有価証券報告書-第101期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
9.金融商品及び関連する開示
(1)資本管理
当社グループは、持続的な成長を通じて、企業価値を最大化することを目指して資本管理を行っております。当社が資本管理において用いる重要な指標は、有利子負債の金額から現金及び現金同等物並びに定期預金の金額を差し引いたネット有利子負債と当社の所有者に帰属する持分合計から算出されるネット有利子負債倍率であり、1.0倍以内を目標としております。前連結会計年度及び当連結会計年度における当該倍率は、それぞれ0.7倍及び0.7倍であります。
なお、当社グループが適用を受ける重要な資本規制(会社法等の一般的な規定を除く)はありません。
(2)金融商品の分類
金融商品の分類ごとの内訳は、次のとおりであります。
(3)金融商品の公正価値
①公正価値ヒエラルキー
公正価値で測定する金融商品について、公正価値の測定に用いたインプットに応じて3つのレベルに分類しております。
レベル1:同一の資産または負債に関する活発な市場における相場価格
レベル2:レベル1の公表価格を除く、直接または間接的に観察可能なインプット
レベル3:観察可能な市場データに基づかないインプット
②償却原価で測定する金融商品
償却原価で測定する金融商品の帳簿価額及び公正価値は、次のとおりであります。
公正価値の測定方法は次のとおりであり、すべて公正価値ヒエラルキーのレベル2に分類しております。
(a)現金及び現金同等物
主として、現金、当座預金及び短期間で満期を迎える定期預金であり、その公正価値は、帳簿価額と同額とみなしております。
(b)営業債権及びその他の債権
短期間で決済される債権及び変動金利付債権の公正価値は、帳簿価額と同額とみなしております。それらを除く債権の公正価値は、新たに同一残存期間で同程度の信用格付を有する債権を同様の条件の下で取得する場合に適用される利率を使用して、将来の見積りキャッシュ・フローを割引くことにより測定しております。
(c)その他の金融資産
主として、預入期間が3か月超1年以内の定期預金であり、その公正価値は、帳簿価額と同額とみなしております。
(d)営業債務及びその他の債務
短期間で決済される債務の公正価値は、帳簿価額と同額とみなしております。
(e)社債及び借入金
社債の公正価値は、公表されている参考価格を参照して測定しております。借入金の公正価値は、新たに同一残存期間の借入を同様の条件の下で行う場合に適用される利率を使用して、将来の見積りキャッシュ・フローを割引くことにより測定しております。
③公正価値で測定する金融商品
経常的に公正価値で測定する金融商品の公正価値ヒエラルキーは、次のとおりであります。なお、非経常的に公正価値で測定する金融商品はありません。
前連結会計年度(2021年3月31日)
当連結会計年度(2022年3月31日)
公正価値の測定方法は、次のとおりであります。
(a)その他の金融資産
レベル1に分類した金融商品は、活発な市場で取引されているデリバティブであり、各年度の末日現在の相場価格に基づき測定しております。レベル2に分類した金融商品は、相対取引のデリバティブであり、ブローカーによる提示相場及び観察可能なインプットに基づき測定しております。
(b)その他の投資
レベル1に分類した金融商品は、活発な市場で取引されている株式であり、各年度の末日現在の相場価格に基づき測定しております。レベル3に分類した金融商品は、活発な市場における相場価格がない株式及び出資金であり、適切な権限者が承認した公正価値の測定に係る評価方法を含む評価方針及び手続に従い、評価者が各金融商品の評価方法を決定し測定しております。また、出資金の一部は、存続期間に定めのある事業組合への投資であるため、純損益を通じて公正価値で測定しております。評価方法には類似会社比較法、純資産法等があり、測定にあたり、PBR、非流動性ディスカウント等を利用しております。
(c)その他の金融負債
レベル1に分類した金融商品は、活発な市場で取引されているデリバティブであり、各年度の末日現在の相場価格に基づき測定しております。レベル2に分類した金融商品は、相対取引のデリバティブであり、ブローカーによる提示相場及び観察可能なインプットに基づき測定しております。
公正価値ヒエラルキーのレベル3に分類した金融商品の増減は、次のとおりであります。
公正価値ヒエラルキーのレベル3に分類した金融商品に係る重要な観察不能なインプットは、次のとおりであります。
PBRが上昇(低下)した場合は公正価値が上昇(低下)し、非流動性ディスカウントが上昇(低下)した場合は公正価値が低下(上昇)します。
(4)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品
①主な銘柄ごとの公正価値
主として取引関係の維持・強化を目的として保有する投資は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定し、「その他の投資」に計上しております。主な銘柄は、次のとおりであります。
前連結会計年度(2021年3月31日)
当連結会計年度(2022年3月31日)
②受取配当金
③期中に認識を中止したその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品
事業戦略の見直しに伴う売却等により、期中に認識を中止したその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の売却日における公正価値及び売却に係る累積利得または損失(税引前)は、次のとおりであります。
④利益剰余金への振替額
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の公正価値の変動による累積利得または損失は、投資を処分した場合または公正価値が著しく低下した場合に利益剰余金に振替えております。利益剰余金に振替えたその他の包括利益の累積利得または損失(税引後)は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ7,057百万円(損失)及び5,603百万円(損失)であります。
(5)デリバティブ
デリバティブの種類別の内訳は、次のとおりであります。
(6)ヘッジ会計
①ヘッジ会計の種類
(a)公正価値ヘッジ
主として確定約定または棚卸資産に係る公正価値の変動リスクをヘッジするために商品関連デリバティブをヘッジ手段に指定しております。
(b)キャッシュ・フロー・ヘッジ
主として変動利付借入金の金利に係るキャッシュ・フローの変動リスクをヘッジするために金利関連デリバティブを、外貨建確定約定の為替に係るキャッシュ・フローの変動リスクをヘッジするために通貨関連デリバティブを、予定取引に係る商品価格の変動に伴うキャッシュ・フローの変動リスクをヘッジするために商品関連デリバティブをヘッジ手段に指定しております。
(c)在外営業活動体に対する純投資のヘッジ
在外営業活動体に対する純投資に係る為替相場の変動リスクをヘッジするために外貨建借入金等をヘッジ手段に指定しております。
②ヘッジ会計に関する事項
ヘッジ会計に関する事項は、次のとおりであります。
なお、ヘッジ非有効部分及びヘッジ会計中止部分に重要性はありません。
(a)ヘッジ手段
前連結会計年度(2021年3月31日)
当連結会計年度(2022年3月31日)
外貨建変動金利借入金の金利固定化を目的として、金利通貨スワップ取引を行っております。当該取引は、金利変動リスクに含めて記載しております。
ヘッジ手段の名目金額の期日別内訳は次のとおりであります。
(b)ヘッジ対象
前連結会計年度(2021年3月31日)
当連結会計年度(2022年3月31日)
(7)金融資産及び金融負債の相殺
金融資産と金融負債の相殺要件を満たすものは、連結財政状態計算書で相殺表示しております。デリバティブ債権及びデリバティブ債務の相殺状況は、次のとおりであります。なお、デリバティブ債権及びデリバティブ債務を除き、重要性はありません。
金融資産と金融負債の相殺要件の一部または全部を満たさないため連結財政状態計算書で相殺していない金額に、重要性はありません。
(8)金融資産の譲渡
割引手形等の流動化債権のうち、債務者が支払を行わない場合に当社グループに遡及的に支払義務が発生するものについては、金融資産の認識の中止の要件を満たさないことから、「営業債権及びその他の債権」及び「社債及び借入金」に計上しております。当該金額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ10,443百万円及び8,436百万円であります。
(9)金融商品から生じるリスク
財務上のリスク管理
当社グループは、営業活動を行う過程において、市場リスク(為替変動リスク・金利変動リスク・株価変動リスク及び商品価格変動リスク)・信用リスク・流動性リスクにさらされており、当該財務上のリスクを軽減するために、リスク管理を行っております。当社グループは、リスク回避の一環としてデリバティブ取引を利用しております。
(a)為替変動リスク管理
当社グループは、国際的に事業を展開しており、各事業拠点の現地通貨以外の通貨による売買取引、ファイナンス及び投資に関連する為替変動リスクにさらされております。当社グループでは一定時点における為替変動リスクにさらされた外貨建契約、外貨建資産及び負債の各々の残高を為替ポジションと定義しております。当社グループが為替変動リスクを負うものについては、外貨建の資産及び負債、未認識の確定契約が相殺されることを考慮した上で、主として為替予約を利用して適切なタイミングで当該リスクをヘッジすることを基本方針としております。しかし、当社グループとして相殺又はヘッジされない為替ポジションを消極的に取らざるを得ない取引・契約も存在しており、このような為替ポジションについては、ポジション限度を定めた上で為替変動リスク主管部署が月次で管理を行っております。
為替感応度分析
日本円が米ドル、ユーロに対して5%円高となった場合に、親会社の所有者に帰属する当期利益に与える影響金額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、米ドルはそれぞれ△1,004百万円及び△1,535百万円、ユーロはそれぞれ△1,212百万円及び△1,766百万円であります。同様に、在外営業活動体の換算差額に与える影響金額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、米ドルはそれぞれ△10,531百万円及び△11,054百万円、ユーロはそれぞれ△8,416百万円及び△10,460百万円であります。本分析は、為替相場以外の変動要因が不変であることを前提としております。
(b)金利変動リスク管理
当社グループは、変動金利付金融商品から生じる金利変動リスクにさらされております。当社グループは、受取金利と支払金利との差額である金利差損益の変動リスクを金利変動リスクと定義し、可能な限り同通貨建ての変動金利資産と変動金利負債の額をマッチングさせることによりヘッジすることを基本方針としております。また、デリバティブ等を活用した金利変動リスクのヘッジも行っております。
さらに当社グループでは、全社の金利変動リスクについて資金調達状況及び金融動向をベースに、調達金利の固定化あるいは変動化を機動的に実行し、金利変動リスクの管理状況及び方針並びにデリバティブ取引の方針と対応について社内報告を行う体制を整えております。
これにより、金利の変動リスクは限定的であり、金利変動が財務数値に及ぼす影響は軽微であります。
金利指標改革
金融危機後、銀行間金利(IBORs)などのベンチマーク金利の改革と置換えが世界各国の規制当局の優先事項となりました。当社グループの金融商品で代替リスクに晒されている金利指標は米ドルLIBORです。この変更の時期と正確な内容について、現時点では不確実性が存在します。当該既存契約に対する代替的な金利指標への移行に関して、現時点で米ドルLIBORを参照している契約を特定し、個別契約毎に取引先である金融機関と変更内容の妥当性検証を行っております。
変動金利借入金のヘッジされたリスクに起因する公正価値の変動を算定するにあたり、当社グループは現在の予想を反映した以下の仮定を行っています。
・変動金利借入金は、各通貨の公表停止までに代替指標へ移行し、そのスプレッドはヘッジ手段として使用される金利スワップに含まれるスプレッドに類似するものになる。
・変動金利借入金の契約条件について、その他の変更を予定していない。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、金利指標改革フェーズ1の範囲に含まれる重要な金利指標、ヘッジ手段の名目金額、エクスポージャーは、次のとおりであります。
また、当連結会計年度末において、金利指標改革フェーズ2の範囲に含まれる米ドルLIBORを参照し、代替的な指標金利に移行していない金融商品の帳簿価額は、次のとおりであります。
(c)株価変動リスク管理
当社グループは、株価変動による損失発生のリスクにさらされております。当社グループは、社内規程に基づいた管理、運用及び報告を行うことによって、リスクを軽減しております。
株価感応度分析
活発な市場で取引されている株式について、株価が一律10%下落した場合にその他の包括利益(税引前)に与える影響金額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ△36,457百万円及び△40,483百万円であります。本分析は、株価以外の変動要因が不変であることを前提としており、個別の銘柄間の相関は考慮しておりません。
(d)商品価格変動リスク管理
当社グループは、非鉄金属、石油、食料等に係る営業活動を行っており、関連する商品価格の変動リスクにさらされております。当社グループは、商品の売り繋ぎや売り買い数量・値決時期のマッチングや、先物、オプション、スワップ等のデリバティブ取引の活用によって、商品価格の変動リスクを回避しております。
商品価格の変動リスクは、商品デリバティブにより概ね減殺されており、商品価格変動が財務数値に及ぼす影響は軽微であります。
(e)信用リスク管理
当社グループは、取引先の信用リスク管理に内部の信用格付を用いています。この信用格付は、取引先の信用状態に応じて8段階に分類し、格付に応じて与信枠設定の決裁権限を定めております。また、取引先の与信枠を定期的に見直し、信用エクスポージャーを当該枠内で適切に管理しております。
当社グループの債権は、広範囲の産業や国・地域に広がる多数の取引先に対する債権から構成されております。当社グループは、取引先の信用評価を継続的に実施し、必要な場合には担保取得などの保全措置も講じております。カントリーリスクは6段階の層別に格付けを行い、リスクが高い国における案件については、貿易保険等によりリスクを低減することに努めております。また、国ごとに最大想定損失額等を把握し、各国ごとに定めた上限値の範囲内に抑えることで、特定の国・地域に対する集中の是正に努めております。
当社グループは、単独の相手先またはその相手先が所属するグループについて、過度に集中した信用リスクのエクスポージャーを有しておりません。
また、預金とデリバティブについては、取引先の大部分が国際的に認知された金融機関であることから、それらの信用リスクは限定的であります。
(ⅰ)営業債権等及び貸付金の損失評価引当金の増減
営業債権等及び貸付金の損失評価引当金の増減は、次のとおりであります。
営業債権等にはリース債権が含まれております。
なお、当社グループは、組成または購入した信用減損金融資産を有しておりません。
(ⅱ)金融保証契約に係る損失評価引当金の増減
金融保証契約に係る損失評価引当金の増減は、次のとおりであります。
(ⅲ)金融資産の帳簿価額等
金融資産の帳簿価額等は、次のとおりであります。
前連結会計年度(2021年3月31日)
当連結会計年度(2022年3月31日)
信用減損金融資産及び信用減損金融保証契約の損失評価引当金の認識の基礎となる帳簿価額等には内部の信用格付における評価が撤退勧告先または期日経過が90日を超える債権等が含まれます。また、12か月の予想信用損失の認識の基礎となる帳簿価額等には内部の信用格付に基づき投資適格に相当する取引先に対する債権等が含まれます。
金融資産は、連結財務諸表に表示されている帳簿価額が、当社グループの信用リスクに係る最大エクスポージャーとなります。
これらの信用リスクに係るエクスポージャーに関して、担保及びその他の信用補完に重要なものはありません。
(f)流動性リスク管理
当社グループは、期限の到来した金融負債の返済義務を履行するにあたり、支払期日にその支払ができなくなるリスクにさらされております。当社グループは、主に営業活動によって獲得した資金、金融機関からの借入や直接金融市場からの資金調達及び定期預金を含む手元現預金により適切な返済資金を準備するとともに、金融機関とコミットメントライン設定契約を締結し、継続的にキャッシュ・フローに係る計画と実績をモニタリングすることで流動性リスクを管理しております。金融負債の期日別残高は、次のとおりであります。
デリバティブの期日別残高は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
正味キャッシュ・フローを交換するデリバティブについては、デリバティブ資産から生じる正味キャッシュ・フローを収入、デリバティブ負債から生じる正味キャッシュ・フローを支出に計上しております。
総額のキャッシュ・フローを交換するデリバティブについては、デリバティブ資産及びデリバティブ負債から生じる総額のキャッシュ・インフローを収入、総額のキャッシュ・アウトフローを支出に計上しております。
(1)資本管理
当社グループは、持続的な成長を通じて、企業価値を最大化することを目指して資本管理を行っております。当社が資本管理において用いる重要な指標は、有利子負債の金額から現金及び現金同等物並びに定期預金の金額を差し引いたネット有利子負債と当社の所有者に帰属する持分合計から算出されるネット有利子負債倍率であり、1.0倍以内を目標としております。前連結会計年度及び当連結会計年度における当該倍率は、それぞれ0.7倍及び0.7倍であります。
なお、当社グループが適用を受ける重要な資本規制(会社法等の一般的な規定を除く)はありません。
(2)金融商品の分類
金融商品の分類ごとの内訳は、次のとおりであります。
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (2021年3月31日) | 当連結会計年度 (2022年3月31日) | |
金融資産 | ||
償却原価で測定する金融資産 | ||
現金及び現金同等物 | 677,478 | 653,013 |
営業債権及びその他の債権 | 1,439,832 | 1,837,279 |
その他の金融資産 | ||
定期預金 | 83,451 | 78,228 |
保証金・会員権 | 12,614 | 13,262 |
償却原価で測定する金融資産合計 | 2,213,377 | 2,581,784 |
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産 | ||
その他の投資 | ||
株式・出資金 | 6,742 | 8,533 |
その他の金融資産 | ||
デリバティブ | 75,113 | 100,423 |
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産合計 | 81,855 | 108,956 |
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産 | ||
その他の投資 | ||
株式・出資金 | 584,052 | 614,003 |
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産合計 | 584,052 | 614,003 |
合計 | 2,879,284 | 3,304,745 |
金融負債 | ||
償却原価で測定する金融負債 | ||
営業債務及びその他の債務 | 1,292,348 | 1,677,590 |
社債及び借入金 | ||
社債 | 300,395 | 292,253 |
借入金 | 1,303,098 | 1,514,412 |
コマーシャル・ペーパー | 40,000 | 50,000 |
償却原価で測定する金融負債合計 | 2,935,842 | 3,534,256 |
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債 | ||
その他の金融負債 | ||
デリバティブ | 98,302 | 86,289 |
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債合計 | 98,302 | 86,289 |
合計 | 3,034,144 | 3,620,546 |
(3)金融商品の公正価値
①公正価値ヒエラルキー
公正価値で測定する金融商品について、公正価値の測定に用いたインプットに応じて3つのレベルに分類しております。
レベル1:同一の資産または負債に関する活発な市場における相場価格
レベル2:レベル1の公表価格を除く、直接または間接的に観察可能なインプット
レベル3:観察可能な市場データに基づかないインプット
②償却原価で測定する金融商品
償却原価で測定する金融商品の帳簿価額及び公正価値は、次のとおりであります。
(単位:百万円) | ||||
前連結会計年度 (2021年3月31日) | 当連結会計年度 (2022年3月31日) | |||
帳簿価額 | 公正価値 | 帳簿価額 | 公正価値 | |
金融資産 | ||||
現金及び現金同等物 | 677,478 | 677,478 | 653,013 | 653,013 |
営業債権及びその他の債権 | 1,439,832 | 1,440,031 | 1,837,279 | 1,837,383 |
その他の金融資産 | ||||
定期預金 | 83,451 | 83,451 | 78,228 | 78,228 |
保証金・会員権 | 12,614 | 12,614 | 13,262 | 13,262 |
合計 | 2,213,377 | 2,213,576 | 2,581,784 | 2,581,888 |
金融負債 | ||||
営業債務及びその他の債務 | 1,292,348 | 1,292,348 | 1,677,590 | 1,677,590 |
社債及び借入金 | ||||
社債 | 300,395 | 312,109 | 292,253 | 297,224 |
借入金 | 1,303,098 | 1,313,424 | 1,514,412 | 1,519,171 |
コマーシャル・ペーパー | 40,000 | 40,000 | 50,000 | 50,000 |
合計 | 2,935,842 | 2,957,881 | 3,534,256 | 3,543,986 |
公正価値の測定方法は次のとおりであり、すべて公正価値ヒエラルキーのレベル2に分類しております。
(a)現金及び現金同等物
主として、現金、当座預金及び短期間で満期を迎える定期預金であり、その公正価値は、帳簿価額と同額とみなしております。
(b)営業債権及びその他の債権
短期間で決済される債権及び変動金利付債権の公正価値は、帳簿価額と同額とみなしております。それらを除く債権の公正価値は、新たに同一残存期間で同程度の信用格付を有する債権を同様の条件の下で取得する場合に適用される利率を使用して、将来の見積りキャッシュ・フローを割引くことにより測定しております。
(c)その他の金融資産
主として、預入期間が3か月超1年以内の定期預金であり、その公正価値は、帳簿価額と同額とみなしております。
(d)営業債務及びその他の債務
短期間で決済される債務の公正価値は、帳簿価額と同額とみなしております。
(e)社債及び借入金
社債の公正価値は、公表されている参考価格を参照して測定しております。借入金の公正価値は、新たに同一残存期間の借入を同様の条件の下で行う場合に適用される利率を使用して、将来の見積りキャッシュ・フローを割引くことにより測定しております。
③公正価値で測定する金融商品
経常的に公正価値で測定する金融商品の公正価値ヒエラルキーは、次のとおりであります。なお、非経常的に公正価値で測定する金融商品はありません。
前連結会計年度(2021年3月31日)
(単位:百万円) | ||||
レベル1 | レベル2 | レベル3 | 合計 | |
金融資産 | ||||
その他の金融資産 | ||||
デリバティブ | 11,191 | 63,921 | - | 75,113 |
その他の投資 | ||||
株式・出資金 | 364,575 | - | 226,218 | 590,794 |
合計 | 375,767 | 63,921 | 226,218 | 665,907 |
金融負債 | ||||
その他の金融負債 | ||||
デリバティブ | 15,900 | 82,401 | - | 98,302 |
当連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円) | ||||
レベル1 | レベル2 | レベル3 | 合計 | |
金融資産 | ||||
その他の金融資産 | ||||
デリバティブ | 18,252 | 82,170 | - | 100,423 |
その他の投資 | ||||
株式・出資金 | 404,832 | - | 217,704 | 622,537 |
合計 | 423,084 | 82,170 | 217,704 | 722,960 |
金融負債 | ||||
その他の金融負債 | ||||
デリバティブ | 12,704 | 73,585 | - | 86,289 |
公正価値の測定方法は、次のとおりであります。
(a)その他の金融資産
レベル1に分類した金融商品は、活発な市場で取引されているデリバティブであり、各年度の末日現在の相場価格に基づき測定しております。レベル2に分類した金融商品は、相対取引のデリバティブであり、ブローカーによる提示相場及び観察可能なインプットに基づき測定しております。
(b)その他の投資
レベル1に分類した金融商品は、活発な市場で取引されている株式であり、各年度の末日現在の相場価格に基づき測定しております。レベル3に分類した金融商品は、活発な市場における相場価格がない株式及び出資金であり、適切な権限者が承認した公正価値の測定に係る評価方法を含む評価方針及び手続に従い、評価者が各金融商品の評価方法を決定し測定しております。また、出資金の一部は、存続期間に定めのある事業組合への投資であるため、純損益を通じて公正価値で測定しております。評価方法には類似会社比較法、純資産法等があり、測定にあたり、PBR、非流動性ディスカウント等を利用しております。
(c)その他の金融負債
レベル1に分類した金融商品は、活発な市場で取引されているデリバティブであり、各年度の末日現在の相場価格に基づき測定しております。レベル2に分類した金融商品は、相対取引のデリバティブであり、ブローカーによる提示相場及び観察可能なインプットに基づき測定しております。
公正価値ヒエラルキーのレベル3に分類した金融商品の増減は、次のとおりであります。
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | |
その他の投資 | その他の投資 | |
期首残高 | 156,901 | 226,218 |
その他の包括利益 | 65,912 | △32,202 |
購入 | 7,876 | 24,797 |
売却 | △3,391 | △820 |
為替換算 | 1,069 | 1,366 |
その他 | △2,148 | △1,655 |
期末残高 | 226,218 | 217,704 |
公正価値ヒエラルキーのレベル3に分類した金融商品に係る重要な観察不能なインプットは、次のとおりであります。
前連結会計年度 (2021年3月31日) | 当連結会計年度 (2022年3月31日) | |
PBR | 0.4倍~5.0倍 | 0.4倍~4.6倍 |
非流動性ディスカウント | 30.0% | 30.0% |
PBRが上昇(低下)した場合は公正価値が上昇(低下)し、非流動性ディスカウントが上昇(低下)した場合は公正価値が低下(上昇)します。
(4)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品
①主な銘柄ごとの公正価値
主として取引関係の維持・強化を目的として保有する投資は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定し、「その他の投資」に計上しております。主な銘柄は、次のとおりであります。
前連結会計年度(2021年3月31日)
(単位:百万円) | |
銘柄 | 金額 |
㈱豊田自動織機 | 150,799 |
トヨタ自動車㈱ | 86,747 |
TIANJIN DENSO ELECTRONICS CO.,LTD. | 25,731 |
P.T.ASTRA DAIHATSU MOTOR | 18,126 |
東和不動産㈱(現 トヨタ不動産㈱) | 16,684 |
㈱小糸製作所 | 9,699 |
トヨタ紡織㈱ | 8,357 |
INDUS MOTOR CO. LTD. | 8,291 |
ライオン㈱ | 7,569 |
㈱ジェイテクト | 6,776 |
当連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円) | |
銘柄 | 金額 |
㈱豊田自動織機 | 129,540 |
トヨタ自動車㈱ | 111,968 |
ALLKEM LIMITED | 41,322 |
東和不動産㈱(現 トヨタ不動産㈱) | 32,186 |
トヨタ紡織㈱ | 9,143 |
INDUS MOTOR CO. LTD. | 8,594 |
TUBE INVESTMENTS OF INDIA LIMITED | 7,150 |
TIANJIN DENSO ELECTRONICS CO.,LTD. | 6,912 |
TON YI INDUSTRIAL CORP. | 6,840 |
㈱小糸製作所 | 6,503 |
②受取配当金
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | |
期中に認識を中止した投資 | 29 | 211 |
期末日現在で保有する投資 | 16,150 | 18,830 |
合計 | 16,180 | 19,041 |
③期中に認識を中止したその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品
事業戦略の見直しに伴う売却等により、期中に認識を中止したその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の売却日における公正価値及び売却に係る累積利得または損失(税引前)は、次のとおりであります。
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) | |
売却日における公正価値 | 4,968 | 2,659 |
売却に係る累積利得または損失(△) | 1,126 | 1,502 |
④利益剰余金への振替額
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の公正価値の変動による累積利得または損失は、投資を処分した場合または公正価値が著しく低下した場合に利益剰余金に振替えております。利益剰余金に振替えたその他の包括利益の累積利得または損失(税引後)は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ7,057百万円(損失)及び5,603百万円(損失)であります。
(5)デリバティブ
デリバティブの種類別の内訳は、次のとおりであります。
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (2021年3月31日) | 当連結会計年度 (2022年3月31日) | |
商品関連デリバティブ | △6,644 | 9,256 |
為替関連デリバティブ | △1,800 | 5,279 |
金利関連デリバティブ | △14,743 | △402 |
合計 | △23,189 | 14,133 |
その他の金融資産(流動資産) | 56,221 | 76,600 |
その他の金融資産(非流動資産) | 18,891 | 23,822 |
その他の金融負債(流動負債) | △70,561 | △69,504 |
その他の金融負債(非流動負債) | △27,741 | △16,784 |
合計 | △23,189 | 14,133 |
(6)ヘッジ会計
①ヘッジ会計の種類
(a)公正価値ヘッジ
主として確定約定または棚卸資産に係る公正価値の変動リスクをヘッジするために商品関連デリバティブをヘッジ手段に指定しております。
(b)キャッシュ・フロー・ヘッジ
主として変動利付借入金の金利に係るキャッシュ・フローの変動リスクをヘッジするために金利関連デリバティブを、外貨建確定約定の為替に係るキャッシュ・フローの変動リスクをヘッジするために通貨関連デリバティブを、予定取引に係る商品価格の変動に伴うキャッシュ・フローの変動リスクをヘッジするために商品関連デリバティブをヘッジ手段に指定しております。
(c)在外営業活動体に対する純投資のヘッジ
在外営業活動体に対する純投資に係る為替相場の変動リスクをヘッジするために外貨建借入金等をヘッジ手段に指定しております。
②ヘッジ会計に関する事項
ヘッジ会計に関する事項は、次のとおりであります。
なお、ヘッジ非有効部分及びヘッジ会計中止部分に重要性はありません。
(a)ヘッジ手段
前連結会計年度(2021年3月31日)
(単位:百万円) | |||||
ヘッジ会計の種類 | 名目金額 | 帳簿価額 | ヘッジ非有効部分を 認識する基礎として 用いたヘッジ手段の 公正価値の変動額 | ||
その他の 金融資産 | その他の 金融負債 | 社債及び 借入金 | |||
公正価値ヘッジ | |||||
商品価格変動リスク | 46,044 | 586 | 3,919 | - | △4,895 |
キャッシュ・フロー・ヘッジ | |||||
商品価格変動リスク | 24,434 | 112 | 1,760 | - | △1,579 |
為替変動リスク | 342,977 | 13,706 | 6,097 | - | 10,815 |
金利変動リスク | 406,443 | 12,293 | 26,610 | - | △14,403 |
純投資ヘッジ | |||||
為替変動リスク | 1,390 | - | - | 1,390 | 40 |
ヘッジ会計の種類 | その他の 包括利益 当期計上額 | 組替調整額 | ヘッジ会計継続部分に 係るキャッシュ・ フロー・ヘッジ剰余金 及び外貨換算剰余金 | |
勘定科目 | 金額 | |||
公正価値ヘッジ | ||||
商品価格変動リスク | - | - | - | - |
キャッシュ・フロー・ヘッジ | ||||
商品価格変動リスク | △2,265 | 原価 | 1,543 | △1,577 |
為替変動リスク | 11,073 | その他の収益・費用 その他 | △94 | 12,453 |
金利変動リスク | 3,023 | 支払利息 他 | △3,769 | △23,663 |
純投資ヘッジ | ||||
為替変動リスク | 6 | その他の収益・費用 その他 | - | 23 |
当連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円) | |||||
ヘッジ会計の種類 | 名目金額 | 帳簿価額 | ヘッジ非有効部分を 認識する基礎として 用いたヘッジ手段の 公正価値の変動額 | ||
その他の 金融資産 | その他の 金融負債 | 社債及び 借入金 | |||
公正価値ヘッジ | |||||
商品価格変動リスク | 32,681 | 66 | 272 | - | △832 |
キャッシュ・フロー・ヘッジ | |||||
商品価格変動リスク | 16,825 | 233 | 713 | - | △209 |
為替変動リスク | 445,874 | 22,989 | 11,748 | - | 13,949 |
金利変動リスク | 565,556 | 15,920 | 15,780 | - | 62 |
純投資ヘッジ | |||||
為替変動リスク | 1,537 | - | - | 1,537 | 187 |
ヘッジ会計の種類 | その他の 包括利益 当期計上額 | 組替調整額 | ヘッジ会計継続部分に 係るキャッシュ・ フロー・ヘッジ剰余金 及び外貨換算剰余金 | |
勘定科目 | 金額 | |||
公正価値ヘッジ | ||||
商品価格変動リスク | - | - | - | - |
キャッシュ・フロー・ヘッジ | ||||
商品価格変動リスク | 3,758 | 原価 | △2,172 | 8 |
為替変動リスク | △6,289 | その他の収益・費用 その他 | 8,828 | 14,993 |
金利変動リスク | 5,501 | 支払利息 他 | △658 | △18,819 |
純投資ヘッジ | ||||
為替変動リスク | 58 | その他の収益・費用 その他 | - | 82 |
外貨建変動金利借入金の金利固定化を目的として、金利通貨スワップ取引を行っております。当該取引は、金利変動リスクに含めて記載しております。
ヘッジ手段の名目金額の期日別内訳は次のとおりであります。
(単位:百万円) | ||||
1年以内 | 1年超5年以内 | 5年超 | 合計 | |
前連結会計年度(2021年3月31日) | ||||
公正価値ヘッジ | ||||
商品価格変動リスク | 46,044 | - | - | 46,044 |
キャッシュ・フロー・ヘッジ | ||||
商品価格変動リスク | 24,434 | - | - | 24,434 |
為替変動リスク | 278,191 | 26,717 | 38,068 | 342,977 |
金利変動リスク | 35,306 | 178,920 | 192,216 | 406,443 |
純投資ヘッジ | ||||
為替変動リスク | - | 1,390 | - | 1,390 |
当連結会計年度(2022年3月31日) | ||||
公正価値ヘッジ | ||||
商品価格変動リスク | 32,681 | - | - | 32,681 |
キャッシュ・フロー・ヘッジ | ||||
商品価格変動リスク | 16,825 | - | - | 16,825 |
為替変動リスク | 387,623 | 23,578 | 34,673 | 445,874 |
金利変動リスク | 215,169 | 200,076 | 150,310 | 565,556 |
純投資ヘッジ | ||||
為替変動リスク | 1,537 | - | - | 1,537 |
(b)ヘッジ対象
前連結会計年度(2021年3月31日)
(単位:百万円) | |||||
ヘッジ会計の種類 | ヘッジ非有効部分を 認識する基礎として 用いたヘッジ対象の 公正価値の変動額 | 帳簿価額 | 帳簿価額に含まれる 公正価値ヘッジ 調整累計額 | ||
棚卸資産 | その他の 流動資産 | その他の 流動負債 | |||
公正価値ヘッジ | |||||
商品価格変動リスク | 4,895 | 6,270 | 5,556 | 506 | 4,895 |
キャッシュ・フロー・ヘッジ | |||||
商品価格変動リスク | 1,616 | - | - | - | - |
為替変動リスク | △10,815 | - | - | - | - |
金利変動リスク | 14,403 | - | - | - | - |
純投資ヘッジ | |||||
為替変動リスク | △23 | - | - | - | - |
当連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円) | |||||
ヘッジ会計の種類 | ヘッジ非有効部分を 認識する基礎として 用いたヘッジ対象の 公正価値の変動額 | 帳簿価額 | 帳簿価額に含まれる 公正価値ヘッジ 調整累計額 | ||
棚卸資産 | その他の 流動資産 | その他の 流動負債 | |||
公正価値ヘッジ | |||||
商品価格変動リスク | 832 | 7,579 | 933 | - | 832 |
キャッシュ・フロー・ヘッジ | |||||
商品価格変動リスク | 212 | - | - | - | - |
為替変動リスク | △13,987 | - | - | - | - |
金利変動リスク | △76 | - | - | - | - |
純投資ヘッジ | |||||
為替変動リスク | △82 | - | - | - | - |
(7)金融資産及び金融負債の相殺
金融資産と金融負債の相殺要件を満たすものは、連結財政状態計算書で相殺表示しております。デリバティブ債権及びデリバティブ債務の相殺状況は、次のとおりであります。なお、デリバティブ債権及びデリバティブ債務を除き、重要性はありません。
(単位:百万円) | ||
前連結会計年度 (2021年3月31日) | 当連結会計年度 (2022年3月31日) | |
認識した金融資産の総額 | 80,975 | 107,436 |
連結財政状態計算書で相殺している金額 | △5,862 | △7,012 |
連結財政状態計算書に表示している純額 | 75,113 | 100,423 |
前連結会計年度 (2021年3月31日) | 当連結会計年度 (2022年3月31日) | |
認識した金融負債の総額 | 104,165 | 93,302 |
連結財政状態計算書で相殺している金額 | △5,862 | △7,012 |
連結財政状態計算書に表示している純額 | 98,302 | 86,289 |
金融資産と金融負債の相殺要件の一部または全部を満たさないため連結財政状態計算書で相殺していない金額に、重要性はありません。
(8)金融資産の譲渡
割引手形等の流動化債権のうち、債務者が支払を行わない場合に当社グループに遡及的に支払義務が発生するものについては、金融資産の認識の中止の要件を満たさないことから、「営業債権及びその他の債権」及び「社債及び借入金」に計上しております。当該金額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ10,443百万円及び8,436百万円であります。
(9)金融商品から生じるリスク
財務上のリスク管理
当社グループは、営業活動を行う過程において、市場リスク(為替変動リスク・金利変動リスク・株価変動リスク及び商品価格変動リスク)・信用リスク・流動性リスクにさらされており、当該財務上のリスクを軽減するために、リスク管理を行っております。当社グループは、リスク回避の一環としてデリバティブ取引を利用しております。
(a)為替変動リスク管理
当社グループは、国際的に事業を展開しており、各事業拠点の現地通貨以外の通貨による売買取引、ファイナンス及び投資に関連する為替変動リスクにさらされております。当社グループでは一定時点における為替変動リスクにさらされた外貨建契約、外貨建資産及び負債の各々の残高を為替ポジションと定義しております。当社グループが為替変動リスクを負うものについては、外貨建の資産及び負債、未認識の確定契約が相殺されることを考慮した上で、主として為替予約を利用して適切なタイミングで当該リスクをヘッジすることを基本方針としております。しかし、当社グループとして相殺又はヘッジされない為替ポジションを消極的に取らざるを得ない取引・契約も存在しており、このような為替ポジションについては、ポジション限度を定めた上で為替変動リスク主管部署が月次で管理を行っております。
為替感応度分析
日本円が米ドル、ユーロに対して5%円高となった場合に、親会社の所有者に帰属する当期利益に与える影響金額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、米ドルはそれぞれ△1,004百万円及び△1,535百万円、ユーロはそれぞれ△1,212百万円及び△1,766百万円であります。同様に、在外営業活動体の換算差額に与える影響金額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、米ドルはそれぞれ△10,531百万円及び△11,054百万円、ユーロはそれぞれ△8,416百万円及び△10,460百万円であります。本分析は、為替相場以外の変動要因が不変であることを前提としております。
(b)金利変動リスク管理
当社グループは、変動金利付金融商品から生じる金利変動リスクにさらされております。当社グループは、受取金利と支払金利との差額である金利差損益の変動リスクを金利変動リスクと定義し、可能な限り同通貨建ての変動金利資産と変動金利負債の額をマッチングさせることによりヘッジすることを基本方針としております。また、デリバティブ等を活用した金利変動リスクのヘッジも行っております。
さらに当社グループでは、全社の金利変動リスクについて資金調達状況及び金融動向をベースに、調達金利の固定化あるいは変動化を機動的に実行し、金利変動リスクの管理状況及び方針並びにデリバティブ取引の方針と対応について社内報告を行う体制を整えております。
これにより、金利の変動リスクは限定的であり、金利変動が財務数値に及ぼす影響は軽微であります。
金利指標改革
金融危機後、銀行間金利(IBORs)などのベンチマーク金利の改革と置換えが世界各国の規制当局の優先事項となりました。当社グループの金融商品で代替リスクに晒されている金利指標は米ドルLIBORです。この変更の時期と正確な内容について、現時点では不確実性が存在します。当該既存契約に対する代替的な金利指標への移行に関して、現時点で米ドルLIBORを参照している契約を特定し、個別契約毎に取引先である金融機関と変更内容の妥当性検証を行っております。
変動金利借入金のヘッジされたリスクに起因する公正価値の変動を算定するにあたり、当社グループは現在の予想を反映した以下の仮定を行っています。
・変動金利借入金は、各通貨の公表停止までに代替指標へ移行し、そのスプレッドはヘッジ手段として使用される金利スワップに含まれるスプレッドに類似するものになる。
・変動金利借入金の契約条件について、その他の変更を予定していない。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、金利指標改革フェーズ1の範囲に含まれる重要な金利指標、ヘッジ手段の名目金額、エクスポージャーは、次のとおりであります。
(単位:百万円) | ||||
前連結会計年度 (2021年3月31日) | 当連結会計年度 (2022年3月31日) | |||
名目金額 | エクスポージャー | 名目金額 | エクスポージャー | |
変動金利借入金-米ドルLIBOR | 173,505 | 173,505 | 178,955 | 178,955 |
また、当連結会計年度末において、金利指標改革フェーズ2の範囲に含まれる米ドルLIBORを参照し、代替的な指標金利に移行していない金融商品の帳簿価額は、次のとおりであります。
(単位:百万円) | |
当連結会計年度 (2022年3月31日) | |
非デリバティブ金融資産 | |
貸付金 | 10,598 |
非デリバティブ金融負債 | |
借入金 | 221,834 |
リース負債 | 2,181 |
(c)株価変動リスク管理
当社グループは、株価変動による損失発生のリスクにさらされております。当社グループは、社内規程に基づいた管理、運用及び報告を行うことによって、リスクを軽減しております。
株価感応度分析
活発な市場で取引されている株式について、株価が一律10%下落した場合にその他の包括利益(税引前)に与える影響金額は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ△36,457百万円及び△40,483百万円であります。本分析は、株価以外の変動要因が不変であることを前提としており、個別の銘柄間の相関は考慮しておりません。
(d)商品価格変動リスク管理
当社グループは、非鉄金属、石油、食料等に係る営業活動を行っており、関連する商品価格の変動リスクにさらされております。当社グループは、商品の売り繋ぎや売り買い数量・値決時期のマッチングや、先物、オプション、スワップ等のデリバティブ取引の活用によって、商品価格の変動リスクを回避しております。
商品価格の変動リスクは、商品デリバティブにより概ね減殺されており、商品価格変動が財務数値に及ぼす影響は軽微であります。
(e)信用リスク管理
当社グループは、取引先の信用リスク管理に内部の信用格付を用いています。この信用格付は、取引先の信用状態に応じて8段階に分類し、格付に応じて与信枠設定の決裁権限を定めております。また、取引先の与信枠を定期的に見直し、信用エクスポージャーを当該枠内で適切に管理しております。
当社グループの債権は、広範囲の産業や国・地域に広がる多数の取引先に対する債権から構成されております。当社グループは、取引先の信用評価を継続的に実施し、必要な場合には担保取得などの保全措置も講じております。カントリーリスクは6段階の層別に格付けを行い、リスクが高い国における案件については、貿易保険等によりリスクを低減することに努めております。また、国ごとに最大想定損失額等を把握し、各国ごとに定めた上限値の範囲内に抑えることで、特定の国・地域に対する集中の是正に努めております。
当社グループは、単独の相手先またはその相手先が所属するグループについて、過度に集中した信用リスクのエクスポージャーを有しておりません。
また、預金とデリバティブについては、取引先の大部分が国際的に認知された金融機関であることから、それらの信用リスクは限定的であります。
(ⅰ)営業債権等及び貸付金の損失評価引当金の増減
営業債権等及び貸付金の損失評価引当金の増減は、次のとおりであります。
(単位:百万円) | ||||||||
営業債権等 | 貸付金 | 合計 | ||||||
全期間の 予想信用 損失 | 信用減損 金融資産 | 小計 | 12か月の 予想信用 損失 | 全期間の 予想信用 損失 | 信用減損 金融資産 | 小計 | ||
前連結会計年度期首 (2020年4月1日) | 25,551 | 19,677 | 45,229 | 2,916 | 114 | - | 3,031 | 48,260 |
組成または購入した金融商品による変動 | 1,390 | - | 1,390 | 359 | 32 | - | 392 | 1,782 |
直接償却 | △18 | △3,250 | △3,269 | - | - | - | - | △3,269 |
認識の中止が行われた金融商品による変動 | △5,646 | △170 | △5,816 | △146 | - | - | △146 | △5,963 |
引当率の変動による増減 | - | 355 | 355 | - | - | - | - | 355 |
為替換算 | 1,855 | 535 | 2,391 | 216 | - | - | 216 | 2,607 |
その他 | 398 | △221 | 176 | △42 | - | - | △42 | 134 |
前連結会計年度 (2021年3月31日) | 23,531 | 16,923 | 40,455 | 3,304 | 146 | - | 3,451 | 43,906 |
組成または購入した金融商品による変動 | 3,558 | - | 3,558 | 331 | - | - | 331 | 3,889 |
直接償却 | △4 | △46 | △50 | - | - | - | - | △50 |
認識の中止が行われた金融商品による変動 | △1,741 | △147 | △1,889 | △74 | - | - | △74 | △1,964 |
引当率の変動による増減 | - | 383 | 383 | - | - | - | - | 383 |
為替換算 | 1,591 | 1,500 | 3,091 | 168 | - | - | 168 | 3,260 |
その他 | 251 | △612 | △361 | △161 | △146 | - | △308 | △669 |
当連結会計年度 (2022年3月31日) | 27,187 | 18,000 | 45,188 | 3,568 | - | - | 3,568 | 48,757 |
営業債権等にはリース債権が含まれております。
なお、当社グループは、組成または購入した信用減損金融資産を有しておりません。
(ⅱ)金融保証契約に係る損失評価引当金の増減
金融保証契約に係る損失評価引当金の増減は、次のとおりであります。
(単位:百万円) | ||||
金融保証契約 | ||||
12か月の予想 信用損失 | 全期間の予想 信用損失 | 信用減損金融 保証契約 | 合計 | |
前連結会計年度期首(2020年4月1日) | 19 | 112 | - | 131 |
組成または購入した金融商品による変動 | - | - | - | - |
直接償却 | - | - | - | - |
認識の中止が行われた金融商品による変動 | △19 | △112 | - | △131 |
区分変更 | - | - | - | - |
引当率の変動による増減 | - | - | - | - |
企業結合による変動 | - | - | - | - |
前連結会計年度(2021年3月31日) | - | - | - | - |
組成または購入した金融商品による変動 | - | - | - | - |
直接償却 | - | - | - | - |
認識の中止が行われた金融商品による変動 | - | - | - | - |
区分変更 | - | - | - | - |
引当率の変動による増減 | - | - | - | - |
企業結合による変動 | - | - | - | - |
当連結会計年度(2022年3月31日) | - | - | - | - |
(ⅲ)金融資産の帳簿価額等
金融資産の帳簿価額等は、次のとおりであります。
前連結会計年度(2021年3月31日)
(単位:百万円) | |||
損失評価引当金の認識の基礎 | |||
12か月の予想信用損失 | 全期間の予想信用損失 | 信用減損金融資産及び信用減損金融保証契約 | |
営業債権等 | - | 1,363,439 | 136,082 |
貸付金 | 31,615 | 292 | 14 |
金融保証契約 | 10,506 | 18,320 | 767 |
当連結会計年度(2022年3月31日)
(単位:百万円) | |||
損失評価引当金の認識の基礎 | |||
12か月の予想信用損失 | 全期間の予想信用損失 | 信用減損金融資産及び信用減損金融保証契約 | |
営業債権等 | - | 1,798,664 | 93,278 |
貸付金 | 36,600 | 6 | 12 |
金融保証契約 | 17,685 | 27,735 | 29 |
信用減損金融資産及び信用減損金融保証契約の損失評価引当金の認識の基礎となる帳簿価額等には内部の信用格付における評価が撤退勧告先または期日経過が90日を超える債権等が含まれます。また、12か月の予想信用損失の認識の基礎となる帳簿価額等には内部の信用格付に基づき投資適格に相当する取引先に対する債権等が含まれます。
金融資産は、連結財務諸表に表示されている帳簿価額が、当社グループの信用リスクに係る最大エクスポージャーとなります。
これらの信用リスクに係るエクスポージャーに関して、担保及びその他の信用補完に重要なものはありません。
(f)流動性リスク管理
当社グループは、期限の到来した金融負債の返済義務を履行するにあたり、支払期日にその支払ができなくなるリスクにさらされております。当社グループは、主に営業活動によって獲得した資金、金融機関からの借入や直接金融市場からの資金調達及び定期預金を含む手元現預金により適切な返済資金を準備するとともに、金融機関とコミットメントライン設定契約を締結し、継続的にキャッシュ・フローに係る計画と実績をモニタリングすることで流動性リスクを管理しております。金融負債の期日別残高は、次のとおりであります。
(単位:百万円) | ||||
1年以内 | 1年超5年以内 | 5年超 | 合計 | |
前連結会計年度(2021年3月31日) | ||||
社債及び借入金 | 571,542 | 572,394 | 498,663 | 1,642,600 |
営業債務及びその他の債務(リース負債除く) | 1,292,348 | - | - | 1,292,348 |
リース負債 | 25,904 | 58,597 | 26,396 | 110,897 |
金融保証契約 | 8,606 | 21,294 | 391 | 30,292 |
当連結会計年度(2022年3月31日) | ||||
社債及び借入金 | 740,936 | 597,932 | 505,044 | 1,843,913 |
営業債務及びその他の債務(リース負債除く) | 1,677,590 | - | - | 1,677,590 |
リース負債 | 26,785 | 56,009 | 30,079 | 112,873 |
金融保証契約 | 8,200 | 35,693 | 1,556 | 45,449 |
デリバティブの期日別残高は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
1年以内 | 1年超5年以内 | 5年超 | 合計 | |
前連結会計年度(2021年3月31日) | ||||
商品関連デリバティブ | ||||
収入(△) | △46,138 | △1,966 | - | △48,105 |
支出 | 52,504 | 2,245 | - | 54,750 |
為替関連デリバティブ | ||||
収入(△) | △4,167 | △7,047 | △3,525 | △14,739 |
支出 | 14,164 | 2,375 | - | 16,539 |
金利関連デリバティブ | ||||
収入(△) | △30,554 | △97,724 | △57,231 | △185,510 |
支出 | 29,479 | 101,861 | 68,913 | 200,254 |
当連結会計年度(2022年3月31日) | ||||
商品関連デリバティブ | ||||
収入(△) | △53,292 | △1,812 | - | △55,104 |
支出 | 44,800 | 1,047 | - | 45,848 |
為替関連デリバティブ | ||||
収入(△) | △15,440 | △8,371 | △5,886 | △29,697 |
支出 | 22,703 | 1,714 | - | 24,418 |
金利関連デリバティブ | ||||
収入(△) | △34,682 | △107,728 | △40,922 | △183,333 |
支出 | 30,868 | 106,193 | 46,674 | 183,736 |
正味キャッシュ・フローを交換するデリバティブについては、デリバティブ資産から生じる正味キャッシュ・フローを収入、デリバティブ負債から生じる正味キャッシュ・フローを支出に計上しております。
総額のキャッシュ・フローを交換するデリバティブについては、デリバティブ資産及びデリバティブ負債から生じる総額のキャッシュ・インフローを収入、総額のキャッシュ・アウトフローを支出に計上しております。