有価証券報告書-第13期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/16 15:34
【資料】
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【項目】
69項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度(以下、当期という)は、欧米経済が緩やかな回復基調を辿ったものの、中国を含めた新興国の経済成長鈍化および資源価格下落の影響を受け、世界経済全体には不透明感が高まりました。
米国は、個人消費が緩やかに伸び、住宅販売や自動車販売も堅調に推移しました。また、原油安の負の影響やドル高を要因とした企業収益の伸び悩み懸念はあるものの、雇用は堅調に推移しました。12月には政策金利の引上げが実施されましたが、その後は、当初見込みに比べ利上げのペースは緩やかなものになっております。
欧州は、ギリシャの債務問題やロシアへの経済制裁の余波などによる経済の下振れへの懸念があるものの、欧州中央銀行の量的金融緩和策などの効果もあり、経済は引き続き緩やかな回復基調を辿りました。一方で、中東やアフリカからの大量の移民流入、テロという地政学的な不安材料も浮上しました。
中国は、政策金利の引き下げや公共投資による下支えなどが実施され、緩やかながら消費拡大の傾向が見られたものの、不動産開発投資や設備投資が伸び悩み、経済成長率の鈍化傾向が継続しました。
アジアは、主に資源価格の下落や中国向け輸出の減速に加え、米国利上げ観測を背景に多くの国で通貨安が進行し、国によっては資本流出が加速するなど、経済成長ペースが鈍化しました。
日本は、良好な企業業績に伴う雇用環境の改善が見られましたが、1月にマイナス金利政策が導入された後も消費や設備投資は勢いに欠け、鉱工業における生産回復も鈍く、景気は軟調に推移しました。
当期の当社グループの業績につきましては下記のとおりであります。
収益は、油価下落やLNG取引の減少などにより、1兆6,580億72百万円と前期比8.4%の減少となりました。
売上総利益は、資源価格下落や取引の減少などによる石炭・金属での減益や、油価下落に伴うエネルギーでの減益などにより、前期比169億49百万円減少の1,807億39百万円となりました。
営業活動に係る利益は、石炭事業の保有意義変更による評価益などがありましたが、売上総利益の減益や石油ガス権益、石炭権益、鉄鉱石事業の減損などにより、前期比43億8百万円減少の292億42百万円となりました。
税引前利益は、営業活動に係る利益の減益に加え、持分法による投資損益の減少などにより、前期比83億15百万円減少の442億69百万円となりました。
当期純利益は、法人所得税費用の減少があったものの、税引前利益の減益により前期比11億64百万円減少の364億86百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期純利益(以下、当期純利益)は前期比34億51百万円増加し、365億26百万円となりました。
当期包括利益は、在外営業活動体の換算差額の減少などにより、前期比1,433億24百万円減少し、284億5百万円の損失となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期包括利益は前期比1,327億26百万円減少し、253億79百万円の損失となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
なお、従来の商品分野を中心とする組織に加え、機能や産業領域を基にする組織も取り入れた体制の構築を目的とし、2015年4月1日付にて4部門・9本部制を廃止し、9つの本部に再編しております。
<自動車>収益は、ロシアでの経済低迷に伴う自動車販売台数の減少などにより、1,411億55百万円と前期比10.6%の減少となりました。当期純利益は、持分法による投資損益の増加などにより、前期比32億71百万円増加し、59億16百万円となりました。
<航空産業・情報>収益は、航空機関連取引の増加などにより、917億88百万円と前期比13.5%の増加となりました。当期純利益は、保有船舶の減損などにより、前期比1億52百万円減少し、31億27百万円となりました。
<環境・産業インフラ>収益は、アジア地域向け産業用機械の取引増加などにより、1,065億68百万円と前期比2.4%の増加となりました。当期純利益は、石炭・金属セグメントと共同出資している鉄鉱石事業における減損などにより、前期比21億52百万円減少し、21億74百万円となりました。
<エネルギー>収益は、油価下落やLNG取引の減少などにより、741億69百万円と前期比45.9%の減少となりました。当期純利益は、石油ガス権益の減損などにより、前期比104億83百万円減少し、69億35百万円の損失となりました。
<石炭・金属>収益は、合金鉄、石炭取引の減少などにより、2,700億55百万円と前期比12.6%の減少となりました。当期純利益は、石炭権益、鉄鉱石事業における減損があったものの、石炭事業の保有意義変更による評価益などにより、前期比74億円増加し、46億61百万円となりました。
<化学>収益は、化学品・原料の価格下落などにより、4,093億32百万円と前期比4.2%の減少となりました。当期純利益は、アジア地域における合成樹脂取引や米州における石油樹脂取引での増益などにより、前期比27億14百万円増加し、89億85百万円となりました。
<食料・アグリビジネス>収益は、飼料原料取引や海外肥料事業での減少などにより、1,874億37百万円と前期比18.3%の減少となりました。当期純利益は、持分法による投資損益の増加や、その他の収益・費用の改善などにより、前期比25億83百万円増加し、50億9百万円となりました。
<生活資材>収益は、衣料関連取引の増加などにより、1,794億20百万円と前期比2.2%の増加となりました。当期純利益は、前期比7億1百万円増加し、30億58百万円となりました。
<リテール事業>収益は、不動産取引の減少などにより、1,548億31百万円と前期比1.5%の減少となりました。当期純利益は、海外工業団地での増益などにより、前期比1億61百万円増加し、34億42百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当期のキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローは999億39百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは339億10百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは1,146億95百万円の支出となりました。これに現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は3,444億14百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当期の営業活動による資金は999億39百万円の収入となり、前期比608億30百万円の収入増加となりました。当期は営業債権及びその他の債権の減少や配当金の受取などによる収入が支出を上回りました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当期の投資活動による資金は339億10百万円の支出となり、前期比201億18百万円の支出増加となりました。当期は不動産の売却などの収入がありましたが、米国自動車ディーラー事業の取得や国内太陽光発電事業の設備投資などの支出が収入を上回りました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当期の財務活動による資金は1,146億95百万円の支出となり、前期比720億95百万円の支出増加となりました。当期は借入金による調達などの収入がありましたが、借入金の返済や社債の償還などの支出が収入を上回りました。
(3) 日本基準により作成した場合の連結財務諸表との差異
IFRSにより作成した連結財務諸表と日本基準により作成した場合の連結財務諸表との差異の主な内容及び概算額は、以下のとおりであります。
(収益の表示方法)
日本基準では、当社グループが当事者として行った取引額及び当社グループが代理人として関与した取引額を総額で売上高として表示しますが、IFRSでは、代理人として関与したと判定される取引については純額で収益を表示します。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当期の商品の販売に係る収益及び原価がそれぞれ約2兆3,486億円減少しております。
(のれんの償却に関する事項)
のれんについて、日本基準では一定の期間で償却しますが、IFRSでは償却を行いません。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当期の販売費及び一般管理費が約60億円減少しております。