有価証券報告書-第65期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/20 14:19
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154項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社企業集団が判断したものであります。 当社は昭和30年の創業以来、ステンレス鋼の流通を通じてわが国の産業の発展に寄与することを目的とし、販売先と仕入先双方のニーズを調整すると共に、お取引先にソリューションを提供することにより発展してきました。当社の企業理念である「日本一のステンレス・チタン商社として、世のため人のために役立ちたい。」は「UEXの志」という形にまとめられております。また、この企業理念を具現化すべくあらたに経営方針として『ステンレス・チタン商社として価値ある流通機能を提供することで社会に貢献し、永続的な成長を通じてステークホルダー(取引先・社員・株主)の満足度向上をめざします。』を定め、さらなる事業活動の発展に努めるとともに、法令遵守を徹底し、経営体制の一層の強化を目指してまいります。 ステンレス流通業は、日本の経済成長が緩やかな回復基調で推移するなか、成熟期を迎えており、従来の問屋機能だけに依存したビジネスモデルでは、当社の企業価値を大幅に向上させていくことは困難になってきています。国内市場で大きな拡大・成長が期待できない状況下にあって、他社との競争に打ち勝ち、シェアを拡大していくには、当社の得意分野である生産財に重点をおいた品揃えを一層強化する一方、新成長分野への営業体制を構築していく必要があります。 ステンレス鋼その他金属材料の販売事業におきましては、平成28年以降、原料価格の値上がりやタイトな需給状況が継続したことから、ステンレス鋼市況は上伸基調で推移しました。そのような状況のなか、在庫販売に重点をおき市況上昇に応じた営業活動を展開した結果、営業利益は前連結会計年度に比べて減少となりました。当事業の課題は、コアビジネスである鋼板事業の収益改善であり、その為にコストを反映した販売価格を設定すること及び生産性を向上させることが必要であります。 ステンレス鋼その他金属加工製品の製造・販売事業につきましては、中国の造管事業におきまして主力の自動車関連向けが減少したものの、国内建築分野のステンレス加工品販売は引き続き好調に推移したため営業利益は好調に推移しております。当事業の課題は中国の造管事業において、顧客の裾野を広げることであり、既存顧客の深掘りに加え中国に進出する日系企業を中心に営業活動を展開し、新規需要家を開拓することが必要であります。 機械装置の製造・販売及びエンジニアリング事業におきましては、業績が安定せず財務基盤が脆弱な状態が継続しておりましたが、三期連続営業利益で黒字を計上しております。引き続き積極的な顧客開拓を実施し、安定した財務基盤を構築することが課題と認識しております。
当社企業集団といたしましては、海外子会社を含めた企業集団相互の連携を一層強化して、効率的な販売活動に注力するとともに、コーポレート・ガバナンスの強化とコンプライアンスの徹底により、経営の透明性を確保してまいります。
なお、当社企業集団は、今後の経営施策の実行にあたり、資本効率をはかる尺度としてROE並びにROAを参
考としつつ、経常利益の絶対額を経営指標として採用し中長期的な目標を定めることを検討してまいります。また
、キャッシュ・フローの充実にも注力していく所存であります。
会社の支配に関する基本方針について
当社は、会社の支配に関する基本方針を定め特定株主グループの株券等保有割合が20%以上となることを目的とする当社株券等の買付行為、又は結果として特定株主グループの株券等保有割合が20%以上となる当社株券等の買付行為(いずれについてもあらかじめ当社取締役会が同意したものを除く。以下、かかる買付行為を「大量買付行為」といい、かかる買付行為を行う者を「大量買付者」という。)への対応策(以下、本対応策という。)を導入しております。
● 株式会社の支配に関する基本方針
(1) 基本方針の内容
当社は、株式を上場している者として、市場における当社株式の自由な売買を認める以上、特定の者による当社株式の大量買付けであっても、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。また、当社株式の大量買付提案に応じるかどうかの判断は最終的に株主の意思に基づいて行われるべきものと考えております。しかしながら、株式の大量買付提案の中には、企業価値及び株主共同の利益を損なうおそれのあるものや、当社の企業価値を十分に反映しているとは言えないもの、あるいは株主が最終的な決定をされるために必要な情報が十分に提供されないものも少なくありません。当社としては、このような当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に資さない大量買付けを行う者は当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、そのような買付提案に対して、当社取締役会は、株主から負託された者の責務として、株主のために必要かつ十分な情報の確保や株式の大量買付けを行う者との交渉などを行う必要があると考えています。
(2) 基本方針の実現に資する取り組み
ステンレス流通業は、日本の経済成長が鈍化していくなか、成熟期を迎えており、従来の問屋機能だけに依存したビジネスモデルでは、当社の企業価値を大幅に向上させていくことは困難になってきています。当社では企業価値を高めていくために、次のような施策に取り組んでおります。
①加工分野を強化することにより、高付加価値商品・サービスの提供を更に充実させるため、レーザー切断機やフライス加工機などの最新鋭の機械・設備を導入し、当社の内製加工力を強化していく一方、社外の加工専門会社を適宜活用し、協同化を図っております。
②海外での展開としては、拡大する中国市場において当社の子会社の業容を拡大し、中国に進出する日系企業に加え、現地企業向けの販売・サービスの開拓にも注力しております。また、加工分野における高付加価値化を進めており、自動車関連向けを中心に積極的な営業を行っております。中国以外でも今後成長が見込まれる地域における事業展開の可能性の研究を進め、当社の果たせる役割の拡大を図っていきます。
③同業他社との差別化を図るため、取引先への提案営業を実践し、ソリューション機能を強化します。そのため、人事制度・社員教育を充実させ、優秀な人材の育成に努めます。
(3) 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、平成20年6月26日開催の第54回定時株主総会において当社株券等の大量買付行為への対応策(買収防衛策。以下、「旧対応策」といいます。)の導入を株主の皆様にご承認いただきました。その後、直近では平成26年6月20日開催の第60回定時株主総会において旧対応策に一部修正を行った上で継続することについて株主の皆様にご承認をいただいております。当社は、継続後における社会情勢・経済情勢の変化、買収防衛策をめぐる議論の動向を踏まえ、平成29年5月12日開催の取締役会において、内容に一部変更を加え継続することを決議(以下、継続後の対応策を「本対応策」といいます。)し、平成29年6月21日開催の第63回定時株主総会において、株主の皆様にご承認をいただきました。本対応策の概要は以下のとおりです。
① 本対応策の内容
a.本対応策の概要
本対応策は、当社株券等の大量買付行為が行われる場合に、株主が適切な判断をするために必要かつ十分な情報及び時間を確保するとともに、大量買付者との協議・交渉の機会を確保すること等を通じて、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保・向上させることを目的としています。
b. 独立委員会の設置
本対応策においては、対抗措置の発動にあたって当社取締役会の恣意的な判断を排除し、その客観性及び合理性を担保するために、当社取締役会から独立した組織として独立委員会を設置します。
② 本対応策の手続
a.本対応策の適用対象
本対応策は、以下の(a)又は(b)に該当する当社株券等の大量買付行為を行おうとする大量買付者に適用するものといたします(ただし、当社取締役会があらかじめ同意したものを除きます)。
(a) 当社が発行者である株券等について、保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付け
(b) 当社が発行者である株券等について、公開買付けに係る株券等の株券等所有割合及びその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付け
b. 大量買付者による買付意向表明書の提出及び当社取締役会に対する情報提供
大量買付者は、大量買付行為の開始に先立ち、大量買付行為の概要等を買付意向表明書にて当社取締役会に対して提出していただきます。当社取締役会は大量買付者より買付意向表明書を受領した日から10営業日以内に、大量買付者に対して大量買付行為にかかる買付内容を検討するのに必要な情報(以下、「本必要情報」といいます。)のリストを交付します。
当社取締役会は、大量買付者が提供した本必要情報を精査した結果、不十分であると合理的に認められる場合には、独立委員会の勧告を受け、大量買付者に対して、適宜合理的な期限を設定した上で(最初に本必要情報が提供された日から起算して60日を上限)、本必要情報が十分に揃うまで追加的に書面による情報提供を求めることがあります。
c. 当社取締役会による評価期間
当社取締役会は大量買付者より本必要情報の提供が完了した後、大量買付行為の難易度に応じて、60日間又は90日間を当社取締役会による評価、意見、交渉、代替案の作成及び対抗措置発動の適否を判断するための期間として設定し、大量買付者は当該評価期間が終了するまで大量買付行為を開始しないこととします。
d. 対抗措置の概要
大量買付者が本対応策に規定された手続を遵守しない場合や、大量買付行為により当社の企業価値及び株主共同の利益が毀損されるおそれがあると認められる場合には、当社は、新株予約権の無償割当て、会社法その他の法令もしくは当社定款によって認められる対抗措置をとることがあります。
e. 株主総会における決議
当社取締役会は、独立委員会が買付内容等を考慮の上、対抗措置の発動につき株主総会の招集を勧告した場合には、速やかに株主総会を招集し、対抗措置発動に関する議案を当該株主総会に付議するものとし、対抗措置発動の決議がなされた場合には、株主総会の決議に従うものとします。大量買付者は株主総会の決議がなされるまでの間、買付を実行してはならないものとします。
③ 本対応策の有効期間、廃止及び変更
本対応策の有効期間は、令和2年6月開催予定の当社定時株主総会の終結時までとします。ただし、本対応策の継続後、有効期間の満了前であっても、当社株主総会において本対応策を廃止する旨の議案が承認された場合、または当社取締役会において本対応策を廃止する旨の決議がなされた場合には、本対応策はその時点で廃止されるものとします。
(4) 本対応策が基本方針に沿い、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと及びその理由
本対応策は、以下の理由により、上記(1)の基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
① 買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
本対応策は、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則を完全に充足しており、企業価値研究会が平成20年6月30日に発表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」、また株式会社東京証券取引所が平成27年6月1日に発表した「コーポレートガバナンス・コード」における「原則1-5.いわゆる買収防衛策」の定めも踏まえたものです。
② 企業価値及び株主共同の利益の確保・向上させる目的をもって継続されていること
本対応策は、当社株券等に対する大量買付行為がなされた際に、株主が当該買付行為に応じるべきか否かを適切に判断するために必要かつ十分な情報及び時間、並びに大量買付者との協議・交渉の機会を確保し、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保・向上させるという目的をもって継続されるものです。
③ 株主の意思を重視するものであること
本対応策は、株主総会における株主からの承認をもって継続され、有効期間を約3年間とするいわゆるサンセット条項が付されております。さらに、有効期間の満了前であっても、当社取締役会において廃止する旨の決議が行われた場合、その時点で廃止されるものとします。このため、本対応策の継続、廃止及び対抗措置発動の際に株主総会が開催される場合には、株主の意向が反映されるものとなっています。
④ デッドハンド型やスローハンド型の買収防衛策ではないこと
本対応策は、いわゆるデッドハンド型買収防衛策やスローハンド型買収防衛策でもありません。
⑤ 独立性の高い社外者による判断の重視
本対応策は、対抗措置の発動にあたって当社取締役会の恣意的な判断を排除し、その客観性及び合理性を担保するために当社取締役会から独立した組織として独立委員会が設置されています。
⑥ 客観的発動要件の設定
本対応策は、予め定められた合理的な客観的要件が充足されなければ対抗措置が発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みが確保されています。