有価証券報告書-第59期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/30 15:25
【資料】
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【項目】
152項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「ENJOY PARENTING, PLAY FASHION ~子育てを楽しもう、ファッションで遊ぼう~」というコンセプトを掲げ、子育て世代から信頼され、支持されるブランド構築を目指し、アパレル関連だけではなく、子育て世代のニーズを充足する商品の提供、子育て世代が求めるサービスの提供を通じて、アパレル事業の持続的な成長を目指しておりましたが、2022年3月期第3四半期の当社アパレル事業の業績が、一段と厳しい結果となったことを踏まえ、当該コンセプトは継続しつつも、当社アパレル事業については、一旦規模を大幅に縮小し、多額の赤字を解消するとともに、2021年2月に開始した不動産事業を第2の柱事業として、事業ポートフォリオの転換による抜本的な収益構造の変革を行い、企業価値の回復と向上に努めてまいります。
(2) 経営環境の認識
当連結会計年度は、新型コロナウイルスの感染症が収束せず、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が断続的に発出されたことで、年度を通じて見ると衣料品支出は本格回復には至りませんでした。さらに、新たな変異株による感染の急拡大に加え、世界的な資源価格の高騰による物価高の影響、円安進行による輸入仕入価格の上昇など、景気の先行きは依然として予断を許さない状況となっており、2023年3月期における日本国内の経営環境も引き続き厳しい状況が続くものと考えられます。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
以上のように、現下の国内経済の先行きは極めて不透明な状況にありますが、当社グループは長期にわたる景気悪化にも耐えうるコンパクトに力強い企業への変革を目指して、利益を出せる体質への変革をさらに推し進めるとともに、キャッシュ・フローの大幅改善、黒字化を目指してまいります。
1.事業ポートフォリオの転換
当社は、2022年3月期の業績が減収、赤字拡大と一段と厳しい状況に陥っていることを踏まえ、当社アパレル事業の大幅縮小と不動産事業の拡大を柱とする事業ポートフォリオの転換を実行し、抜本的な経営再建と財務基盤の強化を果たしてまいります。
(1)アパレル事業の縮小
以下の骨子に沿って大幅な事業縮小を行い、多額の赤字解消に取り組んでまいります。
① 約220店舗の実店舗のうち、約210店舗の退店を実行する
② 退店・事業縮小に伴い、退店する店舗の販売員及び約40名の本社人員の整理を行う
③ 当社の強み・ノウハウがある領域に集中し、ベビー向け、女児向けにブランド・商品を絞り込む
④ 縮小後はECを中心とした販売を行うとともに新たな商品提供・収益化の方法を探求する
⑤ 過剰生産を排し、値引き販売を抑制し、将来に向けブランド価値の回復を図る
⑥ 明確な差別化、独自の価値提供を追求することでコンパクトながら唯一無二の存在を目指す
2022年12月までに撤退・縮小を完了させ、2023年3月期の第4四半期での黒字転換並びに2024年3月期の単年度黒字化につなげてまいります。
なお、今後は、規模は大幅に縮小となるものの、創業来受け継いでまいりました独自性のある価値提供に注力し、ブランド価値の向上とともに、再起を図ってまいる所存であります。
(2)不動産事業の拡大
新たな収益の柱の構築が不可欠であると判断し、2020年12月に、当社の主要株主である株式会社レゾンディレクション及び当社代表者である清川浩志氏が有する不動産ノウハウを背景として、不動産賃貸を開始いたしましたが、2022年3月期においても安定的に利益を計上していることから、今後、不動産事業を第2の柱事業として拡大してまいります。
今般、上記の方針に沿って、全国に収益物件を所有し不動産賃貸業を営む企業のM&A実施を決定いたしました。本件M&Aにより、安定的な収益基盤を確保することで、当社アパレル事業の大幅縮小による赤字解消とともに、全社的な収益構造を抜本的に変革し、赤字体質からの脱却と財務基盤の強化を果たしてまいります。
今後も取得物件のバリューアップ(リフォーム、リノベーション、コンバージョン等を行うことによる資産価値向上)による高収益な物件運用を行う不動産賃貸事業を柱に、事業拡大を目指していく方針であります。
2.財務体質の改善
(1)キャッシュ・フローの黒字化
当期においては、アパレル事業においては、約210店舗の退店計画に沿ったセールの実施やEC販路を活用した現有在庫の消化、キャッシュ・フローの確保に努めるとともに、今後については、過剰生産の排除、仕入の適正化等、キャッシュ・フロー経営に徹し、財務体質の改善を図ってまいります。
さらに、前記の事業ポートフォリオの転換により、不動産事業による安定収益を見込んでおり、アパレル事業の体質改善と併せ、継続的にマイナスの営業キャッシュ・フローを計上する状況から脱し、黒字化を実現させてまいります。
(2)運転資金確保
当社グループは、これまで、取引金融機関との緊密な関係維持に努めてまいりました。定期的に業績改善に向けた取組み状況等に関する協議を継続しており、今後も、必要な運転資金について取引金融機関より継続的な支援が得られるものと考えております。
さらに当社は、2021年10月8日開催の取締役会において、必要運転資金の確保と将来の成長戦略のための資金調達を目的として、第16回新株予約権の発行を決議し、2021年10月25日に発行価額の総額の払込が完了しました。また、2021年11月16日に当該新株予約権5,000個が行使されております。