有価証券報告書-第25期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/25 10:21
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済対策および金融政策によって円安が進行し、輸出関連企業の業績に改善傾向が見られました。また株価上昇に伴い景気回復への期待感が高まるなど、国内経済は徐々に明るさを増しております。一方、海外景気の下振れ懸念や円安による輸入資材の価格上昇、商品価格の高騰、光熱費の上昇などに伴う景気後退リスクも依然残っております。
衣料品小売業界におきましては消費者マインドの持ち直しが見られ、百貨店の高額品を中心に好調な動きが見られたものの、春先の低気温、記録的猛暑や相次ぐ台風の上陸、記録的な積雪などの天候不順に伴い、不安定な状況が継続いたしました。一部の商品では平成26年4月の消費税率引上げに伴う駆け込み需要が見られたものの、その後の反動が懸念されるなど、先行きの不透明感は継続しております。
このような状況の下、株式会社ユナイテッドアローズにおきましては、平成26年3月期の単年度経営スローガンとして「『チャレンジ』、進化、成長し続ける既存事業の磐石な収益基盤の下、新規事業開発を通じた新たな価値創造へのチャレンジ、増収増益・3期連続最高益更新へのチャレンジ」を掲げております。このスローガンの達成に向け、以下の4つの全社方針を着実に推進いたしました。
① 進化、成長し続ける既存事業への『チャレンジ』
既存事業につきまして、社会潮流の変化に対応してお客様のニーズを捉え、競争力の源泉である「ヒト・モノ・ウツワ」の進化を通じて新たな価値を提供し続けてまいりました。商品・販売・宣伝部門の連携を強化し、お客様の声を活かした商品を適時適量に投入することで、単体の売上高は前期比10.9%増の118,212百万円となったほか、小売+ネット通販既存店売上高前期比は4.0%増と大きく伸長いたしました。
② 新規事業開発への『チャレンジ』
当社は、再成長に向けて新たな挑戦をするための体制が整ったと判断し、一時的に休止していた新規事業開発を平成25年3月期より再開いたしました。当事業年度においては、ビューティ&ユース ユナイテッドアローズの事業内事業としてニューヨーク発のセレクトショップ「スティーブン アラン」、スモールビジネスユニットとしてメンズ・ウィメンズの高感度セレクトショップ「アストラット」、ウィメンズシューズ事業の「ボワソンショコラ」 の出店を開始したほか、ユナイテッドアローズの事業内事業としてメンズ事業の「ボウ & アローズ」、スモールビジネスユニットとしてファッションとスポーツを軸に編集した「アンルート」の出店に向けた準備を開始いたしました。海外展開につきましては、8月に海外子会社の「台湾聯合艾諾股份有限公司」を台湾に設立し、10月には初の海外直営店となる「ユナイテッドアローズ台北店」を出店したほか、平成26年5月の「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ台北店」の出店に向けた準備を進めました。
③ O2Oリーディングカンパニーへの『チャレンジ』
O2O(※)とは、実店舗(オフライン)とインターネット(オンライン)との購買活動を相互に連携・補完し合うことにより顧客満足を高める施策を指します。スマートフォンなどの新しい通信機器の普及や、個々のお客様にあわせて商品を推薦する機能などの進化によってネット通販が浸透し、O2Oはファッション業界にとって欠かすことのできないキーワードの一つになりました。平成26年3月期はこれを戦略課題に位置づけ、実店舗とネット通販の連携強化に向けた新たな取り組みとして「ユナイテッドアローズ オンラインストア」のスマートフォンアプリの開発に加え、同オンラインストア上から実店舗への商品取り寄せサービスを、一部店舗において開始いたしました。
※O2O=オー・ツー・オー/Online to Offline
④ 生産性向上による利益拡大への飽くなき『チャレンジ』
既存事業の強化や新規事業の開発を行う一方、管理面では、引き続きメリハリのあるコストコントロールと業務効率改善による生産性向上に向けた取り組みを推進いたしました。円安に伴う売上総利益率の低下を補うべく全社的なコストコントロールを推進した結果、単体の売上高販管費率は前期の43.1%から1.2ポイント低減し41.9%となりました。
出退店では、ユナイテッドアローズ事業:7店舗の出店、1店舗の退店、グリーンレーベルリラクシング事業:7店舗の出店、2店舗の退店、クロムハーツ事業:1店舗の出店、スモールビジネスユニット:12店舗の出店、1店舗の退店、アウトレット:1店舗の出店を実施し、当事業年度末の小売店舗数は213店舗、アウトレットを含む総店舗数は232店舗となりました。(期末店舗数にはグリーンレーベルリラクシング事業において年度末日に退店した1店舗が含まれております。)
連結子会社の株式会社フィーゴは、今後の売上拡大に向け、イタリアのファッションブランドであるアルベルトアスペジ社(ALBERTO ASPESI & C. S.p.A.)、「アルエロデザイン」のブランド名でアイウェアの製造・卸事業を展開するイタリアのコーンセプト社(COONCEPT srl)、およびアウターウェアブランド「ハンコック」を取り扱う英国のトーマスハンコック社(THOMAS HANCOCK & COMPANY LIMITED)からそれぞれ日本における独占輸入販売権を取得したほか、イタリアのアキーレピント社(Achille Pinto S.p.A.)とファッションアクセサリーブランド「ピエール・ルイ マシア」の日本における独占輸入販売契約を締結いたしました。業績につきましては、卸売、小売およびネット通販が好調に推移したことで増収となりましたが、円安の影響に伴う売上総利益率の減ならびに営業・管理体制の強化や新規ブランド獲得に向けた先行コストの発生等により減益となりました。出退店ではフェリージ2店舗の出店を実施したほか、アスペジ・ジャパン株式会社より3店舗を継承し、当事業年度末の直営店舗数は17店舗となりました。
連結子会社の株式会社コーエン(決算月:1月)は、新規出店に伴う増収のほか、ネット通販が堅調に推移し増収となりましたが、円安の影響や値引き販売の増等に伴う売上総利益率の減や、当事業年度において17店舗の新規出店を実施したこと等による販管費の増に伴い減益となりました。出退店では前述の17店舗の出店のほか、3店舗の退店を実施し、当事業年度末の店舗数は65店舗となりました。
連結子会社の台湾聯合艾諾股份有限公司(決算月:1月)は8月の会社設立後、10月に海外初の直営店「ユナイテッドアローズ 台北店」を出店いたしました。
なお、グループ全体では当連結会計年度に51店舗の出店、7店舗の退店を実施し、当連結会計年度末の店舗数は315店舗となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高につきましては、新店出店に伴う増収、既存店およびネット通販の伸長等により、前期比11.7%増の128,489百万円となりました。売上総利益率は円安の影響等に伴い、前期から1.1ポイント減の53.3%となりましたが、売上高の伸長に伴い売上総利益額につきましては前期比9.4%増の68,492百万円となりました。販売費及び一般管理費につきましては、業容の拡大に伴い、前期比9.6%増の54,842百万円となりましたが、販売費及び一般管理費率につきましては、期中の経費抑制等により、前期から0.8ポイント減の42.7%となりました。
以上により、当連結会計年度の営業利益は13,649百万円(前期比8.7%増)、経常利益は13,739百万円(前期比9.2%増)、当期純利益は7,920百万円(前期比8.3%増)となりました。なお、営業利益、経常利益、当期純利益につきましては、3期連続で過去最高益を更新いたしました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ712百万円減少し、当連結会計年度末には、5,429百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は6,828百万円(前連結会計年度比30.4%増)となりました。
収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益13,274百万円、減価償却費1,711百万円および仕入債務の増加額658百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額949百万円、たな卸資産の増加額2,851百万円および法人税等の支払額4,517百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は3,072百万円(前連結会計年度比12.9%減)となりました。
これは、主に新規出店および改装等に伴う有形固定資産の取得2,067百万円および差入保証金の差入による支出652百万円等があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は4,472百万円(前連結会計年度比26.6%増)となりました。
これは、短期借入金の純増加額が400百万円あった一方、長期借入金の返済による支出3,091百万円、配当金の支払額1,843百万円等があったこと等によるものであります。