半期報告書-第14期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2015/11/26 13:08
【資料】
PDFをみる
【項目】
119項目

対処すべき課題

当グループは、平成25年度からの3年間を計画期間とする中期経営計画『One MIZUHO New Frontier プラン ~〈みずほ〉の挑戦~』を策定し、推進してまいりました。この中期経営計画は、内外経済・社会の構造変化や規制環境の変化等に対応し、新しい時代の新しい金融の姿を目指す新生〈みずほ〉に向けた積極的な取組策であり、その中で、〈みずほ〉のあるべき姿・将来像としてのビジョン、新しい金融に必要な要素や〈みずほ〉の現状分析を踏まえた対応の方向感も反映した「5つの基本方針」、さらに、この方針を具体化した事業戦略、経営管理・経営基盤等における戦略軸としての「10の戦略軸」を、以下のとおり設定しております。
[〈みずほ〉のビジョン(あるべき姿)]
『日本、そして、アジアと世界の発展に貢献し、お客さまから最も信頼される、グローバルで開かれた総合金融グループ』
1.信頼No.1の〈みずほ〉
2.サービス提供力No.1の〈みずほ〉
3.グループ力No.1の〈みずほ〉

[5つの基本方針]
1. 多様な顧客ニーズに応える、グループベースでのセグメント別戦略展開
2. 変化への積極的対応を通じた日本と世界の持続的発展への貢献
3. アジアの〈みずほ〉へ、グローバル化の加速
4. 〈みずほ〉らしさを支える強靭な財務基盤・経営基盤の構築
5. One MIZUHO としての、強固なガバナンスとカルチャーの確立

[10の戦略軸]
[事業戦略]
① 個人・法人のきめ細かなセグメントに応じた、「銀・信・証」一体による総合金融サービス強化
② フォワード・ルッキングな視点と産業・業種知見を活用した、コンサルティング機能の発揮
③ 日本の個人金融資産の形成支援と活性化
④ 成長産業・企業への積極的なリスクテイク能力の強化
⑤ 日本そして世界でのアジア関連ビジネスの強化・拡大
⑥ 加速するグローバルな資金流・商流の捕捉による重層的な取引深耕



[経営管理・経営基盤等]
⑦ 潤沢な流動性と適切な資本水準を背景とした安定的な財務基盤の強化
⑧ 事業戦略を支える最適な経営基盤(人材、業務インフラ)の確立
⑨ 自律的なガバナンスとリスク管理の更なる強化
⑩ グループ共通のカルチャー確立に向けた新たな『〈みずほ〉の企業理念』の浸透と「サービス提供力No.1」に向けた取り組み

当グループは、平成27年度を中期経営計画最終年度として競争優位の確立に全力を注ぐ1年と位置付け、計画達成に向け「銀行・信託・証券」一体戦略をさらに進化させるとともに、コーポレート・ガバナンスのさらなる強化に取り組んでまいります。
その一環として、「オーナー企業等との取引分野」、「大企業との取引分野」、「非日系優良企業との取引分野」、「アセットマネジメント分野」を4つの重点事業分野として定め、これらの事業分野に重点戦略統括役員を配置し、グループとして特に注力する体制としました。
このうち、アセットマネジメント分野においては、平成27年9月にも公表しておりますとおり、持株会社と第一生命保険株式会社(以下、「第一生命保険」)は、資産運用ビジネスの分野における全面業務提携に基づき、両社グループの資産運用機能を統合し、両社対等の精神に則り新会社を共同で運営していくことにつき基本合意に至りました。これにより、「質」「量」ともに本邦ひいてはアジアNo.1の資産運用事業基盤を第一生命保険と共同で構築し、あらゆるお客さまのニーズにお応えするグローバル運用会社への発展、及び新会社ビジネスを通じた市場成長への貢献を目指してまいります。また、〈みずほ〉の運用プラットフォームの拡充を企図し、他社との資本・業務提携等を積極的に進めております。
上記以外にも、グループ一体となった総合金融サービスの提供により、お客さまのさまざまなニーズにお応えすべく、持株会社及び当行は、持分法適用関連会社である株式会社オリエントコーポレーションとの一層の連携強化を行う観点から、議決権比率を引き上げました。今後、従来の個品割賦・銀行保証事業での連携に加えて、カード事業を中心とした決済事業分野での連携を強化してまいります。当グループは、引き続き、多様化・高度化するお客さまのニーズにグループの総力を挙げてお応えしていく体制を整えてまいります。
中長期的な取り組みとしましては、基本理念に基づき、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、「東京2020」)の銀行カテゴリーにおいて、ゴールドパートナーに就任するとともに、今後6年間にわたり、日本成長・再興の国家プロジェクトである「東京2020」を成功に導くべく、高いグループ総合力、強固で広範な事業基盤、及び培ってきた産業知見等の専門性を活かし、「東京2020」関連ビジネスへの金融面でのサポートをはじめ、お客さまの新たなビジネス創出等に貢献してまいります。
なお、当行とみずほ信託銀行の統合の可能性につきましても、引き続き検討してまいります。
[事業戦略]
当グループは、銀行・信託・証券やその他の事業分野にわたるグループ横断的なビジネス戦略を推進し、持株会社が戦略・施策の立案を行う、グループ運営体制を導入しており、具体的には10の「ユニット」を設置しております。各ユニットにおける事業戦略は以下のとおりです。
(個人ユニット)
個人ユニットは、「お客さまに選ばれ続ける金融グループ」の実現を目指し、引き続き、金融商品・サービス提供力の向上に努めてまいります。また、SNS等を活用した新たなサービスの提供や、店舗における利便性のレベルアップ、他社との提携によるサービスの提供等、次世代の金融を見据えた取り組みも進めてまいります。
(リテールバンキングユニット)
リテールバンキングユニットは、「お客さまの永きに亘るビジネスパートナー」となることを目指し、お客さまのさまざまなニーズに対し、「法人・個人」一体、「銀行・信託・証券」一体での最適なソリューションの提供に努めてまいります。
(大企業法人ユニット)
大企業法人ユニットは、「銀行・信託・証券」一体でのグループ専門機能を結集したビジネスモデルにさらに磨きをかけ、お客さまの経営課題としての事業・財務戦略・資本政策にアドバイスを提供するとともに、最適なソリューションをグループ横断的に提供していまいります。
(事業法人ユニット)
事業法人ユニットは、お客さまの成長段階に応じた幅広い経営課題に対し、資金調達や海外事業展開、事業承継等、最適なソリューションを「銀行・信託・証券」一体となって提供し、多様なニーズにお応えしてまいります。
(金融・公共法人ユニット)
金融・公共法人ユニットは、金融法人のお客さまに対しては、財務戦略等に関する助言や各種運用商品の提案、公共法人のお客さまに対しては、公共債の受託、引受を通じた資金調達支援、官民連携(PPP/PFI)等、グループ横断的に最適な金融サービスを提供してまいります。さらに、日本経済の重要課題である地方創生に向けた取り組みを継続してまいります。
(国際ユニット)
国際ユニットは、日系企業の国際事業展開のサポートに加えて、非日系のグローバル企業と、貸出のみならず決済取引や証券関連取引等、多面的取引を拡充することにより、長期的な関係構築に努めてまいります。また、引き続き、拠点ネットワークの拡充に力を入れるとともに、海外の地場金融機関や政府系機関等との業務提携にも積極的に取り組み、サービス提供力のさらなる強化に努めてまいります。
(投資銀行ユニット)
投資銀行ユニットは、各事業分野において、グループ会社各社が保有する高度な専門性を有機的に組み合わせた一体運営をさらに加速させることで、お客さまのあらゆるニーズにお応えする最適なソリューションの提供を行ってまいります。
(トランザクションユニット)
トランザクションユニットは、本部マーケティングの高度化等、大企業分野での総合提案力強化と「法人・個人」一体マーケット分野でのアプローチを強化してまいります。また、海外トランザクションバンキング総合提案営業体制を本格始動させ、アジアに進出されたお客さまへのトランザクションコアバンクを目指してまいります。
(アセットマネジメントユニット)
アセットマネジメントユニットは、グループ資産運用会社の統合に向けた具体的な準備を開始するとともに、個人のお客さまに対する優良な運用商品の提供のほか、年金のお客さまの多様化するニーズにお応えする商品提供力・商品選定力の引き上げや、確定給付年金と確定拠出年金を一体で捉えた総合提案への取り組みを強化してまいります。また、地域金融機関の有価証券運用ニーズのさらなる拡大に向けたソリューション提供力強化等にも取り組んでまいります。
(市場ユニット)
市場ユニットは、「銀行・信託・証券連携による幅広い商品提供力を活かしたアジアトップクラスのグローバルマーケットプレーヤー」を目指し、引き続き、お客さまニーズに的確にお応えする商品供給・ソリューション提案力の向上、及び安定的なポートフォリオ運営を行ってまいります。
以上の各ユニットの事業戦略を踏まえた、当行の事業戦略は次のとおりです。
当行は、国内最大級の顧客基盤を有するリーディングバンクとして、これまで培ってきた強みや特長をさらに高め、当グループ最大の強みであるグループ総合力を最大限に活かし、〈みずほ〉ならではの取り組みを通じてお客さまの幅広いニーズにお応えしてまいります。
個人のお客さまにつきましては、商品・サービス提供の強化及び利便性の向上に努めてまいります。
法人のお客さまにつきましては、高度なリスクテイク能力の発揮による資金供給機能の強化や産業知見・新商品開発能力等の独自性・優位性に立脚したソリューション提供能力の強化に取り組んでまいります。
海外のお客さまにつきましては、日系企業の国際事業展開のサポートに加えて、非日系のグローバル企業と、貸出のみならず決済取引等、多面的取引を拡充することにより、長期的な関係構築に努めてまいります。
[経営管理・経営基盤等]
事業戦略と表裏一体をなす経営管理・経営基盤についても、規制強化等の外部環境変化を踏まえ、しっかりと取り組んでまいります。
(コーポレート・ガバナンスの高度化)
当行及び持株会社は、会社法の改正、バーゼル銀行監督委員会により平成27年7月に改訂された「銀行のためのコーポレート・ガバナンス諸原則」等、国内外のコーポレート・ガバナンス強化の要請も踏まえ、コーポレート・ガバナンス体制の高度化に努めてまいります。
また、持株会社は、平成27年6月、「コーポレートガバナンス・コード」への対応を記載した「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」を東京証券取引所に提出いたしました。「コーポレートガバナンス・コード」の趣旨・精神を踏まえつつ、各原則への対応を検討した結果、全ての原則について実施(コンプライ)することとしております。
なお、当行としましてもコーポレートガバナンス・コードの趣旨・精神を踏まえた対応を実施してまいります。
さらに、取締役会で決議した、業務の適正を確保するための体制(内部統制システム)に基づき、引き続き適正な業務運営を実施してまいります。
(政策保有株式の削減)
「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」に記載のとおり、当グループは、上場政策保有株式については、「保有の意義が認められる場合を除き、保有しない」ことを基本方針としております。当行としましても、株価変動に伴う財務影響を軽減し、ストレス時においても金融仲介機能を十分に発揮できるよう、引き続き政策保有株式の削減に努めてまいります。
(リスクアペタイト・フレームワークの導入)
持株会社は、今年度より、事業戦略・財務戦略とリスク管理の一体運営を通じて企業価値の向上を実現する観点から、リスクアペタイト・フレームワークを導入しました。具体的には、戦略を実現するために行うリスクテイクの方針を掲げ、リスクテイクを行うリスクの種類と水準を策定いたしました。当行としましても、持株会社のリスクテイクの方針に合致した実効的な業務運営を進めてまいります。
(データマネジメント部の設置)
持株会社及び当行は、国際的な金融規制の強化やIT技術の進歩を背景に、データを収集・分析し、経営に活かすデータマネジメントが重要な課題であると認識し、平成26年度にデータマネジメント部を立ち上げました。今後、リスク管理強化とビッグデータ活用によるマーケティングの高度化を推進してまいります。
(コーポレートカルチャーの確立)
ガバナンスを支える強固なコーポレートカルチャーの確立に向けて、引き続き取り組んでまいります。具体的には、各部拠点がそれぞれ目指すべき姿をまとめた「自部店ビジョン」実現に向けた取り組みや経営陣が職員と意見交換する「役員懇談会」、国内外の部店長を対象にカルチャーについて議論する「部店長オフサイト」等、今後とも各種取り組みを継続・強化していきます。
(〈みずほ〉ブランドのさらなる浸透)
当グループは、『日本、そして、アジアと世界の発展に貢献し、お客さまから最も信頼される、グローバルで開かれた総合金融グループ』を実現するため、ブランドスローガン『One MIZUHO 未来へ。お客さまとともに』を掲げております。ブランドのさらなる浸透に向けては、当行は、平成27年度業務計画の達成と、さらなるブランドコミュニケーションの実践に努めてまいります。具体的には、平成27年4月から、社会貢献プロジェクト「〈みずほ〉ハートフルアクション」を開始し、〈みずほ〉の店舗の「子ども110番の家」への登録、外国人の方への通訳サービス導入店舗拡大、タブレット端末によるご記入サービス、地域でのボランティア活動等を進めております。さらに、「東京2020」の銀行カテゴリーにおけるゴールドパートナー就任を通じた日本の成長戦略への貢献等、今後とも、一層のブランド価値の向上に向けた取り組みを進めてまいります。
当行は、反社会的勢力との取引遮断をはじめとする法令遵守態勢及びガバナンス態勢の強化に引き続き努めるとともに、「One MIZUHO」の旗印のもと、全役職員が一丸となって、グループ戦略を着実に遂行してまいります。また、CSRへの取り組みを通じて、社会の持続可能な発展にグループの総力を挙げて貢献するとともに、企業価値のさらなる向上に邁進してまいります。