有価証券報告書-第79期(2024/04/01-2025/03/31)
(2)戦略並びに指標及び目標
当グループは、2030年ビジョンとしてステートメント「Innovative quality company ―新たな価値を創造し続ける―」を掲げています。2030年に向けた最初の一歩となる第14次中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)では、ビジョン達成に向けたマテリアリティ(重要課題)と2030年時点でのあるべき姿を指標化したサステナビリティ目標を策定しました。第15次中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)においては「ESG経営の実現」を経営方針に掲げ、目標達成に向けてサステナビリティ委員長が主軸となり、さらに取り組みを加速させていきます。
※1 株式会社ジェイ・ディー・パワー ジャパンによる日本自動車初期品質調査SM(Initial Quality Study、略称IQS)の評点。新車 購入者を対象に不具合経験を調査し、車100台当たりの不具合指摘件数として集計される。数値が低いほど品質が高いことを示す。
※2 当グループの事業活動に伴うCO2排出量(Scope1+2)の削減率
※3 当グループの生産活動に伴う廃棄物の削減率(残渣、汚泥などは除く)
※4 当グループの工場設備での取水量(使用量)の削減率と、生産活動に伴う排水による環境影響
※5 当社社員を対象とした、株式会社リンクアンドモチベーション「モチベーションクラウド」によるエンゲージメントレーティング。
目標とする「AAA」は全11段階中、最上位のレーティング
※6 当グループの取引先(海外を含む)を対象としたサプライヤーサステナビリティガイドラインの遵守率
※7 女性・キャリア採用・外国籍・高齢者・障がい者の管理職比率
主要取り組み① 気候変動対応
当グループはCO2を直接排出する自動車の製造に関わる企業として、また気候変動が事業に及ぼす影響の大きさから、気候変動対応を重要な経営課題の一つと捉えています。
カーボンニュートラルへの取り組みは、持続可能な社会の実現には不可欠であり、各国政府によるCO2排出量削減を目標としたエネルギー規制や、法令強化が見込まれ、自動車についてもさまざまな規制が強化されると予測されます。規制強化は当グループにとってリスクとなり得る一方、当グループが強みとする環境性能に優れた製品・サービスに力を入れて取り組むことは事業拡大の機会となり得ます。今後、変化する規制や法令に適応した当グループの製品・サービスを普及させていくことが、CO2を含む世界の温室効果ガス排出抑制に向けた有効な施策であり、かつ当グループの事業成長につながると考えています。
当グループの主要事業である四輪事業(シート・内装品)を対象とし、シナリオ分析および事業におけるリスクと機会の特定を行いました。気候変動に伴うリスクと機会には、規制の強化や技術の進展、市場の変化など脱炭素社会への移行に起因するものと、急性的な異常気象や慢性的な気温上昇など気候変動の物理的な影響に起因するものが考えられます。当グループは、気候変動に伴うさまざまな外部環境の変化について、その要因を「物理的リスク」と「移行リスク」に分類の上、財務的影響を大・中・小の3段階で定性評価し、重要なリスクと機会を特定しています。なお、重要なリスクと機会の影響については仮説を立て、影響額を想定した定量評価を実施しています。
分析対象期間は2050年までとし、当グループの長期環境目標に合わせ、中期を2030年、長期を2050年と設定しています。
気候変動によるリスクと機会、およびその対応
■主なリスク
■主な機会
なお、気候変動を中心とした環境影響については、2030年目標に加え、2050年のあるべき姿を指標とした長期環境目標を策定しています。気候変動対応に加え、循環型社会の形成、水資源の保全など、社会課題解決への貢献とさらなる事業成長の両立を目指し、グループ全体で環境保全活動を推進しています。
※1 当グループの事業活動に伴うCO2排出量(Scope1+2)の削減率
※2 当グループの生産活動に伴う廃棄物の削減率(残渣、汚泥などは除く)
※3 当グループの工場設備での取水量(使用量)の削減率と、生産活動に伴う排水量の削減率
※4 当グループの生産活動に伴う排水による環境影響
当グループは、2030年ビジョンとしてステートメント「Innovative quality company ―新たな価値を創造し続ける―」を掲げています。2030年に向けた最初の一歩となる第14次中期経営計画(2021年3月期~2023年3月期)では、ビジョン達成に向けたマテリアリティ(重要課題)と2030年時点でのあるべき姿を指標化したサステナビリティ目標を策定しました。第15次中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)においては「ESG経営の実現」を経営方針に掲げ、目標達成に向けてサステナビリティ委員長が主軸となり、さらに取り組みを加速させていきます。
| 第14次中期 | 第15次中期 | 2030年 | ||||
| マテリアリティ | KPI | 実績 | 2025年3月期 取り組み施策 | 目標 | 目標 | |
| 社会 | 魅力的な革新技術 開発 | 研究開発費に占める 革新技術開発費比率 | 2021年 3月期比 +2.6% | ・次世代の車室空間を想定した研究開発 ・環境対応技術の研究開発 | 2021年 3月期比 +3% | 2021年 3月期比 +10% |
| 製品品質の 向上 | シートサプライヤー IQS評点※1 | 8.8P | ・外観品質阻害項目に対する改善活動 ・外観品質向上委員会の 継続実施 | 7.0P | 2.0P (高位安定) | |
| 環境 | 気候変動 対応 | CO2排出量削減率※2 | 2020年 3月期比 ▲16% | ・省エネ施策の水平展開 ・再生可能エネルギーの地域最適手法の検討と導入計画立案 | 2020年 3月期比 ▲25% | 2020年 3月期比 ▲50% |
| 資源循環、 有効活用 | 廃棄物削減率※3 | 2020年 3月期比 ▲16% (全量) | ・主要廃棄物再資源化調査 ・再資源化の動向調査と施策検討 | 2020年 3月期比 ▲25% | 2020年 3月期比 ▲50% | |
| 取水量削減率と 排水による環境影響※4 | 2020年 3月期比 ▲13% (全量) | ・漏水等チェックリストの作成と点検実施 ・取水量削減に向けた動向調査と施策検討 | 2020年 3月期比 ▲15% | 2020年 3月期比 ▲50% 環境影響“0” | ||
| 自然との 共生 | テイ・エス テック基金 (マッチングギフト制度) の創設 | 制度調査構想検討 | ・「テイ・エステック基金」設立 ・制度運営と自然保護団体への寄付実施 ・寄付実績を社内外へ周知 | テイ・エス テックグループによる寄付制度の創設 | テイ・エス テックグループによる寄付制度の創設 | |
| 企業基盤 | 人権の尊重 | エンゲージメント レーティング※5 | C | ・改善施策事例集の水平展開 ・アクションプランの策定、実行 | BB | AAA |
| サプライヤー サステナビリティ ガイドライン遵守率※6 | 97% 対象:国内取引先126社 | ・グローバル調査の取り組み強化 ・取引先へのヒアリング | 100% 対象:国内外 取引先 | 100% 対象:国内外 取引先 | ||
| 多様性を 活かした 働き方改革 | 多様な人材の 管理職比率※7 | 32.5% | ・積極的なキャリア採用の継続 | 33.3% | 35.0% | |
| ガバナンスの強化 | コーポレート ガバナンス・コード 遵守率 | 100% | ・重要内容をコーポレートガバナンス報告書へ反映 ・内部統制システム構築の基本方針見直し | 100% | 100% | |
※1 株式会社ジェイ・ディー・パワー ジャパンによる日本自動車初期品質調査SM(Initial Quality Study、略称IQS)の評点。新車 購入者を対象に不具合経験を調査し、車100台当たりの不具合指摘件数として集計される。数値が低いほど品質が高いことを示す。
※2 当グループの事業活動に伴うCO2排出量(Scope1+2)の削減率
※3 当グループの生産活動に伴う廃棄物の削減率(残渣、汚泥などは除く)
※4 当グループの工場設備での取水量(使用量)の削減率と、生産活動に伴う排水による環境影響
※5 当社社員を対象とした、株式会社リンクアンドモチベーション「モチベーションクラウド」によるエンゲージメントレーティング。
目標とする「AAA」は全11段階中、最上位のレーティング
※6 当グループの取引先(海外を含む)を対象としたサプライヤーサステナビリティガイドラインの遵守率
※7 女性・キャリア採用・外国籍・高齢者・障がい者の管理職比率
主要取り組み① 気候変動対応
当グループはCO2を直接排出する自動車の製造に関わる企業として、また気候変動が事業に及ぼす影響の大きさから、気候変動対応を重要な経営課題の一つと捉えています。
カーボンニュートラルへの取り組みは、持続可能な社会の実現には不可欠であり、各国政府によるCO2排出量削減を目標としたエネルギー規制や、法令強化が見込まれ、自動車についてもさまざまな規制が強化されると予測されます。規制強化は当グループにとってリスクとなり得る一方、当グループが強みとする環境性能に優れた製品・サービスに力を入れて取り組むことは事業拡大の機会となり得ます。今後、変化する規制や法令に適応した当グループの製品・サービスを普及させていくことが、CO2を含む世界の温室効果ガス排出抑制に向けた有効な施策であり、かつ当グループの事業成長につながると考えています。
当グループの主要事業である四輪事業(シート・内装品)を対象とし、シナリオ分析および事業におけるリスクと機会の特定を行いました。気候変動に伴うリスクと機会には、規制の強化や技術の進展、市場の変化など脱炭素社会への移行に起因するものと、急性的な異常気象や慢性的な気温上昇など気候変動の物理的な影響に起因するものが考えられます。当グループは、気候変動に伴うさまざまな外部環境の変化について、その要因を「物理的リスク」と「移行リスク」に分類の上、財務的影響を大・中・小の3段階で定性評価し、重要なリスクと機会を特定しています。なお、重要なリスクと機会の影響については仮説を立て、影響額を想定した定量評価を実施しています。
分析対象期間は2050年までとし、当グループの長期環境目標に合わせ、中期を2030年、長期を2050年と設定しています。
気候変動によるリスクと機会、およびその対応
■主なリスク
| 分類 | 想定 される リスク | 時間軸 | 潜在的な 財務影響 | 対応 | 関連する 取り組みや指標 | |
| 物理的リスク 4℃ | 急性 | 台風・集中豪雨・ハリケーンなどの異常気象によるグループ拠点の操業停止に伴う売上減少 | 長期 | [影響度:大]洪水による操業停止に伴う減収影響額として、最大で1拠点当たり約50億円程度を想定 | ・BCP対策の強化・災害時、部品代替生産 などの生産保全や、迅速 な稼働再開に向けた グループ内連携・リスクを考慮した 拠点展開・サプライチェーンに おける災害リスク管理 | ・グローバルリスク 管理委員会による リスクマネジメント |
| 移行リスク1.5℃ | 政策法規制 | 規制強化に伴う、再生可能エネルギー導入や設備投資の増加 | 中期 | [影響度:大] 太陽光発電をはじめとする再生エネルギーへの転換に関わる2030年までのコストとして約70億円程度を想定 | ・エネルギー使用の効率化・費用対効果が最大となる 効果的な設備への投資 | ・高効率生産体制の構築 ・長期環境目標 |
| 炭素税導入拡大による操業コストの増加 | 中期 | [影響度:中] 2030年時点の当グループCO2排出量における 炭素税影響額として約7億円程度を想定 | ・CO2削減施策(省エネル ギー化推進・再生可能 エネルギー導入など)の 推進 (2024年3月期 対応費用 約1.9億円) ・物流効率向上 | |||
| 技術 | 低炭素製品や電動化対応製品に向けた研究開発に関わるコストや設備投資の増加 | 中期 | [影響度:大]環境負荷の少ない製品や製造技術、ならびに電動車に適した製品の研究開発費と、それに伴う設備投資額の増加を想定 | ・営業活動の強化による 売上の拡大・顧客との共創による開発 の強化 | ・環境技術開発の 推進強化 | |
| 市場 | 環境に配慮した材料の採用や炭素税などに伴う原材料調達コストの増加 | 中期 | [影響度:大]2030年時点でのサプライヤーとの取引における炭素税影響額として約400億円を想定 | ・サプライチェーン マネジメントの強化・Scope3排出量削減施策 の推進・物流効率向上 | ・サプライチェーンの 再構築 | |
| 電動化対応製品や低炭素製品への対応遅れによる売上減少 | 中期 | [影響度:大]電気自動車への移行や、製品の環境負荷低減が求められる中、顧客ニーズに適合した製品を提供できない場合、2030年の減収影響額として約1,000億円程度を想定 | ・電気自動車対応製品 開発の加速・環境負荷低減素材の 加工技術確立・新素材や新技術に対応 した高効率製造 ラインの構築 | ・主要客先シェア向上・環境技術開発の推進 強化 | ||
■主な機会
| 分類 | 想定 される リスク | 時間軸 | 潜在的な 財務影響 | 対応 | 関連する 取り組みや指標 | |
| 機会1.5℃ | 資源 効率 | 生産プロセス効率化に伴う操業コストの減少 | 中期 | [影響度:中] 省エネルギー化施策により2030年までにもたらされるコスト削減効果額として約5億円程度を想定 | ・生産設備を中心とした 省エネルギー化施策の 継続推進 ・生産工程の自動化とそれ に適した製品仕様開発 ・回生エネルギーや自重を 活用した生産工程の 改善 | ・高効率生産体制の構築 ・マテリアリティ ・長期環境目標 |
| 製品およびサービス | 低炭素製品の需要拡大に伴う、電動化に対応したシートや環境負荷低減素材を採用した内装部品などの売上増加 | 中期 | [影響度:大] 電気自動車に適合する製品の充実により、新規顧客獲得や商権拡大につながり、2030年の増収効果額として約700億円程度を想定 | ・電費向上に貢献する製品 開発 ・植物由来の原料などを 用いた製品の開発 (バイオマスウレタン など) ・リサイクル材の採用 (リサイクルPP、電炉材 の活用)や易解体構造化 の推進 ・環境負荷低減素材の加工 技術確立 ・新素材や新技術に対応 した高効率製造ライン の構築 | ・キャビンコーディネート 機能の獲得 ・新事業のさらなる拡大 ・環境技術開発の推進強化 | |
| 次世代自動車に適合した新製品販売による売上増加 | 中期 | [影響度:大] キャビン(車室内空間)全体をコーディネートし、次世代自動車に求められる新たなニーズに適合した製品開発により、新規顧客獲得や商権拡大につながり、2030年の増収効果額として約350億円程度を想定 | ・キャビンコーディネート に向けた他業種との 技術・製品 ・システムソフトウェア 開発の強化 | ・キャビンコーディネート 機能の獲得 | ||
なお、気候変動を中心とした環境影響については、2030年目標に加え、2050年のあるべき姿を指標とした長期環境目標を策定しています。気候変動対応に加え、循環型社会の形成、水資源の保全など、社会課題解決への貢献とさらなる事業成長の両立を目指し、グループ全体で環境保全活動を推進しています。
| 項目 | KPI | 比較期 | 2030年目標 | 2050年目標 |
| CO2 | CO2排出量削減※1 | 2020年3月期比 | ▲50% | ▲100% |
| 廃棄物 | 廃棄物削減率※2 | ▲50% | ▲100% | |
| 水 | 取水量/排水量削減率※3 | 取水量削減 ▲50% | 排水量削減 ▲100% | |
| 排水による環境影響※4 | - | ゼロ | ゼロ |
※1 当グループの事業活動に伴うCO2排出量(Scope1+2)の削減率
※2 当グループの生産活動に伴う廃棄物の削減率(残渣、汚泥などは除く)
※3 当グループの工場設備での取水量(使用量)の削減率と、生産活動に伴う排水量の削減率
※4 当グループの生産活動に伴う排水による環境影響