有価証券報告書-第81期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、持株会社である当社と国内外の連結子会社により構成されるグループ経営を展開しており、証券ビジネス及びアセットマネジメントビジネスをコアとする資産運用サービスの提供を通じて持続的な企業価値の向上に努めてまいります。
(2)経営戦略等
当社では2023年4月に創業100周年を迎えることに鑑み、創業100周年を越えてもお客さまから信頼され、成長を続けられる体制の確立に向けたグランド・デザインを構築しております。この実現に向け、2017年4月から2020年3月までの当初3年間を中期経営計画「BEYOND 2020」として、グループ力強化のための投資期間と位置付けております。
計画2年目にあたる当年度は、岡三キャピタルパートナーズを設立し、ベンチャー企業への投資を開始したほか、各証券子会社においては、取引所証拠金取引の取次ぎ先拡大や、海外のマーケット・企業情報などの投資情報について海外証券会社とのアライアンス拡大など、グループ外企業との連携を強化いたしました。また、お客さまへの商品サービス提供において、AIを活用した投資情報やお客さまご案内サービスの提供を開始するなど、FinTech対応を推進いたしました。当社グループでは引き続き、グループ力強化を通じた企業価値の向上に努めてまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、いかなる環境下においても安定的な収益性を確保することが重要との考え方から、連結ROE 10%の安定的な達成を長期的な経営目標として掲げております。
(4)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
我々を取り巻く環境を大きく見渡すと、技術の覇権争いが注目される米中の新冷戦や、AIの進化による第四次産業革命など、様々な分野で従来の枠組みが大きく変わりつつあると感じています。これまで時代を牽引してきたGAFAですら、ビジネスモデルが改めて問い直されています。
わが国の個人金融資産に目を転じると、投資への流れは緩やかで、依然として個人金融資産のうち現預金が過半を占めています。日米のシニア層における一世帯当たりの平均保有金融資産額には3倍から4倍の開きがあります。米国では個人金融資産に占める株式や投資信託の割合も高く、資産形成における彼我の差は大きいと言わざるを得ません。しかし、長らく続いたこの構図にも、変化が生まれつつあります。「人生100年時代」が現実化するなかで資産寿命を伸ばす重要性が意識され始め、NISAやiDeCoなど制度面での整備も進みつつあります。リスク資産への投資の拡大、金融資産の増加、投資家の裾野拡大も期待されます。わが国の証券ビジネスの成長ポテンシャルは非常に高く、我々の果たすべき役割は大きいと考えています。こうした成長過程では商品や技術などのイノベーションが加速するでしょう。従来の延長線上には無いビジネスモデルを構築していくことが必要であると思います。
このような状況下、当社では「既存ビジネスの強化」に「新たなビジネスの創造」を加えることにより、付加価値を高めるための取組みを進めております。当年度においては、グループ全体の持続的成長を目的とした様々なプロジェクトを設置し、各施策を推進する体制を整備いたしました。当社の成長には「グループ内連携の強化」と「グループ外連携の拡大」が重要であると考えており、当社グループが有する商品、情報、人材、ITなど様々なリソースを活用することにより、グループシナジーを最大限に発揮することを目指しております。
当社では「投資アドバイスのプロフェッショナル」として、お客さまの資産形成、資産運用、そして資産管理に至る様々なニーズに応え、創業以来培ってきた「お客さま大事」の経営哲学を更に極めてまいりたいと存じます。2023年の創業100周年を越えてお客さまから信頼され、成長を続けられるよう努めてまいります。
(5)株式会社の支配に関する基本方針について
① 基本方針の内容の概要
当社は、上場企業である以上、本来、当社株券等の大規模買付行為は自由であり、誰が当社を支配するかは、最終的には当社株主の皆さまの判断に委ねられるべきもので、当社の経営方針とそれにより実現される企業価値をご理解いただいた上で、当社株主の皆さまに、適切に判断いただくべきものであると考えます。また、当社株券等に対する大規模な買付行為が行われた場合には、その大規模買付行為の内容、大規模買付行為が当社及び当社グループに与える影響、大規模買付者が考える当社及び当社グループの経営方針や事業計画の内容、お客さま、従業員等の当社及び当社グループを取り巻く多くの利害関係者に対する影響、そして、大規模買付行為以外の代替案の有無等について、大規模買付者及び当社取締役会の双方から適切かつ十分な情報が提供され、かつ提供された情報を十分に検討するための期間と機会が確保されることが必要だと考えます。
そのためには、大規模買付行為に際して、①大規模買付者は当社取締役会に対して大規模買付行為に先立ち必要かつ十分な情報を提供しなければならず、②当社取締役会が当該情報を検討するために必要な一定の評価期間が経過した後にのみ、大規模買付者は大規模買付行為を開始することができるという「大規模買付ルール」を設けるとともに、当該ルールが有効に機能するために必要な方策を整え、明らかに当社の企業価値及び当社株主の皆さまの共同の利益を害するような濫用的買収に対して、会社として対抗策をとることができなければならないと考えております。
② 基本方針実現のための取組みの具体的な内容の概要
当社は、上記基本方針実現のための取組みとして、次に掲げる内容の「大規模買付行為への対応方針」を導入し、2019年6月27日開催の当社第81期定時株主総会において承認決議されております。
a.大規模買付者が大規模買付行為を行おうとする場合は、以下の「大規模買付ルール」に従わなければならないこと。
(ア)大規模買付者は当社取締役会に対して大規模買付行為に先立ち必要かつ十分な情報を提供しなければならないこと。
(イ)必要な情報提供を受けた後、当社取締役会による評価、検討、交渉、意見形成及び代替案立案のための期間(以下、「評価期間」といいます。)として、60日間又は90日間が与えられること。
(ウ)大規模買付行為は、評価期間経過後にのみ開始されるべきこと。
b.大規模買付ルールを遵守しない大規模買付者に対しては、新株予約権の無償割当を内容とする対抗策をとりうること。
c.大規模買付ルールが遵守されても、大規模買付者による会社の支配が会社に回復しがたい損害をもたらすとき等には、当社は新株予約権の無償割当を内容とする対抗策をとりうること。
d.当社取締役会は、対抗策の発動については社外取締役及び社外有識者等により構成される独立委員会の勧告に原則として従うこと。
③ 具体的取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
a.当該取組みが基本方針に沿うものであること
(ア)大規模買付ルールが遵守される限り、原則として対抗策はとらないこととなっており、誰が会社を支配するかは当社株主の皆さまにおいて決める仕組みとなっております。
(イ)大規模買付者に十分な情報の提供を求めるとともに、情報の提供をしない大規模買付者には対抗策を発動することを警告することによって、情報提供のインセンティブを与えております。
(ウ)濫用的買収に対しては、会社は対抗策をとりうる制度設計となっております。
b.当該取組みが株主共同の利益を損なうものではないこと
対抗策をとりうるのは、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しないか、会社に回復しがたい損害をもたらすなどの濫用的買収の場合に限定されており、対抗策は基本的には情報提供のインセンティブを与えるものであります。
c.当該取組みが当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと
対抗策をとりうる場合が厳しく限定されており、しかも、当社取締役会は独立委員会の勧告に原則として従わなければならないため、当社取締役会の恣意的判断が排除される仕組みとなっております。
(1)経営方針
当社は、持株会社である当社と国内外の連結子会社により構成されるグループ経営を展開しており、証券ビジネス及びアセットマネジメントビジネスをコアとする資産運用サービスの提供を通じて持続的な企業価値の向上に努めてまいります。
(2)経営戦略等
当社では2023年4月に創業100周年を迎えることに鑑み、創業100周年を越えてもお客さまから信頼され、成長を続けられる体制の確立に向けたグランド・デザインを構築しております。この実現に向け、2017年4月から2020年3月までの当初3年間を中期経営計画「BEYOND 2020」として、グループ力強化のための投資期間と位置付けております。
計画2年目にあたる当年度は、岡三キャピタルパートナーズを設立し、ベンチャー企業への投資を開始したほか、各証券子会社においては、取引所証拠金取引の取次ぎ先拡大や、海外のマーケット・企業情報などの投資情報について海外証券会社とのアライアンス拡大など、グループ外企業との連携を強化いたしました。また、お客さまへの商品サービス提供において、AIを活用した投資情報やお客さまご案内サービスの提供を開始するなど、FinTech対応を推進いたしました。当社グループでは引き続き、グループ力強化を通じた企業価値の向上に努めてまいります。
岡三証券グループ 中期経営計画「BEYOND 2020」 |
1.対象期間 2017年4月から2020年3月末までの3年間 |
2.経営哲学 お客さま大事 |
3.社会的使命 <ステークホルダーへの宣言>(1)お客さま 我々は、お客さまの利益に資するため、投資アドバイスのプロフェッショナル集団となります (2)社員 我々は、社員の働きがいに資するため、より一層「誇り」を持てる会社となります (3)株主 我々は、株主の期待に資するため、企業価値を高めます |
4.経営目標 <定性目標>(1)お客さま大事の経営 (2)グループ内連携 (3)グループ外連携 (4)ブランド戦略 (5)人材、働きがい (6)FinTech対応 |
<定量目標>会社成長とともに、長期安定的な目標としてROE 10% |
5.創業100周年に向けて 創業100周年までの早期にグループ全体で「100万口座」、預り資産「10兆円」 |
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、いかなる環境下においても安定的な収益性を確保することが重要との考え方から、連結ROE 10%の安定的な達成を長期的な経営目標として掲げております。
(4)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
我々を取り巻く環境を大きく見渡すと、技術の覇権争いが注目される米中の新冷戦や、AIの進化による第四次産業革命など、様々な分野で従来の枠組みが大きく変わりつつあると感じています。これまで時代を牽引してきたGAFAですら、ビジネスモデルが改めて問い直されています。
わが国の個人金融資産に目を転じると、投資への流れは緩やかで、依然として個人金融資産のうち現預金が過半を占めています。日米のシニア層における一世帯当たりの平均保有金融資産額には3倍から4倍の開きがあります。米国では個人金融資産に占める株式や投資信託の割合も高く、資産形成における彼我の差は大きいと言わざるを得ません。しかし、長らく続いたこの構図にも、変化が生まれつつあります。「人生100年時代」が現実化するなかで資産寿命を伸ばす重要性が意識され始め、NISAやiDeCoなど制度面での整備も進みつつあります。リスク資産への投資の拡大、金融資産の増加、投資家の裾野拡大も期待されます。わが国の証券ビジネスの成長ポテンシャルは非常に高く、我々の果たすべき役割は大きいと考えています。こうした成長過程では商品や技術などのイノベーションが加速するでしょう。従来の延長線上には無いビジネスモデルを構築していくことが必要であると思います。
このような状況下、当社では「既存ビジネスの強化」に「新たなビジネスの創造」を加えることにより、付加価値を高めるための取組みを進めております。当年度においては、グループ全体の持続的成長を目的とした様々なプロジェクトを設置し、各施策を推進する体制を整備いたしました。当社の成長には「グループ内連携の強化」と「グループ外連携の拡大」が重要であると考えており、当社グループが有する商品、情報、人材、ITなど様々なリソースを活用することにより、グループシナジーを最大限に発揮することを目指しております。
当社では「投資アドバイスのプロフェッショナル」として、お客さまの資産形成、資産運用、そして資産管理に至る様々なニーズに応え、創業以来培ってきた「お客さま大事」の経営哲学を更に極めてまいりたいと存じます。2023年の創業100周年を越えてお客さまから信頼され、成長を続けられるよう努めてまいります。
(5)株式会社の支配に関する基本方針について
① 基本方針の内容の概要
当社は、上場企業である以上、本来、当社株券等の大規模買付行為は自由であり、誰が当社を支配するかは、最終的には当社株主の皆さまの判断に委ねられるべきもので、当社の経営方針とそれにより実現される企業価値をご理解いただいた上で、当社株主の皆さまに、適切に判断いただくべきものであると考えます。また、当社株券等に対する大規模な買付行為が行われた場合には、その大規模買付行為の内容、大規模買付行為が当社及び当社グループに与える影響、大規模買付者が考える当社及び当社グループの経営方針や事業計画の内容、お客さま、従業員等の当社及び当社グループを取り巻く多くの利害関係者に対する影響、そして、大規模買付行為以外の代替案の有無等について、大規模買付者及び当社取締役会の双方から適切かつ十分な情報が提供され、かつ提供された情報を十分に検討するための期間と機会が確保されることが必要だと考えます。
そのためには、大規模買付行為に際して、①大規模買付者は当社取締役会に対して大規模買付行為に先立ち必要かつ十分な情報を提供しなければならず、②当社取締役会が当該情報を検討するために必要な一定の評価期間が経過した後にのみ、大規模買付者は大規模買付行為を開始することができるという「大規模買付ルール」を設けるとともに、当該ルールが有効に機能するために必要な方策を整え、明らかに当社の企業価値及び当社株主の皆さまの共同の利益を害するような濫用的買収に対して、会社として対抗策をとることができなければならないと考えております。
② 基本方針実現のための取組みの具体的な内容の概要
当社は、上記基本方針実現のための取組みとして、次に掲げる内容の「大規模買付行為への対応方針」を導入し、2019年6月27日開催の当社第81期定時株主総会において承認決議されております。
a.大規模買付者が大規模買付行為を行おうとする場合は、以下の「大規模買付ルール」に従わなければならないこと。
(ア)大規模買付者は当社取締役会に対して大規模買付行為に先立ち必要かつ十分な情報を提供しなければならないこと。
(イ)必要な情報提供を受けた後、当社取締役会による評価、検討、交渉、意見形成及び代替案立案のための期間(以下、「評価期間」といいます。)として、60日間又は90日間が与えられること。
(ウ)大規模買付行為は、評価期間経過後にのみ開始されるべきこと。
b.大規模買付ルールを遵守しない大規模買付者に対しては、新株予約権の無償割当を内容とする対抗策をとりうること。
c.大規模買付ルールが遵守されても、大規模買付者による会社の支配が会社に回復しがたい損害をもたらすとき等には、当社は新株予約権の無償割当を内容とする対抗策をとりうること。
d.当社取締役会は、対抗策の発動については社外取締役及び社外有識者等により構成される独立委員会の勧告に原則として従うこと。
③ 具体的取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
a.当該取組みが基本方針に沿うものであること
(ア)大規模買付ルールが遵守される限り、原則として対抗策はとらないこととなっており、誰が会社を支配するかは当社株主の皆さまにおいて決める仕組みとなっております。
(イ)大規模買付者に十分な情報の提供を求めるとともに、情報の提供をしない大規模買付者には対抗策を発動することを警告することによって、情報提供のインセンティブを与えております。
(ウ)濫用的買収に対しては、会社は対抗策をとりうる制度設計となっております。
b.当該取組みが株主共同の利益を損なうものではないこと
対抗策をとりうるのは、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しないか、会社に回復しがたい損害をもたらすなどの濫用的買収の場合に限定されており、対抗策は基本的には情報提供のインセンティブを与えるものであります。
c.当該取組みが当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと
対抗策をとりうる場合が厳しく限定されており、しかも、当社取締役会は独立委員会の勧告に原則として従わなければならないため、当社取締役会の恣意的判断が排除される仕組みとなっております。