有価証券報告書-第69期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 11:00
【資料】
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【項目】
124項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における我が国経済は、個人消費の回復については遅れが見られたものの、企業収益や雇用・所得環境は堅調に推移いたしました。しかしながら、新興国経済の減速、英国のEU離脱問題や新体制となった米国の政策等、先行きについては依然として不透明な状況で推移しております。
食品流通業界におきましては、人手不足による物流コストの上昇や、原材料価格の上昇による商品の値上げが進行するなか、消費者の節約志向は継続し、足踏み状態が続きました。
水産物卸売市場業界におきましては、海外での需要増加により仕入価格が高止まりし、水産資源の減少や魚の回遊水域の変化による漁獲量の減少、さらに市場外流通との競合とも相俟って取扱数量の減少が続くという厳しい事業環境で推移いたしました。
昨年(平成28年)11月に予定されていた東京都中央卸売市場築地市場の豊洲市場への移転につきましては、安全性や多額の整備費の見極め等が必要との判断で当面延期される事態となりました。
このような状況のなかで当社グループは、消費者ニーズと消費形態の変化を見極め、仕入先との協働、営業の強化や販売先への協力、グループ会社間の連携、収益率を重視した効率的な集荷・販売に注力することにより、経営基盤の強化を図ってまいりました。
また、消費者の食の安全安心への関心が一層高まるなかで、取引先の要望も多様化してきており、これに応えるべく集荷・販売への機動性確保と、消費者の皆様の豊かで魅力的な食生活の創出を第一義に考えた商品提供に取り組んでまいりました。
その結果、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度と比べ、4.1%減少の119,232百万円となりました。営業利益は前連結会計年度と比べ、4.5%減少の1,345百万円、経常利益は前連結会計年度と比べ5.3%減少の1,516百万円となりました。特別利益に東京電力㈱の福島原子力発電所における事故に伴う受取損害賠償金である「受取損害賠償金」52百万円を計上しました結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べ1.0%増加の1,246百万円となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
①水産物卸売事業
当社グループの主要部門である卸売事業の全体的概況として、鮮魚はアジ・イワシが量販店への販売強化による取扱数量の伸長により、また、エビ・カニ・ウニは取扱数量の減少はあったものの単価高により、それぞれ前年取扱金額をクリアしました。イカは記録的な不漁による数量減により、カレイは数量増はあったものの単価安により、それぞれ減収となりました。主力商品の鮪は国内近海物は不漁による入荷減で売上を減らしましたが、それを養殖物やオーストラリア・ニュージーランド等海外からの集荷によりカバーし、鮪全体としては前年取扱金額を上回る結果となりました。ハマチ等養殖魚は取扱数量は減少いたしましたが単価が強含んだため売上増となり、他の鮮魚類におきましては天候不順による水揚量の減少により総じて取扱数量を減らし、前年取扱金額を下回る結果となりました。
冷凍魚は、海外諸国との価格競争等により相場は総じて強含みで推移し、特に冷鮭鱒・冷カニ・冷ギンダラの価格は顕著にその影響を受けたために数量を減らし売上減となりました。冷鮪は太平洋、インド洋等主要漁場での不漁により、また、冷イカも全国的な不漁により数量・金額とも前年を下回る結果となりました。冷エビは輸出用商材の積極的な販売により前年取扱金額をクリアしました。
塩干加工品は、シラス・煮干製品等が台風、海水温の上昇の影響等で不漁が続いたために数量減となり売上を減らしましたが、塩鮭・イクラは海外取引先との積極的な取り組みもあり前年取扱金額をクリアしました。また、干物類は原料不足による単価高の影響で数量を減らしたため売上減となり、ウナギ製品は稚魚であるシラスウナギの不漁により数量を減らしましたが取扱金額は前年並みを確保しました。煉製品等加工食品は、販売促進部門との連携強化に努めてまいりましたが、仕入価格の上昇圧力は依然として強く、売上減となりました。
以上の結果、卸売部門の当連結会計年度の取扱数量は前連結会計年度に比べ、7.1%減少の106,205屯、売上高は4.5%減少の108,934百万円となりました。
②冷蔵倉庫及びその関連事業
冷蔵倉庫及びその関連事業部門におきましては、在外子会社のAERO TRADING社(カナダ・バンクーバー市)が好調を持続し、同部門の売上高は前連結会計年度に比べ、0.6%増加の9,676百万円となりました。
③不動産賃貸事業
不動産賃貸部門におきましては、賃料は概ね前年並みの水準で推移したものの、一部管理物件での稼働率低下があり、同部門の売上高は前連結会計年度に比べ4.3%減少の621百万円となりました。
記載金額については、消費税等抜きで記載しております。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、定期預金の払戻による増加があったものの、長期借入金の返済による支出及び有形固定資産の取得による支出等により、前連結会計年度末と比べ1,225百万円減少し、5,027百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果増加した資金は904百万円(前連結会計年度 資金の増加3,493百万円)となりました。これは主に売上債権の増加及び仕入債務の減少があったものの、税金等調整前当期純利益の計上によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果減少した資金は1,184百万円(前連結会計年度 資金の減少1,504百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果減少した資金は864百万円(前連結会計年度 資金の減少1,678百万円)となりました。これは主に長期借入金の返済によるものです。