有価証券報告書-第18期(2024/03/01-2025/02/28)
③戦略
・JFRグループ 2050年ネットゼロ移行計画
当社は、2050年ネットゼロの実現に向け、中長期視点で取り組む必要があるとの認識に基づき、2050年までの移行計画を策定しています。気候関連リスク・機会の分析結果、およびそれらによる財務影響を踏まえ、リスクに対しては適切な対応策を講じ、また機会に対しては、顧客ニーズの変化に積極的に対応することで新たな成長機会の獲得を目指す等、短期・中期・長期視点で、具体的な取り組みを推進していきます。本移行計画に、投資や資金計画、また当年度の取り組み実績を合わせて明示することで、それぞれの関係性を明確にし、本計画の実効性をより高めていきます。

(a)短期・中期・長期のリスク・機会の詳細
当社は、気候関連リスク・機会は、長期間にわたり自社の事業活動に影響を与える可能性があるため、適切なマイルストーンにおいて検討することが重要であると考えています。それを踏まえ、中期経営計画の実行期間である2026年度までを短期、SBTにおける短期目標年度である2030年度までを中期、SBTネットゼロ目標年度である2050年度までを長期と位置づけました。
当社グループは、気候関連リスク・機会に対し、ネットゼロを実現する2050年までを見据えたバックキャスティングにより、戦略を策定し、対応しています。
(b)リスク・機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響の内容・程度
シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照の上、下表のとおり2つの世界を想定しています。
これらのシナリオを踏まえ、当社は、主要事業である小売業及びデベロッパー事業を対象にバリューチェーンプロセスの活動項目ごとに、TCFD提言に沿って、気候関連リスク・機会を抽出しました。その上で、気候変動がもたらす移行リスク(政策規制、技術、市場、評判)や物理リスク(急性、慢性)、また、気候変動への適切な対応による機会(資源効率、エネルギー源、製品およびサービス、市場、レジリエンス)を特定しました。
<2025年度シナリオ分析に活用するシナリオの説明>
(c)関連するシナリオに基づくリスク・機会及び財務影響とそれに対する戦略・レジリエンス
当社は、特定した気候関連リスク・機会の中から、「自社にとっての重要性(影響度×緊急度)」と、「ステークホルダーにとっての重要性」の2つの基準に基づき、その重要性を評価しました。特に重要性が高いと評価した項目について、2030年度を想定した1.5℃/2℃未満シナリオ、および4℃シナリオの2つのシナリオにおける財務影響を定量、定性の両側面から評価し、それぞれの対応策を策定しました。
なお、財務影響を定量的に評価するための情報が入手困難なリスク・機会については、定性的に評価し、その結果を矢印の傾きによって3段階で表示しています。
(2030年度時点を想定した定量的財務影響の算出根拠)
※1 2030年度時点のJFRグループScope1・2排出量に1t-CO2あたりの炭素価格を乗じて試算
※2 2030年度時点のJFRグループ電気使用量に通常の電気料金と比較した1kWhあたりの再エネ由来電気料金価格高を乗じて試算
※3 過去の自然災害による店舗休業に伴う売上損失額に将来の洪水発生頻度を乗じて試算
※4 2030年度時点のJFRグループ省エネルギー量にエネルギー調達コストを乗じて試算
※5 2030年度時点のJFRグループ不動産収益に環境認証取得ビルの新規成約賃料への影響度合いを乗じて試算
<主なパラメータ>
レジリエンスに対する総括
上記シナリオを前提に気候変動がもたらす影響を分析し、その対応策を検討した結果、いずれのシナリオ下においても、当社グループが既に実施している施策および計画している施策が、リスクを低減し、機会の実現に貢献できる実効性、柔軟性を有していることを確認しました。
炭素税等導入によるコスト増や自然災害に伴う収益への影響については、財務影響リスクを低減する対策を計画的かつ着実に実行していきます。また、シェアリング・アップサイクルやリユース事業等当社の特性をいかしたサーキュラー・エコノミーに資する事業を当社グループの成長につなげ、脱炭素社会の実現にも貢献していきます。
当社は、気候関連課題のリスクと機会の両面を捉えた取り組みを推進することで、経営のレジリエンスを高めていきます。
・JFRグループ 2050年ネットゼロ移行計画
当社は、2050年ネットゼロの実現に向け、中長期視点で取り組む必要があるとの認識に基づき、2050年までの移行計画を策定しています。気候関連リスク・機会の分析結果、およびそれらによる財務影響を踏まえ、リスクに対しては適切な対応策を講じ、また機会に対しては、顧客ニーズの変化に積極的に対応することで新たな成長機会の獲得を目指す等、短期・中期・長期視点で、具体的な取り組みを推進していきます。本移行計画に、投資や資金計画、また当年度の取り組み実績を合わせて明示することで、それぞれの関係性を明確にし、本計画の実効性をより高めていきます。

(a)短期・中期・長期のリスク・機会の詳細
当社は、気候関連リスク・機会は、長期間にわたり自社の事業活動に影響を与える可能性があるため、適切なマイルストーンにおいて検討することが重要であると考えています。それを踏まえ、中期経営計画の実行期間である2026年度までを短期、SBTにおける短期目標年度である2030年度までを中期、SBTネットゼロ目標年度である2050年度までを長期と位置づけました。
当社グループは、気候関連リスク・機会に対し、ネットゼロを実現する2050年までを見据えたバックキャスティングにより、戦略を策定し、対応しています。
気候関連リスク・機会の検討期間 | JFRグループの定義 | |
短期 | 2026年度まで | 中期経営計画の実行期間 |
中期 | 2030年度まで | SBTにおける短期目標年度までの期間 |
長期 | 2050年度まで | SBTネットゼロ目標年度までの期間 |
(b)リスク・機会が事業・戦略・財務計画に及ぼす影響の内容・程度
シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照の上、下表のとおり2つの世界を想定しています。
これらのシナリオを踏まえ、当社は、主要事業である小売業及びデベロッパー事業を対象にバリューチェーンプロセスの活動項目ごとに、TCFD提言に沿って、気候関連リスク・機会を抽出しました。その上で、気候変動がもたらす移行リスク(政策規制、技術、市場、評判)や物理リスク(急性、慢性)、また、気候変動への適切な対応による機会(資源効率、エネルギー源、製品およびサービス、市場、レジリエンス)を特定しました。
<2025年度シナリオ分析に活用するシナリオの説明>
気温上昇 推定値 | 参照した既存シナリオ | 想定される世界 | 対象事業 | |
1.5℃/2℃未満 | 移行 | 「Net Zero Emissions by 2050 Scenario(NZE)」(IEA、2024年) | 気候関連政策・規制が強化され、パリ協定の目標である「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすること」を想定した世界 ・炭素税導入 ・再エネの普及・拡大 ・環境配慮型商品への関心の高まり | 小売業・デベロッパー事業 |
物理 | 「Representative Concentration Pathways (RCP2.6)」(IPCC、2014年) | |||
4℃ | 移行 | 「Stated Policy Scenario(STEPS)」(IEA、2024年) | 新たな気候関連政策・規制は導入されず、現状のペースのまま温室効果ガスが排出され、気候変動が進行(平均気温2.6℃~4.8℃の上昇)することを想定した世界 ・甚大な自然災害の増加 ・海面上昇 ・生物多様性の喪失 | |
物理 | 「Representative Concentration Pathways (RCP8.5)」(IPCC、2014年) |
(c)関連するシナリオに基づくリスク・機会及び財務影響とそれに対する戦略・レジリエンス
当社は、特定した気候関連リスク・機会の中から、「自社にとっての重要性(影響度×緊急度)」と、「ステークホルダーにとっての重要性」の2つの基準に基づき、その重要性を評価しました。特に重要性が高いと評価した項目について、2030年度を想定した1.5℃/2℃未満シナリオ、および4℃シナリオの2つのシナリオにおける財務影響を定量、定性の両側面から評価し、それぞれの対応策を策定しました。
なお、財務影響を定量的に評価するための情報が入手困難なリスク・機会については、定性的に評価し、その結果を矢印の傾きによって3段階で表示しています。
![]() | JFRグループの事業及び財務への影響が非常に大きくなることが想定される | ||||||||
![]() | JFRグループの事業及び財務への影響が大きくなることが想定される | ||||||||
![]() | JFRグループの事業及び財務への影響が軽微であることが想定される | ||||||||
気候関連 リスク・機会の種類 | 発現時期 | JFRグループにとって 特に重要な 気候関連リスク・機会 | 2030年財務影響 | 対応策 (※2024年度の取り組みはネットゼロ移行計画を参照) | |||||
短期 | 中期 | 長期 | 1.5℃/2℃ 未満 シナリオ | 4℃ シナリオ | |||||
リスク | 移行 リスク | ● | ● | ・炭素税等の導入に伴うコストの増加 | 約11億円※1 | 約10億円※1 | ・2050年ネットゼロ目標達成に向けた店舗における積極的な省エネ施策や再エネ切り替え拡大による温室効果ガス排出量削減 | ||
● | ● | ● | ・環境性能の高い物件の開発と設備導入に係るコストの増加 | ![]() | ![]() | ・グリーンボンド等を活用した資金調達 ・コスト効率的な設備導入 | |||
● | ● | ● | ・高効率(省エネ)機器導入に係る投資の増加 | ![]() | ![]() | ・インターナルカーボンプライシングの活用 ・コスト効率的かつ計画的な投資の検討 | |||
● | ● | ・再エネ由来電力需要増による再エネ調達コストの増加 | 約8億円※2 | 約4億円※2 | ・インターナルカーボンプライシングの活用 ・再エネ調達手法の適切な組み合わせによる再エネ調達リスクの低減と中長期的なコストの低減 ・自社施設への再エネ設備導入等、再エネ自給率の向上 | ||||
物理 リスク | ● | ● | ・自然災害による店舗休業に伴う収益の減少 | 約52億円※3 | 約103億円※3 | ・BCP整備による店舗・事業所のレジリエンス強化 ・店舗の防災性能の向上 | |||
機会 | エネルギー源 | ● | ● | ● | ・高効率(省エネ)機器導入によるエネルギー調達コストの減少 | 約5億円※4 | ・高効率(省エネ)機器への適切なタイミングでの更新 | ||
製品 及び サービス | ● | ● | ・新たな価値共創パートナーを含む取引先と連携した環境配慮型商品 ・サービスの提供による、バリューチェーン全体での脱炭素化とビジネス機会獲得に伴う収益の拡大 | ![]() | ![]() | ・環境配慮型商品・サービスの取扱い拡大 ・廃食油を国産SAFとして再資源化 ・AI需要予測システムの活用による食品廃棄物削減等、お取引先様との協働による取り組み ・温室効果ガス排出量の算定や削減目標の設定、排出量に係る一次データの提供依頼等、脱炭素化に向けたお取引先様との対話や説明会の開催 | |||
市場 | ● | ● | ● | ・サーキュラー型ビジネスへの新規参入による新たな成長機会の拡大 ・サステナブルなライフスタイルを提案することによる新規顧客の獲得に伴う収益の拡大 | ![]() | ![]() | ・ファッションサブスクリプション事業「アナザーアドレス」をはじめとしたシェアリング・アップサイクル・リユース等サーキュラー型ビジネスの拡大 | ||
● | ● | ● | ・環境価値の高い店舗への転換による新たなテナントの獲得機会増に伴う収益の拡大 | 約11億円※5 | ― | ・新規開発物件の環境認証の取得(ZEB、CASBEE等) ・RE100実現に向けた店舗の再エネ化の促進 |
(2030年度時点を想定した定量的財務影響の算出根拠)
※1 2030年度時点のJFRグループScope1・2排出量に1t-CO2あたりの炭素価格を乗じて試算
※2 2030年度時点のJFRグループ電気使用量に通常の電気料金と比較した1kWhあたりの再エネ由来電気料金価格高を乗じて試算
※3 過去の自然災害による店舗休業に伴う売上損失額に将来の洪水発生頻度を乗じて試算
※4 2030年度時点のJFRグループ省エネルギー量にエネルギー調達コストを乗じて試算
※5 2030年度時点のJFRグループ不動産収益に環境認証取得ビルの新規成約賃料への影響度合いを乗じて試算
<主なパラメータ>

レジリエンスに対する総括
上記シナリオを前提に気候変動がもたらす影響を分析し、その対応策を検討した結果、いずれのシナリオ下においても、当社グループが既に実施している施策および計画している施策が、リスクを低減し、機会の実現に貢献できる実効性、柔軟性を有していることを確認しました。
炭素税等導入によるコスト増や自然災害に伴う収益への影響については、財務影響リスクを低減する対策を計画的かつ着実に実行していきます。また、シェアリング・アップサイクルやリユース事業等当社の特性をいかしたサーキュラー・エコノミーに資する事業を当社グループの成長につなげ、脱炭素社会の実現にも貢献していきます。
当社は、気候関連課題のリスクと機会の両面を捉えた取り組みを推進することで、経営のレジリエンスを高めていきます。