有価証券報告書-第139期(2025/04/01-2026/03/31)
(2)戦略
当行グループは、気候変動への対応を重要な経営課題の一つと認識し、事業活動を通じた脱炭素社会の実現に向けた取り組みを経営戦略の中核として推進してまいりました。
その結果、2025年度の温室効果ガス排出量(Scopes1・2)において、カーボンニュートラル(注1)を達成しております。
(注1)カーボンニュートラル
科学的に算定された温室効果ガス排出量について、省エネルギーや再生可能エネルギーの導入などによる削減を優先的に実施したうえで、なお残る排出量を、信頼性の確保された環境価値により相殺し、一定期間における排出量を実質ゼロとした達成状態を指します。当行グループでは、第8次中期経営計画におけるScopes1・2のネットゼロ目標を、この定義に基づくカーボンニュートラルの達成と位置づけております。
①気候変動
当行は、2004年4月から中期経営計画に温室効果ガス排出量の削減目標を設定し、2007年4月には「地球環境との共存共栄」を掲げた経営理念を制定するなど、気候変動の原因となる地球温暖化への対応を重要な経営課題の一つと認識してまいりました。
また、2018年7月にTCFD提言への賛同を表明し、株主・投資家をはじめとする幅広いステークホルダーとのエンゲージメントにつなげることを目的として、2019年度からTCFD提言に基づく情報開示を実施しております。
<リスク及び機会と影響の認識>当行では、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で気候変動に伴うリスク(移行リスク・物理的リスク)と機会を1.5℃シナリオ及び4℃シナリオを前提に評価しております。認識した気候変動リスク及び機会については、CO2排出量削減に関する取り組みを進めているほか、投融資に係る戦略への反映を検討しております。
<炭素関連資産>当行の貸出金残高に占める炭素関連資産の割合は、28.7%となっております。
(「エネルギー」「運輸」「素材・建築物」「農業・食料・林産物」セクター向け貸出金残高。ただし、再生可能エネルギー発電事業を除く。)
<シナリオ分析>シナリオ分析では、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)等が公表している複数のシナリオを参照の上、パリ協定や2021年11月の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)における合意内容等をふまえ、2つのシナリオ分析を実施いたしました。
なお、与信コストの増加については、中長期的な取り組みにより低減を図ることが可能であることから、影響は限定的と考えられます。
<分析プロセス>・セクターごとのリスク(移行リスク・物理的リスク)と機会を分析
・移行リスクのシナリオ分析対象セクターを決定
・移行リスク、物理的リスクともに分析対象に応じたシナリオを設定し、与信コストへの影響を分析
<地域の脱炭素化に向けた戦略(「第8次中期経営計画」より抜粋)>
2050年に脱炭素社会を実現するためには一刻も早い対策が必要となっており、脱炭素化の潮流は急激に加速しております。産業構造の転換も予想される中、大企業に比べて取り組みが遅れている中堅・中小企業においても脱炭素化に向けた対策を講じていくことが地域経済を守っていく観点からも重要となっております。一方、当行が本拠を置く滋賀県では多額のエネルギーコストが域外へ流出していることから、脱炭素化に向けて再生可能エネルギーの地産地消を進めることで、CO2排出量の削減はもちろん、資金の域内循環による経済効果、新たな産業・雇用の創出、自然災害に対する地域社会のレジリエンス向上などが期待できます。
(2025年度の温室効果ガス排出量(Scopes1・2)についてカーボンニュートラルを達成)
当行グループは2025年度の温室効果ガス排出量(Scopes1・2)について、カーボンニュートラルを達成しております。達成にあたっては、省エネルギーの推進や再生可能エネルギー電気の導入などの自助努力による削減を進めるとともに、2025年度からは、株式会社しがぎんエナジーが保有するFIT太陽光発電所が創出する環境価値を活用し、当行グループが使用する電気を再生可能エネルギー由来のものとしております。
2026年3月末時点では、累計25基のFIT太陽光発電所を取得しており、これらの発電所が創出する年間発電量は、当行グループの年間使用電力量の3倍に達しております。なお、削減しきれない排出量については、J-クレジットを活用し適切に相殺することで、カーボンニュートラルを実現しております。
2026年度以降は、株式会社しがぎんエナジーが創出した電気を当行グループ内で活用する「自産自消」の取り組みを開始しており、今後はこの取り組みを、地域由来の再生可能エネルギーを地域で活用する「地産地消」へと発展させることで、地域全体の脱炭素化の促進と、カーボンニュートラル社会の実現に取り組んでまいります。
このほか、自治体、企業、一般消費者といった各主体に応じた脱炭素化支援の取り組みを拡充し、本業を通じた地域の脱炭素化に貢献しております。
②自然資本
<ネイチャーポジティブ(自然再興)の考え方>当行が本拠を置く滋賀県は、400万年以上の歴史があるとされている世界有数の古代湖“琵琶湖”を有しており、古くから琵琶湖を中心とした自然資本による恩恵(生態系サービス)を受けてまいりました。その恩恵は、滋賀県の歴史、産業、食文化、生活様式にまで幅広く及んでおり、かけがえのない存在となっております。一方で、土地開発や地球温暖化、特定外来種の影響などにより、生物多様性や生態系サービスの劣化が進んでおり、自然資本の適切な保全・回復に向けた取り組みは、地域経済のサステナビリティにおいても喫緊の課題となっております。
このような背景から、当行は生物多様性保全を重要な経営課題と認識し、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で愛知目標が採択された2010年に、経営の基本方針として「生物多様性保全方針」を制定いたしました。また、2023年に制定した「サステナブルな社会の実現に向けた投融資方針」では、琵琶湖などのラムサール条約指定湿地、ユネスコ指定世界遺産、ワシントン条約の規制対象種のように、国際的に保護・保全が求められている人類の財産に重大な悪影響を及ぼす事業に対する投融資を行わない方針を定めております。
さらに、2024年1月には、自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:TNFD)が2023年9月に公表した開示提言(TNFD提言)に賛同し、開示提言の採用者(TNFD Adopter)として登録を行いました。自然環境に負の影響を与える資金の流れを、良い影響を与える「ネイチャーポジティブ(自然再興)」に転換していくため、ステークホルダーの皆さまと協力するとともに、TNFD提言に基づく取り組みを段階的に進め、進捗状況について開示してまいります。
当行は、TNFDに基づく情報開示を進めるため、2024年5月に応募した環境省「令和6年度脱炭素実現に向けた自然関連情報分析 パイロットプログラム」に採択され、専門家の指導のもとで自然資本に関する分析を行いました。
今年度の分析においても、自然関連の依存とインパクトの特定に向け、TNFDが推奨するLEAPアプローチ(注2)に沿って、自然資本の評価ツールである「ENCORE」(注3)を用いて、当行のポートフォリオ分析を行いました。事業セクターごとの自然資本に対する依存・インパクトの関係を分析したヒートマップに加えて、滋賀県における中核業種である点や、当行のポートフォリオにおける業種別の融資割合が大きいこと、「生物多様性しが戦略2024」などの行政計画上の重要性との関連性などを考慮した結果、「食品・飲料」に加えて「素材」セクターを優先分析業種として特定いたしました。
(注2)LEAPアプローチ
企業や金融機関が自然関連課題を評価・管理することを可能とするために、TNFDが開発した評価手法。
Locate(発見)・Evaluate(診断)・Assess(評価)・Prepare(準備)の4ステップで分析する。
(注3)ENCORE
ENCORE(Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure)は、経済の自然への依存・インパクトの可能性、環境の変化によってどのようなビジネスリスクが生み出されるかを可視化するツール。

※当連結会計年度は「素材」セクターを優先分析業種に追加しております。
さらに、「素材」セクターを構成する各業種について、「融資残高割合の大きさ」と「依存・インパクトの大きさ」の両面で検討した結果、「特殊化学品」を重要な業種といたしました。
優先分析業種の自然との関りを整理した結果、「水・土壌への有毒汚染物質の排出」にインパクトが強いことが特定されました。

出所:環境省「令和6年度脱炭素実現に向けた自然関連情報分析 パイロットプログラム(金融機関向け)」
成果報告会 支援先発表資料より抜粋
これらの分析結果から、当行のポートフォリオにおいては、水に関連する自然資本への依存・インパクトの優先順位が高いことが特定されました。このことは滋賀県の面積の約6分の1を占める琵琶湖と関連しているものと想定され、滋賀県の各自治体が琵琶湖を中心とした水を取り巻く施策を実施していることとも関係していると考えられます。
今後は他の事業セクターへの展開や、地域の企業との対話を進め、ネイチャーポジティブの実現に向けた情報開示を進めてまいります。
<気候変動対応及び自然資本保全に向けた取り組み>(預金商品を通じた法人・個人のお客さまへの取り組み)
・「びわ湖ブルー預金」
お客さまからお預かりした定期預金額の一定割合(0.005%)相当額を「水・環境・生態系」に関する研究を行う団体等へ寄付するもので、寄付金はびわ湖を守るプロジェクトなどに活用されます。この商品は、「未来からの預かりもの」であるびわ湖を守りたいというお客さまの思いをかたちにした預金商品であります。
(法人・個人事業主のお客さまへの取り組み)
・「未来よしサポート」
脱炭素経営の第一歩となるCO2排出量の“見える化”をサポートするクラウドツールを提供しております。
株式会社日立製作所との共同開発により、中小企業にも使いやすい設計としております。
・SDGsコンサルティング
お取引先の経営戦略にSDGsを取り入れ、サステナビリティ経営を通じて企業価値向上につなげるためのコンサルティングを実施しております。
・サステナブル・ファイナンス
お取引先のサステナビリティ経営を支援するため、サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)、ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)、グリーンローン/ボンドなど、さまざまな資金調達手法を提供しております。
・カーボンニュートラルローン未来よし
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、脱炭素につながる設備投資を対象とする融資商品を提供しております。当行独自のESG評価の結果に応じて金利優遇を行い、脱炭素とESGの取り組みを同時に促します。
・ESGローン 未来よしステップ
ESGの取り組みの第一歩を踏み出すお客さまや、現在の取り組みの向上を目指すお客さまに対し、対話を通じた伴走支援により企業価値の向上を後押しする融資商品であります。
ご利用いただくお客さまには、ESG評価の結果を踏まえ、今後実施するESG活動の行動宣言を行っていただき、当行はその活動の有意義性を評価した評価書を贈呈いたします。
(個人のお客さまへの取り組み)
・『しがぎん』スーパー住宅ローン「未来よし」
脱炭素化の取り組みを一般家庭にも拡大していくための戦略商品として2023年4月より取り扱いを開始いたしました。太陽光パネル、蓄電池、エネファームのいずれかを設置することで、住宅ローンの金利を優遇しております。お客さまは光熱費の節約にもつながり、環境面でも経済面でもスマートな生活が実現できます。
手続き面では「住宅ローンセンター」が申込から契約まで完全非対面で対応する来店不要のスキームを構築し、地域の住宅販売会社等とも連携して脱炭素に向けた利用促進を図っております。
(自治体等と連携した取り組み)
・環境省「脱炭素先行地域」への連携
湖南市との共同提案により、「脱炭素先行地域」の選定を受けております。
・サステナブル・ファイナンスの連携
滋賀県とのコラボレーションにより、「しがぎんサステナビリティ・リンク・ローン“しがCO2ネットゼロ”プラン」及び「しが トライ・リンク・ローン」を取り扱っております。
・滋賀県と脱炭素推進を連携
当行は、滋賀県と協働し、県内事業者の脱炭素経営を支援することを目的とした勉強会・セミナーを開催しております。脱炭素化に関する最新動向や支援施策の情報提供を通じ、地域全体のカーボンニュートラル推進に貢献しております。
・自治体主導のネットワークと連携
気候変動対応の観点から、「しが水素拠点形成コンソーシアム」及び「近江八幡市脱炭素まちづくり」と、自然資本対応の観点から「しがネイチャーポジティブネットワーク」と連携しております。
(産学連携の取り組み)
当行は、龍谷大学及び公益財団法人東近江三方よし基金と連携し、生物多様性保全の実効性を可視化する「生物多様性保全総合指数(BCCI)」の研究開発プロジェクトに参画しております。本プロジェクトでは、地域に根ざした生物多様性保全と社会・経済活動との両立を目指しております。
(洪水発生時の店舗の浸水を想定した取り組み)
洪水の発生時において、店舗の浸水被害を未然に防止するとともに、浸水発生時における営業停止から早期復旧するため、次のような取り組みを行っております。
今後は、より具体的な浸水リスクの可能性を検証して各拠点におけるBCP対策を行うなどして、地域に不可欠なインフラである金融機関としての機能維持に努めてまいります。
・店舗への浸水防止を目的として土のうを各店に備置
・浸水リスクが比較的高い店舗に止水版を設置
・停電発生時において業務を早期復旧するための非常用発電機を設置
・台風による大雨等を想定した全銀協BCP風水害訓練の実施
・システム障害の発生等を想定したBCP訓練(現金手払い等)の実施 など
(行政・環境保護団体等と連携したネイチャーポジティブの取り組み)
・地域のSDGsを推進する寄付スキーム「未来よし+」
脱炭素関連の融資商品の利用実績に応じて当行が資金を拠出し、地域のSDGsを推進する活動に寄付を行う独自のスキームであります。資金は、琵琶湖の絶滅危惧種であるニゴロブナの放流事業への寄付、森林保全事業の支援につながる「びわ湖カーボンクレジット」の購入などに充てられます。

・琵琶湖の環境を保全する“いきものがたり”活動
地域の環境保護団体等と連携し、琵琶湖の生態系保全に向けた、ストーリー性のある環境ボランティア活動を展開しております。春の「外来魚駆除・釣りボランティア」、夏の「森づくりサポート活動」、秋の「ヨシ苗植えボランティア」、冬の「ヨシ刈り」のほか、地域で実施されるさまざまな活動にも参加しております。なお、これらのボランティア活動にはお取引先企業にも参加いただいており、ステークホルダーを巻き込んだ取り組みを展開しております。
③人的資本
人的資本に関する情報は、第4「提出会社の状況」の5「従業員の状況等」に記載しております。
当行グループは、気候変動への対応を重要な経営課題の一つと認識し、事業活動を通じた脱炭素社会の実現に向けた取り組みを経営戦略の中核として推進してまいりました。
その結果、2025年度の温室効果ガス排出量(Scopes1・2)において、カーボンニュートラル(注1)を達成しております。
(注1)カーボンニュートラル
科学的に算定された温室効果ガス排出量について、省エネルギーや再生可能エネルギーの導入などによる削減を優先的に実施したうえで、なお残る排出量を、信頼性の確保された環境価値により相殺し、一定期間における排出量を実質ゼロとした達成状態を指します。当行グループでは、第8次中期経営計画におけるScopes1・2のネットゼロ目標を、この定義に基づくカーボンニュートラルの達成と位置づけております。
①気候変動
当行は、2004年4月から中期経営計画に温室効果ガス排出量の削減目標を設定し、2007年4月には「地球環境との共存共栄」を掲げた経営理念を制定するなど、気候変動の原因となる地球温暖化への対応を重要な経営課題の一つと認識してまいりました。
また、2018年7月にTCFD提言への賛同を表明し、株主・投資家をはじめとする幅広いステークホルダーとのエンゲージメントにつなげることを目的として、2019年度からTCFD提言に基づく情報開示を実施しております。
<リスク及び機会と影響の認識>当行では、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で気候変動に伴うリスク(移行リスク・物理的リスク)と機会を1.5℃シナリオ及び4℃シナリオを前提に評価しております。認識した気候変動リスク及び機会については、CO2排出量削減に関する取り組みを進めているほか、投融資に係る戦略への反映を検討しております。
| リスク・機会の種類 | 事業へのインパクト | 顕在時期 | |
| 移行リスク | 政策・規制 市場 技術 | 1.5℃シナリオの達成に向けた脱炭素政策や規制への対応、又は低炭素志向への市場の変化等が投融資先の事業や業績へ及ぼす影響が当行の与信コストに及ぼす影響 | 中期~長期 |
| 政策 | 国際的な気候変動対応の高まりを受けた規制導入や変更 | 短期 | |
| 評判 | 気候変動への対応や情報開示が不足した場合の風評悪化 | 短期 | |
| 物理的リスク | 急性リスク | 洪水等の自然災害の増加が投融資先の事業や業績に及ぼす影響が当行の与信コストに及ぼす影響 | 短期~中期~長期 |
| 洪水等の自然災害により当行資産が毀損するリスク | 短期~中期~長期 | ||
| 慢性リスク | 感染症や熱中症の増加が投融資先の事業や業績に及ぼす影響が当行の与信コストに及ぼす影響 | 短期~中期~長期 | |
| 機会 | 商品・サービス | 低炭素製品やサービスの開発に係る企業の資金需要の増加 | 短期~中期~長期 |
| 資源効率化・エネルギー源 | 脱炭素社会への移行に向けた取り組みによる企業のコスト低減や移行に係る資金需要の増加 | 短期~中期~長期 | |
| 評判 | 地域の脱炭素化に貢献する金融機関として社会的評価が高まることによるビジネス機会の増加 | 中期~長期 | |
<炭素関連資産>当行の貸出金残高に占める炭素関連資産の割合は、28.7%となっております。
(「エネルギー」「運輸」「素材・建築物」「農業・食料・林産物」セクター向け貸出金残高。ただし、再生可能エネルギー発電事業を除く。)
<シナリオ分析>シナリオ分析では、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)等が公表している複数のシナリオを参照の上、パリ協定や2021年11月の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)における合意内容等をふまえ、2つのシナリオ分析を実施いたしました。
なお、与信コストの増加については、中長期的な取り組みにより低減を図ることが可能であることから、影響は限定的と考えられます。
<分析プロセス>・セクターごとのリスク(移行リスク・物理的リスク)と機会を分析
・移行リスクのシナリオ分析対象セクターを決定
・移行リスク、物理的リスクともに分析対象に応じたシナリオを設定し、与信コストへの影響を分析
| <移行リスク> | 内容等 |
| シナリオ | NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)のシナリオのうち、「Delayed transition」「Current Policies」「Net Zero 2050」を使用 |
| 対象セクター | ① 電力セクター ② 石油・石炭・ガス ③ 運輸セクター(陸運) |
| 対象期間 | 2025年3月末を基準として2050年まで |
| 指標 | 与信関連費用(与信コスト) ※債務者区分判定に基づく与信コスト |
| 分析結果 | 累計 55億円~180億円程度の与信コスト増加 |
| <物理的リスク> | 内容等 | |
| シナリオ | IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の「RCP8.5 シナリオ」(4℃シナリオ) ※100年に1度規模の洪水発生 | |
| 対象地域 | 滋賀県全域及び京都府全域 | 日本国内 |
| 対象先 | 事業性融資先(大企業を除く) | 当行店舗 |
| 指標 | 与信関連費用(与信コスト) ①与信取引先の営業停止に伴う売上減少 を踏まえた債務者区分の悪化 ②不動産担保の毀損による保全率の低下 | 当行の店舗を出店している日本国内 107拠点における浸水リスク |
| 分析結果 | 24億円程度の与信コスト増加 | 国内拠点のうち、38拠点(35.5%) で浸水が発生する |
<地域の脱炭素化に向けた戦略(「第8次中期経営計画」より抜粋)>

2050年に脱炭素社会を実現するためには一刻も早い対策が必要となっており、脱炭素化の潮流は急激に加速しております。産業構造の転換も予想される中、大企業に比べて取り組みが遅れている中堅・中小企業においても脱炭素化に向けた対策を講じていくことが地域経済を守っていく観点からも重要となっております。一方、当行が本拠を置く滋賀県では多額のエネルギーコストが域外へ流出していることから、脱炭素化に向けて再生可能エネルギーの地産地消を進めることで、CO2排出量の削減はもちろん、資金の域内循環による経済効果、新たな産業・雇用の創出、自然災害に対する地域社会のレジリエンス向上などが期待できます。
(2025年度の温室効果ガス排出量(Scopes1・2)についてカーボンニュートラルを達成)
当行グループは2025年度の温室効果ガス排出量(Scopes1・2)について、カーボンニュートラルを達成しております。達成にあたっては、省エネルギーの推進や再生可能エネルギー電気の導入などの自助努力による削減を進めるとともに、2025年度からは、株式会社しがぎんエナジーが保有するFIT太陽光発電所が創出する環境価値を活用し、当行グループが使用する電気を再生可能エネルギー由来のものとしております。
2026年3月末時点では、累計25基のFIT太陽光発電所を取得しており、これらの発電所が創出する年間発電量は、当行グループの年間使用電力量の3倍に達しております。なお、削減しきれない排出量については、J-クレジットを活用し適切に相殺することで、カーボンニュートラルを実現しております。
2026年度以降は、株式会社しがぎんエナジーが創出した電気を当行グループ内で活用する「自産自消」の取り組みを開始しており、今後はこの取り組みを、地域由来の再生可能エネルギーを地域で活用する「地産地消」へと発展させることで、地域全体の脱炭素化の促進と、カーボンニュートラル社会の実現に取り組んでまいります。
このほか、自治体、企業、一般消費者といった各主体に応じた脱炭素化支援の取り組みを拡充し、本業を通じた地域の脱炭素化に貢献しております。
②自然資本
<ネイチャーポジティブ(自然再興)の考え方>当行が本拠を置く滋賀県は、400万年以上の歴史があるとされている世界有数の古代湖“琵琶湖”を有しており、古くから琵琶湖を中心とした自然資本による恩恵(生態系サービス)を受けてまいりました。その恩恵は、滋賀県の歴史、産業、食文化、生活様式にまで幅広く及んでおり、かけがえのない存在となっております。一方で、土地開発や地球温暖化、特定外来種の影響などにより、生物多様性や生態系サービスの劣化が進んでおり、自然資本の適切な保全・回復に向けた取り組みは、地域経済のサステナビリティにおいても喫緊の課題となっております。
このような背景から、当行は生物多様性保全を重要な経営課題と認識し、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で愛知目標が採択された2010年に、経営の基本方針として「生物多様性保全方針」を制定いたしました。また、2023年に制定した「サステナブルな社会の実現に向けた投融資方針」では、琵琶湖などのラムサール条約指定湿地、ユネスコ指定世界遺産、ワシントン条約の規制対象種のように、国際的に保護・保全が求められている人類の財産に重大な悪影響を及ぼす事業に対する投融資を行わない方針を定めております。
さらに、2024年1月には、自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:TNFD)が2023年9月に公表した開示提言(TNFD提言)に賛同し、開示提言の採用者(TNFD Adopter)として登録を行いました。自然環境に負の影響を与える資金の流れを、良い影響を与える「ネイチャーポジティブ(自然再興)」に転換していくため、ステークホルダーの皆さまと協力するとともに、TNFD提言に基づく取り組みを段階的に進め、進捗状況について開示してまいります。
当行は、TNFDに基づく情報開示を進めるため、2024年5月に応募した環境省「令和6年度脱炭素実現に向けた自然関連情報分析 パイロットプログラム」に採択され、専門家の指導のもとで自然資本に関する分析を行いました。
今年度の分析においても、自然関連の依存とインパクトの特定に向け、TNFDが推奨するLEAPアプローチ(注2)に沿って、自然資本の評価ツールである「ENCORE」(注3)を用いて、当行のポートフォリオ分析を行いました。事業セクターごとの自然資本に対する依存・インパクトの関係を分析したヒートマップに加えて、滋賀県における中核業種である点や、当行のポートフォリオにおける業種別の融資割合が大きいこと、「生物多様性しが戦略2024」などの行政計画上の重要性との関連性などを考慮した結果、「食品・飲料」に加えて「素材」セクターを優先分析業種として特定いたしました。
(注2)LEAPアプローチ
企業や金融機関が自然関連課題を評価・管理することを可能とするために、TNFDが開発した評価手法。
Locate(発見)・Evaluate(診断)・Assess(評価)・Prepare(準備)の4ステップで分析する。
(注3)ENCORE
ENCORE(Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure)は、経済の自然への依存・インパクトの可能性、環境の変化によってどのようなビジネスリスクが生み出されるかを可視化するツール。

※当連結会計年度は「素材」セクターを優先分析業種に追加しております。
さらに、「素材」セクターを構成する各業種について、「融資残高割合の大きさ」と「依存・インパクトの大きさ」の両面で検討した結果、「特殊化学品」を重要な業種といたしました。
優先分析業種の自然との関りを整理した結果、「水・土壌への有毒汚染物質の排出」にインパクトが強いことが特定されました。

出所:環境省「令和6年度脱炭素実現に向けた自然関連情報分析 パイロットプログラム(金融機関向け)」
成果報告会 支援先発表資料より抜粋
これらの分析結果から、当行のポートフォリオにおいては、水に関連する自然資本への依存・インパクトの優先順位が高いことが特定されました。このことは滋賀県の面積の約6分の1を占める琵琶湖と関連しているものと想定され、滋賀県の各自治体が琵琶湖を中心とした水を取り巻く施策を実施していることとも関係していると考えられます。
今後は他の事業セクターへの展開や、地域の企業との対話を進め、ネイチャーポジティブの実現に向けた情報開示を進めてまいります。
<気候変動対応及び自然資本保全に向けた取り組み>(預金商品を通じた法人・個人のお客さまへの取り組み)
・「びわ湖ブルー預金」
お客さまからお預かりした定期預金額の一定割合(0.005%)相当額を「水・環境・生態系」に関する研究を行う団体等へ寄付するもので、寄付金はびわ湖を守るプロジェクトなどに活用されます。この商品は、「未来からの預かりもの」であるびわ湖を守りたいというお客さまの思いをかたちにした預金商品であります。
(法人・個人事業主のお客さまへの取り組み)
・「未来よしサポート」
脱炭素経営の第一歩となるCO2排出量の“見える化”をサポートするクラウドツールを提供しております。
株式会社日立製作所との共同開発により、中小企業にも使いやすい設計としております。
・SDGsコンサルティング
お取引先の経営戦略にSDGsを取り入れ、サステナビリティ経営を通じて企業価値向上につなげるためのコンサルティングを実施しております。
・サステナブル・ファイナンス
お取引先のサステナビリティ経営を支援するため、サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)、ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)、グリーンローン/ボンドなど、さまざまな資金調達手法を提供しております。
・カーボンニュートラルローン未来よし
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、脱炭素につながる設備投資を対象とする融資商品を提供しております。当行独自のESG評価の結果に応じて金利優遇を行い、脱炭素とESGの取り組みを同時に促します。
・ESGローン 未来よしステップ
ESGの取り組みの第一歩を踏み出すお客さまや、現在の取り組みの向上を目指すお客さまに対し、対話を通じた伴走支援により企業価値の向上を後押しする融資商品であります。
ご利用いただくお客さまには、ESG評価の結果を踏まえ、今後実施するESG活動の行動宣言を行っていただき、当行はその活動の有意義性を評価した評価書を贈呈いたします。
(個人のお客さまへの取り組み)
・『しがぎん』スーパー住宅ローン「未来よし」
脱炭素化の取り組みを一般家庭にも拡大していくための戦略商品として2023年4月より取り扱いを開始いたしました。太陽光パネル、蓄電池、エネファームのいずれかを設置することで、住宅ローンの金利を優遇しております。お客さまは光熱費の節約にもつながり、環境面でも経済面でもスマートな生活が実現できます。
手続き面では「住宅ローンセンター」が申込から契約まで完全非対面で対応する来店不要のスキームを構築し、地域の住宅販売会社等とも連携して脱炭素に向けた利用促進を図っております。
(自治体等と連携した取り組み)
・環境省「脱炭素先行地域」への連携
湖南市との共同提案により、「脱炭素先行地域」の選定を受けております。
・サステナブル・ファイナンスの連携
滋賀県とのコラボレーションにより、「しがぎんサステナビリティ・リンク・ローン“しがCO2ネットゼロ”プラン」及び「しが トライ・リンク・ローン」を取り扱っております。
・滋賀県と脱炭素推進を連携
当行は、滋賀県と協働し、県内事業者の脱炭素経営を支援することを目的とした勉強会・セミナーを開催しております。脱炭素化に関する最新動向や支援施策の情報提供を通じ、地域全体のカーボンニュートラル推進に貢献しております。
・自治体主導のネットワークと連携
気候変動対応の観点から、「しが水素拠点形成コンソーシアム」及び「近江八幡市脱炭素まちづくり」と、自然資本対応の観点から「しがネイチャーポジティブネットワーク」と連携しております。
(産学連携の取り組み)
当行は、龍谷大学及び公益財団法人東近江三方よし基金と連携し、生物多様性保全の実効性を可視化する「生物多様性保全総合指数(BCCI)」の研究開発プロジェクトに参画しております。本プロジェクトでは、地域に根ざした生物多様性保全と社会・経済活動との両立を目指しております。
(洪水発生時の店舗の浸水を想定した取り組み)
洪水の発生時において、店舗の浸水被害を未然に防止するとともに、浸水発生時における営業停止から早期復旧するため、次のような取り組みを行っております。
今後は、より具体的な浸水リスクの可能性を検証して各拠点におけるBCP対策を行うなどして、地域に不可欠なインフラである金融機関としての機能維持に努めてまいります。
・店舗への浸水防止を目的として土のうを各店に備置
・浸水リスクが比較的高い店舗に止水版を設置
・停電発生時において業務を早期復旧するための非常用発電機を設置
・台風による大雨等を想定した全銀協BCP風水害訓練の実施
・システム障害の発生等を想定したBCP訓練(現金手払い等)の実施 など
(行政・環境保護団体等と連携したネイチャーポジティブの取り組み)
・地域のSDGsを推進する寄付スキーム「未来よし+」
脱炭素関連の融資商品の利用実績に応じて当行が資金を拠出し、地域のSDGsを推進する活動に寄付を行う独自のスキームであります。資金は、琵琶湖の絶滅危惧種であるニゴロブナの放流事業への寄付、森林保全事業の支援につながる「びわ湖カーボンクレジット」の購入などに充てられます。

・琵琶湖の環境を保全する“いきものがたり”活動
地域の環境保護団体等と連携し、琵琶湖の生態系保全に向けた、ストーリー性のある環境ボランティア活動を展開しております。春の「外来魚駆除・釣りボランティア」、夏の「森づくりサポート活動」、秋の「ヨシ苗植えボランティア」、冬の「ヨシ刈り」のほか、地域で実施されるさまざまな活動にも参加しております。なお、これらのボランティア活動にはお取引先企業にも参加いただいており、ステークホルダーを巻き込んだ取り組みを展開しております。
③人的資本
人的資本に関する情報は、第4「提出会社の状況」の5「従業員の状況等」に記載しております。