有価証券報告書-第78期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、通商問題を巡る緊張の高まり、中国経済の先行き及び英国のEU離脱等の海外経済の動向と政策に関する不確実性による影響や金融資本市場の変動の影響に加え、相次ぐ自然災害や消費増税後の消費者マインドの動向に留意する必要があったものの、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあり緩やかな回復基調で推移いたしました。
しかしながら、2020年に入り新型コロナウイルス感染症が世界的な規模で流行したことにより、経済活動の衰退や株式市場の混乱が見られるなど、内外経済に与える影響に留意する必要があります。
このような経済環境の下で当社グループは、メーカーの原点である「技術と品質」「スピードと革新性」に加え、マーケットインの視点を大切にした真摯な「ものづくり」に取り組むことによりお客様と会社の繁栄を実現するとの経営理念のもと、イノベーションによる持続的成長を果たしつつ、経営資源を有効かつ効率的に活用し、高品質と低コストを兼ね備えた製品を提供することで一層の顧客価値を創造するとともに、中長期的な展望の下で安定的かつ持続的な成長を実現し、企業価値の更なる向上を図ってまいりました。
そして、当社グループの車の両輪である電子機器事業及びスポーツ事業に、不動産事業を加えた「三本柱」の事業形態により、グループ一丸となって以下の諸施策に粘り強く取り組んでまいりました。
(電子機器事業)
ⅰ)電子機器事業の主要な市場であるパチンコ・パチスロ関連市場は、全日遊連が行った各都府県方面遊協の組合員数調査によると、2019年1月から12月にかけての1年間における新規出店営業店舗数は、2007年の統計調査開始以降初めて2年連続で最低値を更新し、営業店舗数の減少が続いております。また、「令和元年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」(警察庁生活安全局保安課発表)によると、パチンコ・パチスロ機ともに減少傾向が続いており、遊技業界全体を取り巻く環境は厳しい状況が続いております。このような厳しい事業環境の下、当社は引き続き既存OEM先顧客との信頼関係の維持強化を推進しつつ、品質管理体制強化と製造コスト削減にかかるプロジェクトの推進等に粘り強く取り組んでまいりました。
ⅱ)自社ブランド製品につきましては、複数税率(軽減税率)やQRコード決済サービスに加え、交通系電子マネー対応も開始した、小型機でありながら大型機同等のスペックを誇る液晶小型券売機「Operal(オペラル)VMT-600」シリーズの販売活動及び顧客に対する保守・メンテナンス等のアフターサービス体制の充実等にグループ一丸となって取り組んでまいりました。
ⅲ)自律走行システム「I-GINS」につきましては、地域を限定した戦略的な営業活動の実践、関東各所におけるデモンストレーションや展示会への出展など、積極的なプロモーション活動に取り組んでまいりました。
(スポーツ事業)
ⅰ)2019年に創業60周年となる記念すべき節目の年を迎えた総合ゴルフ用品メーカーであるキャスコは、これまで培った「モノづくり」を生かしつつ、「次のゴルフをもっと面白く。」という夢の実現に向け、「良品完成」を信条として生み出されたキャスコ独自の独創的かつ魅力的な新製品の市場投入や、既存の枠組みに囚われないキャスコブランド製品の積極的なプロモーション活動によるブランドシェア拡大に向けた諸施策に粘り強く取り組んでまいりました。そして、コスト削減の徹底は勿論のこと、製造コスト上昇を踏まえた製品改廃の促進に取り組む一方で、挑戦し続ける企業として、新素材及び複合素材の製品への活用や新たな製法の構築で培われた確固たる技術の集積による「モノづくりへの信頼」をベースとした、企画・開発・製造・営業の一貫体制でのスピーディーな対応で、新たな価値の創造に向け全社一丸となって粘り強く取り組んでまいりました。
ⅱ)カーボンシャフト事業につきましては、USTMamiyaブランド認知度向上に向けた諸施策を強力に推進し、また新素材を使用した製品の開発・製造工程の改善等のコスト削減や生産性の向上にも粘り強く取り組んでまいりました。さらに生産拠点であるバングラデシュでは、国内における与野党の対立をはじめとする現地の不安定な治安及び社会情勢に臨機応変に対応する一方で、収益拡大に向けた生産設備の充実等による製造環境の整備についても着実に進めてまいりました。
(不動産事業)
不動産事業におきましては、低金利を背景とした不動産価格の高止まり等により、優良な収益不動産の購入が困難な状況の中、金融機関各社の投資用不動産に対する融資姿勢の厳格化が継続していることなど、先行き不透明な状況が続いております。
このような状況の下、当社の不動産事業子会社であるエフ・アイ興産が所有する不動産を有効かつ効率的に活用し、着実に賃貸収入を確保しております。また、転売を目的とする不動産の仕入れや販売に向けた各種取組の他、不動産仲介も含め当該事業につき幅広く手掛けるなど、収益拡大に向けた様々な諸施策に貪欲に取り組んでまいりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は142億81百万円(前期比2.9%増)、営業利益は4億39百万円(前期比42.8%減)、経常利益は3億13百万円(前期比58.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6億71百万円(前期比58.3%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
(電子機器事業セグメント)
ⅰ)遊技機関連製品について
当連結会計年度におけるパチンコ・パチスロ関連市場は、2020年4月に全面施行された改正健康増進法が定める受動喫煙防止対策のために遊技場が余儀なくされる設備投資の負担増、全日遊連が2019年11月に開催した理事会において高射幸性パチスロ機の設置比率を15%以下とする期限の2020年1月末への延期を決定したものの、当初の目標設置比率である「5%以下」とする期限についてはパチスロ6号機の市場への供給状況を見ながら検討を続けるとしたこと、さらに東京オリンピック・パラリンピックが新型コロナウイルス感染症流行の長期化により延期となったこと等が、今後遊技業界全体にどのような影響を及ぼすかにつき、不透明な状況が続いております。
このような予断を許さない状況に置かれながらも、前連結会計年度に引き続き紙幣搬送システム関連製品を含めた遊技機周辺設備機器の売上は好調に推移いたしました。また、電子部品の売上や、徹底したコスト削減の効果もあり、一定の利益を確保するにいたりました。
ⅱ)液晶小型券売機について
液晶小型券売機「Operal(オペラル)VMT-600」シリーズについては、2019年10月の消費増税対応を見据えた駆け込み需要が終息に向かったことで売上が伸び悩んだものの、積極的な展示会への出展や営業支援ツールの活用並びに券売機専用サイト「券売機プロ」をはじめとしたインターネット上のマーケティング強化等の諸施策にグループ一丸となって粘り強く取り組んだことで、売上は底堅く推移いたしました。その一方で、電話サポート窓口を設置する等、お客様満足度向上に向けた保守・メンテナンス体制の確立にも粘り強く取り組んでまいりました。
ⅲ)その他の事業について
自律走行システム「I-GINS」については、当初計画していた売上目標には届かなかったものの、営業地域を限定した戦略的な営業活動がI-GINSブランド認知度向上に寄与し、またこれまで粘り強く取り組んできた導入保守メンテナンス体制についても、試行錯誤を繰り返すことで着実に整備を進めてまいりました。
また、非接触式ICカードリーダライタについては、ICカードコインランドリー用リーダライタ市場が引き続き順調に推移しており、石油流通システムへの展開についても大手顧客からの受注等により堅調に推移しております。
この結果、電子機器事業セグメントの売上高は72億79百万円(前期比2.0%減)、営業利益は4億32百万円(前期比48.1%減)となりました。
(スポーツ事業セグメント)
ⅰ)キャスコ事業について
キャスコの国内事業においては、キャスコブランドクラブの全国一斉試打会及び「合わなかったら交換キャンペーン」の他、「推し色はどれ?パレットプレゼントキャンペーン」やSNSを活用した「ゼウスインパクトぶっ飛びキャンペーン」等の様々なプロモーション活動を積極的に展開してまいりました。また、競合品増加の煽りを受け、ゴルフボールの売上は伸び悩んだものの、根強い人気を誇るゴルフクラブ「ドルフィンウェッジ」シリーズや2019年9月発売の新製品ユーティリティクラブ「UFO(ユーフォ―)」等の販売が堅調に推移したことで、売上は底堅く推移いたしました。
他方、キャスコの海外事業においては、タイ市場における売上の不振が底を打ち回復傾向にあるものの、長く低迷が続く中国市場において景気減速が明らかとなってきたことに加え、新型コロナウイルス感染症の流行により予断を許さない状況が続いております。
ⅱ)カーボンシャフト事業について
海外におけるカーボンシャフト事業におきましては、最大飛距離と正確な方向性を実現する、USTMamiya独自のカーボン積層テクノロジーを採用したアイアンシャフト「RECOIL(リコイル)」シリーズに対する市場での評価は引き続き高く推移しました。
また、OEM先顧客である大手クラブメーカーからの大量受注についても予想を上回る出荷数となったこと、カーボン製棒高跳び用ポールや射的用及びハンティング用アロー等が好調に推移したことに加え、原材料費を安く抑える等のコスト削減の徹底に粘り強く取り組んだことで、売上・利益ともに大幅な増加となりました。
他方、生産現場では、大手OEM先顧客からの大量受注に対応するための設備投資の拡充、品質管理体制の強化による顧客満足度向上、安全に配慮した製品開発や従業員が活き活きと仕事に取り組める職場環境を整備する等の「SDGs(持続可能な開発目標)」の考え方を重視し、引き続き安心・安全な労働環境づくりの促進にも粘り強く取り組んでまいりました。
この結果、スポーツ事業セグメントの売上高は67億61百万円(前期比8.5%増)、営業損失は70百万円(前期は1億47百万円の営業損失)となりました。
(不動産事業セグメント)
不動産事業セグメントにおきましては、新たな収益源となる不動産物件情報の収集に粘り強く取り組むと共に、24時間、365日出し入れ自由のトランクルームサービス「プラスワンストレージ」が年間を通じてお客様に好評を頂いており、着実に契約件数を伸ばしております。また、お客様のトランクルームへの需要を満たすため、新たに1フロアをリノベーションしてスペースを拡張する等、さらなる収益の拡大及びお客様満足度の向上に向けた積極的な取り組みを行ってまいりました。
この結果、不動産事業セグメントの売上高は2億56百万円(前期比8.0%増)、営業利益は78百万円(前期比5.9%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が11億85百万円(前期比54.5%増)、有形固定資産の売却による収入等の増加要因があったものの、たな卸資産の増加、長期借入金の返済による支出等の減少要因がこれを上回った結果、前連結会計年度末に比べ3億31百万円減少し、当連結会計年度末に63億93百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は9億36百万円(前期は6億66百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益11億85百万円等があったものの、固定資産売却益10億45百万円、たな卸資産の増加9億18百万円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は17億52百万円(前期比1,425.9%増)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入22億70百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は11億40百万円(前期比46.1%減)となりました。これは主に、長期借入れによる収入22億円等があったものの、長期借入金の返済による支出18億99百万円、短期借入金の純増減額による支出8億円、配当金の支払額4億37百万円等があったことによるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注)自己資本比率 : 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
※ 2020年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
③生産、受注及び販売の実績
ⅰ)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ⅱ)商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注)1.金額は実際仕入額によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ⅲ)受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
ⅳ)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次の通りであります。
3.上表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであり
ます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、貸倒引当金、繰延税金資産等の算出評価について見積りを行っております。この見積りは当連結会計年度末現在において判断したものであり、見積りには不確実性、あるいはリスクを内在しているため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の売上高は142億81百万円(前期比2.9%増)、営業利益は4億39百万円(前期比42.8%減)、経常利益は3億13百万円(前期比58.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6億71百万円(前期比58.3%増)となりました。
当該経営成績につき、収益性の観点から分析した結果は以下の通りです。
(売上高総利益率) 32.6%(前期比0.3%減)
(売上高営業利益率) 3.0%(前期比2.5%減)
※前期と比較して売上高営業利益率が減少した主な要因は、本社ビルの売却を受け賃借ビルへの事務所移転を行ったことにより、支払家賃等の販管費が増加したことによるものです。
(売上高経常利益率) 2.2%(前期比3.2%減)
(売上高当期純利益率) 4.7%(前期比1.6%増)
※前期と比較して売上高当期純利益率が増加した主な要因は、本社ビル(固定資産)の売却による特別利益の計上があったことによるものです。
③ 財政状態の分析
当連結会計年度末における流動資産は140億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億50百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が3億31百万円減少したものの、販売用不動産が9億94百万円増加したことによるものであります。固定資産は109億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億56百万円減少いたしました。これは主に有形固定資産が14億21百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は249億70百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億5百万円減少いたしました。
当連結会計年度末における流動負債は57億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億円減少いたしました。これは主に短期借入金が8億円減少したことによるものであります。固定負債は53億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ88百万円増加いたしました。これは主に退職給付に係る負債が1億5百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は110億6百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億11百万円減少いたしました。
当連結会計年度末における純資産合計は139億64百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億5百万円増加いたしました。これは主に剰余金の配当4億36百万円により減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益6億71百万円により増加したものであります。
以上の結果として、自己資本比率は前連結会計年度の53.6%から55.7%に増加し、1株当たり純資産は、1,580円27銭から1,602円98銭へと増加しました。また、流動比率、当座比率等についても健全な水準を維持する等、財政状態は堅調に推移しており、持続的な安定成長を支える基盤となっております。
当該財政状態につき、当連結会計年度の経営成績を踏まえ分析した結果は以下の通りです。
(総資産回転率) 0.5 回(前期は0.5 回)
(固定資産回転率) 1.2 回(前期は1.1 回)
※前期と比較して固定資産回転率が増加した主な要因は、本社ビル(固定資産)の売却がなされたことによるものです。
(総資産経常利益率) 1.2%(前期比1.6%減)
④ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は63億93百万円となり、前連結会計年度末に比べ3憶31百万円減少いたしました。これは営業活動の結果使用した資金が9億36百万円、投資活動の結果得られた資金が17億52百万円、財務活動の結果使用した資金が11億40百万円によるものであります。
上記の他、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。なお、フリーキャッシュフローは、収益の落ち込みになどにより営業活動によるキャッシュフローがマイナスとなったものの、本社ビルの売却により投資活動によるキャッシュフローが大幅に増加したことから、結果として8億15百万円(前期比:4.3%増)となりました。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、本有価証券報告書の、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載したとおりであり、当社は、これらのリスクを的確に把握・評価し、その顕在化を回避するための適切な施策を、適宜に立案・実施するよう努めます。
⑥ 経営戦略の現状と見通し
当社は、製造業としての原点である「技術と品質」そして「スピードと革新性」を改めて見つめ直し、真摯に「ものづくり」に取り組むことにより、お客様と会社の繁栄を実現させるべく、「ものづくりを通じて信頼ある技術と品質をお客様に提供し豊かな未来を拓いていく」との経営理念を掲げております。また、この経営理念に基づき、「業績の持続的安定成長の実現」を目指すべく、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針 <経営基本方針>」に記載した経営の基本方針のとおり、グループ会社ともども企業体質の強化に努めております。
このような経営の基本方針の下で当社グループは、一連の戦略的事業再構築を通じて経営資源の選択と集中並びに事業領域の拡大とを推進し、健全かつ強固な経営基盤と、持続的成長を可能とする多極的な事業構造を着実に構築しつつあります。その結果として当社は電子機器の企画・開発・製造・販売・アフターサービスを一貫して担う事業持株会社であると共に、当社電子機器の主たるユーザーである遊技場向けシステム関連事業と自動券売機の販売を担うエフ・エス㈱、総合ゴルフ用品メーカーであるキャスコ㈱、海外におけるシャフト事業を担うユーエスティ・マミヤInc.、ゴルフ用品等の生産拠点であるマミヤ・オーピー(バングラデシュ)Ltd.、不動産事業会社である㈱エフ・アイ興産の子会社群に対する司令塔としての性格を併せ有する会社となっております。
そして、これにより当社は、電子機器事業及び新規事業に加え、当社グループの中核企業として、グループ全体の事業戦略立案、経営管理及びリスクマネジメント等を担い、傘下の各社が、グループ共通の経営方針の下で、
1.各事業の実情に即した迅速かつ柔軟で肌理細やかな事業展開が可能となる、
2.各事業の経営成績が明確となるため業績評価及びリスク管理が容易となる、
3.既存の会社を買収によって当社傘下の子会社群に加えることで、容易に新規事業に進出することができる等、M&A等を通じた大胆な事業再編が可能となる、といったメリットを享受することで、グループにおける経営資源配分の最適化による経営効率そして収益の極大化を図ることができるものと考えています。
このような経営戦略の各セグメントにおける展開の現状と見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」及び上記「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」において詳細に記載いたしましたとおりであり、一連の戦略的事業再構築を通じて確立してまいりました健全かつ強固な経営基盤と持続的成長を可能とする多極的な事業構造の下、持続的で安定した成長と堅牢かつ多彩な事業展開を実現するための様々な施策を引き続き推進してまいります。
まず電子機器事業セグメントにおいては、従来の方針を踏襲し、OEM先顧客との信頼関係の維持・強化並びに独自技術による自社ブランド製品の積極的展開による新市場の開拓・確立に向けての取り組みを推進してまいります。一方、スポーツ事業セグメントにつきましては、キャスコ㈱を中核とした完成品主体のゴルフ用品メーカーとしての地位を確立するための諸施策を講じてまいります。
⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、電子機器事業及びスポーツ事業等を主たる事業として展開しておりますが、成熟産業であるがゆえに、競合企業間において限られた市場におけるシェアの争奪戦を余儀なくされる厳しい事業環境にあります。また、主力の電子機器事業がOEM中心の事業構造であるため、当社グループ独自の事業計画を立案・遂行することが困難な状況にあります。このような環境下で当社は、経営の基本方針に掲げました「業績の持続的安定成長」を実現するための新たな成長ステップの礎となるべき揺るぎない土台を構築すべく、上記「⑥経営戦略の現状と見通し」においてご説明いたしましたグループ体制の下、その持てる経営資源を最大限に活用し、全ての部門における生産性を極大化することによって高品質・高付加価値と低コストとの両立を図り、成長の源泉である収益力を維持・強化すべく、より高い市場性を有する製品の開発と新規事業分野における新たなマーケットへの展開を、大胆かつ細心に進めてまいります。
とりわけ、高度に国際化・情報化され急速かつ激しく変化し続ける今日の競争環境において、「ものづくり」の会社である当社及び当社グループが生き残り成長し続けていくためには、顧客のニーズをタイムリーに具現化することができる、あるいはシーズ志向で顧客をリードし新たな市場を開拓することができる、イノベーションを持続的に生み出すことができる技術力を鍛え上げ磨き上げることが不可欠であり、当社は、その過程そして成果としての「イノベーションの創生」を成し遂げてまいります。
また、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」でご説明いたします、当社及び当社グループにおけるコーポレート・ガバナンス体制を通じて業務の有効性・効率性を高め、経営目標の達成を阻害する要因であるリスクを的確に把握・統制し、経営者が全ての情報を正確に把握すると共にその意思を全組織に迅速・確実に浸透させることによって、全ての役職員が情報と認識を共有し一体となって業績の向上に全力を尽くすと共に、さらなる成長を可能とする企業体質を構築してまいります。
そして当社グループは、上記「⑥経営戦略の現状と見通し」においてご説明いたしましたとおり、経営理念として「ものづくりを通じて信頼ある技術と品質をお客様に提供し豊かな未来を拓いていく」ことを掲げておりますが、その実践をすべての役職員に徹底するとともに、より一層真摯な姿勢でメーカーの原点に立ち返り、「真心を込めた丁寧なものづくり」に取り組むことでお客様に満足していただき、豊かな社会に貢献できる企業を目指してまいります。
⑧資本の財源及び資金の流動性について
ⅰ)資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、電子機器事業における新製品開発及び金型等、スポーツ事業におけるゴルフシャフト製造設備等、及び不動産事業における賃貸不動産設備等があります。
ⅱ)財政政策
当社グループの事業活動の維持拡大における資金を安定的に確保するため、金融機関からの銀行借入や社債発行により資金調達を行っております。また、支払金利の変動リスクを回避し、また支払利息の固定化を図るために金利スワップ取引を行っております。
⑨経営上の目標の達成状況について
当社グループは、継続的な安定配当等により株主利益の向上を図る観点から各利益の極大化を目指すとともに、資産効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、ROEを経営上の目標の達成状況を判断するための重要な指標と位置付けております。
そして、その具体的な目標数値を5.0%として、経営に邁進してまいりましたものの、当連結会計年度におけるROEは4.9%(前期は3.0%)となり、当該目標数値を達成することができませんでした。
これは、自己資本は、潤沢かつ適正な水準において前連結会計年度より向上しているものの、利益率の高いOEM製品及び自社ブランド製品の販売やスポーツ事業における中国市場をはじめとした海外事業が低迷したことなどを原因として連結営業利益の著しい減少があったこと等が主たる要因と認識しております。
また、当該連結営業利益の減少は、マミヤビルディングの売却による特別利益(8億40百万円)の計上によってもなお補いきれない厳しい事業環境を反映したものであることを踏まえ、引き続き、利益の拡大を最重要課題と位置づけROEの改善及び向上がなされるように粘り強く取り組んで参ります。
⑩セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
[電子機器事業セグメント]
(1)遊技関連製品
・ギャンブル等依存症対策基本法の成立による規制強化等の影響もあり、2019年中においても引き続き遊技場事業者数及び遊技機台数に減少傾向がみられるとともに、新型コロナウイルス感染症の流行長期化により東京オリンピック・パラリンピックが延期される等、先行きが見通せない厳しい事業環境が続いているものの、2020年3月期においては、長期に渡り遊技機周辺設備機器の更新に慎重な姿勢を見せていたパチンコホールの潜在的な更新需要を捉えたこと及び電子部品販売が引き続き好調であったことなどに加え、工場稼働率の向上等による製造原価低減及びコスト削減への粘り強い取り組みなどの効果もあり、利益面において一定の成果を上げることができたと分析しております。また、遊技場事業者におけるパチンコ周辺設備機器の老朽化による買い替え需要に対応するため、新規制に対応した各種製品の提案・開発・販売を強化しております。
・新紙幣発行の決定を受けた紙幣識別機の買い替え需要等の取り込みに向けた情報収集等により、新たなビジネスチャンスを獲得すべく模索・検討を続けております。
(2)券売機
・液晶小型券売機「Operal(オペラル)VMT-600シリーズ」は、2019年10月の消費増税の駆け込み需要が終息したことにより売上が伸び悩んだものの、積極的な展示会への出展や営業支援ツールの有効活用並びに券売機専用サイトを利用したマーケティング活動等の諸施策を実行したこと、そして小型機ながら大型機と同等の機能を有する点で、中小規模の飲食店等から高い支持を得ていることなどから、売上が底堅く推移したと分析しております。また、複数税率対応等を含む券売機の更なる高機能化及び多機能化の推進に向けた開発等を強化しております。
・また、新型コロナウイルス感染症流行の長期化により、2020年に予定されていた東京オリンピック・パラリンピックの延期が決定されたというマイナス要因があったものの、電子マネー及びQRコード決済を利用したキャッシュレス決済の普及に加え、グループ一丸となった展示会への継続出展等のマーケティング活動及びコールセンターの設置を含めた顧客に対する保守・メンテナンス等アフターサービス体制の運用強化といった一連の施策による成果が着実にあがってきているものと分析しております。
(3)その他製品
(I-GINS)
・製品認知度が低い等の要因により新規顧客への市場投入状況については計画よりも遅れが生じているものの、営業地域を限定した営業活動や導入保守メンテナンス体制の構築・整備を実施することにより一定の成果を上げることができたと分析しております。また今後につきましては、ベース車両販売先との協力体制の強化、導入保守メンテナンススタッフの育成、そして営業範囲の拡大等が喫緊の課題であると分析しております。
・新型コロナウイルス感染症拡大防止のため外部業者立ち入り禁止等の措置がとられている営業先ゴルフコースがあることなどが、当社の営業活動に影響を及ぼす可能性があると分析しております。
(ICカードリーダライタ)
・石油流通システムの新システム化に対応した機器の設置及びICカードコインランドリー用リーダライタの大手電気機器メーカーへの出荷が順調であったことにより、売上及び利益が堅調に推移したものと分析しております。
[スポーツ事業セグメント]
(1)キャスコ事業
・総合ゴルフ用品メーカーとして国内市場を細分化し、その市場に特化したキャスコ独自のユニークな製品を投入すると共に、キャスコブランドクラブの全国一斉試打会をはじめとする様々なプロモーション活動に粘り強く取り組み、売上は底堅く推移したものと分析しております。また、海外事業において、長引く低迷が続く中国市場において景気減速が明らかとなってきたことに加え、新型コロナウイルス感染症の流行等の影響により予断を許さない事業環境であるものと分析しております。
・2020年以降も、販売チャネルの強化と商品ラインナップの拡充を推進するとともに、キャスコ独自のユニークな製品や市場にて高い評価を受けたシリーズ製品の戦略的な市場投入及び販売・流通コスト削減にこれまで以上に粘り強く取り組んでいく必要があると認識しております。
・海外市場においては、Eコマース(電子商取引)等の活用及びアジア圏市場における新規市場開拓等により、さらなるシェア拡大に向けた取り組みを検討しております。
(2)カーボンシャフト事業
・USTMamiyaのアイアンクラブ用シャフト「Recoil(リコイル)」シリーズの人気が依然として高く推移しており、この成功体験を活かし、利益率の高いウッド用シャフトについても、戦略的な市場投入を検討しております。
・USTMamiyaブランドの活用により、PGAツアー等でのUSTMamiyaシャフト使用率を向上させることで、更なる大手OEM先顧客の獲得を促進し、またその囲い込みによる継続的な取引の実現及び安定的な収益の確保が必要であると分析しております。
・日米の商品価格差、工場稼働率を踏まえた全体最適の視点での生産効率の追求及びSDGs(持続可能な開発目標)の考え方を重視した安心・安全な労働環境づくりの促進、USTMamiyaブランドの更なる価値向上、そして徹底したコスト削減について、中長期的に注力していく必要があると分析しております。
・カーボン製棒高跳び用ポール及び射的用及びハンティング用アローの市場への投入が好調に推移したことも業績を下支えした要因のひとつであると分析しております。
[不動産事業セグメント]
・保有物件につき安定的な稼働率を確保でき、またトランクルームサービス「プラスワンストレージ」が着実に契約件数を伸ばしたことなどにより、保有物件より安定的に利益を確保できたものと分析しております。また、トランクルームのさらなる拡張等を検討しております。
・事業規模拡大のため、マーケット動向を捉えた戦略的な販売用不動産の仕入及び販売等並びに賃貸用不動産の適切な管理・運用による安定的な賃料確保の方策を確立することが必要であると分析しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、通商問題を巡る緊張の高まり、中国経済の先行き及び英国のEU離脱等の海外経済の動向と政策に関する不確実性による影響や金融資本市場の変動の影響に加え、相次ぐ自然災害や消費増税後の消費者マインドの動向に留意する必要があったものの、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあり緩やかな回復基調で推移いたしました。
しかしながら、2020年に入り新型コロナウイルス感染症が世界的な規模で流行したことにより、経済活動の衰退や株式市場の混乱が見られるなど、内外経済に与える影響に留意する必要があります。
このような経済環境の下で当社グループは、メーカーの原点である「技術と品質」「スピードと革新性」に加え、マーケットインの視点を大切にした真摯な「ものづくり」に取り組むことによりお客様と会社の繁栄を実現するとの経営理念のもと、イノベーションによる持続的成長を果たしつつ、経営資源を有効かつ効率的に活用し、高品質と低コストを兼ね備えた製品を提供することで一層の顧客価値を創造するとともに、中長期的な展望の下で安定的かつ持続的な成長を実現し、企業価値の更なる向上を図ってまいりました。
そして、当社グループの車の両輪である電子機器事業及びスポーツ事業に、不動産事業を加えた「三本柱」の事業形態により、グループ一丸となって以下の諸施策に粘り強く取り組んでまいりました。
(電子機器事業)
ⅰ)電子機器事業の主要な市場であるパチンコ・パチスロ関連市場は、全日遊連が行った各都府県方面遊協の組合員数調査によると、2019年1月から12月にかけての1年間における新規出店営業店舗数は、2007年の統計調査開始以降初めて2年連続で最低値を更新し、営業店舗数の減少が続いております。また、「令和元年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」(警察庁生活安全局保安課発表)によると、パチンコ・パチスロ機ともに減少傾向が続いており、遊技業界全体を取り巻く環境は厳しい状況が続いております。このような厳しい事業環境の下、当社は引き続き既存OEM先顧客との信頼関係の維持強化を推進しつつ、品質管理体制強化と製造コスト削減にかかるプロジェクトの推進等に粘り強く取り組んでまいりました。
ⅱ)自社ブランド製品につきましては、複数税率(軽減税率)やQRコード決済サービスに加え、交通系電子マネー対応も開始した、小型機でありながら大型機同等のスペックを誇る液晶小型券売機「Operal(オペラル)VMT-600」シリーズの販売活動及び顧客に対する保守・メンテナンス等のアフターサービス体制の充実等にグループ一丸となって取り組んでまいりました。
ⅲ)自律走行システム「I-GINS」につきましては、地域を限定した戦略的な営業活動の実践、関東各所におけるデモンストレーションや展示会への出展など、積極的なプロモーション活動に取り組んでまいりました。
(スポーツ事業)
ⅰ)2019年に創業60周年となる記念すべき節目の年を迎えた総合ゴルフ用品メーカーであるキャスコは、これまで培った「モノづくり」を生かしつつ、「次のゴルフをもっと面白く。」という夢の実現に向け、「良品完成」を信条として生み出されたキャスコ独自の独創的かつ魅力的な新製品の市場投入や、既存の枠組みに囚われないキャスコブランド製品の積極的なプロモーション活動によるブランドシェア拡大に向けた諸施策に粘り強く取り組んでまいりました。そして、コスト削減の徹底は勿論のこと、製造コスト上昇を踏まえた製品改廃の促進に取り組む一方で、挑戦し続ける企業として、新素材及び複合素材の製品への活用や新たな製法の構築で培われた確固たる技術の集積による「モノづくりへの信頼」をベースとした、企画・開発・製造・営業の一貫体制でのスピーディーな対応で、新たな価値の創造に向け全社一丸となって粘り強く取り組んでまいりました。
ⅱ)カーボンシャフト事業につきましては、USTMamiyaブランド認知度向上に向けた諸施策を強力に推進し、また新素材を使用した製品の開発・製造工程の改善等のコスト削減や生産性の向上にも粘り強く取り組んでまいりました。さらに生産拠点であるバングラデシュでは、国内における与野党の対立をはじめとする現地の不安定な治安及び社会情勢に臨機応変に対応する一方で、収益拡大に向けた生産設備の充実等による製造環境の整備についても着実に進めてまいりました。
(不動産事業)
不動産事業におきましては、低金利を背景とした不動産価格の高止まり等により、優良な収益不動産の購入が困難な状況の中、金融機関各社の投資用不動産に対する融資姿勢の厳格化が継続していることなど、先行き不透明な状況が続いております。
このような状況の下、当社の不動産事業子会社であるエフ・アイ興産が所有する不動産を有効かつ効率的に活用し、着実に賃貸収入を確保しております。また、転売を目的とする不動産の仕入れや販売に向けた各種取組の他、不動産仲介も含め当該事業につき幅広く手掛けるなど、収益拡大に向けた様々な諸施策に貪欲に取り組んでまいりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は142億81百万円(前期比2.9%増)、営業利益は4億39百万円(前期比42.8%減)、経常利益は3億13百万円(前期比58.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6億71百万円(前期比58.3%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
(電子機器事業セグメント)
ⅰ)遊技機関連製品について
当連結会計年度におけるパチンコ・パチスロ関連市場は、2020年4月に全面施行された改正健康増進法が定める受動喫煙防止対策のために遊技場が余儀なくされる設備投資の負担増、全日遊連が2019年11月に開催した理事会において高射幸性パチスロ機の設置比率を15%以下とする期限の2020年1月末への延期を決定したものの、当初の目標設置比率である「5%以下」とする期限についてはパチスロ6号機の市場への供給状況を見ながら検討を続けるとしたこと、さらに東京オリンピック・パラリンピックが新型コロナウイルス感染症流行の長期化により延期となったこと等が、今後遊技業界全体にどのような影響を及ぼすかにつき、不透明な状況が続いております。
このような予断を許さない状況に置かれながらも、前連結会計年度に引き続き紙幣搬送システム関連製品を含めた遊技機周辺設備機器の売上は好調に推移いたしました。また、電子部品の売上や、徹底したコスト削減の効果もあり、一定の利益を確保するにいたりました。
ⅱ)液晶小型券売機について
液晶小型券売機「Operal(オペラル)VMT-600」シリーズについては、2019年10月の消費増税対応を見据えた駆け込み需要が終息に向かったことで売上が伸び悩んだものの、積極的な展示会への出展や営業支援ツールの活用並びに券売機専用サイト「券売機プロ」をはじめとしたインターネット上のマーケティング強化等の諸施策にグループ一丸となって粘り強く取り組んだことで、売上は底堅く推移いたしました。その一方で、電話サポート窓口を設置する等、お客様満足度向上に向けた保守・メンテナンス体制の確立にも粘り強く取り組んでまいりました。
ⅲ)その他の事業について
自律走行システム「I-GINS」については、当初計画していた売上目標には届かなかったものの、営業地域を限定した戦略的な営業活動がI-GINSブランド認知度向上に寄与し、またこれまで粘り強く取り組んできた導入保守メンテナンス体制についても、試行錯誤を繰り返すことで着実に整備を進めてまいりました。
また、非接触式ICカードリーダライタについては、ICカードコインランドリー用リーダライタ市場が引き続き順調に推移しており、石油流通システムへの展開についても大手顧客からの受注等により堅調に推移しております。
この結果、電子機器事業セグメントの売上高は72億79百万円(前期比2.0%減)、営業利益は4億32百万円(前期比48.1%減)となりました。
(スポーツ事業セグメント)
ⅰ)キャスコ事業について
キャスコの国内事業においては、キャスコブランドクラブの全国一斉試打会及び「合わなかったら交換キャンペーン」の他、「推し色はどれ?パレットプレゼントキャンペーン」やSNSを活用した「ゼウスインパクトぶっ飛びキャンペーン」等の様々なプロモーション活動を積極的に展開してまいりました。また、競合品増加の煽りを受け、ゴルフボールの売上は伸び悩んだものの、根強い人気を誇るゴルフクラブ「ドルフィンウェッジ」シリーズや2019年9月発売の新製品ユーティリティクラブ「UFO(ユーフォ―)」等の販売が堅調に推移したことで、売上は底堅く推移いたしました。
他方、キャスコの海外事業においては、タイ市場における売上の不振が底を打ち回復傾向にあるものの、長く低迷が続く中国市場において景気減速が明らかとなってきたことに加え、新型コロナウイルス感染症の流行により予断を許さない状況が続いております。
ⅱ)カーボンシャフト事業について
海外におけるカーボンシャフト事業におきましては、最大飛距離と正確な方向性を実現する、USTMamiya独自のカーボン積層テクノロジーを採用したアイアンシャフト「RECOIL(リコイル)」シリーズに対する市場での評価は引き続き高く推移しました。
また、OEM先顧客である大手クラブメーカーからの大量受注についても予想を上回る出荷数となったこと、カーボン製棒高跳び用ポールや射的用及びハンティング用アロー等が好調に推移したことに加え、原材料費を安く抑える等のコスト削減の徹底に粘り強く取り組んだことで、売上・利益ともに大幅な増加となりました。
他方、生産現場では、大手OEM先顧客からの大量受注に対応するための設備投資の拡充、品質管理体制の強化による顧客満足度向上、安全に配慮した製品開発や従業員が活き活きと仕事に取り組める職場環境を整備する等の「SDGs(持続可能な開発目標)」の考え方を重視し、引き続き安心・安全な労働環境づくりの促進にも粘り強く取り組んでまいりました。
この結果、スポーツ事業セグメントの売上高は67億61百万円(前期比8.5%増)、営業損失は70百万円(前期は1億47百万円の営業損失)となりました。
(不動産事業セグメント)
不動産事業セグメントにおきましては、新たな収益源となる不動産物件情報の収集に粘り強く取り組むと共に、24時間、365日出し入れ自由のトランクルームサービス「プラスワンストレージ」が年間を通じてお客様に好評を頂いており、着実に契約件数を伸ばしております。また、お客様のトランクルームへの需要を満たすため、新たに1フロアをリノベーションしてスペースを拡張する等、さらなる収益の拡大及びお客様満足度の向上に向けた積極的な取り組みを行ってまいりました。
この結果、不動産事業セグメントの売上高は2億56百万円(前期比8.0%増)、営業利益は78百万円(前期比5.9%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が11億85百万円(前期比54.5%増)、有形固定資産の売却による収入等の増加要因があったものの、たな卸資産の増加、長期借入金の返済による支出等の減少要因がこれを上回った結果、前連結会計年度末に比べ3億31百万円減少し、当連結会計年度末に63億93百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は9億36百万円(前期は6億66百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益11億85百万円等があったものの、固定資産売却益10億45百万円、たな卸資産の増加9億18百万円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は17億52百万円(前期比1,425.9%増)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入22億70百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は11億40百万円(前期比46.1%減)となりました。これは主に、長期借入れによる収入22億円等があったものの、長期借入金の返済による支出18億99百万円、短期借入金の純増減額による支出8億円、配当金の支払額4億37百万円等があったことによるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
| 2018年3月期 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | |
| 自己資本比率(%) | 53.8 | 53.6 | 55.7 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 41.5 | 36.0 | 26.3 |
| キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) | 18.7 | 11.6 | - |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | 5.0 | 7.8 | - |
(注)自己資本比率 : 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
※ 2020年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
③生産、受注及び販売の実績
ⅰ)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
| セグメントの名称 | 金額(千円) | 前年同期比(%) |
| 電子機器事業 | 5,680,591 | 20.3 |
| スポーツ事業 | 6,695,876 | 6.9 |
| 合 計 | 12,376,468 | 12.6 |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ⅱ)商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
| セグメントの名称 | 金額(千円) | 前年同期比(%) |
| 電子機器事業 | 1,091,342 | △15.4 |
(注)1.金額は実際仕入額によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ⅲ)受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
ⅳ)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
| セグメントの名称 | 金額(千円) | 前年同期比(%) |
| 電子機器事業 | 7,279,043 | △2.0 |
| スポーツ事業 | 6,761,505 | 8.5 |
| 不動産事業 | 241,332 | 8.6 |
| 合 計 | 14,281,881 | 2.9 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次の通りであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金 額(千円) | 割 合 (%) | 金 額(千円) | 割 合 (%) | |
| 日本ゲームカード㈱ | 3,454,790 | 24.89 | 3,200,375 | 22.41 |
| エムディーアイ㈱ | 1,523,263 | 10.98 | 1,795,647 | 12.57 |
3.上表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであり
ます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、貸倒引当金、繰延税金資産等の算出評価について見積りを行っております。この見積りは当連結会計年度末現在において判断したものであり、見積りには不確実性、あるいはリスクを内在しているため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の売上高は142億81百万円(前期比2.9%増)、営業利益は4億39百万円(前期比42.8%減)、経常利益は3億13百万円(前期比58.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6億71百万円(前期比58.3%増)となりました。
当該経営成績につき、収益性の観点から分析した結果は以下の通りです。
(売上高総利益率) 32.6%(前期比0.3%減)
(売上高営業利益率) 3.0%(前期比2.5%減)
※前期と比較して売上高営業利益率が減少した主な要因は、本社ビルの売却を受け賃借ビルへの事務所移転を行ったことにより、支払家賃等の販管費が増加したことによるものです。
(売上高経常利益率) 2.2%(前期比3.2%減)
(売上高当期純利益率) 4.7%(前期比1.6%増)
※前期と比較して売上高当期純利益率が増加した主な要因は、本社ビル(固定資産)の売却による特別利益の計上があったことによるものです。
③ 財政状態の分析
当連結会計年度末における流動資産は140億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億50百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が3億31百万円減少したものの、販売用不動産が9億94百万円増加したことによるものであります。固定資産は109億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億56百万円減少いたしました。これは主に有形固定資産が14億21百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は249億70百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億5百万円減少いたしました。
当連結会計年度末における流動負債は57億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億円減少いたしました。これは主に短期借入金が8億円減少したことによるものであります。固定負債は53億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ88百万円増加いたしました。これは主に退職給付に係る負債が1億5百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は110億6百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億11百万円減少いたしました。
当連結会計年度末における純資産合計は139億64百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億5百万円増加いたしました。これは主に剰余金の配当4億36百万円により減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益6億71百万円により増加したものであります。
以上の結果として、自己資本比率は前連結会計年度の53.6%から55.7%に増加し、1株当たり純資産は、1,580円27銭から1,602円98銭へと増加しました。また、流動比率、当座比率等についても健全な水準を維持する等、財政状態は堅調に推移しており、持続的な安定成長を支える基盤となっております。
当該財政状態につき、当連結会計年度の経営成績を踏まえ分析した結果は以下の通りです。
(総資産回転率) 0.5 回(前期は0.5 回)
(固定資産回転率) 1.2 回(前期は1.1 回)
※前期と比較して固定資産回転率が増加した主な要因は、本社ビル(固定資産)の売却がなされたことによるものです。
(総資産経常利益率) 1.2%(前期比1.6%減)
④ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は63億93百万円となり、前連結会計年度末に比べ3憶31百万円減少いたしました。これは営業活動の結果使用した資金が9億36百万円、投資活動の結果得られた資金が17億52百万円、財務活動の結果使用した資金が11億40百万円によるものであります。
上記の他、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。なお、フリーキャッシュフローは、収益の落ち込みになどにより営業活動によるキャッシュフローがマイナスとなったものの、本社ビルの売却により投資活動によるキャッシュフローが大幅に増加したことから、結果として8億15百万円(前期比:4.3%増)となりました。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、本有価証券報告書の、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載したとおりであり、当社は、これらのリスクを的確に把握・評価し、その顕在化を回避するための適切な施策を、適宜に立案・実施するよう努めます。
⑥ 経営戦略の現状と見通し
当社は、製造業としての原点である「技術と品質」そして「スピードと革新性」を改めて見つめ直し、真摯に「ものづくり」に取り組むことにより、お客様と会社の繁栄を実現させるべく、「ものづくりを通じて信頼ある技術と品質をお客様に提供し豊かな未来を拓いていく」との経営理念を掲げております。また、この経営理念に基づき、「業績の持続的安定成長の実現」を目指すべく、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針 <経営基本方針>」に記載した経営の基本方針のとおり、グループ会社ともども企業体質の強化に努めております。
このような経営の基本方針の下で当社グループは、一連の戦略的事業再構築を通じて経営資源の選択と集中並びに事業領域の拡大とを推進し、健全かつ強固な経営基盤と、持続的成長を可能とする多極的な事業構造を着実に構築しつつあります。その結果として当社は電子機器の企画・開発・製造・販売・アフターサービスを一貫して担う事業持株会社であると共に、当社電子機器の主たるユーザーである遊技場向けシステム関連事業と自動券売機の販売を担うエフ・エス㈱、総合ゴルフ用品メーカーであるキャスコ㈱、海外におけるシャフト事業を担うユーエスティ・マミヤInc.、ゴルフ用品等の生産拠点であるマミヤ・オーピー(バングラデシュ)Ltd.、不動産事業会社である㈱エフ・アイ興産の子会社群に対する司令塔としての性格を併せ有する会社となっております。
そして、これにより当社は、電子機器事業及び新規事業に加え、当社グループの中核企業として、グループ全体の事業戦略立案、経営管理及びリスクマネジメント等を担い、傘下の各社が、グループ共通の経営方針の下で、
1.各事業の実情に即した迅速かつ柔軟で肌理細やかな事業展開が可能となる、
2.各事業の経営成績が明確となるため業績評価及びリスク管理が容易となる、
3.既存の会社を買収によって当社傘下の子会社群に加えることで、容易に新規事業に進出することができる等、M&A等を通じた大胆な事業再編が可能となる、といったメリットを享受することで、グループにおける経営資源配分の最適化による経営効率そして収益の極大化を図ることができるものと考えています。
このような経営戦略の各セグメントにおける展開の現状と見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」及び上記「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」において詳細に記載いたしましたとおりであり、一連の戦略的事業再構築を通じて確立してまいりました健全かつ強固な経営基盤と持続的成長を可能とする多極的な事業構造の下、持続的で安定した成長と堅牢かつ多彩な事業展開を実現するための様々な施策を引き続き推進してまいります。
まず電子機器事業セグメントにおいては、従来の方針を踏襲し、OEM先顧客との信頼関係の維持・強化並びに独自技術による自社ブランド製品の積極的展開による新市場の開拓・確立に向けての取り組みを推進してまいります。一方、スポーツ事業セグメントにつきましては、キャスコ㈱を中核とした完成品主体のゴルフ用品メーカーとしての地位を確立するための諸施策を講じてまいります。
⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、電子機器事業及びスポーツ事業等を主たる事業として展開しておりますが、成熟産業であるがゆえに、競合企業間において限られた市場におけるシェアの争奪戦を余儀なくされる厳しい事業環境にあります。また、主力の電子機器事業がOEM中心の事業構造であるため、当社グループ独自の事業計画を立案・遂行することが困難な状況にあります。このような環境下で当社は、経営の基本方針に掲げました「業績の持続的安定成長」を実現するための新たな成長ステップの礎となるべき揺るぎない土台を構築すべく、上記「⑥経営戦略の現状と見通し」においてご説明いたしましたグループ体制の下、その持てる経営資源を最大限に活用し、全ての部門における生産性を極大化することによって高品質・高付加価値と低コストとの両立を図り、成長の源泉である収益力を維持・強化すべく、より高い市場性を有する製品の開発と新規事業分野における新たなマーケットへの展開を、大胆かつ細心に進めてまいります。
とりわけ、高度に国際化・情報化され急速かつ激しく変化し続ける今日の競争環境において、「ものづくり」の会社である当社及び当社グループが生き残り成長し続けていくためには、顧客のニーズをタイムリーに具現化することができる、あるいはシーズ志向で顧客をリードし新たな市場を開拓することができる、イノベーションを持続的に生み出すことができる技術力を鍛え上げ磨き上げることが不可欠であり、当社は、その過程そして成果としての「イノベーションの創生」を成し遂げてまいります。
また、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」でご説明いたします、当社及び当社グループにおけるコーポレート・ガバナンス体制を通じて業務の有効性・効率性を高め、経営目標の達成を阻害する要因であるリスクを的確に把握・統制し、経営者が全ての情報を正確に把握すると共にその意思を全組織に迅速・確実に浸透させることによって、全ての役職員が情報と認識を共有し一体となって業績の向上に全力を尽くすと共に、さらなる成長を可能とする企業体質を構築してまいります。
そして当社グループは、上記「⑥経営戦略の現状と見通し」においてご説明いたしましたとおり、経営理念として「ものづくりを通じて信頼ある技術と品質をお客様に提供し豊かな未来を拓いていく」ことを掲げておりますが、その実践をすべての役職員に徹底するとともに、より一層真摯な姿勢でメーカーの原点に立ち返り、「真心を込めた丁寧なものづくり」に取り組むことでお客様に満足していただき、豊かな社会に貢献できる企業を目指してまいります。
⑧資本の財源及び資金の流動性について
ⅰ)資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、電子機器事業における新製品開発及び金型等、スポーツ事業におけるゴルフシャフト製造設備等、及び不動産事業における賃貸不動産設備等があります。
ⅱ)財政政策
当社グループの事業活動の維持拡大における資金を安定的に確保するため、金融機関からの銀行借入や社債発行により資金調達を行っております。また、支払金利の変動リスクを回避し、また支払利息の固定化を図るために金利スワップ取引を行っております。
⑨経営上の目標の達成状況について
当社グループは、継続的な安定配当等により株主利益の向上を図る観点から各利益の極大化を目指すとともに、資産効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、ROEを経営上の目標の達成状況を判断するための重要な指標と位置付けております。
そして、その具体的な目標数値を5.0%として、経営に邁進してまいりましたものの、当連結会計年度におけるROEは4.9%(前期は3.0%)となり、当該目標数値を達成することができませんでした。
これは、自己資本は、潤沢かつ適正な水準において前連結会計年度より向上しているものの、利益率の高いOEM製品及び自社ブランド製品の販売やスポーツ事業における中国市場をはじめとした海外事業が低迷したことなどを原因として連結営業利益の著しい減少があったこと等が主たる要因と認識しております。
また、当該連結営業利益の減少は、マミヤビルディングの売却による特別利益(8億40百万円)の計上によってもなお補いきれない厳しい事業環境を反映したものであることを踏まえ、引き続き、利益の拡大を最重要課題と位置づけROEの改善及び向上がなされるように粘り強く取り組んで参ります。
⑩セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
[電子機器事業セグメント]
(1)遊技関連製品
・ギャンブル等依存症対策基本法の成立による規制強化等の影響もあり、2019年中においても引き続き遊技場事業者数及び遊技機台数に減少傾向がみられるとともに、新型コロナウイルス感染症の流行長期化により東京オリンピック・パラリンピックが延期される等、先行きが見通せない厳しい事業環境が続いているものの、2020年3月期においては、長期に渡り遊技機周辺設備機器の更新に慎重な姿勢を見せていたパチンコホールの潜在的な更新需要を捉えたこと及び電子部品販売が引き続き好調であったことなどに加え、工場稼働率の向上等による製造原価低減及びコスト削減への粘り強い取り組みなどの効果もあり、利益面において一定の成果を上げることができたと分析しております。また、遊技場事業者におけるパチンコ周辺設備機器の老朽化による買い替え需要に対応するため、新規制に対応した各種製品の提案・開発・販売を強化しております。
・新紙幣発行の決定を受けた紙幣識別機の買い替え需要等の取り込みに向けた情報収集等により、新たなビジネスチャンスを獲得すべく模索・検討を続けております。
(2)券売機
・液晶小型券売機「Operal(オペラル)VMT-600シリーズ」は、2019年10月の消費増税の駆け込み需要が終息したことにより売上が伸び悩んだものの、積極的な展示会への出展や営業支援ツールの有効活用並びに券売機専用サイトを利用したマーケティング活動等の諸施策を実行したこと、そして小型機ながら大型機と同等の機能を有する点で、中小規模の飲食店等から高い支持を得ていることなどから、売上が底堅く推移したと分析しております。また、複数税率対応等を含む券売機の更なる高機能化及び多機能化の推進に向けた開発等を強化しております。
・また、新型コロナウイルス感染症流行の長期化により、2020年に予定されていた東京オリンピック・パラリンピックの延期が決定されたというマイナス要因があったものの、電子マネー及びQRコード決済を利用したキャッシュレス決済の普及に加え、グループ一丸となった展示会への継続出展等のマーケティング活動及びコールセンターの設置を含めた顧客に対する保守・メンテナンス等アフターサービス体制の運用強化といった一連の施策による成果が着実にあがってきているものと分析しております。
(3)その他製品
(I-GINS)
・製品認知度が低い等の要因により新規顧客への市場投入状況については計画よりも遅れが生じているものの、営業地域を限定した営業活動や導入保守メンテナンス体制の構築・整備を実施することにより一定の成果を上げることができたと分析しております。また今後につきましては、ベース車両販売先との協力体制の強化、導入保守メンテナンススタッフの育成、そして営業範囲の拡大等が喫緊の課題であると分析しております。
・新型コロナウイルス感染症拡大防止のため外部業者立ち入り禁止等の措置がとられている営業先ゴルフコースがあることなどが、当社の営業活動に影響を及ぼす可能性があると分析しております。
(ICカードリーダライタ)
・石油流通システムの新システム化に対応した機器の設置及びICカードコインランドリー用リーダライタの大手電気機器メーカーへの出荷が順調であったことにより、売上及び利益が堅調に推移したものと分析しております。
[スポーツ事業セグメント]
(1)キャスコ事業
・総合ゴルフ用品メーカーとして国内市場を細分化し、その市場に特化したキャスコ独自のユニークな製品を投入すると共に、キャスコブランドクラブの全国一斉試打会をはじめとする様々なプロモーション活動に粘り強く取り組み、売上は底堅く推移したものと分析しております。また、海外事業において、長引く低迷が続く中国市場において景気減速が明らかとなってきたことに加え、新型コロナウイルス感染症の流行等の影響により予断を許さない事業環境であるものと分析しております。
・2020年以降も、販売チャネルの強化と商品ラインナップの拡充を推進するとともに、キャスコ独自のユニークな製品や市場にて高い評価を受けたシリーズ製品の戦略的な市場投入及び販売・流通コスト削減にこれまで以上に粘り強く取り組んでいく必要があると認識しております。
・海外市場においては、Eコマース(電子商取引)等の活用及びアジア圏市場における新規市場開拓等により、さらなるシェア拡大に向けた取り組みを検討しております。
(2)カーボンシャフト事業
・USTMamiyaのアイアンクラブ用シャフト「Recoil(リコイル)」シリーズの人気が依然として高く推移しており、この成功体験を活かし、利益率の高いウッド用シャフトについても、戦略的な市場投入を検討しております。
・USTMamiyaブランドの活用により、PGAツアー等でのUSTMamiyaシャフト使用率を向上させることで、更なる大手OEM先顧客の獲得を促進し、またその囲い込みによる継続的な取引の実現及び安定的な収益の確保が必要であると分析しております。
・日米の商品価格差、工場稼働率を踏まえた全体最適の視点での生産効率の追求及びSDGs(持続可能な開発目標)の考え方を重視した安心・安全な労働環境づくりの促進、USTMamiyaブランドの更なる価値向上、そして徹底したコスト削減について、中長期的に注力していく必要があると分析しております。
・カーボン製棒高跳び用ポール及び射的用及びハンティング用アローの市場への投入が好調に推移したことも業績を下支えした要因のひとつであると分析しております。
[不動産事業セグメント]
・保有物件につき安定的な稼働率を確保でき、またトランクルームサービス「プラスワンストレージ」が着実に契約件数を伸ばしたことなどにより、保有物件より安定的に利益を確保できたものと分析しております。また、トランクルームのさらなる拡張等を検討しております。
・事業規模拡大のため、マーケット動向を捉えた戦略的な販売用不動産の仕入及び販売等並びに賃貸用不動産の適切な管理・運用による安定的な賃料確保の方策を確立することが必要であると分析しております。