有価証券報告書-第17期(2023/03/01-2024/02/29)
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
①企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由
当社は、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、当社グループにとっての最良のコーポレートガバナンスを実現することを目的として、当社グループのあるべきコーポレートガバナンスのあり方を指し示す「コーポレートガバナンス方針書」を制定しています。
当社は持株会社であり、経営判断の迅速化・経営責任の明確化を図るため、事業子会社の業務執行事項については、グループ経営に影響を及ぼすものを除き、各事業子会社にその権限を委任しています。
なお、持株会社としての当社の役割・責務は、次のとおりです。
・グループビジョン、グループ中期経営計画、グループ年度経営方針、サステナビリティ方針の企画、立案、浸透及びこれらの進捗、成果管理
・グループ事業ドメインの設定
・事業ポートフォリオマネジメント(経営資源の最適配分)
・事業間シナジーの創出
・グループ全体のリスクマネジメント体制の確立
・グループ全体の組織設計と運営
・グループ全体の人財マネジメント
・株主マネジメント
・グループ全体のコーポレートガバナンスの確立
・グループ経営に関する重要な業務執行事項の意思決定
・各事業子会社の経営方針、経営戦略への助言、承認及びその進捗の監督、評価
また、当社の経営組織として6つの統括部(経営戦略統括部、CRE戦略統括部、デジタル戦略統括部、財務戦略統括部、人財戦略統括部、業務統括部)を設置し、それぞれの組織の役割・責任・権限を明確にし、監督機能の強化、グループ全体の内部統制システムの充実を図っています。
当社は、機関設計として指名委員会等設置会社を採用しています。理由は以下の観点から、コーポレートガバナンスの更なる強化に取り組むためです。
・監督と執行を分離することにより取締役会の業務執行に対する監督機能を強化します。
また取締役会は、グループ経営に関わる重要な戦略課題を社外の知見も積極的に取り入れ徹底的に論議することで、戦略の高度化を図ります。
・業務執行の決定を執行役に委任することが可能になることで、権限、責任の明確化を図りつつ、迅速な経営の意思決定を行います。
・過半数を独立社外取締役で構成する指名、監査、報酬の3委員会を置く「指名委員会等設置会社」を採用することにより、経営の透明性、客観性の向上を図ります。
・海外投資家などにグローバルな視点で分かりやすいガバナンス体制を構築します。
1)会社の機関の内容
A 取締役会
株主の皆様に選任され当社の経営を負託された取締役は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、グループビジョンの実現に向けて、取締役会において次の役割・責務を果たしていきます。
・グループビジョン、サステナビリティ方針、グループ中期経営計画、グループ年度経営方針、その他の経営の基本方針について建設的な議論を重ねるほか、そのリスク評価も含めて多面的、客観的に審議し、グループ経営の大きな方向性を指し示すこと
・上記の方向性を踏まえたグループ経営に関する全体方針、計画について適切に意思決定を行うこと及びその計画について進捗、結果を監督すること
・非連続な成長に向けた攻めの経営を後押しする環境整備を行うこと
・当社グループ全体の内部統制システムの構築、整備を進めるほか、その運用状況を監督すること
・関連当事者間の利益相反を監督すること
・指名委員会に諮問した代表執行役社長の後継者計画、経営人財に係わる人事配置計画、執行役のトレーニングについて指名委員会からの概要の報告を基に進捗状況を監督すること
当社の取締役会は、定款に定める11名以内の適切な員数で構成します。現在は取締役10名(うち独立社外取締役6名)で、任期は1年です。監督と執行の分離、取締役会における議論の実効性確保の観点から、独立社外取締役が過半数の構成としています。
なお、取締役候補者の指名に際しては、取締役会全体としての知識・経験・能力のバランスに配慮の上、その多様性を確保します。
取締役会の構成員は、以下のとおりです。
社内取締役 好本達也、浜田和子、小野圭一、若林勇人
社外取締役 小出寛子(議長)、矢後夏之助、箱田順哉、内田章、関忠行、大村恵実
≪取締役会実効性評価≫
当社は、2015年より毎年、第三者機関による取締役会実効性評価を実施しています。
[評価項目]
1 グループ全体への取締役会の貢献度、2 取締役会の構成、3 運営状況、4 論議内容、5 指名・報酬・監査の各委員会活動の実効性など約40項目としました。
[評価手法]
事前アンケートをもとに、第三者機関が「個別インタビュー」(注)を行い、その結果を集計・分析した報告書に基づいて取締役会で協議する手法で行いました。
(注)「個別インタビュー」
取締役(社内・社外とも)の全員に対してアンケート結果をもとに、1時間程度の個別インタビューを第三者機関が実施し、取締役会に関する各種質問に対する考え方・問題意識などをヒアリングしました。取締役会ではインタビューの結果を踏まえて課題の解決につなげています。
[評価結果及び課題への取り組み等]
過去8回の評価では、重要議案の論議の強化や取締役会構成の見直しなどについて課題が明確になりました。改善に向けた取り組みを経て、社外取締役比率の向上・アジェンダセッティング強化・審議内容などの充実などの取り組みを通じ、監督機能は強化されつつあります。
9回目となる2023年8月から9月にかけて実施した取締役会実効性評価について、第三者機関からは、当社取締役会は、指名委員会等設置会社への移行、独立社外取締役が過半数を占めるなど先進的なガバナンス体制を構築し、法定三委員会の機能強化などを通じて実効性向上を果たしてきたと評価されました。一方、これら形式面での体制整備がほぼ完了する中、中長期の企業価値向上を目指す観点から、実質面の課題として「中期経営計画に対するモニタリング」「成長戦略議論に向けた準備・分析の徹底」が挙げられました。これらの課題を受け、今後も、取締役会実効性評価を基点に課題の共有を行い、取締役会の実質的な実効性を高めてまいります。
≪取締役会の開催日と主な議題≫
2023年度(2023年3月から2024年2月)は、15回の取締役会を開催しました。取締役の出席状況は98.8%となっています。(1回あたりの平均所要時間 2時間28分)
B 3委員会
(指名委員会)
指名委員会は、独立社外取締役3名と常勤の非業務執行取締役1名で構成し、透明性・客観性確保の観点から、委員長は独立社外取締役から選定します。
同委員会は株主総会に提出する取締役の選任及び解任に関する議案内容の決定、取締役会からの諮問を受け、執行役の選任及び解任や各法定委員会の委員長及び委員の選定及び解職などについて、取締役会へ答申します。
(構成員)矢後夏之助(委員長)、内田章、小出寛子、好本達也
≪指名委員会の開催日と主な議題≫
2023年度(2023年3月から2024年2月)は、15回の指名委員会を開催しました。委員の出席状況は100%となっています。(1回あたりの平均所要時間 1時間23分)
(監査委員会)
監査委員会は、独立社外取締役3名と常勤の非業務執行取締役1名で構成し、透明性・客観性確保の観点から、委員長は独立社外取締役から選定します。
同委員会は、執行役及び取締役の職務執行が法令及び定款に適合し、当社の基本理念・グループビジョンに沿って、効率的に行われているかを実効的に監査し、必要な助言・勧告等を行います。
(構成員)箱田順哉(委員長)、関忠行、大村恵実、浜田和子
≪監査委員会の開催日と主な議題≫
2023年度(2023年3月から2024年2月)は、24回の監査委員会を開催しました。委員の出席状況は97.3%となっています。(1回あたりの平均所要時間 1時間18分)
(報酬委員会)
報酬委員会は、独立社外取締役3名と常勤の非業務執行取締役1名で構成し、透明性・客観性の観点から、委員長は独立社外取締役から選定します。
同委員会は、当社取締役及び執行役、グループ主要子会社の役員(取締役、執行役員及び監査役)の個人別の報酬等の内容に係る決定に関する方針並びに当社取締役及び執行役の個人別の報酬内容を決定します。
(構成員)内田章(委員長)、矢後夏之助、小出寛子、好本達也
≪報酬委員会の開催日と主な議題≫
2023年度(2023年3月から2024年2月)は、13回の報酬委員会を開催しました。委員の出席状況は100%となっています。(1回あたりの平均所要時間 55分)
2)コーポレートガバナンスの体制

② 内部統制システムの整備の状況
当社は、会社法に定める「監査委員会の職務の執行のため必要なものとして法務省令で定める事項」(会社法第416条第1項第1号ロ)、及び「執行役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」(会社法第416条第1項第1号ホ)に関して、取締役会において以下の内容(内部統制システム構築の基本方針)を決議しております。
内部統制システム構築の基本方針
A グループ管理体制
グループ管理体制としましては、取締役会は監督機能として執行役及び取締役の職務の執行の監督を行います。取締役会は、会社法または定款に規定される事項のほか、グループビジョン、サステナビリティ方針、グループ中期経営計画などグループ経営の全体方針・計画、M&A、グループ資金計画、その他グループ経営に関する個別の重要な事項を協議・決議するものとします。これら以外の業務執行事項の決定については、意思決定及び執行の迅速化を図るため、グループ経営に重要な影響を及ぼすものを除き、執行に委任します。
また、執行体制としましては、経営の監督と執行を明確に分離し、取締役会の監督機能を強化するとともに、執行への権限委譲を行い迅速な経営の意思決定を行います。
内部統制推進体制としましては、代表執行役社長の指揮の下、執行の内部統制を強化するために、内部統制担当部門、担当者を設置し、当社及び事業子会社において、会社法における内部統制、及び金融商品取引法における内部統制の体制の整備・運用の管理を行います。
B リスク管理体制
リスク管理体制としましては、代表執行役社長を委員長とし、執行役等をメンバーとするリスクマネジメント委員会を設置します。リスクマネジメント委員会は、リスクの抽出及び評価、戦略に反映させるリスクの決定など重要事項を審議し、経営の意思決定に活用します。同委員会での審議内容については、適時に取締役会に報告します。
ハザードリスク対応としましては、大規模な地震、火災、事故などのハザードリスク発生時においては、代表執行役社長を本部長とする「緊急対策本部」が統括して危機管理にあたります。
C 法令遵守体制
法令遵守体制としましては、代表執行役社長を委員長とし、顧問弁護士、執行役等をメンバーとするコンプライアンス委員会を設置します。コンプライアンス委員会は、事業子会社各社のコンプライアンス担当部門との連携を強化し、コンプライアンス体制の基盤整備や、運用状況の監督を継続的に実施し、法令・企業倫理等の遵守を推進するほか、重大なコンプライアンス事案が発現した際にはその対応策の策定等を行います。同委員会での審議内容については、適時に監査委員会に報告します。
また、内部通報制度としましては、社外(顧問弁護士)にも通報窓口を置く当社グループの内部通報システムとして、当社及び事業子会社で勤務するすべての者が利用できる「JFRグループコンプライアンス・ホットライン」を設置します。経営幹部に対するホットラインの通報は直接監査委員会に入り、監査委員会からの指示を受ける体制を構築することで独立性を有する通報ルートを確保します。
D 内部監査体制
内部監査体制としましては、代表執行役社長の指揮の下に、独立した内部監査部門を設置します。内部監査部門は、内部監査規程に基づき、代表執行役社長の指示の下、当社及び事業子会社の監査を行い、または、業務監査結果を適正に報告させ、その業務プロセスの適切性、有効性を検証し、当社各部門及び事業子会社に指摘・助言・提案を行います。
E 監査委員会体制
監査委員会体制としましては、社外取締役を委員長とし、社内取締役である非業務執行取締役を含む4名で構成しております。監査委員会は執行役及び取締役の職務の執行について、適法性及び妥当性の監査を行います。監査委員会は、定期的に代表執行役社長と会合などを持ち、情報の共有化を図ります。また必要に応じて当社の執行役及び取締役を監査委員会に出席させ、報告・意見を求めることができます。
監査委員会の指示のもと、その職務をサポートする組織として監査委員会事務局を設置し、監査委員会事務局員の任命・異動と監査委員会事務局の責任者の人事考課は、独立性を担保するために、監査委員会の事前の同意を得ることとしています。
F 情報保存管理体制
執行役及び取締役の職務の執行に係る文書、ならびに執行役及び取締役が主催する会議体の議事録と関連資料(ともに電磁的記録を含む)については、法令及び秘密情報管理規程に基づき各所管部門が定められた期間、保存・管理し、常時閲覧できる体制を取ります。
情報セキュリティ管理としましては、システム部門の統括部長が、情報セキュリティポリシー、ITガバナンス方針に基づき、当社の情報セキュリティ管理を統括し、情報システムの管理状況などについて、定期的及び必要に応じて都度、取締役会、監査委員会、経営会議及び代表執行役社長に報告を行います。
③ 責任限定契約の内容の概要
当社は、非業務執行取締役が職務の遂行にあたり、期待される役割を十分に発揮できるようにするため、会社法第427条第1項の規定に基づき、非業務執行取締役との間に責任限定契約を締結しています。責任限定契約の内容は、非業務執行取締役が任務を怠ったことによって損害賠償責任を負う場合は、1,200万円又は法令に定める金額のいずれか高い額を限度としてその責任を負うものとし、責任限定が認められるのは、当該非業務執行取締役が責任の原因となった職務の遂行において善意かつ重大な過失がないときに限るものとしています。
④ 取締役の定数
当社の取締役は11名以内とする旨、定款に定めています。
⑤ 取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議については、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨及び累積投票によらない旨、定款に定めています。
⑥ 株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議については、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨、定款に定めています。これは、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営を行うことを目的とするものであります。
⑦ 剰余金の配当金等の決定機関
当社は、より機動的な配当政策を行うために、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議により定める旨、定款に定めています。
⑧株式会社の支配に関する基本方針
1)基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの財務及び事業の内容や当社グループの企業価値の源泉を十分に理解し、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、これを向上していくことを可能とする者であることが必要であるものと考えています。
当社は、当社が上場会社であることから、当社の株主のあり方については、一般的には金融商品取引所における自由な市場取引を通じて決まるものであり、特定の株主または特定の株主グループによって当社株式の一定規模以上の取得行為(以下「大量取得行為」といいます。)が行われる場合であっても、当該大量取得行為が当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、一概にこれを否定するものではなく、これに応じるか否かについては、最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきものと考えています。
しかしながら、大量取得行為の中には、その目的等からして当社グループの企業価値に対する明白な侵害をもたらすもの、株主の皆様に当社株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、当社取締役会や株主の皆様が大量取得者の提案内容等について検討し、または当社取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないものなど、当社グループの企業価値を毀損する重大なおそれをもたらすものも想定されます。
このような当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大量取得行為を行う者(以下「大量取得者」といいます。)は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては不適切であり、当社は、このような大量取得行為に対しては、大量取得者による情報提供並びに当社取締役会による検討及び評価といったプロセスを確保するとともに、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の毀損を防止するため、当社取締役会及び株主の皆様が大量取得者の提案内容を検討するための十分な時間を確保することこそが、株主の皆様から当社経営の負託を受けた当社取締役会の責務であると考えています。
2)基本方針の実現に資する取り組み
当社グループは、大丸・松坂屋の創業以来、その企業理念、伝統精神である「先義後利(義を先にして利を後にする者は栄える)」、「諸悪莫作 衆善奉行(諸悪をなすなかれ、多くの善行を行え)」、「人の利するところにおいて、われも利する」に基づき、永年にわたって呉服商、百貨店業を営んできました。
当社は、当社グループの企業価値の源泉は、これらの理念、精神に基づくことにより築き上げられてきた、お客様及び社会との信頼関係にあるものと考えています。
そこで、当社は、これらの理念、精神に共通する「お客様第一主義」、「社会への貢献」を体現するため、当社グループの基本理念として「時代の変化に即応した高質な商品・サービスを提供し、お客様の期待を超えるご満足の実現を目指す」、「公正で信頼される企業として、広く社会への貢献を通じてグループの発展を目指す」ことを掲げ、この基本理念に基づき、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保及び向上に資するため、当社グループのビジョンである“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”の実現を目指し、さまざまな施策に取り組んでいます。
3)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、現在のところ、大量取得者が出現した場合の具体的な取り組み、いわゆる買収防衛策について特にこれを定めていません。
しかしながら、大量取得者が出現した場合には、当社グループの企業価値の毀損を防止するため、大量取得者の属性、大量取得行為の目的、大量取得者が提案する財務及び事業の方針、株主の皆様及び当社グループのお客様・お取引先様・従業員・当社グループを取り巻く地域社会その他のステークホルダーに対する対応方針など、大量取得者に関するこれらの情報を把握した上で、当該大量取得行為が当社グループの企業価値に及ぼす影響を慎重に検討する必要があるものと考えます。
したがって、このような場合には、当社は、当社経営陣及び社内取締役から独立した立場にある社外取締役及び有識者を構成員とする独立委員会を設置し、その勧告意見を踏まえた上で、当該大量取得者が前記の基本方針に照らして不適切な者であると判断されるときは、必要かつ相当な対応を講じることにより、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を確保する所存であります。
4)具体的な取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
当社グループで策定するさまざまな施策は、当社グループの基本理念に基づいて策定されており、当社グループの企業価値の源泉であるお客様及び社会との信頼関係のさらなる構築を目指すものであります。したがって、これらの施策は、基本方針の内容に沿うものであり、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものであると考えています。
また、基本方針に照らして不適切な者であると判断される大量取得者に対して必要かつ相当な対応を講じることについては、当社経営陣及び社内取締役からの独立性が確保されている独立委員会の勧告意見を踏まえて判断することにより、その判断の公正性・中立性・合理性が担保されており、当社グループの企業価値・株主共同の利益を損なうものではないとともに、当社の会社役員の地位の維持をその目的とするものではないと考えています。
①企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由
当社は、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、当社グループにとっての最良のコーポレートガバナンスを実現することを目的として、当社グループのあるべきコーポレートガバナンスのあり方を指し示す「コーポレートガバナンス方針書」を制定しています。
当社は持株会社であり、経営判断の迅速化・経営責任の明確化を図るため、事業子会社の業務執行事項については、グループ経営に影響を及ぼすものを除き、各事業子会社にその権限を委任しています。
なお、持株会社としての当社の役割・責務は、次のとおりです。
・グループビジョン、グループ中期経営計画、グループ年度経営方針、サステナビリティ方針の企画、立案、浸透及びこれらの進捗、成果管理
・グループ事業ドメインの設定
・事業ポートフォリオマネジメント(経営資源の最適配分)
・事業間シナジーの創出
・グループ全体のリスクマネジメント体制の確立
・グループ全体の組織設計と運営
・グループ全体の人財マネジメント
・株主マネジメント
・グループ全体のコーポレートガバナンスの確立
・グループ経営に関する重要な業務執行事項の意思決定
・各事業子会社の経営方針、経営戦略への助言、承認及びその進捗の監督、評価
また、当社の経営組織として6つの統括部(経営戦略統括部、CRE戦略統括部、デジタル戦略統括部、財務戦略統括部、人財戦略統括部、業務統括部)を設置し、それぞれの組織の役割・責任・権限を明確にし、監督機能の強化、グループ全体の内部統制システムの充実を図っています。
当社は、機関設計として指名委員会等設置会社を採用しています。理由は以下の観点から、コーポレートガバナンスの更なる強化に取り組むためです。
・監督と執行を分離することにより取締役会の業務執行に対する監督機能を強化します。
また取締役会は、グループ経営に関わる重要な戦略課題を社外の知見も積極的に取り入れ徹底的に論議することで、戦略の高度化を図ります。
・業務執行の決定を執行役に委任することが可能になることで、権限、責任の明確化を図りつつ、迅速な経営の意思決定を行います。
・過半数を独立社外取締役で構成する指名、監査、報酬の3委員会を置く「指名委員会等設置会社」を採用することにより、経営の透明性、客観性の向上を図ります。
・海外投資家などにグローバルな視点で分かりやすいガバナンス体制を構築します。
1)会社の機関の内容
A 取締役会
株主の皆様に選任され当社の経営を負託された取締役は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、グループビジョンの実現に向けて、取締役会において次の役割・責務を果たしていきます。
・グループビジョン、サステナビリティ方針、グループ中期経営計画、グループ年度経営方針、その他の経営の基本方針について建設的な議論を重ねるほか、そのリスク評価も含めて多面的、客観的に審議し、グループ経営の大きな方向性を指し示すこと
・上記の方向性を踏まえたグループ経営に関する全体方針、計画について適切に意思決定を行うこと及びその計画について進捗、結果を監督すること
・非連続な成長に向けた攻めの経営を後押しする環境整備を行うこと
・当社グループ全体の内部統制システムの構築、整備を進めるほか、その運用状況を監督すること
・関連当事者間の利益相反を監督すること
・指名委員会に諮問した代表執行役社長の後継者計画、経営人財に係わる人事配置計画、執行役のトレーニングについて指名委員会からの概要の報告を基に進捗状況を監督すること
当社の取締役会は、定款に定める11名以内の適切な員数で構成します。現在は取締役10名(うち独立社外取締役6名)で、任期は1年です。監督と執行の分離、取締役会における議論の実効性確保の観点から、独立社外取締役が過半数の構成としています。
なお、取締役候補者の指名に際しては、取締役会全体としての知識・経験・能力のバランスに配慮の上、その多様性を確保します。
取締役会の構成員は、以下のとおりです。
社内取締役 好本達也、浜田和子、小野圭一、若林勇人
社外取締役 小出寛子(議長)、矢後夏之助、箱田順哉、内田章、関忠行、大村恵実
≪取締役会実効性評価≫
当社は、2015年より毎年、第三者機関による取締役会実効性評価を実施しています。
[評価項目]
1 グループ全体への取締役会の貢献度、2 取締役会の構成、3 運営状況、4 論議内容、5 指名・報酬・監査の各委員会活動の実効性など約40項目としました。
[評価手法]
事前アンケートをもとに、第三者機関が「個別インタビュー」(注)を行い、その結果を集計・分析した報告書に基づいて取締役会で協議する手法で行いました。
(注)「個別インタビュー」
取締役(社内・社外とも)の全員に対してアンケート結果をもとに、1時間程度の個別インタビューを第三者機関が実施し、取締役会に関する各種質問に対する考え方・問題意識などをヒアリングしました。取締役会ではインタビューの結果を踏まえて課題の解決につなげています。
[評価結果及び課題への取り組み等]
過去8回の評価では、重要議案の論議の強化や取締役会構成の見直しなどについて課題が明確になりました。改善に向けた取り組みを経て、社外取締役比率の向上・アジェンダセッティング強化・審議内容などの充実などの取り組みを通じ、監督機能は強化されつつあります。
9回目となる2023年8月から9月にかけて実施した取締役会実効性評価について、第三者機関からは、当社取締役会は、指名委員会等設置会社への移行、独立社外取締役が過半数を占めるなど先進的なガバナンス体制を構築し、法定三委員会の機能強化などを通じて実効性向上を果たしてきたと評価されました。一方、これら形式面での体制整備がほぼ完了する中、中長期の企業価値向上を目指す観点から、実質面の課題として「中期経営計画に対するモニタリング」「成長戦略議論に向けた準備・分析の徹底」が挙げられました。これらの課題を受け、今後も、取締役会実効性評価を基点に課題の共有を行い、取締役会の実質的な実効性を高めてまいります。
≪取締役会の開催日と主な議題≫
2023年度(2023年3月から2024年2月)は、15回の取締役会を開催しました。取締役の出席状況は98.8%となっています。(1回あたりの平均所要時間 2時間28分)
開催日 | 主な議題 |
2023年3月28日 | 内部統制システム構築の基本方針の運用状況及び財務報告に係る内部統制の評価結果、など |
4月11日 | 決算関連 |
4月25日 | 所有株式の売却について、など |
5月25日 | コーポレートガバナンス方針書の改定、コーポレートガバナンス報告書の改訂、内部統制システム構築の基本方針の改定、など |
6月28日 | 次期中期経営計画の策定に向けて、など |
7月25日 | 次期中期経営計画〈骨子〉、など |
8月29日 | 次期中期経営計画〈骨子〉、政策保有株式保有合理性の検証、など |
9月26日 | 次期中期経営計画、決済金融事業成長戦略、など |
10月10日 | 決算関連 |
10月31日 | 取締役会実効性評価結果、次期中期経営計画〈財務戦略〉、など |
11月28日 | 次期中期経営計画、JFR人的資本経営、など |
12月26日 | 次期中期経営計画、など |
2024年1月30日 | 代表執行役の選定及び解職について、JFRの役員人事について、など |
2月27日 | 次期中期経営計画、2024年度損益予算・資金計画及びBS予算、など |
B 3委員会
(指名委員会)
指名委員会は、独立社外取締役3名と常勤の非業務執行取締役1名で構成し、透明性・客観性確保の観点から、委員長は独立社外取締役から選定します。
同委員会は株主総会に提出する取締役の選任及び解任に関する議案内容の決定、取締役会からの諮問を受け、執行役の選任及び解任や各法定委員会の委員長及び委員の選定及び解職などについて、取締役会へ答申します。
(構成員)矢後夏之助(委員長)、内田章、小出寛子、好本達也
≪指名委員会の開催日と主な議題≫
2023年度(2023年3月から2024年2月)は、15回の指名委員会を開催しました。委員の出席状況は100%となっています。(1回あたりの平均所要時間 1時間23分)
開催日 | 主な議題 |
2023年3月17日 | 当社の取締役体制、スキルマトリックス、など |
4月3日 | 当社取締役候補者11名の選任、取締役会への答申内容、など |
4月20日 | JFRグループ各社経営体制 |
5月8日 | 独立社外取締役の体制、今後の指名委員会の進め方、など |
5月25日 | 2023年度指名委員会スケジュール、など |
6月19日 | サクセッション・プラン、独立社外取締役の体制、など |
7月18日 | サクセッション・プラン、独立社外取締役の体制、など |
7月24日 | 独立社外取締役の体制 |
8月18日 | サクセッション・プラン、独立社外取締役の体制、など |
9月13日 | サクセッション・プラン、独立社外取締役の体制、など |
10月24日 | サクセッション・プラン、執行役・主要事業子会社社長の中間評価、など |
11月20日 | サクセッション・プラン、2024年度JFR㈱の執行体制、独立社外取締役の体制 |
12月18日 | サクセッション・プラン、2024年度JFR㈱・主要事業子会社の執行体制 |
2024年1月22日 | サクセッション・プラン、2024年度JFR㈱・主要事業子会社の執行体制 |
2月19日 | 2024年度 JFR㈱ 取締役体制 |
(監査委員会)
監査委員会は、独立社外取締役3名と常勤の非業務執行取締役1名で構成し、透明性・客観性確保の観点から、委員長は独立社外取締役から選定します。
同委員会は、執行役及び取締役の職務執行が法令及び定款に適合し、当社の基本理念・グループビジョンに沿って、効率的に行われているかを実効的に監査し、必要な助言・勧告等を行います。
(構成員)箱田順哉(委員長)、関忠行、大村恵実、浜田和子
≪監査委員会の開催日と主な議題≫
2023年度(2023年3月から2024年2月)は、24回の監査委員会を開催しました。委員の出席状況は97.3%となっています。(1回あたりの平均所要時間 1時間18分)
開催日 | 主な議題 |
2023年3月9日 | 会計監査人の評価、など |
3月16日 | 内部監査室報告、など |
3月28日 | 内部統制システム構築の基本方針運用状況及び財務報告に係る内部統制の評価結果報告、など |
4月10日 | 第16期 会計監査人の監査結果報告、第16期 監査委員会の監査報告書について、会計監査人の再任について、内部監査室報告、など |
4月19日 | 2022年度下期グループ各社監査役報告、2022年度監査委員会監査所見、など |
5月11日 | 2023年度グループ各社監査役体制について、会計監査人からの報告、会計監査人への評価フィードバック、コンプライアンス委員会報告、内部監査室報告、など |
5月25日 | 2023年度監査方針・監査計画、選定監査委員・特定監査委員選定、など |
6月8日 | 会計監査人マネジメントレター報告 |
6月15日 | 第17期会計監査人の監査計画、会計監査人報酬同意について |
7月6日 | グループ各社監査役研修会について |
7月13日 | 第17期 第1四半期会計監査人レビュー報告、IT監査について、内部監査室報告、など |
8月17日 | 内部監査室報告、事業会社フェーズ管理報告、など |
9月7日 | グループ各社監査役研修会の総括、など |
9月14日 | コンプライアンス委員会報告、内部監査室報告 |
10月6日 | 財務戦略統括部からの報告、など |
10月13日 | 第17期 第2四半期会計監査人レビュー報告、2023年度上期グループ各社監査役報告、など |
11月1日 | 内部監査室報告、など |
11月9日 | コンプライアンス委員会報告、など |
12月7日 | 内部監査室報告 |
12月14日 | 監査委員会による監査報告書について |
2024年1月11日 | 第17期 第3四半期会計監査人レビュー報告、内部監査室報告、など |
1月18日 | 事業会社フェーズ管理について、会計監査人の評価について |
2月1日 | 内部監査室報告、監査役との連絡会について |
2月9日 | 会計監査人からの報告(KAM、倫理規則改正に伴う報酬関連情報の開示について) |
(報酬委員会)
報酬委員会は、独立社外取締役3名と常勤の非業務執行取締役1名で構成し、透明性・客観性の観点から、委員長は独立社外取締役から選定します。
同委員会は、当社取締役及び執行役、グループ主要子会社の役員(取締役、執行役員及び監査役)の個人別の報酬等の内容に係る決定に関する方針並びに当社取締役及び執行役の個人別の報酬内容を決定します。
(構成員)内田章(委員長)、矢後夏之助、小出寛子、好本達也
≪報酬委員会の開催日と主な議題≫
2023年度(2023年3月から2024年2月)は、13回の報酬委員会を開催しました。委員の出席状況は100%となっています。(1回あたりの平均所要時間 55分)
開催日 | 主な議題 |
2023年3月17日 | 2022年度役員賞与総額、役員報酬制度の見直し(規程・報酬ポリシー改定) |
4月20日 | 役員向け株式対価報酬(短期・中長期パフォーマンス・シェア)の業績連動係数と 支給ポイント数、2022年度役員評価結果 |
5月8日 | 2022年度個人別の役員賞与額・短期パフォーマンス・シェア支給ポイント、 2023年度ミッショングレード・個人別報酬額、など |
5月25日 | 2023年度のミッショングレード・個人別報酬額、報酬委員会スケジュール、など |
6月19日 | 役員報酬制度の見直し |
7月18日 | 役員報酬制度の見直し |
8月18日 | 役員報酬制度の見直し |
10月24日 | 役員報酬制度の見直し |
11月20日 | 役員報酬制度の見直し |
12月18日 | 役員報酬制度の見直し |
12月26日 | 役員報酬制度の見直し |
2024年1月22日 | 役員報酬制度の見直し |
2月19日 | 役員報酬制度の見直し、個人別報酬額 |
2)コーポレートガバナンスの体制

② 内部統制システムの整備の状況
当社は、会社法に定める「監査委員会の職務の執行のため必要なものとして法務省令で定める事項」(会社法第416条第1項第1号ロ)、及び「執行役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備」(会社法第416条第1項第1号ホ)に関して、取締役会において以下の内容(内部統制システム構築の基本方針)を決議しております。
内部統制システム構築の基本方針
A グループ管理体制
グループ管理体制としましては、取締役会は監督機能として執行役及び取締役の職務の執行の監督を行います。取締役会は、会社法または定款に規定される事項のほか、グループビジョン、サステナビリティ方針、グループ中期経営計画などグループ経営の全体方針・計画、M&A、グループ資金計画、その他グループ経営に関する個別の重要な事項を協議・決議するものとします。これら以外の業務執行事項の決定については、意思決定及び執行の迅速化を図るため、グループ経営に重要な影響を及ぼすものを除き、執行に委任します。
また、執行体制としましては、経営の監督と執行を明確に分離し、取締役会の監督機能を強化するとともに、執行への権限委譲を行い迅速な経営の意思決定を行います。
内部統制推進体制としましては、代表執行役社長の指揮の下、執行の内部統制を強化するために、内部統制担当部門、担当者を設置し、当社及び事業子会社において、会社法における内部統制、及び金融商品取引法における内部統制の体制の整備・運用の管理を行います。
B リスク管理体制
リスク管理体制としましては、代表執行役社長を委員長とし、執行役等をメンバーとするリスクマネジメント委員会を設置します。リスクマネジメント委員会は、リスクの抽出及び評価、戦略に反映させるリスクの決定など重要事項を審議し、経営の意思決定に活用します。同委員会での審議内容については、適時に取締役会に報告します。
ハザードリスク対応としましては、大規模な地震、火災、事故などのハザードリスク発生時においては、代表執行役社長を本部長とする「緊急対策本部」が統括して危機管理にあたります。
C 法令遵守体制
法令遵守体制としましては、代表執行役社長を委員長とし、顧問弁護士、執行役等をメンバーとするコンプライアンス委員会を設置します。コンプライアンス委員会は、事業子会社各社のコンプライアンス担当部門との連携を強化し、コンプライアンス体制の基盤整備や、運用状況の監督を継続的に実施し、法令・企業倫理等の遵守を推進するほか、重大なコンプライアンス事案が発現した際にはその対応策の策定等を行います。同委員会での審議内容については、適時に監査委員会に報告します。
また、内部通報制度としましては、社外(顧問弁護士)にも通報窓口を置く当社グループの内部通報システムとして、当社及び事業子会社で勤務するすべての者が利用できる「JFRグループコンプライアンス・ホットライン」を設置します。経営幹部に対するホットラインの通報は直接監査委員会に入り、監査委員会からの指示を受ける体制を構築することで独立性を有する通報ルートを確保します。
D 内部監査体制
内部監査体制としましては、代表執行役社長の指揮の下に、独立した内部監査部門を設置します。内部監査部門は、内部監査規程に基づき、代表執行役社長の指示の下、当社及び事業子会社の監査を行い、または、業務監査結果を適正に報告させ、その業務プロセスの適切性、有効性を検証し、当社各部門及び事業子会社に指摘・助言・提案を行います。
E 監査委員会体制
監査委員会体制としましては、社外取締役を委員長とし、社内取締役である非業務執行取締役を含む4名で構成しております。監査委員会は執行役及び取締役の職務の執行について、適法性及び妥当性の監査を行います。監査委員会は、定期的に代表執行役社長と会合などを持ち、情報の共有化を図ります。また必要に応じて当社の執行役及び取締役を監査委員会に出席させ、報告・意見を求めることができます。
監査委員会の指示のもと、その職務をサポートする組織として監査委員会事務局を設置し、監査委員会事務局員の任命・異動と監査委員会事務局の責任者の人事考課は、独立性を担保するために、監査委員会の事前の同意を得ることとしています。
F 情報保存管理体制
執行役及び取締役の職務の執行に係る文書、ならびに執行役及び取締役が主催する会議体の議事録と関連資料(ともに電磁的記録を含む)については、法令及び秘密情報管理規程に基づき各所管部門が定められた期間、保存・管理し、常時閲覧できる体制を取ります。
情報セキュリティ管理としましては、システム部門の統括部長が、情報セキュリティポリシー、ITガバナンス方針に基づき、当社の情報セキュリティ管理を統括し、情報システムの管理状況などについて、定期的及び必要に応じて都度、取締役会、監査委員会、経営会議及び代表執行役社長に報告を行います。
③ 責任限定契約の内容の概要
当社は、非業務執行取締役が職務の遂行にあたり、期待される役割を十分に発揮できるようにするため、会社法第427条第1項の規定に基づき、非業務執行取締役との間に責任限定契約を締結しています。責任限定契約の内容は、非業務執行取締役が任務を怠ったことによって損害賠償責任を負う場合は、1,200万円又は法令に定める金額のいずれか高い額を限度としてその責任を負うものとし、責任限定が認められるのは、当該非業務執行取締役が責任の原因となった職務の遂行において善意かつ重大な過失がないときに限るものとしています。
④ 取締役の定数
当社の取締役は11名以内とする旨、定款に定めています。
⑤ 取締役の選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議については、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨及び累積投票によらない旨、定款に定めています。
⑥ 株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議については、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨、定款に定めています。これは、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営を行うことを目的とするものであります。
⑦ 剰余金の配当金等の決定機関
当社は、より機動的な配当政策を行うために、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議により定める旨、定款に定めています。
⑧株式会社の支配に関する基本方針
1)基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの財務及び事業の内容や当社グループの企業価値の源泉を十分に理解し、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、これを向上していくことを可能とする者であることが必要であるものと考えています。
当社は、当社が上場会社であることから、当社の株主のあり方については、一般的には金融商品取引所における自由な市場取引を通じて決まるものであり、特定の株主または特定の株主グループによって当社株式の一定規模以上の取得行為(以下「大量取得行為」といいます。)が行われる場合であっても、当該大量取得行為が当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、一概にこれを否定するものではなく、これに応じるか否かについては、最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきものと考えています。
しかしながら、大量取得行為の中には、その目的等からして当社グループの企業価値に対する明白な侵害をもたらすもの、株主の皆様に当社株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、当社取締役会や株主の皆様が大量取得者の提案内容等について検討し、または当社取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないものなど、当社グループの企業価値を毀損する重大なおそれをもたらすものも想定されます。
このような当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大量取得行為を行う者(以下「大量取得者」といいます。)は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては不適切であり、当社は、このような大量取得行為に対しては、大量取得者による情報提供並びに当社取締役会による検討及び評価といったプロセスを確保するとともに、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の毀損を防止するため、当社取締役会及び株主の皆様が大量取得者の提案内容を検討するための十分な時間を確保することこそが、株主の皆様から当社経営の負託を受けた当社取締役会の責務であると考えています。
2)基本方針の実現に資する取り組み
当社グループは、大丸・松坂屋の創業以来、その企業理念、伝統精神である「先義後利(義を先にして利を後にする者は栄える)」、「諸悪莫作 衆善奉行(諸悪をなすなかれ、多くの善行を行え)」、「人の利するところにおいて、われも利する」に基づき、永年にわたって呉服商、百貨店業を営んできました。
当社は、当社グループの企業価値の源泉は、これらの理念、精神に基づくことにより築き上げられてきた、お客様及び社会との信頼関係にあるものと考えています。
そこで、当社は、これらの理念、精神に共通する「お客様第一主義」、「社会への貢献」を体現するため、当社グループの基本理念として「時代の変化に即応した高質な商品・サービスを提供し、お客様の期待を超えるご満足の実現を目指す」、「公正で信頼される企業として、広く社会への貢献を通じてグループの発展を目指す」ことを掲げ、この基本理念に基づき、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保及び向上に資するため、当社グループのビジョンである“くらしの「あたらしい幸せ」を発明する。”の実現を目指し、さまざまな施策に取り組んでいます。
3)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、現在のところ、大量取得者が出現した場合の具体的な取り組み、いわゆる買収防衛策について特にこれを定めていません。
しかしながら、大量取得者が出現した場合には、当社グループの企業価値の毀損を防止するため、大量取得者の属性、大量取得行為の目的、大量取得者が提案する財務及び事業の方針、株主の皆様及び当社グループのお客様・お取引先様・従業員・当社グループを取り巻く地域社会その他のステークホルダーに対する対応方針など、大量取得者に関するこれらの情報を把握した上で、当該大量取得行為が当社グループの企業価値に及ぼす影響を慎重に検討する必要があるものと考えます。
したがって、このような場合には、当社は、当社経営陣及び社内取締役から独立した立場にある社外取締役及び有識者を構成員とする独立委員会を設置し、その勧告意見を踏まえた上で、当該大量取得者が前記の基本方針に照らして不適切な者であると判断されるときは、必要かつ相当な対応を講じることにより、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を確保する所存であります。
4)具体的な取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
当社グループで策定するさまざまな施策は、当社グループの基本理念に基づいて策定されており、当社グループの企業価値の源泉であるお客様及び社会との信頼関係のさらなる構築を目指すものであります。したがって、これらの施策は、基本方針の内容に沿うものであり、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものであると考えています。
また、基本方針に照らして不適切な者であると判断される大量取得者に対して必要かつ相当な対応を講じることについては、当社経営陣及び社内取締役からの独立性が確保されている独立委員会の勧告意見を踏まえて判断することにより、その判断の公正性・中立性・合理性が担保されており、当社グループの企業価値・株主共同の利益を損なうものではないとともに、当社の会社役員の地位の維持をその目的とするものではないと考えています。