日本経済は、堅調な拡大を見せました。実質GDP(国内総生産)は、2017年1-3月期に前期比年率1.9%の高めの伸びとなった後、4-6月期、7-9月期にはともに同2.4%増と拡大ペースを加速させ、10-12月期はやや伸びを鈍化させたものの同1.6%増となりました。グローバル景気の拡大、特に米欧における設備投資の循環的な回復や、中国における工場省力化需要の拡大、新型スマートフォン、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)向けの半導体関連需要の拡大を背景に、輸出が堅調に推移しました。国内では、人手不足に対応するための省力化需要、訪日外国人の増加や2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えた建設需要が国内設備投資の伸びにつながりました。また、2016年に策定された大型景気対策に含まれた公共投資が、2017年度前半の需要を支えました。一方、雇用の伸びは堅調であるものの、賃金の伸びは全体として鈍く、夏場の悪天候も重なり、個人消費は伸び悩みました。年明け後は、輸出や設備投資において循環的に伸び率が鈍化する動きが見られたほか、大雪による交通網への影響や生鮮食品の価格上昇が個人消費の重石となりました。加えて、世界的に賃金上昇率・インフレ率が徐々に上向く中で金融政策が正常化に向かうとの期待が高まったことや、米国が保護主義的な姿勢を強めていることへの懸念などから株価が調整し、企業・家計の景況感を抑制しています。
企業業績は、国内外の景気拡大が続いたことに加えて、2017年度が2016年度に比べて円安ドル高となったため、2年連続の増益となった模様です。ほとんどの業種で増益となったため、全体の経常増益率は4年ぶりに10%を上回ったと見られます。増益寄与が一番大きかったのは、FA(工場自動化)システムを中心とした産業関連や、電動化や自動運転化による車載向け半導体、フラッシュメモリの需要増を背景とした半導体製造装置の好調が目立つ電機・精密です。また、世界景気の拡大を反映した素材価格の上昇の恩恵を受ける化学、資源価格の高止まりで資源分野が好調に推移し、輸送機・建設機械関連や生活産業関連など非資源分野も堅調な商社、環境問題による欧州のディーゼル車離れでHV(ハイブリッド)車の販売が大幅に拡大した自動車、建設機械・鉱山機械の需要回復と、人手不足や産業の高度化への需要増によるFA・ロボット関連事業が好調だった機械なども、増益に大きく貢献する見通しです。4月6日集計時点の2018年3月期の主要企業(Russell/Nomura Large Cap)の推定経常利益は前期比16.2%増益となり、2017年3月期の同1.4%増益から大幅に改善しました。なお、米国税制改正の影響によって2018年3月期のROE(株主資本利益率)は10.3%と、最近のピークであった2006年3月期の10.1%を上回る見通しです。
株式市場は、堅調な企業業績を背景に、世界の主要な株式市場と同様に堅調に推移しました。ただし、2017年度後半は米国の利上げを中心とする金融政策の正常化や、貿易摩擦の拡大への懸念などから市場のボラティリティ(変動率)は上昇しました。2017年度前半の日本株は、堅調な企業業績への期待はあったものの、度重なるミサイル実験の影響で北朝鮮リスクが強く意識され、上値の重い株価推移となりました。しかし、国内外の景気拡大が同時に進んだことを反映して国内企業業績が過去最高水準の利益を達成する確度が高まったこと、2017年10月の衆議院議員選挙で与党が3分の2を上回る議席を確保して国内政治リスクが低下したこと、12月に米国の税制改革法案が可決されたことなどにより、10月以降の日本株は力強い上昇を見せました。年明け後も株価上昇の勢いは続き、日経平均は2018年1月23日、終値で1991年11月以来、約26年ぶりに24,000円台を回復しました。しかし、その後は米国の利上げ加速への不安が広がったことに加えて、米中貿易摩擦の懸念の高まりによって投資家のリスク回避姿勢が強まりました。その結果、世界の主要な株式市場は調整局面入りし、為替市場で一時1ドル104円台まで円高ドル安が進んだこともあって、年度末にかけて日本株の上昇幅は縮小しました。代表的な株価指数である東証株価指数(以下「TOPIX」)は2017年3月末の1,512.60ポイントから、2018年3月末には1,716.30ポイントと13.5%上昇しました。また、日経平均株価は2017年3月末の18,909.26円から、2018年3月末には21,454.30円と13.5%上昇しました。
2018/06/25 15:52