有価証券報告書-第60期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/27 14:10
【資料】
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【項目】
85項目

業績等の概要


(1) 事業の経過及びその成果
当事業年度における小売業を取り巻く経済環境は、緩やかな景気回復基調ながらも、実質賃金の伸び悩みや社会保障費負担の増加など家計への不安を背景に個人消費は低迷し、一進一退で推移いたしました。また、人材採用難に伴う人件費の増加や建築コストの高騰など、厳しい経営環境にありました。
当期は第8次中期経営計画3ヶ年の2年目にあたり、「スーパーではなく『ヤオコー』と呼ばれる存在へ」をメインテーマに掲げ、「商品・販売戦略」、「運営戦略」、「育成戦略」、「出店・成長戦略」の4つの課題を柱に、当社の基本方針である「ミールソリューションの充実」と「価格コンシャスの強化」をベースとして、お客さまの「豊かで楽しい食生活」の実現に取組んでまいりました。
この結果、当事業年度の業績は以下のとおりとなりました。
売上高327,406百万円(前事業年度比 5.4%増)
営業利益14,520百万円(前事業年度比 4.8%増)
経常利益14,214百万円(前事業年度比 5.0%増)
当期純利益9,927百万円(前事業年度比 9.5%増)

これにより28期連続の増収増益を達成しております。
[商品・販売戦略]
商品面につきましては、引き続き新規商品開発を軸にミールソリューションの充実に注力いたしました。
特に、「Yes!YAOKO」(当社独自のプライベートブランド)及び「star select」(株式会社ライフコーポレーションとの共同開発プライベートブランド)は新たに108単品を発売するとともに、リニューアルによる活性化を推進いたしました。また、新たな産地開拓や中間物流を排除した直接買付による産地直送など、生鮮部門を中心に生産者様と共同で鮮度・品質の向上に取組んでまいりました。一部の商品においては、原料から調達した商品開発、海外における産地・供給先の開拓による直輸入商品の導入など、当社の独自化・差別化に繋がる品揃えを充実いたしました。
販売面につきましては、店舗における旬・主力商品の重点展開など販売力強化に注力し、商品面と両輪で「商品育成」を進めてまいりました。一方で、あらゆる年代層やライフスタイルを重視するお客さまからの支持拡大を図るべく、価格コンシャス強化の一環としてEDLP(常時低価格販売)政策に注力いたしました。
また、導入から5年が経過した「ヤオコーカード」をベースとするFSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)を活用し、ターゲットをより明確にした販促企画やマーケティングを展開いたしました。なお、当期末におけるヤオコーカード会員数は200万人を突破いたしました。
さらに、お客さま目線による従業員の接客意識の向上への取組みにも注力してまいりました。
[運営戦略]
作業工程の見直しをベースとした生産性向上モデルの水平展開を拡大する一方、セルフ精算レジ導入をはじめとするIT化・機器導入、アウトソーシングによる業務効率化を重点的に推進してまいりました。
また、デリカ・生鮮センターの活用度を高め、店舗での作業負担の軽減とともに、製造小売としての機能強化により商品価値向上を図り、商品力の強化に努めてまいりました。
[育成戦略]
人材育成の基盤として社内に「ヤオコー大学」を開設し、入社1年目から5年目までの教育カリキュラムの体系的な整備を行ない、計画的な運用を開始いたしました。また、スリランカとベトナムから受け入れた外国人技能実習生は、店舗及びデリカ・生鮮センターに配属され活躍しております。
[出店・成長戦略]
新規出店につきましては、4月に浦和中尾店(埼玉県さいたま市)、千葉ニュータウン店(千葉県白井市)、10月に柏南増尾店(千葉県柏市)、1月に藤沢片瀬店(神奈川県藤沢市)、3月に浦和美園店(埼玉県さいたま市)、藤岡店(群馬県藤岡市)の6店舗を開設いたしました(平成29年3月31日現在154店舗)。また、既存店の活性化策として、12月に中之条店(群馬県吾妻郡中之条町)、2月に行田門井店(埼玉県行田市)、3月に岡部店(埼玉県深谷市)の3店舗においてスクラップ&ビルドによるリニューアルを実施したほか、既存店10店舗について大型改装を実施いたしました。特に、旗艦店舗である川越南古谷店(埼玉県川越市)では、次世代の新店舗フォーマットづくりに向けたチャレンジを数多く採り入れております。
また、新規取組みとして農業事業の運営に着手いたしました。埼玉県熊谷市内に圃場を借り受け、10月より収穫を開始いたしました。朝収穫した野菜はただちに店舗へ配送され、店頭にて鮮度の高い状態で提供しております。
なお、当社は、スーパーマーケット事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。
(注)「ミールソリューション」とは、お客さまの毎日の食事の献立の提案や料理のアドバイスなど食事に関する問題の解決のお手伝いをすること。
「価格コンシャス」とは、お客さまが買い易い値段、値頃(ねごろ)を常に意識して価格設定を行なうこと。
「FSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)」とは、ロイヤルカスタマーの維持拡大を図るための販売促進に関するマーケティング政策のことで、ポイントカード等でお客さまの購買データを分析して、個々のお客さまに最も適した商品・サービスを提供すること。
「セルフ精算レジ」とは、商品の登録をレジ係員が行ない、会計はお客さまに精算機で行なっていただくレジのこと。
(2)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末より17,621百万円増加し、22,326百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は、15,805百万円(前期比377百万円増)となりました。これは主に、税引前当期純利益及び減価償却費の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は、23,267百万円(前期比8,030百万円増)となりました。これは主に、関係会社株式の売却による収入があったものの、新規店舗に係る投資及び既存店建物等の改装による支出があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は、25,083百万円(前期の使用した資金は2,242百万円)となりました。これは主に、長期借入金の借入によるものであります。