有価証券報告書-第78期(2025/04/01-2026/03/31)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針、経営環境及び優先的に対処すべき課題等
① Joshinグループの概要
当社グループは、「リアル店舗」「EC」という2つのチャネル別事業と「サービスインフラ」事業が三位一体となり、「家電」「エンタテインメント」「リフォーム」「モバイル通信」「サポートビジネス」の5カテゴリにおいて事業を展開しております。「リアル店舗」「EC」を別々に考えるのではなく、同じお客様の窓口として、お客様の利便性の向上を第一に考え、連携によるシナジー効果の発揮を目指し、「リアル店舗・EC」両チャネルからの「配送、設置、工事」が伴う業務を当社の連結子会社であるジョーシンサービス株式会社が担い、事業基盤を支えております。当社グループは、関西・東海・関東・北信越エリアを主軸に、地域密着型ドミナント戦略を展開しており、今後は「EC」とのシナジー効果を重視した「リアル店舗」の出店や既存店の強化、「サービスインフラ」の拡充・拡大を推進してまいります。
当社グループのドミナント戦略とは、当社グループが創業以来蓄積したアセットを最大限活用し、当社グループの強みが活かせる領域(商圏、商品、サービス等)に特化し、物流、サービスインフラ体制も含めた経営資源を集中的に投下する差別化戦略と位置づけております。ある特定のエリアを絞り込んで、集中的新規出店による市場占有率向上を目指す一般的なドミナント戦略とは異なり、新規出店に頼るのではなく、既存店の販売力強化、スクラップアンドビルドを中心に、「EC」とのシナジー効果、物流、サービスインフラ体制も含めて、収益拡大が見込めるエリアに絞って市場占有率確保を目指すものであります。面を埋め尽くすのではなく、一つひとつの「点」を大きくするとともに、空いたスペースは「EC」がつなぎ合わせることで、エリア全体をカバーする考え方であります。また新規出店に依存しないことで、設備投資や人件費、店舗運営コストなどの支出を抑えることも可能となります。
「リアル店舗」は、関西・東海・関東・北信越エリアを中心に、当連結会計年度末現在215店舗を展開しております。新規出店偏重による拡大路線を回避し、既存店舗のスクラップアンドビルドによる収益力の強化に取り組んでおります。「リアル店舗」にご来店いただいたお客様に対し、「高い接客力・きめ細やかな対応力」を兼ね備えた販売員による商品提案により、お客様から高い評価をいただいております。
「EC」は、充実した商品アイテム数を誇り、商品調達を担う商品部との連携を強化し、商品の見せ方等をこまめに変更するといったお客様を飽きさせない作りこみを行うなど、丁寧な店舗作りに取り組んでおります。
「サービスインフラ」は、洗濯機、冷蔵庫、エアコンといった「配送、設置、工事」が伴う業務を主としており、それらを含めた製品情報を蓄積しております。また、業務を委託しております協力会社にも当社グループのCSマインドを理解するための研修の実施等を通じ、業務品質を維持向上し、お客様のご自宅内における作業の担い手として、高いCS評価をいただいております。
② 経営方針、経営環境及び優先的に対処すべき課題等
現在、当家電販売業界を含む世間を取り巻く環境は大きく変化しつつあります。少子高齢化がもたらす人口・世帯数の減少や高齢単身世帯の増加といった人口動態の変化、ICTの高度化、性別・年齢・国籍などに囚われず、それぞれの「個」を尊重し、認め合うというダイバーシティ&インクルージョンの浸透、さらには気候変動など、人を取り巻く社会構造や環境、価値観が大きく変化する中で、人々の生活様式も大きく変わろうとしております。
今後のわが国経済の見通しにつきましては、所得環境の一層の改善が期待されるものの、混迷する中東情勢の長期化及びそれに伴う原油・エネルギー価格の変動に加え、為替相場や物価動向の推移など、景気の先行きについては依然として極めて不透明な状態が続くものと思われます。
当家電販売業界におきましても、世界的な地域紛争激化等地政学的リスクの拡大、原材料高騰等に起因する各種経済指標の悪化、インフレに伴う実質的な所得の伸び悩みによる耐久消費財に対する消費マインドの低迷等から、同業者間の競争はますます激しくなることが予想されます。
このような厳しい状況下ではありますが、当社グループは、次年度から3カ年(2026年度~2028年度)の新たな中期経営計画『JT-2028 経営計画(2026年度~2028年度)』を策定いたしました。詳細は、「(2) JT-2028 経営計画(2026年度~2028年度)について」をご参照ください。
当社は、経営理念「人と社会の未来を笑顔でつなぐ」及び経営ビジョン「家電とICTの力で生活インフラのHubになる」を実現し、「高齢社会のレジリエンス強化支援」と「家庭のカーボンニュートラルの実現」という2つの社会価値の創出を当社グループの持続的な成長及び企業価値の向上につなげていくため、「電機」の枠にとらわれない柔軟な組織体制への移行を目指しております。
お客さまをはじめとするすべてのステークホルダーのみなさまからお寄せいただく親しみの気持ち、創業の精神や社風を大切に受け継いでいきたいという従業員の声、そして変化の激しい経営環境に柔軟に適応しつつ、変化を成長の「力」に変える経営体制へと変革する決意のもと、2025年3月25日開催の当社取締役会において、「Joshin」へと商号を変更することを決定し、2025年6月24日開催の当社第77回定時株主総会において承認されており、2026年4月1日に商号変更を行っております。
また、同日の当社取締役会において、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行する方針を決定し、同定時株主総会において承認されており、2026年6月に移行しております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方」をご参照ください。
(2) JT-2028 経営計画(2026年度~2028年度)について
① JT-2028 経営計画策定の背景
当社グループは、「高齢社会のレジリエンス強化支援」と「家庭のカーボンニュートラルの実現」という2つの社会価値の創出を当社グループの持続的な成長及び企業価値の向上につなげていくため、「電機」の枠にとらわれない柔軟な組織体制への移行を目指しております。変化の激しい経営環境に柔軟に適応しつつ、変化を成長の「力」に変える経営体制へと変革する決意のもと、どのような企業、未来を目指していくのかを明確にするために、2026年4月1日付で社名を株式会社Joshinに変更いたしました。現在の家電量販店のビジネスモデルは、これからの市場に通用しないということは業界の共通認識となっております。
こうした環境のもとで、当社グループの歩みを「守破離」の精神で表すなら、「守」は創業の精神、祖業である家電事業、「破」は家電事業のさらなる進化、「離」は家電事業を基盤とした新たな領域への挑戦と位置づけております。「守」は、これまでも、これからも変えてはいけない基盤であり、「破」は企業の変革を、「離」は企業の革新を意味します。これらのプロセスからイノベーションを実現し、新たな価値を創造していかなければならないと考えております。
この計画は、「ライフスタイル・サポートカンパニーへの進化」により、新生Joshinグループとして持続的成長と企業価値向上を可能とする事業基盤の再構築を目指すものであります。同計画における重点戦略として、「リアル店舗事業の収益力強化」「PB商品への本格参入」「マーケティング機能の再構築」を掲げ、具体的な戦略を立案、実行し、グループ一丸となって着実に計画を遂行してまいります。
具体的な目標は、以下のとおりであります。
② JT-2028 経営計画 2028年3月期の計画値の算定にあたっての基本的な考え方及び連結目標数値
中長期の成長シナリオにおける『JT-2028 経営計画(2026年度~2028年度)』の位置づけといたしましては、100年企業、さらにその先を見据えた持続可能な経営体制への移行を目指すものであり、すなわち事業基盤の再構築であります。2028年度計画といたしまして、営業利益100億円以上、ROE7.0%以上を目指してまいります。
重点施策、資本政策は、以下のとおりであります。
A.リアル店舗事業の収益力強化
異業種とのコラボレーションも視野に店舗の利益創出力強化による店舗価値の再構築を強力に推進する
⇒利益を創出できる店舗数の拡大
B.PB商品への本格参入
お客さまから支持されるPB商品を新規に開発し、PB売上高構成比10%を目指すことにより、利益創出力の強化・商品回転率の最適化を同時に実現
⇒PB商品の事業拡大による家電事業全体の販売拡大
C.マーケティング機能の再構築
「Joshinブランド」の高い信用力とデジタルマーケティングの推進で顧客生涯価値の創出
課題とする女性・若年層ユーザーへのアプローチ強化による最適な顧客バランスの実現
⇒ドミナント戦略展開エリアにおける顧客エンゲージメントの深化による顧客生涯価値の創出
2028年度計画(2025年度比)・アクティブ会員数:年率1%UP
※アクティブ会員:1年間に1回以上当社で商品・サービスを購入されたお客さま
D.バランスシートマネジメント
リース会計基準改正も視野に資本コストや株価を意識した経営の実現に資する最適バランスを維持
FCF創出力の向上に資する「CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)」「交叉比率」の改善を推進
E.キャッシュアロケーション・株主還元
営業キャッシュ・フローをベースに将来の事業成長に資する積極的な投資と株主還元の両立を実行
DOEの採用による業績変動に左右されない安定的な還元を基本とし業績向上による増配を目指す
計画期間3カ年累計の営業キャッシュ・フロー 350億円~400億円
2028年度計画 配当性向 40.0%以上(2026年3月期78.9%)
ROE 7.0%以上(2026年3月期 3.1%)
DOE 2.5%以上(2026年3月期 2.5%)
F.政策保有株式
継続的な縮減を進めることで純資産割合を3.0%未満に低減し、資本効率のさらなる改善を目指す
特定投資株式貸借対照表計上額 30億円(2026年3月期53億円)
対連結純資産比率 3.0%未満(2026年3月期 5.1%)
G.資本コストや株価を意識した経営の実現
事業基盤の再構築による収益力の再強化と最適な資本政策の着実な実行によるPBRの改善