有価証券報告書-第103期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
有報資料
当社は、下記に記載する「長期経営方針」および中期経営計画「ACE-2020」に掲げる事項を対処すべき課題と捉えております。中期経営計画「ACE-2020」につきましては、企業価値向上に向け、「長期経営方針」に基づき、2016年度から2020年度までの5ヶ年を対象として策定しております。本期間におきましては、日本経済は緩やかに成長するものの、個人消費や設備投資が国内市場の成長を大きく牽引するには至らないと見込んでおります。一方、世界経済については、北朝鮮や中東情勢等の地政学的リスクの高まりを認識しながらも、米国や新興国の堅調な経済成長を見込んでおります。このような状況下、当社は飛躍的な成長を実現するため、「ACE-2020」において、「収益構造の変革」と「企業風土の変革」の2つの変革を通じ、商社機能に加え、製造、研究、海外ネットワーク、物流、投資の6つの機能を最大限に活用し、新たな価値を提供する「ビジネスデザイナー」になることを目指しております。また「ACE-2020」では、半導体・電子部品市場および食品・医療・パーソナルケア市場の成長が見込まれること、また当社の製造機能の活用による独自性が期待できることから、ライフ&ヘルスケアおよびエレクトロニクスを注力領域と定めました。さらに、市場成長が期待できる米州を注力エリアと定め、注力領域とエリアへの優先的な資源配分を行うことにより、収益の拡大を図っております。
(1) 長期経営方針
当社グループは、創業200年の節目を迎える2032年度に向かい、「現行比3倍の利益水準の常態化」を目指して、「成長に向けたチャレンジ」と「成長を支える経営基盤の強化」を骨子とした長期経営方針を2014年度に策定しております。
「成長に向けたチャレンジ」においては、注力領域への経営資源の投下と、従来からのビジネスモデルに依存する体質からの脱却を通じ、これまでの事業の延長だけではなし得ない飛躍的な成長を目指します。「成長を支える経営基盤の強化」は、「成長に向けたチャレンジ」を成功に導くために、事業の拡大とグローバル化に寄与する経営基盤を構築してまいります。
中期経営計画「ACE-2020」について
長期経営方針の目標実現のために、2016年度からの17年間を3つのStageに分け、2016年度から2020年度までの5ヶ年をStage1:「変革期」と位置付け、中期経営計画「ACE-2020」をスタートしました。「ACE-2020」の“ACE”は、Accountability(主体性)、Commitment(必達)、Efficiency(効率性)を表します。
「ACE-2020」では、商社中心の考え方から、商社をグループ機能のひとつと考え、製造、研究、海外ネットワーク、物流、投資の各機能を最大限活用し、グループ一丸となって世界へ新たな価値を創造し、提供することを目指しています。
本期間中に、収益拡大の手段として成長投資1,000億円を設定しました。営業活動によるキャッシュ・フローを上回る財源は、主に有利子負債での調達を基本としますが、運転資金の効率化および資産の入替により強固な財務体質と長期的な安定配当は堅持します。
「ACE-2020」の定量目標は下表のとおりです。
※目標値は、早期に常態化することを目指しております。
中期経営計画の骨子
「ACE-2020」では、「収益構造の変革」と「企業風土の変革」の2つの変革を実行しております。
① 収益構造の変革
重点施策①-1:「ポートフォリオの最適化」
「ACE-2020」では、経営資源の最大効率化を進めるために、成長性、収益性、事業規模を観点に、事業を「育成領域」、「注力領域」、「基盤領域」、「改善領域」の4つの領域に仕分けを行い、各領域にあった戦略実行により、事業拡大を図ります。
注力領域:ライフ&ヘルスケア、エレクトロニクス
今期は、「注力領域」であるライフ&ヘルスケアにおいて、欧州の化粧品事業拡大を目的として新たに事業拠点を開設した他、次世代の創薬技術を持つベンチャー企業であるペプチスター株式会社への出資を決定しました。同じく「注力領域」であるエレクトロニクスにおいて、フレキシブルディスプレイ市場のニーズに応えるべく、高耐熱性ポリイミドフィルムの生産・販売を手掛けるゼノマックスジャパン株式会社を東洋紡株式会社との合弁により設立(2018年4月)した他、次世代有機EL技術を持つベンチャー企業の株式会社Kyuluxへの出資を行いました。また、中国において薬液供給を行う無錫澄泓微電子材料有限公司が四川省綿陽市に新たな法人を設立しました。
「育成領域」では、中国の新エネルギー車市場に応えるべく、恵州三力協成精密部件有限公司を中国企業と株式会社アテックスとの合弁により設立した他、インドの自動車市場の拡大を目的にインド企業との合弁会社であるMINDA KYORAKU LTD.への資本増強を行いました。また、前期よりIBM社(International Business Machines Corporation)のIT基礎研究コンソーシアムに参加している他、ベンチャーキャピタルを通してスタートアップ企業の情報収集を行っており、将来の柱となる事業開発を継続しております。
「基盤領域」では、国内外の合成樹脂販売において高機能樹脂の拡販活動を行った他、耐腐食性を持つ反応性塗料「Pat!naLock®」の開発活動などを行いました。
「改善領域」では、一部の不採算製造子会社においてコスト削減等による収益力改善施策を徹底した他、不採算・ノンコア事業からの撤退ならびにそれらに係る関係会社の株式売却により経営資源の再配分を行いました。
重点施策①-2:「収益基盤の拡大・強化」
「ACE-2020」では、商社業・製造業それぞれが独自のKPI設定と施策実行により、各機能を向上させるとともに、それぞれの機能を活用した新たな事業の創造を目指します。
商社業は、海外の売上規模の拡大によりグローバル展開の更なる加速を目指し、製造業は、将来の注力事業の育成とコストダウンによる経営の安定化(損益分岐点の改善)を進めます。
今期は、米国においてスペシャリティケミカル・ディストリビューターFitz Chem Corporation(現Fitz Chem LLC)を買収し、さらに地域統括機能を充実させ現地主導でPMI(統合プロセス)を行っています。また、中国において、効率的な運営を目的に一部の現地法人の統廃合を行った一方で、欧州において、トルコ・イズミール、フランス・リヨンに子会社の支店を新たに開設しました。
製造業は、購買機能の向上やユーティリティ費用の見直しによる固定費削減活動および限界利益率向上を目的とするプロダクトミックスの見直しを行い、損益分岐点の改善活動を継続しました。また、前期に資本参加したINKRON LIMITEDの子会社化を行い、将来の事業育成に向けた電子関連要素技術の共有活動を強化しております。
② 企業風土の変革
重点施策②-1:「マインドセットの徹底」
「ACE-2020」では、「主体性・責任感・危機意識の醸成」、「トップメッセージの共有化」、「モニタリングとPDCAの徹底」を進め、グループ一丸となって主体的に行動を起こすしくみづくりを行います。
今期は、主体性の醸成と迅速な意思決定を目的として、組織階層の見直しを行い、階層の簡素化による権限委譲を進め、各階層の会議体の見直しを行いました。また、トップメッセージの共有化を目的として、グループポータルに「ACEサイト」を設け、トップメッセージの動画配信やグループ社員の情報発信と共有の場として活用しました。さらに、モニタリングとPDCAの徹底を目的に、「ACE-2020」達成に向けた施策の進捗と実現性を分析するしくみを導入しました。
重点施策②-2:「経営基盤の強化」
「ACE-2020」では、「効率性の追求」を進め、連結の売上高販管費率の0.5%改善を目指します。また、「人財育成」を進め、競争力向上と持続的発展を可能にする人財を育成します。
今期は、「効率性の追求」として間接業務の機能と組織を見直し、シェアードサービスセンターとして長瀬ビジネスエキスパート株式会社を発足し、業務集約と標準化を進めました。また、一部の業務においては、RPA(Robotic Process Automation)を導入しました。さらに、横断組織であるM&A推進プロジェクトチームを継続させ、案件の支援を行いました。
「人財育成」については、2018年度より施行される新人事制度の導入準備が完了し、2018年4月1日から導入しております。
(2) 経営者による当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、中期経営計画「ACE-2020」にて「収益構造の変革」と「企業風土の変革」を行うことにより、中期経営計画が掲げる目標の達成を目指しております。また、目標の達成のために、重要業績評価指標(KPI)として、「注力ビジネス拡大」、「グローバル展開の加速」、「製造業の収益力向上」、「効率性の追求」、「投資」、「強固な財務体質」を設けております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等につきましては、電子業界、自動車業界向け等の需要が旺盛であり、当社グループを取り巻く外部環境が想定以上に好況であったこともあり、通期業績は当初の見込みを大幅に上回る結果となりました。KPIの観点からは、「注力ビジネス拡大」、「製造業の収益力向上」、「投資」において、(1)に記載のとおり、日本、米州、中国、インドにおいて製造関連事業を中心とした投資を行ったほか、製造子会社の収益力改善の施策が寄与し、各指標に貢献しました。一方で、「効率性の追求」において、シェアードサービスセンターとなる長瀬ビジネスエキスパート株式会社を発足し、間接部門業務の高度化と効率化を進めておりますが、KPIである「連結売上高販管費比率」には大きくは寄与しませんでした。また、「グローバル展開の加速」においては、製造関連事業に係る施策が多かったこともあり、売上高への寄与は限定的であり、今後の課題として認識しております。目標達成の実現性という観点からは、中期経営計画に掲げる目標が合理的な水準であることを再認識しました。一方、中期経営計画では目標数値を早期に常態化することを目指しており、外部環境に依存しない強固な利益体質を構築するべく、KPIを達成するための施策を一層進めてまいります。
当社グループの当連結会計年度の資本の財源および資金の流動性については、「注力領域」であるライフ&ヘルスケア領域およびエレクトロニクス領域、また、「注力エリア」である米州において、成長に向けた投資として153億円の支出を行いました。また、運転資本の増加137億5千万円は、事業全般的に取扱高が増加したことに加え、一部の樹脂原料や化学品等について顧客への安定供給に必要な在庫を確保するための資金支出が増加したこと等によるものです。株主還元としては、普通配当金の支払として42億8千万円、自己株式の取得として17億7千万円の支出を行いました。なお、当連結会計年度の期末配当金につきましては、連結業績および財政状態等を勘案し、普通配当18円に特別配当5円を加え、合わせて1株当たり23円の支払を予定しております。これらの資金支出の財源は営業活動によるキャッシュ・フロー210億1千万円のほか、有利子負債により調達しております。
なお、上記文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(3) 財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、以下のように財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めています。
① 基本方針の内容
当社は、上場会社である以上、株主は原則として株式の自由な取引を通じて決まるものであり、株式会社の支配権の移転を伴う大規模買付行為の提案に応じるか否かも最終的には個々の株主の意思に基づき行われるべきものと考えております。かかる観点から、当社としては、企業価値向上に邁進することこそが本分であり、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者を当社自身の判断で定めるべきではないと考えております。
しかし、ときに市場においては、企業価値向上のために誠実な取組みをしている当社の価値が正当に評価されない状況が生じることも考えられます。株式の大規模買付行為の中には、かかる状況に乗じ、その目的等から見て短期的利益だけを求め、当社の企業価値および株主共同の利益を毀損するものもあり得るところであります。
当社は、このような当社の企業価値および株主共同の利益を毀損するような大規模買付行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
② 基本方針の実現に資する取組み
当社は、上記の基本方針を実現するため、創業200年の節目を迎える2032年度に向けた「長期経営方針」および2016年4月からスタートした5ヶ年の中期経営計画「ACE-2020」を掲げ、企業価値向上に邁進しております。「長期経営方針」は、注力領域への経営資源の投下と、日本に依存したビジネス運営からの脱却を通じ、これまでの事業の延長だけでは成し得ない飛躍的成長を目指した「成長に向けたチャレンジ」とその「成長に向けたチャレンジ」を成功に導くために事業の拡大とグローバル化に寄与する経営基盤の構築を目指した「成長を支える経営基盤の強化」を骨子としております。また長期経営方針の目標実現のために、2016年度からの17年間を3つのStageに分け、2016年度から2020年度までの5ヶ年をStage1:「変革期」と位置付け、中期経営計画「ACE-2020」をスタートしております(「ACE-2020」の“ACE”は、Accountability(主体性)、Commitment(必達)、Efficiency(効率性)を表します。)。中期経営計画「ACE-2020」は、商社中心の考え方から、商社をグループ機能のひとつと考え、製造、研究、海外ネットワーク、物流、投資の各機能を最大限活用し、グループ一丸となって世界へ新たな価値を創造し、提供することを目指しており、「収益構造の変革」と「企業風土の変革」の2つの変革を骨子としております。「収益構造の変革」の実現に向けた重点施策として「ポートフォリオの最適化」と「収益基盤の拡大・強化」を掲げ、「企業風土の変革」の実現に向けた重点施策として「マインドセットの徹底」と「経営基盤の強化」を掲げております。なお、収益拡大の手段として成長投資1,000億円を設定しており、営業活動によるキャッシュ・フローを上回る財源は、主に有利子負債での調達を基本とし、運転資金の効率化および資産の入替により強固な財務体質と長期的な安定配当は堅持することとしております。以上のとおり、経営の効率性とともにその透明性をも高め、株主、顧客、取引先、社員、地域社会等のステークホルダーの皆様との円滑な関係を構築し、企業価値の向上へ向けて邁進してまいります。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
前記の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みとして、当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)(以下「本プラン」といいます。)を、2016年5月23日開催の当社取締役会および2016年6月29日開催の第101回定時株主総会の決議に基づき更新しております。なお、本プランの有効期間は、2019年に開催される当社定時株主総会の終了時点までとなっております。
本プランは、当社の企業価値および株主共同の利益を確保し向上させることを目的として、大規模買付行為が行われる場合に、大規模買付者に対し、事前に当該大規模買付行為等に関する情報の提供を求め、当社が、当該買付け等についての情報収集・検討等を行う期間を確保した上で、株主の皆様に当社経営陣の計画や代替案等を提示したり、大規模買付者との交渉等を行っていくための手続を定めています。
かかる手続が遵守されなかった場合には、取締役会決議もしくは株主総会の承認により対抗措置(新株予約権無償割当て)を講じることがあります。当該対抗措置の発動により、結果的に手続を遵守しない大規模買付者に、経済的損害を含む何らかの不利益を発生させる可能性があります。他方、手続が遵守されている場合は、原則として対抗措置は講じませんが、当該大規模買付行為が当社の企業価値および株主共同の利益の確保・向上に反すると認められる場合には、対抗措置(新株予約権無償割当て)を講じることがあります。
なお、本プランの具体的内容は、2016年5月23日付のニュースリリース「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の更新について」
(https://www.nagase.co.jp/assetfiles/tekijikaiji/20160523.pdf)をご参照ください。
④ 具体的取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由
②に記載した当社の「長期経営方針」および中期経営計画「ACE-2020」は、当社の企業価値および株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではございません。
③に記載した本プランは、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みとして、当社の企業価値および株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入しております。また、対抗措置発動等の運用に際して、取締役会の恣意的判断を排除し、株主の皆様のために実質的な判断を客観的に行う諮問機関として、独立委員会を設置しております。取締役会の判断は、独立委員会の勧告を最大限尊重し、また、対抗措置の発動に際し、状況により、株主意思を確認することとしており、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
(1) 長期経営方針
当社グループは、創業200年の節目を迎える2032年度に向かい、「現行比3倍の利益水準の常態化」を目指して、「成長に向けたチャレンジ」と「成長を支える経営基盤の強化」を骨子とした長期経営方針を2014年度に策定しております。
「成長に向けたチャレンジ」においては、注力領域への経営資源の投下と、従来からのビジネスモデルに依存する体質からの脱却を通じ、これまでの事業の延長だけではなし得ない飛躍的な成長を目指します。「成長を支える経営基盤の強化」は、「成長に向けたチャレンジ」を成功に導くために、事業の拡大とグローバル化に寄与する経営基盤を構築してまいります。
中期経営計画「ACE-2020」について
長期経営方針の目標実現のために、2016年度からの17年間を3つのStageに分け、2016年度から2020年度までの5ヶ年をStage1:「変革期」と位置付け、中期経営計画「ACE-2020」をスタートしました。「ACE-2020」の“ACE”は、Accountability(主体性)、Commitment(必達)、Efficiency(効率性)を表します。
「ACE-2020」では、商社中心の考え方から、商社をグループ機能のひとつと考え、製造、研究、海外ネットワーク、物流、投資の各機能を最大限活用し、グループ一丸となって世界へ新たな価値を創造し、提供することを目指しています。
本期間中に、収益拡大の手段として成長投資1,000億円を設定しました。営業活動によるキャッシュ・フローを上回る財源は、主に有利子負債での調達を基本としますが、運転資金の効率化および資産の入替により強固な財務体質と長期的な安定配当は堅持します。
「ACE-2020」の定量目標は下表のとおりです。
| 目標 | 第103期(2017年度) | 第102期(2016年度) | |
| 連結売上高 | 1兆円以上 | 7,839億円 | 7,223億円 |
| 連結営業利益 | 300億円以上 | 241億円 | 150億円 |
| ROE | 6.0%以上 | 5.8% | 3.7% |
※目標値は、早期に常態化することを目指しております。
中期経営計画の骨子
「ACE-2020」では、「収益構造の変革」と「企業風土の変革」の2つの変革を実行しております。
① 収益構造の変革
重点施策①-1:「ポートフォリオの最適化」
「ACE-2020」では、経営資源の最大効率化を進めるために、成長性、収益性、事業規模を観点に、事業を「育成領域」、「注力領域」、「基盤領域」、「改善領域」の4つの領域に仕分けを行い、各領域にあった戦略実行により、事業拡大を図ります。
注力領域:ライフ&ヘルスケア、エレクトロニクス
今期は、「注力領域」であるライフ&ヘルスケアにおいて、欧州の化粧品事業拡大を目的として新たに事業拠点を開設した他、次世代の創薬技術を持つベンチャー企業であるペプチスター株式会社への出資を決定しました。同じく「注力領域」であるエレクトロニクスにおいて、フレキシブルディスプレイ市場のニーズに応えるべく、高耐熱性ポリイミドフィルムの生産・販売を手掛けるゼノマックスジャパン株式会社を東洋紡株式会社との合弁により設立(2018年4月)した他、次世代有機EL技術を持つベンチャー企業の株式会社Kyuluxへの出資を行いました。また、中国において薬液供給を行う無錫澄泓微電子材料有限公司が四川省綿陽市に新たな法人を設立しました。
「育成領域」では、中国の新エネルギー車市場に応えるべく、恵州三力協成精密部件有限公司を中国企業と株式会社アテックスとの合弁により設立した他、インドの自動車市場の拡大を目的にインド企業との合弁会社であるMINDA KYORAKU LTD.への資本増強を行いました。また、前期よりIBM社(International Business Machines Corporation)のIT基礎研究コンソーシアムに参加している他、ベンチャーキャピタルを通してスタートアップ企業の情報収集を行っており、将来の柱となる事業開発を継続しております。
「基盤領域」では、国内外の合成樹脂販売において高機能樹脂の拡販活動を行った他、耐腐食性を持つ反応性塗料「Pat!naLock®」の開発活動などを行いました。
「改善領域」では、一部の不採算製造子会社においてコスト削減等による収益力改善施策を徹底した他、不採算・ノンコア事業からの撤退ならびにそれらに係る関係会社の株式売却により経営資源の再配分を行いました。
重点施策①-2:「収益基盤の拡大・強化」
「ACE-2020」では、商社業・製造業それぞれが独自のKPI設定と施策実行により、各機能を向上させるとともに、それぞれの機能を活用した新たな事業の創造を目指します。
商社業は、海外の売上規模の拡大によりグローバル展開の更なる加速を目指し、製造業は、将来の注力事業の育成とコストダウンによる経営の安定化(損益分岐点の改善)を進めます。
今期は、米国においてスペシャリティケミカル・ディストリビューターFitz Chem Corporation(現Fitz Chem LLC)を買収し、さらに地域統括機能を充実させ現地主導でPMI(統合プロセス)を行っています。また、中国において、効率的な運営を目的に一部の現地法人の統廃合を行った一方で、欧州において、トルコ・イズミール、フランス・リヨンに子会社の支店を新たに開設しました。
製造業は、購買機能の向上やユーティリティ費用の見直しによる固定費削減活動および限界利益率向上を目的とするプロダクトミックスの見直しを行い、損益分岐点の改善活動を継続しました。また、前期に資本参加したINKRON LIMITEDの子会社化を行い、将来の事業育成に向けた電子関連要素技術の共有活動を強化しております。
② 企業風土の変革
重点施策②-1:「マインドセットの徹底」
「ACE-2020」では、「主体性・責任感・危機意識の醸成」、「トップメッセージの共有化」、「モニタリングとPDCAの徹底」を進め、グループ一丸となって主体的に行動を起こすしくみづくりを行います。
今期は、主体性の醸成と迅速な意思決定を目的として、組織階層の見直しを行い、階層の簡素化による権限委譲を進め、各階層の会議体の見直しを行いました。また、トップメッセージの共有化を目的として、グループポータルに「ACEサイト」を設け、トップメッセージの動画配信やグループ社員の情報発信と共有の場として活用しました。さらに、モニタリングとPDCAの徹底を目的に、「ACE-2020」達成に向けた施策の進捗と実現性を分析するしくみを導入しました。
重点施策②-2:「経営基盤の強化」
「ACE-2020」では、「効率性の追求」を進め、連結の売上高販管費率の0.5%改善を目指します。また、「人財育成」を進め、競争力向上と持続的発展を可能にする人財を育成します。
今期は、「効率性の追求」として間接業務の機能と組織を見直し、シェアードサービスセンターとして長瀬ビジネスエキスパート株式会社を発足し、業務集約と標準化を進めました。また、一部の業務においては、RPA(Robotic Process Automation)を導入しました。さらに、横断組織であるM&A推進プロジェクトチームを継続させ、案件の支援を行いました。
「人財育成」については、2018年度より施行される新人事制度の導入準備が完了し、2018年4月1日から導入しております。
(2) 経営者による当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、中期経営計画「ACE-2020」にて「収益構造の変革」と「企業風土の変革」を行うことにより、中期経営計画が掲げる目標の達成を目指しております。また、目標の達成のために、重要業績評価指標(KPI)として、「注力ビジネス拡大」、「グローバル展開の加速」、「製造業の収益力向上」、「効率性の追求」、「投資」、「強固な財務体質」を設けております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等につきましては、電子業界、自動車業界向け等の需要が旺盛であり、当社グループを取り巻く外部環境が想定以上に好況であったこともあり、通期業績は当初の見込みを大幅に上回る結果となりました。KPIの観点からは、「注力ビジネス拡大」、「製造業の収益力向上」、「投資」において、(1)に記載のとおり、日本、米州、中国、インドにおいて製造関連事業を中心とした投資を行ったほか、製造子会社の収益力改善の施策が寄与し、各指標に貢献しました。一方で、「効率性の追求」において、シェアードサービスセンターとなる長瀬ビジネスエキスパート株式会社を発足し、間接部門業務の高度化と効率化を進めておりますが、KPIである「連結売上高販管費比率」には大きくは寄与しませんでした。また、「グローバル展開の加速」においては、製造関連事業に係る施策が多かったこともあり、売上高への寄与は限定的であり、今後の課題として認識しております。目標達成の実現性という観点からは、中期経営計画に掲げる目標が合理的な水準であることを再認識しました。一方、中期経営計画では目標数値を早期に常態化することを目指しており、外部環境に依存しない強固な利益体質を構築するべく、KPIを達成するための施策を一層進めてまいります。
当社グループの当連結会計年度の資本の財源および資金の流動性については、「注力領域」であるライフ&ヘルスケア領域およびエレクトロニクス領域、また、「注力エリア」である米州において、成長に向けた投資として153億円の支出を行いました。また、運転資本の増加137億5千万円は、事業全般的に取扱高が増加したことに加え、一部の樹脂原料や化学品等について顧客への安定供給に必要な在庫を確保するための資金支出が増加したこと等によるものです。株主還元としては、普通配当金の支払として42億8千万円、自己株式の取得として17億7千万円の支出を行いました。なお、当連結会計年度の期末配当金につきましては、連結業績および財政状態等を勘案し、普通配当18円に特別配当5円を加え、合わせて1株当たり23円の支払を予定しております。これらの資金支出の財源は営業活動によるキャッシュ・フロー210億1千万円のほか、有利子負債により調達しております。
なお、上記文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(3) 財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、以下のように財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めています。
① 基本方針の内容
当社は、上場会社である以上、株主は原則として株式の自由な取引を通じて決まるものであり、株式会社の支配権の移転を伴う大規模買付行為の提案に応じるか否かも最終的には個々の株主の意思に基づき行われるべきものと考えております。かかる観点から、当社としては、企業価値向上に邁進することこそが本分であり、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者を当社自身の判断で定めるべきではないと考えております。
しかし、ときに市場においては、企業価値向上のために誠実な取組みをしている当社の価値が正当に評価されない状況が生じることも考えられます。株式の大規模買付行為の中には、かかる状況に乗じ、その目的等から見て短期的利益だけを求め、当社の企業価値および株主共同の利益を毀損するものもあり得るところであります。
当社は、このような当社の企業価値および株主共同の利益を毀損するような大規模買付行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
② 基本方針の実現に資する取組み
当社は、上記の基本方針を実現するため、創業200年の節目を迎える2032年度に向けた「長期経営方針」および2016年4月からスタートした5ヶ年の中期経営計画「ACE-2020」を掲げ、企業価値向上に邁進しております。「長期経営方針」は、注力領域への経営資源の投下と、日本に依存したビジネス運営からの脱却を通じ、これまでの事業の延長だけでは成し得ない飛躍的成長を目指した「成長に向けたチャレンジ」とその「成長に向けたチャレンジ」を成功に導くために事業の拡大とグローバル化に寄与する経営基盤の構築を目指した「成長を支える経営基盤の強化」を骨子としております。また長期経営方針の目標実現のために、2016年度からの17年間を3つのStageに分け、2016年度から2020年度までの5ヶ年をStage1:「変革期」と位置付け、中期経営計画「ACE-2020」をスタートしております(「ACE-2020」の“ACE”は、Accountability(主体性)、Commitment(必達)、Efficiency(効率性)を表します。)。中期経営計画「ACE-2020」は、商社中心の考え方から、商社をグループ機能のひとつと考え、製造、研究、海外ネットワーク、物流、投資の各機能を最大限活用し、グループ一丸となって世界へ新たな価値を創造し、提供することを目指しており、「収益構造の変革」と「企業風土の変革」の2つの変革を骨子としております。「収益構造の変革」の実現に向けた重点施策として「ポートフォリオの最適化」と「収益基盤の拡大・強化」を掲げ、「企業風土の変革」の実現に向けた重点施策として「マインドセットの徹底」と「経営基盤の強化」を掲げております。なお、収益拡大の手段として成長投資1,000億円を設定しており、営業活動によるキャッシュ・フローを上回る財源は、主に有利子負債での調達を基本とし、運転資金の効率化および資産の入替により強固な財務体質と長期的な安定配当は堅持することとしております。以上のとおり、経営の効率性とともにその透明性をも高め、株主、顧客、取引先、社員、地域社会等のステークホルダーの皆様との円滑な関係を構築し、企業価値の向上へ向けて邁進してまいります。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
前記の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みとして、当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)(以下「本プラン」といいます。)を、2016年5月23日開催の当社取締役会および2016年6月29日開催の第101回定時株主総会の決議に基づき更新しております。なお、本プランの有効期間は、2019年に開催される当社定時株主総会の終了時点までとなっております。
本プランは、当社の企業価値および株主共同の利益を確保し向上させることを目的として、大規模買付行為が行われる場合に、大規模買付者に対し、事前に当該大規模買付行為等に関する情報の提供を求め、当社が、当該買付け等についての情報収集・検討等を行う期間を確保した上で、株主の皆様に当社経営陣の計画や代替案等を提示したり、大規模買付者との交渉等を行っていくための手続を定めています。
かかる手続が遵守されなかった場合には、取締役会決議もしくは株主総会の承認により対抗措置(新株予約権無償割当て)を講じることがあります。当該対抗措置の発動により、結果的に手続を遵守しない大規模買付者に、経済的損害を含む何らかの不利益を発生させる可能性があります。他方、手続が遵守されている場合は、原則として対抗措置は講じませんが、当該大規模買付行為が当社の企業価値および株主共同の利益の確保・向上に反すると認められる場合には、対抗措置(新株予約権無償割当て)を講じることがあります。
なお、本プランの具体的内容は、2016年5月23日付のニュースリリース「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の更新について」
(https://www.nagase.co.jp/assetfiles/tekijikaiji/20160523.pdf)をご参照ください。
④ 具体的取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由
②に記載した当社の「長期経営方針」および中期経営計画「ACE-2020」は、当社の企業価値および株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではございません。
③に記載した本プランは、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みとして、当社の企業価値および株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入しております。また、対抗措置発動等の運用に際して、取締役会の恣意的判断を排除し、株主の皆様のために実質的な判断を客観的に行う諮問機関として、独立委員会を設置しております。取締役会の判断は、独立委員会の勧告を最大限尊重し、また、対抗措置の発動に際し、状況により、株主意思を確認することとしており、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。