有価証券報告書-第28期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/23 10:11
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【項目】
104項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済対策や金融政策によって企業収益と雇用環境に穏やかな改善が見られました。しかしながら金融資本市場の変動や不安定な為替動向による企業業績への影響懸念、英国の欧州連合(EU)離脱問題や中国をはじめとするアジア新興国の景気下ぶれリスクなど、先行き不透明な状況が継続しています。家計消費支出も弱含みが続き、消費マインドも軟調な推移となりました。
衣料品小売業界においても、消費者物価の上昇や景況感への不安を背景にお客様の節約志向や慎重な購買行動が継続しています。訪日外国人による免税需要に回復傾向は見られるものの、長引く残暑や春先の気温低下をはじめとする不安定な気象動向が衣料消費に響き、非常に厳しい状況となりました。
このような状況の下、当社は平成29年3月期の単年度経営方針として「お客様大満足から大感動へ!」を掲げ、この達成に向け「ココロを動かすモノ作り:基本商品政策の励行による企画MD力向上」、「驚くほど便利で使いやすいEC:UAにしか出来ないECサービスのご提供」、「感動レベルの接客体験:創造的商人を輩出する風土づくり」の3つの重点取組施策を定めました。これらの施策の推進により、実店舗とネット通販を自由に使い分け、いつでもどこでも欲しい商品を入手できる現在において、商品を購入すること以上の心に響く感動をお客様に提供することを目指しました。
「ココロを動かすモノ作り:基本商品政策の励行による企画MD力向上」では、基本商品政策の見直しによる商品力強化に加え、当社グループのブランドポートフォリオ再整備によるMDの最適化に向けた取り組みに着手しました。気候の変動に応じて柔軟なMD進行をとったことで、既存店売上高は下半期から改善傾向となりました。
「驚くほど便利で使いやすいEC:UAにしか出来ないECサービスのご提供」では、売れ筋商品を中心にネット通販店舗への在庫供給を増やして販売機会ロスを軽減させた結果、当連結会計年度の単体ネット通販売上高前期比は24.2%増となりました。平成28年8月には自社ハウスカード会員とオンラインストア会員の統合とポイントサービスの一元化を行い、会員数の増加と売上の向上につなげたほか、平成29年4月に実施いたしましたブランドサイトと自社オンラインストアの統合リニューアルに向けた準備を進めました。
「感動レベルの接客体験:創造的商人を輩出する風土づくり」については、先輩社員が新入社員に教育を行うエデュケーター・スチューデント制度の再構築を行いました。各事業においても店長研修などの教育を行い、接客力向上に向けた取り組みを進めています。
出退店では、ユナイテッドアローズ事業:5店舗の出店、3店舗の退店、グリーンレーベルリラクシング事業:1店舗の出店、1店舗の退店、スモールビジネスユニット:4店舗の出店、9店舗の退店、アウトレット:2店舗の出店、1店舗の退店を実施しました。なお、10月1日付けの会社分割による当社連結子会社のCHROME HEARTS JP 合同会社へのクロムハーツ事業の承継に伴い、同事業の10店舗については、同子会社の運営に移りました。以上の結果、当連結会計年度末の小売店舗数は218店舗、アウトレットを含む総店舗数は242店舗となりました。
連結子会社の株式会社フィーゴは、売上高が若干前期を下回ったものの、為替の影響等により売上総利益率が改善した結果、増益となりました。なお1店舗の出店、2店舗の退店により当連結会計年度末の直営店舗数は17店舗となりました。
連結子会社の株式会社コーエン(決算月:1月)は、ネット通販が好調に推移したものの、実店舗の販売が苦戦し、値引き販売が増加した結果、増収減益となりました。なお出退店では8店舗の出店を実施し、当連結会計年度末の店舗数は87店舗となりました。
連結子会社の台湾聯合艾諾股份有限公司(決算月:1月)は、SNSの活用による販売促進や台湾のお客様の嗜好に合わせた商材の展開等により、概ね計画に沿った業績進捗となりました。また、第2四半期より台湾において自社ECサイトをオープンいたしました。なお、当連結会計年度末の店舗数は3店舗です。
連結子会社の株式会社Designs(決算月:1月)は、平成28年10月に高感度ウィメンズブランド「ブラミンク」の第1号店をオープンし、当連結会計年度末の店舗数は1店舗となりました。
平成28年7月1日に設立した連結子会社のCHROME HEARTS JP 合同会社(決算月:12月)については、前述のとおり株式会社ユナイテッドアローズからのクロムハーツ事業の承継に伴い、同事業の10店舗について10月1日付けで当連結子会社の運営に移っております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高については、新店出店に伴う増収、ネット通販の伸長等により、前期比3.3%増の145,535百万円となりました。なお、株式会社ユナイテッドアローズにおける小売+ネット通販既存店売上高前期比は102.0%となりました。売上総利益率は為替の影響等により、前期から0.2ポイント改善し51.0%となり、売上総利益額は前期比3.6%増の74,155百万円となりました。販売費及び一般管理費は、グループ各社の欠員補充等に伴う人件費の増、㈱ユナイテッドアローズの大型出店等に伴う宣伝販促費の増等により前期比7.4%増の64,990百万円となりました。
以上により、当連結会計年度の営業利益は9,165百万円(前期比17.2%減)、経常利益は9,420百万円(前期比15.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,191百万円(前期比20.1%減)となりました。

(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ168百万円減少し、当連結会計年度末には、5,630百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は4,868百万円(前連結会計年度比58.3%減)となりました。
収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益8,054百万円、減価償却費1,865百万円であり、支出の主な内訳は、たな卸資産の増加額2,244百万円および法人税等の支払額4,520百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は4,511百万円(前連結会計年度比34.6%増)となりました。
これは、主に新規出店および改装等に伴う有形固定資産の取得3,090百万円および差入保証金の差入による支出732百万円等があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は508百万円(前連結会計年度比93.8%減)となりました。
これは、短期借入金の純増加額が4,150百万円、長期借入れによる収入が6,000百万円等があった一方、長期借入金の返済による支出が2,504百万円、自己株式の取得による支出6,017百万円、配当金の支払額2,356百万円等があったこと等によるものであります。