有価証券報告書-第23期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/19 15:10
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(3) 戦略
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、サステナビリティ関連のリスク及び機会の影響が生じると合理的に見込み得る時間軸について、「短期」を1年未満、「中期」を1年以上3年以下、「長期」を3年以上と定義しており、これらの時間軸は、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループの戦略的意思決定において重要な役割を果たしております。短期の1年未満の期間は、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループの業務計画の期間と整合しており、1年間の日々の業務運営や目標達成に向けた具体的な施策を策定するために使用されます。中期の1年以上3年以下の期間は、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループの中期経営計画の期間と整合しており、持続的な成長と競争力の強化を目指すための戦略的な施策を策定するために用いられます。この期間は、変化する市場環境に対応し、柔軟な戦略の見直しを可能にします。長期の3年超の期間は、次期中期経営計画以降の期間であり、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループのビジョンの実現に向け、長期的な目標を達成するための指針として機能します。
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループが重要と認識するサステナビリティ関連のリスク・機会の概要は以下の通りです。各リスク・機会の詳細については、以降に記載するトピック別の戦略パートを参照ください。
<当行をはじめとする三井住友フィナンシャルグループにおけるサステナビリティ関連リスク・機会の概要>
① 気候関連
(イ)重要なリスク及び機会
〇 与信先の業績悪化(急性・慢性物理的リスク、移行リスクに伴う信用リスク)
地球温暖化が進むことで、台風や洪水といった急性の自然災害や、平均気温上昇に伴う降水量増加等の慢性的な気候変化が増える可能性があります。また、脱炭素社会への移行は、炭素排出目標の厳格化や炭素税の引き上げをはじめとする各国の規制強化を伴う可能性があるほか、新たな技術・エネルギー源の導入や消費者嗜好の変化により産業構造や市場に大きな影響を与える可能性があります。これにより、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは長期において、お客さまの業績悪化や、担保棄損により、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループの与信関係費用が増加するリスクを認識しております。当該リスクは、与信業務を対象としているため、銀行業において認識しております。
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、セクター別に気候変動に伴うリスクの影響度合いを示すヒートマップを整理しております。物理的リスク(急性・慢性)については資源依存度の高い飲料、農業、包装食品・肉、紙・林産物等のセクター、移行リスクについては特に電力、石油ガス、石炭等の高排出とされるセクターについて、一定のリスクがあると認識しております。これらの分析手法は発展段階にあり、気候変動に関連する政策や技術、市場等の環境変化や、最新の気候科学の発展に合わせて継続的に見直し、戦略の高度化にも繋げて参ります。
また、ヒートマップにおける評価対象セクターごとに当行及びその主要銀行子会社等における与信残高の状況を把握しております。気候関連リスクの低減に向けた取組を行うにあたり、他のセクター別分析結果と組み合わせ、注力分野を見極めたうえで戦略に反映するために活用しております。
ヒートマップに関する評価方法については「(4)リスク管理」、セクター別与信残高の集計方法については「(5)指標及び目標」を参照ください。
<ヒートマップとセクター別与信残高>
〇 気候変動に関するレピュテーショナルリスク
脱炭素社会への移行に伴い、各企業は脱炭素社会に適合したビジネスモデルへの変革や温室効果ガス排出抑制等の取組が各ステークホルダーから求められております。中でも金融業界においては、金融機関自身だけでなく特に高排出とされるセクターへの与信を通じた間接的な環境・社会への影響についても考慮することが求められております。
また、これらの取組状況に対するステークホルダーからの開示要請も高まっており、気候変動問題への取組が企業評価基準の一つになりつつあります。これらの取組不足や情報開示要請への対応の遅れは短期から長期において、お客さまや株主をはじめとするステークホルダーからの高い期待に応えられず、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループのレピュテーション低下に繋がるリスクが想定されます。その結果、当行の親会社である株式会社三井住友フィナンシャルグループの株価、業務、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクは特定の地域やセクターに限ったものではなく、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループ全体に影響を及ぼすリスクとして認識しております。
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループの温室効果ガス排出量については、スコープ3温室効果ガス排出のカテゴリー15(FE:ファイナンスド・エミッション)が大宗を占めており、温暖化抑制に向けては当行をはじめとする三井住友フィナンシャルグループ自身だけでなく、お客さまの脱炭素化を支援していくことが重要となります。ファイナンスド・エミッションの削減に向けては、前述のセクター別リスク分析結果や残高に加え、排出量やセクター別算定基準の状況等を考慮しながら、中長期的な目標を設定するセクターを選別しております。中長期的な目標の設定に際しては、各特性を踏まえたセクター別の指標並びに算定手法を定めた上で、別途セクター別排出量の算定を行っております。ファイナンスド・エミッションを含む当行をはじめとする三井住友フィナンシャルグループの温室効果ガス排出量、並びにセクター別排出削減目標の詳細については、「(5)指標及び目標」を参照ください。
〇 気候関連のビジネス機会
ネット・ゼロの実現に向けては、大幅な温室効果ガス排出量削減のためのビジネスモデルの転換、そのための技術革新や大規模な設備投資が必須となります。IEA(International Energy Agency)はNZE(Net Zero Emissions)シナリオにおいて、エネルギー分野への年間投資総額は今後増加し、今後10年間の平均で年間4.8兆ドルに達するとともに、2035年には年間5.6兆ドルまで拡大すると試算しております。
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、気候変動問題への対応は世界的に喫緊の課題であり、多くの企業が経営課題に据え注力していると認識し、脱炭素社会の実現に向けてビジネスモデルの転換を目指す中で、事業再編や企業の合併・買収等が活発化し、ファイナンス関連の機会が増加すると認識しております。
従って、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは短期~長期において、資金需要の拡大に伴う融資や債券引受等の増加、アドバイザリー業務に対するニーズ拡大といった機会を認識しております。当該機会は銀行業を営む当行及びその主要子会社、証券業を営むSMBC日興証券株式会社において認識しております。
(ロ)当行をはじめとする三井住友フィナンシャルグループの戦略
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、気候関連のリスク・機会にかかる戦略並びに今後の目標・アクションプランを体系化した移行計画(ロードマップ)をサステナビリティ委員会等での協議を踏まえ、グループ経営会議ならびに取締役会を通じて定めております。当該移行計画は、気候変動に関する各種シナリオ(IPCC、NGFS、IEA等)、並びにそれらに基づくリスク分析の結果等を総合的に考慮の上、作成しております。移行計画の進捗は定期的にグループ経営会議ならびに取締役会に報告しており、監督されております。
なお、移行計画の実現(セクター別排出削減目標の達成やトランジションファイナンス推進等)に際しては、主要国における脱炭素技術開発の進展や当該技術に関する法令・市場の整備等が進み、各企業がトランジションに取り組める状況になっていること、それらに対するファイナンスが可能になっていることが不可欠となります。これら状況を注視の上、必要な場合には移行計画について適宜見直しを行って参ります。
また、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、気候関連の戦略並びに移行計画を検討するにあたり、気候関連のリスク及び機会の間のトレードオフも考慮して対応策を決定しております。具体的には、高排出セクターのお客さまに関する事業機会が多いと想定される一方で、当該セクターは移行リスクも高いというトレードオフがあります。但し、移行に資するお客さまの取組を支援することが当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループの気候関連リスクの軽減にも資すると考えております。高排出セクターのお客さまについては、移行に向けたエンゲージメント並びに支援を行うことで、長期的に移行リスクの低減を実現して参ります。
当該移行計画の詳細は以下の通りです。
<当行をはじめとする三井住友フィナンシャルグループの移行計画(ロードマップ)>
〇 リスク分析の高度化
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、気候変動に伴う取引先の業績悪化リスクに対応するために、これまでシナリオ分析を実施し、分析対象とするリスク事象の拡大を図ってきました。シナリオ分析には、シナリオや計測手法に一定の不確実性が伴うことから、今後、分析手法の高度化に取り組み、リスクの顕在化が見込まれる場合は、お客さまに対応を促しつつ自らのリスク低減に努めて参ります。現時点におけるシナリオ分析の詳細については、「(ニ)気候レジリエンス」を参照ください。
またシナリオ分析に加え、ヒートマップをはじめとするセクター別の物理的リスク並びに移行リスクの分析を実施しております。セクター別リスクは、各国法令や業界動向、実体経済への温暖化影響の顕在化などの状況により変化するため、引き続き定期的な分析並びに高度化に取り組み、後述のセクター・事業に対する方針や環境社会デューデリジェンスなどの各種施策へ反映して参ります。
〇 セクター・事業に対する方針
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは信用リスク並びにレピュテーショナルリスク管理の観点から、取引を通じて環境・社会に対する負の影響を与える可能性が高いセクター・事業に対する取組方針を定めております。一般炭採掘並びに石炭火力発電については、特に大きな影響が懸念されることから、厳格な方針を定めて運用しております。
今後も各セクター・事業に対するリスク認識の変化を踏まえ、方針の高度化を検討して参ります。
〇 ポートフォリオ管理
信用リスク(移行)並びにレピュテーショナルリスク管理の観点から、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは石油ガス・石炭・電力・鉄鋼・自動車・不動産セクターを対象としたセクター別排出量の中期目標を設定しております。当該目標の詳細については、「(5)指標及び目標」を参照ください。こうした中期目標の設定に加え、気候関連リスクのリスクアペタイトを定めた上で、セクター別排出量をリスクアペタイト指標として設定し、当該排出量を管理しております。
加えて、一般炭採掘並びに石炭火力発電については特に大きな影響が懸念されることから、フェーズアウト目標を定めて運用しております。当該目標の詳細については、「(5)指標及び目標」を参照ください。
今後はセクター別排出削減目標に限らず、ポートフォリオ管理に向けた適切な指標や施策についても検討を進め、気候関連リスクの適切な管理を強化して参ります。
〇 環境社会デューデリジェンス
当行では、コーポレート、プロジェクトの双方において、信用リスク並びにレピュテーショナルリスク管理の観点から与信先のリスクを評価し、与信における判断要素として活用するとともに、評価結果を踏まえたお客さまエンゲージメントを実施しております。今後も各セクター・事業に対するリスク認識の変化を踏まえ、審査内容・体制の高度化や対象拡大などを検討して参ります。
<環境社会デューデリジェンスの概要>
なお、セクター・事業に対する方針、ポートフォリオ管理、環境社会デューデリジェンスを踏まえたセクター別のリスク管理状況は以下の通りです。
<セクター別のリスク管理状況>

〇 自社GHG削減(スコープ1温室効果ガス排出及びスコープ2温室効果ガス排出削減)
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは2030年度ネット・ゼロを目標として掲げ、グループ・グローバルでの自社における排出量の管理・削減を進めております。当該目標の詳細については、「(5)指標及び目標」を参照ください。
スコープ1温室効果ガス排出に関しては、社用車において順次HV・EVをはじめとした環境配慮車の導入および充電器の設置を進めております。国内の営業車については2030年度までに全台を環境配慮車へ切り替えていく予定です。
スコープ2温室効果ガス排出に関しては、国内の自己所有物件を中心に再生可能エネルギー導入を推進しております。2023年度には、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループの国内自己所有物件・主要な連結子会社における本社ビルの再生可能エネルギー由来電力への切り替えが完了しました。今後は、データセンター、賃借物件、海外拠点を中心に再生可能エネルギー由来電力への切り替えを進めて参ります。
なお、2030年度ネット・ゼロ目標の達成に向けては可能な限り排出量を削減しつつ、削減し切れない分の排出量についてはカーボン・クレジットを利用することを予定しておりますが、具体的にどのようなカーボン・クレジットを用いるかについては検討中です。
今後はSBTi(Science Based Targets initiative)/ VCMI(The Voluntary Carbon Markets Integrity Initiative)/ICVCM(The Integrity Council for the Voluntary Carbon Market)といった国際的なイニシアティブの動向を踏まえながら、カーボン・クレジットの活用方針を2026年度から2028年度までの中期経営計画の期間において整備する予定です。
〇 新エネルギー・新技術へのリスクテイク
脱炭素化に向けて不可欠な新エネルギー・新技術の社会実装に向けてはさまざまな課題があり、スケール化のフェーズで資金の需給ギャップに陥ることが多くあります。当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、資金が不足しやすいフェーズにおいてリスクマネーを積極的に供給することで、新エネルギー・新技術の社会実装加速に貢献して参ります。
案件の拡大に向け、今後は営業担当者の新エネルギー・新技術に関する知見のケイパビリティビルディングを進めるとともに、Jefferies Financial Group Inc.との協働等を進めて参ります。
〇 トランジション支援
カーボンニュートラル実現に至る道筋は一通りではなく、各国固有の事情にも十分配慮しつつ、2050年までの現実的なルートとスピードを、お客さまとともに丁寧に見定めていく必要があります。当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、トランジションファイナンスを「顧客が自社の事業や運営を、パリ協定の目標に沿った道筋に合わせることを支援するために提供される金融サービス」と定義しております。本定義に沿って、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループの期待事項、判断方法の詳細を示したTransition Finance Playbookを策定し、同Playbookを活用しお客さまとの対話を重ね、国内外の脱炭素化に資する案件を積極的に支援しております。
現在、トランジションファイナンスを含むサステナブルファイナンス実行額を2020年度から2029年度までの累計で50兆円とする目標を設定しています。近年では年10兆円弱のペースで実績が積み上がっており、当該目標に対して当連結会計年度で既に90%程度の達成率となっております。
当該目標の詳細については、「(5)指標及び目標」を参照ください。
<サステナブルファイナンス取組額>
また、トランジションの実現に向けては、各国におけるロードマップ整備やそれに伴う政策支援(コスト負担)など、民間企業だけでは解決できない課題も多く存在しております。当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、エンゲージメントを通じて得た知見を基にかかる課題や提言をまとめたTransition Finance Scorebookを策定し、政府並びに業界団体との対話を行っております。高排出セクターの事業者が移行を実現しやすい/トランジションファイナンスを実施しやすい環境の実現に向け、引き続き対話を続けて参ります。
(ハ)リスク及び機会の財務的影響
〇 与信先の業績悪化(急性・慢性物理的リスク、移行リスクに伴う信用リスク)
物理的リスクや移行リスクに伴うお客さまの業績悪化により、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループの与信関係費用が増加する可能性があります。与信関係費用の算定にあたっては、予め定めている貸倒金償却・貸倒引当金の計上基準に則り必要と認められる金額を計上しており、急性・慢性物理的リスクや移行リスクによるお客さまの業績悪化があった場合、その影響も勘案されることとなりますが、当連結会計年度において急性・慢性物理的リスクや移行リスクは当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループの財務諸表に重要な影響を与えていないと認識しております。
また、将来の財務的影響について、当行及びその主要銀行子会社では一般事業法人を対象とした定量的なシナリオ分析結果を利用しており、長期では与信関係費用に重要な影響を及ぼす可能性があると考えております。シナリオ分析結果は「(ニ)気候レジリエンス」に記載しております。
なお、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、急性・慢性物理的リスクや移行リスクについて、測定の不確実性が高いと考えられるため、将来の財務的影響の見積りに関する定量的情報は開示しておりません。また、急性・慢性物理的リスクや移行リスクと、他のリスクやその他の要因との将来の複合的な財務的影響に関しても、合理的に見積もることが困難であり、定量的情報が有用でないと判断しているため開示しておりません。
〇 気候変動に関するレピュテーショナルリスク(移行リスク)
気候変動問題への取組不足や情報開示要請への対応の遅れによって、当行をはじめとする三井住友フィナンシャルグループのレピュテーションが低下し、当行の親会社である株式会社三井住友フィナンシャルグループの株価、業務、経営成績及び財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、当連結会計年度においては、そのような事象は見受けられませんでした。したがって、当連結会計年度において、気候変動に関するレピュテーショナルリスクは当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループの財務諸表に重要な影響を与えていないと認識しております。
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、前述の移行計画の実行に加え、法令その他諸規則等を遵守し適切なサステナビリティ情報開示を行う体制の高度化を進めております。しかしながら、移行計画を遵守できなかった場合や情報開示が不十分である場合、短期から長期において重要な損失を計上する可能性があります。ただし、発生の蓋然性・時点・損失額等は将来の規制をはじめとした社会変化やステークホルダーからの期待の変化に依存する可能性が高く、当該リスクの発生有無、および発生した場合の財務的影響には不確実性が伴うと考えております。したがって、当期末時点では定量的な将来の影響額を開示しておりません。
〇 気候関連のビジネス機会
お客さまの脱炭素化に向けた設備投資、技術革新、事業再編等に伴う資金需要の拡大を背景に、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループではお客さまの社会課題解決に向けた取組を支援すべく、サステナブルファイナンスを積極的に推進しており、2029年度末までのサステナブルファイナンス実行額50兆円という目標に向けて実績を積み上げております。
その結果、当連結会計年度において、サステナブルファイナンスの実行額は10.8兆円(20年度からの累積額は45.4兆円)となっております。関連する収益は主に資金運用収益並びに役務取引等収益に含まれております。
短期から長期において、脱炭素化に向けた事業環境の変化に伴うビジネス機会の増加に伴い、これら収益の増加が見込まれます。なお、サステナブルファイナンスに関する収益については、通常のファイナンスと区分して集計することが困難であるため、定量的情報を記載しておりません。また、将来の財務的影響に関しては、市場環境の影響を受けるため定量的情報が有用でないと判断しているため、開示しておりません。
(ニ)気候レジリエンス
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは識別した気候関連リスク(与信先の業績悪化)に関して、当連結会計年度の末日における当行をはじめとする三井住友フィナンシャルグループの戦略及びビジネスモデルの気候レジリエンスを評価するにあたり、シナリオ分析を実施しております。具体的には、物理的リスク・移行リスクに伴う2050年までの当行及びその主要銀行子会社等への財務的影響を試算しております。
〇 シナリオ分析の仮定並びに結果
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、現時点で想定されるリスク経路とリスク量を可視化することにより、気候関連リスク管理に向けた戦略を策定するための基盤を構築することを目的とし、シナリオ分析を実施しております。なお、本節に記載している分析結果は今後の更新を予定しております。
急性物理的リスクの分析にあたっては、一般事業法人を対象に、水災の業績への波及について担保価値の毀損、財務状況の悪化に伴う債務者区分の劣化という2つの経路を検討しました。国内においては担保物件、事業法人ごとに国土交通省が開示しているハザードマップを用い想定浸水深を把握し、海外においては事業法人ごとにJupiter Intelligence社による衛星画像を用いたAI分析により想定浸水深を算出したうえで、これらを基に担保毀損影響、財務悪化影響を分析しました。あわせて、MS&ADインターリスク総研が、東京大学、芝浦工業大学と協働で実施している気候変動による洪水リスクの評価プロジェクトの提供データを活用し、IPCCが研究の基盤としているRCP2.6シナリオ・SSP1-2.6シナリオ(2℃シナリオ)、およびRCP8.5シナリオ・SSP5-8.5シナリオ(4℃シナリオ)それぞれにおいて、2050年までの洪水発生確率を算出しました。想定浸水深に基づく影響と気候変動シナリオ毎の洪水発生確率を勘案することで、与信関係費用を試算したところ、2050年までに累積670~850億円となりました。
慢性物理的リスクの分析にあたっては、気候関連リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)のCurrent Policiesシナリオ(3℃シナリオ)における、気温上昇による生産性低下をはじめとした慢性的に生じるマクロ経済への影響を確認のうえ信用リスク影響を推定するストレステストモデルに反映させ、2050年までに想定される与信関係費用を試算したところ、2050年までに単年度で最大300億円となりました。
移行リスクについては、政策の変更や需給バランスの変化といったリスクファクターによる影響について、エネルギー、電力、鉄鋼、自動車、自動車部品セクターを対象に、各セクターで想定されるリスクファクターが業績に与える影響をNGFSのCurrent Policiesシナリオ、Net Zero 2050シナリオ(1.5℃シナリオ)、IEAのNZEシナリオ(1.5℃シナリオ)それぞれについて分析し、信用リスク影響を推定するストレステストモデルに反映させ2050年までに想定される与信関係費用を試算したところ、単年度で30~290億円となりました。
なお、シナリオ分析においては、リスクが顕在化するタイミングや規模について不確実性が高いことから、現時点では想定する災害や分析対象等に一定の前提を置いており、今後も分析手法の精緻化に努めて参ります。

<シナリオ分析の概要※>
(※)中期経営計画策定の頻度に合わせ、定期的な更新を予定しております
〇 レジリエンス評価
気候変動への対応に関して、当連結会計年度の末日における当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループの戦略及びビジネスモデルは高いレジリエンスを維持し、事業の継続性を確保していると評価しております。
信用リスク(急性・慢性物理的リスク並びに移行リスク)に関して前述の通りシナリオ分析を実施しており、長期的には一定の影響が生じ得ると想定しております。ただし、短~中期においては重要な財務的影響が生じる可能性は高くないと想定しており、長期的な影響緩和に向け既に移行計画を策定し、実行する体制を整えております。
具体的には、セクター・事業に対する方針やポートフォリオ管理、環境社会デューデリジェンス等を通じてこれらのリスク管理を進めております。これら施策は気候変動に対する戦略的な取組の強化となるため、レピュテーショナルリスクの低減にもつながります。また、プラス面での財務的影響としてビジネス機会の増加が見込まれており、機会獲得の側面からも移行計画を推進しております。
リスクが顕在化するタイミングや規模については不確実性が存在しますが、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは移行計画の中で継続的にリスク分析を高度化する方針を掲げております。また移行計画の進捗や当該リスク分析の結果を踏まえた修正については、グループ経営会議・取締役会へ定期的に報告・審議されており、状況に応じて当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループの戦略やビジネスモデル等を修正するケイパビリティを有しております。
② 人的資本関連
(イ)重要なリスク
昨今、事業環境の変化、人材獲得競争の激化、従業員の価値観・働き方の多様化に加え、AIをはじめとするデジタル技術の普及等により、従業員および求職者を取り巻く環境は大きく変化しております。
こうした状況を踏まえ、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、人的資本に関するリスクとして、「人材需給の逼迫や環境変化に対するスキルの陳腐化等により、経営戦略の遂行が遅延または制約されるリスク」、「企業と従業員との信頼関係の低下により、従業員エンゲージメントが低下するリスク」、「環境変化に十分適応していない人事制度が存続することにより、従業員のパフォーマンスが低下するリスク」を認識しております。
これらのリスクについては、当行の親会社である三井住友フィナンシャルグループの人事部が各施策に紐づくKPI等の指標に基づき、目標値に対する進捗状況や短期間での急激な変化を継続的にモニタリングしております。その結果を踏まえ、必要に応じて制度改定や各種施策の見直し等を実施しております。
なお、これらのリスクは短期から中長期にわたり当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループの経営に影響を及ぼす可能性があり、特定の事業分野や地域に限定されるものではないため、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループ全体に影響を及ぼすリスクとして認識しております。
〇 人材需給の逼迫やスキルギャップ拡大による影響
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、人材需給の逼迫や事業環境の変化に十分に対応できないことに伴うスキルギャップ拡大により、事業運営および戦略遂行に影響が生じるリスクを認識しております。当該リスクが顕在化した場合、必要な人材の確保や専門性の充足が困難となり、経営戦略の実行が遅延または制約されるとともに、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループ全体の生産性および競争力の低下につながる可能性があります。
〇 企業と従業員との信頼関係の低下による影響
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、企業と従業員との信頼関係の低下により、組織運営に悪影響が生じるリスクを認識しております。評価・処遇や成長機会に対する従業員の納得感が低下し、企業と従業員との信頼関係が毀損された場合には、優秀な人材の離職の増加や従業員エンゲージメントの低下が生じる可能性があります。
〇 人事制度の不適合による影響
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、事業環境の変化や従業員の価値観・働き方の多様化に十分対応していない人事制度が継続した場合、従業員のパフォーマンスおよび組織全体の競争力が低下するリスクを認識しております。人事制度が事業環境や働き方・価値観の変化に適合していない場合、生産性の低下や意思決定の遅延等が生じる可能性があります。
(ロ)当行をはじめとする三井住友フィナンシャルグループの戦略
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、上記の人的資本に関するリスクに対応するため、人材戦略を経営戦略の重要な要素と位置付け、各種施策を推進しております。
〇 人材戦略における中期経営計画
人材戦略は中長期的視点を必要とする取組であり、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、足元の環境変化および想定されるリスクを踏まえ、主な課題を「人材」「カルチャー」「仕組み」の3つに整理しております。
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、2026年度から2028年度までの中期経営計画において、人材戦略の高度化に向け、事業戦略と「人材」「カルチャー」「仕組み」の観点を加味し、「プロフェッショナルの確保と、自律的に成長する強い個の創出」「人財ポリシーを体現するチームと挑戦し続けるカルチャーの確立」「組織のパフォーマンスを最大化する基盤の構築」の3つを重点人事戦略と位置付けております。
また従業員が創出する価値の持続的向上および人事戦略の有効性を確認するため、2026年度から2028年度までの中期経営計画におけるKGIとして、人的資本ROIおよび人財ポリシースコアを設定しております。
a) 人材:プロフェッショナルの確保と、自律的に成長する強い個の創出
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、事業戦略の推進に必要なすべての領域において、質・量の両面から十分なプロフェッショナル人材を確保し、適切に配置することを目指しております。この実現に向け、「人材の質および量の把握を通じた戦略的な人材の獲得と最適配置」ならびに、「自律的な成長支援と将来のリーダー育成」に取り組んでおります。
主な取組として、事業戦略に基づく人材充足状況の継続的なモニタリングに加え、戦略と連動した採用方針の策定および採用基盤の整備、ならびに経営人材候補から役員層に至るまでの体系的な育成プログラムの構築・実施等を行って参ります。
また、従業員一人ひとりが主体的に学びを選択し、必要なスキルを継続的に向上させることができる環境を整備するため、各人の役割や成長段階に応じた育成支援を実施するとともに、役割期待の変化を踏まえた自律的なキャリア形成を支援しております。
b) カルチャー:人財ポリシーを体現するチームと挑戦し続けるカルチャーの確立
経営やビジネスの変化、従業員の価値観の多様化など、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループを取り巻く環境が目まぐるしく変化している中でも、「人」の大切さに変わりはありません。当行の親会社である株式会社三井住友フィナンシャルグループでは2023年度に「SMBCグループ人財ポリシー」を定め、従業員に「プロフェッショナル」「チームワーク」「挑戦」を求める一方、従業員の活躍を後押しするため「自分らしさの表現」「お客さま・社会への貢献」「キャリア形成と自身の成長」を提供することを明文化しました。
経営戦略の実現に向けては人財ポリシーの好循環の創出が不可欠であると考えているため、従業員一人ひとりに人財ポリシーが浸透し、常時体現できるカルチャーが醸成されている状態を目指します。「人財ポリシーを体現できるカルチャーの浸透」に向けては、インナーコミュニケーションの強化や外部登壇・取材対応等の社外への発信を強化して参ります。
また、多様性を組織の力に変え、新たな価値創造・企業価値の向上につなげることを目指し、ダイバーシティ経営を成長戦略そのものと位置付け、「変化に強い、挑戦し続けるチーム作り」に取り組んでおります。
主な取組として、意思決定層の多様化や、多様な人材が活躍できる組織の実現に向けた風土醸成やキャリア形成支援等が挙げられます。加えて、一人ひとりが健康で活き活きと働くことができる環境の整備に取り組んでおります。
c) 仕組み:組織のパフォーマンスを最大化する基盤の構築
高い再現性と生産性を兼ね備えた組織および経営基盤が構築された状態を目指し、「生産性を向上する仕組みと競争力ある制度構築」ならびに「機動的で信頼される安定した人事運営体制の整備」に取り組んでおります。
主な取組として、グループ全体で整合性の取れた人事制度の構築やグループ人事体制の強化に加え、本社・地域間のアラインメント強化を通じたグローバル人事体制の高度化、人事業務におけるAI・テクノロジーの活用による業務変革などが挙げられます。
なお、人的資本に関する財務的影響およびレジリエンスに関する開示については現在検討を進めており、2027年3月期以降の有価証券報告書において開示する予定です。
③ コンプライアンス関連
(イ)重要なリスク
〇 金融関連法令をはじめとする各種法規制への不十分な対応に起因する法令違反、レピュテーション低下
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは業務を行うにあたり、会社法、銀行法、独占禁止法、金融商品取引法、貸金業法及び金融商品取引所が定める関係規則等の各種法規制の適用を受けております。また、海外においては、それぞれの国や地域の規制・法制度の適用、及び金融当局の監督を受けております。
したがって、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは短期から長期において、金融関連法令をはじめとする各種法規制への不十分な対応に起因する法令違反及びレピュテーション低下のリスクを認識しております。これら各種法規制への対応が不十分な場合、お客さまや投資者の信頼を損ない、取引の減少によって収益が減少するほか、規制当局から制裁金や罰金の支払が科される可能性があります。当該リスクは当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループ全体に影響を及ぼすリスクとして認識しております。
〇 マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与防止(以下、AML/CFT(Anti-Money Laundering / Countering the Financing of Terrorism))、経済制裁等への不十分な対応に起因する法令違反、レピュテーション低下
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、国際連合やFinancial Action Task Force(金融活動作業部会;以下、FATF)等の国際機関の要請、本邦の法令による要請、Office of Foreign Assets Control(米国財務省外国資産管理室;以下、OFAC)規制を含む関係各国の要請等に基づき、AML/CFT・各国の経済制裁に関する諸規制を遵守することが経営における重要な課題のひとつであることを認識しております。
したがって、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは短期から長期において、AML/CFT・経済制裁等への不十分な対応に伴う法令違反及びレピュテーション低下のリスクを認識しております。これらの対応が不十分な場合、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループのお客さまや投資者の信頼を損ない、取引の減少によって収益が減少するほか、規制当局から制裁金や罰金の支払が科される可能性があります。当該リスクは当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループ全体に影響を及ぼすリスクとして認識しております。
(ロ)当行をはじめとする三井住友フィナンシャルグループの戦略
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、企業活動の基盤となる経営理念に、ステークホルダーに対して果たすべき使命を掲げ、中長期的に目指す姿を示す「ビジョン」や、全役職員が共有すべき価値観としての「Five Values」を理念体系として制定しております。この「Five Values」のなかでも、全役職員が体現するべき価値観として「Integrity-プロフェッショナルとして高い倫理観を持ち誠実に行動する-」を掲げており、その重要性について、経営陣から従業員に対して繰り返しメッセージを発信し、その浸透を図っております。
Integrityをはじめとするこれらの理念に基づき、金融関連法令をはじめとする各種法規制、AML/CFT・経済制裁への不十分な対応に伴う法令違反及びレピュテーション低下のリスクに対応し、企業としての社会的責任を果たし、持続的な成長を支える業務体制を確立すべく、以下の観点を含む堅牢な運営態勢を構築しております。
〇 コンプライアンス体制の強化
企業が社会と共生し、持続的に発展していくためには、健全なリスクテイク(業務推進)と同時に、コンプライアンスの確保を含めた適切なリスク管理が不可欠です。当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、リスクテイクとリスク管理の両輪を意識した具体的な行動に移すため、「コンプライアンス及びリスクに関する行動原則」を定めており、社員一人ひとりによる本行動原則の実践を通じて、持続的な事業成長および企業価値・社会価値の向上につなげております。
〇 お客さまの情報の管理
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、お客さまの情報の適切な保護と利用に関して、グループ全体の基本的な方針であるグループポリシーを策定しており、グループ各社は当該ポリシーに従い、個人情報及び個人番号等の適切な保護と利用に関する取組方針であるプライバシーポリシーを制定・公表する等、お客さまの情報管理体制を整備しております。
〇 贈収賄の防止に向けた取組
当行の親会社である株式会社三井住友フィナンシャルグループでは、贈収賄防止に向けた基本方針として、「贈収賄の防止及び接待贈答等に関するSMFGグループ規程」を制定し、受領者に影響を与える目的をもって、財物等(金銭はもちろん、物品、サービス、接待、親類等の採用、その他名目の如何を問わず、経済的価値のある有形、無形のもの一切を含む)を提供し、または提供を申し込む行為、及び、提供者に便宜を図る目的をもって、財物等を受領し、または請求する行為を禁止しております。当該規程においては、グループ各社に対し、贈収賄の防止のための管理体制を整備することを定めております。
〇 AML/CFT・経済制裁への取組
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループおよびその役職員等が、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与に関与することや巻き込まれることを防止するとともに、各国の経済制裁に関する諸規制に適切に対応するよう努めます。このため、国際連合やFATF等の国際機関の要請、本邦の法令による要請、OFAC規制を含む関係各国の要請等に基づき、AML/CFT・経済制裁に関する法令違反を防止するとともに、業務の健全性および適切性を確保するためのグループポリシーを制定し、グループ各社で体制整備を行っております。
〇 反社会的勢力との関係遮断
「反社会的勢力に対する基本方針」を定め、グループ一丸となって、反社会的勢力との関係を遮断する体制を整備しております。具体的には、反社会的勢力との取引の未然防止に努めるとともに、契約書や取引約款に暴力団排除条項を導入し、取引開始後に相手方が反社会的勢力であることが判明した場合には、外部専門機関と連携の上、適切に対応しております。
<反社会的勢力に対する基本方針>a) 反社会的勢力とは一切の関係を遮断します。
b) 不当要求はこれを拒絶し、裏取引や資金提供を行いません。また、必要に応じ法的対応を行います。
c) 反社会的勢力への対応は、外部専門機関と連携しつつ、組織全体として行います。
〇 内部通報制度
法令及び社内規程・規則に違反する行為を早期に発見・是正することにより、自浄機能を高めることを目的として、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループの従業員が利用可能な内部通報窓口「SMBCグループアラームライン」を社内外に設け、全従業員に周知しております。具体的には、各種法令や社内規程・規則等に違反する行為、人権や労働に関する権利を侵害する行為等が通報受付対象となり、調査の結果、違反行為等が認められた場合は、法令等に基づき適切な是正措置を講じます。通報対応にあたっては守秘義務の徹底、通報者のプライバシーを保護するとともに、通報者に対する報復行為や、不利益な取扱いを禁止しており、違反した従業員には、必要な措置を講ずることを規定しております。なお、海外支社においても、現地に内部通報窓口を設置し、現地の社員からの通報を現地の言語で受け付けることを可能にしております。
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、上記の制度について、今後も継続して適切に運用するとともに、各国・各地域の関係法令・ガイドライン等の改正動向を踏まえ、制度の実効性向上に向けた必要な見直し・改善を行い、グループ全体の自浄機能を高めてまいります。
(ハ)リスクの財務的影響
当連結会計年度中には、金融関連法令、AML/CFT・経済制裁に関する重大な法令違反は発生しませんでした。したがって、当連結会計年度において、前述の各種リスクは当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループの財務諸表に重要な影響を与えていないと認識しております。
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、法令その他諸規則等を遵守すべく、コンプライアンス体制及び内部管理体制の強化を経営上の最重要課題のひとつとして位置付け、グループ各社の役職員等に対して適切な指示、指導及びモニタリングを行う体制を整備するとともに、不正行為の防止・発見のために予防策を講じております。
しかしながら、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループにおいて、法令その他諸規則等を遵守できなかった場合、法的な検討が不十分であった場合または予防策が効果を発揮せず役職員等による不正行為が行われた場合には不測の損失が発生したり、行政処分や罰則を受けたり、業務に制限を付される恐れがあります。また、お客さまからの損害賠償請求やお客さま及び市場等からの信頼失墜等により、短期から長期にわたり重要な損失を計上する可能性があります。ただし、当該リスク発現の蓋然性・時点・損失額等は将来の規制環境や当行をはじめとする三井住友フィナンシャルグループの状況に依存することから、当該リスクの発生有無、及び発生した場合の財務的影響には不確実性が伴うと考えております。従って、当連結会計年度末において将来の定量的な影響額及び他のリスクやその他の要因との複合的な財務的影響は開示しておりません。
(ニ)レジリエンス
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループが識別したコンプライアンス関連のリスクに対し、当連結会計年度の末日における当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループの戦略及びビジネスモデルは、短期から長期の時間軸において、高いレジリエンスを維持し、事業の継続性を確保していると評価しております。
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、コンプライアンスの分野においてもレジリエンスの強化に取り組んでおります。当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループに存在するコンプライアンス上のリスクについて適切に特定・評価を行い、必要な対応策を講じることで、法令違反等のリスクの顕在化を未然に防止するとともに、それらのリスクが顕在化した場合や外部環境の変化にも柔軟に対応できる態勢を構築しております。具体的には、法規制の変化を適時・適切に捉えたうえで、年次のリスク評価を通じて高リスク領域を特定し、翌年度のコンプライアンス・プログラムに反映するほか、法務リスク及びコンダクトリスクに関する重要事項については指標と閾値を設定し、月次・四半期でモニタリングを実施し、潜在的なリスクの兆候を早期に把握し、迅速な対応を図っております。これらの取組は、コンプライアンス委員会や経営陣、取締役会への定期報告を通じて、組織全体で共有・改善を進めております。
④ サイバーセキュリティ関連
(イ)重要なリスク
〇 当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループ・提携先へのサイバー攻撃に伴うサービスや業務の停止、情報漏洩、レピュテーションの低下
近年、サイバー攻撃手法の高度化・巧妙化等により、金融機関をとりまくサイバー脅威はより一層深刻化しております。
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは短期~長期において、三井住友フィナンシャルグループ並びに取引先や業務委託先等の第三者へのサイバー攻撃に伴うサービスや業務の停止、情報漏洩、レピュテーションが低下するリスクを認識しております。具体的には、セキュリティ強化のための対策費用が生じる可能性や、情報漏洩への対応費用に加え万が一被害が発生した場合に情報漏洩およびプライバシーの侵害に対する賠償金や制裁金の支払が生じる可能性があります。さらに、お客さまからの信頼が損なわれることで、顧客離れが進み、財務的な影響が発生する可能性があります。当該リスクは、当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループ全体に影響を及ぼすリスクとして認識しております。
(ロ)当行をはじめとする三井住友フィナンシャルグループの戦略
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、三井住友フィナンシャルグループ及び提携先へのサイバー攻撃に伴うサービスや業務の停止、情報漏洩、レピュテーションの低下のリスクに対応するために、以下の対応策を実施しております。
〇 サイバー攻撃の防御及び検知
不正アクセスや大量アクセス等、さまざまなサイバー攻撃に備えるため、各種セキュリティ対策サービス・システムの運用により、外部からの不審な通信を検知・遮断し、多層的な防御体制を敷いております。また、ネットワークの監視および分析を行う専門組織であるSecurity Operation Center(SOC)を設置しており、24時間365日の監視体制を確立しております。引き続き、欧米やアジア地域に設置されたSOCとも密に連携することで、グループ・グローバルベースでセキュリティ監視をより一層強化します。
〇 サイバーインシデントの対応及び復旧
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、万が一のサイバーインシデント発生に備え、Computer Security Incident Response Team(CSIRT)を設置しております。また、国内のセキュリティ機能および人材を集約したサイバーフュージョンセンター(CFC)を設置することで、管理体制の効率化を図り、迅速なインシデント対応が可能な環境を整備しております。サイバーインシデント発生に備え、CSIRTは、攻撃者の手口や脆弱性に関する情報等をグループ内外から積極的に収集し、各国当局や米国のFinancial Service Information Sharing and Analysis Center(FS-ISAC)、日本の金融ISAC等の外部機関とも必要に応じて共有しております。
また、万が一の攻撃に備えた対応として、外部の専門家による擬似攻撃演習や、金融庁・金融ISAC等が主催するサイバー攻撃対応演習への定期的な参加等を通じ、サイバーレジリエンスのより一層の強化にも取り組んでおります。
今後もCSIRTやCFCの体制強化、各国当局や外部機関との連携、演習への参加等を通じて、サイバーインシデントの対応力を継続的に強化します。
〇 サイバーセキュリティに関する啓発活動及び専門人材
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは、セキュリティ対策に対して意識的に取り組むことができるカルチャーを醸成するため、役割と責任に応じた啓発活動を実施しております。
経営陣に対しては、サイバーセキュリティにおける経営上の留意事項等に関する勉強会を定期的に実施しております。また役職員に対しては、標的型攻撃メール訓練等を通じてセキュリティ意識を高めるとともに、システム企画者向けの研修等を通じてセキュリティ・バイ・デザインの理念を浸透させております。中長期的なサイバーセキュリティ管理体制の維持に向けて、専門人材の育成を重要課題と認識しており、内外のコンテンツの活用や資格取得支援の制度導入、国内外の大学院への派遣、外部業界団体への参画等を通じて、中核を担う人材の育成に注力しております。
また、キャリア採用等の専門人材の確保に努めるとともに、新卒採用ではサイバーセキュリティコースを設置し、継続的な体制の強化を図っております。
今後もサイバーセキュリティに関する啓発活動及び専門人材育成を継続して実施して参ります。
(ハ)リスクの財務的影響
当連結会計年度において、前述のリスクは当行をはじめとする三井住友フィナンシャルグループの財務諸表に重要な影響を与えていないと認識しております。
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループでは経営主導でサイバー攻撃に対するセキュリティ対策の強化をより一層推進することを定めた「サイバーセキュリティ経営宣言」を策定しており、グループ経営会議・取締役会での議論・検証の下、適切なリソースを配分するほか、サイバーセキュリティ専担組織を設置し、外部機関と連携した脅威情報の収集、24時間365日監視体制の構築、サイバー攻撃に対する多層防御やウイルス侵入も想定したセキュリティ対策の導入等、継続的なレベルアップ施策を実施しております。
しかしながら、不正アクセスや大量アクセス等のサイバー攻撃によって、情報システムにサービスや業務の停止、情報漏洩等が発生し、短期から長期にわたり重要な損失を計上する可能性があります。ただし現時点では、サイバーインシデントは不確実な要素を含むことから、当連結会計年度末における定量的な将来の影響額及び他のリスクやその他の要因との複合的な財務的影響を開示しておりません。
(ニ)レジリエンス
当行をはじめ、三井住友フィナンシャルグループが識別したサイバーセキュリティ関連のリスクに対し、三井住友フィナンシャルグループの戦略及びビジネスモデルは高いレジリエンスを維持し、事業の継続性を確保していると評価しております。
当該評価を実施するにあたり、短期から長期の時間軸において、外部の専門家による擬似攻撃演習やサイバー攻撃を想定した演習を通じて、サイバーインシデント発生時のレジリエンスの実効性について評価しております。
これらの取組を通じて今後も更なるレジリエンスの強化に努めて参ります。

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