有価証券報告書-第27期(2025/05/01-2026/04/30)
(1)【人材戦略に関する基本方針等】
当社は、2026年4月期から2028年4月期を対象とする第二次中期経営計画において、「人的資本の充実」と「付加価値創造のための生産性向上」の強固な連動を経営戦略の枢軸に据えております。
外食産業における深刻な人手不足は、生産年齢人口の減少に伴う構造的課題として定着しており、2026年現在、東京都の最低賃金は1,226円に到達し、2030年代前半には1,500円を目標に進められており、首都圏全域で賃金上昇圧力が継続しております。当社は、この「労働コストの増大」を単なる収益圧迫要因としてではなく、人的資本への戦略的投資を通じた「持続的な競争優位性」および「生産性向上」を実現するための好機と定義しております。
具体的には、テクノロジー活用による単純作業の自動化を推進し、創出された人的資源を「高度な接客サービス」や「専門的な抽出・調理技術」といった高付加価値業務へシフトさせることで、従業員エンゲージメントの向上と企業価値の最大化を同時に図ることを基本方針としております。
① 従業員の給与(賞与を含む)その他の給付の額及び内容の決定方針
持続的な企業価値向上と、従業員が安心して能力を発揮できる環境(ワークライフバランス)の両立を目指し、以下の通り給与、賞与および昇進・昇格に関する方針を定めております。
・給与体系および水準の決定方針
基本給をはじめとする給与水準の決定にあたっては、社会情勢(インフレ率等)の動向や同業他社・業界水準との比較検証を定期的に実施し、市場競争力のある適切な水準の維持に努めております。最終的な支給額は、社内で統一された職位および資格に応じた給与テーブルに基づき客観的に決定しております。
・賞与の決定方針(人事考課)
賞与の支給額は、上期および下期の年2回実施する人事考課結果に基づき決定しております。評価にあたっては、被評価者の所属長、部門長、人事部門、および担当役員による多角的な評価(多段階評価)を行い、評価の公平性と客観性を担保しております。
・昇進昇格の決定方針
昇進・昇格対象者の選定は、過去の人事考課結果と当社の「昇進昇格登用基準」との照合に加え、業務分掌に基づく日々の業務習得レベルを総合的に勘案し、毎年実施しております。 また、選定された対象者に対しては客観的なアセスメント(適性審査等)を実施し、昇格後の職務に対する適正を厳格に確認した上で、新たな職位・資格への登用およびこれに連動した給与への改定を行っております。
② 人材育成に関する具体的な取り組み
プロフェッショナルな人材を育成し、人的資本を最大化させる仕組みとして、以下の教育・評価体系を構築しております。
・スキルマップの数値化と評価の透明化
2025年度に完了した人事システムのリプレースに基づき、全従業員の「業態知識」「調理技術」「接客スキル」「マネジメント経験」等を数値化したスキルマップを構築します。半期ごとの上長面談を通じてデータを更新し、個々の適性に合わせた「適正配置」を実施します。本システム上では、全社員が自身の評価根拠と昇格要件を常時確認できる「評価の納得感」を重視した運用を徹底します。
・スキル認定機関としての研修センターと客観的エビデンス
自社研修センターを「スキル認定機関」と位置づけ、正社員およびアルバイトを含む全スタッフの技術評価を一元管理しております。この認定結果は人事システムの昇格要件に直結しており、実力主義に基づくキャリア形成を促進しております。その実効性は、SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)主催の競技会における2023年度の優勝実績や、サービス接遇検定1級の取得推進や各ショッピングセンターにおける接客ロールプレイングコンテストの入賞実績といった客観的な指標により裏付けられており、これらを通じて「椿屋珈琲」ブランド等にふさわしい接客サービスの標準化と高質化を実現しております。
・プロフェッショナル育成と多角的なキャリアパス
専任トレーナーによる技術指導に加え、幹部候補にはジョブローテーションを原則化し、マルチブランドの経験を積ませることで、多角的な視点を持つマネジメント人材を育成します。
③ 社内環境整備に関する具体的な取り組み
生産性向上とリテンション(人材保持)の強化を目的とし、戦略的なエリアマネジメントと福利厚生の拡充を推進しております。
・ドミナント戦略を活かしたエリアマネジメントの高度化
一都三県に特化したドミナント展開と、東京圏の緊密な鉄道網という地理的優位性を活用し、シフト管理を従来の店舗単位から「エリア横断型」へと進化させております。移動時間の短縮を背景とした近隣店舗間での「機動的な相互応援」を可能にする全社共通プラットフォームを運用し、各店舗の繁閑差に応じた人員の最適配置を行うことで、会社全体としての「人時売上高」を最大化しております。
・DX投資による付加価値業務への集中
テーブルオーダーシステム、配膳ロボット、キッチンディスプレイ等の導入により、注文受付や運搬といった単純作業の自動化を推進しております。また、セントラルキッチンにおいてソース調合や食材の下処理を集中化(内製化比率50%以上を維持)することで、店舗での調理工数を大幅に削減しております。これにより、従業員が顧客体験の向上に直結する「おもてなし」業務に注力できる環境を整備しております。
・従業員エンゲージメントを高める福利厚生と定着支援
人的資本の定着を経営の重要課題と捉え、奨学金返済支援制度の新設、家族手当(配偶者・子)の拡充、社宅補助の強化など、生活基盤を支える制度を大幅に拡充しております。年次で実施するeNPS(従業員推奨度)調査の結果を部門別に分析し、経営会議で改善策を追跡することで、「働きがいのある職場づくり」を継続的に推進しております。
④ 指標及び目標(人的資本経営のKPI)
第二次中期経営計画の達成に向け、以下のKPIを定め、月次でのモニタリングおよびエリアSVによる個別フォローアップを実施してまいります。
⑤ ガバナンス(人的資本経営の執行と監督体制)
当社は、人的資本を中長期的な企業価値向上の源泉と位置づけ、人材戦略の実行を適切に統治・監督する体制を構築し、持続的な企業価値の向上に資する人的資本の充実およびリテンションの強化を目的として、以下の執行と監督の分離による実効性のある統治を行っております。
・経営会議における評価と進捗管理(執行)
人的資本戦略の執行を担う経営会議においては、人材投資の進捗状況およびその有効性を定期的に評価・分析しております。具体的には、自社研修センターにおける教育研修の実施状況や、2025年度に刷新を完了した人事システムによるスキルマップの構築状況を報告対象としております。また、従業員エンゲージメントの重要指標として、従業員推奨度(eNPS)を年次で計測し、前年比10%以上の向上を目標に掲げ、分析結果を戦略に反映しております。これにより、執行機能の自律的な改善と実効性の向上を図っております。
・取締役会への報告と監視体制(監督)
経営会議での評価内容および人的資本に関する重要事項は、定期的に取締役会へ報告される体制となっており、人材戦略が「第二次中期経営計画」に掲げた目標に照らして有効に機能しているかを審議します。特に、年間取得休日数の目標(119日から123日への拡大)や時間外労働の削減といったKPIの達成状況を監視し、戦略の進捗が遅滞している場合には、執行側に対し適切な指示・督励を行います。これにより、経営陣に対する実効性のある監督機能を担保し、人的資本経営の透明性と予見可能性を高めております。
⑥ リスク管理(人的資本に関連する重要リスクとモニタリング)
当社は、人的資本の価値を毀損し、持続的な成長を阻害する要因を重要リスクとして識別し、以下の手法によりリスクの回避および低減を図っております。
・人的資本における重要リスクの定義
当社は、外部環境の変化および事業特性を踏まえ、以下の点を重要リスクとして定義しております。
イ.労働コストの増大:東京都の最低賃金が1,226円に達するなど、首都圏を中心とした賃金上昇圧力に伴う収益性への影響。
ロ.人手不足:生産年齢人口の減少に伴う構造的な採用難および欠員の発生。
ハ.コンプライアンス:ハラスメントの発生等による職場環境の悪化および社会的信用の失墜。
また、残業時間、休日取得状況、および有給休暇消化率等の労務データを月次で集計・分析し、経営層へ報告することで、労働環境の健全化を徹底しております。人手不足リスクに対しては、特定の店舗または従業員への負荷がかかりすぎていないかモニタリングを行い、エリア横断的な支援体制を強化し、人時売上高の最適化を推進します。
・内部通報制度と法令遵守
KPIの達成目標に対して手段が目的化しないよう、コンプライアンスリスクへの対応として、内部通報制度を整備・運用しております。通報の受付件数およびその対応状況については、四半期ごとに取締役会へ報告を行い、自浄作用の維持と透明性の確保に努めております。また、リスクの未然防止を目的として、全社員を対象としたコンプライアンス研修に加え、ハラスメント防止に向けた事例研修を必須化するなど、全社的なコンプライアンス意識の醸成を図っております。
当社は、2026年4月期から2028年4月期を対象とする第二次中期経営計画において、「人的資本の充実」と「付加価値創造のための生産性向上」の強固な連動を経営戦略の枢軸に据えております。
外食産業における深刻な人手不足は、生産年齢人口の減少に伴う構造的課題として定着しており、2026年現在、東京都の最低賃金は1,226円に到達し、2030年代前半には1,500円を目標に進められており、首都圏全域で賃金上昇圧力が継続しております。当社は、この「労働コストの増大」を単なる収益圧迫要因としてではなく、人的資本への戦略的投資を通じた「持続的な競争優位性」および「生産性向上」を実現するための好機と定義しております。
具体的には、テクノロジー活用による単純作業の自動化を推進し、創出された人的資源を「高度な接客サービス」や「専門的な抽出・調理技術」といった高付加価値業務へシフトさせることで、従業員エンゲージメントの向上と企業価値の最大化を同時に図ることを基本方針としております。
① 従業員の給与(賞与を含む)その他の給付の額及び内容の決定方針
持続的な企業価値向上と、従業員が安心して能力を発揮できる環境(ワークライフバランス)の両立を目指し、以下の通り給与、賞与および昇進・昇格に関する方針を定めております。
・給与体系および水準の決定方針
基本給をはじめとする給与水準の決定にあたっては、社会情勢(インフレ率等)の動向や同業他社・業界水準との比較検証を定期的に実施し、市場競争力のある適切な水準の維持に努めております。最終的な支給額は、社内で統一された職位および資格に応じた給与テーブルに基づき客観的に決定しております。
・賞与の決定方針(人事考課)
賞与の支給額は、上期および下期の年2回実施する人事考課結果に基づき決定しております。評価にあたっては、被評価者の所属長、部門長、人事部門、および担当役員による多角的な評価(多段階評価)を行い、評価の公平性と客観性を担保しております。
・昇進昇格の決定方針
昇進・昇格対象者の選定は、過去の人事考課結果と当社の「昇進昇格登用基準」との照合に加え、業務分掌に基づく日々の業務習得レベルを総合的に勘案し、毎年実施しております。 また、選定された対象者に対しては客観的なアセスメント(適性審査等)を実施し、昇格後の職務に対する適正を厳格に確認した上で、新たな職位・資格への登用およびこれに連動した給与への改定を行っております。
② 人材育成に関する具体的な取り組み
プロフェッショナルな人材を育成し、人的資本を最大化させる仕組みとして、以下の教育・評価体系を構築しております。
・スキルマップの数値化と評価の透明化
2025年度に完了した人事システムのリプレースに基づき、全従業員の「業態知識」「調理技術」「接客スキル」「マネジメント経験」等を数値化したスキルマップを構築します。半期ごとの上長面談を通じてデータを更新し、個々の適性に合わせた「適正配置」を実施します。本システム上では、全社員が自身の評価根拠と昇格要件を常時確認できる「評価の納得感」を重視した運用を徹底します。
・スキル認定機関としての研修センターと客観的エビデンス
自社研修センターを「スキル認定機関」と位置づけ、正社員およびアルバイトを含む全スタッフの技術評価を一元管理しております。この認定結果は人事システムの昇格要件に直結しており、実力主義に基づくキャリア形成を促進しております。その実効性は、SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)主催の競技会における2023年度の優勝実績や、サービス接遇検定1級の取得推進や各ショッピングセンターにおける接客ロールプレイングコンテストの入賞実績といった客観的な指標により裏付けられており、これらを通じて「椿屋珈琲」ブランド等にふさわしい接客サービスの標準化と高質化を実現しております。
・プロフェッショナル育成と多角的なキャリアパス
専任トレーナーによる技術指導に加え、幹部候補にはジョブローテーションを原則化し、マルチブランドの経験を積ませることで、多角的な視点を持つマネジメント人材を育成します。
③ 社内環境整備に関する具体的な取り組み
生産性向上とリテンション(人材保持)の強化を目的とし、戦略的なエリアマネジメントと福利厚生の拡充を推進しております。
・ドミナント戦略を活かしたエリアマネジメントの高度化
一都三県に特化したドミナント展開と、東京圏の緊密な鉄道網という地理的優位性を活用し、シフト管理を従来の店舗単位から「エリア横断型」へと進化させております。移動時間の短縮を背景とした近隣店舗間での「機動的な相互応援」を可能にする全社共通プラットフォームを運用し、各店舗の繁閑差に応じた人員の最適配置を行うことで、会社全体としての「人時売上高」を最大化しております。
・DX投資による付加価値業務への集中
テーブルオーダーシステム、配膳ロボット、キッチンディスプレイ等の導入により、注文受付や運搬といった単純作業の自動化を推進しております。また、セントラルキッチンにおいてソース調合や食材の下処理を集中化(内製化比率50%以上を維持)することで、店舗での調理工数を大幅に削減しております。これにより、従業員が顧客体験の向上に直結する「おもてなし」業務に注力できる環境を整備しております。
・従業員エンゲージメントを高める福利厚生と定着支援
人的資本の定着を経営の重要課題と捉え、奨学金返済支援制度の新設、家族手当(配偶者・子)の拡充、社宅補助の強化など、生活基盤を支える制度を大幅に拡充しております。年次で実施するeNPS(従業員推奨度)調査の結果を部門別に分析し、経営会議で改善策を追跡することで、「働きがいのある職場づくり」を継続的に推進しております。
④ 指標及び目標(人的資本経営のKPI)
第二次中期経営計画の達成に向け、以下のKPIを定め、月次でのモニタリングおよびエリアSVによる個別フォローアップを実施してまいります。
| 指標名 | 目標値 | 備考 |
| エリア内相互応援比率 | 15.0% | 刷新したシフト管理システムの活用により効率配置を徹底 |
| 有給休暇取得率 | 70%以上 | 取得率の低い店舗に対しエリアSVが個別フォローを実施 |
| 年間取得休日数 | 123日 | 四半期ごとの休日取得状況レビューにより進捗を管理 |
| eNPS(従業員推奨度) | 前年比10%向上 | 全社アンケートの結果に基づき双方向コミュニケーションを強化 |
⑤ ガバナンス(人的資本経営の執行と監督体制)
当社は、人的資本を中長期的な企業価値向上の源泉と位置づけ、人材戦略の実行を適切に統治・監督する体制を構築し、持続的な企業価値の向上に資する人的資本の充実およびリテンションの強化を目的として、以下の執行と監督の分離による実効性のある統治を行っております。
・経営会議における評価と進捗管理(執行)
人的資本戦略の執行を担う経営会議においては、人材投資の進捗状況およびその有効性を定期的に評価・分析しております。具体的には、自社研修センターにおける教育研修の実施状況や、2025年度に刷新を完了した人事システムによるスキルマップの構築状況を報告対象としております。また、従業員エンゲージメントの重要指標として、従業員推奨度(eNPS)を年次で計測し、前年比10%以上の向上を目標に掲げ、分析結果を戦略に反映しております。これにより、執行機能の自律的な改善と実効性の向上を図っております。
・取締役会への報告と監視体制(監督)
経営会議での評価内容および人的資本に関する重要事項は、定期的に取締役会へ報告される体制となっており、人材戦略が「第二次中期経営計画」に掲げた目標に照らして有効に機能しているかを審議します。特に、年間取得休日数の目標(119日から123日への拡大)や時間外労働の削減といったKPIの達成状況を監視し、戦略の進捗が遅滞している場合には、執行側に対し適切な指示・督励を行います。これにより、経営陣に対する実効性のある監督機能を担保し、人的資本経営の透明性と予見可能性を高めております。
⑥ リスク管理(人的資本に関連する重要リスクとモニタリング)
当社は、人的資本の価値を毀損し、持続的な成長を阻害する要因を重要リスクとして識別し、以下の手法によりリスクの回避および低減を図っております。
・人的資本における重要リスクの定義
当社は、外部環境の変化および事業特性を踏まえ、以下の点を重要リスクとして定義しております。
イ.労働コストの増大:東京都の最低賃金が1,226円に達するなど、首都圏を中心とした賃金上昇圧力に伴う収益性への影響。
ロ.人手不足:生産年齢人口の減少に伴う構造的な採用難および欠員の発生。
ハ.コンプライアンス:ハラスメントの発生等による職場環境の悪化および社会的信用の失墜。
また、残業時間、休日取得状況、および有給休暇消化率等の労務データを月次で集計・分析し、経営層へ報告することで、労働環境の健全化を徹底しております。人手不足リスクに対しては、特定の店舗または従業員への負荷がかかりすぎていないかモニタリングを行い、エリア横断的な支援体制を強化し、人時売上高の最適化を推進します。
・内部通報制度と法令遵守
KPIの達成目標に対して手段が目的化しないよう、コンプライアンスリスクへの対応として、内部通報制度を整備・運用しております。通報の受付件数およびその対応状況については、四半期ごとに取締役会へ報告を行い、自浄作用の維持と透明性の確保に努めております。また、リスクの未然防止を目的として、全社員を対象としたコンプライアンス研修に加え、ハラスメント防止に向けた事例研修を必須化するなど、全社的なコンプライアンス意識の醸成を図っております。