有価証券報告書-第54期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/21 15:21
【資料】
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【項目】
138項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は株主重視の開かれた経営を目指すとともに、創業以来の「お客様第一主義」を企業理念として、これまで長年にわたって培ってきた情報・通信分野のIT技術を基盤に、企業情報システムに関するシステムコンサルティング、設計・構築、運用サービスの幅広い分野において、お客様の経営戦略に貢献する高度で最適なITソリューションを提供し、信頼と価値を創造するIT総合サービス会社を目指してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社は、事業規模の拡大および利益の向上を重視するとともに、持続的な成長のための投資を実施していくことで、収益性と安定性のバランスの取れた経営を追求し、更なる企業価値の向上に努めてまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
① 中期経営計画の基本的な考え方
2023年3月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画では、サービスビジネスの更なる強化や、お客様の戦略的パートナーとしての地位確立のための業種・業態への知見の蓄積、既存および新規領域双方のアライアンス戦略を策定、推進します。また、これらの戦略を実行するため、持続的な成長に資する人的資本への投資とデジタル投資および強固なセキュリティの実現による経営基盤の強化に取り組みます。
② 中期経営計画の重点施策
・ お客様のDXに伴走する戦略的パートナーとしての業種・業態特化ビジネスの展開
・ お客様にとって最適となるサービスを実装したプラットフォームの提供
・ 資本・業務提携を含むアライアンスによる付加価値の協創と新規事業領域の開拓
・ 最先端テクノロジーを活用したグリーントランスフォーメーション(GX)への取り組み
・ 職場環境や処遇の改善、健康経営推進といったウェルビーイングの向上に加え、人財育成、女性活躍推進や採用人数の増加など持続的な成長に資する人的資本への投資
・ 健全な財務体質を維持しながらもデジタル投資および強固なセキュリティの実現による経営基盤の強化
③ 中期経営計画の数値目標
上記の重点施策を着実に実施することで、最終年度(2025年3月期)は以下の数値目標を目指してまいります。
経常利益 :135億円
ROE :12%以上
配当方針 :継続的な安定配当、配当性向50%以上
成長のための投資:3ヵ年で合計100億円程度

中期経営計画期間の3ヵ年(2022年4月~2025年3月)における最終年度の利益目標は「経常利益135億円」、「ROE12%以上」とします。株主の皆さまへの還元は、更なる企業価値向上を目的として、継続的な安定配当を基本方針とし、「配当性向50%以上」を目標とします。また、成長のための投資については、資本・業務提携を含むアライアンスや持続的な成長に資する人的資本への投資およびデジタル投資などによる経営基盤の強化のため「3ヵ年で合計100億円程度」を想定しています。
④ 事業ポートフォリオマネジメント
当社グループは、中期経営計画において事業ポートフォリオに関する基本的な方針を新たに策定しました。
今後は、「主力事業の深化と新規事業領域の開拓」の基本方針のもと、事業ポートフォリオ戦略を着実に実行し、中長期的な企業価値の向上とさらなる成長の実現に向け、取り組んでまいります。
・ 事業ポートフォリオ基本方針
KELグループは、中長期的な企業価値の向上とさらなる成長を実現すべく、「主力事業の深化と新規事業領域の開拓」を基本方針とし、高い収益性・成長性と激しい環境変化への耐性を兼ね備えた強靭な事業ポートフォリオの構築を目指します。
事業ポートフォリオに関する戦略の実行や見直しについては、定期的に取締役会で検討を行います。

⑤ サステナビリティの取り組み
当社は1968年の創業以来、半世紀以上にわたりテクノロジーを活用したお客様の課題解決を通じて、社会に貢献するとともに、持続的な成長を目指しています。
このたび、当社グループではESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮したサステナビリティ経営を推進するため、新たに「サステナビリティ基本方針」を長期的な指針として定めるとともに、SDGs(持続可能な開発目標)の17の目標に関わる、優先して取り組むべき4つの重点テーマを掲げることとしました。
これら社会的課題の解決に貢献し、今後60年、80年、100年と持続的に成長することを目指します。
・ サステナビリティ基本方針
KELグループは、「信頼と価値を創造するIT総合サービス会社を目指します。」という経営ビジョンのもと、持続可能な社会の実現を目指します。
・最先端テクノロジーを活用したイノベーションの創出によって、社会的課題を解決します。
・個の力の最大化と挑戦を促す環境の整備により新しい価値を創造し、ステークホルダーとの信頼関係を醸成します。
・グループガバナンスの強化を通じて、価値創造を支える健全で透明性の高い経営基盤を構築します。


・ SDGsの取り組み
重点テーマ関連するSDGs取り組み内容
最先端テクノロジーを実装した社会インフラの整備3.すべての人に健康と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
9.産業と技術革新の基盤を
つくろう


医療機関へのICTインフラ提供
教育機関向けの授業支援システム「Sakai」の提供
官公庁、自治体向けICTインフラ、セキュリティ強靭化
クラウドおよびサービス展開による環境負荷の低減7.エネルギーをみんなに
そしてクリーンに
9.産業と技術革新の基盤を
つくろう
12.つくる責任 つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を

仮想化やクラウド活用による機器集約、物理サーバーの減少
再生可能エネルギーで運営されたデータセンターの活用
デジタル/サイバーセキュリティ人財育成および働き方改革4.質の高い教育をみんなに
8.働きがいも 経済成長も
9.産業と技術革新の基盤を
つくろう
16.平和と公正をすべての人に


アライアンス企業との連携によるセキュリティ人財育成プロジェクト
リモートワーク推進のための仮想デスクトップ(VDI)環境構築
運用・保守フェーズからお客様を解放するKELマネージドサービスの展開
自社ビジネスのデジタル化推進による知見の還元8.働きがいも 経済成長も
9.産業と技術革新の基盤を
つくろう


新しい働き方に対応する次世代ネットワーク/セキュリティの導入
デジタルツールの活用・実装による社員の生産性向上
お客様やパートナー企業へ知見を還元するための自社内のスキル/マインド変革

(4) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
国内IT業界におきましては、サプライチェーンの混乱に伴う供給面の制約や半導体をはじめとする部材不足などの影響により不透明感が増す一方で、コロナ禍におけるニューノーマルの定着に伴い、ライフスタイルやワークスタイルの変化により企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)は一層加速しました。さらに、ランサムウェアなど高度化・多様化したサイバー攻撃の急増に伴うセキュリティ対策需要に加え、人手不足を背景とした業務効率化や自動化のための戦略的なIT投資は堅調に推移しました。
こうした環境の中、当社グループは、2020年3月期から2022年3月期までの3ヵ年の中期経営計画において、サービスビジネスの推進やアライアンス強化などの各種施策の実行と並行して、経営インフラの整備を推し進め、掲げた利益目標を達成いたしました。
当社グループは、さらなる企業価値の向上と持続的な成長に向け、2023年3月期から2025年3月期の3ヵ年を対象とする中期経営計画を策定しました。中期経営計画の3ヵ年では、サービスビジネスの競争力強化や、お客様の戦略的パートナーとしての地位確立のための業種・業態への知見の蓄積、既存および新規領域双方のアライアンス戦略を策定、推進します。また、これらの戦略を実行するため、持続的な成長に資する人的資本への投資とデジタル投資などによる経営基盤の強化に取り組みます。