有価証券報告書-第114期(2025/04/01-2026/03/31)
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.サステナビリティ全般に関する考え方
(1)ガバナンス
当社グループは、社是である「終始一誠意」を規範とし、新しい価値の創造とグローバルな挑戦を行い、人々の生活に喜びを与え、豊かな社会の実現に貢献していくことを定めた「経営理念」に基づいてサステナビリティを意識した経営を行っています。法令や社会規範を守り、業務を有効かつ効率的に行い、財務報告の信頼性を確保しながら、取締役会を戦略決定機関及び業務監督機関と位置づけ、コーポレート・ガバナンスの強化に努めています。
サステナビリティ推進体制
代表取締役を委員長とした「サステナビリティ委員会」を当社のサステナビリティ方針に基づき設置しております。また、ステークホルダーの期待や要請に対応するために特定した重点課題(マテリアリティ)の解決及びコンプライアンスのさらなる徹底に資する事業活動を推進するために、同委員会傘下に具体的な施策の検討・推進を担う下部組織として4つのワーキンググループ(環境、社会、ガバナンス、SDGs推進)を設け、課題の解決並びに未然防止に取り組んでおります。傘下のワーキンググループの活動状況は、サステナビリティ委員会において報告を受けて指導・改善を図るとともに、各グループ会社との連携の強化を図っており、必要に応じて経営会議、取締役会等の会議体において決裁する体制をとっております。
サステナビリティ推進体制図

(2)リスク管理
リスク管理規程の制定
当社グループは、当社グループの経営活動に潜在するリスクを特定し、平常時よりリスクの低減と危機管理に努めるとともに、当社グループの経営活動に重大な影響を及ぼす恐れのある危機発生時の体制を定め、迅速かつ的確な対応をとり、事態の拡大防止及び速やかな収拾・正常化を図ることを目的として、リスク管理委員会とリスク管理規程を定め、運用しております。
サステナビリティ委員会では、当社グループを取り巻く環境を踏まえたサステナビリティに関する課題が報告され、サステナビリティ関連のリスクを幅広く特定しています。そこで特定したリスクについては、発生可能性と、実際に発生した際に当社グループにもたらす損害のインパクトの二軸で評価し、各リスクの重要度を決定します。重要と判断したリスクに関しては経営会議及び取締役会へ報告する体制をとっています。また、重要と判断されたサステナビリティ関連のリスクについては、サステナビリティ委員会において目標の設定や進捗管理を行い、定期的に取締役会へ報告することで定期的なリスクのモニタリングを実施し、対応状況の評価や重要リスクの見直しにつなげています。さらに、サイバーセキュリティ及びデータセキュリティに係るリスクについては、リスク管理委員会において報告されたリスク及び機会を識別し、その管理方法を定め、各部門に適切な助言を行っております。重要なものについては経営会議に報告するとともに、定期的に取締役会に活動状況を報告し、全社的なリスクマネジメントの一環として検討しております。従業員の安全衛生等に関するリスクについては、定期実施しているストレスチェックや健康診断の結果、エンゲージメント・サーベイの結果などからリスクを特定し、安全衛生委員会で対応目標を定め、対応状況の進捗管理を行っております。従業員の腐敗防止・贈収賄防止策に関しては、各種コンプライアンス研修の実施、外部の第三者である弁護士を窓口とする内部通報窓口の設置などのリスク低減策を実施しております。
(3)戦略
当社グループは、中期経営計画2026において中核事業である繊維事業の競争力強化に加え、社会課題解決への貢献を重視しています。当社グループのサステナビリティを実現していくためのテーマとして、グループ全体で優先的に取り組む社会課題として17の重要課題を特定しました。これらの特定は、サステナビリティ委員会の前身となるSDGs推進事務局が中心となり、当社事業や活動をSDGsの17目標169ターゲットと紐づけ棚卸しを行いました。また、主要ステークホルダーへのアンケート調査や内部ヒアリングを通じて優先度の高いリスクと機会を特定しました。最終的に、役員の承認を経てこれらの重要課題が決定され、それぞれの重要課題に対応する成果指標・数値目標を定め、その一部を外部公開しています。
これらのマテリアリティは、「持続可能な企業であるための環境改善」、「持続可能な未来のために環境問題を解決」、「未来のライフスタイルへの提案」、「企業の社会的責任」という4つの要素により構成されています。当社はマテリアリティの特定と対応を通じて、持続可能な社会の実現に貢献します。
マテリアリティ一覧

ヤギグループサステナビリティ方針
(基本理念)
第1条 ヤギグループは、社是「終始一誠意」に基づく経営理念および「VISION」を指針とし、あらゆるステークホルダーとの公正な関係構築を通じて、持続可能な社会の発展に貢献することをサステナビリティ活動の基本理念とする。
(基本方針)
第2条 前条の理念に基づき、以下の通り方針を定める。
特定した重要課題(マテリアリティ)に対し、これまでに培ってきたノウハウやネットワークを結集させ、ステークホルダーの皆様と協働を通じて、その解決を図る。
事業活動を通じて、より良い未来に向けた持続可能な社会づくりに貢献するとともに、ヤギグループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指す。
(行動規範)
第3条 ヤギグループの行動指針を以下のとおり定める。
本行動規範は、「世界人権宣言」、「国際労働機関 (ILO) の中核的労働基準」、「国際ビジネスと人権に関する指導原則」などの国際的な原則や宣言を基盤としている。
人権・労働
ヤギグループは、すべての従業員の基本的人権を尊重し、健全な労働環境を確保する。ヤギグループは、事業活動において人権への負の影響を特定し、防止・軽減し、対処する責任を果たすため、人権デュー・ディリジェンスを継続的に実施する。
(1)結社の自由と団体交渉権の尊重
従業員の結社の自由と団体交渉権を尊重する。
(2)差別・ハラスメントの禁止
職場でのあらゆるハラスメントや差別を禁止し、仲間同士がたたえ合い、健康でイキイキと働く環境構築に取り組む。
(3)強制労働・児童労働の禁止
強制労働の禁止、児童労働の禁止及び若年者労働に関する関係法令を遵守する。
(4)意見及び表現の自由の尊重
従業員が、報復を恐れることなく、ハラスメントや差別の問題、その他の懸念を表明できる環境を整備し、意見及び表現の自由を尊重する。
(5)安全・衛生と健康の配慮
職場の安全と衛生を確保し、健康に配慮した職場環境を追求する。
公正かつ倫理的な事業活動
ヤギグループは、各国・地域の法令や条例、規則、自発的な業界基準を遵守し、高い倫理観をもって事業活動を行う。
(1)公正な取引
「独占禁止法」や「取適法」などの関連法令を遵守し、優越的地位の濫用を禁止し、公正かつ透明性ある取引を確保する。
(2)贈収賄・汚職の禁止
汚職・腐敗行為、不当な利益供与や受領を禁止する。
(3)知的財産権の尊重
他者が保有する特許権、商標権、著作権、営業機密などの知的財産権を尊重し、侵害しない。
(4)反社会的勢力の排除
市民社会の秩序や安全を脅かす反社会的勢力および団体とは、一切関係を持たない。
環境保全への貢献
地球環境の保全が人類共通の重要課題であることを認識し、資源循環、温室効果ガスの排出削減など、持続可能な社会の実現に貢献する。
情報管理と開示
当社グループは、情報の適切な管理と透明性の高い情報開示を行う。
(1)情報セキュリティ
機密情報及び個人情報は正当な方法で入手するとともに、厳重に管理・保管し、適切な範囲で利用する。
(2)株主・投資家への責任
法令に基づき、会社情報を適時かつ公正に開示し、経営の透明性を高め、株主・投資家との建設的な対話に努める。
サプライチェーンにおける責任
ヤギグループの行動規範をサプライチェーン全体に広げ、人権・労働、環境、倫理に関する責任ある調達・取引を推進する。
地域社会との調和
良き企業市民として、社会との調和を図り、地域社会の発展に貢献する。
(1)地域社会との連携
事業を通じて地域発展のために貢献できるよう努力する。また、顧客、取引先、従業員といった多様なステークホルダーの皆様との建設的な対話(エンゲージメント)を通じて、企業の社会的責任を果たす。
(2)安心・安全な製品の提供
安心・安全な製品の生産を目指し、品質と安全性の確保に努める。
コンプライアンス体制
本行動規範の実効性を確保するため、以下の体制を整備する。
(1)違反行為への対応
本行動規範に反する事態が発生した場合は、速やかに是正措置を講じるとともに、原因を究明し再発防止に努める。
(2)相談・通報窓口の整備
本行動規範に関する疑問や違反行為について相談・通報できる社内および社外の窓口を設置し、公正かつ適切に対応する。 通報者に対しては、不利益な取り扱いを行わない。
(4)指標及び目標
当社グループは、サステナビリティへの対応を継続課題として認識し、中期経営計画2026「Heritage to the future」の重点戦略の一つに掲げる「ESG戦略」の実現に向けて、成果指標・数値目標を設定し取り組みを進めています。目標の進捗は以下の通りです。
[成果指標一覧表]
※上記成果指標は、当社単体での活用内容です。
※これらのマテリアリティと成果指標は、事業環境や社会情勢の変化に応じて定期的に見直しを行います。
2.気候変動への対応
気候変動は持続可能な社会の実現に向け対応不可欠な重要テーマであり、当社にとっても経営上の重要課題の一つです。その影響は原材料の供給や物流など多岐にわたり、持続可能な事業運営と競争力の維持のため積極的な環境対応が求められると想定されます。この認識に基づき、当社ではTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿った情報開示をいたします。透明性の高い開示を通じて、ステークホルダーとの信頼構築と企業価値の向上を目指します。
<ガバナンス>当社及び当社グループでは、気候変動を含む環境課題に関するリスク・機会、目標や具体的な取り組み施策に対しては、社長執行役員がその責任を担い体制の管理と統括を行っています。
環境関連の社内体制としましては、気候変動対応を含む重要課題(マテリアリティ)の解決及びコンプライアンスのさらなる徹底に資する事業活動の推進を目的として「サステナビリティ委員会」を設置しています。委員長を社長執行役員とし、コーポレート本部長、各本部長及び、各本部長から選任された事業部長並びにグループ会社の代表取締役社長を構成員として運営しています。原則として1年に1回開催し、必要と認めるときに随時開催されます。
サステナビリティ委員会には具体的な施策の検討・推進を担う下部組織として4つのワーキンググループ(環境、社会、ガバナンス、SDGs推進)があります。
これらのワーキンググループは、相互に連携を図りながら、サステナビリティ委員会に対して定期的に活動報告を行い、全社的な環境課題を含めたサステナビリティ戦略の実現に寄与しています。
サステナビリティ委員会で検討された気候変動関連の取り組み状況は取締役会へ報告されます。取締役会は気候変動対応の監督機関として、気候変動課題を含めた重要課題に関し目標や指標のモニタリング、戦略への反映、審議内容についての承認を行っています。報告は定期的に行うこととしており、重要な業務執行については、適時経営会議等で方向性や諸施策を審議し、取締役会で審議・決定しています。
<リスク管理>当社グループでは、 サステナビリティ委員会が気候変動を含むリスクの識別、評価、管理の一連のプロセスを主導しています。リスクの識別及び評価に際しては、各部門からの報告を集約するほか、シナリオ分析の手法を活用し、その報告及び分析結果から重点課題を特定しています。
具体的なプロセスに関しては、報告や分析から洗い出された課題事項を定量分析結果や関連する経済活動の大きさ(仕入額や売上高)、リスクの発生想定時期、事業ごとの影響度評価を踏まえて重みづけを行っております。特定されたリスクは必要に応じ対応策の検討や目標設定を実施し、また、定期的にその見直しを行うことでリスクの防止、回避、もしくは影響の緩和を図っています。
また、当社では全社的なリスクマネジメント体制との統合を図ることを目的として、現在、サステナビリティ委員会とリスク管理委員会の連携体制を整えております。
リスク管理委員会は、各部門及びグループ会社におけるリスク情報を集約し、全社的視点での評価・分析を行う組織として設置しており、気候変動を含めた広範なリスクを審議対象としています。サステナビリティ委員会では、気候変動を含むESG課題などの広範な各種リスクの重要度や影響度を踏まえて優先課題を特定し、必要に応じて経営資源の配分や方針の見直しといった具体的な対応策を講じることで、リスクを適切に管理しています。
これらの気候変動課題を含む決定事項についてはサステナビリティ委員会とリスク管理委員会より協議された後に取締役会をはじめとする上位会議体に報告され、各課題に関してのモニタリングや戦略への反映、審議内容についての承認が行われています。
<戦略>当社では、気候変動が事業において将来及ぼす可能性のある影響を把握し、事業戦略に織り込むことを目的としてシナリオ分析を実施しています。
2025年実施のシナリオ分析実施における前提条件として、気候変動のリスクと機会を網羅的に把握するため、外部機関が公表する複数のシナリオを用いて「地球の平均気温が産業革命前の水準より4℃以上高くなる世界観」と、「パリ協定のもと、地球温暖化を1.5℃以内に抑える世界観」の2つを想定しました。また時間軸については、短期を財務諸表報告期間である「1年」、中期を中期経営計画の期間とする「3年」、それ以降の「4年以上」を長期として整理いたしました。また、考察にあたり使用したシナリオの詳細は以下となります。

リスクの重要度を評価するにあたって実施したシナリオ分析の概要は以下となります。
〇4℃の世界観
現状の規制が続き、温暖化の影響がより顕著になる世界を想定しています。当社グループは商社機能が主であり、サプライチェーンにおいて横断的な影響が想定されます。取引先様の製品生産の遅延や停止、物流拠点の被災や店舗の営業が困難になるなどの間接的な被害も含め、異常気象による洪水等の災害による影響が最も大きくなることが懸念されます。また、上流工程においては天然繊維の素材ごとに干ばつをはじめとした農作物の品質・収量低下や染色工程における取水制限など、資源に対する影響も想定されます。こうした影響がより頻繁かつ深刻化した場合、損害対応や取引先の業績悪化による財務リスクが高まる可能性があります。これらの想定リスクに対しましては、現在自社のBCP対策やサプライチェーンへの情報収集等を実施しており、今後さらにそれらの活動を強化していく方針です。
〇1.5℃の世界観
パリ協定に基づく1.5℃目標の達成に向けて、政府による新たな政策や規制の強化、市場の脱炭素化の促進などが想定される世界観です。
当社グループでは主にカーボンプライシング制度の導入やサプライチェーン排出量による追加的な支出が予想されます。また、素材のバイオマス化やリサイクル対応、廃棄物低減に関しても規制が進むことで、対応費用の増加も想定されます。一方でサステナブル志向の高まりによる新規顧客獲得の機会や、新素材の積極的な導入などの企業イメージ向上など、ビジネスチャンスとなりうる事項も想定されます。
これらのリスク・機会に関しましては、資源循環対応促進のための修理事業や、環境配慮製品の積極的な開発、パリ協定に賛同しファッション産業における企業連携を目指すジャパンサステナブルファッションアライアンスへの参画など、自社にとどまらずサプライチェーン全体を意識した対応を進めております。既存取り組みの強化だけでなく、シナリオ分析結果をもとにした新しい施策の検討も行っております。
各想定における当社グループのリスクと機会に対しては、「適応」と「緩和」の両面から対応の必要性を認識しており、当社ホームページに掲載している「リスク機会一覧表」に示す通り、個別の対策についても検討・実施を進めています。各項目についての詳細は当社ホームページをご覧ください。
GHG排出量測定
当社は、GHG排出量算定・可視化クラウドサービスを提供する株式会社ゼロボードとの協働により、GHG排出量の算定対象範囲、算定方法等についてGHGプロトコルに則り検討を重ねてきましたが、今回算定・推定したGHG排出量は次のとおりです。なお、温室効果ガスはすべてCO2(二酸化炭素)に換算しています。
(単位:t-CO2)
スコープ1、2 株式会社ヤギ 国内グループ会社
※2025年度より国内グループ会社を含めています。
スコープ3 株式会社ヤギ単体のサプライチェーン排出量(カテゴリ1~8に伴う排出)
※数値は小数点以下を四捨五入しているため、合計が合わない場合がございます。
3.人的資本・多様性に関する考え方及び取組
(1)人的資本・多様性に関する「ガバナンス」と「リスク管理」
当社グループの人材戦略に関しては、経営戦略の実現に必要なサステナビリティ全般の重要課題と連携しながら、取組方針及び成果指標・数値目標を策定するためのプロジェクトを進行させています。代表取締役社長執行役員が本プロジェクトオーナーを務め、各重要課題に大きく関わる部門の管掌本部長がチームリーダーとなって部門横断で社員が参画し、多角的な視点で検討を進めています。
(2)人的資本・多様性に関する「戦略」と「指標及び目標」
当社グループの人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は下記のとおりであり、中期経営計画2029において、人材の育成を中心とした人材戦略を基本戦略の一つとして以下の事に取り組んでまいります。
なお、「指標及び目標」については、「1.サステナビリティ全般に関する考え方(4)指標及び目標」をご参照ください。また、管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異については、「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等」に記載しております。
① 人材の質と量を中長期的に維持・向上できる仕組みづくり
企業の持続的な成長を支えるのは人材であるという考えのもと、活躍人材を継続的に創出するため、社内のハイパフォーマーの行動特性や思考プロセスをデータに基づき分析・モデル化していきます。この分析結果を起点として、ポテンシャル人材の採用、研修プログラムの最適化、それぞれの強みが発揮される戦略的配置へと一気通貫したタレントマネジメントを展開していきます。また、DXの推進やAIの活用等の急激な環境変化に対応するため、社員の自律的な学び直し(リスキリング)を支援し、多様なバックグラウンドを持つ人材の専門性の高度化を図っています。
② 長期的な競争優位性を実現させる組織力のステップアップ
当社グループは、競争激化する市場環境において、長期的な競争優位性を確保するために、組織力のステップアップに力を入れています。グループ横断での情報共有やコミュニケーションの促進、人材交流、意思決定の迅速化などを通じて、迅速な変化に対応し、イノベーションを推進する組織文化を構築してまいります。
③ チャレンジできる環境整備
当社グループでは、従業員が自らチャレンジできる環境整備を重視しています。積極的なアイデア出しや新しい取り組みへの参加を奨励し、フラットな組織風土を醸成しています。当社では意見交換や情報共有を促進するコミュニケーションプラットフォームの導入など、社内コミュニケーションの円滑化にも力を入れており、今後グループ各社の実情に合わせた展開を検討してまいります。
④ 働きやすい環境整備
当社グループでは、性別や年齢、国籍、障害の有無、ライフイベント等に関わらず、多様な人材が安心して働き続けられる環境づくりを重視しています。当社では場所や時間にとらわれない柔軟な労働制度の導入やワークライフバランスの推進、職場環境の改善などを通じて、従業員の働きやすさと生産性の向上を追求しています。
⑤ 人事制度の刷新
当社では、2024年度より人事制度を刷新しました。役割の明確化や評価の納得性向上、報酬体系の見直しなどを通じて、従業員一人ひとりが成長実感とチャレンジ意欲を育むことができる仕組みを目指しています。制度刷新により、従業員のエンゲージメントを高め、組織マネジメント力の強化を図っていくとともに、グループ横断での人材活用やグループ横断型研修の実施検討等、グループ内のノウハウや経験・情報共有化の動きを進めてまいります。
⑥ 健康経営の実践
当社は、「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)」の認定を受けました。昨年に引き続き4年連続の認定となります。今後も従業員及びその家族の健康管理・維持増進に注力してまいります。定期的な健康診断の実施やストレスチェックの導入、健康教育プログラムの提供、イベントの企画などを通じて、従業員の健康状態の管理と改善を支援しています。健康な従業員の確保は、生産性の向上及び労働力の安定確保に繋がるとの考えのもと、今後グループ各社の実情に合わせた展開を検討してまいります。
⑦ ダイバーシティ環境整備
当社グループでは多様性こそが商社の競争力の源泉と捉え、ダイバーシティ&インクルージョンの実現とその環境整備に力を入れています。多様な人材の活用や、2022年度から2025年度の4年連続でのハラスメント防止のための教育・啓蒙活動などを通じて、互いを讃え合う文化風土の醸成を継続することで、全ての従業員が公平かつ平等な待遇を受けられる環境づくりに取り組んでまいります。
(注)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (3)従業員の状況 ⑤ 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.サステナビリティ全般に関する考え方
(1)ガバナンス
当社グループは、社是である「終始一誠意」を規範とし、新しい価値の創造とグローバルな挑戦を行い、人々の生活に喜びを与え、豊かな社会の実現に貢献していくことを定めた「経営理念」に基づいてサステナビリティを意識した経営を行っています。法令や社会規範を守り、業務を有効かつ効率的に行い、財務報告の信頼性を確保しながら、取締役会を戦略決定機関及び業務監督機関と位置づけ、コーポレート・ガバナンスの強化に努めています。
サステナビリティ推進体制
代表取締役を委員長とした「サステナビリティ委員会」を当社のサステナビリティ方針に基づき設置しております。また、ステークホルダーの期待や要請に対応するために特定した重点課題(マテリアリティ)の解決及びコンプライアンスのさらなる徹底に資する事業活動を推進するために、同委員会傘下に具体的な施策の検討・推進を担う下部組織として4つのワーキンググループ(環境、社会、ガバナンス、SDGs推進)を設け、課題の解決並びに未然防止に取り組んでおります。傘下のワーキンググループの活動状況は、サステナビリティ委員会において報告を受けて指導・改善を図るとともに、各グループ会社との連携の強化を図っており、必要に応じて経営会議、取締役会等の会議体において決裁する体制をとっております。
サステナビリティ推進体制図

(2)リスク管理
リスク管理規程の制定
当社グループは、当社グループの経営活動に潜在するリスクを特定し、平常時よりリスクの低減と危機管理に努めるとともに、当社グループの経営活動に重大な影響を及ぼす恐れのある危機発生時の体制を定め、迅速かつ的確な対応をとり、事態の拡大防止及び速やかな収拾・正常化を図ることを目的として、リスク管理委員会とリスク管理規程を定め、運用しております。
サステナビリティ委員会では、当社グループを取り巻く環境を踏まえたサステナビリティに関する課題が報告され、サステナビリティ関連のリスクを幅広く特定しています。そこで特定したリスクについては、発生可能性と、実際に発生した際に当社グループにもたらす損害のインパクトの二軸で評価し、各リスクの重要度を決定します。重要と判断したリスクに関しては経営会議及び取締役会へ報告する体制をとっています。また、重要と判断されたサステナビリティ関連のリスクについては、サステナビリティ委員会において目標の設定や進捗管理を行い、定期的に取締役会へ報告することで定期的なリスクのモニタリングを実施し、対応状況の評価や重要リスクの見直しにつなげています。さらに、サイバーセキュリティ及びデータセキュリティに係るリスクについては、リスク管理委員会において報告されたリスク及び機会を識別し、その管理方法を定め、各部門に適切な助言を行っております。重要なものについては経営会議に報告するとともに、定期的に取締役会に活動状況を報告し、全社的なリスクマネジメントの一環として検討しております。従業員の安全衛生等に関するリスクについては、定期実施しているストレスチェックや健康診断の結果、エンゲージメント・サーベイの結果などからリスクを特定し、安全衛生委員会で対応目標を定め、対応状況の進捗管理を行っております。従業員の腐敗防止・贈収賄防止策に関しては、各種コンプライアンス研修の実施、外部の第三者である弁護士を窓口とする内部通報窓口の設置などのリスク低減策を実施しております。
(3)戦略
当社グループは、中期経営計画2026において中核事業である繊維事業の競争力強化に加え、社会課題解決への貢献を重視しています。当社グループのサステナビリティを実現していくためのテーマとして、グループ全体で優先的に取り組む社会課題として17の重要課題を特定しました。これらの特定は、サステナビリティ委員会の前身となるSDGs推進事務局が中心となり、当社事業や活動をSDGsの17目標169ターゲットと紐づけ棚卸しを行いました。また、主要ステークホルダーへのアンケート調査や内部ヒアリングを通じて優先度の高いリスクと機会を特定しました。最終的に、役員の承認を経てこれらの重要課題が決定され、それぞれの重要課題に対応する成果指標・数値目標を定め、その一部を外部公開しています。
これらのマテリアリティは、「持続可能な企業であるための環境改善」、「持続可能な未来のために環境問題を解決」、「未来のライフスタイルへの提案」、「企業の社会的責任」という4つの要素により構成されています。当社はマテリアリティの特定と対応を通じて、持続可能な社会の実現に貢献します。
マテリアリティ一覧

ヤギグループサステナビリティ方針
(基本理念)
第1条 ヤギグループは、社是「終始一誠意」に基づく経営理念および「VISION」を指針とし、あらゆるステークホルダーとの公正な関係構築を通じて、持続可能な社会の発展に貢献することをサステナビリティ活動の基本理念とする。
(基本方針)
第2条 前条の理念に基づき、以下の通り方針を定める。
特定した重要課題(マテリアリティ)に対し、これまでに培ってきたノウハウやネットワークを結集させ、ステークホルダーの皆様と協働を通じて、その解決を図る。
事業活動を通じて、より良い未来に向けた持続可能な社会づくりに貢献するとともに、ヤギグループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指す。
(行動規範)
第3条 ヤギグループの行動指針を以下のとおり定める。
本行動規範は、「世界人権宣言」、「国際労働機関 (ILO) の中核的労働基準」、「国際ビジネスと人権に関する指導原則」などの国際的な原則や宣言を基盤としている。
人権・労働
ヤギグループは、すべての従業員の基本的人権を尊重し、健全な労働環境を確保する。ヤギグループは、事業活動において人権への負の影響を特定し、防止・軽減し、対処する責任を果たすため、人権デュー・ディリジェンスを継続的に実施する。
(1)結社の自由と団体交渉権の尊重
従業員の結社の自由と団体交渉権を尊重する。
(2)差別・ハラスメントの禁止
職場でのあらゆるハラスメントや差別を禁止し、仲間同士がたたえ合い、健康でイキイキと働く環境構築に取り組む。
(3)強制労働・児童労働の禁止
強制労働の禁止、児童労働の禁止及び若年者労働に関する関係法令を遵守する。
(4)意見及び表現の自由の尊重
従業員が、報復を恐れることなく、ハラスメントや差別の問題、その他の懸念を表明できる環境を整備し、意見及び表現の自由を尊重する。
(5)安全・衛生と健康の配慮
職場の安全と衛生を確保し、健康に配慮した職場環境を追求する。
公正かつ倫理的な事業活動
ヤギグループは、各国・地域の法令や条例、規則、自発的な業界基準を遵守し、高い倫理観をもって事業活動を行う。
(1)公正な取引
「独占禁止法」や「取適法」などの関連法令を遵守し、優越的地位の濫用を禁止し、公正かつ透明性ある取引を確保する。
(2)贈収賄・汚職の禁止
汚職・腐敗行為、不当な利益供与や受領を禁止する。
(3)知的財産権の尊重
他者が保有する特許権、商標権、著作権、営業機密などの知的財産権を尊重し、侵害しない。
(4)反社会的勢力の排除
市民社会の秩序や安全を脅かす反社会的勢力および団体とは、一切関係を持たない。
環境保全への貢献
地球環境の保全が人類共通の重要課題であることを認識し、資源循環、温室効果ガスの排出削減など、持続可能な社会の実現に貢献する。
情報管理と開示
当社グループは、情報の適切な管理と透明性の高い情報開示を行う。
(1)情報セキュリティ
機密情報及び個人情報は正当な方法で入手するとともに、厳重に管理・保管し、適切な範囲で利用する。
(2)株主・投資家への責任
法令に基づき、会社情報を適時かつ公正に開示し、経営の透明性を高め、株主・投資家との建設的な対話に努める。
サプライチェーンにおける責任
ヤギグループの行動規範をサプライチェーン全体に広げ、人権・労働、環境、倫理に関する責任ある調達・取引を推進する。
地域社会との調和
良き企業市民として、社会との調和を図り、地域社会の発展に貢献する。
(1)地域社会との連携
事業を通じて地域発展のために貢献できるよう努力する。また、顧客、取引先、従業員といった多様なステークホルダーの皆様との建設的な対話(エンゲージメント)を通じて、企業の社会的責任を果たす。
(2)安心・安全な製品の提供
安心・安全な製品の生産を目指し、品質と安全性の確保に努める。
コンプライアンス体制
本行動規範の実効性を確保するため、以下の体制を整備する。
(1)違反行為への対応
本行動規範に反する事態が発生した場合は、速やかに是正措置を講じるとともに、原因を究明し再発防止に努める。
(2)相談・通報窓口の整備
本行動規範に関する疑問や違反行為について相談・通報できる社内および社外の窓口を設置し、公正かつ適切に対応する。 通報者に対しては、不利益な取り扱いを行わない。
(4)指標及び目標
当社グループは、サステナビリティへの対応を継続課題として認識し、中期経営計画2026「Heritage to the future」の重点戦略の一つに掲げる「ESG戦略」の実現に向けて、成果指標・数値目標を設定し取り組みを進めています。目標の進捗は以下の通りです。
[成果指標一覧表]
| ESG | マテリアリティ | アクションプラン | 2024年度実績 | 2025年度実績 | 中長期目標 | SDGsゴール | |
| 目標値 | 目標年 | ||||||
| E | ⑨産地の活性化 ⑩持続可能な資源の有効活用 | 糸・生地での環境配慮型素材の販売量増加 | 9.4% | 13% | 15% | 2026 | 11.住み続けられる街づくりを 12.作る責任 使う責任 17.パートナーシップで目標を達成しよう |
| 糸・生地の環境配慮型素材の使用率を50%まで引き上げ | 9.4% | 13% | 15% | 12.作る責任 使う責任 | |||
| ⑪サーキュラーエコノミーの実現 | サーキュラーエコノミーに関する取り組み件数の増加、ファッションロス削減 | 3件/年 | 1件/年 | 2件 | 2026 | 12.作る責任 使う責任 13.気候変動に具体的な対策を | |
| ⑫サプライチェーン全体での温室効果ガスの排出削減 | 当社グループ全体で使用する電力の再エネ利用率 | 9% | 11% | 40% | 13.気候変動に具体的な対策を | ||
| ⑬パートナーシップで業界特有の課題解決 ⑭DXの推進 ⑮新技術の開発/研究への検討 | パートナーシップの取り組み件数増加 | 3件 | 1件 | 3件(社) | 2026 | 17.パートナーシップで目標を達成しよう | |
| 企業・大学等との環境対応型商品・サービスの研究・開発案件数の増加 | 2件/年 | 1件/年 | 2件 | 9.産業と技術革新の基盤をつくろう 17.パートナーシップで目標を達成しよう | |||
| S | ③若手社員の働きがいの向上 | ストレスチェックにおけるワークエンゲージメント指標の改善 | 49.6pt | 50.9pt | 50pt (業界平均) | 2030 | 4.質の高い教育をみんなに 5.ジェンダー平等を実現しよう 8.働きがいも経済成 |
| ④多様な働き方の推進 ⑥女性のリーダーシップ機会の確保 ⑦女性が働き続けられる労働環境の整備 | 管理職層の女性比率 | 7.7% | 8.1% | 10% | 2026 | 3.すべての人に健康と福祉を 5.ジェンダー平等を実現しよう 8.働きがいも経済成長も | |
| 男性の育休取得率の向上 | 63% | 100% | 50% | 4.質の高い教育をみんなに 5.ジェンダー平等を実現しよう 8.働きがいも経済成長も | |||
| G | ⑧取引先の人権侵害の防止 ⑰サプライチェーンマネジメントの推進 | 「持続可能な調達アンケート」の実施 | 316社 | 368社 | サインバック率:100% | 2026 | 16.平和と公正をすべての人に 17.パートナーシップで目標を達成しよう |
| アンケート結果に基づいた工場監査の実施 | 50件 | 50件 | 30件 | ||||
| ⑯コーポレート・ガバナンスの強化 | ESGレポートの作成と開示 | サステナビリティ委員会の設置 | サステナビリティ委員会の設置と年度中に8回の委員会を開催 | 開示初年度は2026年3月期目標 | 2026 | 16.平和と公正をすべての人に | |
| 脱炭素関連開示業務とそのマネジメント | CDP質問書へ回答 | ・TCFD提言に基づく開示 ・CDP回答のスコア向上(C+) ・大阪本社の使用電力を再エネに切り替え | 脱炭素関連イニシアティブへの賛同(TCFD/CDP) | 2026 |
※上記成果指標は、当社単体での活用内容です。
※これらのマテリアリティと成果指標は、事業環境や社会情勢の変化に応じて定期的に見直しを行います。
2.気候変動への対応
気候変動は持続可能な社会の実現に向け対応不可欠な重要テーマであり、当社にとっても経営上の重要課題の一つです。その影響は原材料の供給や物流など多岐にわたり、持続可能な事業運営と競争力の維持のため積極的な環境対応が求められると想定されます。この認識に基づき、当社ではTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿った情報開示をいたします。透明性の高い開示を通じて、ステークホルダーとの信頼構築と企業価値の向上を目指します。
<ガバナンス>当社及び当社グループでは、気候変動を含む環境課題に関するリスク・機会、目標や具体的な取り組み施策に対しては、社長執行役員がその責任を担い体制の管理と統括を行っています。
環境関連の社内体制としましては、気候変動対応を含む重要課題(マテリアリティ)の解決及びコンプライアンスのさらなる徹底に資する事業活動の推進を目的として「サステナビリティ委員会」を設置しています。委員長を社長執行役員とし、コーポレート本部長、各本部長及び、各本部長から選任された事業部長並びにグループ会社の代表取締役社長を構成員として運営しています。原則として1年に1回開催し、必要と認めるときに随時開催されます。
サステナビリティ委員会には具体的な施策の検討・推進を担う下部組織として4つのワーキンググループ(環境、社会、ガバナンス、SDGs推進)があります。
これらのワーキンググループは、相互に連携を図りながら、サステナビリティ委員会に対して定期的に活動報告を行い、全社的な環境課題を含めたサステナビリティ戦略の実現に寄与しています。
サステナビリティ委員会で検討された気候変動関連の取り組み状況は取締役会へ報告されます。取締役会は気候変動対応の監督機関として、気候変動課題を含めた重要課題に関し目標や指標のモニタリング、戦略への反映、審議内容についての承認を行っています。報告は定期的に行うこととしており、重要な業務執行については、適時経営会議等で方向性や諸施策を審議し、取締役会で審議・決定しています。
<リスク管理>当社グループでは、 サステナビリティ委員会が気候変動を含むリスクの識別、評価、管理の一連のプロセスを主導しています。リスクの識別及び評価に際しては、各部門からの報告を集約するほか、シナリオ分析の手法を活用し、その報告及び分析結果から重点課題を特定しています。
具体的なプロセスに関しては、報告や分析から洗い出された課題事項を定量分析結果や関連する経済活動の大きさ(仕入額や売上高)、リスクの発生想定時期、事業ごとの影響度評価を踏まえて重みづけを行っております。特定されたリスクは必要に応じ対応策の検討や目標設定を実施し、また、定期的にその見直しを行うことでリスクの防止、回避、もしくは影響の緩和を図っています。
また、当社では全社的なリスクマネジメント体制との統合を図ることを目的として、現在、サステナビリティ委員会とリスク管理委員会の連携体制を整えております。
リスク管理委員会は、各部門及びグループ会社におけるリスク情報を集約し、全社的視点での評価・分析を行う組織として設置しており、気候変動を含めた広範なリスクを審議対象としています。サステナビリティ委員会では、気候変動を含むESG課題などの広範な各種リスクの重要度や影響度を踏まえて優先課題を特定し、必要に応じて経営資源の配分や方針の見直しといった具体的な対応策を講じることで、リスクを適切に管理しています。
これらの気候変動課題を含む決定事項についてはサステナビリティ委員会とリスク管理委員会より協議された後に取締役会をはじめとする上位会議体に報告され、各課題に関してのモニタリングや戦略への反映、審議内容についての承認が行われています。
<戦略>当社では、気候変動が事業において将来及ぼす可能性のある影響を把握し、事業戦略に織り込むことを目的としてシナリオ分析を実施しています。
2025年実施のシナリオ分析実施における前提条件として、気候変動のリスクと機会を網羅的に把握するため、外部機関が公表する複数のシナリオを用いて「地球の平均気温が産業革命前の水準より4℃以上高くなる世界観」と、「パリ協定のもと、地球温暖化を1.5℃以内に抑える世界観」の2つを想定しました。また時間軸については、短期を財務諸表報告期間である「1年」、中期を中期経営計画の期間とする「3年」、それ以降の「4年以上」を長期として整理いたしました。また、考察にあたり使用したシナリオの詳細は以下となります。

リスクの重要度を評価するにあたって実施したシナリオ分析の概要は以下となります。
〇4℃の世界観
現状の規制が続き、温暖化の影響がより顕著になる世界を想定しています。当社グループは商社機能が主であり、サプライチェーンにおいて横断的な影響が想定されます。取引先様の製品生産の遅延や停止、物流拠点の被災や店舗の営業が困難になるなどの間接的な被害も含め、異常気象による洪水等の災害による影響が最も大きくなることが懸念されます。また、上流工程においては天然繊維の素材ごとに干ばつをはじめとした農作物の品質・収量低下や染色工程における取水制限など、資源に対する影響も想定されます。こうした影響がより頻繁かつ深刻化した場合、損害対応や取引先の業績悪化による財務リスクが高まる可能性があります。これらの想定リスクに対しましては、現在自社のBCP対策やサプライチェーンへの情報収集等を実施しており、今後さらにそれらの活動を強化していく方針です。
〇1.5℃の世界観
パリ協定に基づく1.5℃目標の達成に向けて、政府による新たな政策や規制の強化、市場の脱炭素化の促進などが想定される世界観です。
当社グループでは主にカーボンプライシング制度の導入やサプライチェーン排出量による追加的な支出が予想されます。また、素材のバイオマス化やリサイクル対応、廃棄物低減に関しても規制が進むことで、対応費用の増加も想定されます。一方でサステナブル志向の高まりによる新規顧客獲得の機会や、新素材の積極的な導入などの企業イメージ向上など、ビジネスチャンスとなりうる事項も想定されます。
これらのリスク・機会に関しましては、資源循環対応促進のための修理事業や、環境配慮製品の積極的な開発、パリ協定に賛同しファッション産業における企業連携を目指すジャパンサステナブルファッションアライアンスへの参画など、自社にとどまらずサプライチェーン全体を意識した対応を進めております。既存取り組みの強化だけでなく、シナリオ分析結果をもとにした新しい施策の検討も行っております。
各想定における当社グループのリスクと機会に対しては、「適応」と「緩和」の両面から対応の必要性を認識しており、当社ホームページに掲載している「リスク機会一覧表」に示す通り、個別の対策についても検討・実施を進めています。各項目についての詳細は当社ホームページをご覧ください。
GHG排出量測定
当社は、GHG排出量算定・可視化クラウドサービスを提供する株式会社ゼロボードとの協働により、GHG排出量の算定対象範囲、算定方法等についてGHGプロトコルに則り検討を重ねてきましたが、今回算定・推定したGHG排出量は次のとおりです。なお、温室効果ガスはすべてCO2(二酸化炭素)に換算しています。
(単位:t-CO2)
| 区分 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
| スコープ1 | 55 | 53 | 65 | 386 |
| スコープ2 | 306 | 281 | 208 | 1,900 |
| スコープ3 | 443,412 | 407,093 | 397,433 | 383,872 |
| 合 計 | 443,773 | 407,427 | 397,706 | 386,159 |
スコープ1、2 株式会社ヤギ 国内グループ会社
※2025年度より国内グループ会社を含めています。
スコープ3 株式会社ヤギ単体のサプライチェーン排出量(カテゴリ1~8に伴う排出)
※数値は小数点以下を四捨五入しているため、合計が合わない場合がございます。
3.人的資本・多様性に関する考え方及び取組
(1)人的資本・多様性に関する「ガバナンス」と「リスク管理」
当社グループの人材戦略に関しては、経営戦略の実現に必要なサステナビリティ全般の重要課題と連携しながら、取組方針及び成果指標・数値目標を策定するためのプロジェクトを進行させています。代表取締役社長執行役員が本プロジェクトオーナーを務め、各重要課題に大きく関わる部門の管掌本部長がチームリーダーとなって部門横断で社員が参画し、多角的な視点で検討を進めています。
(2)人的資本・多様性に関する「戦略」と「指標及び目標」
当社グループの人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は下記のとおりであり、中期経営計画2029において、人材の育成を中心とした人材戦略を基本戦略の一つとして以下の事に取り組んでまいります。
なお、「指標及び目標」については、「1.サステナビリティ全般に関する考え方(4)指標及び目標」をご参照ください。また、管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異については、「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等」に記載しております。
① 人材の質と量を中長期的に維持・向上できる仕組みづくり
企業の持続的な成長を支えるのは人材であるという考えのもと、活躍人材を継続的に創出するため、社内のハイパフォーマーの行動特性や思考プロセスをデータに基づき分析・モデル化していきます。この分析結果を起点として、ポテンシャル人材の採用、研修プログラムの最適化、それぞれの強みが発揮される戦略的配置へと一気通貫したタレントマネジメントを展開していきます。また、DXの推進やAIの活用等の急激な環境変化に対応するため、社員の自律的な学び直し(リスキリング)を支援し、多様なバックグラウンドを持つ人材の専門性の高度化を図っています。
② 長期的な競争優位性を実現させる組織力のステップアップ
当社グループは、競争激化する市場環境において、長期的な競争優位性を確保するために、組織力のステップアップに力を入れています。グループ横断での情報共有やコミュニケーションの促進、人材交流、意思決定の迅速化などを通じて、迅速な変化に対応し、イノベーションを推進する組織文化を構築してまいります。
③ チャレンジできる環境整備
当社グループでは、従業員が自らチャレンジできる環境整備を重視しています。積極的なアイデア出しや新しい取り組みへの参加を奨励し、フラットな組織風土を醸成しています。当社では意見交換や情報共有を促進するコミュニケーションプラットフォームの導入など、社内コミュニケーションの円滑化にも力を入れており、今後グループ各社の実情に合わせた展開を検討してまいります。
④ 働きやすい環境整備
当社グループでは、性別や年齢、国籍、障害の有無、ライフイベント等に関わらず、多様な人材が安心して働き続けられる環境づくりを重視しています。当社では場所や時間にとらわれない柔軟な労働制度の導入やワークライフバランスの推進、職場環境の改善などを通じて、従業員の働きやすさと生産性の向上を追求しています。
⑤ 人事制度の刷新
当社では、2024年度より人事制度を刷新しました。役割の明確化や評価の納得性向上、報酬体系の見直しなどを通じて、従業員一人ひとりが成長実感とチャレンジ意欲を育むことができる仕組みを目指しています。制度刷新により、従業員のエンゲージメントを高め、組織マネジメント力の強化を図っていくとともに、グループ横断での人材活用やグループ横断型研修の実施検討等、グループ内のノウハウや経験・情報共有化の動きを進めてまいります。
⑥ 健康経営の実践
当社は、「健康経営優良法人2026(大規模法人部門)」の認定を受けました。昨年に引き続き4年連続の認定となります。今後も従業員及びその家族の健康管理・維持増進に注力してまいります。定期的な健康診断の実施やストレスチェックの導入、健康教育プログラムの提供、イベントの企画などを通じて、従業員の健康状態の管理と改善を支援しています。健康な従業員の確保は、生産性の向上及び労働力の安定確保に繋がるとの考えのもと、今後グループ各社の実情に合わせた展開を検討してまいります。
⑦ ダイバーシティ環境整備
当社グループでは多様性こそが商社の競争力の源泉と捉え、ダイバーシティ&インクルージョンの実現とその環境整備に力を入れています。多様な人材の活用や、2022年度から2025年度の4年連続でのハラスメント防止のための教育・啓蒙活動などを通じて、互いを讃え合う文化風土の醸成を継続することで、全ての従業員が公平かつ平等な待遇を受けられる環境づくりに取り組んでまいります。
(注)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (3)従業員の状況 ⑤ 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。