有価証券報告書-第22期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度(2019年4月1日から2020年3月31日)における我が国経済は、米中貿易摩擦の激化や、英国の欧州連合(EU)からの離脱問題などのリスクによる不透明感、消費税増税の反動減による個人消費の落ち込みや、台風など自然災害によるマイナス影響はあったものの、人手不足を背景に雇用・所得環境の改善が続き、国内景気は緩やかな回復基調が続いていました。しかしながら、2020年に入り、オリンピック・イヤーを迎えて盛り上がりを見せた矢先、中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎が世界規模で拡大し、先行きへの不安感から世界の金融・証券市場で急速に株安が進むなど、リーマン・ショックを上回るコロナショックとして大きな混乱をもたらしました。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、世界各国・地域で入国や行動を制限する動きが広がったことで人・モノの動きが滞り、実体経済へも急速に悪影響を及ぼし始めました。
再生医療・細胞治療分野では、がん免疫療法として注目を集めているCAR-T細胞治療薬(ノバルティスファーマ販売名:キムリア)が2019年5月に保険収載され(価格は1回3,349万円)、慢性動脈閉そく症による皮膚潰瘍治療を目的とした再生医療等製品(アンジェス 販売名:コラテジェン)が、わが国初の遺伝子治療用製品として同年8月に保険収載されました(価格は1回60万円)。また、2020年3月には、角膜上皮幹細胞疲弊症治療を目的とした再生医療等製品(当社 販売名:ネピック)と、脊髄性筋萎縮症に対する遺伝子治療用製品(ノバルティスファーマ 販売名:ゾルゲンスマ)が承認されました。いくらかの開発品目で申請を取り下げた製品もありますが、承認された製品のような革新的な医療技術が治療に適用され、患者への福音となることへの期待が高まっています。
我が国の新たな再生医療関連規制・制度について、諸外国から注目されるようになってきました。とりわけ、再生医療等製品の早期承認制度である『条件および期限付き承認』には様々な意見が寄せられています。さらに、これらの高度医療が保険財源を圧迫するとの懸念も高まっています。再生医療がより現実になるにつれ、解決すべき課題も徐々に顕在化してきました。
医療環境については、2020年に入って以降、新型コロナウイルス感染者の急激な増加や医療従事者の感染等による医療崩壊が懸念されており、その他の疾患治療への影響も深刻になってきています。早期に新型コロナウイルスに対する治療方法の確立が望まれる中、5月には国内初の新型コロナウイルス治療薬としてエボラ出血熱の既存治療薬「レムデシビル」(ギリアド・サイエンシズ)が特例承認されました。抗インフルエンザ薬の「アビガン」も治療薬候補として注目され、国内での承認プロセスが急ピッチで進められています。
このような状況の下、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当事業年度末において、総資産は8,451,563千円(前事業年度末と比べ300,408千円減少)、負債は820,539千円(前事業年度末と比べ13,309千円減少)、純資産は7,631,024千円(前事業年度末と比べ287,099千円減少)となりました。
当事業年度における資産、負債及び純資産の状態に関する分析は以下のとおりであります。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は6,816,839千円となり、前事業年度末から207,363千円減少いたしました。この主な要因は、当期純損失による現金及び預金の残高が減少したことによるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は1,634,714千円となり、前事業年度末から93,016千円減少いたしました。この主な要因は、繰延税金資産の取崩し及び減価償却によるものであります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は783,961千円となり、前事業年度末から11,940千円減少いたしました。この主な要因は、未払金及び前受金等の減少によるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は36,578千円となり、前事業年度末から1,368千円減少いたしました。この主な要因は、長期リース債務の減少によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は7,631,024千円となり、前事業年度末から287,099千円減少いたしました。この主な要因は、当期純損失287,099千円の計上によるものであります。
b. 経営成績
当事業年度における売上高は、研究開発支援事業の売上が好調に推移したものの、再生医療製品事業及び再生医療受託事業が減少し、2,309,851千円(前年同期比2.0%減)となりました。営業損失は235,178千円(前年同期は349,745千円の営業損失)となり、自家CAR-T細胞治療の導入一時金を支払った前年同期に比べ改善しました。経常損失は229,777千円(前年同期は339,631千円の経常損失)、当期純損失は287,099千円(前年同期は333,248千円の当期純損失)となりました。
なお、当事業年度における新型コロナウイルス感染症の影響は限定的であり軽微であると判断しております。
セグメント別では、再生医療製品事業の売上高は、1,356,070千円(前年同期比3.4%減)、再生医療受託事業の売上高は、813,450千円(前年同期比2.7%減)、研究開発支援事業の売上高は、140,330千円(前年同期比18.7%増)となりました。
各セグメント及び新規パイプラインの開発における概況は以下のとおりです(□内は当事業年度における主な成果です)。
なお、当事業年度より報告セグメントの利益又は損失の算定方法を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。また、前年比較については、前年の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。
[再生医療製品事業]
当社は再生医療製品事業として自家培養表皮ジェイス及び自家培養軟骨ジャックの製造販売を進めました。
・自家培養表皮ジェイス
自家培養表皮ジェイスは、2009年1月に保険収載された我が国初の再生医療等製品であり、重症熱傷、先天性巨大色素性母斑及び先天性表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)を適応対象としています。ジェイスの保険適用に関しては、患者様あたり一連につき保険算定できる枚数の上限が設定されており、熱傷治療は40枚(医学的に必要がある場合に限り50枚)、先天性巨大色素性母斑治療は30枚、先天性表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)治療は50枚が保険算定限度とされています。
・自家培養軟骨ジャック
自家培養軟骨ジャックは、2013年4月に保険収載された我が国第2号の再生医療等製品であり、膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)を適応対象としています。
[再生医療受託事業]
当社は再生医療受託事業において、再生医療等製品の受託開発及びコンサルティング・特定細胞加工物製造受託を積極的に進めました。
・再生医療等製品の受託開発
当社は、医薬品医療機器等法のもと、再生医療等製品の承認を目的として臨床研究を実施するアカデミアや、医師主導治験を実施する医療機関、再生医療等製品の開発を行っている企業を対象に、再生医療等製品に特化した開発製造受託(CDMO)サービス・開発業務受託(CRO)サービスを提供しています。自社製品の開発、製造販売で培った薬事開発、規制当局対応のノウハウ、GCTP適合の製造設備等の豊富かつ一貫した経験を生かし、細胞種(体細胞・幹細胞・iPS細胞)や製品形態を問わず、シーズの開発段階から実用化後までトータルかつシームレスに支援しています。
・コンサルティング・特定細胞加工物製造受託
当社は、再生医療等安全性確保法のもと、再生医療の提供機関に対するコンサルティングならびに特定細胞加工物製造受託サービスを提供しています。コンサルティングサービスでは、再生医療等提供計画の作成・細胞加工施設の運営体制の構築等、臨床研究・治療提供のために必要な行政手続きを支援しています。特定細胞加工物製造受託では、厚生労働省より許可を得た当社の細胞加工施設で特定細胞加工物の製造を受託しています。
[研究開発支援事業]
当社は研究開発支援事業において、自社製品の開発で蓄積した高度な培養技術を応用した研究用ヒト培養組織の製造販売を進めました。
・ラボサイトシリーズ
研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。日用品、医薬品、化粧品、化学品メーカーなど、化学物質を扱う企業向けに提案、販売しています。
[新規パイプラインの開発]
当社は、今後の成長を加速させるため、新たなパイプラインの開発に積極的に取り組みました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べて121,275千円増加し、2,150,876千円となりました。
当事業年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は84,584千円(前年同期は396,110千円の使用)となりました。前事業年度との差異が生じた主な要因は、税引前当期純損失の減少と売上債権の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は209,054千円(前年同期は27,636千円の獲得)となりました。前事業年度との差異が生じた主な要因は、定期預金の払戻しによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は3,195千円(前年同期は5,732千円の使用)となりました。前事業年度との差異が生じた主な要因は、リース債務の返済額の減少によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態の分析
当事業年度の財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、製造費、研究開発費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましても、自己資金を基本としております。
また、今後事業活動を行う上での資金需要に対して十分な現預金を確保しておりますので、新型コロナウイルス感染症の影響については軽微であると判断しております。
なお、当事業年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は3,046千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は2,150,876千円となっております。
④セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、再生医療製品事業、再生医療受託事業及び研究開発支援事業を行っております。当事業年度における財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(a)再生医療製品事業
自家培養表皮ジェイスの売上高は、914,391千円(前年比11.4%減)となりました。前年同期との減少要因は、重傷熱傷の発生数が少なかった影響と先天性巨大色素性母斑の待機患者への治療が一巡した影響によるものであります。今後、重症熱傷では低TBSA患者への使用の訴求、先天性巨大色素性母斑では患者動態を踏まえた拠点医療機関との連携強化、表皮水疱症では患者団体との連携と使用成績データの提供による使用意欲の向上を図っていきます。
自家培養軟骨ジャックの売上高は、416,599千円(前年比11.8%増)となりました。前年同期との増加要因は、コラーゲン膜による低侵襲化・移植手技の簡便化の訴求によるものです。今後は、さらなる新規顧客の開拓を進めるとともに、コラーゲン膜を使用する効果を訴求することで既存の使用施設からの安定した受注獲得に注力します。また、外傷等に起因する二次性の変形性膝関節症を対象とする治験を実施中であり、引き続きジャックの市場拡大に努めます。
さらに、自社開発パイプラインに加え、富士フイルムとの協業による新製品開発・販売を推進していきます。
セグメント資産は、前事業年度末に比べ102,793千円減少の1,376,720千円となりました。
(b)再生医療受託事業
再生医療受託事業の売上高は、813,450千円(前年比2.7%減)となりました。前年同期との減少要因は、業務開始前の条件設定や業務開始後に生じた課題の解決に想定以上の時間を要した影響等であります。今後、既存案件を確実に進めることによって、適切な収益を獲得するとともに、蓄積した知見・経験を生かしたさらなる良質な新規案件の受注により、事業を拡大していきます。
セグメント資産は、前事業年度末に比べ18,653千円増加の541,417千円となりました。
(c)研究開発支援事業
研究開発支援事業の売上高は、140,330千円(前年比18.7%増)となりました。前年同期との増加要因は、国内外の化粧品・化学品メーカー等に向けた積極的な営業活動の効果であります。今後、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞「F-hiSIEC™(エフ-ハイシーク)」の製造販売、角膜モデルの眼刺激性試験、及びエピ・モデル24の皮膚腐食性試験のOECDテストガイドライン収載を梃子に売上増を図ります。
さらに、アジア圏への拡販に加え、富士フイルムのネットワークを活用した海外展開を検討していきます。
セグメント資産は、前事業年度末に比べ19,217千円増加の163,531千円となりました。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たり、経営者は、決算日における資産及び負債の計上額、会計期間における収益及び費用の計上額に影響を与える様々な要素に基づき行っており、他の情報源からは得られない資産及び負債の帳簿価額について当社の判断の基礎となっております。ただし、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、見積りと将来の実績が異なる場合があります。
当社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目は以下のとおりです。
(a)繰延税金資産
当社は、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。回収可能性の判断においては将来の課税所得の見積りに依存しますので、繰延税金資産の計上を慎重に判断しております。将来の課税所得の見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、税金費用が変動する可能性があります。
(b)固定資産の減損
当社は、減損の兆候がある場合について、固定資産から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上します。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については「2 事業等のリスク I.当社事業に関するリスク (4)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響について」に記載のとおりであります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度(2019年4月1日から2020年3月31日)における我が国経済は、米中貿易摩擦の激化や、英国の欧州連合(EU)からの離脱問題などのリスクによる不透明感、消費税増税の反動減による個人消費の落ち込みや、台風など自然災害によるマイナス影響はあったものの、人手不足を背景に雇用・所得環境の改善が続き、国内景気は緩やかな回復基調が続いていました。しかしながら、2020年に入り、オリンピック・イヤーを迎えて盛り上がりを見せた矢先、中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎が世界規模で拡大し、先行きへの不安感から世界の金融・証券市場で急速に株安が進むなど、リーマン・ショックを上回るコロナショックとして大きな混乱をもたらしました。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、世界各国・地域で入国や行動を制限する動きが広がったことで人・モノの動きが滞り、実体経済へも急速に悪影響を及ぼし始めました。
再生医療・細胞治療分野では、がん免疫療法として注目を集めているCAR-T細胞治療薬(ノバルティスファーマ販売名:キムリア)が2019年5月に保険収載され(価格は1回3,349万円)、慢性動脈閉そく症による皮膚潰瘍治療を目的とした再生医療等製品(アンジェス 販売名:コラテジェン)が、わが国初の遺伝子治療用製品として同年8月に保険収載されました(価格は1回60万円)。また、2020年3月には、角膜上皮幹細胞疲弊症治療を目的とした再生医療等製品(当社 販売名:ネピック)と、脊髄性筋萎縮症に対する遺伝子治療用製品(ノバルティスファーマ 販売名:ゾルゲンスマ)が承認されました。いくらかの開発品目で申請を取り下げた製品もありますが、承認された製品のような革新的な医療技術が治療に適用され、患者への福音となることへの期待が高まっています。
我が国の新たな再生医療関連規制・制度について、諸外国から注目されるようになってきました。とりわけ、再生医療等製品の早期承認制度である『条件および期限付き承認』には様々な意見が寄せられています。さらに、これらの高度医療が保険財源を圧迫するとの懸念も高まっています。再生医療がより現実になるにつれ、解決すべき課題も徐々に顕在化してきました。
医療環境については、2020年に入って以降、新型コロナウイルス感染者の急激な増加や医療従事者の感染等による医療崩壊が懸念されており、その他の疾患治療への影響も深刻になってきています。早期に新型コロナウイルスに対する治療方法の確立が望まれる中、5月には国内初の新型コロナウイルス治療薬としてエボラ出血熱の既存治療薬「レムデシビル」(ギリアド・サイエンシズ)が特例承認されました。抗インフルエンザ薬の「アビガン」も治療薬候補として注目され、国内での承認プロセスが急ピッチで進められています。
このような状況の下、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当事業年度末において、総資産は8,451,563千円(前事業年度末と比べ300,408千円減少)、負債は820,539千円(前事業年度末と比べ13,309千円減少)、純資産は7,631,024千円(前事業年度末と比べ287,099千円減少)となりました。
当事業年度における資産、負債及び純資産の状態に関する分析は以下のとおりであります。
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は6,816,839千円となり、前事業年度末から207,363千円減少いたしました。この主な要因は、当期純損失による現金及び預金の残高が減少したことによるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は1,634,714千円となり、前事業年度末から93,016千円減少いたしました。この主な要因は、繰延税金資産の取崩し及び減価償却によるものであります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は783,961千円となり、前事業年度末から11,940千円減少いたしました。この主な要因は、未払金及び前受金等の減少によるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は36,578千円となり、前事業年度末から1,368千円減少いたしました。この主な要因は、長期リース債務の減少によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は7,631,024千円となり、前事業年度末から287,099千円減少いたしました。この主な要因は、当期純損失287,099千円の計上によるものであります。
b. 経営成績
当事業年度における売上高は、研究開発支援事業の売上が好調に推移したものの、再生医療製品事業及び再生医療受託事業が減少し、2,309,851千円(前年同期比2.0%減)となりました。営業損失は235,178千円(前年同期は349,745千円の営業損失)となり、自家CAR-T細胞治療の導入一時金を支払った前年同期に比べ改善しました。経常損失は229,777千円(前年同期は339,631千円の経常損失)、当期純損失は287,099千円(前年同期は333,248千円の当期純損失)となりました。
なお、当事業年度における新型コロナウイルス感染症の影響は限定的であり軽微であると判断しております。
セグメント別では、再生医療製品事業の売上高は、1,356,070千円(前年同期比3.4%減)、再生医療受託事業の売上高は、813,450千円(前年同期比2.7%減)、研究開発支援事業の売上高は、140,330千円(前年同期比18.7%増)となりました。
各セグメント及び新規パイプラインの開発における概況は以下のとおりです(□内は当事業年度における主な成果です)。
なお、当事業年度より報告セグメントの利益又は損失の算定方法を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。また、前年比較については、前年の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。
[再生医療製品事業]
当社は再生医療製品事業として自家培養表皮ジェイス及び自家培養軟骨ジャックの製造販売を進めました。
・自家培養表皮ジェイス
自家培養表皮ジェイスは、2009年1月に保険収載された我が国初の再生医療等製品であり、重症熱傷、先天性巨大色素性母斑及び先天性表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)を適応対象としています。ジェイスの保険適用に関しては、患者様あたり一連につき保険算定できる枚数の上限が設定されており、熱傷治療は40枚(医学的に必要がある場合に限り50枚)、先天性巨大色素性母斑治療は30枚、先天性表皮水疱症(栄養障害型と接合部型)治療は50枚が保険算定限度とされています。
・自家培養軟骨ジャック
自家培養軟骨ジャックは、2013年4月に保険収載された我が国第2号の再生医療等製品であり、膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)を適応対象としています。
| 当事業年度における再生医療製品事業の売上は、1,356,070千円(前年比3.4%減)となりました。主な内訳は以下のとおりです。 当事業年度におけるジェイスの売上は、914,391千円(前年比11.4%減)となりました。重症熱傷では、受傷面積が著しく広範囲ではない患者(低TBSA患者)に使用していただけるように医療機関に働きかけた効果はありましたが、重症熱傷の発生数が少なかった影響で受注が伸びませんでした。先天性巨大色素性母斑では、患者が集中する特定医療機関との関係強化に努め受注を獲得しましたが、待機患者への治療が一巡した影響で売上が大きく減少しました。2019年7月に保険収載された表皮水疱症は順調に立ち上がり、ほぼ計画通りの受注を獲得できました。ジェイス全体の売上は前年に比べ減少しましたが、それぞれの疾患領域において今後の売上増に繋がる一定の成果を得ることができました。 当社は引き続き、ターゲット施設へのアプローチによって適応候補となる患者把握を進めるとともに、研究会やセミナー、患者交流会等での積極的な情報提供を通じてジェイスの認知度を向上させ、さらなる普及に努めます。特に重症熱傷では低TBSA患者への使用の訴求、先天性巨大色素性母斑では患者動態を踏まえた拠点医療機関との連携強化、表皮水疱症では患者団体との連携と使用成績データの提供による使用意欲の向上を図っていきます。 当事業年度におけるジャックの売上は、416,599千円(前年比11.8%増)となりました。患者自身の骨膜に代えてコラーゲン膜を使用すること(2019年1月に一部変更承認を取得)で移植手技を簡便化した結果、ヘビーユーザーからの受注が増加しました。また、新規顧客の開拓を進め、今まで受注のなかった医療機関からも受注を獲得したことにより前年に比べて売上が増加しました。 当社は、さらなる新規顧客の開拓を進めるとともに、コラーゲン膜を使用する効果を訴求することで既存の使用施設からの安定した受注獲得に注力します。また、外傷等に起因する二次性の変形性膝関節症を対象とする治験を実施中であり、引き続きジャックの市場拡大に努めます。 当社は、これまで富士フイルムの3次元画像解析システム「SYNAPSE VINCENT」を活用した膝診断との相乗効果の追求を進めてきましたが、その加速と売上寄与の早期化を図るため、同製品をはじめとする富士フイルムの医療機器の販売を当事業年度より開始しました。 |
[再生医療受託事業]
当社は再生医療受託事業において、再生医療等製品の受託開発及びコンサルティング・特定細胞加工物製造受託を積極的に進めました。
・再生医療等製品の受託開発
当社は、医薬品医療機器等法のもと、再生医療等製品の承認を目的として臨床研究を実施するアカデミアや、医師主導治験を実施する医療機関、再生医療等製品の開発を行っている企業を対象に、再生医療等製品に特化した開発製造受託(CDMO)サービス・開発業務受託(CRO)サービスを提供しています。自社製品の開発、製造販売で培った薬事開発、規制当局対応のノウハウ、GCTP適合の製造設備等の豊富かつ一貫した経験を生かし、細胞種(体細胞・幹細胞・iPS細胞)や製品形態を問わず、シーズの開発段階から実用化後までトータルかつシームレスに支援しています。
・コンサルティング・特定細胞加工物製造受託
当社は、再生医療等安全性確保法のもと、再生医療の提供機関に対するコンサルティングならびに特定細胞加工物製造受託サービスを提供しています。コンサルティングサービスでは、再生医療等提供計画の作成・細胞加工施設の運営体制の構築等、臨床研究・治療提供のために必要な行政手続きを支援しています。特定細胞加工物製造受託では、厚生労働省より許可を得た当社の細胞加工施設で特定細胞加工物の製造を受託しています。
| 当事業年度における再生医療受託事業の売上は、813,450千円(前年比2.7%減)となりました。業務開始前の条件設定や業務開始後に生じた課題の解決に想定以上の時間を要した影響等により売上は対前年で微減となりましたが、委託元の期待に応えるべく、対話しながら一歩ずつ確実に進めています。 2020年3月には、眼科医療機器メーカーの株式会社ニデックから委託を受けて開発してきた自家培養角膜上皮「ネピック」の製造販売承認を取得し、同年6月1日から保険適用となりました。「ネピック」は角膜上皮幹細胞疲弊症を適応対象としており、眼科領域で国内初の再生医療等製品であるとともに、当社の再生医療受託事業から生まれた初めての再生医療等製品でもあります。今後、「ネピック」を販売するニデックと連携し、当社の売上拡大を目指します。また、自家培養口腔粘膜上皮(開発名:COMET01)についても、製造販売承認申請に向けた準備を進めました。 当社は引き続き、独自に受託した案件を確実に進めることに加え、富士フイルムが出資する再生医療ベンチャーからも再生医療製品のプロセス開発や薬事コンサルティングを受託することで事業の拡大を目指していきます。 |
[研究開発支援事業]
当社は研究開発支援事業において、自社製品の開発で蓄積した高度な培養技術を応用した研究用ヒト培養組織の製造販売を進めました。
・ラボサイトシリーズ
研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。日用品、医薬品、化粧品、化学品メーカーなど、化学物質を扱う企業向けに提案、販売しています。
| 当事業年度における研究開発支援事業の売上は、140,330千円(前年比18.7%増)となりました。国内外の化粧品・化学品メーカー等への営業活動の結果、前年に比べて売上が増加しました。 経済協力開発機構(OECD)のテストガイドラインには、角膜モデル24を用いた眼刺激性試験法ならびにエピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験法と皮膚腐食性試験法が標準法の一つとして収載されており、海外からの問合せも増えてきました。当社は引き続き、ラボサイトシリーズがより信頼性の高い動物実験代替材料として活用できることを訴求し、さらなる売上拡大を目指します。 また当社は、2019年9月、富士フイルムの新製品:ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞「F-hiSIEC™(エフ-ハイシーク)」の製造と販売を開始しました。製薬企業や食品メーカーからの反響が大きく、多くの問い合わせをいただいており、順調な立ち上がりとなっています。当社は引き続き、富士フイルムと連携した販売活動を展開して本製品の認知度を向上させ、さらなる売上増加に努めます。 |
[新規パイプラインの開発]
当社は、今後の成長を加速させるため、新たなパイプラインの開発に積極的に取り組みました。
| 当第事業年度における特記事項は以下のとおりです。 - CD19陽性の急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia)の治療を目的とする自家CAR-T細胞については、2019年9月に「piggyBacトランスポゾンベクターを用いた自家CD19CAR-T療法の企業治験開始に向けた研究開発」(ウイルスベクターを用いない新技術による国産のCAR-T細胞製剤の開発)に対して日本医療研究開発機構(AMED)から補助金を獲得し、開発を進めました。 - 尋常性白斑及びまだら症といった安定期の白斑の治療を目的とするメラノサイト(色素細胞)を保持した自家培養表皮(開発名:ACE02)については、治験を実施しました。ACE02を通じて、皮膚科領域へ展開し、従来から取り組んでいる形成外科・整形外科領域からの事業拡大を目指しています。 - 我が国で初となる他人の皮膚組織を原材料としたレディメイド(事前に製造・保存しておき、必要な時に遅滞なく使用することができる)製品については、2018年10月よりAMEDの委託事業(国家プロジェクト)として「同種培養表皮の開発」及び「産業利用を目的とした同種細胞の安定供給体制の構築」に関する2案件を進めました。 |
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べて121,275千円増加し、2,150,876千円となりました。
当事業年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は84,584千円(前年同期は396,110千円の使用)となりました。前事業年度との差異が生じた主な要因は、税引前当期純損失の減少と売上債権の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は209,054千円(前年同期は27,636千円の獲得)となりました。前事業年度との差異が生じた主な要因は、定期預金の払戻しによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は3,195千円(前年同期は5,732千円の使用)となりました。前事業年度との差異が生じた主な要因は、リース債務の返済額の減少によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前期比(%) |
| 再生医療製品事業(千円) | 1,330,583 | 94.8 |
| 再生医療受託事業(千円) | 813,450 | 97.3 |
| 研究開発支援事業(千円) | 140,330 | 118.7 |
| 合計(千円) | 2,284,364 | 96.9 |
(注)1 金額は販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高 (千円) | 前期比 (%) | 受注残高 (千円) | 前期比 (%) |
| 再生医療製品事業 | 1,450,413 | 95.2 | 107,035 | 87.0 |
| 再生医療受託事業 | 781,480 | 95.6 | 7,000 | 18.0 |
| 研究開発支援事業 | 140,894 | 118.5 | 7,376 | 108.3 |
| 合計 | 2,372,788 | 96.5 | 121,411 | 71.9 |
(注)1 金額は販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前期比(%) |
| 再生医療製品事業(千円) | 1,356,070 | 96.6 |
| 再生医療受託事業(千円) | 813,450 | 97.3 |
| 研究開発支援事業(千円) | 140,330 | 118.7 |
| 合計(千円) | 2,309,851 | 98.0 |
(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | ||
| 金額 (千円) | 割合 (%) | 金額 (千円) | 割合 (%) | |
| 富士フイルム株式会社 | 438,758 | 18.6 | 375,865 | 16.3 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態の分析
当事業年度の財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、製造費、研究開発費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましても、自己資金を基本としております。
また、今後事業活動を行う上での資金需要に対して十分な現預金を確保しておりますので、新型コロナウイルス感染症の影響については軽微であると判断しております。
なお、当事業年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は3,046千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は2,150,876千円となっております。
④セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、再生医療製品事業、再生医療受託事業及び研究開発支援事業を行っております。当事業年度における財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(a)再生医療製品事業
自家培養表皮ジェイスの売上高は、914,391千円(前年比11.4%減)となりました。前年同期との減少要因は、重傷熱傷の発生数が少なかった影響と先天性巨大色素性母斑の待機患者への治療が一巡した影響によるものであります。今後、重症熱傷では低TBSA患者への使用の訴求、先天性巨大色素性母斑では患者動態を踏まえた拠点医療機関との連携強化、表皮水疱症では患者団体との連携と使用成績データの提供による使用意欲の向上を図っていきます。
自家培養軟骨ジャックの売上高は、416,599千円(前年比11.8%増)となりました。前年同期との増加要因は、コラーゲン膜による低侵襲化・移植手技の簡便化の訴求によるものです。今後は、さらなる新規顧客の開拓を進めるとともに、コラーゲン膜を使用する効果を訴求することで既存の使用施設からの安定した受注獲得に注力します。また、外傷等に起因する二次性の変形性膝関節症を対象とする治験を実施中であり、引き続きジャックの市場拡大に努めます。
さらに、自社開発パイプラインに加え、富士フイルムとの協業による新製品開発・販売を推進していきます。
セグメント資産は、前事業年度末に比べ102,793千円減少の1,376,720千円となりました。
(b)再生医療受託事業
再生医療受託事業の売上高は、813,450千円(前年比2.7%減)となりました。前年同期との減少要因は、業務開始前の条件設定や業務開始後に生じた課題の解決に想定以上の時間を要した影響等であります。今後、既存案件を確実に進めることによって、適切な収益を獲得するとともに、蓄積した知見・経験を生かしたさらなる良質な新規案件の受注により、事業を拡大していきます。
セグメント資産は、前事業年度末に比べ18,653千円増加の541,417千円となりました。
(c)研究開発支援事業
研究開発支援事業の売上高は、140,330千円(前年比18.7%増)となりました。前年同期との増加要因は、国内外の化粧品・化学品メーカー等に向けた積極的な営業活動の効果であります。今後、ヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞「F-hiSIEC™(エフ-ハイシーク)」の製造販売、角膜モデルの眼刺激性試験、及びエピ・モデル24の皮膚腐食性試験のOECDテストガイドライン収載を梃子に売上増を図ります。
さらに、アジア圏への拡販に加え、富士フイルムのネットワークを活用した海外展開を検討していきます。
セグメント資産は、前事業年度末に比べ19,217千円増加の163,531千円となりました。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たり、経営者は、決算日における資産及び負債の計上額、会計期間における収益及び費用の計上額に影響を与える様々な要素に基づき行っており、他の情報源からは得られない資産及び負債の帳簿価額について当社の判断の基礎となっております。ただし、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、見積りと将来の実績が異なる場合があります。
当社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目は以下のとおりです。
(a)繰延税金資産
当社は、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。回収可能性の判断においては将来の課税所得の見積りに依存しますので、繰延税金資産の計上を慎重に判断しております。将来の課税所得の見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、税金費用が変動する可能性があります。
(b)固定資産の減損
当社は、減損の兆候がある場合について、固定資産から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上します。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については「2 事業等のリスク I.当社事業に関するリスク (4)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響について」に記載のとおりであります。