有価証券報告書-第55期(2024/03/01-2025/02/28)
③ 戦略
当社では、気候変動による平均気温の上昇と、それに伴う社会情勢の変化や災害リスクを重要視し、対策を進めることとしています。その一環として、気候変動がもたらす短期・中期・長期それぞれの「リスク」と「機会」を特定し、シナリオ分析を実施しています。
シナリオとしては、1.5℃シナリオと4℃シナリオの2つを参照しました。これは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル, Intergovernmental Panel on Climate Change)第6次報告書やCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)でみられるように、産業革命期からの地球の平均気温の上昇を1.5℃に抑える水準で取り組みが国際的に求められている点を考慮しています。
今回、政府や国際機関が発行した将来予測に関するレポートを参考に、気候変動がもたらす移行リスク(政策・法規制、市場、評判)、物理リスク(急性、慢性)、ならびに気候変動への適切な対応による機会(製品及びサービス、市場、レジリエンス)について、網羅的な検討を行いました。
a.シナリオの前提
b.シナリオ分析の対象範囲
c.シナリオ分析結果
<リスク>
<機会>
d.財務インパクトの開示
<炭素税の導入>
当社では、気候変動による平均気温の上昇と、それに伴う社会情勢の変化や災害リスクを重要視し、対策を進めることとしています。その一環として、気候変動がもたらす短期・中期・長期それぞれの「リスク」と「機会」を特定し、シナリオ分析を実施しています。
シナリオとしては、1.5℃シナリオと4℃シナリオの2つを参照しました。これは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル, Intergovernmental Panel on Climate Change)第6次報告書やCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)でみられるように、産業革命期からの地球の平均気温の上昇を1.5℃に抑える水準で取り組みが国際的に求められている点を考慮しています。
今回、政府や国際機関が発行した将来予測に関するレポートを参考に、気候変動がもたらす移行リスク(政策・法規制、市場、評判)、物理リスク(急性、慢性)、ならびに気候変動への適切な対応による機会(製品及びサービス、市場、レジリエンス)について、網羅的な検討を行いました。
a.シナリオの前提
| リスク種類 | 設定シナリオ | 参照シナリオ | 概要 |
| 移行リスク | 1.5℃ シナリオ | 国際エネルギー機関(IEA), 「World Energy Outlook 2022」Net Zero Emissions by 2050 Scenario (NZEシナリオ) | 21世紀までの平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えるシナリオ。 持続可能な発展を実現するため、大胆な政策や技術革新が起こり、その分脱炭素社会への移行にともなう社会変化が事業に影響を及ぼす可能性が高くなる。 |
| 物理的リスク | 4℃ シナリオ | 気候変動に関する政府間パネル(IPCC), 「IPCC第6次評価報告書(AR6)SSP5-8シナリオ」 環境省「気候変動による災害激甚化に関する影響評価結果について~地球温暖化が進行した将来の台風の姿~」 | 21世紀までの平均気温の上昇が4℃程度上昇する。 成り行き任せに近く、社会の変化は起こらないが、気候変動に伴う異常気象や災害が事業に影響を及ぼす可能性が高くなる。 |
b.シナリオ分析の対象範囲
| 項目 | シナリオ分析対象範囲 |
| 地域 | 国内(沖縄県) |
| 対象事業範囲 | 小売事業(上流・下流のサプライチェーン全体を含む) |
| 企業範囲 | 連結全体 |
| 時間軸の定義 | 短期(現在~2025年)、中期(2030年頃)、長期(2050年頃)を想定 |
| 試算方法 | 2030年時点での単年の財務インパクトを試算 |
c.シナリオ分析結果
<リスク>
| リスク種類 | 区分 | リスク項目 | 時間軸 | 影響 | 影響度 |
| 移行リスク | 政策・ 法規制 | 炭素税の導入 | 中期 | ・高額な炭素税が導入され、CO₂排出量に対して炭素税の負担が発生 ・サプライチェーンを通じてコスト増が見込まれる | 大 |
| 商品の原材料に対する規制強化 | 中・長期 | 化石資源由来の材料への規制が強まり、再生素材やリサイクル素材への切替コストが発生 | 中 | ||
| 情報開示義務の範囲拡大 | 短期 | 開示拡大に伴うコストが増加(TCFD、国内サステナビリティ開示の義務化) | 中 | ||
| 技術 | 省エネ・低炭素技術導入の遅延 | 中・長期 | 既存設備から高効率/低炭素なエネルギー設備への変更が遅れることにより、エネルギー使用金額が余計に発生する。 | 大 | |
| 市場 | エネルギーミックスや需要の変化 | 短・中期 | エネルギー需要のひっ迫により電力調達コストが上昇し光熱費が増加、再エネ調達需要の高まりにより価格が上昇し、財務的負担が増加する。 | 大 | |
| お客さまの行動の変化 | 中・長期 | 専門店のエネルギー効率志向の高まりによ り、建築物の環境性能で他社との差別化が求められる | 中 | ||
| 評判 | お客さまの評判の低下 | 中・長期 | 環境に配慮した商品、店舗運営を求めるステークホルダーに対して、取り組みが遅れることによるステークホルダーからの支持・評判の低下 | 中 | |
| 物理的リスク | 急性 物理的 | 台風・豪雨等の自然災害による被害 | 短・中期 | 災害により店舗・食品加工センター・物流センターや情報システム、ネットスーパー事業の運営、仕入・物流への影響による売上減とコスト増 | 大 |
| 自然災害に関する保険料の支払い | 短・中期 | 自然災害の発生頻度や強度が強まることで、自然災害に関する保険料の支払い額が増加 | 中 | ||
| 慢性 物理的 | 食物の不作による供給不足 | 短・中期 | 仕入価格の上昇、販売量・食品加工センターの製造量制限による収益減 | 大 | |
| 空調の使用量増による電気代の高騰 | 短・中期 | 平均気温の上昇により、空調にかかる電力使用量が増加し、電気料金の支払いが増加 | 大 |
<機会>
| 区分 | リスク項目 | 時間軸 | 影響 | 影響度 |
| リソースの 効率化 | 顧客行動の変化 | 中・長期 | エネルギー効率志向の高まりに対応した高効率建築の提供が他社との差別化につながり、専門店賃料が上昇する | 中 |
| 店舗の環境負荷低減 | 短・中期 | 店舗の省エネルギー施策の取り組みによる、エネルギーコスト削減 | 大 | |
| 製造・流通プロセスの効率化 | 中・長期 | プロセスの見直しによるコスト削減。 | 中 | |
| エネルギー源 | 低炭素エネルギー源の利用 | 中・長期 | ・低排出技術による投資から得られる利益の増加 ・再生可能エネルギー源の確保による、化石原料の価格に変動しないエネルギー源の確保 | 中 |
| 製品および サービス | サステナブル商品 販売による売上の 増加 | 中・長期 | 消費者のサステナブル商品への関心が高まり、それに応える商品を販売することで売上が増加 | 中 |
| 防災・災害対策商品の需要の拡大 | 中・長期 | 地震・台風等の自然災害の増加により防災・災害対策商品の需要拡大による売上の増加 | 中 | |
| 平均気温の上昇・ 猛暑への関連商材 ニーズ | 中・長期 | 衣料、住居関連、食品を含む関連商材の消費者ニーズを捉えた商品開発、販売 | 中 | |
| レジリエンス | 災害時における緊急物資の提供 | 中・長期 | 災害時における営業継続体制の構築による、緊急物資の備蓄を通じた生活インフラの質の向上 | 中 |
d.財務インパクトの開示
<炭素税の導入>
| 財務インパクト価格 | 約27億円 |
| 計算方法の説明 | ※出典:IEA NZE シナリオ 140USD/t-CO2 ※2030年度Scope1,2排出量目標をもとに試算。直近年の自社のScope1,2排出量すべてに対して課税がされると想定した。 |