有価証券報告書-第23期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/09 11:31
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有報資料

(1) 会社の経営の基本方針
当社は、双日グループ企業理念、双日グループスローガンを掲げ、企業理念にある「豊かな未来」の創造に向け、当社グループの事業基盤拡充や持続的成長などの「双日が得る価値」と、国・地域経済の発展や人権・環境配慮などの「社会が得る価値」の2つの価値の実現と最大化に取り組んでいます。
(双日グループ企業理念)
双日グループは、誠実な心で世界を結び、新たな価値と豊かな未来を創造します。
(双日グループスローガン)
New way, New value
(双日の価値創造モデル)

「豊かな未来」の創造、「2つの価値」の実現に向けて、当社では人材を最も重要な経営資源と考え、「人財」と表記し、価値創造モデルの中心に据えています。世界中のニーズを把握し、価値を生み出す人財力を高めていくことが、双日の価値創造の源泉です。
実効性の高い戦略と充実したコーポレート・ガバナンスのもと、常に新しい発想を持ち、トレーディング・権益投資・事業投資を通じた機能を発揮して、将来を見据え、外部環境の目まぐるしい変化やニーズの多様化に先駆けたスピード感あるビジネスを展開しています。
また、世界各国に広がる事業拠点やパートナーシップ、それぞれの地域で長年にわたり育んできたお客様との信頼関係やブランド力など、築き上げてきた確固たる事業基盤が、当社の持続的な成長を支えています。
当社が創造した価値は、「社会が得る価値」として還元され、ステークホルダーからの信頼獲得につながります。創造した価値は、「双日が得る価値」として、当社の人材基盤やビジネスノウハウといった各事業基盤を拡充するものとして還元され、当社の競争力強化や新たなビジネスチャンスの増加につながります。
このような企業理念のもと、2030年における「目指す姿」として「事業や人材を創造し続ける総合商社」を掲げており、総合商社としての使命である、必要なモノ・サービスを必要なところに届けつつ、マーケットニーズや社会課題に応える事業や人といった価値を創造し続けることにより、持続的な企業価値向上を実現しています。
(2) 「中期経営計画2026」の進捗状況
① 「中期経営計画2026 - Set for Next Stage -」について
当社は2030年の目指す姿として、「事業や人材を創造し続ける総合商社」を掲げており、Next Stageとして当期利益2,000億円と時価総額2兆円に成長させることをターゲットとしております。本中計は、このNext Stageを見据えて、成長基盤と人的資本の強化に取り組む中期経営計画と位置づけています。Next Stageに到達するためのキーメッセージとなる「双日らしい成長ストーリー」の実現に向け、成長基盤と人材への積極投資を行っていきます。

本中計の具体的な定量目標として3点を掲げています。一つ目は、将来の成長に向けて、財務規律を堅持した上で6,000億円の投資を実行します。二つ目に、3ヶ年平均でROE12%超・当期利益1,200億円超をそれぞれ確保し、企業価値と株主価値の向上を図ります。三つ目に、基礎的営業キャッシュ・フローの3割程度を株主還元に充当します。

(注) 1 基礎的営業キャッシュ・フロー:会計上の営業キャッシュ・フローから運転資金増減等を控除したもの
2 株主資本DOE:支払配当÷株主資本
3 株主資本:その他の資本の構成要素を除外した前期末自己資本
双日らしい成長ストーリーの実現並びに定量目標の達成のためには、当社の独自性や強みをさらに磨き上げ、競争優位を生み出すことが不可欠です。既存領域を核としてさらに磨き上げるとともに、多数の事業である「点」をつなぎ合わせ、掛け合わせることによって事業と収益の「カタマリ」構築を進めてまいります。また、全ての事業領域に必要不可欠な要素として「DX(デジタルトランスフォーメーション)」領域を全社横断的に強化しています。
加えて、収益力の強化・競争優位の源泉として、継続して人的資本・ヒトの魅力(ちから)を強化してまいります。多様なスキル・経験を持つ自立した個の確立や、個の力を最大化する組織・カルチャーの組成に向けてヒトへの投資を積極的に進めています。
② 成長基盤の強化
「中期経営計画2026」では競争優位性や独自性を追求し、高度な成長戦略を実行するための共通の考え方として「KATI(カチ)モデル」を設定し、事業の「カタマリ」を複数構築することに重点を置いております。これは、当社が知見や実績を有する事業を起点に、機能の拡張・応用や新領域への挑戦を通じて、個別の取り組みを持続的な収益基盤となる事業の「カタマリ」へ発展させていく考え方です。当社はこのモデルに基づき、勝ち筋のある事業領域において、新規投資の拡大、既存事業の磨き込み、外部パートナーとの共創を通じた事業再編を進める一方、事業の改善や勝ち筋の確立が見込めない事業については、撤退を含めた見直しを行うことで、構造改革を推進、収益成長と資本効率を両立し、Next Stageに向けた事業ポートフォリオへの変革を推進しております。

―エネルギーソリューション事業―
米国において従来の電力・インフラ事業で培った知見・人材を活用し、McClure社の買収によりエネルギーソリューション事業へ参入しました。さらに、McClure社とは顧客基盤および提供サービスが異なるFreestate社へのボルトオン投資を通じて、提供地域、顧客接点および事業領域の拡大を進めております。また、豪州においてもEllis Air社、Climatech社などの買収により、省エネやデータセンター関連サービスを含むエネルギーソリューション事業を展開し、米国・豪州におけるカタマリ化を図っております。
―豪州インフラ開発事業―
従来の共同デベロッパーに留まらず、主体的な収益機会の確保および収益構造の多層化を狙い、豪州PPP事業のリードデベロッパーであるCapella社を買収しました。同社が有する豪州PPP領域での開発実績、豊富なノウハウおよび高度専門人材を取り込むことで、インフラ事業の開発・投資・運営を一体で手がける体制を強化しております。今後は、同社のリードデベロッパー機能と当社の資金力・運営力・グローバルネットワークを組み合わせることで、エネルギーインフラなどの新事業領域や豪州外の地域への展開も進めてまいります。
―化学事業―
5,000社を超える顧客基盤および長年培ったトレード実績をもとに、業界再編、地政学リスク、サプライチェーンの変化を先読みし、トレード機能の強靭化と収益機会の拡大を図っております。日本エイアンドエルの買収はリチウムイオン電池部材などの長年にわたるトレードを通じて蓄積した知見をもとに製造領域へ展開したものであり、既存の販売網および顧客基盤との相乗効果を追求することで、事業の競争力強化と収益基盤の拡充に取り組みます。また、レアアースなどのクリティカルミネラルについても、経済安全保障の重要性を踏まえ、サプライチェーンの多角化を進めております。
既存事業についても、勝ち筋のある事業では、機能の拡張や外部パートナーとの共創を通じて収益力および資本効率の向上を図っております。船舶事業、北米貨車リース事業、国内商業開発運営事業などでは、ベストオーナーとなり得る外部パートナーへ事業の一部をシェアアウトしつつ、当社の強みである機能を提供することで、パートナーとともに事業を成長させ、持続的な成長を図る体制を構築しております。一方、豪州中古車事業、国内ディーラー事業、豪州原料炭事業など、事業の改善や勝ち筋の確立が見込めない事業については、撤退を含めた見直しを行い、構造改革を推進します。
③ 本部別の成長戦略
<自動車>自動車販売を中核とした既存事業の強みを活かし、持続的な成長を目指す戦略を展開しています。すでに知見や実績のある領域の拡大を基盤に、「グローバル・ニッチトップ」「ドミナント」「バリューチェーン」の3つを成長戦略のキーワードとして、独自性による競争優位のあるビジネスモデルを追求します。これにより持続的な成長を実現するとともに、社会課題やニーズに対してソリューションや価値を提供し、豊かなモビリティ社会の実現へ寄与していきます。
<航空・社会インフラ>航空・船舶・鉄道の三大輸送手段における長年の経験と豊富な知見を梯子に、変化する顧客やマーケットニーズを的確に捉え、オペレーションの最適化、ライフサイクル全般を見据えた周辺サービス事業といった新たな価値を提供してまいります。当社機能の先鋭化・多角化を推し進め、各事業を面として紡ぎ、社内外との共創を通じて、社会的な共感力と訴求力が高い事業を創出していきます。
<エネルギー・ヘルスケア>エネルギーおよびヘルスケア領域において、世界の脱炭素、人口増加、高齢化などの社会課題解決に対応し、従来の「アセット型」インフラビジネスに加え、顧客へのサービス・ソリューション提供を行う「事業型ビジネス」を構築し、規律ある事業投資・事業経営による力強い成長を目指します。エネルギーソリューション分野(発電、小売サービス、省エネなど)における機能強化、地域拡大、事業間のシナジー追求およびPPP事業分野における旺盛な豪州市場の取り込みと事業領域の拡大を軸に、当社の有形・無形の資産を活用することで双日ならではの競争優位を構築し、規模感あるビジネスおよび新たな価値を創造していきます。
<金属・資源・リサイクル>国内需要家向け石炭・鉄鉱石・レアメタルなどの原料供給事業(上流権益投資を含む)および国内の鉄鋼製品販売事業という既存の事業ポートフォリオの変革を推進していきます。具体的には、「グリーン製鉄」の領域における当社ならではの冷鉄源戦略の構築や、電池および半導体需要の増加に伴う「重要鉱物」のサプライチェーン構築を通じて、事業創出の取り組みを強化します。
<化学>国内外の化学業界における生産構造の変化や地政学リスクの高まりに対し、サプライチェーンの分断を回避し安定的な供給体制を構築することを重要課題として、市場ニーズの変化を先読みし、調達先の多様化や物流機能の強化を通じてトレードの強靭化を推進していきます。併せて、知見ある領域での事業投融資を着実に実行し収益基盤の強化を図るとともに、脱炭素社会実現への貢献に資する環境対応型ビジネスの構築を進め、持続的な成長を目指してまいります。
<生活産業・アグリビジネス>継続成長が期待できるアジアの新興国を中心に、肥料・アグリビジネス事業、食料・飼料畜産事業、林産・バイオマス事業などの既存事業をさらに強化していきます。東南アジアでトップクラスの市場シェアを保有する肥料事業においては、デジタルを組み合わせることで新たなビジネスを構築、収益の拡大を進めています。また、ベトナムで取り組む畜産・食肉加工事業では、肥育から食肉加工、販売までの一貫体制を構築しており、同国の食文化の発展に寄与するとともに収益化を図ってまいります。
<リテール・コンシューマーサービス>消費者市場における持続可能性への社会的要請、ニーズの多様化や地域に応じた様々な構造的変化をチャンスと捉え、国内外で構築してきた事業基盤の強靭化、高付加価値化とともにポートフォリオの最適化を進めます。
成長が見込まれる領域や、強みを発揮できる領域で、M&A、事業投資、パートナーとの共創を通じて事業を拡大、グローバルに展開する食・健康・日用品や水産に関連するビジネスを有機的に結び付けてビジネスを創造し、世界の人々の生活価値の向上と持続可能な社会の実現に貢献、持続的な成長を実現していきます。
④ DX
1) デジタルで創る双日らしい成長ストーリー
当社は、全ての事業とデジタルの一体化を目指した“Digital-in-All”を掲げ、デジタル技術の徹底的な活用を経営戦略の中心に据えています。中期経営計画2026では、以下のサイクルを通じて双日らしい成長ストーリーを実現し、企業価値の創造を図ります。
(a) データに基づく正しい現状認識
国内外の事業会社を含む全7営業本部においてデータを整備し、客観的な現状把握を推進しています。
(b) 価値向上のための打ち手の先読みと実行
蓄積データを基に分析し、改善策の実行・検証・修正を繰り返すことで既存事業の価値向上を図ります。
(c) デジタルによる競争優位性の確立
AIやデータを活用し、ビジネスモデルそのものを変革する「デジタルリードプロジェクト」を推進しています。また、グループ会社である双日テックイノベーション等との共創により、内製開発力を高め、独自の競争優位性を確立します。
2) “Digital-in-All”による成長ストーリーを実現する要素
(a) AI活用
グループ会社を含めた個人レベルでのAIツール活用が広範に普及し、RAGやデータ構造化など、各業務プロセスでAI活用が進んでいます。各事業領域においては、AIを活用したデジタルリードプロジェクトを推進しており、具体的には以下の取り組みを進めています。
・国内水産DX: AI画像解析等による養殖管理の高度化
・タイアグリDX: AIによる土壌分析等を通じた営農支援
・国内中古車DX: 画像データ化とAI解析による透明性の高い査定の自動化
・商社トレードDX: Graph-RAG活用による高精度な情報分析
これらに加え、全営業本部および職能組織において、デジタルリードプロジェクトと業務改善を推進しています。
(b) AIガバナンス
AIの利用拡大と事業単位でのAI活用が普及する中、当社はハルシネーション等の懸念事項を含む様々なAIリスクに的確に対応できる統治体制の整備が不可欠であると認識しています。その対応として「組織」「原則」「審査」「ユーザーの適切な利用」「リスクの一元管理」「インシデント予防・対策」の6要素からなる包括的なAIガバナンスの全体構想を策定しました。
特に審査プロセスにおいては、既存の社内手続きやIT審議プロセスに対し、審査・決裁・リスク管理・セキュリティ等に関する規定への「AI審査の埋め込み」を進めています。外部へAIを活用したサービスを提供する際などのユースケースに対しても、リスクと対応策の具体化、および優先度整理を行う厳格なチェックプロセスを整備しています。これにより、投資対効果を可視化し、ステークホルダーへの透明性とアカウンタビリティを高めながら、安全かつ迅速なAIの利活用を全社的に進めています。
(c) デジタル人材育成
全総合職の50%(約1,000人)を応用人材、そのうち10%(約200人)をエキスパート人材とする目標に対し、2026年3月末時点で応用825人、エキスパート136人と順調に進捗しています。また「デジタル人材2.0」としてAI・データ活用中心へ再定義し、実践型育成へ転換させ、経営層も含めた全社的なAI活用推進体制を構築しています。
(詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (8)人材戦略に関する基本方針 ②戦略 1)人材戦略基本方針①「自らの意思で挑戦・成長し続ける多様な個 (d) ビジネスへのデジタル実装に向けたデジタル人材育成」をご参照ください。)
(d) セキュリティ対策の強化
経営者がサイバーセキュリティリスクを重大な経営リスクとして認識し、CISO(最高情報セキュリティ責任者)等の責任者を任命する管理体制を構築しています。DX推進を担うCDO(最高デジタル責任者)兼CIO(最高情報責任者)と、情報・ITシステムセキュリティ委員会委員長であるCISOが連携し、ビジネス変革を推進する攻めの視点と、法務・リスクマネジメント等の守りの視点を統合した高度なガバナンス体制を敷いています。商社特有の広範なサプライチェーンにおけるサイバー攻撃等のリスクに対応するため、法令やガイドライン等で求められる事項に基づき、サプライチェーン内の取引先や多様な関係企業とのデータ連携に関する全社方針を策定し適用しています。ITシステムの改善に際しては、事業部単位での個別最適によるブラックボックス化を回避するためのシステム構築時の計画確認などの仕組みを整備し、全社データの整合性を確保しています。
これらの取り組みにより、当社は「DX銘柄2026」に選定されました(2年連続、通算3回目)。今後も“Digital-in-All”による価値創造を推進します。
⑤ 人的資本の強化
「中期経営計画2026」では、当社グループの人材戦略基本方針として、双日らしい成長ストーリーの実現に向けた「事業創出力」と「事業経営力」の強化に取り組んでおります。
(詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (8)人材戦略に関する基本方針」をご参照ください。)
(3) キャッシュ・フロー・マネジメント
基礎的営業キャッシュ・フローと資産入替を原資に、さらなる成長に向けた成長・ヒト投資と株主還元を実行します。基礎的営業キャッシュ・フローの7割程度を成長・ヒト投資に、3割程度を株主還元に充当します。
これを踏まえ、2025年度の実績は以下のとおりとなりました。

(4) 剰余金の配当等の決定に関する方針
「中期経営計画2026」期間累計の基礎的営業キャッシュ・フローの3割程度を株主還元する方針です。
① 配当
・安定的かつ継続的な配当を行うため株主資本DOE4.5%を配当方針とし、業績変動や株価・為替による影響を最小限に抑える
・当期純利益による株主資本の積み上げが、株主還元による株主資本の減少幅を上回る限りにおいて、累進的に増配となる配当方針
② 自己株式取得
・キャッシュ・フロー・マネジメント方針に基づき、「中期経営計画2026」期間を通じて機動的に自己株式取得を実施
この方針に基づき、当期の期末配当金につきましては、1株当たり82.5円とします。1株当たり82.5円の中間配当を実施していますので、当期の年間配当金は1株当たり165円となります。
また、当期においては、2025年5月2日~2025年7月31日の期間中に自己株式2,800,000株を9,956,291,082円にて取得しました。2025年8月29日には、15,000,000株(消却前の発行済株式総数に対する割合約6.7%)の消却を行っております。
なお、当社は会社法第459条第1項の規定に基づき、剰余金の配当を取締役会決議により行うことができるよう定款に定めております。

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