有価証券報告書-第17期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

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2022/06/27 15:53
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事業等のリスク


当行は、各種のリスクシナリオが顕在化した場合の影響度と蓋然性に基づき、その重要性を判定しており、今後約1年間で最も注意すべきリスク事象をトップリスクとして特定しています。2022年3月の当行リスク管理委員会において特定されたトップリスクのうち、主要なものは以下のとおりです。当行では、トップリスクを特定することで、それに対しあらかじめ必要な対策を講じて可能な範囲でリスクを制御するとともに、リスクが顕在化した場合にも機動的な対応が可能となるように管理を行っています。また、経営層を交えてトップリスクに関し議論することで、リスク認識を共有した上で実効的対策を講じるように努めています。
主要なトップリスク
リスク事象リスクシナリオ(例)
収益力低下(含む資金収益力低下)・ 円金利の低位推移に伴う資金収益減少や、外貨金利(米ドル等)上昇による債券評価損拡大、及び調達コスト増加等による収益力の低下。
外貨流動性リスク・ 市況悪化による外貨流動性の枯渇又はコストの大幅な増加。
与信費用増加・ グローバルベースで実体経済が急速に失速することに伴う与信費用増加。
・ 与信集中業種等における信用悪化に伴う与信費用増加。
ITリスク・ サイバー攻撃による顧客情報の流出、サービス停止及び評判悪化等。
・ システム障害発生による補償費用支払及び評判悪化等。
外的要因(感染症・地震・水害・テロ等)に関するリスク・ 感染症、自然災害、紛争・テロ・国家間対立やこれに起因する経済制裁等の外的要因による、当行の業務の全部又は一部への障害及び対応費用増加。
気候変動に関するリスク・ 気候変動に関するリスクへの対応や開示が不十分であると見做されることによる当行の企業価値の毀損。
・ 取引先への影響を通じた当行与信ポートフォリオ管理・運営への影響。

※リスク事象:2022年3月の当行リスク管理委員会での審議を経て、取締役会に報告されたものの一例です。一般的に起こり得る事象で、当行固有でない情報も含まれます。
当行及び当行グループの事業その他に関するリスクについて、上記トップリスクに係る分析を踏まえ、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項は、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当行は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載のない限り、本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
外部環境等に関するリスク
1.本邦及び世界の経済の悪化のリスク
本邦及び世界の経済は、新型コロナウイルスの感染拡大とそれに対して各国で採られる渡航、店舗等の営業その他の経済活動の制限等の措置等から、悪化する可能性があります。一部では経済活動の正常化に向けた動きも見られますが、新型コロナウイルス感染拡大の収束時期は不透明であり、不確実性は残存しています。また、米国政権の動向、米中対立の懸念、世界的なインフレ懸念、世界的な地政学リスク、国際的な商品供給や貿易活動の停滞、世界各地域における政治的混乱、主要国における金融政策や財政政策の変更、為替レートの急速かつ大幅な変更等の要因も引き続き存在しており、先行き不透明な状況です。また、紛争(深刻な政情不安を含みます。)、テロ、国家間対立やこれに起因する経済制裁、地震・風水害・感染症の流行等の自然災害等の外的要因により、影響を受けた地域の経済の悪化や市場の混乱が引き起こされる可能性もあります。本邦及び世界経済が悪化した場合、当行には、保有する有価証券等の市場価格の下落による損失、取引先の業績悪化等による不良債権及び与信関係費用の増加、市場取引の相手先の信用力低下等による収益減少、外貨資金流動性の悪化、外貨資金調達コストの増加、リスクアセットの増加等が生じる可能性があります。また、各国の中央銀行の金融政策の変更による国内外の金利の低下等に伴う資金収益力の低下等により、当行の収益力が低下する可能性があります。さらに、経済活動の停滞による企業の新規投資や商取引の減少、個人消費の落ち込み、先行き不透明な金融市場での投資意欲減退、お客さまの預かり資産減少などが生じる可能性があります。
また、債券・株式市場や外国為替相場の大幅な変動により金融市場の混乱・低迷、世界的な金融危機が生じた場合等には、当行が保有する金融商品の価値が下落し、適切な価格を参照できない状況が生じ、又は金融市場の機能不全が生じ、当行が保有する金融商品において減損若しくは評価損が生じる可能性があります。
これらにより、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響が及ぶ可能性があります。
2.外的要因(紛争・テロ・自然災害等)に関するリスク
紛争(深刻な政情不安を含みます。)、テロ、国家間対立やこれに起因する経済制裁、地震・風水害・感染症の流行等の自然災害等の外的要因により、社会インフラに障害が発生し、当行の店舗、ATM、システムセンターその他の施設が被災し、又は業務の遂行に必要な人的資源の損失、又はその他正常な業務遂行を困難とする状況が発生することで、当行の業務の全部又は一部が停止又は遅延するおそれ、あるいは事業戦略上の施策や市場・規制環境の変化への対応が計画どおり実施できないおそれがあります。また、これらの事象に対応するため、予防的なものも含めた追加の費用等の発生などにより、当行の財政状態や経営成績に悪影響が生じる可能性があります。
例えば、新型コロナウイルスの感染拡大により、当行では一部の拠点を休業したり、移動の制限により、当行及び業務委託先の業務が一部縮小するなどの影響がありました。当行では安全確保と業務継続の両立に向けて、頭取を本部長とする危機対策本部を設置し、リモートワークやオフピーク通勤の推進等各種対策を講じておりますが、当行及び業務委託先の従業員が新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受けて当行の業務に支障をきたした場合やこれらの対策の結果としてサイバーセキュリティが脆弱になり、情報流出が生じた場合等には、更なる悪影響を受ける可能性があります。
また、当行は、自然災害のなかでも特に地震による災害リスクにさらされており、首都圏等当行の事業基盤が集中している地域において大規模な地震が発生した場合には、当行の財政状態や経営成績に悪影響が生じる可能性があります。当行では、このような災害等のリスクに対し、各国当局の規制等を踏まえた業務継続態勢を整備し、訓練等を通じた検証を行うことにより、常にオペレーショナル・レジリエンス(紛争、テロ(含むサイバーテロ)、自然災害等の事象が発生しても、重要な業務を継続できる総合的な能力)の強化を図っておりますが、必ずしもあらゆる事態に対応できるとは限りません。
3. LIBOR等の金利指標の改革に係るリスク
当行では、デリバティブ、貸出、債券、証券化商品等、引き続き多数の取引においてロンドン銀行間取引金利(LIBOR)等の金利指標を参照しております。LIBOR運営機関であるICE Benchmark Administrationは、パネル行の呈示レートに基づき算出するLIBORについて、2021年12月末に日本円・英ポンド・ユーロ・スイスフランの全テナー並びに米ドル1週間物及び2ヶ月物の公表を停止しました。また、同運営機関は、2023年6月末に米ドルの残り全てのテナーの公表を停止予定です。
当行では、2021年末以降のLIBOR公表停止に備え、LIBOR等の金利指標の改革や代替金利指標への移行対応を進めており、2021年末に公表停止となったLIBORの各テナーを参照する取引の対応には目途がつきました。しかし、2023年6月末に公表停止予定の米ドルLIBORの各テナーを参照する取引については引き続き代替金利指標への移行対応が必要です。LIBOR等からの代替金利指標への移行は、これらの代替金利指標に係る経済的な特性・成果、市場動向、また会計・規制上の取扱いを含め、複雑かつ不確実な要素があり、これによって、以下の事由を含め、当行の事業、財務状況及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
・ 当行の金融資産及び負債に含まれるLIBOR等を参照するローンやデリバティブを含む幅広い金融商品の価格、流動性、収益性及び取引可能性に悪影響を及ぼす可能性
・ 既存のLIBOR等を参照する契約の参照金利をLIBOR等から代替金利指標に変更するための契約修正等がLIBOR等の公表停止時期までに完了しない可能性
・ 顧客、取引相手方等との間で、金利指標の改革や代替金利指標への移行に伴う、契約の解釈、代替金利指標との価値調整等に係る紛争が生じる、あるいは顧客との取引における不適切な取引慣行及び優越的地位の濫用等に関する紛争に繋がる可能性
・ LIBOR等の改革や代替金利指標への移行に関する規制当局への対応が必要となる可能性
・ LIBOR等の改革や代替金利指標への移行に対応するための事務やリスク管理に係るシステムが十分に機能しない可能性
4. 気候変動に関するリスク
気候変動に伴う自然災害や異常気象の増加等によってもたらされる物理的な被害、並びに気候関連の規制強化及び脱炭素技術への対応といった脱炭素社会への移行により、当行の事業活動が直接的に影響を受け、又は、当行の取引先の事業や財務状況に影響を及ぼし、取引先への影響を通じて当行の与信ポートフォリオ管理・運営に影響を与える等により、当行の経営成績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当行は、TCFDが策定した気候変動関連財務情報開示に関する提言を支持するとともに、TCFDに沿ったリスクの把握・評価や情報開示の拡充に取り組んでおり、また、気候変動対策や脱炭素社会への移行をサポートする取り組みも進めておりますが、気候変動に関するリスクへの取り組みや情報開示が不十分であった場合、気候変動対策や脱炭素社会への移行をサポートするための当行の戦略が想定通り進捗しない場合、気候変動に関するリスク管理が想定通り機能しない場合、若しくは気候関連の規制強化に十分に対応できない場合、又はそのように見做され、社会に対する責任を十分に果たしていないと見做された場合などには、当行の企業価値の毀損に繋がるおそれがあり、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
戦略及び出資先に関するリスク
5.競争、ビジネス戦略等に関するリスク
金融業界では、新たな技術の進展や規制緩和等に伴い、電子決済領域など、他業種から金融業界への参入が加速しており、今後も競争環境は益々厳しさを増す可能性があります。
また、当行は、収益力増強のためにグローバルベースで様々なビジネス戦略を実施しておりますが、競合相手である他のグローバル金融機関による統合・買収・戦略的提携の進展等に伴い、競争が激化してきております。
そうした中、以下に述べるものをはじめとする様々な要因が生じた場合には、これら戦略が功を奏しない、当初想定していた結果をもたらさない、又は変更を余儀なくされ、こうした競争的な事業環境において競争優位を得られない場合、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
・ 取引先への貸出ボリュームの維持・増大が想定通りに進まないこと。
・ 既存の貸出についての利鞘拡大が想定通りに進まないこと。
・ 本邦における長短金利操作付き量的・質的金融緩和の長期化、又はマイナス金利幅の更なる拡大により、貸出利鞘の縮小が進行すること
・ 当行が目指している手数料収入の増大が想定通りに進まないこと。
・ デジタルトランスフォーメーション戦略の遅れ等により次世代の金融サービス提供が想定通りに進まないこと。
・ 効率化を図る戦略が想定通りに進まないこと。
・ 現在実施中又は今後実施する事業ポートフォリオの見直し、システム統合及び効率化戦略等が想定通り進捗せず、顧客やビジネスチャンスの逸失若しくは想定を上回る費用が生じること。
・ 必要な人材を確保・育成できないこと。
・ 必要な外貨流動性を確保できないこと。
・ 本邦及び諸外国の法規制により、金融機関以外の事業者への投資の機動性や積極性が制限されること。
6.業務範囲拡大・海外事業展開に伴うリスク
当行は、業務範囲の拡大や海外事業の展開を行っており、これらに伴う新しくかつ複雑なリスクにさらされる場合があります。当行では、かかるリスクに対応するために内部統制システム及びリスク管理システムや法規制対応体制の構築、必要な人材の確保・育成に努めておりますが、必ずしもあらゆる事態に対応できるとは限らず、当行の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
また、当行は、世界に選ばれる、信頼のグローバル金融グループを目指し、その戦略的施策の一環として、グローバルベースで買収・出資・資本提携等を実施しており、今後も買収・出資・資本提携等を行う可能性があります。既存の重要な海外子会社としては、MUFG Americas Holdings Corporation(以下「MUFG Americas Holdings」)、Bank of Ayudhya Public Company Limited.及びPT Bank Danamon Indonesia, Tbk.があります。しかしながら、政治や社会情勢の不安定化、経済の停滞、金融市場の変動、監督当局の不承認、法令・会計基準の変更、当行の意図とは異なる相手先の戦略や財務状況の変化、相手先の属する地域特性・業界・経営環境の想定外の変化等により、買収・出資・資本提携等が当行の想定通り進展せず、若しくは変更・解消され、又は想定通りのシナジーその他の効果を得られない可能性や、買収・出資・資本提携等に際して取得した株式や買収・出資・資本提携等により生じたのれん等の無形固定資産の価値が毀損する可能性があります。これらの結果、当行の事業戦略、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。買収・出資に伴う当行ののれん等の無形固定資産の状況については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」をご参照下さい。
更に業務範囲の拡大が予想通りに進展しない場合、当行の業務範囲拡大への取組みが奏功しないおそれがあります。
7.MUFG Union Bank, N.A.の売却に係るリスク
当行は、2021年9月21日付で、当行の米国子会社であるMUFG Americas Holdings Corporation(以下、「MUAH」といいます。)を通じて保有するMUFG Union Bank, N.A.(以下、「MUB」といいます。)の全株式をU.S. Bancorp(以下、「USB」といいます。)に譲渡することについてUSBと合意し、株式譲渡契約(以下、「本株式譲渡契約」といいます。)を締結しました。
本株式譲渡契約に基づく株式譲渡(以下、「本株式譲渡」といいます。)は、関係当局の承認等を条件として2022年1月~6月の実行を予定していましたが、足元進めている米国当局からの許認可取得プロセスは現在も継続していることから、実行予定時期を2022年7月~12月へと変更しました。関係当局の承認等の条件が満たされない場合又は条件の充足に想定外の時間を要した場合には、本株式譲渡が予定通りに完了しない可能性があります。
また、USBに対して本株式譲渡を通じて譲渡するMUBの事業には、MUBが現在営んでいるグローバルCIB(以下、「GCIB」といいます。)事業(一部預金等の例外を除く。)、GCIBに関連する市場業務(対顧客・投資家取引)、及び一部のミドル・バックオフィス機能等に関する資産・負債等は含まず、これらの事業及び資産・負債等(これらの事業に属するお客さまとの取引を含みます。)は、本株式譲渡に先立って当行の米国内支店又は関連会社に移管する予定です。更に、当行及びUSBの両社は、本株式譲渡の実行までの間に、現在MUBで行っているお客さまとの取引を、本株式譲渡後においてもMUB及び/又は当行にて円滑に継続し、更に質の高い金融サービスを提供することができるよう、Transitional Service Agreement(TSA)及びReverse Transitional Service Agreement(RTSA)を締結します。これらの移管、及びTSA/RTSAに沿ったサービス提供に関しては、短期間のうちに複数の複雑な対応を求められるほか、特にシステム領域ではUSBとの一部システムに係る共有対応に加え、USBにおけるシステム統合への協力等が必要となり、いずれも当行にとっての負荷が高いものと想定しています。また、状況次第では、当行に当初の想定を上回る負担が生じる可能性があります。
上記のいずれかのように本株式譲渡が当行の想定通りに完了しない場合、又は本株式譲渡に伴う想定を上回る負担が生じた場合には、当行の事業戦略、財務状況及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
自己資本に関するリスク
8.自己資本比率等に関するリスク
(1) 自己資本比率等の規制及び悪化要因
当行には、バーゼルⅢに基づく自己資本比率及びレバレッジ比率に関する規制が適用されております。また、2022年4月28日に金融庁は、自己資本比率規制に関する告示の一部改正を公布し、最終化されたバーゼルⅢの国際統一基準行に対する実施時期を2024年3月末とすることを公表しております。加えて2023年より、レバレッジ比率の要求水準への上乗せが適用される予定です。
当行の自己資本比率及びレバレッジ比率が各種資本バッファーを含め要求される水準を下回った場合、金融庁から社外流出額の制限、業務の停止等を含む様々な命令を受ける可能性があります。
また、当行内の一部銀行子会社には、米国を含む諸外国において、現地における自己資本比率等の規制が適用されており、要求される水準を下回った場合には、現地当局から様々な命令を受けることになります。
当行の自己資本比率及びレバレッジ比率に影響を与える要因には以下のものが含まれます。
・ 債務者及び株式・債券の発行体の信用力の悪化に際して生じうるポートフォリオの変動
・ 調達している資本調達手段の償還・満期等に際して、これらを同等の条件で借り換え又は発行することの困難性
・ 有価証券ポートフォリオの価値の低下
・ 為替レートの不利益な変動
・ 自己資本比率等の規制の不利益な改正
・ 繰延税金資産計上額の減額
・ その他の不利益な事象の発生
(2) グローバルなシステム上重要な金融機関(G-SIBs)に対する規制
株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、「三菱UFJフィナンシャル・グループ」といいます。)は、金融安定理事会(FSB)によりG-SIBに指定されており、他の金融機関より高い資本水準が求められていますが、今後更に高い資本水準を求められるおそれがあります。
(3) 破綻時における総損失吸収力(TLAC)規制
FSBが2015年11月に公表した「グローバルなシステム上重要な銀行の破綻時の損失吸収及び資本再構築に係る原則」及び2017年7月に公表した「グローバルなシステム上重要な銀行の内部総損失吸収力に係る指導原則」を踏まえ、本邦では2019年3月期より三菱UFJフィナンシャル・グループを含むG-SIBsに対して一定比率以上の損失吸収力等を有すると認められる資本・負債(以下、「外部TLAC」といいます。)を確保することが求められ、また、確保した外部TLACはグループ内の主要な子会社に一定額以上を配賦すること(以下、「内部TLAC」といいます。)になっています。また、規制で要求される水準は2022年3月期から引き上げられました。三菱UFJフィナンシャル・グループ内では、当行、三菱UFJ信託銀行株式会社(以下、三菱UFJ信託銀行といいます。)、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社及びMUFG Americas Holdingsが主要な子会社として指定されています。当行は、外部TLAC比率又は本邦における主要な子会社に係る内部TLAC額として要求される水準を下回った場合、金融庁から社外流出額の制限を含め、様々な命令を受ける可能性があります。外部TLAC比率及び内部TLAC額は、自己資本比率等の規制に係る上記(1)~(2)に記載する様々な要因により影響を受けます。当行は、要求されるTLACの確保のため、適格な調達手段の発行を進めておりますが、TLACとして適格な調達手段の発行及び借り換えができない場合には、外部TLAC比率及び内部TLAC額として要求される水準を満たせない可能性があります。
また、当行グループ内の米国の一部銀行子会社であるMUFG Americas Holdingsは、現地におけるTLAC規制が適用されており、要求される水準を下回った場合には、現地当局から様々な命令を受けることになります。
9.為替リスク
当行はグローバルにビジネスを展開しており、外貨建ての金融資産及び負債を保有しています。為替レートの変動により、それらの資産及び負債の円貨換算額も変動します。当行では、通貨毎の資産と負債の額の調整やヘッジを行っておりますが、変動を相殺できない場合、当行の自己資本比率、財政状態及び経営成績は、為替レートの変動により、悪影響を受ける可能性があります。海外における保有資産及び負債の状況については、本有価証券報告書の「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご覧下さい。
信用リスク(信用供与先の財務状況悪化等により損失を被るリスク)
10.貸出業務に関するリスク
貸出業務は当行の主要業務の一つとなっています。当行は、担保や保証、クレジットデリバティブ等を用いて信用リスクの削減に取り組んでおりますが、借り手が期待通りに返済できない場合、又は当行が借り手の返済能力の悪化に対して、又はその可能性を予測して講じた措置が不適切又は不十分である場合には、将来、追加的な与信関係費用が発生する可能性があります。その結果、当行の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼし、自己資本の減少につながる可能性があります。なお、与信関係費用、銀行法及び金融再生法に基づく開示債権の状況については、本有価証券報告書の「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」、クレジットデリバティブ取引については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (デリバティブ取引関係)」をご参照下さい。当行の与信関係費用及び不良債権は、新興国を含む国内外の景気の悪化、資源価格の変動、不動産価格や株価の下落、新興国通貨安、貸出先の業界内の競争激化等による業績不振等により増加する可能性があります。
(1) 貸倒引当金の状況
当行は、貸出先の状況、担保の価値及び経済全体に関する前提及び見積りに基づいて、貸倒引当金を計上しておりますが、経済情勢全般の悪化や個別貸出先の業績悪化等により追加の貸倒引当金を計上せざるを得なくなったり、実際の貸倒れが貸倒引当金を上回ることにより、追加的な与信関係費用が発生したりする可能性があります。また、貸倒引当金の計上に関する規制や指針が変更され、貸倒引当金の計上の際に用いる評価方法に変更が生じた結果として、貸倒引当金を追加で計上しなければならなくなる可能性もあります。2022年3月末基準における当行の連結貸借対照表上の貸倒引当金額は1兆1,106億円でした。貸倒引当金の計上については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照下さい。
(2) 特定業種等への貸出その他の与信の集中
当行は、貸出その他の与信に際しては、特定の業種、特定の与信先への偏りを排除すべくポートフォリオ分散に努めておりますが、不動産業種向けの与信は、相対的に割合が高い状況にあり、これらの業種等の業績悪化の影響を受けやすい状況にあります。個々の与信先の状況や、業界特有の動向、新興国を含む各国の国情については継続的にモニタリング・管理を実施しておりますが、国内外の景気動向(気候変動や新型コロナウイルス感染症、ロシア・ウクライナ情勢が与える影響を含みます。)や不動産・資源価格・外国為替の動向等によっては、想定を上回る信用力の悪化が生じる可能性があります。
(3) 貸出先への対応
当行は、回収の効率・実効性その他の観点から、貸出先に債務不履行等が生じた場合においても、当行が債権者として有する法的な権利のすべてを必ずしも実行しない場合がありえます。
また、当行は、それが合理的と判断される場合には、貸出先に対して債権放棄又は追加貸出や追加出資を行って支援をすることもありえます。かかる貸出先に対する支援を行った場合は、当行の貸出残高が大きく増加し、与信関係費用が増加する可能性や追加出資に係る株価下落リスクが発生する可能性もあります。
11. 他の金融機関との取引
国内外の金融機関(銀行、ノンバンク、証券会社及び保険会社等を含みます。)の中には、資産内容の劣化及びその他の財務上の問題が存在している可能性があり、今後悪化する可能性やこれらの問題が新たに発生する可能性もあります。こうした金融機関の財政的困難が継続、悪化又は発生すると、それらの金融機関の流動性及び支払能力に問題が生じるだけでなく、金融システムに問題が生じ金融業や経済全般へ波及するおそれもあり、以下の理由により当行に悪影響を及ぼす可能性があります。
・ 当行は、一部の金融機関へ信用を供与しております。
・ 当行は、一部の金融機関の株式を保有しております。
・ 問題の生じた金融機関が貸出先に対して財政支援を打ち切る又は減少させるかもしれません。その結果、当該貸出先の破綻や、当該貸出先に対して貸出をしている当行の不良債権の増加を招くかもしれません。
・ 経営破綻に陥った金融機関に対する支援に当行が参加を要請されるおそれがあります。
・ 政府が経営を支配する金融機関の資本増強や、収益拡大等のために、規制上、税務上、資金調達上又はその他の特典を当該金融機関に供与するような事態が生じた場合、当行は競争上の不利益を被るかもしれません。
・ 預金保険の基金が不十分であることが判明した場合、当行の支払うべき預金保険の保険料が引き上げられるおそれがあります。
・ 金融機関の破綻又は政府による金融機関の経営権取得により、金融機関に対する預金者の信任が全般的に低下する、又は金融機関を取巻く全般的環境に悪影響を及ぼすおそれがあります。
・ 金融業及び金融システムに対する否定的・懐疑的なマスコミ報道(内容の真偽、当否を問いません。)により当行の評判、信任等が低下するおそれがあります。
政策投資株式リスク(保有する株式の株価下落により損失を被るリスク)
12.保有株式に係るリスク
当行は政策投資目的で保有するものを含め市場性のある株式を大量に保有しており、2022年3月末基準の保有時価合計は約3.8兆円、その簿価は約1.5兆円となっています。当行では、株価変動リスクの抑制の観点も踏まえ、「政策保有に関する方針」において、政策保有株式の削減を基本方針とし、保有意義・経済合理性を検証したうえで、保有の妥当性が認められない場合には、取引先の十分な理解を得た上で、売却を進めております。また、政策保有株式に対しては、トータル・リターン・スワップ等をヘッジ手段として部分的にヘッジを行うことで、株価変動リスクの削減に努めております。
しかしながら、株価が下落した場合には、保有株式に減損又は評価損が発生若しくは拡大する可能性があります。また、自己資本の算出にあたり、保有株式の含み損益を勘案していることから、株価が下落した場合には、自己資本比率等の低下を招くおそれがあります。その結果、当行の財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
市場リスク(金利、有価証券の価格、為替などの変動により損失を被るリスク)
13.市場業務に伴うリスク
当行は、デリバティブを含む様々な金融商品を取り扱う広範な市場業務を行っており、大量の金融商品を保有しています。これにより、例えば、国内外の金融政策の変更等により内外金利が低下した場合、当行が保有する国債等の再投資利回りが低下する可能性があります。また、長短金利差が縮小する場合、資金利益が減少する可能性があります。一方、内外金利が上昇した場合、当行の保有する大量の国債等に売却損や評価損が生じる可能性があります。また、円高となった場合は、当行の外貨建て投資の財務諸表上の価値が減少し、売却損や評価損が発生する可能性があります。加えて、株価が下落した場合、当行が保有する株式等の価値が減少し、売却損や評価損が発生する可能性があります。当行では、このような内外金利、為替レート、有価証券等の様々な市場の変動により損失が発生するリスクを市場リスクとして管理しておりますが、計算された市場リスク量は、その性質上、実際のリスクを常に正確に反映できるわけではなく、またこのように示されたリスク量を上回る損失が実現する可能性もあります。
なお、当行が保有する有価証券残高の状況については、本有価証券報告書の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(有価証券関係)」をご参照下さい。
資金流動性リスク(資金繰りがつかなくなるリスク)
14.当行の格下げ等に伴う資金流動性等の悪化リスク
格付機関による当行の格下げにより、当行の市場業務及びその他の業務が悪影響を受けるおそれがあります。特に外貨調達においては、調達コストの増加、又は調達余力の減少により、当行の流動性や収益力が悪影響を受ける、また市場業務においては、担保拠出の追加が求められる、又は顧客からの信用低下等を起因に一定の取引を行うことができなくなる等の悪影響を受けるおそれがあります。例えば、2022年3月末時点のデリバティブ取引及び信用格付に基づいて、当行の格付が1段階格下げされたと仮定した場合、約1,482億円、2段階格下げされたと仮定した場合、約1,769億円の追加担保を当行が提供する必要があったと推定されます。
格付機関は、当行の財務体質や当行の関連子会社の評価、国内外の金融業界全体に影響を与える要因などに基づいて、当行を定期的に評価していますが、当行がコントロールできない要因も含まれており、また、格付評価機関の評価手法については当行がコントロールしうるものではありません。当行は、資金流動性リスク管理上の指標を設ける等、適正な資金流動性の確保に努めておりますが、上記要因などに基づく評価又は格付方法の変更の結果、当行の格付又は当行子会社の格付が引き下がる可能性があり、かかる事態が生じた場合には、当行の市場業務及び他の業務の収益性に悪影響を与えるおそれや、当行の財政状態及び経営成績にも悪影響を与えるおそれがあります。
オペレーショナルリスク(内部管理上の問題や外部要因により損失が発生するリスク)
15.不公正・不適切な取引その他の行為が存在したとの指摘や、これらに伴う処分等を受けるリスク
当行は、事業を行っている本邦及び海外における法令、規則、政策、自主規制等を遵守する必要があり、国内外の規制当局による検査、調査等の対象となっております。当行はコンプライアンス・リスク管理態勢及びプログラムの強化に継続して取り組んでおりますが、かかる取組みが全ての法令等に抵触することを完全に防止する効果を持たない可能性があります。
当行が、マネー・ローンダリング、経済制裁への対応、贈収賄・汚職防止、金融犯罪その他の不公正・不適切な取引に関するものを含む、適用ある法令及び規則を遵守できない場合、あるいは、社会規範・市場慣行・商習慣に反するものとされ、顧客視点の欠如等があったものとされる場合には、罰金、課徴金、懲戒、評価の低下、業務改善命令、業務停止命令、許認可の取消しを受ける可能性があります。また、当行が顧客やマーケット等の信頼を失い、当行の経営成績及び財政状況に悪影響が生じる可能性があります。将来、当行が戦略的な活動を実施する場面で当局の許認可を取得する際にも、悪影響を及ぼすおそれがあります。
2019年2月に、当行は、米国通貨監督庁(Office of the Comptroller of the Currency。以下「OCC」といいます。)との間で、当行のニューヨーク支店、ロスアンゼルス支店及びシカゴ支店において、米国の銀行秘密法に基づくマネー・ローンダリング防止に関する内部管理態勢等が不十分であるとのOCCからの指摘に関し、改善措置等を講じることで合意しました。当行は、上述の事象に関連する事項について、必要な対応を行っております。
また、当行は、当行を含むパネル行が各種銀行間指標金利の算出機関に呈示した内容等を調査している各国の政府当局から、情報提供命令等を受けておりました。また為替業務に関しても、当局から同様の情報提供要請を受けており、一部の当局との間では制裁金の支払いに合意しました。当行は、これらの調査に対して協力を行い、独自の調査等を実施しております。上記に関連して、当行は、指標金利であれば他のパネル行、為替業務であればその他金融機関とともに、米国におけるクラスアクションを含む、複数の民事訴訟の被告となっております。
今後、関係当局より更なる制裁金支払の処分等を受け、又は関係当局との間で新たな和解金の支払合意を行うなどの可能性を含め、新たな展開又は類似の事象により、当行に重大な財務上その他の悪影響が生じる可能性があります。
16.情報紛失・漏洩に係るリスク
当行は、国内外の法規制に基づき、顧客情報や個人情報を適切に取り扱うことが求められております。当行では、顧客情報や個人情報を多く保有しており、当行は、情報の保管・取扱いに関する規程類の整備、システム整備を実施し、管理態勢高度化に取組んでおりますが、不適切な管理、外部からのサイバー攻撃その他の不正なアクセス、若しくはコンピュータウイルスへの感染等により、顧客情報や個人情報等の紛失・漏洩を完全には防止できない可能性があります。その場合、罰則や行政処分の対象となるほか、顧客に対する損害賠償等、直接的な損失が発生する可能性があります。加えて、顧客の信頼を失う等により当行の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性、並びにこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があります。
17.システム、サイバー攻撃等に関するリスク
当行のシステム(業務委託先等の第三者のシステムを含みます。)は、事業を行う上で非常に重要な要素の一つであり、リモートワークや非対面チャネルを通じた業務の拡大やデジタル戦略を推進している中で特に重要性が高まっており、適切な設計やテストの実施等によりシステム障害等を未然に防止し、セキュリティ面に配慮したシステムの導入に努めていますが、システム障害やサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス感染、人為的ミス、機器の故障、通信事業者等の第三者の役務提供の瑕疵、新技術、新たなシステムや手段への不十分な対応等を完全には防止できない可能性があります。また、すべてのビジネス要件や金融機関に対する規制強化の高まりからくる規制要件に対応するシステムの機能強化への要請を十分に満たせない可能性や、市場や規制の要請に応えるために必要なシステム構築や更新がその作業自体の複雑性等から計画どおりに完了しない可能性があります。その場合、情報通信システムの不具合や不備が生じ、取引処理の誤りや遅延等の障害、情報の流出等が生じ、業務の停止及びそれに伴う損害賠償の負担その他の損失が発生する可能性、当行の信頼が損なわれ又は評判が低下する可能性、行政処分の対象となる可能性、並びにこれらの事象に対応するための追加費用等が発生する可能性があります。
18.テロ支援国家との取引に係るリスク
当行は、イラン・イスラム共和国(以下、「イラン」といいます。)等、米国国務省が「テロ支援国家」と指定している国における法主体又はこれらの国と関連する法主体との間の取引を実施しております。また、当行はイランに駐在員事務所を設置しております。
米国法は、米国人が当該国家と取引を行うことを、一般的に禁止又は制限しております。更に、米国政府及び年金基金をはじめとする米国の機関投資家が、イラン等のテロ支援国家と事業を実施する者との間で取引や投資を行うことを規制する動きがあるものと認識しております。このような動きによって、当行が米国政府及び年金基金をはじめとする機関投資家、あるいは規制の対象となる者を、当行の顧客又は投資家として獲得、維持できない結果となる可能性があります。加えて、社会的・政治的な状況に照らして、上記国家との関係が存在することによって、当行の評判が低下することも考えられます。上記状況は、当行の財政状態、経営成績及び当行の株価に対して悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、米国政府による対イラン制裁措置により、米国人の関与するイランとの取引の禁止などが実施されています。更に、2018年5月の米国によるイランに関する包括的共同行動計画(Joint Comprehensive Plan of Action)からの離脱後に発令された大統領令により、広範なイラン関連取引や活動について、関与した非米国人に対して二次制裁を適用し得るものとされています。当行では、二次制裁を含む米国による措置が適用されるリスクの増加を受けて、今後とも当該リスクのモニタリングと対応策を実施してまいります。
更に、米国証券取引所に登録している企業(米国外企業を含みます。)には、特定のイラン関連の取引の開示が引き続き義務づけられています。本邦においても、イランの拡散上機微な核活動・核兵器運搬手段開発に関与する者に対する資産凍結等の措置が実施されています。当行では、これらの規制を遵守するための態勢の改善に努めています。しかしながら、かかる態勢が適用される規制に十分対応できていないと政府当局に判断された場合には、何らかの規制上の措置の対象となる可能性があります。なお、これに関連する処分等については、「15.不公正・不適切な取引その他の行為が存在したとの指摘や、これらに伴う処分等を受けるリスク」をご参照下さい。
19.規制変更のリスク
グローバルな金融サービス提供者として、当行の事業は国内外の法律、規則、政策、会計基準、実務慣行及び解釈、並びに国際的な金融規制等の継続的な変更のリスクにさらされております。主要な金融機関は、新技術、地政学上の変化、環境・社会・ガバナンス上の懸念、及び国際金融セクターに関するその他の懸念事項を背景とする、より厳しい法律、規制及び基準等への対応を迫られています。また、金融業界における不祥事やリスク管理の不備に関する事案を受け、社内のコンプライアンス・リスク管理体制の強化を求める動きも強まっています。当行に適用される法律、規制及び基準等は複雑で、多くの場合、これらを当行のビジネスに適用するに際しては、解釈を伴う決定が必要となります。法律、規則、政策、会計基準、実務慣行、解釈の変更及びその影響は、より多くの経営資源の投入のみならず、経営にも影響を与え、場合によっては経営戦略を変更せざるを得なくなるおそれがあります。第三者への委託により実施するものを含むコンプライアンスのプログラムやシステムについては、必要な強化を計画通りに実施できなくなる可能性も出てきます。また、当行に適用される法律や規制への対応が不十分な場合、罰金、警告、レピュテーションの悪化、業務改善及びその他の行政命令、営業の強制的停止、将来の戦略的イニシアチブに規制当局から承認が得られないこと、深刻な場合としては営業認可の取消を受ける場合等、当行の財政状況及び経営成績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
20. 消費者金融業務に係るリスク
当行は、消費者金融業に従事する子会社や関連会社を有すると同時に消費者金融業者に対する貸出金を保有しており、消費者金融業における事業環境や規制環境の変化により、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。消費者金融業に関しては、いわゆるみなし弁済を厳格に解するものを含め、過払利息の返還請求をより容易にする一連の判例が出され、これらに伴い過払利息の返還を求める訴訟が引き続き発生しております。当行では、消費者金融業に従事する子会社や関連会社における過払利息の返還による費用負担のほか、当行が貸出金を保有する消費者金融業者の業績悪化による追加的な与信費用が発生する可能性があり、消費者金融業に不利な新たな司法上の判断や規制強化がある場合には追加的な費用負担が発生する可能性もあります。
21.評判に関するリスク
三菱UFJフィナンシャル・グループは、本邦及び国際金融市場においてG-SIBに指定されており、世界に選ばれる、信頼のグローバル金融グループを目指しております。当行のビジネスはお客さまのみならず、地域社会、国際社会等からの信頼と信用の下に成り立っています。そのため、当行の評判は、お客さま、投資家、監督官庁、及び社会との関係を維持する上で極めて重要です。MUFG Wayや行動規範等を踏まえ、評判リスクの適切な管理に努めておりますが、特に、人権、環境、健康、安全等の社会的責任への懸念が生じる取引や各種法令等(アンチマネー・ローンダリング、経済制裁、競争法、暴力団排除条例等)の趣旨に反するおそれのある取引などを防止できず、又はこれらに適切に対処することができなかった場合で、大規模な報道に繋がり得るなど世論の注目が高いときや規制当局の関心が高いときなどにおいて、当行は、現在又は将来のお客さま及び投資家を失うこととなり、当行の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があり、企業価値を毀損する可能性があります。