半期報告書-第17期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2018/11/28 13:03
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【項目】
115項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当グループが判断したものであります。
(1)経営方針
①企業理念
当グループは、〈みずほ〉として行うあらゆる活動の根幹をなす考え方として、基本理念・ビジョン・みずほValueから構成される『〈みずほ〉の企業理念』を制定しております。この考え方に基づきグループが一体となって事業運営・業務推進を行うことで、お客さまと経済・社会の発展に貢献し、みなさまに<豊かな実り>をお届けしてまいります。
基本理念:〈みずほ〉の企業活動の根本的考え方
〈みずほ〉は、『日本を代表する、グローバルで開かれた総合金融グループ』として、
常にフェアでオープンな立場から、時代の先を読む視点とお客さまの未来に貢献できる
知見を磨き最高水準の金融サービスをグローバルに提供することで、
幅広いお客さまとともに持続的かつ安定的に成長し、内外の経済・社会の健全な発展に
グループ一体となって貢献していく。
これらを通じ、〈みずほ〉は、いかなる時代にあっても変わることのない価値を創造し、お客さま、経済・社会に<豊かな実り>を提供する、かけがえのない存在であり続ける。

ビジョン:〈みずほ〉のあるべき姿・将来像
『日本、そして、アジアと世界の発展に貢献し、お客さまから最も信頼される、
グローバルで開かれた総合金融グループ』
1.信頼No.1の〈みずほ〉
2.サービス提供力No.1の〈みずほ〉
3.グループ力No.1の〈みずほ〉

みずほValue:役職員が共有すべき価値観・行動軸
1.お客さま第一 ~未来に向けた中長期的なパートナー~
2.変革への挑戦 ~先進的な視点と柔軟な発想~
3.チームワーク ~多様な個性とグループ総合力~
4.スピード ~鋭敏な感性と迅速な対応~
5.情熱 ~コミュニケーションと未来を切り拓く力~

②中期経営計画
当グループは、平成28年度からの3年間を計画期間とする中期経営計画『進化する“One MIZUHO”~総合金融コンサルティンググループを目指して~』を策定し、推進しております。
この計画は、従来から推進してきた「お客さま第一(Client-Oriented)」をさらに徹底するとともに、業務高度化・効率化プロジェクトにより「オペレーショナルエクセレンス(卓越した業務遂行力)」を追求することで、「総合金融コンサルティンググループ」という新しいビジネスモデルを構築し、「One MIZUHO戦略」を進化させようとするものです。
資産運用機能やリサーチ&コンサルティング機能を銀行・信託・証券に次ぐ新たな柱として加え、これまで以上にお客さまに最良・最適なサービスを提供し、〈みずほ〉への満足度を高めていただくことで、法人のお客さまの持続的な発展や個人のお客さまの安定した未来のためのOnly Oneのパートナーを目指してまいります。
中期経営計画では、このような新しいビジネスモデルを構築することを目指して、5つの基本方針と、それを事業戦略、財務戦略、経営基盤において具体化した10の戦略軸を設定しております。
中期経営計画における〈みずほ〉の目指す姿
“総合金融コンサルティンググループ”
~お客さまと社会の持続的成長を支える課題解決のベストパートナー~

5つの基本方針
1.カンパニー制の導入
2.事業の選択と集中
3.強靭な財務体質の確立
4.金融イノベーションへの積極的取組み
5.強い〈みずほ〉を支える人材の活躍促進とカルチャーの確立

10の戦略軸
[事業戦略]
① グローバルベースでの非金利ビジネスモデルの強化
② 貯蓄から投資への対応
③ リサーチ&コンサルティング機能の強化
④ FinTechへの対応
⑤ エリアOne MIZUHO戦略*

[財務戦略]
⑥ バランスシートコントロール戦略とコスト構造改革
⑦ 政策保有株式の削減

[経営基盤]
⑧ 次期システムの完遂
⑨ 人事運営の抜本的改革
⑩ 強い組織を支えるカルチャーに向けた継続的取組み

*同一地域における銀行・信託・証券一体でのOne MIZUHO戦略。営業拠点がエリア戦略を主体的に考え実行。
また、本中期経営計画では、以下の項目を財務面の目標の達成状況を測定する指標として掲げております。
One MIZUHO戦略などの競争優位性を活かしながら、事業の選択と集中を図り、「オペレーショナルエクセレンス」の追求等を通じて一層の収益力向上と効率性・品質向上及び経費削減に取り組み、競争環境の変化にも耐えられる強靭な財務基盤の構築を目指します。
資本政策については、安定的な自己資本の充実と着実な株主還元の最適なバランスを引き続き追求いたします。
・普通株式等Tier1(CET1)比率*1
・連結ROE*2
・親会社株主に帰属する当期純利益RORA
・グループ経費率*3
・政策保有株式削減額*4
*1 バーゼルⅢ完全施行ベース(現行規制を前提)、その他有価証券評価差額金を除く
*2 その他有価証券評価差額金を除く
*3 当行、みずほ信託銀行株式会社、みずほ証券株式会社、アセットマネジメントOne株式会社、及び、持株会社の主要子会社を合算した粗利経費率
*4 国内上場株式、取得原価ベース、平成27年度から平成30年度の累計額
(2)経営環境
当中間連結会計期間の経済情勢を顧みますと、世界経済は堅調に拡大する米国経済がけん引し、全体として緩やかな回復が続きました。一方、中国経済は米中貿易摩擦の影響などから減速基調となっております。
米国経済は、減税や財政支出を受け、堅調な景気拡大が続きました。失業率は低下しておりますが、賃金の伸びに加速感は見られません。FRB(連邦準備制度理事会)は緩やかな利上げを継続するとともに、バランスシートの縮小を進めております。
欧州経済の景気拡大ペースは鈍化しております。企業の景況感は製造業を中心に弱含んでおります。イタリア情勢やBrexitなど不透明感が高まるなか、ECB(欧州中央銀行)は金融政策を据え置いております。
アジアでは、中国景気が減速基調となっております。米中貿易摩擦への懸念から人民元の下落などが見られ、不確実性が高まっており留意が必要です。新興国経済は回復基調が続いておりますが、経常赤字国などでは米通商政策や中国景気への懸念に伴う資金流出の動きが見られます。
日本経済は、海外経済の拡大や内需の堅調な推移から回復基調が続いているものの、輸出、生産は力強さに欠ける状況です。雇用環境が良好ななか、個人消費は緩やかな回復傾向を維持しております。日本銀行は物価目標2%達成に向け、長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策を継続しております。7月会合では政策の持続性を高める対応が行われました。
今後の先行きについては、世界経済は、米国を中心に引き続き回復が期待されますが、下振れリスクが残存しており、米通商政策や欧州の政治情勢、中国・新興国の経済・市場動向、中東での地政学リスクの高まりなどに注意を要する状況です。
(3)対処すべき課題
金融機関を取り巻く事業環境は厳しい状況が継続するとともに、大きな構造変化が予想されています。このような環境のなか、10年後を見据えたグループの持続的成長と将来の競争優位性確保に向けて、抜本的構造改革に取り組んでまいります。
テクノロジーのめざましい進展をオープンイノベーションの考えのもとで活用し、金融の枠を超えた他社との協働による新たなビジネス機会の創出も含めたトップライン収益の増強を図るとともに、組織・人員の最適化やチャネルの再構築等にも取り組み、コスト競争力の強化や生産性の向上を図ることで、「One MIZUHO戦略」のさらなる進化を目指してまいります。
平成30年度は、「抜本的構造改革への着手・実行」「中期経営計画の仕上げ」「次期システムの完遂」という3つの重要な課題に対処すべく、「ビジネス構造・基盤の変革に着手し、お客さま第一の再徹底と生産性の抜本的向上による“One MIZUHO戦略”のさらなる進化」を当グループの運営方針とし、以下の事項に重点を置いて、取り組みを進めてまいります。
(「お客さま第一」の徹底を通じた収益力の強化)
お客さまとの接点強化、お客さまのニーズ把握の徹底等を通じて、グループ一体となった「One MIZUHO戦略」をさらに進化させ、課題解決を通じたグループ一体での収益力の強化に取り組んでまいります。また、資産運用関連業務におけるフィデューシャリー・デューティー*の実践に向けた取り組みを進めるとともに、お客さまの声・評価を業務計画フォローのサイクルに取り込み、戦略・施策に反映させてまいります。
* 他者の信認に応えるべく一定の任務を遂行する者が負うべき幅広いさまざまな役割・責任の総称
(事業の選択と集中)
注力分野と縮退分野において、ターゲット先やマーケットを絞った経営資源配分のメリハリを強化することで、限られた経営資源を効果的に活用し、収益力を向上させてまいります。注力分野においては、リスクテイクの領域や深度の拡大に取り組むほか、新規ビジネスや成長領域のビジネス強化に着手してまいります。
(強靭な財務体質の確立)
事業環境の変化の予兆を捉えてバランスシートコントロールを機動的・実効的に行うことで、リスク・リターンの適正化を図ってまいります。政策保有株式の削減については、中期経営計画で掲げた目標の達成に向けて取り組んでまいります。
また、「オペレーショナルエクセレンス」への取り組み等を通じた業務プロセスの抜本的見直しや、働き方の見直しによりコスト構造改革を実現してまいります。
(テクノロジー・データの活用)
グループ全体のデジタルイノベーション戦略の企画・推進機能を強化し、業務プロセス高度化による生産性向上、ビジネス基盤の刷新、新規ビジネスの創造、の各々の領域において、テクノロジー・データの活用や、他企業との協働による価値共創に向けた取り組みを推進してまいります。
(人材の活躍促進とカルチャーの変革)
「個」を尊重する人事運営、多様な人材の活躍促進、多様かつ柔軟な働き方を可能とする「働き方改革」、「健康経営」の取り組み等、「人事運営の抜本的改革」の定着・浸透を図るとともに、社員のチャレンジを促す意識改革や内向きエネルギーの排除等、カルチャーの変革に向けた取り組みを進めてまいります。
(次期システムの完遂)
最重要・最大規模のシステムプロジェクトとして、万全の態勢のもと、「安全・着実」に完遂するべく取り組んでまいります。
[事業戦略]
当グループは、お客さまの属性に応じた銀行・信託・証券等グループ横断的な戦略を策定・推進する5つのカンパニーと、全カンパニー横断的に機能を提供する2つのユニットを設置し、グループ運営を行っております。
各カンパニー・ユニットの事業戦略は次の通りです。
(リテール・事業法人カンパニー)
リテール・事業法人カンパニーは、個人・中小企業・中堅企業のお客さまに向けた業務を担当しており、お客さまとともに成長する「総合金融コンサルティングカンパニー」を目指しております。
個人のお客さまには、資産運用、資産承継等のコンサルティング提供力の向上に努めていくとともに、先進的な技術の活用・他社との提携等による、利便性の高いサービスの開発・提供に取り組んでまいります。
中小企業・中堅企業のお客さまには、コンサルティングを起点とした成長戦略支援を通じて、事業の拡大・承継、海外展開等のニーズや、企業オーナー等の資産承継・運用等のニーズに対し、最適なソリューションをグループ一体で提供してまいります。
(大企業・金融・公共法人カンパニー)
大企業・金融・公共法人カンパニーは、国内の大企業法人・金融法人・公共法人のお客さまに向けた業務を担当しており、お客さまから最も信頼されるパートナーになることを目指しております。
大企業法人のお客さまには、資金調達・運用、経営・財務戦略等に関するお客さまニーズに対し、シンジケートローンや社債引受、M&A等、お客さまごとのオーダーメード型ソリューションを提供してまいります。
金融法人のお客さまには、財務戦略等に関する助言や各種運用商品の提案、公共法人のお客さまには、公共債の受託、引受を通じた資金調達支援、指定金融機関業務等、グループ横断的に最適な金融サービスを提供してまいります。加えて、日本経済の重要課題である、地方創生に向けた取り組みにも注力してまいります。
(グローバルコーポレートカンパニー)
グローバルコーポレートカンパニーは、海外進出日系企業及び非日系企業等のお客さまに向けた業務を担当しており、大きく変わる世界の経済動向・規制動向のなかで、持続的に成長するカンパニーを目指しております。
お客さまの事業への深い理解と、貸出、社債引受等のコーポレートファイナンスの分野での強みを活かし、さまざまなソリューションを提供してまいります。
(グローバルマーケッツカンパニー)
グローバルマーケッツカンパニーは、株式・債券等への投資業務に加え、セールス&トレーディング業務として、個人から機関投資家まで幅広いお客さまのリスクヘッジ・運用ニーズに対して、マーケット商品全般を提供してまいります。
銀行・信託・証券連携による幅広い商品提供力を活かし、アジアトップクラスのグローバルマーケットプレイヤーを目指しております。
(アセットマネジメントカンパニー)
アセットマネジメントカンパニーは、個人から機関投資家まで幅広いお客さまの資産運用ニーズに応じた商品やサービスを提供してまいります。
フィデューシャリー・デューティー*を全うし、個人のお客さまの資産形成を後押しする運用商品の提供や、年金基金等のお客さまの多様化する運用ニーズにお応えするコンサルティング機能の提供等を通じ、お客さまニーズを実現していくことで、国内金融資産の活性化に貢献することを目指しております。
* 他者の信認に応えるべく一定の任務を遂行する者が負うべき幅広いさまざまな役割・責任の総称
(グローバルプロダクツユニット)
グローバルプロダクツユニットは、インベストメントバンキング分野とトランザクション分野において、事業・財務戦略アドバイス、資金調達サポート、国内外為替・決済等のソリューションを提供してまいります。
各カンパニーや銀行・信託・証券等グループ会社間の強固な連携と、高度な専門性を駆使して〈みずほ〉の目指す「総合金融コンサルティンググループ」をプロダクツの面から支えることを目指しております。
(リサーチ&コンサルティングユニット)
リサーチ&コンサルティングユニットは、産業からマクロ経済まで深く分析するリサーチ機能と、経営戦略等の幅広い分野にわたるコンサルティング機能に、ITデジタル知見を掛け合わせたソリューションを提供するとともに、〈みずほ〉の法人向け会員制サービスを統合し創設したMIZUHO Membership One(MMOne)を展開してまいります。
お客さまや社会の価値創造の“起点”として、顕在的・潜在的な課題を包括的に解決していくことを目指しております。
当行は、当グループにおける各カンパニー・ユニットに対応した組織として、部門・ユニットを設置しており、上記の事業戦略を踏まえ、業務運営を行っております。当行は、国内最大級の顧客基盤や国内外の拠点ネットワークを有するリーディングバンクとして、信託・証券に加え、資産運用会社やシンクタンクとも連携を強化し、グループの総力を結集したコンサルティング機能を発揮することで、幅広いお客さまに最適な金融ソリューションを提供してまいります。
これらの取り組みに加え、リスクアペタイト・フレームワークの高度化や反社会的勢力との取引遮断をはじめとする法令遵守態勢及びガバナンス態勢の強化につきましても引き続き取り組んでまいります。
なお、既に公表しております通り、持株会社の連結子会社である資産管理サービス信託銀行株式会社(以下、TCSB)及び日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(以下、JTSB)は、10月1日付で、共同株式移転によりJTCホールディングス株式会社(以下、JTCHD)を設立いたしました。JTCHD、TCSB及びJTSBは、次の段階として3社合併による新銀行発足に向けて準備を進めてまいります。
また、当行とみずほ信託銀行株式会社の統合の可能性につきましても、引き続き検討してまいります。
当グループは、SDGs(持続可能な開発目標)*1等の社会的課題の解決に向けて、CSR(企業の社会的責任)への取り組みを推進することで、社会の持続可能な発展にグループの総力を挙げて貢献し、企業価値のさらなる向上に邁進してまいります。
また、多様なステークホルダーの皆さまとの積極的なコミュニケーションの実践や、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会*2のサポート等を通じて、今後とも一層のブランド価値向上に向けた取り組みを進めてまいります。
*1 平成27年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された
平成28年から平成42年までの国際目標
*2 みずほフィナンシャルグループは、東京2020ゴールド銀行パートナーです。