有価証券報告書-第15期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 16:34
【資料】
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【項目】
157項目
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1) 経営方針、経営戦略等
① 経営方針
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループは、以下の経営理念のもと、「最高の信頼を通じて、日本・アジアをリードし、お客さまと共に成長するグローバル金融グループ」を目指してまいります。
○お客さまに、より一層価値あるサービスを提供し、お客さまと共に発展する。
○事業の発展を通じて、株主価値の永続的な増大を図る。
○勤勉で意欲的な社員が、思う存分にその能力を発揮できる職場を作る。
② 経営環境
当年度を顧みますと、海外では、新興国において、資源価格の底入れや景気刺激策の実施等を背景に経済成長率が総じて上昇したほか、先進国においても、米国経済や欧州経済が堅調な消費に支えられて回復傾向を維持しました。わが国の経済も、企業業績が概ね好調に推移する中、雇用・所得環境の改善を通じて個人消費が持ち直したこと等から、緩やかな回復基調が続きました。
わが国の金融資本市場におきましては、日本銀行による「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」のもとで、当年度末にかけて短期金利はマイナス0.07%前後、長期金利は0.05%前後となりました。円相場は、昨年末まで総じて110円から114円の範囲で推移しましたが、その後、米国や中国の貿易政策を巡る不確実性等から円高に転じ、当年度末には106円台前半となりました。日経平均株価は、好調な企業業績や欧米における堅調な株価等を背景に、昨年9月以降上昇に転じ、本年1月には平成3年以来の高値となる2万4千円台を記録しました。その後、米国における株価下落等を受け、当年度末にかけて2万1千円台前半まで下落しました。
こうした中、昨年5月に、金融機関と金融関連IT企業等(いわゆる「フィンテック企業」)が連携・協働して技術革新を進めていくことを目的とした「銀行法等の一部を改正する法律」や、債権関係の規定を見直す「民法の一部を改正する法律」等が成立しました。また、昨年12月に、バーゼル銀行監督委員会が、銀行の自己資本比率等に関する国際的な規制の枠組み(いわゆる「バーゼルⅢ」)の見直しに係る最終規則文書を公表しました。
③ 経営戦略
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループは、グループ総合力の結集と構造改革の推進により、お客さまに価値ある商品・サービスを適時に提供し、お客さまに選ばれる金融グループとして、持続的成長と企業価値の更なる向上を目指してまいります。そのための施策として、平成29年度からの3年間を計画期間とする中期経営計画で掲げた以下の3つの基本方針に則った取組みを加速してまいります。
○規律を重視した事業展開
○強みに重点を置いた成長戦略の推進
○持続的成長を支えるグループ・グローバルベースの運営高度化
④ 経営指標
本中期経営計画では、資本効率・資産効率・経費効率の改善に取り組み、下表の3項目を最終年度の平成31年度の財務目標として掲げております。
<三井住友フィナンシャルグループ連結財務目標(平成31年度)>
資本効率ROE7~8%程度
経費効率経費率平成28年度(62.1%)比
△1%程度低下
健全性普通株式等Tier1比率※10%程度

※ バーゼルⅢ最終化時ベース。普通株式等Tier1から「その他有価証券評価差額金」、リスクアセットから株式評価益見合い分を控除。
(2) 対処すべき課題
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループは、中期経営計画の2年目にあたる平成30年度の基本方針を、「中期経営計画の加速」としております。中期経営計画で掲げた3つの基本方針に則った取組みの加速により、お客さまに価値ある商品・サービスを適時に提供し、お客さまに選ばれる金融グループとして、持続的成長と企業価値の更なる向上を目指してまいります。
① 規律を重視した事業展開
金融機関を取り巻く環境は、当面は総じて堅調に推移することが見込まれますが、一方で、マイナス金利の継続やデジタル化による手数料率の低下等の構造的要因による収益への下押し圧力や、業種を超えた競争激化が想定されるほか、国際的な金融規制の強化も予定されております。当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、こうした環境下でもボトムライン収益の持続的成長を実現するため、資本効率、資産効率及び経費効率の向上に向けたビジネスモデル改革を加速し、規律を重視した収益性の高い金融機関を目指してまいります。
具体的には、国内の安定的な収益基盤における競争優位性を維持しつつ、優先的に資源投入するビジネスを選別することで、引き続き、資本効率の良い収益構造への転換を進めていくとともに、国際的な金融規制の強化を踏まえ、資産の総額もコントロールしてまいります。
加えて、デジタル技術を活用した業務の効率化や、グループ内での業務基盤の共有化を進め、グループ全体の生産性向上と効率化を推進してまいります。
② 強みに重点を置いた成長戦略の推進
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、競争優位性と事業の成長性をもとに定めた以下の「7つの戦略事業領域」に重点を置き、安定的な収益基盤である国内事業の一層の強化、海外事業における成長戦略の推進及び将来の成長に向けた新たな強みづくりに取り組んでまいります。
<7つの戦略事業領域>・本邦ナンバーワンの個人向け金融ビジネスの実現
・本邦中堅企業向けビジネスにおける優位性の拡大
・国内外の大企業向けビジネスにおける存在感の拡大
・高採算かつグローバルに強みがある金融商品の提供におけるトップクラスの地位の確立
・「アジア・セントリック」の進化
・市場関連業務の収益力強化
・グループ独自の付加価値の高い信託・資産運用ビジネスの構築
具体的には、4つの事業部門において、次の取組みを推進してまいります。リテール事業部門におきましては、当行とSMBC日興証券株式会社が一体となり、お客さま本位の資産管理型ビジネスの強化を加速し、預り資産の拡大を図ってまいります。また、個人のお客さま向けの店舗について、デジタル技術を活用した次世代型店舗への転換を加速してまいります。ホールセール事業部門におきましては、中堅企業のお客さまに対しまして、貸出に加え、課題に応じた解決策をグループベースでご提供し、収益性の向上に努めてまいります。大企業のお客さまに対しましては、高度化・複雑化するお客さまのニーズに対し、グループ・グローバルベースでの一体運営を一層進めることにより、サービス提案力を一段と向上させてまいります。国際事業部門におきましては、海外のお客さまに対しまして、貸出に加え、為替取引や債券・株式の引受け等のお客さまのニーズへの対応力を強化し、お取引の複合化を推進してまいります。また、航空機リースや貨車リース等の高採算かつ三井住友フィナンシャルグループが強みを持つビジネスの強化を進めてまいります。加えて、「アジア・セントリック」の進化につきましては、インドネシアにおいてマルチフランチャイズ戦略を更に推進してまいります。市場事業部門におきましては、当行とSMBC日興証券株式会社の国内外の拠点の連携を通じ、機関投資家のお客さまに運用商品を提供する体制を一層強化してまいります。
③ 持続的成長を支えるグループ・グローバルベースの運営高度化
イ.ビジネスにおける可能性を最大化する経営体制
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループは、事業部門制のもと、グループ・グローバルベースで、グループの経営資源を最大限活用してまいります。具体的には、グループ各社が、統一された経営戦略のもとで、商品・サービス提供力を強化することによって、幅広いお客さまの多様なニーズに的確にお応えしてまいります。更に、企画・管理機能を高度化し、人員・システム投資額等をグループベースでコントロールすることで、全体最適の観点から資源の投入を行ってまいります。加えて、本年4月には、三井住友フィナンシャルグループのマスターブランドを「SMBC」と定めておりますが、この新たなグループブランドのもと、グループ一体となった取組みを加速し、お客さまへのサービスを一層向上してまいります。
これらの取組みのほか、グローバル金融グループとしての社会的使命を果たすべく、「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成に向けた取組みも進めてまいります。
ロ.デジタル化の推進
社会のデジタル化、キャッシュレス化が急速に進展する中、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループは、様々な新しい技術を積極的に取り入れ、グループの生産性向上・業務効率化や経営基盤の高度化並びにお客さまの利便性向上や新規ビジネスの創造等、あらゆる分野でデジタル化を推進いたします。
デジタル技術を活用した生産性向上、経営基盤の高度化につきましては、マネー・ローンダリング等の防止にかかる規制対応において、人工知能を活用した対応強化と業務効率化に引き続き取り組んでまいります。
また、お客さまの利便性向上や新規ビジネスの創造等につきましては、株式会社ポラリファイにおいて、生体認証技術を活用したサービスの提供を拡大していくほか、オープンイノベーション拠点「hoops link tokyo」において、多種多様な外部企業とアイデアをともに創造するワークショップ「SMBC Brewery」を展開してまいります。更に、決済業務におきましては、事業者向けの次世代決済プラットフォームの構築についてGMOペイメントゲートウェイ株式会社と提携協議を開始するなど、お客さまに対する新しいキャッシュレス決済の機会の創出に向けた取組みを推進し、わが国におけるキャッシュレス化の推進を先導してまいります。
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループは、お客さま本位の業務運営を一層推進するとともに、上記の取組みにおいて、着実な成果をお示しすることにより、お客さま、株主・市場、社会からのご評価を更に高めてまいりたいと考えております。