必要な時間や情報の確保、株式の大規模買付提案者との交渉等を行う必要があると考えます。
②不適切な支配の防止のための取組み
1.企業価値向上への取り組み
当社は、「医療の質的変化をもたらすティッシュエンジニアリングをベースに、組織再生による根本治療を目指し、21世紀の医療そのものを変えてゆく事業を展開する。」ことを会社設立の趣旨とし、「再生医療の産業化を通じ、社会から求められる企業となる。法令・倫理遵守の下、患者様のQOL(生活の質)向上に貢献することにより、人類が生存する限り成長し続ける企業となる。その結果、全てのステークホルダーがより善く生きることを信条とする。」という企業理念に基づいて事業を展開しています。当社は、再生医療等製品の研究開発・製造・販売と、再生医療に関する開発製造受託(CDMO)や開発業務受託(CRO)を提供する再生医療受託事業、ならびに研究開発支援事業を展開しています。
当社は企業価値向上への取り組みとして、年度毎に経営計画を策定し、代表取締役が直接全役職員に説明することにより目標の共有化を図り、全社一丸となって企業理念の実現に向け事業を展開しています。また、当社事業を推進するにあたり富士フイルムと密接な連携を図ることにより、グループとしてより効率的に取り組んでいます。
当社は、情報開示体制を整備し、再生医療の啓蒙を兼ねたPR活動を適切に行うことにより、多くの投資家の要望に応えることができる積極的なIR体制の構築、運用に努めています。また、適切に牽制がかかり情報の信頼性を担保する内部統制体制の維持、改善を目的として内部統制基本方針を定め運用しています。
当社は、当社の企業文化の根源である設立趣旨、企業理念を高い次元で実現することにより、社会的意義を高め、経営資源を有効に活用するとともに、全てのステークホルダーとの良好な関係を維持・発展させ、結果として当社の企業価値及び株主共同の利益の向上に資することができるものと考えます。
2.コーポレート・ガバナンスについて
当社は、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するために、経営環境の変化に迅速に対応できる組織体制及び公正で透明性のある経営システムを構築し、これを維持することに取り組んでいます。
当社の取締役会は7名で構成され、その内1名は社外取締役です。取締役会は当社の経営戦略を策定・遂行するとともに、取締役の職務遂行を監督しています。また、監査役3名(うち社外監査役2名)で構成される監査役会は、内部監査室及び会計監査人ならびに顧問弁護士と緊密な連携を保ち、情報交換を行い、監査の有効性・効率性を高めています。常勤監査役は取締役会、経営会議、コンプライアンス委員会及びリスク管理委員会等重要な会議に出席するとともに、業務及び財産の状況の確認を通じて取締役の職務遂行を監査しています。
当社は創業時より、研究・開発事業に関する倫理的妥当性について助言を受けること、及びヒト組織・細胞等の収集・提供の実施状況等事業全般にわたる倫理的評価を行うことを目的に、企業委員2名、外部委員5名で構成されるJ-TEC倫理委員会を設け、適切に運営しています。
さらに当社では、業務上抱える各種リスクを正確に把握・分析し、適切に対処すべく、継続的にリスク管理体制の強化に取り組んでいます。総合的なリスク管理については、リスク管理委員会で討議し、必要に応じて取締役会で検討をしています。また、災害、重大事故、訴訟等の経営に重大な影響を与える事実が発生した場合には、直ちに担当部署から部長、情報取扱責任者、代表取締役に連絡する体制をとり、状況を迅速・正確に把握し対処することとしています。
③不適切な支配の防止のための取組みについての取締役会の判断
上記②に記載した企業価値向上への取り組みやコーポレート・ガバナンスの強化といった各施策は、当社の支配に関する基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を損なうものではなく、また、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

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