有価証券報告書-第54期(平成29年3月1日-平成30年2月28日)

【提出】
2018/05/24 11:47
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【項目】
110項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国の経済環境は、企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に、総じて個人消費の持ち直しが見受けられ、緩やかな景気回復基調で推移しました。一方、異常気象による影響や欧米経済の不安定な動向などの経済的リスクが依然として払拭できない状況が続いております。
外食産業におきましても、原材料価格の高騰や継続的な採用難・人財コストの上昇に加え、食の安全・安心を含めた品質を重視する選別消費の傾向が強まるなど、食の多様化による業種間の競合は一層厳しさを増しております。
このような状況の中、当社グループは野菜をはじめとする食材の国産化や新業態店舗の出店などにより、食の「安全・安心・健康」に継続して取り組んでまいりました。また、『全員参加で企業体質を改革しよう』をスローガンに、強固な企業体質づくりとともに、企業価値向上に努めてまいりました。
◆『5Sを磨きこみお客さまを増やす』
店舗のQSC(Q=クオリティ・S=サービス・C=クリンリネス)の原点である「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾」を意識した店舗運営をすることで、お客さま満足度向上に取り組んでまいりました。この取り組みの結果として、公益財団法人日本生産性本部 サービス産業生産性協議会が実施する2017年度「JCSI(日本版顧客満足度指数)」第1回調査の飲食部門にて、リンガーハットが顧客満足度1位に選ばれました。
◆『改善のスピードを上げてA+B+Cを実現する』
「あらゆる無駄を排除することによって経営効率の向上を図る」という基本的な考え方のもと、A部門(営業・外販)、B部門(生産・購買)、C部門(物流)の各部門が改善を重ね、単独部門での効率化を目指すだけではなく、部門間での連携を強化しながら業務の流れを短縮し、相乗効果を生むことで企業活動体制の効率化に取り組んでまいりました。
◆『人財を育成し時間当り採算を向上する』
「売上最大、経費最小、時間最短」という経営原則を基本とした、小集団(チーム)の独立採算制経営管理システムでは、「時間」もコストであるという考え方のもと、「時間当り採算」という重要指標を構成する最大の要素としての「人財」の育成に注力してまいりました。
人財育成とフィロソフィー理念の浸透共有を図るため、「フィロソフィー勉強会」を年24回開催し、全社員及びパート・アルバイトリーダーが受講しております。これにより、個々人のフィロソフィーを体現することで、社員個人の生活の充実とともに、当社グループのさらなる成長を目指すというモチベーションの向上にもつながっております。
また、当事業年度中には通算3回目となる従業員満足度調査を実施し、従業員の安定的な雇用確保やモチベーションの向上を図るとともに、当社グループ内におけるダイバーシティ(多様な人財の活躍)推進に役立てております。さらに、引き続き優秀なパート・アルバイト社員の店長登用制度を進めるとともに、女性が安心して職場で能力を発揮できる環境を整え、公私ともに充実した人生を支援するため、「リンガーハット ライフワークバランスBOOK」を作成、配布しています。
出店政策におきましては、積極的にスクラップアンドビルドを行うとともに、新業態開発にも取り組んでおります。
こだわりのおかずと定食が楽しめる「Ringer Deli」や自分好みでデリとヌードルを選べる「EVERY BOWL」、ショッピングセンターフードコート内のとんかつ業態であり、商品温度とおいしさにこだわった「とんかつ大學」など、これら新業態店舗の出店を含み、計46店舗(内、海外では台湾に1店舗、タイに2店舗、カンボジアに1店舗、インドネシアに1店舗、ハワイに1店舗)を新規出店いたしました。
一方で、35店舗を退店した結果、当連結会計年度末では国内で751店舗、海外で15店舗、合計766店舗(内、フランチャイズ店舗222店舗)となり、前連結会計年度比で11店舗の増加となりました。
売上高につきましては、西日本エリアでの価格改定を行いましたが、純既存店客数は前連結会計年度比で99.4%となり、純既存店売上高は前連結会計年度比101.5%となりました。しかしながら、原材料価格の高騰や運賃の上昇に加え、継続的な採用難による人財コストの上昇が続き、作業改善などの改善施策に取り組んでまいりましたが、高騰するコストを売上高の増加で吸収することができませんでした。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は456億82百万円(前連結会計年度比4.2%増)、営業利益は28億25百万円(同14.0%減)、経常利益は27億82百万円(同11.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は13億33百万円(同17.7%減)となりました。
セグメント別の概況は次のとおりであります。
<長崎ちゃんぽん事業>「長崎ちゃんぽんリンガーハット」では、北海道での台風被害のため安定供給確保が困難となり使用を中止していた国産コーンの使用を2017年10月から再開いたしました。また、岡山県・鳥取県以西(沖縄除く)の西日本エリア店舗にて価格改定を行いました。
商品施策としては、ご好評いただいている「まぜめんシリーズ」の新作である「牛・がっつりまぜめん」や、季節商品としては、夏にはアイドルグループとのコラボ商品「冷やしちゃんぽん エビ」を含む3種の「冷やしちゃんぽん」を、秋には定番の牡蠣「かきちゃんぽんみそ」と、えびとパクチーが香るスープを使用した「えびちゃんぽんトムヤム」を、冬には300gの国産白菜などを使用した「白菜ちゃんぽん 豆乳仕立て」を発売するなど、四季を通じて、お客さまにより喜んでいただける訴求力のある商品提供に努めてまいりました。
また、こだわりのおかずと定食が楽しめる「Ringer Deli」や自分好みでデリとヌードルを選べる「EVERY BOWL」など、お客さまに楽しんでいただけるような新業態の開発に努めてまいりました。
さらに、お客さまの利便性向上だけでなく、オペレーションの効率化と、サービスの向上の実効性を高めるため、電子機器メーカーと共同開発しコールベルと連動する画期的なセルフPOSレジの導入を開始いたしました。
新規出店では、国内ではショッピングセンターを中心に39店舗*1、海外ではカンボジアに初進出するなど6店舗*2を出店し、リロケートを含む31店舗を退店した結果、当連結会計年度末の店舗数は、国内で645店舗、海外で13店舗の計658店舗(うちフランチャイズ店舗204店舗)となりました。(*1新業態のEVERY BOWLを含む) (*2新業態のSobaya(米国ハワイ州)を含む)
以上の結果、売上高は347億62百万円(前連結会計年度比4.9%増)、営業利益は20億1百万円(同24.7%減)となりました。
<とんかつ事業>「とんかつ濵かつ」では、とんかつはシンプルな料理であるからこそ、厳選した「安全・安心」な食材にこだわり、そして「より多くのお客さまにお食事の楽しさを味わっていただくため、おいしいとんかつ料理を、いつでもおなかいっぱい召し上がっていただく」ことに努めてまいりました。
商品施策としては、春には「桜香るミルフィーユかつ」を、夏には「さっぱりとしたとんかつ」をコンセプトにした「梅しそ巻」と「わさびおろしロースかつ」を、秋冬には広島産牡蠣を使用した「かきふらい」など、四季折々を楽しめる季節商品の販売に努めてまいりました。
また、お盆提供実施店舗の拡大やタブレットを用いたセルフオーダーシステムの導入、自動ごはんおかわり機によるおかわりコーナーの設置など、提供時間の短縮とサービスの向上にも取り組んでまいりました。2017年4月には長崎の郷土料理「卓袱」を楽しめる「長崎卓袱浜勝」の内装を和洋折衷にし、観光客だけでなく地元のお客さまにも気軽にご利用いただける雰囲気の店舗へと全面的にリニューアルいたしました。
さらに、中食志向にも対応すべく、より保温性に優れる弁当容器を芝浦工業大学と共同研究し、ご自宅でも温かい状態のとんかつを楽しむことができるよう、お客さま満足度向上に取り組んでまいりました。
新規出店では、国内に新業態のとんかつ大學1店舗を出店し、4店舗を退店した結果、当連結会計年度末における店舗数は国内で106店舗*、海外で2店舗、合計108店舗(うちフランチャイズ店舗18店舗)となりました。(*和食業態の長崎卓袱浜勝を含む)
以上の結果、売上高は106億88百万円(前連結会計年度比2.2%増)、営業利益は6億32百万円(同22.4%増)となりました。
<設備メンテナンス事業>設備メンテナンス事業は、当社グループ内直営店舗及びフランチャイズ店舗の設備維持メンテナンスに係る工事受注や機器類の保全などが主な事業であり、売上高は19億73百万円(前連結会計年度比11.7%増)、営業利益は1億94百万円(同21.4%増)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ29億31百万円減少し、59億75百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は35億60百万円(前連結会計年度比0.4%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益21億49百万円があったこと及び減価償却費15億19百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は30億72百万円(同90.4%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出30億円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は34億61百万円(前連結会計年度は52億76百万円の資金収入)となりました。これは主に、短期借入金の減少14億5百万円及び長期借入金の返済による支出12億6百万円があったことによるものであります。