有価証券報告書-第44期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/26 15:44
【資料】
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【項目】
156項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは1982年の創業以来、料理を文化として捉え、フランス料理・イタリア料理をはじめとするヨーロッパ食文化の日本における普及の一翼を担い、業界最高水準の料理人およびサービススタッフの育成、世界の名シェフとの協業によるブランド展開、ホテル・ブライダル領域への事業展開を通じて、ホスピタリティ業界における独自のポジションを確立してまいりました。コロナ禍を乗り越え、2024年7月のホテル資産譲渡による財務基盤の正常化を経て、当社は守りの経営から成長投資への転換段階に入っております。
パーパス「美しい味を、未来へ。」のもと、当社グループは人財戦略と事業戦略を中期経営計画の2本柱に据え、ガバナンスおよびサステナビリティ経営をその基盤として、人・ブランド・海外への投資を本格化してまいります。当社の成長投資は、店舗数の拡大のみを目指すものではありません。長年にわたり培ってきたレストラン運営に関する深い知見と経験、ならびにそれらを体現する料理人およびサービススタッフを最大の経営資源として、創業以来育んできたレストランの伝統と価値を次世代へと継承するとともに、高い収益性とブランド価値を両立する日本発のホスピタリティ企業として、持続的な企業価値の向上を実現してまいります。こうした方針のもと、当社は以下の重点課題に取り組んでまいります。
1.持続的成長を支える人財基盤の強化
当社グループの提供価値の源泉は、業界最高レベルの料理人およびサービススタッフをはじめとするプロフェッショナル人財であり、レストラン・ブライダル・ホテルの各事業を通じて、その確保・定着が事業の持続的成長を支える根幹であると認識しております。一方、外食業界における人財流出の加速、採用市場の競争激化、ならびに業界全体での人手不足の深刻化等、人財をめぐる環境は一層厳しさを増しており、業界の未来を担う人財の確保・定着および育成が、当社グループの持続的成長に向けた最重要課題であると認識しております。
こうした認識のもと、当社グループは人財戦略を抜本的に見直し、報酬および働く環境の両面におけるプロフェッショナルへの投資を充実してまいります。具体的には、マネジメント職への画一的な昇進にとらわれず、料理・サービス等の卓越した専門性を独立した評価軸とする複線化されたキャリアパスプログラム、各キャリアパスに応じた研修・教育体制の充実、業界最高水準の処遇、ならびに独立を後押しする支援制度の拡充を柱とする当社独自の新人事制度を策定・浸透させてまいります。
あわせて、2026年2月開業の「HRMT STAGE」を、若手人財が第一線で活躍するシェフから直接学ぶ人財育成拠点として活用してまいります。これらの取り組みを通じて、自らキャリアを選択し、自身の成長が可視化され、適正に評価される環境を実現し、優秀な人財の育成・活躍を図ることで、パーパス「美しい味を、未来へ。」を具現化する業界をリードする人財を輩出してまいります。
2.ブランド価値の再構築と進化
消費者価値観の多様化、インバウンド市場の回復・拡大、グローバル富裕層市場の拡大、ならびにデジタルチャネルを通じた体験消費の進展など、当社グループを取り巻く顧客・市場環境は大きく変化しております。このような環境下において、創業以来当社が培ってきた多様なブランドを次世代へ確実に継承しつつ、新たな顧客層との接点を拡大していくことが、当社グループの持続的な企業価値向上に向けた重要課題であると認識しております。
こうした認識のもと、当社は自社レストランブランド、海外提携シェフブランド、ホテルブランド、ブライダル事業等の多様なブランドについて、新たに創出した「HRMT」を含む各ブランドの位置付けと相互の関連性を体系的に整理し、ブランドポートフォリオの再構築を進めてまいります。あわせて、コアブランドのイノベーションを通じた象徴的なフラッグシップ店舗の開発を含めた首都圏での展開を強化し、トップラインの持続的成長を実現してまいります。
また、若年富裕層およびインバウンドを含むグローバル顧客との新たな接点拡大に向け、グルテンフリー・ビーガン等の食の多様化への対応、SNS等のデジタルチャネルを活用した情報発信の強化、ならびに地域文化・生産者との連携を通じた当社ならではの体験価値の創造を推進してまいります。これらの取り組みを通じてレストラン・ブライダル・ホテル各事業間の相乗効果を最大化し、当社グループの対外的認知の向上と各事業の販売機会の拡大および収益力の向上を目指してまいります。
3.成長投資と資本効率の両立
当社は、「中期経営計画2030」に基づき、新規出店、既存店改装および海外展開等の成長投資を本格的に推進しております。一方で、コロナ禍をはじめとする過去の外部環境変化への対応を通じて得られた教訓を踏まえ、財務健全性を維持しながら持続的な企業価値向上を実現することが、当社グループの重要課題であると認識しております。
こうした認識のもと、当社グループは、新規出店をはじめとする投資案件ごとに厳格な資本効率管理を徹底し、高収益モデルへの重点投資およびキャッシュフロー重視の経営を継続してまいります。あわせて、昨今の賃料相場や建設資材価格の高騰等の事業環境を踏まえ、新設および既存物件の活用を含む多様な出店スキームを機動的に組み合わせるとともに、運営形態の最適化を進めることで、投下資本に対する収益効率の最大化を追求してまいります。
さらに、新設店舗のみならず既存店を含む各収益拠点の収益力強化に向け、生産性向上の取り組みを継続的に推進してまいります。具体的には、業務プロセスの見直し、セントラルキッチンの活用やデジタル技術の導入、ならびに人員配置の高度化を進めるとともに、2026年2月開業の「HRMT STAGE」において導入したオペレーション改革については、その効果を検証のうえ、有効な施策をグループ全体に順次展開してまいります。
これらの取り組みを通じて創出される利益を着実な原資として、株主の皆様への利益還元を安定的かつ継続的に拡充してまいります。
4.海外展開および新規事業の推進
国内のレストラン・ホテル市場が成熟化する中、当社グループが持続的成長を実現するためには、海外市場および新たな事業領域への挑戦が必要であると認識しております。
こうした認識のもと、海外展開につきましては、台湾・香港・タイ等の東アジアを中心に、現地有力企業との提携・アライアンスを含む多様な進出形態を活用し、当社ブランドの海外展開を本格的に推進してまいります。
新規事業領域の拡張に向けては、2026年3月に設立した100%子会社「株式会社HRMI」を受け皿として、外食産業を中心とした関連ビジネスへの戦略的なM&Aを推進してまいります。2026年4月1日付で実行したイタリア・サルディーニャ料理レストラン「Tharros(タロス)」を運営する株式会社UNIVERSOの株式取得を皮切りに、出資後の経営支援を一体的に担うことで、M&Aを通じた成長モデルを確立してまいります。
また、当社が長年培ってきたブランドおよび運営ノウハウを活かし、ラグジュアリーブランドとの協業による店舗運営受託および店舗開業支援コンサルティング事業の本格展開を進めることで、事業ポートフォリオの拡張と収益機会の多様化を実現してまいります。
5.ガバナンスおよびサステナビリティ経営の強化
企業を取り巻くステークホルダーの期待が高度化する中、コーポレート・ガバナンスの強化およびサステナビリティへの対応は、当社グループの持続的な企業価値向上に向けた重要な経営課題であると認識しております。
こうした認識のもと、当社グループは、取締役会の実効性向上、コンプライアンス体制の強化、ダイバーシティの推進、ならびにリスク管理および内部統制の高度化を着実に推進してまいります。
あわせて、サステナビリティへの対応につきましては、「中期経営計画2030」に掲げる「食でつながる地方創生」を重要テーマと位置付け、地産地消を通じた地域の生産者および食文化との連携、フードロス削減等を通じた環境負荷の軽減、ならびに食を通じた地域社会への貢献活動を継続的に推進し、ステークホルダーとの信頼関係を一層深めてまいります。
また、サステナビリティのもう一つの重要テーマである多様な人財の活躍を推進してまいります。当社グループでは、ブライダル事業および本社部門において業界水準を上回る女性管理職比率を実現しております。一方、レストラン事業における女性管理職の登用は依然として課題と認識しております。今後も、女性の積極的な採用・育成およびライフステージに応じた柔軟な働き方の整備等を通じて、女性のシェフや支配人の拡充を進め、全ての職種における多様な人財の活躍を実現してまいります。
これらの経営課題に対応するため、当社は2025年1月14日に「中期経営計画2030」を公表し、「人財戦略」「事業戦略」「投資計画」の3つを重点施策として掲げております。初年度(2026年3月期)の業績が当初想定を上回って推移したことを踏まえ、2026年2月26日には数値目標を上方修正し、現在は施策の実行フェーズへと着実に移行しております。
本中期経営計画では、2030年度(2031年3月期)における財務目標として、連結売上高13,331百万円、営業利益1,333百万円、営業利益率10.0%、1株当たり当期純利益18.24円を掲げております。当社はこれらを単なる数値目標ではなく、顧客・従業員・地域社会・株主といったステークホルダーへの価値提供の結果として実現すべきものと位置付けております。
今後も当社グループは、変化の激しい外部環境に柔軟に対応し、強固な人財基盤と確かな事業戦略を両輪とする経営を通じて、持続可能な成長と企業価値の最大化を追求してまいります。そして、その成果を広く社会・顧客・従業員・株主の皆様と分かち合い、真に信頼される企業グループとしての地位を確立してまいります。
(注)上記の中期経営計画につきましては、発表日時点において入手可能な情報に基づき作成したものであり、実際の業績は、今後様々な要因によって予想数値と異なる可能性があります。

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