有価証券報告書-第77期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/24 13:05
【資料】
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【項目】
207項目

有報資料

(1) リスクマネジメントの考え方
当社は、当社グループ全体の企業価値を持続的に向上させるため、事業活動に関連する内外の様々なリスクを適切に管理するための体制を構築しています。また、事業活動に重大な影響を及ぼすリスクが顕在化した際の損失を低減させるための活動を行います。
(2) リスクマネジメントの体制
当社グループは、スリーラインモデルの考え方に基づくリスクマネジメント体制を構築しており、リスク管理に関する取組は、取締役会が監督するサステナビリティ委員会が統括しております。
第一ラインとして、当社の各拠点及びグループ各社ごとに任命したリスクマネジメントリーダーが事業にかかる現場部門でのリスクを管理しています。第二ラインとして、コンプライアンス・リスク管理部会がリスクマネジメントリーダーから集約した現場部門でのリスクを評価・把握するとともに、マテリアリティ部会及び2025年6月に新設した人的資本部会が中長期的な全社レベルのリスクや人的リスクを特定し、これらの専門部会の連携により必要な対策をサステナビリティ委員会に報告することとしております。また、第三ラインとして、内部監査室が第一ラインと第二ラインから独立した立場で、リスク管理体制・状況を監査しております。
リスクマネジメント体制の概略

視点名称役割等主な所管部署



リスクマネジメント
リーダー
・各拠点・グループ会社ごとに任命。各現場におけるリスクの把握、評価、対応策の実施各部門
安全衛生管理者・各拠点・グループ会社ごとに任命。各現場における労働安全衛生にかかわるリスクの発見、報告・対策の実施各部門
コンプライアンス・
リスク管理部会
・各リスクマネジメントリーダーから報告されたリスクの集約、評価、把握及び対応計画の作成と進捗管理
・各リスクマネジメントリーダーの指導・教育
総務部・法務部
資材・住宅事業本部
ナイスコミュニティー
YOUテレビ
ナイスグループ
中央安全衛生委員会
・物流・製造・施工管理等の分野における労働安全衛生リスクの集約、評価、把握及び対応計画の作成と進捗管理
・各安全衛生管理者の指導・教育
総務部・人事部
建築工事・物流部門等



マテリアリティ部会・外部環境や各種モニタリング指標の分析等を通じた中長期的な全社レベルのリスクの特定及び対応計画の作成と進捗管理経営企画部・経理部
DX推進部
サステナブル推進部等
人的資本部会・採用、労務、評価、ハラスメント等の人事領域におけるリスクの集約、評価、把握及び対応計画の作成と進捗管理人事部
資材・住宅事業本部
ナイスコミュニティー

(3) 主要なリスク
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に及ぼす影響については、具体的な内容を見積もることが困難であるため、記載しておりません。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 住宅・不動産市場の動向に関するリスク
当社グループの事業は、国内の経済状況及び住宅・不動産市場の動向に大きく依存しています。そのため、何らかの要因により国内経済が悪化し、需要の後退が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、人口減少や少子高齢化に伴う新設住宅着工戸数の減少といった市場構造の変化はすでに現れはじめており、今後さらにこの傾向が急激に深刻化した場合には、当社グループの業績に中長期的な影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、「中期経営計画 Road to 2030」に基づき、国産木材の供給体制の強化やストックビジネス、非住宅分野の拡充を通じて、新築住宅マーケットに過度に依存しない事業領域の拡大と事業ポートフォリオの最適化を推進し、リスクの軽減に努めてまいります。
② 木材、建材・住宅設備機器等の調達及び価格変動に関するリスク
当社グループは、木材を国内外から調達しているほか、建材や住宅設備機器についても、一部の仕入先メーカーが海外拠点において部品の調達や製品の生産を行っています。そのため、国内外における自然災害や社会不安(戦争、感染症の流行、地政学的リスクなど)により、調達が困難となる可能性があります。また、取扱商品の市況や需給の急激な変動により、調達価格が大きく変動した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
昨今では、不安定な中東情勢の影響により、断熱材や配管材等の原料となるナフサ等の供給不安や価格高騰、物流の停滞等が生じており、一部の製品において納期遅延等の影響が見受けられ、これらの事象は足下で顕在化しているほか、今後も短期的・中期的に断続的な影響が生じる可能性があります。今後、これらがさらに長期化・深刻化した場合には、調達価格の更なる上昇や供給制限、物流の停滞を通じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、国内外の調達ネットワークを活用し、商品を複数の産地・メーカーから調達するとともに、全国の物流拠点のストック機能を活かすことで、供給体制の安定確保に努めています。また、行政機関、仕入先と緊密に連携し、市況や需給の変動に関する的確な情報をタイムリーに発信することで、取引先における混乱の回避や影響の最小化を図るなど、サプライチェーンにおける当社の役割を果たすよう取り組んでおります。
③ 法令違反等に関するリスク
当社グループは、宅地建物取引業法、建設業法、建築士法のほか、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流効率化法)」や「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」をはじめとする、事業遂行に関わる各種法令・条例を遵守し、事業活動を行っております。
しかしながら、当社グループ及び外部協力事業者において、重大な法令違反や不正行為、労働災害などが発生した場合には、損害賠償金の支払いや是正措置に多額の費用が発生するほか、業務停止等の行政処分を受ける可能性があります。これにより、当社グループの社会的信用やブランドイメージが損なわれ、顧客離れや取引停止、訴訟への対応を余儀なくされるなど、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、「ナイスグループ行動倫理規範」等を定め、役職員に対して周知・徹底を図るとともに、継続的なコンプライアンス研修や内部通報制度の適切な運用を通じて、コンプライアンス意識の醸成に努めております。また、取締役会直属のサステナビリティ委員会の下に設置された「コンプライアンス・リスク管理部会」では、コンプライアンス関連事案の情報共有・分析、発生防止策や対応策の検討・指導・監督等を行っております。
さらに、法定の安全委員会・衛生委員会とは別に、安全衛生活動をより強化する目的で、物流・製造・施工管理に関わる各部署及びグループ会社が連携し、「ナイスグループ中央安全衛生委員会」を3カ月ごとに開催しています。同委員会では、労働災害の予防に向けた定期点検、発生事案の検証、再発防止策の推進等を行っています。加えて、専門分野の異なる複数の法律事務所と顧問契約を締結し、事案の内容に応じた的確な法的助言を受けられる体制を整備することで、迅速かつ適切な対応を可能としています。
④ 人材に関するリスク
当社グループの持続的成長及び企業価値向上のためには、専門性の高い人材の確保及び継続的な育成が不可欠です。そのため、必要な人材の確保や従業員の育成が十分に進まない場合、重要なポジションを担う人材が予期せず流出した場合、または職場環境の整備が不十分であることにより従業員のモチベーションが著しく低下した場合には、当社グループの経営成績や事業継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、「中期経営計画 Road to 2030」に基づき、「タレントマネジメントの実践」「人材ケイパビリティ向上」「従業員エンゲージメントの向上」を重要施策として推進しております。なお、これらに関する具体的な方針、取組内容及び関連する指標(人材育成方針、社内環境整備方針など)の詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 重要なサステナビリティ項目 ②人的資本への対応」に記載のとおりであります。
⑤ 建設技能者の減少に関するリスク
建設業界においては、建設技能労働者の高齢化や若手入職者の減少が継続していることに加え、時間外労働の上限規制の適用に伴う労働環境の変化も相まって、将来にわたる施工能力の安定的な確保が重要な課題となっております。今後、当社グループ及び施工協力会社において、必要な技能者の確保が十分に図れない場合、工期の遅延や労務費の高騰を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、施工プロセスの合理化やデジタルツールの活用推進等により、現場の省力化と生産性向上を図っております。また、適正な賃金水準の維持等といった処遇改善を通じて技能者の定着と確保に努めるとともに、施工パートナーとの長期的・安定的な協力体制をより一層深化させております。これらの対策を多角的に講じることで、供給体制の維持と施工品質の確保を両立し、人的資源の制約に伴うリスクの軽減に注力してまいります。
⑥ 自然災害等に伴う事業継続に関するリスク
大規模な地震や風水害などの自然災害により、当社グループの施設・設備等が甚大な被害を受けた場合、あるいは重篤な感染症の急激な拡大などにより事業活動に大きな制約が生じた場合には、当社グループの役職員の安全確保や業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、事業継続計画(BCP)に基づき、リスクマネジメント体制の強化を図っております。具体的には、安否確認システムの運用やBCPマニュアルの整備、定期的な防災訓練の実施、備蓄の確保に加え、クラウド活用による情報インフラの冗長化や計画的な設備改修を推進しております。あわせて、非常時においても、リモートワーク等の柔軟な働き方を活用できる体制を整備することで、役職員の安全確保と安定的な事業運営を維持し、社会的責任を果たせるよう努めております。
⑦ 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業上の重要情報に加え、事業の過程で入手した個人情報や取引先等の機密情報を保有しております。これらの情報に関して、当社グループのITシステムがサイバー攻撃やウイルス感染等の被害を受けて業務が停滞した場合、また、個人情報等が漏洩した場合には、社会的信用の低下や損害賠償の発生、復旧費用の負担などを通じて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、「情報セキュリティ方針」を定め、外部からの不正アクセス防止や検知システムの導入といった技術的対策に加え、クラウド活用によるバックアップ体制の構築など、情報資産の安全性と可用性を高める対策を継続的に強化しております。また、万一の事故発生に備え、サイバー保険に加入することで、調査費用や損害賠償といった財務的な影響を最小限に抑えるリスクヘッジを図っております。運用面では、専門部会においてリスク評価と対策の有効性を定期的にモニタリングし、全役職員を対象として標的型攻撃メール訓練などの情報セキュリティ教育を継続的に実施することで、組織全体の意識向上と対応力の底上げを図っております。あわせて、万一のインシデント発生時に迅速な復旧と被害拡大防止を図るための初動対応体制を整備し、情報セキュリティ対策の徹底に努めております。
⑧ 品質保証に関するリスク
当社グループが展開する住宅の建築・供給及び不動産開発において、予期せぬ重大な品質問題が発生した場合には、多額の改修・補修費用が発生するだけでなく、当社グループの社会的信用やブランド価値が大きく毀損され、業績に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、地盤調査、設計、基礎工事から上棟、竣工に至るまで、各工程に応じて、建築基準法及び住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法)に準拠した厳格な自社検査体制を構築しております。これに加え、第三者機関による客観的な検査を併用することで、設計・施工品質の透明性と信頼性を確保しております。また、長期保証制度の運用や定期点検の実施、および施工現場からのフィードバックを通じた継続的な品質改善活動により、お客様への安心の提供とリスクの未然防止に努めております。
⑨ 保有する資産に関するリスク
当社グループは、販売用不動産、有形固定資産及び投資有価証券その他の資産を保有しており、主に時価の下落による評価損又は減損損失の計上によって、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、全国に保有する木材市場や物流センターなどの施設・設備については、老朽化に伴い安全性を含めた良好な労働環境を確保するために、多額の修繕費が発生する可能性があります。その場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、販売用不動産については、仕入基準に基づき優良な土地を取得するとともに、一定額を超える案件は取締役会で審議し、市場動向に応じた機動的な在庫コントロールを行っております。また、政策保有株式等の資産については、保有方針及び保有の合理性を毎年取締役会で個別に検証しており、検討の結果、保有継続が適当でないと判断した資産については売却等を進めております。これにより創出した資金を成長投資等へ再配分するなど、資産効率の向上を図っております。
あわせて、施設・設備等の修繕については、中長期的な改修計画に基づき、計画的な維持管理を実施しております。これにより、老朽化に伴う突発的な費用発生を抑制するとともに、安全性に配慮した良好な労働環境の確保と、資産価値の維持向上に努めております。
⑩ 取引先への信用供与に関するリスク
当社グループは、取引先に対して売上債権等の信用供与を行っております。そのため、取引先の経営状況が何らかの要因により悪化した場合には、貸倒れ等による突発的な不良債権が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、信用リスクの顕在化を防止すべく、適切な債権限度額の設定をはじめとする厳格な与信管理を徹底しております。
⑪ 資金調達に関するリスク
当社グループは、事業に必要な資金を金融機関からの借入により調達しております。そのため、金融市場の混乱や当社の信用格付の引き下げ、あるいは金融機関の融資方針の変更などにより、資金調達に制約が生じる可能性があります。また、将来的に金利が上昇した場合には、資金調達コストが増加し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、長期資金の確保や金利の固定化を図るとともに、コミットメントライン等の活用により資金流動性を十分に確保することで、安定的かつ効率的な資金調達及び資金管理体制の構築に努めております。
⑫ 為替に関するリスク
当社グループは、木材及び建材を外貨建てで輸入しているため、為替相場の変動によって想定を超えるコストが発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、輸出入契約額の一定割合について先物為替予約を活用することで、為替変動が経営成績に及ぼす影響の軽減に努めております。
⑬ 気候変動に関するリスク
当社グループは、地球温暖化をはじめとする気候変動問題を経営の重要課題の一つとして認識しております。当社の取締役会は、気候変動を含むサステナビリティに関するリスク及び機会についての監督を行っているほか、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」において特定・評価された重要事項について、必要に応じて審議・決定する体制を構築しております。
また、当社グループは「環境方針」に基づき、企業活動を通じた環境負荷の低減と脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めております。気候変動が当社グループの事業活動や財務に与えるリスク及び機会(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)の詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 重要なサステナビリティ項目 ① 気候変動への対応(TCFD)」に記載のとおりであります。
⑭ 設備投資及び企業買収、研究開発等に関するリスク
当社グループは、持続的な成長と競争力強化のため、設備投資や企業買収、研究開発を推進しております。しかしながら、急激な市況の変化や新たなリスクの顕在化などにより、設備の稼働率低下や対象企業の企業価値の毀損などが生じ、想定した効果が得られない場合には、資産の減損損失の計上などを通じて、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、新規設備投資の妥当性を判断する際には、ハードルレートをWACC(加重平均資本コスト)を上回る水準に設定し、経済性の検証を行っております。また、企業買収等の検討にあたっては、外部専門家を含めた事前の詳細な調査(デュー・デリジェンス)を実施し、取締役会等においてリスクの所在やリターンの妥当性を十分に審議しております。実施後(PМIフェーズ)においては、対象企業の経営体制や業務プロセスの早期統合に注力し、定期的なモニタリングを通じて事業計画の進捗管理を徹底することで、投資リスクの低減と早期のシナジー創出に努めております。
⑮ 業務委託先の倒産等に関するリスク
当社グループは、マンション事業及び一戸建住宅事業等において、設計会社や建設会社などの外部業者に対して各種業務の発注・委託を行っております。発注した業務が適切に履行されているかを逐次確認していますが、外部業者が業務を履行しない場合や倒産した場合などには、当社グループが定めたスケジュールや品質基準、法令に基づく業務遂行が困難になるおそれがあります。
特に、顧客に販売するマンションや一戸建住宅の工事完成前に売買契約を締結し、引渡義務を負う場合においては、所定のスケジュールや品質基準、法令を満たした工事が行われないと、売主として顧客に対し債務不履行責任を負うほか、規制当局から是正指導を受ける可能性があります。これらの事態は当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼすおそれがあります。
このようなリスクに対応するため、当社グループでは、売主として保証金の供託や保険への加入を行っております。また、与信など一定の取引条件を満たす複数の事業者と当社の品質基準を共有する体制を構築し、さらに特定の外注先に依存しない体制を整備することで、リスクの最小化に努めております。

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