日本経済は、19年度後半に大きく悪化しました。実質GDP(国内総生産)は、2019年4-6月期には前期比年率2.1%増加しましたが、7-9月期に同0.0%と横ばいに留まった後、10-12月期は同7.3%の減少、2020年1-3月期は同3.4%の減少と、大幅な減少が2四半期続きました。米中貿易摩擦などの影響で世界景気が減速傾向にあったため、日本の輸出は2019年度当初から低調でした。一方7-9月期までは、人手不足に対応するための省力化需要を背景に設備投資が高水準を維持したほか、2019年10月に予定されていた消費税率引き上げを前に駆け込み需要が生じ、個人消費や住宅投資が増加基調にありました。しかし、実際に消費税率が引き上げられると、駆け込み需要の反動から個人消費と住宅投資が大幅に減少、それを受けて設備投資も大幅に減少しました。年明け後は、経済活動が下げ止まる動きもみられていましたが、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大し、経済活動を圧迫しました。感染拡大を食い止めるため、まずは中国が武漢市を始め多くの都市の経済活動を制限し、欧州や米国も追随しました。日本でも、2020年2月には政府が国民に対して外出自粛や全国的なイベント開催の再検討を促し、また3月に東京都は都民に対して不要不急の外出自粛を呼びかけるなどを行いました。この間、海外からの入国規制も強まりました。これらの結果、特に3月には日本への外国人観光客数が前年比9割以上減少したほか、輸出や個人消費など様々な経済活動が落ち込むに至りました。
企業業績については、米中通商摩擦と新型コロナウイルス感染拡大の影響で、主要企業の経常利益は2018年度比で大幅な減益となりました。米中通商摩擦の影響で世界経済の拡大ペースが鈍化し、製造業は素材産業・加工産業の業績が共に悪化しました。また、複数の業種において保有株式の時価変動による未実現持分証券評価損が計上されたことも、利益の押し下げ要因となりました。他方で、新型ゲーム機の販売が好調なアミューズメントおよび企業の省力化投資需要の恩恵を受けたシステム・アプリケーションの双方が堅調だったソフトウェアなど、好業績を達成した業種も一部見られました。2020年3月期の主要企業(Russell/Nomura Large Cap)の推定経常利益は前期比18.7%減益と、4年ぶりの減益に転じました。2020年3月期の推定ROE(株主資本利益率)は6.7%で、2019年3月期の9.2%から大幅に悪化しました。
株式市場では、米中通商協議の進展を好感して、日本株が一時は2018年以来の高値圏で推移しました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大による国内外経済への影響を懸念して、主要な日本株指数は年度ベースで2年連続の下落となりました。2019年度の日本株は、2019年8月まで米中通商協議の先行きに対して一喜一憂する動きとなりました。2019年9月以降は米中通商協議進展への期待と、欧米の金融緩和を背景に投資家心理が改善して、日本株の上昇が明確になりました。日経平均株価は2019年12月13日に終値で約1年2ヵ月ぶりに24,000円台を回復すると、年明け後も高値圏で推移しました。しかし、中国で新型コロナウイルスの感染が広がったことで、中国における生産、消費活動が停滞するとの見方が強まり、日本株は下落に転じました。その後も国内外で感染者数が増加するにつれて世界経済への悪影響が懸念され、米国を始めとする世界の主要な株式市場は大幅な調整に見舞われました。2020年3月には日経平均株価が一時17,000円を割り込む場面がありました。ただし、経済対策への期待から米国株が反発に転じて、日本株も2020年3月末に向けて下げ幅を縮小しました。代表的な株価指数である東証株価指数(以下「TOPIX」)は2019年3月末の1,591.64ポイントから、2020年3月末には1,403.04ポイントと11.8%下落しました。また、日経平均株価は2019年3月末の21,205.81円から、2020年3月末には18,917.01円と10.8%下落しました。
2024/06/25 12:45