有価証券報告書-第55期(2024/04/01-2025/03/31)
(2)戦略
サステナビリティ全般
当社グループでは、CSV(共有価値の創造)並びにESG(環境・社会・企業統治)をキーワードとした“三方よし”経営の推進を掲げ、様々な取り組みを進めてまいりました。2021年度より、その取り組みを更に深化させ、SDGs(持続可能な開発目標)の17項目における具体的な取り組みを「Sチャレンジ」と銘打って推進してまいりました。「Sチャレンジ」の主な取り組みとして、国連WFP活動および日本WFP協会への支援としてレッドカップキャンペーンへ参加しております。また、本社屋上にソーラーパネルを設置し、電力の一部を供給するなど、クリーンエネルギーの導入にも努めてまいりました。2025年度はこれらの取り組みに加え、消費者庁、及び厚生労働省による「食べ残し持ち帰り促進ガイドライン」に沿って、食事の際に食べきれなかった料理をお客様にお持ち帰りいただく取り組みをはじめ、フードロス削減などについても継続的に協議を行い、「より良き社会・より良きサガミを次世代に」をテーマとして持続可能な社会実現の取り組みを推進してまいります。
気候変動
気候変動がもたらす食料問題の深刻化は、農産物や畜産物、水産資源等を原材料とする当社にとって、重要な課題といえます。また、自然災害の増加は、サプライチェーンの断絶を引き起こし、当社グループの事業に大きな影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループではTCFD提言に基づき、気候変動のリスクや機会を特定しております。脱炭素へ向けた移行リスク・機会については1.5℃シナリオ、気候変動進行による物理リスク・機会については4℃シナリオを用いて、将来のリスク・機会の影響度を評価しております。
影響度評価に用いたシナリオ
当社グループに影響を与える気候変動リスク・機会
リスクと機会の影響度評価を大、中、小で行い、対応策を実施します。事業への影響度と発現時期から、リスクの優先順位付けを行い、対応策を実施します。
※影響度 大:影響額5億円超、中:影響額1~5億円、小:影響額1億円未満
※発現時期 短期:3年未満、中期:3年超、長期:10年超
※影響度 中 以上のリスク・機会を掲載
※リスク・機会については必要とされる新たな情報を入手次第、見直しを実施
◇「カーボンプライシングによる操業コスト増加」等への対応
今後、炭素税等のカーボンプライシングが導入・強化された場合、操業コストが増加する可能性があります。IEA(国際エネルギー機関)の1.5℃シナリオに基づく分析結果より、欧州における炭素価格が影響をもたらし、日本を含むアジア諸国でも導入・強化が予測されており、当社グループの財務に一定の影響が生じることが見込まれます。
そのため、当社グループでは、カーボンプライシングや法規制強化への対応やエネルギーコスト低減に向け、営業店舗の主な照明設備のLED電球への切り替えや太陽光パネルの設置など温室効果ガス削減に向けた取り組みを進めております。ほかにも、廃棄物の削減・再資源化、プラスチックの削減、廃油の再利用などサプライチェーン全体での脱炭素に継続的に取り組んでおります。
◇「法規制強化への対応コスト増加」への対応
気候変動に対する国際社会の認識が高まる中、各国は炭素排出削減に向けた目標を設定しています。これらの政策変化に適応するため、当社は事業活動における低炭素化を推進しています。エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの導入、そして環境に配慮した商品開発を進めることで、企業価値の向上と地球環境への配慮を両立させることを目指します。
これらへの対応に伴う設備投資等のコストをシナリオに基づき見込んでおくことで、財務基盤を強化し、持続可能な経営を確立することができると考えております。
◇「ESG取り組み遅れによる投資家等からのESG評価低下」への対応
投資家からの信頼を獲得し、企業価値を高めるためには、透明性のある情報開示とESG経営への取り組みが不可欠です。当社グループは、持続可能な経営を通じて社会的責任を果たすための取り組みを推進し、市場が求める情報開示を継続して行います。これは、資本市場での信頼性を確立し、長期的な資金調達の基盤を強化するための重要な取り組みと考えております。
市場の動向は常に変化しており、お客様のニーズに合わせた商品やサービスの提供が求められています。当社グループは、市場の変化を敏感に捉え、商品開発とサービスの改善に努めます。お客様の期待を超える価値を提供することで、ブランドの魅力を高め、市場での競争力を維持します。これは、顧客満足度の向上とビジネスの成長を実現するための重要な戦略と位置付けております。
これにより、ブランド力を向上させ、市場での優位性を確保します。お客様との強い絆を築くことは、持続的な成長へ繋がると考えております。
◇「原材料価格の高騰・品質悪化」への対応
当社グループが扱う原材料は小麦や米等の主要穀物や農作物、海産物といった自然資産に依存するところが大きく、気候変動の影響により産地や収穫高の変化に加え、産地を中心とした需要の変化により長期的な価格変動が見込まれます。IEA及び主要先進国の調査機関によるグローバル統計に基づく価格モデルと将来需給予測により、価格高騰リスクを評価しております。
原材料のコスト上昇は、当社グループの利益率に直接影響を与え、特に主要な原材料の価格変動は商品価格に反映されることも予測されます。短期的な予測に加えて中長期的な気候変動に伴うグローバル需給の変化を定期的に分析評価した結果を踏まえ、お取引先様とこれまで以上に関係強化を図り安定的な価格と品質の調達を実現いたします。
原材料の調達戦略は、コストリスクを分散し、安定した供給体制を構築します。これにより、気候変動に強いビジネスモデル及びサプライチェーンを確立し、長期的な競争力を保つことができます。
◇「自然災害の激甚化による拠点損壊・サプライチェーン断絶・営業停止」への対応
気候変動により、洪水や高潮、台風等の自然災害が激甚化し、工場や店舗等の損壊・サプライチェーン断絶、営業停止等の被害が生じる可能性があります。
ハザードマップや洪水モデルを用いたシナリオ分析結果より、河川や沿岸部にある工場や店舗を中心に、被害が生じるリスクが存在します。また、気温上昇に伴い、今後、洪水等によるリスクが増大すると見込まれます。
これらは最新のハザードマップの情報を基に、国土交通省が公表している『TCFD提言における物理的リスク評価の手引き』に基づき定量的なリスク評価を行っており、中長期的な2030年や2050年までの発生確率を踏まえた期待値としての損害額予測においては事業インパクトが大きくはないものの、将来の100年確率相当の降雨が発生した場合には洪水被害により営業停止に伴う損害が相当程度見込まれるリスクも評価しております。
そのため、当社グループでは、自然災害への備えに向け、事業継続へ影響を及ぼす脅威を対象に、リスクマップを策定しております。有事の際、速やかな業務復旧ができるよう適宜見直しを実施しております。ほかにも、災害対策マニュアルの整備、設備の定期メンテナンスの実施、データセンターへのサーバー設置など、事業継続・早期復旧が図れるよう努めております。
また新店舗の選定時にも同じ手法を用い、現時点だけでなく4℃上昇シナリオに基づく将来の自然災害の激甚化を想定して物理的リスクの評価を盛り込んでおります。
◇「環境に配慮した商品の販売機会増加」への対応
当社グループでは、地産地消や国消国産といった環境に優しい取り組みを積極的に推進しております。地域や国内で生産された農作物をその地域や国内で消費することで、輸送距離が短縮され、エネルギー使用量やCO2排出量の削減につながるほか、地域経済の活性化にも寄与いたします。
当社グループの和食麺処サガミ部門では、国産のそばを使用しており、ネギは国内産地との契約取引も行っております。 また、一部店舗では岐阜県産の米 や愛知県内の指定農家の野菜を使用するなど、地域に根ざした国産食材の活用を進めています。さらに、自社製粉工場で生じるそば殻などの副産物は、名古屋コーチンの飼料の一部として再利用するなど、資源の有効活用にも取り組んでおります。
また、農家の高齢化や労働力不足等により、作物が育てられなくなった土地が長期間放置される「耕作放棄地」の問題が深刻化しております。
当社グループでは、北海道産そば「満天きらり」を使用した韃靼そばを販売しております。「満天きらり」は、韃靼そばの苦味を克服した日本開発の品種であり、ポリフェノールの一種である機能性成分ルチンが普通ソバ品種の約100倍含まれております。ルチンは、心臓疾患や動脈硬化、高血圧など、生活習慣病の予防に役立ち、高血圧の改善や血糖値の回復作用があるといわれております。
韃靼そばの生産者である株式会社神門は、2016年度「第8回耕作放棄地発生防止・解消活動表彰」において、農林水産大臣賞を受賞した事業主です。韃靼そばの新品種「満天きらり」を地域振興作物として定着させ、広大な耕作放棄地を韃靼そばの生産拠点に生まれ変わらせたことが評価されました。
当社グループが使用する韃靼そばは、健康増進に貢献するのみならず、耕作放棄地防止・解消による地域活性化や、国消国産を通じた環境負荷低減に寄与しております。今後、お客様の環境や健康に対する意識の高まりに伴い、環境問題の解決や健康増進に寄与する商品の販売機会が増加すると見込まれます。
◇「そば等の涼しさを感じられる商品の売上増加」
気候変動による気温上昇は、そばをはじめとする「冷たい麺」の需要増加につながります。夏の暑い時期においては「冷たい麺」のニーズは大きく高まり、特に麺線の細い冷たいそばについては、食欲減退”夏バテ”といわれる状況下において、お客様より評価をいただいております。
当社グループの冷たいそばの売上高と店舗が所在する都道府県の平均気温の相関分析を行ったところ、暑い時期ほど、冷たいそばの売上高が増加することを改めて確認できました。今後、気候変動により気温が上昇するにつれ、冷たいそばの売上高が増加することが見込まれます。
また、今後の経済環境を勘案すると、「低コスト(セルフ)そば業態」の伸張が予測される中でセルフそば業態においては、中小チェーン店は存在するものの、市場を寡占化する業態はまだありません。
現在の主力事業である和食麺処サガミ部門、味の民芸部門で展開する郊外型店舗のノウハウ・スキルとともに、自社のリソースを最大限活用することで、機会の具現化を進めてまいります。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
◇人的資本
人的資本への投資については、「食」と「職」の楽しさの創造、地域社会への貢献を当社経営理念に掲げ、社内フィロソフィを基として従業員一人ひとりの成長へ繋げております。また、役職別人材育成研修や役割等級別業務習得確認試験を年4回実施し、中核人材を目指す従業員育成およびレベルアップのための支援を実施しております。また、企業価値の向上や生産性の本質改革などの提案および取り組みに対し、社内表彰制度を設けており、従業員の意欲向上や評価に繋げております。
◇多様な人材の登用
当社グループでは、雇用形態に関わらず、人材および働き方や雇用におけるダイバーシティを推進しております。2025年6月時点において、当社役員における女性比率は30%を有しております。
またグループ全体の多様性については、全従業員9,904名(2025年3月31日時点の実数)に対し、女性従業員68.7%(6,801名)、外国人1.3%(124名)、正社員に対して中途採用者比率は33.0%(177名)であります。
すべての従業員が社内フィロソフィを共有し、一人ひとりが個性を発揮できる環境を整え企業成長に取り組んでおります。また、多様な人材が活躍できるように、非正規雇用者(以下、パートナー)からの正規雇用者(以下、社員)登用、社員からパートナーになり、再度社員になることを可能にする人事制度の導入や若手社員研修、外国人社員向け研修、嘱託社員対象の成果プレゼンテーションなどを実施しております。
◇女性活躍推進
新卒採用状況においても、直近5年間の女性比率は40%以上を維持しており、女性社員向けのリーダーシップ研修などを実施し、女性活躍の社内風土を醸成することで、意思決定層への女性参画を増やしてまいります。また、2018年9月より女性の活躍に向けた社内の意識改革・制度改革への取り組みとして「あいち女性輝きカンパニー」認証を取得しております。
◇人材育成方針
当社グループでは、人事制度や研修制度等を通じ、当社の将来を担う社員の育成に努めております。人事制度においては、継続的に見直しを行い、「社員のモチベーション向上」「経営の健全性の実現」「社員の安心感の維持向上」を目指した制度を運用しつつ、変化の激しい時代に対応する、柔軟かつ強靭な組織構築に向けた、人事制度の改革を進めております。
研修制度においては、集合型で行う研修やオンラインツールを活用したWeb研修を導入しており、次期管理職の育成に向けたキャリア研修・階層別研修を実施したほか、女性社員のみが参画する女性リーダーシップ研修も実施いたしました。
◇意欲的に働く環境づくりに対する取り組み
当社グループでは、従業員満足度向上に向けて、働く環境改善に関する取り組みの強化に努めております。具体的には、月に一度、安全衛生委員会を開催し、労働時間や休日取得、労災の発生状況などを確認し、担当部門長を通じて問題点の早期改善を行うことで、働きやすい環境づくりに取り組んでおります。
休日の取得においては、繁忙期前後(GW、お盆、年末年始)に全店休業日を設けることで、従業員の休日を確保するほか、4日間以上の連続休暇を年間3回取得するリフレッシュ休暇制度を設けております。また、営業時間の見直しによる長時間労働の抑制、勤務間インターバルの導入により、十分な休養を確保できる取り組みも行っております。
健康管理においては、社員の健康診断受診率が100%となるよう取り組んでおり、40歳以上の社員に対しては定期的な脳ドック検診及びがん検診を行っております。
サステナビリティ全般
当社グループでは、CSV(共有価値の創造)並びにESG(環境・社会・企業統治)をキーワードとした“三方よし”経営の推進を掲げ、様々な取り組みを進めてまいりました。2021年度より、その取り組みを更に深化させ、SDGs(持続可能な開発目標)の17項目における具体的な取り組みを「Sチャレンジ」と銘打って推進してまいりました。「Sチャレンジ」の主な取り組みとして、国連WFP活動および日本WFP協会への支援としてレッドカップキャンペーンへ参加しております。また、本社屋上にソーラーパネルを設置し、電力の一部を供給するなど、クリーンエネルギーの導入にも努めてまいりました。2025年度はこれらの取り組みに加え、消費者庁、及び厚生労働省による「食べ残し持ち帰り促進ガイドライン」に沿って、食事の際に食べきれなかった料理をお客様にお持ち帰りいただく取り組みをはじめ、フードロス削減などについても継続的に協議を行い、「より良き社会・より良きサガミを次世代に」をテーマとして持続可能な社会実現の取り組みを推進してまいります。
気候変動
気候変動がもたらす食料問題の深刻化は、農産物や畜産物、水産資源等を原材料とする当社にとって、重要な課題といえます。また、自然災害の増加は、サプライチェーンの断絶を引き起こし、当社グループの事業に大きな影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループではTCFD提言に基づき、気候変動のリスクや機会を特定しております。脱炭素へ向けた移行リスク・機会については1.5℃シナリオ、気候変動進行による物理リスク・機会については4℃シナリオを用いて、将来のリスク・機会の影響度を評価しております。
影響度評価に用いたシナリオ
| シナリオ概要 | 参照したシナリオ | |
| 1.5℃シナリオ | 産業革命以前と比較して、世界の平均気温上昇を1.5℃に抑える。目標実現に向け、厳しい環境規制が導入され、環境関連技術への大規模な投資が行われるシナリオ。 | ・国際エネルギー機関(IEA)NZE2050 ・NGFS Net Zero 2050 ・気候変動に関する政府間パネル(IPCC) SSP1-1.9 |
| 4℃シナリオ | 産業革命以前と比較して、世界の平均気温が4℃以上上昇。環境規制の導入が遅れ、温室効果ガスの排出が進み、気候変動が進行。豪雨や洪水等の異常気象が増加するシナリオ。 | ・気候変動に関する政府間パネル(IPCC) SSP5-8.5 ・NGFS各種シナリオ |
当社グループに影響を与える気候変動リスク・機会
リスクと機会の影響度評価を大、中、小で行い、対応策を実施します。事業への影響度と発現時期から、リスクの優先順位付けを行い、対応策を実施します。
| リスク・機会 | 事業への影響 | 将来の 影響度 | 発現時期 | ||
| 移行 リスク | 政策・ 法規制/ 技術 | カーボンプライシングによる操業コスト増加 | 炭素税等の導入・強化によって、炭素排出削減への対応が不十分な場合、操業コストが増加する可能性があります。 | 中 | 長期 |
| 法規制強化への対応コスト増加 | 環境法規制の強化によって、追加の設備投資や対応コストが必要となる可能性があります。 | 中 | 長期 | ||
| エネルギーコスト増加 | 脱炭素化に向けてエネルギー需要やエネルギー供給量が変化することにより、石油価格等が上昇し、原材料の調達から製造、物流、そして店舗運営に至るまでコスト増加を招く可能性があります。 | 中 | 短~長期 | ||
| 市場/ 評判 | ESG取り組み遅れによる投資家等からのESG評価低下 | ESGへの取り組みが遅れたことによりESG評価や株価の低下、ブランドイメージの低下等が起こることで、資金調達や来店客数に影響が出る可能性があります。 | 中 | 短~長期 | |
| 物理 リスク | 慢性 | 原材料価格の高騰・品質悪化 | 需要の拡大や、異常気象増加等による供給の変化等によって、米、小麦、植物油、蕎麦、水産資源等の価格が高騰・品質悪化する可能性があります。 | 大 | 短~長期 |
| 急性 | 自然災害の激甚化による拠点損壊・サプライチェーン断絶・営業停止 | 大規模な自然災害により、工場や店舗等の損壊・サプライチェーン断絶、営業停止等の被害が生じる可能性があります。 | 大 | 短~長期 | |
| 機会 | 市場/ 評判 | 環境に配慮した商品の販売機会増加 | 環境意識が高まった消費者のニーズに応える商品を開発することで、市場機会が増加し、売上が増加する可能性があります。 | 中 | 短~長期 |
| 慢性 | そば等の「冷たい麺」の売上増加 | 平均気温が上昇することにより、そばをはじめとする「冷たい麺」の需要が増加し、売上が増加する可能性があります。 | 小~中 | 短~長期 | |
※影響度 大:影響額5億円超、中:影響額1~5億円、小:影響額1億円未満
※発現時期 短期:3年未満、中期:3年超、長期:10年超
※影響度 中 以上のリスク・機会を掲載
※リスク・機会については必要とされる新たな情報を入手次第、見直しを実施
◇「カーボンプライシングによる操業コスト増加」等への対応
今後、炭素税等のカーボンプライシングが導入・強化された場合、操業コストが増加する可能性があります。IEA(国際エネルギー機関)の1.5℃シナリオに基づく分析結果より、欧州における炭素価格が影響をもたらし、日本を含むアジア諸国でも導入・強化が予測されており、当社グループの財務に一定の影響が生じることが見込まれます。
そのため、当社グループでは、カーボンプライシングや法規制強化への対応やエネルギーコスト低減に向け、営業店舗の主な照明設備のLED電球への切り替えや太陽光パネルの設置など温室効果ガス削減に向けた取り組みを進めております。ほかにも、廃棄物の削減・再資源化、プラスチックの削減、廃油の再利用などサプライチェーン全体での脱炭素に継続的に取り組んでおります。
◇「法規制強化への対応コスト増加」への対応
気候変動に対する国際社会の認識が高まる中、各国は炭素排出削減に向けた目標を設定しています。これらの政策変化に適応するため、当社は事業活動における低炭素化を推進しています。エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの導入、そして環境に配慮した商品開発を進めることで、企業価値の向上と地球環境への配慮を両立させることを目指します。
これらへの対応に伴う設備投資等のコストをシナリオに基づき見込んでおくことで、財務基盤を強化し、持続可能な経営を確立することができると考えております。
◇「ESG取り組み遅れによる投資家等からのESG評価低下」への対応
投資家からの信頼を獲得し、企業価値を高めるためには、透明性のある情報開示とESG経営への取り組みが不可欠です。当社グループは、持続可能な経営を通じて社会的責任を果たすための取り組みを推進し、市場が求める情報開示を継続して行います。これは、資本市場での信頼性を確立し、長期的な資金調達の基盤を強化するための重要な取り組みと考えております。
市場の動向は常に変化しており、お客様のニーズに合わせた商品やサービスの提供が求められています。当社グループは、市場の変化を敏感に捉え、商品開発とサービスの改善に努めます。お客様の期待を超える価値を提供することで、ブランドの魅力を高め、市場での競争力を維持します。これは、顧客満足度の向上とビジネスの成長を実現するための重要な戦略と位置付けております。
これにより、ブランド力を向上させ、市場での優位性を確保します。お客様との強い絆を築くことは、持続的な成長へ繋がると考えております。
◇「原材料価格の高騰・品質悪化」への対応
当社グループが扱う原材料は小麦や米等の主要穀物や農作物、海産物といった自然資産に依存するところが大きく、気候変動の影響により産地や収穫高の変化に加え、産地を中心とした需要の変化により長期的な価格変動が見込まれます。IEA及び主要先進国の調査機関によるグローバル統計に基づく価格モデルと将来需給予測により、価格高騰リスクを評価しております。
原材料のコスト上昇は、当社グループの利益率に直接影響を与え、特に主要な原材料の価格変動は商品価格に反映されることも予測されます。短期的な予測に加えて中長期的な気候変動に伴うグローバル需給の変化を定期的に分析評価した結果を踏まえ、お取引先様とこれまで以上に関係強化を図り安定的な価格と品質の調達を実現いたします。
原材料の調達戦略は、コストリスクを分散し、安定した供給体制を構築します。これにより、気候変動に強いビジネスモデル及びサプライチェーンを確立し、長期的な競争力を保つことができます。
◇「自然災害の激甚化による拠点損壊・サプライチェーン断絶・営業停止」への対応
気候変動により、洪水や高潮、台風等の自然災害が激甚化し、工場や店舗等の損壊・サプライチェーン断絶、営業停止等の被害が生じる可能性があります。
ハザードマップや洪水モデルを用いたシナリオ分析結果より、河川や沿岸部にある工場や店舗を中心に、被害が生じるリスクが存在します。また、気温上昇に伴い、今後、洪水等によるリスクが増大すると見込まれます。
これらは最新のハザードマップの情報を基に、国土交通省が公表している『TCFD提言における物理的リスク評価の手引き』に基づき定量的なリスク評価を行っており、中長期的な2030年や2050年までの発生確率を踏まえた期待値としての損害額予測においては事業インパクトが大きくはないものの、将来の100年確率相当の降雨が発生した場合には洪水被害により営業停止に伴う損害が相当程度見込まれるリスクも評価しております。
そのため、当社グループでは、自然災害への備えに向け、事業継続へ影響を及ぼす脅威を対象に、リスクマップを策定しております。有事の際、速やかな業務復旧ができるよう適宜見直しを実施しております。ほかにも、災害対策マニュアルの整備、設備の定期メンテナンスの実施、データセンターへのサーバー設置など、事業継続・早期復旧が図れるよう努めております。
また新店舗の選定時にも同じ手法を用い、現時点だけでなく4℃上昇シナリオに基づく将来の自然災害の激甚化を想定して物理的リスクの評価を盛り込んでおります。
◇「環境に配慮した商品の販売機会増加」への対応
当社グループでは、地産地消や国消国産といった環境に優しい取り組みを積極的に推進しております。地域や国内で生産された農作物をその地域や国内で消費することで、輸送距離が短縮され、エネルギー使用量やCO2排出量の削減につながるほか、地域経済の活性化にも寄与いたします。
当社グループの和食麺処サガミ部門では、国産のそばを使用しており、ネギは国内産地との契約取引も行っております。 また、一部店舗では岐阜県産の米 や愛知県内の指定農家の野菜を使用するなど、地域に根ざした国産食材の活用を進めています。さらに、自社製粉工場で生じるそば殻などの副産物は、名古屋コーチンの飼料の一部として再利用するなど、資源の有効活用にも取り組んでおります。
また、農家の高齢化や労働力不足等により、作物が育てられなくなった土地が長期間放置される「耕作放棄地」の問題が深刻化しております。
当社グループでは、北海道産そば「満天きらり」を使用した韃靼そばを販売しております。「満天きらり」は、韃靼そばの苦味を克服した日本開発の品種であり、ポリフェノールの一種である機能性成分ルチンが普通ソバ品種の約100倍含まれております。ルチンは、心臓疾患や動脈硬化、高血圧など、生活習慣病の予防に役立ち、高血圧の改善や血糖値の回復作用があるといわれております。
韃靼そばの生産者である株式会社神門は、2016年度「第8回耕作放棄地発生防止・解消活動表彰」において、農林水産大臣賞を受賞した事業主です。韃靼そばの新品種「満天きらり」を地域振興作物として定着させ、広大な耕作放棄地を韃靼そばの生産拠点に生まれ変わらせたことが評価されました。
当社グループが使用する韃靼そばは、健康増進に貢献するのみならず、耕作放棄地防止・解消による地域活性化や、国消国産を通じた環境負荷低減に寄与しております。今後、お客様の環境や健康に対する意識の高まりに伴い、環境問題の解決や健康増進に寄与する商品の販売機会が増加すると見込まれます。
◇「そば等の涼しさを感じられる商品の売上増加」
気候変動による気温上昇は、そばをはじめとする「冷たい麺」の需要増加につながります。夏の暑い時期においては「冷たい麺」のニーズは大きく高まり、特に麺線の細い冷たいそばについては、食欲減退”夏バテ”といわれる状況下において、お客様より評価をいただいております。
当社グループの冷たいそばの売上高と店舗が所在する都道府県の平均気温の相関分析を行ったところ、暑い時期ほど、冷たいそばの売上高が増加することを改めて確認できました。今後、気候変動により気温が上昇するにつれ、冷たいそばの売上高が増加することが見込まれます。
また、今後の経済環境を勘案すると、「低コスト(セルフ)そば業態」の伸張が予測される中でセルフそば業態においては、中小チェーン店は存在するものの、市場を寡占化する業態はまだありません。
現在の主力事業である和食麺処サガミ部門、味の民芸部門で展開する郊外型店舗のノウハウ・スキルとともに、自社のリソースを最大限活用することで、機会の具現化を進めてまいります。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
◇人的資本
人的資本への投資については、「食」と「職」の楽しさの創造、地域社会への貢献を当社経営理念に掲げ、社内フィロソフィを基として従業員一人ひとりの成長へ繋げております。また、役職別人材育成研修や役割等級別業務習得確認試験を年4回実施し、中核人材を目指す従業員育成およびレベルアップのための支援を実施しております。また、企業価値の向上や生産性の本質改革などの提案および取り組みに対し、社内表彰制度を設けており、従業員の意欲向上や評価に繋げております。
◇多様な人材の登用
当社グループでは、雇用形態に関わらず、人材および働き方や雇用におけるダイバーシティを推進しております。2025年6月時点において、当社役員における女性比率は30%を有しております。
またグループ全体の多様性については、全従業員9,904名(2025年3月31日時点の実数)に対し、女性従業員68.7%(6,801名)、外国人1.3%(124名)、正社員に対して中途採用者比率は33.0%(177名)であります。
すべての従業員が社内フィロソフィを共有し、一人ひとりが個性を発揮できる環境を整え企業成長に取り組んでおります。また、多様な人材が活躍できるように、非正規雇用者(以下、パートナー)からの正規雇用者(以下、社員)登用、社員からパートナーになり、再度社員になることを可能にする人事制度の導入や若手社員研修、外国人社員向け研修、嘱託社員対象の成果プレゼンテーションなどを実施しております。
◇女性活躍推進
新卒採用状況においても、直近5年間の女性比率は40%以上を維持しており、女性社員向けのリーダーシップ研修などを実施し、女性活躍の社内風土を醸成することで、意思決定層への女性参画を増やしてまいります。また、2018年9月より女性の活躍に向けた社内の意識改革・制度改革への取り組みとして「あいち女性輝きカンパニー」認証を取得しております。
◇人材育成方針
当社グループでは、人事制度や研修制度等を通じ、当社の将来を担う社員の育成に努めております。人事制度においては、継続的に見直しを行い、「社員のモチベーション向上」「経営の健全性の実現」「社員の安心感の維持向上」を目指した制度を運用しつつ、変化の激しい時代に対応する、柔軟かつ強靭な組織構築に向けた、人事制度の改革を進めております。
研修制度においては、集合型で行う研修やオンラインツールを活用したWeb研修を導入しており、次期管理職の育成に向けたキャリア研修・階層別研修を実施したほか、女性社員のみが参画する女性リーダーシップ研修も実施いたしました。
◇意欲的に働く環境づくりに対する取り組み
当社グループでは、従業員満足度向上に向けて、働く環境改善に関する取り組みの強化に努めております。具体的には、月に一度、安全衛生委員会を開催し、労働時間や休日取得、労災の発生状況などを確認し、担当部門長を通じて問題点の早期改善を行うことで、働きやすい環境づくりに取り組んでおります。
休日の取得においては、繁忙期前後(GW、お盆、年末年始)に全店休業日を設けることで、従業員の休日を確保するほか、4日間以上の連続休暇を年間3回取得するリフレッシュ休暇制度を設けております。また、営業時間の見直しによる長時間労働の抑制、勤務間インターバルの導入により、十分な休養を確保できる取り組みも行っております。
健康管理においては、社員の健康診断受診率が100%となるよう取り組んでおり、40歳以上の社員に対しては定期的な脳ドック検診及びがん検診を行っております。